公開日 2010年04月02日
更新日 2014年03月31日
知事の定例記者会見
平成22年3月26日(金曜日) 14時00分から15時00分 第一応接室
産業振興計画の進捗状況
ワシントン条約国会議の結果
子ども手当などの対応
高速道路の料金システム
副知事2人制
県の財政収支見通し
高知医療センターのPFI事業
産業振興計画の1年間の採点
国と地方の関係
韓国出張
上海列車事故
(知事) 皆さんこんにちは。3月23日に産業振興計画フォローアップ委員会を開催しまして、産業振興計画の改定について、正式にお認めをいただきました。4月1日からは、産業振興計画は、バージョン2として、進化した形でさらに実行していくこととなります。従前より申し上げていますように、今回の改定の大きな柱としましては、ポスト「龍馬伝」対策を速やかに始めていくというのが第1点目であります。
そして、第2点目としまして人材育成。これに力を入れるという点が非常に大きいと考えています。人材育成そのものに働きかけていくような研修事業などを充実させるとともに、地域アクションプランに至る前の、非常に初期的なアイデアのものにつきましても、ステップアップ事業として支援していくような仕組みを講ずることによって、地域のいろいろなやる気を、ぜひとも一緒に歩みを進めていこうという形に持っていきたいと考えております。また、もう一つは、ものづくりの地産地消の推進。そして地産外商戦略の加速化などについても取り組みを進めたいと思っております。
お手元に3種類の資料をお配りしております。こちら[本気で実行!産業振興計画 [PDFファイル/7.41MB]]が、いつもお配りしています産業振興計画の進捗状況についてまとめたものでありますが、より分かりやすい形でまとめたものとして、二つのパワーポイントの資料をお配りしています。こちら[産業振興計画始動!実行元年の活動実績 [PDFファイル/2.43MB]]が、成長戦略についての実行元年の取組実績、そしてこちら[地域アクションプランの成果と今後の展開 [PDFファイル/8.95MB]]が地域アクションプランについての実行元年における取組実績ということになりますので、ご参照いただきたいと思います。
実行元年において、一定成果の兆しが見え始めたのではないのかなと思っておりますが、それをより確実な形に仕上げていかなければなりません。「龍馬伝」の追い風が吹いている、この今の時機、気を抜くことなく挑戦の姿勢でもって、今後も歩みを進めていきたいと考えております。
(畑本:読売新聞記者)
今月の幹事社の読売新聞です。よろしくお願いします。
まず、第1なんですが、今朝の新聞などでも報道がありましたが、ドーハで開かれていましたワシントン条約の締約国会議でクロマグロと宝石サンゴの取引禁止は、いずれも否決されましたが、いずれも、今後、国際社会の中で課題となり続けていくことが考えられます。知事は今回の否決をどのようにお感じになったかという、率直なご感想と合わせて、いずれも多くの生産者がかかわっている高知県として、今後どのようにこの問題に取り組んでいくお考えか、お聞かせください。
(知事)
いずれも否決をされたということでございまして、正直なところ、非常に良かったなというふうに思っております。サンゴの方につきましては、関係の事業所の皆さまが、現地にも行かれて盛んに積極的な交渉を行われました。本当に多くの関係者の皆さま方のご尽力が実を結んだということでございまして、私としても敬意を表したいと思いますし、また、感謝申し上げているという状況であります。
クロマグロの方につきましては、事前の情報ですと、かなり厳しい状況ではないかということでございましたけれども、政府をはじめ、必死のロビー活動が実を結んだということではないかなと思っています。こちらについても良かったなというのが私の感じでございます。
今後の取り組みについてということになりますが、まずサンゴについて言わせていただければ、3点あると思っています。
一つは、今後も、例えば、3年か、4年後ということになると思うんですけど、このワシントン条約締約国会議というのは、何年かに1回開かれますので、そこにおいて、また議題になるかもしれません。その時に備えて、科学的知見、データというものをしっかりと積み上げていくということを、今後も継続していかないといけないんじゃないかなと思っております。これが第1ということです。
