公開日 2011年11月02日
更新日 2014年03月31日
知事の定例記者会見
平成23年10月28日(金曜日) 10時00分から10時55分 第一応接室
4年間を振り返って(1)
国と地方のあるべき関係
野田首相の政権運営と復興対策の財源
TPP交渉参加問題(1)
森林整備加速化・林業再生基金
ふるさと雇用再生特別基金
国への政策提言
TPP交渉参加問題(2)
人事院勧告の実施見送り
知事選での政党推薦
4年間を振り返って(2)
県下一斉避難訓練の結果を踏まえて
TPP交渉参加問題(3)
2期目に向けて
新図書館等の整備
配布資料
正念場! 産業振興計画 [PDFファイル/3.3MB]
4年間を振り返って(1)
(前田:朝日新聞記者)
幹事社の朝日新聞です。
まず第1問が、4年間を振り返って、成果をあげられたものと成果をあげられなかったものをそれぞれ何がありますでしょうか。その理由もできればお示しください。
(知事)
4年間を振り返って成果をあげることが出来たこと、成果をあげられなかったものは何かということであります。なかなか一言で言うのは難しいと思いますけれど、まず成果という点で言わせていただければ、例えば、産業振興計画、さらには日本一の健康長寿県構想というかたちで、人口減少さらには高齢化の急激な進展の中で生じてきた様々な課題とか問題に対して、どう対応して、また高知県としてどういう道を進むべきなのかということについて、一定方向性を示し、またその具体策をお示しすることができたのではないかと思っています。そしてまた、それに伴って一定実行を図ってきたということではないかと考えています。
成果をあげられなかった点、これはまさに表裏一体ということになろうかと思いますけれども、まだまだ多くのことが道半ばであるということと思います。それぞれの課題に対応するために、こういう対策を打っていくんだということで取り組みを進めてまいりましたけれども、まだその課題を克服するという段階には至っていない。まだまだ道半ばというのが、私の4年間の成果(と課題)ということになろうと考えているところです。
あと、個別のことを申し上げさせていただければ、様々なことがあります。産業振興計画についても長寿県構想についてもそれぞれあろうかと思います。
5つの基本政策以外の点で一つ言わせていただくとすれば、成果という点でいけば、財政再建の一定の目処がつけられたということはあるのではないのかなと考えさせていただいておるところです。
しかしながら、この点についても、引き続き国の動向に左右されやすい状況である点には変わりがないわけでありまして、今後も引き続き不断の努力が求められるという状況なのかなと考えております。
国と地方のあるべき関係
(前田:朝日新聞記者)
第2問です。地方分権の関連ですが、関西広域連合などで、国の出先機関の地方移管が議論されており、大阪では大阪都構想なども出ています。国と地方のあるべき関係、国等の出先機関の移管についてどのようにお考えですか。大阪都構想への評価もありましたら、あわせてお聞かせいただけたらと思います。
(知事)
国と地方の関係について言えば、いろいろなことを申し上げたいと思うんです。
まず、第一に、国の様々な政策的な意思決定を行っていくにあたって、やはりその地方の意見というのを事前によく聞いて、その意見をしっかりと反映していくようなシステムをしっかり講じておくべきだということが、何といっても第一だと思っています。
これができれば、出先機関の改革についても、その他いろいろな取り組みについても、一定地に足のついた、地方の実情に合った議論が展開されることとなるんではないかと考えています。これが一番大事です。
そういう点においては、国と地方の協議の場のシステムも一定できあがってきたところですから、今後、この国と地方の協議の場のシステムに、しっかり血を通わせるようにしていくことが非常に重要です。これがまず1点です。
そのうえで、個別のことについて申し上げれば、まず第一に、義務付け、枠付けの廃止をもっともっと徹底をしていかないといけないと思っています。
さらには、(第2点目に)分権。これも表裏一体ですけれども、さらにもっともっと権限を地方に下ろしていくということを行ってもらわなければいけない点が多数あるんじゃないのかなと思っているところです。
