公開日 2010年12月07日
更新日 2014年03月19日
平成22年12月高知県議会定例会での知事提案説明 (12月7日)
2 産業振興計画について
(1)地産外商戦略と新アンテナショップ「まるごと高知」
(2)観光振興の取り組み
3 INAPへの出席について
4 TPPについて
5 日本一の健康長寿県構想について
(1)安芸地域県立病院(仮称)及び高知医療センター精神科病棟の整備
(2)子宮頸がん予防等ワクチン接種
12 議案
本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成22年12月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。
ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。
先月26日、国におきましては、景気や雇用の厳しい情勢などを踏まえた総額5.1兆円規模の経済対策を柱とする補正予算が成立いたしました。
本県におきましても、景気は緩やかに持ち直しているものの厳しい水準にあるといった見方がなされており、今議会では、国の取り組みに呼応した経済対策を中心に、総額175億円余りの補正予算を提案しております。
このうち、経済対策につきましては、168億円余りを計上し、5つの基本政策に沿って、第一に「経済の活性化」に関し、「志国高知 龍馬ふるさと博」の開催に向けた取り組みをはじめとした産業振興計画の推進など、第二に「インフラの充実」に関し、道路や河川の整備など、第三に「教育の充実」に関し、新資料館整備のための基本設計など、第四に「県民の安全・安心の確保」に関し、津波避難施設の緊急整備など、第五に「日本一の健康長寿県づくり」に関し、子宮頸がん等ワクチン接種の緊急促進などを実施することとしております。
雇用対策につきましても、緊急雇用創出臨時特例基金を21億円余り積み増すこととしております。本年度、本県の有効求人倍率は改善基調が続いており、10月の数値は前月に比べて0.03ポイント上昇し0.57倍と、全国の数値0.56倍を、現在の統計が取られ始めた昭和38年以来、初めて上回りました。本県では、平成21年度からの3年間で7千人の雇用を目指す「あった高知・雇用創出プラン」に取り組んでおりますが、新たな目標を9,100人とし、さらなる雇用の創出に取り組んでまいります。
また、補正後の普通建設事業費につきましては、国の公共事業費が大幅に削減される中、全体としては昨年度より減少しているものの、社会資本の整備が立ち遅れている本県の状況を踏まえ、県の単独事業については、昨年度を上回る事業費を確保しております。
これらの経済対策を切れ目なく実施することにより、県内の景気の下支えを行うとともに、県民の皆様のニーズにきめ細かく対応してまいります。あわせて、国の交付金などを積極的に活用し、また、償還について地方交付税措置のある補正予算債を有効に活用することなどを通じて、後年度負担の軽減を図り、財政の健全化を進めてまいります。
次に、産業振興計画についてご説明申し上げます。
本県産業の振興を目指して官民一体となって進めております産業振興計画につきましては、「実行元年」を経て、「果敢に挑戦」を合言葉に2年目の取り組みを進めております。
この取り組みが県経済の活性化に着実につながってまいりますよう、一つ一つの施策の効果をしっかりと見極め、計画の一層の充実を図りながら、引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
産業振興計画の大きな柱である地産外商戦略につきましては、首都圏での拠点である新アンテナショップ「まるごと高知」をオープンするとともに、本年度における高知フェアや商談会など県産品を売り出す機会が、11月末現在で既に昨年度の72件を上回る90件となるなど、県内事業者の皆様の外商機会を確保する取り組みを加速しております。
先月25日と26日には、県内の優れた食品を全国にアピールし、販路の拡大を図るため、地元銀行2行、地産外商公社と共同で、「食の大商談会2010」を本県において開催いたしました。
この大商談会においては、県内外の百貨店や量販店、ホテルや飲食店など114社から246名のバイヤーの方々にご参加いただき、県内からは94事業者の方々が出展され、数多くの商談が行われました。あわせて、バイヤーの方々からは、商品に関する貴重なご意見を多数いただくことができ、今後も、地産外商公社、大阪事務所、名古屋事務所が、成約に向けてフォローアップを行っていくこととしております。
また、「まるごと高知」におきましても、県産品を常時、展示・販売し、食材を味わっていただくことができる機能を生かしながら、21件の試食会や商談会などを行うとともに、地産外商公社を核とした外商活動を展開しております。
