公開日 2010年01月05日
更新日 2014年03月19日
知事の定例記者会見(平成22年を迎えるにあたって)
知事室
・今年の位置付け
・経済の活性化
・産業振興計画の加速化
・産業振興計画の改訂
・高知市中心市街地の活性化
・教育の振興
・日本一の健康長寿県づくり
・社会資本の整備と南海地震対策
・「対話と実行」座談会
<以下、質疑>
・日本一の健康長寿県づくりについて
・国の経済成長戦略について
・ダム事業の検証について
・1票の格差の違憲判決
・国の財政運営
(知事)
皆様、新年あけましておめでとうございます。昨年1年間は、就任1年目の一番最初の時期から、高知県の活性化のために何をするべきなのかということについて、例えば、作り上げた産業振興計画を着実に実行していく「実行元年」と位置づけさせていただきまして、取り組みを進めてきたところでありました。
今年1年間をどう位置づけるかということでございますけれども、この「実行元年」の1年間に、いろいろと取り組んできたことを土台としながら、また「龍馬伝」などのこの追い風を生かして、高知県の活性化のために、さらに一つ上のステップを目指していく「挑戦の年」というふうに位置づけをさせていただきたいと考えておるところです。「実行元年」を通じて、さまざまな一定の成果もしくは成果の兆しというものが見え始めたわけでございますけれども、これをしっかりと次につないでいかないといけません。さらに大河ドラマ「龍馬伝」、このチャンスを縦横に生かしていかなければなりません。
これらを生かして、高知県の活性化に向けて、今の高知県のさまざまなレベルから、さらに1段上を目指していくための、本当に果敢なる挑戦を行っていく年にしていきたいと考えておるところであります。
これから、今年1年間実行していきたいそれぞれの課題について、先ほど申し上げました挑戦という視点も入れ込みながら、この1年どういう取り組みをしていきたいかについて、お話をさせていただきたいと思います。
まず、経済の活性化についてであります。(昨年)11月の有効求人倍率は0.42ということでございまして、引き続き、厳しい雇用情勢が続いております。国の有効求人倍率につきましても、0.4%台半ばという推移がずっと続いておる中で、引き続き、全国的に厳しい状況が続いている。
それに伴い、高知県でも、厳しい状況が続いているということでございますけれども、引き続き、緊急経済対策、国における二次補正予算などに呼応しまして、緊急経済対策を切れ目なく、間断なく実施をしていく。そういう姿勢で臨んでいきたいということが第1であります。
この点について申し上げれば、「あったか高知雇用創出プラン」、3年間で6,500人の雇用を目指すということで取り組みを進めてきましたが、昨年末までで、何とか2,700人余りの雇用を生み出すという形となることができました。この成果を、引き続き生かしていかなければなりません。世界及び日本全体の経済動向を見ながら、適切な対応を図っていきたい。これが第1であります。
そして、経済活性化の観点の第2でありますけれども、産業振興計画。高知県の経済体質を抜本的に強化するため、この産業振興計画を、引き続き、着実に実施をしていかなければなりません。いや、むしろ加速化していく。挑戦をするという視点でもって、加速化して、実施をしていくことが重要であると考えておるところです。
この産業振興計画でございますが、「実行元年」と位置づけた去年の4月から、さまざまな形での取り組みを進めてまいりました。例えば、春の段階においては、実行するための体制づくりをと、それが、概ね夏ぐらいまでに完成した。夏には、地産外商公社も立ち上がったという状況でございました。
その後、地産外商の戦略などにつきましても、例えば県産品フェア、商談会、全部で今年度中に48件実施ができると。昨年度に比べて、約4倍弱のスピードで、さまざまな地産外商の取り組みを実施できることとなるなど、一定の成果、もしくは成果の兆しというものも見え始めたのではないのかなと思っているところです。
また、産業振興計画のリーディングプロジェクトと位置づけております「土佐・龍馬であい博」も、この1月16日に、いよいよ開幕することとなります。多くの皆様方に、準備に携わっていただきました。また、高知駅前のパビリオン「とさてらす」を中心としながらも、安芸・梼原・土佐清水、それぞれの地域でパビリオンを設け、各地域、地域でさまざまな形でのイベントを実施する予定となっております。
