公開日 2010年09月30日
更新日 2014年03月19日
平成22年9月高知県議会定例会での知事提案説明 (9月24日)
1 補正予算の編成等について
新内閣の発足、補正予算、財政収支の試算
2 産業振興計画について
(1)産業振興計画の推進
(2)アンテナショップ「まるごと高知」
(3)土佐・龍馬であい博
(4)ポスト龍馬博の取り組み
(5)室戸ジオパーク
3 日本一の健康長寿県づくりについて
(1)日本一の健康長寿県構想推進会議
(2)高知大学医学部の医療技術研修支援施設
(3)ドクターヘリの導入
4 教育の充実、スポーツ環境の向上等について
(1)全国学力・学習状況調査の結果と対策
(2)高知球場のナイター設備の設置
(3)全国生涯学習フォーラム高知大会の開催
本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成22年9月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。
ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。
(新内閣の発足)
今月17日、新しい内閣が発足いたしました。
現在、我が国は、経済対策、新成長戦略の推進、来年度予算の編成など、多くの課題に直面しております。新内閣には、これらの諸課題への速やかな対応と併せて、継続審査となっております「国と地方の協議の場に関する法律」の早期成立に向けた取り組みを期待したいと思っております。
(補正予算)
今議会では、「ポスト龍馬博等の推進」、「積年の諸課題への対応」、「経済対策への取り組み」の3つの柱に基づき、総額45億円余りの補正予算を提案しております。
第一の柱である「ポスト龍馬博等の推進」では、ポスト龍馬博の取り組みをはじめとした産業振興計画の推進や「日本一の健康長寿県づくり」の取り組み、第二の柱である「積年の諸課題への対応」では、新県立図書館の整備や高知球場のナイター設備の設置などに取り組むこととしております。第三の柱である「経済対策への取り組み」につきましては、県独自の事業や国の予備費を活用した公共事業、あるいは、これまでの国の経済対策により積み立てた基金を活用した事業を実施することとしております。
なお、現在、国におきましては、新卒者の雇用や地域の防災対策などの分野における緊急的な対策に続き、景気動向を踏まえた補正予算の編成などが検討されているところであります。
県内の経済概況は、生産や観光を中心に持ち直してはいるものの、なお景気は厳しい水準にあるといった見方がなされておりますことから、今後とも、時機を逸することなく国の経済対策などにも積極的に対応し、県内の景気の下支えを行うとともに、立ち遅れているインフラの整備などを進めてまいりたいと考えております。
(財政収支の試算)
県の財政運営においては、常に中期的な収支の均衡を達成するよう財政規律の維持に努め、県民サービスの確保と県財政の健全化を共に実現することが重要であります。
このため、本年度も、昨年度の決算状況や国の動向などを踏まえ、今後の歳入の見込みを立てた上で、歳出では想定される事業を積み上げるなどして、平成28年度までの中期的な財政収支の試算を行いました。
その結果、新図書館や新資料館など、これまで積年の課題でありながら財政上取り組むことができなかった事業を実施しても、平成28年度までの間、財政調整的な基金が底をつくことなく、また、実質的な地方交付税である臨時財政対策債を除く県債残高の減少傾向を維持できる見通しとなりました。
他方、本県の財政は、地方交付税などの歳入に占める割合が高く、国の動向や税制の抜本改革の議論、地方分権改革などの動きに左右されます。引き続き、これらの動向を注視し、気を緩めることなく、安定的な財政運営に努めてまいります。
2 産業振興計画について
次に、産業振興計画についてご説明申し上げます。
産業振興計画がスタートしてからほぼ1年半が経過いたしました。この間、県民の皆様のご理解とご協力の下、計画の着実な実行に努めてまいりました。 その結果、地産外商戦略に関しては県外や海外での外商機会の拡大、産業と産業をつなぐ連携戦略に関しては農水産物の加工工場の新増設による生産能力の増強、生産地の足腰を強める担い手の確保に関しては新規就農者の大幅な増加など、徐々にではありますが、計画に位置付けた施策の効果が表れ始めております。