こうした取り組みの結果、地酒やジュース、ゆず加工品、水産加工品等が、ホテルや飲食店などに定番の食材・商品として採用される事例も増えてきております。
今月1日には、これまで約3カ月間の「まるごと高知」での外商活動の取り組みの状況や成果、物販部門・飲食部門の売り上げや収支などの経営状況、今後の取り組みや経営の改善計画などについて、「まるごと高知レポート」として、県民の皆様に公表したところであります。
「まるごと高知」における来客数や売り上げにつきましては、飲食部門は、引き続き好調で売り上げ目標の1.6倍程度を維持しております。他方、物販部門は、目標を超える売り上げを確保しているものの、本県の魅力ある商品をいかに多く、タイムリーに店頭に並べられるかが課題となっております。
このため、そうした商品の情報をより効果的に収集することを目指して、「まるごと高知」を積極的に応援していただいている民間の方々と連携し、広く県産品に関する情報を集め、東京のお客様の元にお届けしていくための仕組みを構築することといたしました。
さらに、県内の事業者の皆様方が商品を提案しやすくなるよう応募手順の改善を行うとともに、県民の皆様からも、首都圏に売り出したい商品などの情報を紹介していただく仕組みを設けたところであります。
今後も、概ね3カ月ごとに、運営状況はもとより、改善に向けたこうした取り組みの公表を続けますことで、「まるごと高知」を応援してくださる県民の皆様のお気持ちと、「まるごと高知」を活用して外商に取り組んでおられる県内事業者の皆様の意欲が、さらに高まることを期待しております。
県としても、地産外商公社と共に、しっかりと目標を持って地産外商の加速化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、観光振興の取り組みについてご説明申し上げます。
全国に龍馬ブームを巻き起こした大河ドラマ龍馬伝が、先月28日の放送をもって終了し、この放送に合わせて開幕した土佐・龍馬であい博も、閉幕まで残すところ1カ月余りとなりました。
JR高知駅前の「高知・龍馬ろまん社中」の入館者数は、目標の40万人を大きく上回り、約60万人に達する状況であります。また、サテライト会場の入館者数も、安芸と土佐清水は共に目標を達成し、梼原も目標まであと少しの状況となっております。
この1年を通して、龍馬伝及び龍馬博は、本県への誘客に大きく貢献するとともに、観光にとどまらない様々な経済波及効果をもたらせてくれました。
こうした龍馬ブームによって醸成された盛り上がりを一過性のもので終わらせることなく、本県観光全体の底上げにつなげていかなければならないと考えております。
このため、引き続き龍馬を中心に据え、歴史、食、花、自然体験といった本県の強みを生かしながら、数多くの偉人を生んだ土佐の風土を感じていただく「志国高知 龍馬ふるさと博」を、来年3月5日から開催することといたしました。
龍馬ふるさと博では、これまで培ってきたノウハウを生かしながら、県内各地への誘客をさらに促していくことで、県全域にわたって観光による交流人口の拡大を図り、地域の活性化につなげていきたいと考えており、そのための取り組みとして、4つの柱を中心に準備を進めております。
第一の柱は、「龍馬のふるさと志の偉人伝」であります。「『龍馬伝』幕末志士社中」と名称も決まりましたJR高知駅前の新パビリオンを核として、龍馬をはじめとする土佐の偉人たちをテーマに、関連する施設において企画展を実施するとともに、偉人の史跡を巡るガイド付きまち歩きと合わせ、「土佐歴史観光」という、本県観光の新たな流れをつくっていきたいと考えております。
第二の柱は、「龍馬のふるさと花絵巻」であります。牧野植物園やモネの庭において特別なイベントを開催するとともに、県内各地で花のイベントを打ち出してまいります。
第三の柱は、「龍馬のふるさと食まつり」であります。観光客の評価が高い地元ならではのおいしい食べ物や、季節ごとの旬の食材を前面に出したイベントを展開するなど、高知の食の認知度をさらに高め、リピーターの獲得に取り組んでまいります。
第四の柱は、「龍馬のふるさとまるごと体験」であります。本県観光の大きな財産である四万十川など県内各地における体験メニューを充実することで、体験型観光の多様なニーズへの対応を図ってまいります。
また、国際観光につきましても、先月から龍馬伝の放送が始まった台湾や、来月からの放送が決定し、SKワイバーンズのキャンプでつながりのある韓国に対して、龍馬伝の放送と合わせた積極的なプロモーション活動を展開し、観光客の誘致に取り組んでいくこととしております。
さらに、来年2月からはタイにおいても龍馬伝の放送が始まります。こうした好機を捉え、来年を「国際観光推進元年」と位置付け、国別の具体的な戦略を定めるなどして、外国人観光客の積極的な誘致活動を展開していきたいと考えております。