そして第2でありますけれども、現在も行っていることでありますけれども、資源が持続可能なように漁業を展開しておられるわけですね。サンゴの採取を行っておられるわけですが、今後も、しっかり守っていくということが大切かなと。これが第2です。
そして第3でありますけれども、サンゴ産業の素晴らしさ、価値というものをもっと多くの方々に知っていただきたいと思っています。サンゴ産業は、高知県にとっても誇るべき産業だと思っていますし、県外のみならず、国外に向けても地産外商を進めていく上において、非常に大きな産業ではないかと思っています。これをしっかりと振興していくことによって、その正当な価値というものを多くの方々に分かっていただくようにしていくということも、大事なことかなと思っています。
クロマグロの方について言わせていただきますと、引き続き、大切に管理して、有効に利用していくということ。最大の消費国である我が国として、これは非常に大切な責務であろうというふうに思っています。
今回、ICCAT(アイキャット:International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas)、大西洋マグロ類保存国際委員会というのがあります。このワシントン条約締約国会議とは別の枠で、こちらの方で大西洋におけるマグロの漁獲について、平成22年8月から40パーセント捕獲量の削減を実施するとしておるわけです。こういう形でしっかりと漁獲資源の管理をしていくということが、我が国としても必要かと思います。他方、こういう対応が取られることによって、大西洋から他の漁場にマグロの採取については移っていかないといけなくなってくる。
それが果たして本県の漁業者たちに対してどのような影響を及ぼすのか、ここはちょっと注意をして見ていかないといけないかな。必要に応じて、国に対して対策を訴えるとかいうことも必要になってくるかもしれないなというふうに思っているところです。
訂正です。ワシントン条約締約国会議の次回開催は2013年にタイで行われるそうです。
子ども手当などの対応
(畑本:読売新聞記者)
2点目ですが、24日に予算も通りまして、今度、政府の子ども手当と高校の実質無償化についてスタートさせることになります。市町村も含めて事務手続きに追われることが考えられまして、高知県としての現在の準備状況を把握されている限りで結構なんですが、いかがでしょうかということと、さらにこの問題については、基本的には市町村が中心になって事務を行うことになっていると思うんですが、それを受けて北九州市長(のコールセンターを設ける考えの表明)とか、また最近では京都市などでも窓口を設けようかという動きがあります。県としては、こういうサポート体制というか、(対応を)どのように行うか、独自策などありましたら教えてください。
(知事)
市町村においては今、基本的に、まずシステム改修ですね。児童手当から子ども手当に向けてのシステム改修に全力を挙げておられるところでありますし、また、新たに今回、所得制限の超過により、現在、児童手当の受給対象になっていない小学生、そして新たに(子ども手当の)対象となります中学生ですね。この新たな対象となる方々は、約2万5,000人ぐらいいらっしゃるんじゃないかということですが、この方々についての把握をしていくための作業というのに全力を挙げておられるというふうに承知しております。
あともう一つは、伺いましたところ、市町村では住民の方へ、4月から広報紙とか、ホームページを活用して広報を始められると。また新たな支給対象者に対しては、6月支給に間に合うよう、各市町村から申請書とお知らせを送付する予定であるというふうに承知をしているところです。全力で今、準備作業にあたっておられるということかなと思っています。
県としての対応ですけれども、基本的に県は、市町村のいろいろ取り扱われる事務をバックアップするのが役割だというふうに思っています。国からいろいろな情報が得られましたら、速やかに市町村に対してお知らせをしていくこととともに、何より正確な広報ということが必要かと思います。高知県としましても、「さんSUN高知」などを活用しながら、このこども手当の制度についての周知徹底を図っていくことが非常に大きいかなと思います。