中でも、計画のリーディングプロジェクトに位置付けられる土佐・龍馬であい博は、龍馬伝の効果を最大限に享受できるように官民を挙げて取り組んでまいりました結果、当初の予想を大幅に上回る経済効果をもたらすなど、計画の前半期の取り組みを力強く牽引し、本県経済に大きく貢献しております。
また、地域アクションプランについても、民間事業者の方々からの積極的な提案や、プランの磨き上げを通じて、取り組みに広がりや深みが出てまいりますなど、地域の活性化の面でも期待が高まりつつあります。
さらに、先月21日には、計画の大きな柱である地産外商戦略の首都圏での拠点として、新アンテナショップ「まるごと高知」がオープンし、本県の魅力を余すことなく売り出し、外へ打って出る体制が整ったところです。
今後とも、さらなる飛躍を目指し、施策をより一層充実・加速させるもの、より良い方向へと軌道修正するもの、大胆に見直しを図るものなど、PDCAサイクルによる見直しをしっかりと行いながら、全力を挙げて取り組みを進めてまいりたいと考えております。
先ほど申し上げましたとおり、地産外商戦略を首都圏で推進する拠点となります新アンテナショップ「まるごと高知」が先月21日にオープンいたしました。
開店からほぼ1カ月が経過し、この間の来店者数は11万人を超え、売り上げは、物販部門で約3,700万円、飲食部門で約1,900万円となっております。
いよいよ今後は、真価が問われる時期に入ってくるものと考えており、息の長い取り組みとして、新規のお客様はもとより、リピーターを確実に獲得するよう本県ならではの魅力的な商品や食材を提供し続けますことはもちろん、お客様のご意見やご要望を真摯に受け止め、現場において日々、改善努力を続け、より良い店づくりに取り組んでいく必要があると考えております。
さらには、単にアンテナショップがにぎわう、アンテナショップで売れるということにとどまらず、県内事業者の実力の底上げにつながる機能を強化していかなければならないと考えております。
このため、「まるごと高知」では、商品のテストマーケティングを、今月1日から順次実施しております。消費者やバイヤーの評価を県内事業者にフィードバックすることによりまして、商品の磨き上げにつなげてまいりたいと考えております。
また、今月7日には、首都圏のホテルや料理店など19社の関係者の方々にご参加いただき日本酒の試飲会を開催いたしましたし、今後も「まるごと高知」において各種の商談会が予定されております。このように「まるごと高知」を拠点として、地産外商公社による外商活動も展開してまいります。 ぜひ県内の事業者、生産者の皆様方に積極的にご活用いただきたいと考えております。
次に、観光分野の取り組みについてご説明申し上げます。
土佐・龍馬であい博については、開幕から212日目にあたる先月15日には、JR高知駅前の「高知・龍馬ろまん社中」の入館者数が40万人を突破、先月22日には「土佐清水・ジョン万次郎くろしお社中」の入館者数が5万人を突破し、共に当初の目標を達成しております。また、今月10日には、会期を3分の1以上残して、4会場合計の入館者数が当初の目標の65万人を達成いたしました。
1月から8月までの県内の主要観光施設への入込客数は、299万人を超え、前年度と比べ東部、西部についてはそれぞれ20パーセント、県全体では70パーセント増加しております。
中でも、龍馬関連施設は大きく来館者数を伸ばしており、坂本龍馬記念館は3.1倍、龍馬の生まれたまち記念館は4倍、中岡慎太郎館は4.4倍と、特ににぎわいを見せています。
また、7月31日から先月末までの間、歴史民俗資料館で開催いたしました大河ドラマ特別展「龍馬伝」にも、3万5千人を超える皆様にご来場いただきました。
大河ドラマの放送の効果を生かし切って、県内各地の観光地に招き入れるという龍馬博の当初の意図が、まだまだ課題はありますものの、実を結びつつあると感じております。
この好調な流れを継続させるよう、龍馬博の後半戦においても、引き続き旅行会社へのセールスや県内外でのPR活動に努めるとともに、秋の行楽シーズンにお越しになる観光客の皆様に、県内各地を周遊していただくイベントを実施するなど、来年1月の閉幕まで気を緩めることなく取り組んでまいります。
日本銀行高知支店は、龍馬伝の放送を契機とした本県への経済波及効果を当初234億円と試算し、その後409億円に上方修正いたしました。この額は、本県の県内総生産の2パーセントに相当するものであり、改めまして観光産業の即効性とすそ野の広さを実感したところであります。
この龍馬ブーム及び龍馬博によって醸成された本県観光の盛り上がりを一過性のもので終わらせることなく、歴史、食、花、自然体験といった本県の強みを生かしながら、継続していかなければならないと考えております。