そして、3点目に出先機関の改革が、今後の焦点になってこようかと思います。当初の予定より3ヶ月遅れくらいになるようでありますけれども、来年5月の法案の閣議決定に向けて作業を進めていくんだという方針が、内閣のほうで示されたところでございます。まずは政府でしっかりと実現を仕切ってもらいたいなと考えているところです。
四国でも、そういう議論の進展にあわせて、私たちとしてどういう受け皿をつくるかということについて、今、総務部長クラスで活発に議論をさせていただいていますので、その中で出先機関の改革について、私たちとしてはこういうことを求めていこうという具体的な議論というのを展開していきたいなと考えているところです。
この国の出先機関の改革について、是非注意しないといけないと思う点でありますが、国の出先機関の改革は、この2点を特に重きをおいて実施をすべきだと思います。
一つは、二重行政に伴う非効率性を解消するということでありますが、もう1点、この点も非常に重要だと思いますのは、地域、地域の実情に合ったかたちで政策展開を可能とさせる。そういう出先機関改革でなければならないんだと考えておるところです。
でありますから、単に出先機関を解消すれば、それでよしということでは決してないんだろうと思うんです。どういう出先機関をどのようなかたちで配置することによって、地域の実情に合った政策が展開されるかという議論を、私は展開すべきだと思っています。
えてしてこの話は、国と地方の間の権限争いのように受け止められがちなところがありますけれど、あくまでパブリックセクター[公的機関など]内部での綱引きの話ということでは決してなくて、住民目線から見た時に、どちらのほうが良い行政、政治が展開されるんだろうかという視点でもって論を展開していくということが是非とも重要かと思っています。
私たちとしても、こういう行政は国でやってもらったほうがいい。こういうものは、地方でやったほうがいいという視点で切り分けを行って、具体に、「こういう機関は移管をしてもらったほうがいい、しかもこういうかたちで移管してもらったほうがいい。」、「こういう機関については国でやってもらったほうがいいだろう。」というような議論を展開したいなと考えているところです。
大阪都構想の評価についてということでありますけど、こちらについては、まさにもう熱い議論が大阪で行われていますので、高知の地からわざわざコメント申し上げることも差し控えさせていただきたいと思います。
ただ、非常に理解できますのは、今回ちょっと数字で調べてみたんですけど、政令指定都市の中で人口1,000人あたりの職員数が、一番多いのが大阪市で14.8人、一番少ないのが相模原市で6.4人だそうです。
だから、大阪市は、人口密度が高いところですけど人口1,000人あたりの職員の数が非常に多いわけです。ちなみに、高知市は8.1人です。そういう数字なんか見ていても、やはり大阪の地において行政改革ということが非常に大きなアジェンダ[検討課題]になるんだなということは、私としても実感ができるところです。
高知県でしたら、何といっても県勢浮揚ということが一つ大きなテーマになってこようかと思いますが、大阪では行政改革というのが全面に出てくるというのは、こういう数字から見てもそうなんだろうなというふうに理解させていただいています。
その中で、具体的にどういう行政改革の進め方がいいのかということについては、それぞれの役所の中で活発なご議論していただいて、最後は府民の皆さん、市民の皆さんの判断によって決まっていくということじゃないでしょうか。
野田首相の政権運営と復興対策の財源
(前田:朝日新聞記者)
最後ですが、野田首相の政権運営の評価をお聞かせください。あと、復興増税などが持ち上がっていますが、景気低迷の中で増税への批判というものがあると思うんですが、どのように財源を確保していくべきか考えをお聞かせください。
(知事)
野田首相は、今日までに一つ大仕事を終えられたのかなと思います。3次補正予算を国会に提出をする、そこをまとめあげていく。さらに復興増税についての一定の考え方をまとめていく、ということが、まずは、野田内閣の大きな仕事だと思っておりましたけれども、今日までに閣議決定がなされてきた。
残念ながら、前政権の後半においては、その様々な発言についての、何と言いますか、辞めると宣言されていたわけですから、信頼感が若干損なわれた側面もあって、なかなか物事が進まないところがありました。
