公開日 2009年04月07日
更新日 2014年03月17日
〔平成21年4月3日(金曜日) 正庁ホール〕
それではどうも皆様、おはようございます。平成21年度の県政運営にあたりまして、私から一言、お話をさせていただきたいというふうに思います。
私は今、この知事講話、何をお話をするかということを考えておりましたときにつくづく思いました。今、我々は、1年前とは明らかに違っております。県勢を、県の勢いを浮揚させていくために何をしなければならないのかということ。昨年、私がこの場に立って、皆さまにお話をさせていただいた時には、まだこの答えがありませんでした。しかしながら今、今日、先々を見通していったときに、県勢を浮揚するために何をすべきなのかということは、もう既に明らかになっております。ある意味、非常にすっきりした気持ちであります。いよいよ、今年度は、これを実行していく。実行元年として、これを実行していくときが来た。その、今、私たちはスタート地点に立っておるわけであります。
昨年1年間、本当に県庁職員の皆さま方の献身的な努力によって、県勢浮揚のために何をすべきなのかということについて、徹底的に考えてまいりました。産業振興計画然り、教育の問題についても然り、また、福祉のあり様についても、高知県に適した高知型福祉とはどういうものなのか、このことについても然り、インフラ整備、大きく国の制度が変わっていくなかで、高知県はどうあるべきなのか、どのようにインフラ整備を進めていくべきなのかということについても然り、また、南海地震対策をはじめとする危機管理体制、このためにどういう行動を今後起こしていくべきなのか、このことについても然りであります。
本当に多くの皆さま方の献身的なご努力によって、この、何をすべきかということは明らかになりました。今年度は、これを実行していかなければなりません。多くの県民の皆さま方と接しているとき、私はつくづく思います。「何をすべきかについて明らかにしたのはいいけれども、本当にこれを実行できるのかね」と、多くの方々がそう思っておられるのではないでしょうか。
残念ながら、数々、色々な取り組みをしてきた、そういう、一生懸命過去も延々と努力をしてきたけれども、残念ながら現実問題として、県勢が浮揚したという結果を残している、そういう状況にはありません。極めて厳しい財政事情。そもそもが、人口減少、高齢化、この極めて厳しい社会情勢、地理的に不利な状況、こういうような厳しい条件があるなかで、なかなか、残念ながら県勢浮揚を本当の意味で成し遂げられてきたとはいえない状況であります。しかし、あえてまた、この県勢浮揚というものを正面に掲げて、これに対して果敢に挑戦をしようとしているのが、今の高知県庁であります。本当にこれを実行できるのかということについて、多くの県民の皆さま方が、今また、再び我々を見ていらっしゃいます。本当にできるのか、今こそ、高知県庁の真価が試されていると、私は思っております。
考えてみれば、1年間かけてこれだけ多くの方々を巻き込んで、これは産業振興計画のことだけではありません。「対話と実行」座談会を通じて、また、皆々さまが県民の皆さまと日々、いろいろな懇談会、説明会を通じて得た情報も得て、多くの仕込み、仕掛けを図ってまいりました。考えてみれば、これほどまでに本当に真剣に、正面から課題に向き合って、何をすべきかを考えてきたことはなかったのではないでしょうか。
逆にいえば、これだけ必死になって考えてきた、この何をすべきか(ということを)、我々が実行せずに置いておく、そんなことがあってはならないわけであり、また、逆に言えば、実行できないことはないと、私は思っております。繰り返しますが、今こそ、高知県庁の真価が試されております。県民の皆さまが、皆さまを見ておられます。是非とも頑張っていきたい。なんとしても、この県勢浮揚を成し遂げるために皆々さま、一人ひとりが大いに力を発揮していただきたいと、そのように思う次第であります。
昨年、さまざまなプランを練っておった時期と、この、本当に実行していくというこの時期と、いろいろな点で仕事の仕方には違いが出てくるんだろうというふうに思っております。そういう点において、私は本日、3点、いわば心構えといいますか、皆さま方に、是非とも心していただきたいと思うことを申し上げさせていただきたいと、そのように思います。また、このことは、私自身に対する自戒の念を込めたものでもあるというふうに考えております。
第1点は、何度も言っておることでございますけれども、県勢浮揚という課題は、本当に民間の皆さま方にもやる気になっていただかなければ、絶対に成し遂げることはできません。官民協働型の県政、これを真に実現していかなければならないと、そのように思います。民間の皆さまにも、我々がやろうとしていることに、「じゃあ、一緒にやろうじゃないか」と、そう思っていただくようにならなければならない。そのためには、何をしなければならないか。まず、やろうと言い出した我々が、自ら汗をかくということでございます。「民間の皆さんが動かんのだから、我々が何言ったっていかんわえ」と、そういうことではいけません。我々が、仮に周りの方が動かなくても、まず、一生懸命動いて、汗を流している姿を見せていくということが何よりも重要だと、そのように考えております。