そのため、民間の有識者からなる「ポスト龍馬博推進委員会」において、大河ドラマの追い風がなくなった後も本県観光の盛り上がりを持続、発展させていく方法などについて検討していただいております。その中で、本県観光が引き続きマスコミに取り上げられ、旅行商品として取り扱われるためには、来年も高知は魅力的な取り組みを行うことをアピールすべきであり、新たな取り組みの名称は、高知が龍馬のふるさとであることや、数々の志を持った偉人を輩出したことを前面に打ち出しつつ、本県の強みである食や自然などを含めてイメージできる『志国高知「龍馬ふるさと博」』が適当ではないか、とのご提案をいただいたところであります。
そうしたご提案を踏まえ、具体的な内容を検討いたしました結果、龍馬博でその効果が実証されているJR高知駅前に新たな施設を整備するとともに、龍馬を育んだ土佐の風土を体感していただくイベントを県内各地で開催するといった、龍馬ふるさと博の計画案を取りまとめ、今議会に関連予算を提案しております。
駅前に整備する施設は、大河ドラマで使われた龍馬の生家のセットを再現することによって本県への誘客の核としての機能を果たすとともに、ドラマで人気を博した土佐の幕末の志士達を紹介し、県内各地に点在している関連する史跡や施設等へと誘う機能も持った施設にする予定であります。隣接する高知観光情報発信館「とさてらす」と相まって、駅前が本県観光の中心となる機能、すなわちハブ機能を担うことになるものと考えております。
また、ハブから伸びるスポークとして、龍馬博のサテライト会場である安芸、梼原、土佐清水の3カ所に加え、本県の強みである歴史や、食、花、自然体験といったテーマごとに、各地域の核となる施設に新たにサテライト機能を持たせ、テーマ別に整理したイベントを展開することによって、龍馬博以上に、県内全域に広がりを持たせたいと考えております。
実際に県内全域が観光客でにぎわい、観光で発展していくためには、東部、中央部、西部といった広域ブロックごとに一泊以上滞在できる観光地づくりが欠かせないと考えております。
観光客の皆様に各地域を訪れていただき、そして何度も足を運んでくださるリピーターとなっていただくためには、各地域の観光資源を観光客のニーズをとらえた魅力あるものとして磨き上げ、旅行商品として取り上げてもらう必要があります。このため、各地域の誘客の核となる観光資源について、観光客の皆様にいつでも一定の価格で一定の量の定質なサービスを提供できるものとなるよう、地域の取り組みを支援しますとともに、それらを巡るモデルコースを作成し、旅行エージェントに対して積極的に売り込みを図っていくこととしております。
他方、国際観光につきましても、SKワイバーンズのキャンプでつながりのある韓国や、龍馬伝の放送が予定されている台湾に対して、積極的にプロモーション活動を展開いたしますとともに、外国人観光客の受入態勢の整備にも取り組んでまいります。
大河ドラマという追い風がなくなる来年に向け、こうした積極的な予算を提案いたしますのは、大河ドラマ終了後は観光客が大きく減るのは仕方ないと考えるのではなく、今回得た経験を生かして、まだ大河ドラマの熱が残っているうちに積極的に手を打つことによって、本県観光の底上げを図ることが極めて重要であると考えているからであります。
今後も引き続き、観光を産業振興計画の大きな柱として位置付け、官民挙げた取り組みとして積極的に推進してまいります。
今月14日、室戸ジオパークが、日本ジオパーク委員会の審査において、世界ジオパークネットワークへの申請地域に決定されました。
室戸ジオパークは、巨大地震による大陸の隆起などの地球のダイナミックな営みによって生じた地形や地質を間近で見ることができる素晴らしい地質遺産であり、現在も研究者が世界各地からこの地を訪れております。
今後ともこれらの地質遺産を保護するとともに、研究面での活用はもとより、環境教育の場として、また新たな観光資源として世界にアピールし、東部地域の振興につなげていかなければなりません。
今回の決定は、世界ジオパークネットワークへの加盟の通過点であり、今後はさらなる厳しい審査をクリアしていく必要があります。地域の皆様の加盟に向けた取り組みを、これからも積極的に支援してまいります。
3 日本一の健康長寿県づくりについて
次に、「日本一の健康長寿県づくり」の取り組みについてご説明申し上げます。
(1)日本一の健康長寿県構想推進会議
本年2月に「日本一の健康長寿県構想」を策定し、各市町村や関係団体のご理解とご協力も賜りながら、保健、医療、福祉の各分野で様々な取り組みを進めているところであります。