被災地の皆さんは、本当にこの3次補正予算というのを待ちに待っておられたんじゃないかと思いますけれども、スピード感をもって、まとめあげていかれたということは、もう、ひとつ大きなお仕事をされたのではないかなと評価させていただきたいと思っているところです。
そういう過程の中で、比較的いろいろな情報をしっかりと集約して決断を下していこうではないかというかたちでお仕事をしておられるんではないかなと考えておるところです。
私は常々、真の政治主導を早く確立をしてもらいたいということを申し上げてまいりました。霞ヶ関内部から様々な情報をしっかり吸い上げて、しかも分析をさせて、最後は政治が決断していく。そういう政治スタイルを是非しっかりと確立をしてもらいたいということを申し上げてきたところですけれども、そういうものが一歩前進、二歩前進というふうになってきているんじゃないかなと期待しているところです。
しかしながら、まだまだいくつかの分野において懸念される分野があります。例えば、TPP[環太平洋連携協定]の議論などについて言えば、私は、極めて拙速だと思っているところです。また、その他の分野なんかについても、とにかくどんどん、どんどん前に進んでいって、ふと気がついてみたら、「いや、やっぱりできない話でした」みたいなことに絶対ならないように、よくよく情報の吟味分析をしたうえで議論・政策を練り上げていくというスタイルで仕事をしていただきたいなと思っています。是非、今後のご活躍についてご期待申し上げたいと思います。
復興財源の問題について言えば、今回、閣議決定されましたが、報道などによりますと、これから一連の審議の過程で、いろいろな議論がなされていくようでありますけれども、この復興用の財源を確保するということ、これはもう一定どうしても止むを得ない側面はあるんだろうと思います。これは常々申し上げてきておりますが、できるだけ負担を小さくするかたちで行っていくほうがいい。できるだけ担税力のある人から、できるだけワンショット、短期間に一定の金額を獲得するというやり方のほうがいいんじゃないのかなと考えているところなんです。
そういう意味において、当初ありましたようないわゆる消費税といった社会保障のための恒久財源を確保するためにふさわしいような税制ということではなくて、法人税とか所得税といった一定担税力のある人から確保するという方向の税制になってきたということについては、一定理解できるところかなと思っているところです。
ただ、願わくは、もう一段、是非、資産税の改革に踏み込んでもらいたかったなと思っています。私は常々申し上げておりますけれども、いわゆる移転促進税制といいますか、相続税の税率よりも低い税率でもって贈与税を設定して、その贈与税でもって一定、期間を区切って移転の促進を図らせるような税制改革をすることができれば、まとまったかたちで財源も確保できて、しかも、多くの方にとっては、事実上の減税になって、しかも高齢者世帯で滞留をしている資産が、若い人たちに移ることになって景気刺激にもなるはずだということを申し上げてきたんですけど、今回、ここのところは、議論にあがってないんですけど。私は是非、復興財源とか、ワンショットで多量の資金を確保する必要があるような税制の場合には、こういうことも今後考えていただければなと考えておるところです。
あともう一つ、これから注目していかないといけないと思っているのは、(増税以外での財源調達の部分)5兆円から7兆円の部分です。果たしてどこまでできるものなのか。ここのところの議論をよくよく詰めていただきたいなと考えています。7兆円(の積み増し)ができればその分、増税幅を圧縮できるわけですから。
こういう時こそ、日ごろの負担感をできるだけ少なくするためにも、こういう5兆円から7兆円の部分をしっかり確保していくということが非常に必要なんだろうと思うんです。
TPP交渉参加問題(1)
(福井:テレビ高知記者)
TPPに関する件でお伺いしたいんですけれども、知事はもう既に賛成か反対かという立場について明確に示されていらっしゃるかと思うんですが、その中で、議論が十分尽くされていないというご意見をお持ちだと思うんですけども、まず、今現在、どういった議論を活発化させて、交わしたうえで判断するべきだというふうにお考えですか。
(知事)
たくさんあります。この間、(TPPの問題を考える高知)県民集会の時にも申し上げさせていただきましたが、それぞれの分野でどういう影響が出るかということもわからないままで、事実上、交渉に参加したら、コミットメント[約束]をするかたちで参加することになるわけですから、後に引けなくなる可能性というのが非常に高いわけです。