このように、今後も引き続き、観光を産業振興計画の大きな柱として位置付け、官民挙げた取り組みとして積極的に推進してまいります。
先月9日、高知港の姉妹港などで構成されます港湾の国際ネットワーク組織「INAP」の会議がフィリピンのセブ港で開催されました。私も高知港の代表として同会議に参加し、相互の交流を一層深めていくことなどを確認してまいりました。
また、この会議に合わせて経済ミッション団を編成し、建設関連の県内企業3社の方々が展示商談会への出展を行い、独自の製品や技術をアピールし、販路の開拓に取り組まれました。
今後とも、こうした海外への地産外商に取り組む県内事業者の皆様を、海外事務所との連携の下、積極的に支援してまいります。
政府は、先月9日、環太平洋連携協定、いわゆるTPPについて関係国との協議を開始することなどを内容とする「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定いたしました。
しかしながら、例外なき関税の撤廃を原則とするTPPへの参加は、農業をはじめとする我が国の第一次産業にとって大きな脅威であります。
中国やインドなどが台頭する世界の食糧事情を踏まえますと、我が国は、食料を輸入に頼ることなく、しっかりと自給できる国となるため、国民の命にかかわる産業である第一次産業を守り育てていくべきであると考えております。
政府においても、世界の穀物等の需給は中長期的にひっ迫基調が見込まれるとして、10年後の食料自給率を50パーセントに引き上げるとの方針が定められているところであります。他方、何ら対策を講じないまま、TPPに参加すれば、我が国の食料自給率は13パーセントにまで低下するとの政府の試算も示されており、TPPへの参加は、こうした政府の方針にも反するものであると考えております。
グローバル化が進行する世界情勢の下、貿易自由化の流れ自体に反対するものではありませんが、将来を見据えて国益を考えれば、自由貿易協定、いわゆるFTAや、経済連携協定、いわゆるEPAなども含め、守るべきものをしっかりと守ることができる手段を検討するべきであると考えております。
そうした検討が十分に行われないまま、また、TPP参加の影響への有効な対策も見えない中で、TPPに参加することは、あまりに拙速であり、賛成できるものではありません。
県議会におかれましても、先の11月臨時会で、「TPP交渉に反対する意見書」を可決されたところであります。
県としましては、引き続き、政府に対して、国際貿易交渉にあたっては、守るべきものは守るというこれまでの政府の基本方針を堅持し対応することを、県議会の皆様や関係団体、他の地方公共団体とも連携して求めていきたいと考えております。
日本一の健康長寿県構想につきましては、本年2月の構想策定以来、市町村をはじめとする関係団体の皆様のご協力をいただきながら、着実にその取り組みを進めております。
例えば、本年度から開始しました、がん検診や特定健診の受診促進の取り組みにつきましては、各市町村において、健康づくり婦人会など地域の方々のご協力をいただきながら、電話や訪問によるきめ細かな受診勧奨が行われております。中でも、がん検診につきましては、受診されなかった方お一人お一人に個別に文書を送付するなど、再度の受診勧奨も行われております。
医師の確保対策につきましては、高知医療再生機構を核として、若手医師にとって魅力のある環境づくりを進めております。
若手医師が県内で勤務しながら、より専門性を発揮するために必要な資格を取得できるよう支援する事業には、延べ196名が参加し、小児科や産婦人科など、専門医としての資格の取得に向けた研修に取り組んでおります。
また、国内外の先進的な医療機関での研修を支援する事業には、4名の医師が参加し、今後さらに2名の参加も決定しております。
引き続き、創意工夫を加えながら、若手医師にとって働きやすく、学びやすい環境を整え、医師の確保と県内定着につなげてまいりたいと考えております。
あったかふれあいセンターにつきましては、現在、30市町村39カ所で開設され、小規模多機能型の福祉サービスの拠点として、それぞれの地域の実情に応じたサービスの提供のほか、相談や訪問活動など、地域の生活課題に対応した取り組みも行われてきております。
県としましては、こうした活動を地域に根付かせ、さらに広げていくため、来年3月を目途に、市町村の地域福祉活動を支援する「地域福祉支援計画」を策定することとしております。
(1)安芸地域県立病院(仮称)及び高知医療センター精神科病棟の整備
次に、安芸地域の新病院及び高知医療センター精神科病棟の整備についてご説明申し上げます。