この時期に、単に大河ドラマ「龍馬伝」があって、多くの方々が高知県に訪れていただけると、それにとどめるのではなくて、この機会を縦横に生かしていきながら、高知県の各地域、各地域を、県外に徹底してPRをしていきたい。高知県の各地域はこういうところで、こういうものが食べられるところで、このようなおみやげ物があるところなんだよということを、全国の人々に知っていただける。そういうチャンスを生かし切っていきたいと。そのように考えておるところです。
こういう形で、産業振興計画を、去年1年実行してきたこの土台を生かして、今年1年は、挑戦をしていくということになるわけですが、この産業振興計画そのものについても、今年、さらにバージョンアップをしていきたいというふうに考えているところです。
去年4月から実行していく過程で、先ほど申し上げたような一定の成果、もしくは成果の兆しとなるようなものも見え始めてはきましたけれども、他方で、その実行の過程において、いろいろなご批判や、さらにはご提言もいただいてきたところであります。これは、実行段階においてもたらされたこのようなご批判やご提言というものは、「知恵の宝庫」だというふうに私は思っております。これら、いただいたご意見をしっかりと踏まえて、産業振興計画の改訂をする。これが今年の1月・2月・3月の3カ月間をかけての大仕事になると考えているところです。
この産業振興計画をどのように改訂していくかについては、主に5つの視点に基づいて、改訂をしていきたいと考えています。第1でございますけれども、地産外商について。今年、さまざまなチャンスを得ることができることが予定されております。しかしながら、その機会を十分に生かし切っていくためには、さらにどういうところについて、取り組みをもっと精緻[たいへん綿密なこと]にしていかなければならないか。どういう取り組みを追加しなければならないか。ここをよく、よく考えていきたい。これが第1点目であります。
そして第2点目でございますけれども、人材育成とか、人材確保とか、こういうものに、もう少し力を入れていくことによって、産業振興計画によって芽出しした取り組みが、先々においても、ついていくようなものにしていかなければならないと考えているところです。
そしてもう一つ(第3点目)、ものづくりの地産地消という取り組み。これは、産業振興計画に載せて、4月以降、取り組みを進めてまいりましたが、残念ながら、現段階では、うまくワークしているとは言えないというふうに思っております。ものづくりの地産地消を進めるために、さらにどういうことが必要なのか。新しい政策を練り上げていきたいと考えております。
そして4番目でございますけれども、地域の取り組み。例えば、今、地域アクションプランが、全体のうち40件を超える地域アクションプランが、具体的に動き始めているという状況になっているわけでございますが、さらに、もっと新しい地域の動きというものを、産業振興計画とともに実行していくこととすることはできないか。ここについて、もう一段の工夫をする必要があるんじゃないかなと考えているところです。
地域、地域のそれぞれの段階、新しい動きのそれぞれの段階、アイデアが出たという段階、さらには、少し取り組みを始めてみようかなというような段階。地域アクションプランにまでは至らないにしても、地域から出てくる新しい取り組みを、しっかりとバックアップできるような産業振興計画にすることはできないか。この点についても、もう一段の議論を深めていきたいと考えておるところです。
そして、最後になりますけれども、ポスト「龍馬伝」に向けた取り組みを、今年の早々から始めていかなければならないと考えております。今年1年は、大河ドラマ「龍馬伝」の追い風が吹くであろうと思われます。しかし、来年からは、その「龍馬伝」の追い風は、なくなるわけでございます。今年1年、しっかりとチャンスをつかみ取ることによって、来年以降、その追い風がなくなっても、この勢いをあまり減ずることなく、県経済の活性化に向けて、歩みを進めていけるように、取り組みを進めていかなければならないのではないかと考えているところです。
今の産業振興計画は、基本的に「土佐・龍馬であい博」に向けた取り組みを、さまざま規定しているところがあります。今度、改訂をするにあたりましては、ポスト「龍馬伝」をにらんだ取り組みを、しっかりと取り入れていきたいと考えているところです。