だから、どういう影響が出るかもわからないのに、軽々に事実上のコミットメントをするようなことをすべきなんだろうか。私は、これはおかしいんじゃないかと(思います)。これがまず第1点であります。
第2点目として言わせていただければ、TPPイコール貿易自由化みたいな議論がなされてますけど、TPPというのは貿易自由化の一手段にすぎないのであって、貿易自由化を進めるのか進めないのか、故にTPPに参加するのか参加しないのかというような議論の展開の仕方というのは、私はおかしいと思っています。
TPP参加国は、皆さんご存知のとおり、アメリカとオーストラリアを除くと比較的小さい国が多いです。今、このTPPに参加しようとしている国々に対する日本の輸出額は、全部で14兆円くらいなんです。そのうち4兆円相当の国々とは、もう既にFTA[自由貿易協定]とかEPA[経済連携協定]を結んでいるんです。だから、工業製品とかの関税とかって事実上ゼロに近い状況になっているんです。残りの10兆円のうち9兆円がアメリカなんです。
だから、TPP交渉に参加することで、例えば工業製品の自由化が進むか進まないかといっても、事実上アメリカとの間で自由化が進むか進まないかという問題なんです。
他方、食料品の輸入というのは、オーストラリアとかもいるわけですから、このTPP参加各国から一斉にやってくる可能性が極めて高いのです。だとすると、アメリカとの間で、例えば製造業の輸出促進を図るために、日本の農業の崩壊を招くのかという話になりかねない話なんです。実効性という意味においては、アメリカとの間でFTAとかEPA交渉をして守るべきものは守って、関税率の引き下げにつなげていくとかそういうやり方をしたほうが、はるかに優れているんじゃないのかな。
おそらく、これは、米韓でFTAが結ばれたことに対抗して、TPPで一挙挽回を図ろうということで、日豪EPA交渉とかが、事実上ややスタッグ[立ち往生]して、止まりかけていたような状況というのがありましたから、それを打開するためにTPPで一挙に打開を図ろうというような戦略だったのかもしれませんけれども、私は、これはちょっとおかしいんじゃないかと思います。得るものに対して失うものがあまりにも大き過ぎやしないか。また、得るために一番いい手段は何なのかということを考えた時に、事実上、日米での交渉を進めるというやり方のほうがよくはないのかと(思います)。
そういう辺りは、国民の皆さんに示されていますか。TPPに参加できなければ貿易自由化は成し遂げられないよ、というような理論というのがあまりにも蔓延していませんでしょうか。私はそういう意味においてもおかしいと思っています。
その分野に対する影響がしっかりはかられてない状況で参加するかしないか、事実上コミットメントするようなかたちで参加するというのは、いかがなものか。それが第2点です。
もう一つ。貿易自由化を否定するものではありませんが、貿易自由化をするにしても、国益を一番守るかたちで、国益に添う形で貿易自由化を進めるべきなのであって、その時に手段としてTPPしかないかのような議論というのは、私はおかしいと思っています。
ほかにもいくらでもやり方はあるはずだと思っています。
(福井:テレビ高知記者)
先だっても、議会で、今後の50年先の高知というところで、一次産業を軸としたかたちで食糧と新エネの先進国へというお考えもあったかと思うんですけども、TPPの結果云々抜きで、高知というのは、一次産業にこれからどう向き合っていくべきだというふうにお感じでしょう。
(知事)
今回の農業の基本政策について、いろいろ新しい改革案というのを出されているんですけども、私は、このことについて一つ申し上げたいと思っているのは、土地の面積を広くするということでもって外国の農業に対抗しようという方向性は重要な方向かもしれませんが、これだけでは足りないと思うんです。
特に高知県のように中山間地域が8割とかを占める、そういう農地をたくさんもっているところにとって、単なる規模拡大は現実的ではない。そういう地域というのは、たくさんあると思うんです。私は、目指すべきは、高付加価値化だと思っています。
もっと言えば、日本の農地が、今、平均で1.9ヘクタールとして、オーストラリアは3,000ヘクタールを超えてるじゃないですか。仮にもし(日本が)1.9ヘクタールを20ヘクタールまで拡大できたとしても、オーストラリアとの間では150倍もの差がついているんです。本当にこれは根本解決になっているのかという話だと思うんです。