安芸地域の新病院につきましては、先月末までに、実施設計が完了いたしましたことから、平成25年12月に予定しております開院に向け、本体工事などに必要な予算を今議会に提案しております。
このたびの設計を進めるにあたりましては、経営の健全性の確保のため建設コストの適正化に十分留意しながらも、屋上ヘリポートの設置による救急や災害への対応機能の強化や、高知県安芸保健医療圏地域医療再生計画で位置付けました若手医師の研修拠点としての整備など、地元の皆様からのご要望や本県が進める施策への積極的な対応を図りました結果、県東部地域の中核的な病院として、さらにふさわしい施設内容とすることができたと考えております。
また、平成24年4月の開設に向けて取り組みを進めております高知医療センター精神科病棟につきましても、整備に要する予算を今議会に提案しております。この精神科病棟は、民間の精神科病院では受け入れが困難な措置入院や重症患者への対応のほか、高知医療センターの機能を生かした合併症の治療を行うとともに、県内で唯一の児童思春期専門病床を設置するなど、県全体の精神科医療の向上に欠かせない施設であります。
今後は、それぞれの開院、開設に向け、高知医療再生機構や高知医療センターとも連携しながら、医師の確保などに全力を挙げて取り組み、万全を期したいと考えております。
次に、子宮頸がん予防等のワクチン接種についてご説明申し上げます。
子宮頸がん予防ワクチン、小児の細菌性髄膜炎や肺炎等の重篤な感染症を予防するためのヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの3種類のワクチンについて、対象となる年齢層への予防接種を促進するため、希望される方が費用の負担を気にすることなく早急に接種を受けられるよう、国の交付金を活用して、接種費用を助成するための基金を設置することといたしました。
あわせて、子宮頸がん予防ワクチンにつきましては、国の制度では対象とならない高校2年生、高校3年生に相当する年齢層の女子に対しましても、本県独自の支援を行いたいと考えております。今議会には、これに要する経費も合わせて、必要な予算を提案しております。
今後は、これらのワクチンの基本的な知識や接種方法についての周知に努めますとともに、県内すべての市町村において、早急に助成制度が開始されるよう支援してまいります。また、これを機会に、より多くの県民の皆様に、がん検診を受診していただくよう広報や啓発活動に努めるなど、がん対策全般について力を入れてまいります。
次に、山内家資料を核とした新資料館の整備についてご説明申し上げます。
新資料館の整備につきましては、本年6月に設置いたしました新資料館基本構想検討委員会において、文化施設の立ち上げや運営に携わってこられた方々や、歴史、芸術、商店街、観光など、各分野の方々のご意見をお聞きしながら、基本構想の検討を進めてまいりました。
9月に開催しました第2回の検討委員会では、新資料館の整備についての基本的な考え方を盛り込んだ基本構想の骨子案について、おおむねご了解をいただくとともに、整備場所については、候補地の比較検討の結果を踏まえ、高知財務事務所跡地と、その東側及び南側に隣接するJAグループの駐車場用地を合わせた場所が望ましいとの取りまとめをいただきました。
先の9月議会におきましては、こうした経過のご報告と併せて、整備場所については、県としても、財務事務所跡地と、その東側及び南側に隣接する用地を合わせた場所が望ましいと考えていることをご報告し、文化面だけでなく観光面からも、資料の価値を最大限に発揮できるものにしていくことが大事であることなどのご意見をいただきました。
これらのご意見を踏まえ、県におきましては、より詳細な検討を行うため、新資料館の機能と事業活動などについて、具体的な内容を盛り込んだ基本構想案を作成し、先月5日、第3回の検討委員会でご了承をいただいたところであります。
新資料館につきましては、保存、調査、研究、展示公開といった役割をしっかりと果たすことができる文化施設として整備することとしております。あわせて、集客力が見込まれる場所に立地し、県内ミュージアムなどをつなぐハブ機能を持つことで、結果として、周辺地域と連携した歴史や文化の視点に立ったまちづくりや、県内各地の観光振興にも、大いに寄与するものとしたいと考えております。
このため、基本構想案では、日本有数の質と量を誇る貴重な山内家資料を、国民・県民共有の文化遺産として確実に後世に継承していくこと、資料の調査研究を積極的に推進し、その成果を活用していく学術研究の拠点となること、常設展示はもちろん幅広いテーマからなる企画展や全国巡回展の開催などを積極的に行うことにより、高知の歴史や文化への理解を深めるだけでなく県内外に広くその魅力を発信すること、研究成果を研究にとどまらず生涯学習や学校教育にも活用していくこと、さらには県内の文化施設や地域と柔軟に連携し、多彩な企画に協力することで、まちづくりや地域振興・観光振興にも寄与していくことを新資料館の機能と位置付けております。