こういう形で産業振興計画の改訂を行っていきますと、今年1年の追い風をしっかりと生かしながら県経済の活性化に向けて、今年を、さらに上のステップを目指す「挑戦の年」として位置づけていきたいと考えております。
なお、ポスト「龍馬伝」ということに関係しまして、高知県、高知市の中心市街地の活性化についても、一言触れさせていただきたいと思います。高知市の中心市街地の問題につきましては、西武跡地の問題で、先日も、多くの方々からのご署名をいただきました。本当に、高知県、高知市、市民、それぞれ多くの皆様方が、たいへん高い関心を持っておられるということを、改めて感じた次第でございます。
この西武跡地の問題については、高知県としましても、高知市とともに、何とかすることはできないかということで、前の所有者の方とも、いろいろな形で話をさせていただきました。例えば、直接購入することはできないかとか、土地の交換をすることができないかとか、いろいろなオプションを探って話をしてきたところではございます。しかし、残念ながら、行政が土地を取得するということとなりますと、鑑定評価額以内でなければなりません。鑑定評価額以上の価格で行政が買い取るということとなりますと、これは違法ということとなります。そこのところの大きな法律の問題があり、一定の限界があったことも確かでございます。
この西武跡地の問題につきましては、県民の皆様の多くのお気持ちを受け止めて、これから、新しい所有者の皆様方に対して、この気持ちを受け止めていただきたいということを、しっかりと伝えていく。そういう取り組みをしていかなければならないと考えているところです。他方、法律的にできないことをやってしまうということでは、これはまた、県民の皆様方の信頼を裏切ることとなってしまいます。法的にできることとできないこと、ここは、きちっと線引きをしながら、その上で、県民の皆様の思いというものを、新しい所有者の方に伝えていく。そういうことを行っていかなければならないと思っています。
そして、中心市街地の活性化ということについて申し上げますれば、これは、もう一つございます。
西武跡地の問題がどうなるにせよ、大切なことは、山内藩政時代からの高知市の中心の中の中心であった、はりまや橋周辺から高知城まで、この東西のライン、こちらをしっかりと活性化させていくということが、極めて重要でございます。この取り組みについては、昨年末より、高知市長さんと私でお話をして以来、県市合同チームをつくって、この東西の軸の活性化に向けたさまざまなアイデアを、今、練ってきているところでございます。
高知県の全国に誇るべきこの三つの要素、一つは歴史であり、そして食であり、文化であります。この歴史・食・文化、この三つをテーマとした形で、この東西軸の活性化をしっかりと図っていく。これを着実に進めていきたい。スピード感を持って進めていきたいと考えているところです。県民市民の皆様方が集うことのできる東西軸。そしてまた、さらにポスト「龍馬伝」ということをにらんで、多くの観光客の皆さんが訪れてくださるような東西軸というものを、しっかりとつくり上げていきたい。これは、高知県全体の経済の活性化、観光の振興にもつながっていくものだと考えているところです。
まず、県市の合同チームで青写真を描いた上で、多くの民間の方々にもご参画をいただいて、その結果を県民の皆様にお示ししていきたい。そして、多くの県民の皆様からご意見を賜りたい。そのように思っております。そして、できるものについては、平成22年度の当初予算の段階から取り組みを進めていく。そういう形で実行をしていきたいと考えているところです。高知県、高知市の中心の中心である東西軸の活性化。これは、何としても成し遂げていかなければなりません。そのための歩みを、今年、特に前半から、この動きを具体化していく。そういう取り組みを進めていきたいと考えております。
続きまして、教育の振興について、お話をさせていただきたいと考えております。この教育の問題についてでございますが、全国学力テストの結果、全国体力テストの結果、それぞれ、今まで行われてきたテストの結果というものは、非常に残念なものでございました。しかしながら、学ぶ力を育み心に寄りそう緊急プラン(改訂版)を作って対策を進めていき、また、教育振興基本計画を策定しまして、少しずつ、教育振興に向けた本格的な取り組みを進めてきたところであります。