日本の土地は狭いんだという前提でもって農業の有り様を考えるべきだと思うんです。やっていけるとすれば、私は高付加価値化だと思います。一定コストは高いけれども、他方で売り上げというものは、しっかり上げることができるような農業というのを目指していくことが重要と思います。
本県の園芸農業にしても、コメ作りにしても、比較的こういう高付加価値化的な農業というのを目指しておられる方向感というのは出てきていると思うんです。是非そういう方向を追求していくことで、日本人の多様なニーズに沿うような、場合によったら、輸出にもつながるかもしれません。それこそ、一定の攻めの農業ということにもつながっていく方向感だと思います。是非こういうものを追求していく施策というのを展開していきたい。産業振興計画の目指すところは、そういうところだと思っています。
ちなみに、農業の基本政策で、六次産業化と出ていますけど、六次産業化だけが高付加価値化ではないので、加工しなくても農作物そのものの価値を上げるというやり方もあります。例えば、高知県で作られているナスは、味もものすごくよくて、単収[面積あたりの収穫量]もものすごく高い、そういう農作物を作るのを目指しているじゃないですか。まずは、そういう高付加価値化というのがあって、さらには、加工して価値をつけていくという高付加価値化というのもあると思うんです。
今回の農業の基本政策に、是非、作物作りそのものについての付加価値向上という高付加価値農業を目指すんだという方向感をつけて出していただきたいなと、早速、国に対して政策提言を行っていくべく準備をしている状況です。
森林整備加速化・林業再生基金
(池:高知新聞記者)
先ほど、3次補正の話が出ましたが、9月議会の質問戦でも取り上げられました森林整備加速化・林業再生基金が、当初の予定では来年の3月で期限切れとなる予定だったのが、今回、3次補正に盛り込まれたというふうにお聞きしています。
県としても延長に向けていろいろ政策提案をされたりしてきたと思いますけど、延長への評価と、どういうふうに活用していきたいのかと、このいきさつも含めて知事のほうからご説明いただければと思います。
(知事)
森林整備加速化・林業再生基金というのは、非常に素晴らしい基金だと思っていましたので、是非、期限延長してもらいたいということで政策提言もしてきましたし、私自身もいろんな場所で働きかけもしてきたつもりでございます。今回、3次補正に計上されることになってよかったなと、本当に喜んでいるところです。
森林整備加速化・林業再生基金も強い林業づくりということで、例えば、作業道の路網密度を上げて低コスト化を図るとか、さらには高性能林業機械を入れて、作業効率を上げるとか、競争力を高めるであるとか、さらには加工場の整備を行う。また、木質バイオマスとかいうかたちでカスケード利用[資源を多段階に活用すること]を展開するということによって、森のものを生かしきっていく。そういう一連のこと全ての面に、川上、川中、川下、全てのものに使える非常に使い勝手のいい基金だったと思っているところです。
ただ、これまで森林整備加速化・林業再生基金を使ってきましたけれども、それこそ(活性化という意味では)、まだまだ道半ばだと思うんです。例えば、路網密度ということをいっても、日本はまだ1ヘクタール当たりで17メートルなんです。この基金を使って全国的にもメーター数は伸びて来たんだと思うんですけれど、まだ17メートル。ところがオーストリアだと89メートル、それからドイツとかは118メートルという状況なんです。まだまだもっともっと林道を整備していって、場合によったら架線なんかもうまく活用していきながら、この路網密度を上げていくとかが求められている真っ最中だと思うんです。だから、今、やめるべきではないということを(国に)強く訴えてきました。
4月くらいから行っています政策提言でもこの点を訴えてきましたし、また、全国知事会とかの場でも声をあげてきたところでございます。各党への働きかけも行ってまいりましたけれども、今回、3次補正に計上されることになってよかったと思っています。
引き続き、路網密度を上げていくための一連の取り組みも行っていきたいと思いますが、特に、高知県は今年度から来年度、再来年度にかけて、いわゆる加工体制の強化に取り組んでいくべきステージに来ているのかなと思っているわけです。ですから、その加工体制の強化などに、この基金を大いに生かしていきたいと期待しているというところです。路網の整備も基本的なこともやりながら、あわせて加工対策の強化とかに使っていきたいと考えているところです。