これらの取り組みをより実効性のあるものとしていくためには、個々の取り組みについて、しっかりとPDCAサイクルによる検証や改善を行い、バージョンアップしていくことが必要であると考えております。
このため、私をトップに関係部局長などで構成する「日本一の健康長寿県構想推進会議」を立ち上げ、今月2日、第1回目の推進会議を開催し、進捗状況の点検と、実行にあたって生じている課題の確認や対応策を協議いたしました。
その結果、例えば、あったかふれあいセンターにつきまして、現在29市町村38カ所で開設されている取り組みをさらに広げていくため、市町村や受託事業者を交えて事業の分析と検証を進め、それぞれのあったかふれあいセンターの目指すべき姿を明らかにしていくとともに、国に対しましては、事業継続に向け、より具体的な政策提言を行っていくことといたしました。
また、医師確保の問題につきましては、高知医療再生機構の取り組みを着実に進めていくことに加えて、他県との競争を意識し、常にその先を行く取り組みを検討していくことによって、若手医師にとって魅力のある県であり続けるよう施策を講じていく必要があることを確認したところであります。
今後とも、進捗管理をしっかりと行いながら、構想の実現に向けて取り組んでまいります。
医師確保のための取り組みといたしまして、医療技術の訓練機能と宿泊機能とを兼ね備えた医療技術研修支援施設を、高知大学医学部の敷地内に、平成24年4月をめどに開設することで、同大学との協議が調いました。このため、今議会に、施設の設計を支援するための予算を提案しております。
この施設は、研修医や若手医師が時間的な制約を気にすることなく、シミュレーション機器を使った訓練により、内視鏡手術など様々な医療技術の向上を図るための施設であります。本年度から実施しております、高知医療再生機構による国内外における先進医療の研修への支援と相まって、若手医師にとって働きやすく、学びやすい環境が整うことによって、研修医や若手医師の確保のための本格的な対策が進むものと考えております。
導入に向けた準備を進めてまいりましたドクターヘリにつきましては、本年4月、高知医療センターを運営する高知県・高知市病院企業団に対し、基地病院としての受け入れを要請しておりましたところ、今月6日、受諾する旨の回答をいただきました。
今後、実際にドクターヘリを運航するまでには、高知医療センターにおいて、ヘリに搭載する医療機器や通信機材の選定、搭乗スタッフの実地訓練、消防機関との連携訓練といった実務的な準備や、ヘリ基地の整備を進めていただくことが必要となります。
このうち、ヘリ基地の整備には1年程度の時間を要しますことから、暫定的に高知龍馬空港を活用することにより、来年3月からの運航を開始できるよう高知医療センターと連携して取り組んでまいります。
4 教育の充実、スポーツ環境の向上等について
次に、教育分野の取り組みについてご説明申し上げます。
本年4月に実施されました全国学力・学習状況調査の結果が、7月末に公表され、本県では、小中学校共にすべての教科で昨年度に比べ学力の向上が見られました。
小学校においては、国語、算数共に全国の平均正答率とほぼ同じ水準に達し、特に算数A問題については、昨年度より3.4ポイント改善して全国平均を1.1ポイント上回るなど、過去最高の結果となりました。
しかしながら、中学校では、全国平均との差は年々縮まっているものの、依然として厳しい状況にあります。
これまでの取り組みの成果が一定見られた小学校については、今回の結果を一過性のものにしてはなりませんし、中学校では、調査結果を踏まえて対応を検討し、直ちに実行に移す必要があります。
これまでの結果からも、学力の定着のために必要な教材の提供や、人的な配置などの施策自体は一定有効なものと考えられますことから、今後は、教育委員会において、配付した教材が各学級で実際に有効活用されているか、人的な配置が実効性を持って機能しているかなど、個々の施策の実行過程についても検証を行い、各学校や市町村教育委員会にとって本当に必要なものを明らかにしながら、さらに取り組みを徹底させ、子どもたちの学力向上につなげてまいります。
次に、高知球場のナイター設備の設置についてご説明申し上げます。
全国で唯一野球場にナイター設備を持たない県といたしまして、ナイター設備の設置は、本県のスポーツ環境の向上を図る上で、積年の課題となっておりました。このため、昨年5月に、「野球場照明設備建設に係る検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、他県における設置形態や利用動向などを参考にしながら、多方面からの検討を進めてまいりました。