もう一つあります。子ども手当ですが、本年度分については、いわば暫定的な制度ということになっていますね。来年度より本格的な制度に向けて制度設計をしていくんだという政府の方針かと思いますけれども、それに向けて、いろいろ県としても言うべきことは言っていかないといけないんじゃないのかなと思っています。知事会において、今度、子ども手当のPT[プロジェクトチーム]が設置されることとなりました。三重県の知事さんがPT長ですけど、私も知事会長から、この子ども手当のPTに参加するようにと言われております。そちらの方にも参加させていただいて、積極的に子ども手当の制度設計に携わっていきたいというふうに思います。
(畑本:読売新聞記者)
今おっしゃった「本県としても言うべきことは言うべきだろう」と。現状として言うべきかな、ということって、何かあるんでしょうか。
(知事)
児童手当から子ども手当に移行する時の地方負担の問題がありましたね。地方負担のあり方についてどうなのかという問題が一つあると思っています。
それともう一つは、先の県議会においても、盛んに言わせていただきましたけれども、この子ども手当をフルラインナップで支給した時の巨額の必要財源のことを考えました時に、果たして、子ども手当というのは、どこまでを支給対象とすべきなのか。私は、これをもう一度、真剣に議論すべきではないのかなというふうに考えています。子どもを社会全体で育むといった時の手段として、子ども手当というものに、あまりにも集中しすぎるということは、果たしてどうなのか。
全体としてのバランスというものを考えていくことも必要ではないか。お金とは別の点において、子育てにおいて悩んでおられる方々もたくさんいらっしゃるんではないか。そういう方々に対する対策をどうしていくのか。そういうことを、より幅広い観点から議論すべきではないかということを、私は強く主張したいと思っています。
高速道路の料金システム
(畑本:読売新聞記者)
3問目に移りまして、四国8の字ネットにかかわって、高知県では、今年、龍馬ブームで観光客の増加があります。この関係で、各地で休日の渋滞も目立つことがありまして、知事も最近始められたTwitter(ツイッター。140文字以内の「つぶやき」を投稿するサービス。)から、直接苦情が舞い込んだりしているようですが、一方、政府は、高速道路の料金制度については、当初6月に休日1,000円制度を廃止して、新たに2,000円でしたか、上限料金制を導入する予定だったんですが、関連団体や地方道路整備に配慮する形、例えばJRとかですね、そういう考えで制度導入は参院選以降に持ち越すという方針になったようです。知事は、高知−須崎間の高速道路の無料化が発表された際にも、他の交通機関への影響を十分に見極めるべきだというふうにお考えを述べられたんですが、今回、こういう高速道路の料金制度のシステムがどうなるのかというのは、やや不透明になっている状況について、現在のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
(知事)
本当に不透明になっているかが不透明といいますか、大臣の発言をおさらいさせていただきますけれども、前原大臣は、12日には、「6月から行うことについて問題ないと報告を受けている」という話。馬淵副大臣は、15日には、「鋭意検討を進めている。しかるべき時期に実施区分も含めて公表させていただく」と発言をされているということですから、ちょっといつまでの時期にどうなるかということが分からないのかなとは思っていますけれど。
いずれにしましも、無料化が高知−須崎間で実施をされますね、それからその後、上限制度というのも決定されてきますでしょうね。これは、一定時期をおいてでも、その方向で話が進んでいくんでしょう。その時にどういう影響があるか。観光とか、物流面において一定プラスの側面もあるでしょうけども、当然マイナスの側面も考えられるわけでありまして、そのマイナスの側面の中でも、特に注目をしていますのは、公共交通機関への影響。JRは大丈夫なのか。そういう問題は、非常に大きなことだというふうに思っています。新しく無料化などが行われました後で、果たしてどういう影響が出てくるかということは、きめ細かい形で把握していかないといけないと思っていますし、またJRに対しても、いろいろ教えていただかないといけないと思っていますし、そこで把握した状況を踏まえて、行うべき提言というのは、しっかり行っていかないといけないかなと。その際は、四国の4県で連携して対応していくということが必要じゃないかなと思っています。