また、こうした機能を発揮するため、収蔵庫や展示室などについて十分な面積を確保し、調査研究・教育普及にも対応できる建物のイメージをお示しするとともに、観光面も意識し、多くの方々に訪れていただけるよう、高知城や日曜市、中心商店街など周辺地域との連携の考え方も盛り込んでおります。
先月15日には、臨時の県議会文化厚生委員会を開催していただき、基本構想案についてご説明いたしました。
委員の皆様からは、今後の検討にあたっては、ハード整備と併せて、人員体制や収支見通し、管理運営体制などソフト面の具体的な検討も必要であること、山内家資料を積極的に活用し、観光などにも寄与できる事業展開が必要であること、景観への配慮も必要であることなど、様々なご意見をいただいたところであります。
今議会で、基本構想案について、さらに十分なご議論をいただいた上で、今月末には基本構想を策定し、具体化に向けて取り組んでいきたいと考えております。このため、今議会には、新資料館の基本設計などに必要な予算を提案しております。
先月20日、秋篠宮同妃両殿下のご臨席を仰ぎ開幕しました「全国生涯学習フォーラム高知大会」は、『まなび愛 つなげ龍馬の「志」』をキャッチフレーズに、3日間で県内外から延べ3万人を超える方々にご参加いただき、盛況のうちに開催することができました。
今大会を通じまして、多くの県民の皆様に、多彩な学びに触れていただき、生涯学習の楽しさや、学ぶことの必要性を再認識していただけたと思っております。
閉会式におきましては、高知県の教育の日として11月1日を「志・とさ学びの日」と定める旨の教育宣言を行いました。今後は、この教育の日を生かして、教育の現状の公表や意見交換会を行うなど、県民の皆様の教育に対する意識を高めていただくとともに、学習活動への参加の気運を醸成してまいりたいと考えております。
新県立図書館の整備につきましては、去る10月30日、図書館の建築や運営の専門家として全国的に活躍されている方々や、県内の市町村の代表者、図書館関係者、利用者代表の方々など、多様なご意見をお持ちの14名の委員からなる、新図書館基本構想検討委員会を発足いたしました。
第1回の検討委員会では、各委員の皆様から、県と市の図書館の役割や機能のあり方についてのご意見をはじめ、合築で整備することに対する不安、新図書館には他に負けない情報提供施設を目指してほしいといった期待など、様々なご意見をいただきました。
また、先月23日の第2回の検討委員会では、新図書館の担う役割や機能について、県・市の考え方をお示しした上で、委員の皆様からは、専門性の高い司書を配置すること、市町村図書館に対する支援を充実すること、学校図書館の活性化にも寄与すること、将来を見通したシステムや面積を確保することにより進化に耐え得る図書館を造ることなど、より高いサービスや機能を求めるご意見をいただいております。
今後の検討委員会では、新図書館が保有すべきこうした機能をいかに実現していくかといったことなどについて、単独で整備する場合と追手前小学校の敷地に一体型で整備する場合とを比較しながら、委員の皆様に議論を深めていただきますとともに、県民の皆様のご意見を直接お聞きする機会も設け、十分な議論を尽くした上で、教育委員会において基本構想を策定してまいります。
あわせて、新図書館の付加機能の一つとして、子ども科学館の整備についても検討を進めております。
子どもたちの理科離れが進む中、科学の不思議や楽しさに接することができる施設の存在は、子どもたちの科学的な物の見方や考え方を養うために、大きな効果があると考えております。
現在、高知市においても、「高知市子ども科学図書館」の整備・充実が課題となっておりますことから、新図書館との一体的な整備について検討することとしたものであります。
先月15日と今月3日には、新図書館とは別途に基本構想検討委員会を開催し、基本理念や機能についてご議論をいただきました。その中では、科学への興味・関心を引き出し、探究心を育てる科学館を求めるご意見、「触って遊べ、感じて作れるスペースが必要である」といった体験型の施設を求めるご意見などをいただいております。
今後も、月に1、2回のペースで検討を重ね、教育委員会において新図書館と併せて基本構想を策定してまいります。
また、新図書館への併設が計画されている点字図書館につきましては、先月30日に高知市の基本構想検討委員会が開催されましたが、県としましても、点字図書館が視覚障害者の方々への情報提供の拠点施設として、さらに充実したものとなりますよう、高知市と連携してまいります。
次に、南海地震対策についてご説明申し上げます。