中でも、ナイター設備を設置する球場につきましては、設置に伴う直接・間接の効果を最大限に発揮できる球場を念頭に、観客を含めた利用者の利便性の確保や地域への経済波及効果と併せて、野球関係者の方々などからの強い要望などを総合的に判断いたしました結果、高知球場が最適の設置場所であるとの結論に至りました。
また、その際には、高知球場が各種大会の開催などを通じて、数多くの県民の皆様に利用されており、利用料金も高知市にお住まいの方と他の市町村にお住まいの方とで同額に設定されているなど、県民の誰もが気軽に利用できる球場となっていることも考慮いたしました。
このため、先月24日の「高知県・高知市連携会議」におきまして、県が設備の設置のための財政的な支援を行い、高知市が同球場にナイター設備を設置することで、高知市長と基本合意に達したところであります。
今議会には、調査設計に関する予算を提案しており、平成24年春の完成を目指して取り組んでまいりたいと考えております。
『まなび愛 つなげ龍馬の「志」』をキャッチフレーズに本年11月20日から3日間、県内各地で開催いたします「全国生涯学習フォーラム高知大会」につきましては、開幕までいよいよ2カ月を切りました。
高知大会から新たに開催するテーマ別フォーラムでは、地域社会を変革していくための課題として、「環境」、「地域再生」、「地域コミュニティ」、「人材育成・キャリア教育」という4つのテーマを掲げ、県内外から多彩な講師の方々などをお迎えし、県内4会場でシンポジウムや実践発表を行うなど、県民の生涯学習に対する機運を高めますとともに、本県の取り組みを全国に発信することとしております。
大会のメイン会場となる高知ぢばさんセンターでは、「全国生涯学習情報発信市・体験ひろば」を開催し、県内外で生涯学習に先進的に取り組まれている約60の企業・団体にご参加いただき、日頃の取り組みについての実践発表などを行っていただくこととしております。ぜひ県内の多くの皆様にも全国的な生涯学習への取り組みを体感していただきたいと考えております。
次に、新県立図書館の整備についてご説明申し上げます。
現在の図書館は、狭隘化や老朽化が進み、耐震化の対策もできていないことなどから、その整備は、積年の課題となっております。
こうした中、県立図書館の整備につきましては、県と高知市合同でワーキンググループを組織し、全国的な専門家のご意見もいただきながら、より良い図書館像を求めて検討を進めてまいりました。
この検討の結果を踏まえ、先月24日の「高知県・高知市連携会議」におきまして、高知市立追手前小学校の敷地に新しい県市一体型の図書館を整備するための基本構想策定に県市が連携して取り組んでいくことで、高知市長と基本合意に達したところであります。
県市一体型の図書館では、県市がそれぞれ単独で整備した場合に比べ、施設整備費で約18億円、運営費で年間1億円程度の削減が見込まれます。また、来館者への貸し出しなどの重複する機能を整理統合し効率化することも可能となります。
こうした効果を生かして、県は、図書の購入量を大幅に増やし、また、市町村支援など全県的な図書館政策の推進や調整の機能を強化することができます。利用者にとっては、ポピュラーな本から専門書まで1カ所で借りることができるため、利便性が格段に高まります。さらに、こども科学館などの新たな付加機能の整備も可能になるものと考えております。
また、追手前小学校の敷地は、公共交通機関でのアクセスが良く、車の運転ができない子どもやお年寄りなどの利用者に大変便利な場所にあり、また、学校や大学のある地区でオフィス街や商店街にも近いことから、学生、社会人など、より多くの方々に利用していただくことが可能です。さらに、結果として、中心市街地の活性化につながるという相乗効果も考えられるところであります。
今後は、基本構想策定に向け、図書館の専門家や学識経験者、市町村の代表者、県内の図書館関係者などを委員とする検討委員会を立ち上げ、図書館関係団体や県民の皆様から広くご意見をお聞きしながら、新しい図書館のあり方について検討を深めてまいります。
次に、山内家資料を核とした新資料館の整備についてご説明申し上げます。
山内家資料は、藩政時代を中心に戦国時代から近代にわたる6万7千点にも及ぶ貴重な歴史・美術資料であり、現在まで400年の間、散逸することなく継承されてきた学術的・文化的に価値の高い日本有数の大名家資料群であります。