副知事2人制
(半田:高知新聞記者)
この前の2月議会で答弁された副知事の2人制なんですけども、いつごろまでにというお考えは。
(知事)
まだ分かりません。
(半田:高知新聞記者)
大体の目途としてもないですか。
(知事)
まだ分かりません。
(半田:高知新聞記者)
考え方として、十河副知事がおられるわけで、真剣に検討というふうに答弁をされたんですけど、考えていく時には、どういうようなタイプの人材をと、役割分担とかですね。その辺も含めてなんですけど、今お考えになっていることはありますでしょうか。
(知事)
役割分担といってもいろんなパターンが考えられるんだろうなというふうに思っています。ただ、問題意識として思っていますのは、私にしても、十河副知事にしても、深夜まで残って仕事をすることも度々という状況でございまして、あまりじっくりと立ち止まってものを考えたりする時間がないということになりますと、どうしても仕事が粗くなってしまうんじゃないかと。さらには効率性の観点、いわば、知事室に入れなくて最終決裁が得られないから物事が進まないとか、そういうことを起こしてしまってはいけないんじゃないのかなという問題意識を持っているところです。
今後のことを考えました時に、間違いなく、今までよりも忙しくなるのは、ほぼ確実だと思っています。と言いますのは、二つの点において。一つは、産業振興計画にしても、教育振興基本計画にしても、日本一の健康長寿県構想についても、いずれも実行段階に入ってくるということで、去年スタートした時期に比べて、行っている仕事の量というのは飛躍的に拡大しているというのが第1です。
そしてもう一つは、知事会における活動、さらには外に対するセールス活動ですね。高知県の売り込みの活動にしましても、いろんな形で、私自身も対外的に、いわば出張して、外でいろいろ仕事をするということも増えてくるんじゃないのかなと思っているところです。もう一つは、実行段階になればなるほど、特に私の役目としては、地域の住民の皆さまの所へお伺いして、いろいろ話を聞かせていただく機会というのは、もっと増やさないといけないんじゃないのかなと思ったりしているところです。要するに、知事室を空けることが多くなってくるんじゃないかなということが予想されているわけでありまして、そのようなことを考えました時に、やはり特別職と言いますか、副知事以上の体制というのをもう一段強化していた方が、効率性及び効果的という両方の観点からして望ましいんじゃないのかなというふうに思っているところです。
ただ、それを達成するためにどういう役割分担でもって、どのような方をということについては、まだ、私もいろんなことを考えている最中ですから、今の段階では確定したことは申し上げられません。
(半田:高知新聞記者)
知事も、任期を折り返して、もう2年ないわけですよね。その中で、ある程度の時期にご決断されないと任期がなくなってしまうんじゃないかというような気もするんですが、年内とか、そのような目途はないですか。
(知事)
まだありません。
(半田:高知新聞記者)
あと1点、そのことに関しては、特に産業振興計画の方に力を入れられているわけで、十河副知事は総合的な方ですけど、そちらの方に特化としたようなというような考えもまだないですか。
(知事)
(亀岡:朝日新聞記者)
大きな話になるかもしれないですけども、県の財政状況の中で、行政改革なんかも、これまで3,400人としていくことの目途が立ったということで、次の5年間へ向けてはあと100人ぐらい減らすという形で、若干ペースが緩やかになるということもあるしですね。あと、今の副知事のお話も関連があるのかもしれないですけど、そういう財政状況との兼ね合いの中で、人の話なりこれから積極的に議論を展開していく上で、展開していきやすくなったというところまでの認識がおありになるんでしょうか。
(知事)
私は、人員にしても何にしても、削れば削るほどいいとは思っていません。行財政改革というのはあくまで手段であって、それ自体が自己目的化することは、おかしいのじゃないのかなと思っています。ある意味、削る一方だったら簡単なことでして、どんなに何を言われようが削ればいいんですから。それは簡単なことだと思うんです。