(池:高知新聞記者)
1,399億円という予算のようですけど、高知への配分というのが、前回、同じぐらいの規模で35億円を基金化したと思いますが、今回の配分については、知事のほうで、何かイメージは、今、現状で持たれているんですか。
(知事)
12月中には配分額が決まるんだそうです。だから、当初予算か、もしくは2月での補正でということになるのか、そこはまだ決まっていませんけど、12月中ぐらいには配分額が決まってくるようです。
本県は林業についてやりたいことが山ほどありますから、こういうことをやりたい、ああいうことやりたい。だから、これを有効に活用するぞということを訴えていきたいです。
(池:高知新聞記者)
中でも、銘建工業の大豊町の進出というのが状況としてはあるので、そこの企業誘致に絡む施設整備の支援であるとか、そういったものにも充当するつもりなんでしょうか。
(知事)
是非したいので、配分額の増強に向けて訴えを進めたいと思います。
(池:高知新聞記者)
先ほどおっしゃった加工体制(ですか)。
(知事)
そういうことです。
加工体制強化の代表例が、銘建工業ということです。
ふるさと雇用再生特別基金
(池:高知新聞記者)
同じく基金関係の政策提案の中に、ふるさと雇用再生特別基金の継続に関して、同じような感じで出されていたと思いますけども、そちらのほうの見通しはいかがでしょうか。
(知事)
まだわかりませんが、ふるさと雇用再生特別基金については、財源がもともと(国の)特別会計の中の剰余金を使っていたんです。その特別会計の中の、剰余金は全部使われてしまたんで、財源がなくて困っているというところがあるというふうに思います。
私も厚生労働省に行って、審議官さんなどといろいろ直接議論もさせていただいたりしてきたところでありますけれど、簡単な話ではないなというふうに思っています。
例えば、重点分野関連の基金、いわゆる緊急雇用基金の後継となっている重点分野関係の基金が1年延長されることとなっていたりしていますので、そういうものをうまくふるさと雇用基金的に活用できる道はないだろうかということを政策提言している最中という状況です。当初予算編成に向けて引き続き、訴えを進めていくことが重要かと思っています。
ただ、国の予算編成がどうなるかに関わらず、本県では、産業振興計画の地域アクションプランとか、さらには、あったかふれあいセンターとか、今後継続的に発展させていきたいと思っている重要施策に、このふるさと雇用基金を使っているわけです。その基金の見通しが立たないからといって、そういう重要施策が腰砕けになってしまうというようなことは避けたいという思いでありますから、本県として独自の高知型ふるさと雇用事業というものを設けていきたいと思っています。
かたや高知独自のものとしての準備を進めながら、かたや政府に対して政策提言をしていく二本立てでやっていきたいなと考えているところです。
国への政策提言
(池:高知新聞記者)
もう1点だけ。政策提言というものについてちょっと聞きたいんです。
知事が就任されて、最初は自民党政権下で、尾﨑知事ご自身も官僚のご出身で、全体で官僚の文化というか、そういったところに非常に入りやすかったと思うんですけど、いわゆる政治主導というものを掲げた民主党が政権をとって、当初の段階でちょっと何と言いましょうか、リズムが狂ったというような県の職員の言葉もあったと思いますけど、いわゆるその政策提言というものがうまくいくのかなと。
それまでの自民党政権下でやっていたことと違ってくるんじゃないかというような雰囲気もあったんですが、この4年間振り返ってみられて、例えば、今回の森林加速化基金などもそうなんですけど、政権交代が尾﨑県政型の政策提言が、何か影響を及ぼしたかどうか。現状それで従来通りうまくいっているのかどうか。その辺りの知事の総括をちょっとお聞きしたいんですけど。
(知事)
政策提言とかを実現していくために重要なことは、2つだと思っています。
一つは、良いコミュニケーションが図れる、信頼関係の醸成と言ってもいいのかもしれません。そういう環境整備というのを国の各省としっかり結び上げていくということ。これが、まず第一に重要じゃないかなと思っています。