そしてまた、現場に出て行かなければならないと、そのように思います。この本庁の、もしくは、それぞれの出先機関のオフィスの中だけにいるのでは駄目なのであって、現場、現場に自ら足を運んで、やろうとしていることをしっかりと言葉を砕いてご説明をして、そして、自らやってみて、やってみせて協力を募っていく。そのなかで、いろいろ我々が考えたことが実態に合わないこともあるでしょう。いろいろなご指摘を受けることもあるでしょう。その言葉に真摯に耳を傾けて、正すべきは柔軟に正すと、そういう姿勢が必要だというふうに考えております。
私自身も、昨年は色々教えていただくということで、県内34市町村を、「対話と実行」座談会で回らせていただきました。今年は、いろいろ実践が行われている現場に、私自身も足を運ばせていただいて、自らも汗をかいていく、そういう姿勢をお示しし、また、実践段階におけるいろいろなお知恵も賜りたいと、そのように思っておるところであります。皆さま方も、是非、お一人おひとりが労を惜しまず、足を運んで現場に行っていただき、何をやろうとしているかを説明し、そして、やろうとしている姿を見せる、そういうことを心掛けていただきたいと、そのように思います。
第2点目でございます。実行するということは、これは、目的を達成するために実行するのであります。目的を達成をするということを、日々の仕事の目標に掲げていただきたいと、そのように思います。
これは、民間企業であれば、経営目標があって、それを達成できなければつぶれてしまうわけであります。行政は、つぶれてしまいません。ですから、日々の仕事を、仮に、目的が達成できていなくても、我々はお給料をもって暮らしていくことができるわけであります。しかしながら、行政のための言い訳、「何かやっているからという言い訳ができればいいや」とか、そういう仕事ぶりであってはいけないということであります。県勢浮揚のために、それぞれの皆さまが任務を持っておられる。目的を持っておられる。その目的を、真に達成すると、本当にやるんだということでやっていただかなければいけないというふうに思います。
今の現状があります。達成したいレベルがあります。このギャップを埋めるためには、何をしなければならないかを必死になって考えていただきたいと、そのように思います。知事室での議論も、従来より一歩前に進んだからいいじゃないかと、そういうことでもって良しということには決して致さないつもりであります。目的を達成するためには、現状にして何が足りないのか、それを埋めるためには何をしないといけないのかということを、私は常に問うていきたいというふうに考えております。
私は、この高知県庁は、ほかの官公庁とは違って、それを十分に成し遂げられるというふうに信じております。なぜならば、昨年1年、この目的を達成するために何をしないといけないかということを、皆さまと徹底して議論をしてきて、そしてこの、先ほど申し上げた、何をすべきかということを考えてきたという実績があるからであります。プランとしては出来上がりました。これを実践しなければなりません。是非とも、「目的を達成するんだ、そのためには何をしなければならないのか」と、そういう意識でもってお仕事をしていただきたいと、そのように思う次第であります。
3番目でございます。説明責任という言葉を、あらためて深く心にかみしめて、心に留めていただきたいと、そのように思います。
実行するということとなれば、実際、多くの方々に、県民の皆さまに影響を及ぼしていきます。なぜ実行しなければならばならないのか、なぜしないのかということも含めてであります。このことについて、しっかりと説明ができなければなりません。県税を使っております。国税を使っております。税金を使っております。そしてまた、多くの皆さま方に、実際、生活にも影響を及ぼしていくこととなります。
この、説明責任ということ、これをしっかりと常に心掛けて、これを果たすことを心掛けていただきたいと、そのように思う次第であります。感覚論ではいけません。定量的にもきちんと、何故に、これが故にこういうことをするんですということがきちんと説明できるかどうか、これを常に意識をしていただきたいと、そのように思っております。議会に対して、説明ができなければいけません。現場に入った時に、皆さま方に説明ができなければいけません。一人ひとりが説明ができなければいけません。施策を考えるときに、この点をまず、しっかり詰め上げておくということが一つ、そしてまた、出来上がった施策を現場の職員一人ひとりに至るまで徹底をしていくということが二つ目、この二つが成し遂げられていなければならないのだというふうに考えております。
官民協働の姿勢、自ら汗をかくということ、目的を達成するんだという姿勢、説明責任を果たすんだという姿勢。この3点を、是非とも私自身も自戒の念をこめて、これを今、皆さま方に申し上げております。是非とも、皆さま、この3点を気を付けていただいてお仕事をしていただきたいと、そのように思っております。
人員削減をしていかなければなりません。残念ながら、これを行っていかなければならない。高知県の財政を将来に向けて安定したものにしていくためには、残念ではありますが、これは避けては通れない課題であります。仕事が増えているなかで、人員が、職員の数がだんだんだんだん減っていくということで、お一人おひとりには、大変なるご苦労をおかけをしておるところであります。これについては、私も本当に申し訳ないと思っておるところです。しかしながら、逆に言えば、今ほど、一人ひとりの力が重要な時はないと、そのように私は思っております。
一つのポストとして、無駄なポストはございません。これだけスリム化をしてきたのだから、ぜい肉はもう十分そぎ落とされている。一人ひとりのポストが、一昨日入られた新入生の皆さんからはじめ、庁議メンバーの皆さんに至るまで、一人ひとりのポストで一つたりとも無駄なものはないと私は思います。