大切なことは、結果として県民の皆さまのためになるような、お役に立てるような仕事がしっかりできるかどうかと。それを無駄なくやっていけるかどうか。先々にわたって、そういう仕事をしていける体制を維持できるかどうか。この点が大事なんだろうと私は思っているところです。そういう点においては、従前より、いつも、アクセルとブレーキというのはよく踏み分けていかないといけないということを申し上げてきました。平成22年度予算についても、ご覧いただければお分かりいただけますように、一定、かなり拡張的な積極型の予算にはなっていますが、過去、これほど財政再建を進めた予算もないんだと思っています。例えば、170億円の赤字だったものが今年度は50億円の赤字ということで、3分の1以下の赤字に留まっているわけです。県債残高も大幅に減らした。基金残高も大幅に積み増しています。この基金の積み増しにしましても、例えば、この基金を積み増ししないで全部歳出として使ってしまうという判断もあるのかもしれません。
けれど、そういうことをしてしまえば、今はいいが、先々どうなってしまうんだということになり兼ねないですよね。だから、先々の財政の安定性というものを第一義的に確保した上で、かつその範囲内で、最大限積極的に仕事ができるような体制とするためにはどうすればいいかという観点で、今の予算規模を確定し、そしていろんな事業内容を組み、行革プランも含めて定員の有り様も決定していったということですね。
行革プランは、平成22年度予算から今後の5年間ぐらいを視野に入れた新行革プランになっていくわけですが、そちらにおきましても、今後について、一定財政の安定性、健全性を維持しながらも、他方でやるべき仕事はしっかりやっていくという観点から、3,300人という目標を定めたというところです。常にしっかり仕事をするということ。それと財政の健全性を維持するということと、この二つのバランスを、両方を勘案しながら物事を決めていきたいと思っています。
高知医療センターのPFI事業
(服部:毎日新聞記者)
来月から(高知県・高知市)病院企業団の直営になる高知医療センターの運営事業ですけど、総括的なことをちょっとお伺いしたいんですが、病院企業団は、先日の議会で、期待した効果は現れなかったと言われた。実際、PFI事業というのは官民協働ということを謳うものですけども、官民協働での業務実施体制の熟成には至らなかったというような検証結果をまとめていますけれども、病院企業団の構成のトップとして、知事はどのように総括をされているのか、聞かせていただければと思います。
(知事)
残念ながら目指した民間活力の導入による効率化、さらには、効果の大いなる発揮ということにはならなかったんだろうなというふうに思いますね。そこはちょっと残念なところでもあったというふうに思います。そもそも、病院のPFI自体が非常に新しい事業でありましたから、当初目指したものもありましたが、その後、環境の変化ということもあったりしまして、当初目指したものを結果として、発揮することはできなかったということなんだろうというふうに思います。
原因はいろいろあるでしょう。そもそも当初の仕組みについて、結果論として振り返って考えて考えれば、もっと別の仕方があったんじゃないかなということもあるかもしれません。ただ、もう一つは、やはり医療環境がものすごく激しく変化をしていくという中で、そういう長期にわたるPFI契約のあり方自体が本当に馴染むものだったのかという点なんかも、課題の一つとして挙げられるのかもしれないなというふうに思っているところです。
高知医療センターの例だけをもって、あまり一般化した言い方をしてはいけないと思いますけれども、医療センターの経験からは、そういう点が伺えるということではないのかなというふうに思っています。
今後、4月1日から直営化ということになってくるわけでございますけれども、その中において、経営の効率化に向けた経営改善策をできる限り急いで実行していかないといけないと思いますし、また合わせて、医療の充実を図っていかなければいけないなと思っています。特に医療センターについて言えば、今度、医療再生機構ができたわけですけど、医師確保を図っていくとか医療政策の面においても大いに力を発揮していただきたいと思っている病院であるわけです。県の最高度の医療を支えていただくという従前の役割を、ますます充実していただくとともに、そのような医師確保などをはじめとする医療政策への貢献、こちらも大いに期待していきたいと思っています。