具体的に、授業が変わる、放課後が変わるという取り組みを進めていかなければなりません。結果としまして、例えば、全国学力テストでございますが、全国平均からの開きにつきましても、毎年、毎年少しずつ縮まってくることとなりました。また、「勉強を全くしない」と答えた子どもの割合が大幅に減少するなど、少し明るい兆しも見え始めてきております。そして何よりも、今年度行われました全国体力テストでは、昨年度は、ほぼ全国最下位並であったものが、今年度は40位から38位ぐらいの段階まで改善をすることができました。改善率は全国第1位という、嬉しい結果でもあったわけでございます。
教育の振興について、私は、まだまだ道のりは遠いとは思いますけれども、しかしながら、これらの一連の結果を見れば、やればできると思っているところです。その手掛かりがつかめてきつつあるのではないかと思えてきているところであります。引き続き、多くの関係者の皆様のご努力を、県知事としましても、しっかりとバックアップをしていくような取り組みを進めていかなければならないと考えているところであります。
具体策として、今、教育委員会でも、いろいろご検討が進んでおるというふうに承知しております。予算の関係で、私は、今関わらせていただく段階で、こういうような形での取り組みが進んでいくんではないかと考えております。一つは、算数・数学対策については、この年明けより、前年の(平成21年9月)補正予算で講じた処置が、具体的に動き出すこととなります。より質と量の充実した宿題などが出ることとなり、学力の底上げを図っていく取り組みが始まるはずであります。
また、国語対策につきましては、平成22年度当初予算から、より本格的な対策が取られることとなるのではないかと、この予算協議において、今後、そのことについて話を深めていきたいと思います。また、放課後の学び場づくりにつきましても、さらに進んだ対応をしていく取り組みが進んでいくと考えておるところです。予算編成過程を通じて、教育委員会とも、しっかりと話をさせていただきたいと考えています。
そして3番目に、日本一の健康長寿県づくりについて、お話をしたいと思っています。この日本一の健康長寿県について、平成22年度当初予算編成過程において、トータルの全体的な絵姿というものをお示ししていきたいと考えておるところであります。この日本一の健康長寿県づくりに向けては、それを行うために不可欠な三つの柱について、概ね見通しが立ってきたところではないかと考えています。
第1(一つ目の柱)が、高知医療センターの問題でございました。県民の命を守るため、最高度の医療を提供している高知医療センター。この経営問題について、昨年、SPCとの協議が相整いまして、直営化に向けた具体的な取り組み、経営改善に向けた、そして医療の充実に向けた具体的な取り組みが行えれることとなったわけであります。
そして二つ目の柱、医師確保の問題。これにつきましても、医療再生機構を立ち上げるということを、昨年の補正予算においてお認めをいただきました。医師確保に向けても、より実効性のある具体策を講じていくことができる道筋がついたのではないかと考えております。
そして(三つ目の柱)、やはり、健康長寿というものは、県民の皆様同士で、お互い支え合っていくものであるという側面もあろうかと考えております。そのために必要な「高知型福祉」。こちらについても「あったかふれあいセンター」の取り組みは、既に27箇所において動きを始めておるところでござまして、今後さらに10箇所弱ぐらいが追加をされていく予定だというふうに承知しておるところですけれども、この「高知型福祉」の取り組みについても、具体的に動きが始まったところでございます。
これら三つの要素、最高度の医療、医師確保、そして地域の住民の皆様方同士での支え合いの仕組み、この三つの柱について、一定、方向性が見えてきた。具体化の動きが始まってきた。そういう段階でございます。いよいよ日本一の健康長寿県づくりに向けて、トータルの絵姿というものを描いていける時期が来たのではないかと考えております。平成22年度当初予算編成に向けて、その動きの具体化を図っていきたいと考えているところであります。