ぜい肉をそぎ落としてきたのですから、もう無駄なものはありません。企画をする人、そして、現場で実践をする人。さらには、全ての財源を集めてくるために税の徴収をはじめとして、また、適正な会計の執行管理を担当される方、職員の厚生を担当される方。お一人おひとりのこのバックベンチを支えていただく皆さん、全ての人、一人ひとりに無駄な仕事はないんだと、そのように思います。一人ひとりのお力を、それぞれの任務、役割を改めて胸に刻んでいただきながら、その仕事を大いに十全に果たしていただきたいと、そのように思っておるところであります。
スピードが求められております。残念ながら、社会情勢の厳しさというものは、群を抜いています。今は、景気の後退、これは、戦後、最悪といわれる状況に陥っております。また、少子高齢化のスピードの展開、これも予測を超えたスピードで進んでおるわけであります。若者たちの県外流出も止まりません。また、子どもたちを取り巻く環境の厳しさも、日に日に増しております。高齢者の皆さま方の孤立感は、ますます深まっております。
しっかりと準備をして望んでいくという姿勢も必要ではありますが、他方で、スピードもまた、求められております。スピード感を持って仕事をしていくということ。従来より、忙しくなるかもしれない。大変だということになります。しかしながら、県民の皆さまの苦しみというものは、もっともっと深いものがある。苦しみの深まりというのは、もっと早いスピードで進んでいるんだと。そういう意識でご苦労をおかけしますが、是非とも、皆さま、一人ひとり頑張っていただきたいとそのように思う次第であります。
このスピードとの関連で、一点、申し上げておかなければなりません。車にしても、どのような交通機関にしてもそうだと思いますが、乗り物にしてもそうだと思いますが、スピードを上げれば上げるほど、安全装置が、また重要となってまいります。県政改革アクションプラン、こちらを昨年度の3月に決定をいたしました。県民から見える県庁ということで、日本一の透明度。そして、また、組織的にも日本一のチェックシステムを、今、この県庁の中に構築をしようとしているんだと私は思っております。併せて、萎縮することのない県民と対話する県庁。視野を広げるという観点からも、県外を見る県庁であると。この三つの柱でもって、この県政改革アクションプランを昨年度末、決定をさせていただきました。
県民から見える県庁ということで、最も透明度の高いかたちで仕事をしていただく。日々の仕事、これを県民の皆さまが、すぐ横で見ていても大丈夫だと思われるような仕事ぶりでなくてはならないということがありますが、もう一つ。いろいろな観点から、例えば、コンプライアンスの観点。特に、法的に、これは法令違反ではないかといった観点。そういうものも出てくる時があるでしょう。
チェックシステムを県政改革アクションプランの中で敷いております。一つ上の上司に異議を申し立てるということもある。もう一つは、政策企画課および執行管理室。こちらに対して、異議を申し立てるという制度も設けております。是非とも、「これはおかしい」と、「県民の皆さまを裏切る行為である」と思ったときには、このシステムを使っていただきたい。働きかけの公表についても、今度、基準を明確にいたしております。これを是非、使っていただきたい。これは、皆さま、是非とも、幹部職員の皆さまほど、率先垂範してこのシステムを使っていただきたいと、そのように思っております。
スピードを上げれば、安全装置がしっかりと機能することが、ますます求められてくるところであります。そのために、さまざまな仕込みを図るとともに、この安全装置についても、昨年1年かけて検討を進めてきたということであります。是非ともこれを、おざなりのものとせず、しっかりと使っていただくという姿勢を、特に、幹部の皆さまほど、率先、垂範してこの姿勢を示していただきたいと、そのように考えております。
高知県は、少子高齢化社会、人口減少社会というものに、日本の中でも真っ先に先頭を切って突入をした県であります。この歴史的な転換点にある日本全体の中でも、最も、真っ先に、この歴史の転換点に直面をしておる。そういう県が、この高知県だと私は思っております。逆に言えば、このような県において、どのように、県民お一人おひとりがより豊かに、物心両面において、豊かに暮らしていけるようにするのか、そういう社会をつくるのかということについて、お手本はありません。他県の真似をしようにも、こういうことを、また、課題を克服した県はありません。
ですから、自らの知恵と汗によって、新しい時代を切り開いていかなければならないのであります。どうすべきなのか、昨年、1年必死になって考えてきました。今年は、いよいよそれを実行する年であります。県民の皆さまが見ています。県庁の真価が試されていると、そういう年だと思っております。私自身が、真っ先に汗をかいてまいります。そして、任せるべきは、大いに任せていきたいというふうに考えております。最後の責任は、この私が取ります。大いに、それぞれ皆さま方が自覚をもって、そして、力を発揮していただきたいと、そのように思っております。
皆さま、平成21年度、高知県にとって、そしてまた、日本に対して、お手本を示す年としても非常に重要な年だと考えております。是非とも、お一人おひとり大いに力を発揮していただきたいと、そのように考えておるところでございます。是非、皆さん、この21年度、頑張っていただきたいと、そのように思う次第でございます。
どうぞ、1年よろしくお願いを申し上げます。