産業振興計画の1年間の採点
(伊藤:日本経済新聞記者)
産業振興計画がスタートして1年になるんですけども、成果の出たものもあるし、なかなか思うようにいかないものもあると思いますけども、1年の成果を採点するとしたら何点の採点で、その理由はどのようなものかお聞かせください。
(知事)
採点すると何点か。難しい質問です。採点すれば70点ぐらいでしょうかね。およそほとんどの目標をクリアしているという点においては60点以上であるのかなと思っています。多くのものが当初想定した目標値はクリアしているので、そういう点においては60点以上なんだろうなというふうに思っていますが、ただ、他方で重大な課題について前に進んでいないと言いますか、今回、反省をして改定したという部分があります。やはり最大のものは人材育成の観点です。本当に、この実行元年中、実行すれば実行するほど、事業を実施するとともに人材育成にも資するような、そういう両方の組合せを当初から取っておくべきだったなというふうに反省をしているところがありまして、そこが、非常に大きなポイントとして20点ぐらい減点なのかなと思っています。
ただ、今回改定した段階で、この20点は取り返していますけれどもね。あとは、残念ながら、個々個別の中で進捗状況があまりよくなかったものもありますので、その分をちょっと大目に減点して20点、だけど地産外商が当初より大幅に進捗したことを加えて、プラス10点で、それで70点になりますね。そういう感じです。
国と地方の関係
(半田:高知新聞記者)
地域主権戦略会議になりますけど、作業グループは四つ、新しく一括交付金とか出先機関改革とか、市町村の権限移譲とか言っていますけど、国と地方の協議機関というのは、一定目途がついたという認識でよろしいんでしょうか。
(知事)
法案の提出が4月にされます。中身について言えば、私は十分満足できる内容になったなと思っていますけれどもね。あとはただ、実際にあれを使って具体的に議論を回していく。特に初期の段階が、非常に重要ではないかと思っています。この4月6日に全国知事会があって、私が丁度発表することになっていますから、法案化に至った経緯と今の法案についての説明をして、今後の対応について知事会で議論をする予定になっているんですけど、その場でも皆さんに問いかけをしたいと思っていますが、やはり、早め、早めに、この国と地方の協議の場というのを使って議論していくべきだというものについては、事前に準備をしていって、法律が施行されたら速やかに、これを回し始めるというふうにしていかないといけないんじゃないのかなと、そういうことが重要だと思います。そのための呼びかけも早めからしていきたいと思っています。
(半田:高知新聞記者)
そこを除いて、この前、西尾勝さん[(財)東京市政調査会理事長]も(高知県に)来られていましたけど、一括交付金なんていうのは、全く具体像が民主党にはないという話をされたり、出先機関の改革の話では知事会は原則全部というような主張があるんだけれども、法務局の仕事なんかもらってどうするんだとか、いろんな論があるんですけど、知事ご自身は、いわゆる四つの作業グループができた中で、これから夏を目途に大綱が出てくるわけですよね。どういう点を一番注視していらっしゃるのでしょう。
(知事)
私、やはり国と地方の関係でいくと、2月議会の提案説明の中でも、かなりはっきりお話をさせていただいたんですけど、国は圧倒的に情報が不足していると。地方の情報というのを生かしながら政策の企画、立案というのをしていくことが重要だと。地方も一つではないわけですから、多様性があるわけですから、最終的に地方の情報を生かして政策決定をした結果として、一定幅を持った形で政策を決定し、その中から、各地方が自由に地方の事情に合った形で選択できるという、政策立案の制度設計をしていくべきだということを申し上げた。「一国多制度的な」という表現をさせていただきました。私は、そういうことが確保できることこそが、最も重要であるという考えなんです。