引き続き、インフラ整備も、着実に進めていかなければなりません。人の命を守るべき社会資本整備が極端に遅れておるという本県の実情を、引き続き、中央政府にも伝えていく。そして、県単独でやれることについては、着実に進めていく姿勢で臨んでいきたいと考えています。
併せて南海地震対策につきましても、高知県南海地震応急対策活動計画「応急プラン」を昨年策定しました。この策定した「応急プラン」が、現実にしっかり回るものとなるかどうか、着実に質を高めていく取り組みを、不断の取り組みを進めていかなければなりません。
「応急プラン」に基づいて、いろいろな机上演習、机上訓練を行っていくという取り組みを進めていくことによって、PDCAサイクルも、しっかりと働かせていきながら、この南海地震対策、ソフト面、ハード面ともに、対応を練っていきたいと考えておるところです。
最後になりますが、私が就任をさせていただいて2年が経ちまして、今年から3年目に入るということになるわけでございます。就任1年目、「対話と実行」座談会ということで、34市町村、すべての市町村を回らせていただいて、いろいろとお知恵を賜ってまいりました。高知県活性化のために何をすべきなのかという点について、この「対話と実行」座談会を通じて、多くのお知恵をいただいたと思っておるところです。
そして、昨年(2年目)は、テーマを絞った形で行わせていただいたり、また、多くの学生さんとの間で「対話と実行」座談会を実行させていただいたりして、若い皆さんの柔らかいお知恵というのもいただいた。そのように思っておるところです。今後とも、さまざまな政策を実行していく過程において、多くの県民の皆様のご意見を承る。私自身、承っていくという姿勢を忘れることなく、県政を運営させていただきたいと考えております。
「対話と実行」という姿勢を、この新しい3年目におきましても堅持をしながら、多くの県民の皆様と対話し、そこでいただいたお知恵というものを実行していく。そういう姿勢を堅持しながら、この挑戦の年、一生懸命、仕事をしてまいりたいと考えているところでございます。引き続き、県民の皆様方のご指導ご鞭撻を、心よりお願い申し上げまして、私からの年頭の所感とさせていただきます。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いを申し上げます。
<以下、質疑>
(半田:高知新聞記者)
日本一の健康長寿県づくり、それのトータルの姿を描ける時期(に来ているの)ではないかとおっしゃられたんですけれども、何か、新しい総合的な計画みたいなものを作られるとか、そういう意味合いではないですか。
(知事)
実際、社会福祉、医療の関係というのは、それぞれ、個々個別のいろいろな計画が、既に策定をされて、実施されているところです。この中で、新しく作っていきたいなと思っているものもあります。例えば、地域福祉の計画について、新しく策定をしていくということもありますでしょう。それから、何より、先ほど申し上げた医療センターをどうしていくのかとか、医療再生機構を具体的にどう回していくのか。これらは、新しい要素というふうになってくるかと思います。これらのそれぞれの計画、新しく作っていくものもありますし、さらに、その既存の計画についても、計画というか、その施策そのものを、もっと見直していきたいと思うものもあったりするところです。これら全体を含めて、県民の皆様に、健康長寿県づくりに向けて、具体的にどういうところに対して、どういうことをやろうとしているのかというのを、分かりやすい形でお示しするということを考えていきたいと思います。
(半田:高知新聞記者)
何か、新しいものをという訳ではないですか。
(知事)
新しいものも入れながら、組み合わせていきながら、全て、一から新しいということではないと思います。既に、行っているものもありますが、かなりの部分で、新しいものも出てくるんだろうと思っています。これらを組み合わせて、全体の政策パッケージをつくるというのが一つ。
もう一つは、私は、日本一の健康長寿県づくりというのは、ある意味、県民の皆様お一人、お一人の意識を、よりそちらに向けていただくということも、非常に重要だと思っているわけなんですけれども、そのためにも、その健康長寿に向けて、どういうことをやろうとしているのかを、分かりやすくお示しできるってことが、非常に重要だと思っているところです。その点についても、取り組みをしていきたいということです。
(伊藤:日本経済新聞記者)