しかしながら、この資料を保存、展示している土佐山内家宝物資料館は、手狭な上に老朽化が著しく、資料の展示や活用に大きな制約を受け、資料の劣化が進むなど、早急に対策を講じなければならない状況となっており、本年2月には「山内家資料の保存等検討委員会」から、新たな資料館の早急な整備の必要性など4項目からなる提言をいただきました。
このため、本年6月に「新資料館基本構想検討委員会」を設置し、文化施設や商店街、観光など、各分野の方々のご意見をお聞きしながら、提言を踏まえ、基本構想の検討を進めております。
今月13日に開催しました第2回目の検討委員会におきましては、新資料館の整備場所について、早急な整備が可能であり、劣化が著しい資料の保存環境の確保が早期にできること、周辺地域の景観に配慮しつつ一定の規模を確保できるため、資料の特性を踏まえた展示や、学術研究の拠点となる調査研究機能の充実など山内家資料の価値にふさわしい機能の発揮が可能であること、また、高知城と中心商店街の結節点にあり、多くの集客が見込まれるため、周辺地域のまちあるきへの展開や、県内ミュージアムをつなぐハブ機能を果たすことによって、地域振興や観光振興にも寄与できることから、本年度末に移転予定の高知財務事務所跡地と、その東側及び南側に隣接しますJAグループの所有地を合わせた候補地が望ましいとのご意見をいただいたところであります。
今後は、さらに今議会でのご議論もいただいた上で、新しい資料館の場所を定め、12月末には基本構想を取りまとめたいと考えております。
次に、県立大学の公立大学法人化についてご説明申し上げます。
公立大学法人制度は、大学の自主性、自律性の向上と、機動的、戦略的な大学運営により、大学の教育研究や地域貢献活動を充実し活性化させることを目的とするものであります。
このため、できるだけ早い時期に実現できますよう、高知女子大学及び高知短期大学と協議を重ねてまいりました結果、両大学を来年4月に1法人2大学の体制で法人化することといたしました。
今議会には、公立大学法人の設立に向けた関連予算を提案しております。今後は、法人の定款や組織などについて具体的な検討を行うなど、法人化に向けた作業を進めてまいりたいと考えております。
高知東部自動車道南国安芸道路の芸西西から安芸西間の新規整備事業が国土交通省の来年度予算の概算要求に盛り込まれました。
このことは、早期の事業化に向けた関係者の皆様の熱心な取り組みが実を結んだものであり、本県の救急医療や災害対策、産業振興にとってまさに命の道である四国8の字ネットワークの完成に向けた大きな一歩だと思っております。
今後は、この区間の来年度の事業着手が正式決定されますよう、気を緩めることなく国に働きかけてまいります。
また、平成24年度の窪川までの開通に向けて順調に工事が進められております四国横断自動車道につきましても、窪川以西への延伸を引き続き要望してまいります。
次に、暴力団の排除のための取り組みについてご説明申し上げます。
近年、暴力団は、賭博や民事介入暴力などに加え、組織実態を隠しながら各種事業に進出して企業活動を行うなど、社会の様々な場面に介入し、活動を多様化させております。
こうした状況を踏まえますと、今後の暴力団対策においては、警察の取締りに加え、県が県民、事業者と一体となって暴力団の排除を推進していくことが極めて重要かつ効果的であると考えているところであります。
そのため、暴力団の排除についての基本理念を定めるとともに、実効性のある施策を盛り込んだ「高知県暴力団排除条例」を今議会に提案しております。
暴力団排除についての条例は、既に6府県で制定されており、この9月議会では、本県以外にも12府県で制定予定となっているところであります。
今後は、この条例に基づき、県が先頭となって暴力団を許さない社会づくりを進め、市町村などと連携しながら、県民の安全で安心な生活の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、平成22年度高知県一般会計補正予算など3件です。
このうち一般会計補正予算は、先ほど申し上げましたポスト龍馬博の推進などに必要な事業の経費として、45億円余りを計上しております。
条例議案は、高知県暴力団排除条例議案など8件であります。
その他の議案は、香南市での工業団地造成のための用地取得に関する議案など6件でございます。
報告議案は、平成21年度高知県一般会計歳入歳出決算など21件でございます。
以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。