だから、地方分権とか、地域主権とかっていう話をしている時に、私は、そういう国の政策の意思決定システムというのを作り上げること。新しい意思決定システムだと思いますけど、作り上げることに最も興味があります。逆にいうと、地方政府と中央政府との間の権限争いだとか、そんなことには興味ないですね。もっと言えば、出先機関がどうなるか、ああなるか、なんてことについて、本当にそれが課題なのかなという思いを持っています。
むしろ、そのような意思決定をしていくために、その機関のあり方として、ここが三重行政、二重行政になっているのは非効率極まりない、意味がないじゃないかということであれば、そこは廃止するとか、そういう考え方、議論の流れとしてやっていくべきではないのかなと、私は思っているんです。ですから、初めから一律廃止とか、そういう考え方というのは、ちょっと複雑なことを申し上げて恐縮ですけど、アプローチが違うという思いですね。国の政策の意思決定のあり方が、先ほど申し上げたような意思決定のあり方であるべきだと、私は思っています。
それを実現するために、例えば、出先機関については、このように改革すべきだというふうにものを考えていくという流れが、私は望ましいのではないかと思っています。
ということからいけば、一律にというようなことではなくて、それぞれの政策決定について、個々個別に判断していきながら機関のあり方というのも考えていくべきというふうに思いますけどね。
(半田:高知新聞記者)
やはり、(国と地方の)協議機関がどう機能するかということですか。
(知事)
協議機関というのも重要でしょうし、もっと言えば協議機関にかかる以前の問題として、そもそも土木行政はどうするんだとか、そういうことだってあるでしょう。そういう時に、今私が申し上げたような仕組みで意思決定ができるものとなっているかどうか。それに邪魔なものであれば廃止すればいいし、それに資するものであれば残しておいた方がいいと思いますね。そういう考えです。
そんなことを考えた時、例えば、登記事務とか、あれを全部地方に移管するって、どうなんですかね。そういうものを県に移すということが、県にとって何か関係があるんですかね。
(半田:高知新聞記者)
ないです。
(知事)
だから、いろんな知事会も政策的な議論をする場合と、特に選挙の前はそうなると思うんですけど、政治的な議論をする場合と、戦い方について論じる場合と、いろいろあると思うんですけど、時に政治的な手段としてちょっときつめのことを言うという場合もあり得るのかもしれませんが、ただ、より細部の制度設計をしていくにあたってのいろんな議論ということを考えました時には、全国一律に、全てを廃止とかいうことからいくことは、ちょっと乱暴じゃないかと、私は思っています。
あんまり乱暴なことを言っていると、むしろ県民の皆さんに迷惑かけることになるかもしれません。
(半田:高知新聞記者)
全国知事会は、原則廃止論じゃなかったですか。
(知事)
PTは。ただ原則というところの、どれが原則で、どれが例外かに大きな違いがあったりしますので、それかもしれません。
(畑本:読売新聞記者)
今おっしゃった、こういう仕組みでというところですね。もう1回繰り返して確認させていただくと、地方のことをよく知らない国があって、地方というのは多様性があると。地方の情報をそこに持っていって、それを、政策を作るのに生かすんだけれども、多様性があるから政策には当然幅が必要だと。その中から、結果出てきた政策は、いろんな幅があって、その中から地方が選んで制度を決めることができるということが望ましいということですね。国が出す政策に幅があってというのは、今までのメニューを選ぶことができるとか、そういうものとは違うのですか。
(知事)
施設設置基準についてAパターン、Bパターン、Cパターンというのがあって、それぞれの状況に応じて選ぶことはできますよということを決めておくとかいうこともあるんじゃないかと思います。大抵、今はこうなっている、23区の状況と中山間の地域というのは全然違うと、どうしようかと国は悩んでいて、しかし、霞ヶ関には、なぜか知らないけど、一つに決めなきゃいけないという何か思いこみがあるんです。私も霞ヶ関にいたからよく分かりますけど。こんなに多様なのに、何か一つに定めなければいけないという思いこみがあって、間を取ったようにパンと決めるわけです。