鳩山政権が、新しい経済成長戦略というのをつくる話ですけども、(鳩山政権に対して)どういう経済戦略を期待していますか。
(知事)
やはり、これからの経済成長戦略について申し上げれば、二つあります。一つは、現下の非常に厳しい経済情勢に対して、今、何をするのかという、スピード感のある姿勢というのを、まず第一に求めていきたいなというふうに考えているところですが、同時に、もう一つは、人口減少と高齢化によって、今のままでは内需がなかなか伸びないという中で、国内においては、どのような形で、新しい産業を創出していくのか。そしてまた、外需に対しては、どういう働きかけをしていくのか。そこのところを、説得力のある視点というのを、ぜひ示していただきたいなというふうに思っているところです。
そういう中で、私ども高知県として、ぜひ申し上げたいとすれば、一次産業。これは、長期的な視点と先ほど申し上げましたけれども、今後、自給率をしっかり確保していくという観点などから申し上げれば、外国は非常に所得が上がってきていますからね、食料の輸入がどれだけ自由にできるのか。そういう中で、自給率をしっかり向上させていく取り組みを、着実に進めていかなければなりません。
一次産業を基軸としながら、関連産業を育てていくという。高知県も、今、それを進めようとしているわけですけれども、これは、日本全国にも通用するものではないかなと思っているものですから、こういう視点をしっかり応援していただくような経済成長戦略であってほしいなと思っていますけどね。
今、まだ骨格の段階ですけれど、産業振興計画にしても、やはり一番苦労したのは、それぞれについて、具体的に誰が何をやるのか。5W1Hをはっきりさせていくことだと思うわけです。ぜひともこの経済成長戦略に基づいて、具体的に、誰が、いつまでに、何をやっていくのか。そういうことの具体的な絵姿というのを、どんどん、どんどん固めていっていただきたいなというふうに思っているところです。
(斎藤:共同通信記者)
年頭所感とは別なんですが、補助ダム(事業)の件でお聞きしてもよろしいですか。和食ダムと春遠ダムが検証すべき事業となったんですが、その点についてお考えを。
(知事)
我々も、いろんなオプションを、いろいろ検討した上で、ダムという形がよいのではないかという結論に至ったものです。今までも、治水=[イコール]ダムみたいなやり方で、安直に取り組みを進めてきているわけじゃありません。具体的に、他のやり方だったらどうかという、いろいろ、大体のオプションもしっかり検討した上で、今のやり方がいいだろうという結論を出しているものだと考えているところです。我々は、県内においても、改めて、その必要性について再検証した上で、国の方で再検証していくというプロセスの中で、我々の主張というのを、しっかり行っていきたいなと思っているところです。
(亀岡:朝日新聞記者)
この年頭所感と別になるんですが、衆議院議員選挙の1票の格差の訴訟の判決が、(平成21年12月28日に)大阪高裁で出まして、違憲ということになりました。具体的には、大阪9区と高知3区との兼ね合いで、2倍ちょっとぐらいの差だったわけですが、そこ自体が、従来は、確か3倍程度だったら違憲だというのが、衆議院の判例だったと思うんですけれども、それがかなり厳しめと取れるような判決になったんですけれども、これに関して、知事として、どういうふうにお認めになられるかというのをお尋ねしたいんですが。
(知事)
私もまだニュースに接したばかりということもありますし、また、何より、この問題については、国の方でどう判断をされるのかということが、まず最初かなというふうに思ってるところですから、現段階で、コメントするのは差し控えさせていただきたいと思います。
(岡村:高知新聞記者)
年頭所感とちょっと外れますけど、知事は、随分、国債の発行について危惧をされてるようなんですけども、今回も44兆円という額になってしまいましたけど、実績でいくと、国と地方を合わせたら、もう900兆円近くになる。将来を見通した時に、財政規模が大きくなってきたら、当然、また、国債をということになってきますけども、行政は継続ですので、来年、再来年とあるわけなんですけども、何か、ご自分の中で、国債対策は国なんですけども、何か妙案みたいなものは。
(知事)