本県では、南海地震による災害から県民の皆様の生命、身体、財産を守り、暮らしや地域経済への影響を最小限にとどめるため、昨年度から「高知県南海地震対策行動計画」に基づき重点的に取り組みを進めております。
他方、本年1月に公表されました、今後30年以内に南海地震が発生する確率は60パーセント程度となり、一昨年が50パーセント程度であったことを考えますと、一段と切迫度が高まってきております。このため、限りのある時間の中で、南海地震対策の一層の加速化を図っていかなければならないと考えております。
中でも、大きな被害が想定される津波への対策を強力に進めることが非常に重要であると考えております。
県民の皆様に、津波から身を守っていただくためには、まずは大きな揺れを感じたらすぐに高台などに逃げていただくことが基本であり、避難する経路や場所について、地域の皆様で十分に確認し合った津波避難計画を作っていただくことが大切であります。このため、県としましては、すべての地域や自主防災組織で津波避難計画が作成されるよう支援していきたいと考えております。
さらに、この計画に基づき、地震や津波の発生をいち早く地域に知らせるための情報施設の整備や、津波浸水地域の皆様が確実に避難できるようにするための避難場所の確保や避難路の整備を行う市町村に対する支援も行っていきたいと考えております。
加えて、高台や津波避難ビル等がなく、避難することが極めて困難な地域につきましては、津波避難タワー等の整備を早急に進めるなど、県民の皆様すべての生命を津波から守ることを目指していきたいと考えております。
今議会には、その第一歩として、地域のコンセンサスや用地の確保など条件が整っている市町村において、津波避難タワーなどの整備を前倒しし、津波避難対策の加速化を図るために必要な予算を提案しております。
県立大学の公立大学法人化につきましては、高知女子大学及び高知短期大学と協議を重ねてまいりました結果、来年4月に、両大学を1法人2大学の体制で、「高知県公立大学法人」として法人化することとし、今議会に、同法人の定款など必要な議案を提案しております。
今後は、定款の議決を賜りました上で、理事長予定者を決定いたしますとともに、国に対して公立大学法人の設立認可や大学の設置者変更の申請を行い、法人の中期目標や中期計画、役員を含む体制、運営交付金、法人の規程などについて、大学と共に、さらに検討を進めてまいります。
また、永国寺キャンパスにつきましては、社会貢献をする「知の拠点」として充実させていくため、経済・経営系をベースとし、地域づくりの視点も取り入れた社会科学系学部の設置や、社会人教育、高知短期大学のあり方、キャンパスに必要な機能などについて、県立大学及び高知工科大学と共に検討を進めております。
今後、年度内を目途に、まずは学部学科構成や教育内容、定員など社会科学系学部の概要につきまして、経済学の専門家のご意見もいただきながら取りまとめた上で、県議会や関係する皆様のご意見をお伺いし、永国寺キャンパスの整備の基本方針を定めてまいります。
はりまや橋周辺から高知城までの東西軸エリアの活性化につきましては、本年度に入ってからも、東西軸エリア活性化プラン検討会やプロジェクトチームにおいて議論を深めるとともに、商工団体をはじめとした関係団体との意見交換会や一般の方を対象とした講演会等を積極的に開催し、幅広く県民・市民の皆様の声をお聞きしてまいりました。
先月12日に開催しました第6回の検討会におきましては、これまでにいただいた数々のご意見を踏まえ、消費者・利用者の目線に立った事業の充実や、既存の施設等の潜在的な魅力を最大限に引き出す観点からの事業の見直しなど、取り組み内容の整理を行ったところであります。あわせて、来年1月に作成する予定であるプラン素案について、たたき台をお示しし、東西軸エリアの目指すべき姿や構成等について、ご議論をいただきました。
また、現在検討を進めております新資料館や新県立図書館の整備については、東西軸エリアの活性化の観点からも大きな役割を持っていることから、これらの検討状況とも十分整合を図りながら、引き続き検討を深め、本年度末までにプランを策定してまいりたいと考えております。
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、平成22年度高知県一般会計補正予算など7件です。
このうち一般会計補正予算は、先ほど申し上げました経済対策の実施などに必要な事業の経費として、175億円余りを計上しております。
条例議案は、国の交付金を活用して積み立てます高知県ワクチン接種緊急促進基金条例議案など10件であります。
その他の議案は、平成23年度当せん金付証票の発売総額に関する議案など13件でございます。
以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。