すると、こっちにも当てはまらない、こっちにも当てはまらない。みんなが困っていますねということになり兼ねない。そんなことはない、こういうふうに、こっちで当てはまる人もいれば、こっちで当てはまる人もいる、真ん中の人もいるというのが現実なんだから、それに沿ったような政策決定ができることが必要だと思います。
それをやろうとした時に、国の今の情報量では絶対無理です。国の出先機関の人数を見てください。把握できるだけの人数を持っているのか、それだけの機構を持っているのか。持ってないんです。だから、もっと言えば、高知県のことは、高知県庁が霞ヶ関より百倍知っています。もっと言えば、各市町村というのは、それぞれの市・町・村の状況について、もっと詳しく知っていますよね。そういう地方のそれぞれの持っている情報というのは、もっと生かすべきです。そういう生かすような政策決定システムというのを作り上げないと、いろんな政策を作っていくにしても、効果的な政策は打てないし、かつ社会福祉政策について、最近、何度も手戻りが出てきているような非効率というのを、今後もずっと抱え続けることになり兼ねないですね。私はこの際、いろんな意思決定システムというものを見直していくべき時期が来ていると思っています。
私は、国と地方の協議の場についての法案の中で、画期的だと思っているのは、第1条のところの、「政策の企画立案段階から国と地方で協議をし」という文言が入っていることだと思うんですよ。これは、政策の意思決定システム、その過程の中、特に初期の段階から地方の情報を生かしていろんな企画立案をやっていこうという精神を示しているわけであって、その政策決定システムに向けて第一歩が踏み出されたということじゃないかなと思っていますけどね。
韓国出張
(亀岡:朝日新聞記者)
明日、韓国に行かれるそうですけど、行かれるにあたって抱負だけ一言お願いします。
(知事)
本県に長年にわたってキャンプに来てくださっている韓国のSKワイバーンズ、私はファンクラブの代表でもありますので、その応援をするというのが第1ですが、何よりもその後、韓国の観光業界の皆さんに対してプレゼンテーションをする予定をしています。ポスト「龍馬伝」対策について具体的に動き出す第1歩だと思っているんですが、ポスト「龍馬伝」対策の大きな柱の一つが、外国人観光客誘致ということかと思っています。韓国に行って、旅行会社の皆さんに高知県をしっかりアピールしてきて、外国人誘客の第一歩にしたいと思っています。
あともう一つ、具体的には、イースター航空と包括協定を結ぶ予定となっています。定期便化に向けて、今後話し合いを進めていく中で、その第一歩となる協定だと思っていますので、この航空会社との協定を結び、それから旅行会社に対してプレゼンテーションをすると、その2点で、韓国人の皆さんに高知県にダイレクトに来ていただく、そういうきっかけを作ってきたいというふうに思っています。日帰りですけどね。
上海列車事故
(服部:毎日新聞記者)
(2月)議会で出た話です。なかなか難しいかと思いますけど、上海列車事故の遺族の方との話なんです。知事も答弁で機会あるごとにご遺族の気持ちを聞いて学校の方に伝えたいというふうにおっしゃっています。例えば、知事の方からご遺族の方にアプローチをして話をする機会を設けるとか、どんなふうになるのかなというところなんですが。
(知事)
ご遺族の方々にもいろんな考えを持っておられる方々がいらっしゃると認識をしております。ですから、私の方からということについては、なかなか難しいところもあるんじゃないかなと思っていますが、ただ他方で、ご遺族の方々から話を聞くようにというようなお話がありました時には、お受けしたいと思っています。
(中村課長補佐(広報担当))
それでは、以上で記者会見を終了します。
(知事)
皆さん、本年度も大変お世話になりました。ありがとうございました。今度、年度が変わって人事異動をされる方もいらっしゃるかと思いますが、本当にお世話になり、ありがとうございました。来年度もどうぞよろしくお願いします。
PDFの閲覧にはAdobe社の無償のソフトウェア「Adobe Acrobat Reader」が必要です。下記のAdobe Acrobat Readerダウンロードページから入手してください。
Adobe Acrobat Readerダウンロード