そうですね、私が財務省にいて、財政再建の関係の担当をしていたことがありますけど、その当時が30兆円のラインをどうするかということが、もう最大の目標だったんですけども、それが今、一挙に44兆円になってるという状況です。そんな10年も、20年も前と比較して言ってるわけじゃなくて、ほんの数年の間に、ここまで拡大をしてきたというわけでして、私は、正直、マーケット、なかんずく日本のみならず、世界のマーケットに対して、しっかりと信頼感を引き続き持ってもらうためにも、一瞬の水準がどうのというよりも、今後、その財政について、国債発行額が一定規模であって、かつ、次から、次へと悪化していくことはないんだという姿というのを、信頼感を持って示していくということが、ぜひとも重要だと思うわけです。
今年は、確かに予算が組めました。いわゆる埋蔵金といわれるものを使って作られたわけですけど、これは約10兆円の規模ですよね。来年は、これ使えないわけです。その中で、じゃあ、(来年の)予算編成はどうなるんだということについて、この不安感というのが、国民及び、国内マーケット及び世界の中で、大いにあるんだと思うんですよね。これは、やっぱり、しっかり払拭しないといけないと思うんです。
財政運営戦略というものについて、今後、議論が行われていくということになるんだと思いますが、やはり、ここで歳出面、歳入面ともに、よりしっかり踏み込んだ議論というのを、ぜひとも、ある意味時間かかってもいいので、みんなが、出てきた答えに納得感が持てるような議論というのを、ぜひともしていただきたいと思っているところです。
歳入面について言えば、先ほどご質問のあった経済成長戦略、これによって、税収がしっかり確保できていくような見通しになるだろうなと思えるもの。やっぱり、新しい需要を創造していくというようなことが具体的に出てこないと、ちょっと、あれですよね。そういうものを、しっかりつくり上げていくこと。それが一つと、もう一つは、やはり受益と負担のあり方について。今すぐやったら大変ですよ。
しかし、一定程度、経済が再生してきた時には、やはり受益と負担の関係について、例えば、負担をもう少し引き上げざるを得ないのではないかとかいう議論を、しっかり真剣に、逃げないでやっていかないといけないんじゃないかと思うわけです。
私は、いつも、税の話について申し上げてますけれども、経済の悪い時にいきなりやったら、それはいけません。タイミングをしっかり計ることが必要です。ただ、やはり、高齢化が進んでいく中で、このままでは、若い人がもたなくなってしまうんじゃないかなどという視点も入れながら、受益と負担のあり方、新しい日本のあり様に対応した新しい受益と負担のあり方について、真剣に議論をしていく。むしろ、そのことで、若い人も安心をする。高齢者の皆様方も、後々のことについて安心をする。外国からも信頼が得られる。経済の安定をもたらす。結果として、国民生活を豊かにするということになっていくんじゃないかなと思っているところです。
歳出の面については、確かに、今回、マニフェストということで、それに関連したいろんな予算がつくられてきたわけですが、ぜひとも、今後、歳出の見直しをする時には、例えば、マニフェストに基づいて、子ども手当をはじめとして、ああいう予算に重きを置かれる一方で、大幅に予算が削られていったりしているものもあるわけです。これはある意味、資源配分の大きな変更なわけですけれども、ここについて、もう一段、例えば、無駄はないかという視点もあるかもしれません。もう一つ、どちらの方が大きな効果をもたらすのかということについて、歳出についてのいろんな検証というのも、加えていっていただきたいなというふうに思います。
財政運営戦略会議、前の政権の時は「改革と展望」というのを1月ぐらいに出していましたけれど、今度は、私は、正直なところ、1カ月ぐらいで、すぐにそういう姿が見えるのかなと思ってるんですよ。やはり、時間がかかってもいいから、財政運営戦略ということについて、しっかりと骨太な議論をして、国民の間に安心感を、世界に対しても安心感をもたらすような、そういうものをつくってもらいたいなというふうに思いますけどね。
(岡村:高知新聞記者)
年頭にあたっての国への所感ということでよろしいですか。
(知事)
構いません。
(中村:広報広聴課課長補佐(広報担当))
以上をもちまして、記者会見を終了します。どうもありがとうございました。
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