同じことを言っても、信頼関係があって言っていることと、なくて言っていることでは、全然違ってくるわけです。だから、やはりまずは、私たちが言っていることについて、高知県が主張することについて、しっかりと話を聞いてもらえるような、また、向こうからも問い合わせも来るぐらいの信頼関係を結ぶ環境づくりというのが、まず第一に重要と思っているところです。
第2点目が、政策提言を通すためには、理屈だと思うんです。その理屈も高知県のためになるのでよろしくというのみならず、こういうやり方をすれば全国のためにもなりますと。全国的に良いことですという政策提言だから、国でも通るんだと思うんです。高知県のために是非よろしくと言うだけなら、高知県さんはそうかもしれないが、全国的にはそういうニーズはないのでと言われてしまいます。
だから、私たちは決して、陳情とか要望とかという言葉を使わないで、政策提言と言っているのです。こういう施策を是非、全国的に展開されたらどうですかと。日本のためになりますと。私たち、高知県にも大いにためにもなりますのでという言い方をしてきたところであります。この2点が、非常に私は重要だと思っているんです。
1点目の信頼関係のある環境づくりという点からいけば、これはもう本当に多くの方々にお世話になってきたところだと思います。例えば、いろいろ話をする時に、国会議員の先生方に橋渡しをしていただいたりということは、よく多くの県でもやっていると思いますし、高知県でも選出された国会議員の皆さんに大変お世話になってきているところであります。
それから、私自身が霞ヶ関にいたというか、もっと言うと私自身が総理官邸にいたので、官邸で仕事をしている中で、私よりも10歳から15歳くらい年齢が上の方をたくさん知っていたのです。そういうこともあって、局長クラスとか審議官クラスの方とも割りと当時の人間関係でいろいろお付き合いができたということもあると思います。
また、日ごろから、東京事務所の職員が足を運んで、また、県庁職員がしっかりと足を運んでいます。例えば、私が最初に紹介した国の職員に、日ごろから訪ねて行っていろいろ意見交換をしたりとか、情報交換をしたりとかいうことを積み重ねてきたとか。そういう中で、自分自身でいろいろ人間関係を築き上げてきたりとかいうことがずっと積み重なって、いろんなかたちで良い緊張感を持ちつつも、良い情報交換ができる土壌づくりというのができてきたということではないのかなと思います。それがまず第1点だと思っています。
(第2点目の)理屈を打ち込むということになってきますと、これはもう極めて技術的な仕事でもございます。この点については、もうある意味いろいろと意を用いて徹底してやってきたところです。これは、時期も非常に重要ですし、誰から打ち込んでいくのかということも非常に重要だと思うんです。ですから、今まで政策提言でも、最速で6月か7月ぐらいにしていたと思うんですけども、政策を形成しようとする原型の時といいますか、そのちょっと後ぐらいがいいということで、4月ぐらいから政策提言を行うようにしました。相手方も、私は、局長さんとかから、大臣さんまで行きますけど、私が行くので、これは下から課長も局長も皆さん知っていないといけないということで、下は課長補佐くらいからダーッと上まで情報が上がっていくようになるわけです。一挙にみんなで情報を共有してくれることになるじゃないですか。それを東京事務所の職員が先に行って、その情報を各部局に打ち込んでおくわけです。そうすることで、各政策立案者の最前線に立っている人たちにも私たちの政策提言というのを行き渡らせるということをやってきました。
何よりも、さっきも申し上げましたけど理屈の部分です。「高知県ではこう」というのではだめだということで常々やってきました。こうするのが全国で一番ふさわしいじゃないかという理屈というのを常に打ち込むようにということを心掛けています。これは、もらったほうの立場になってみれば、私自身も霞ヶ関で仕事をしていて、何々県のためにこれこれって言われても、なかなか大変であります。そうじゃなくて、こうすることが、今ある政策課題を解決していくために非常に有効ではないかという政策提言をいただければ、それは、「ああ、これは是非考えてみよう」、「自分がこれから考えるにあたって生かしてみよう」と思います。そういうものを政策提言として打ってきたところです。
例えば、先ほどの森林整備加速化・林業再生基金(のところで)、17メートル/ヘクタールという話をしましたけど、それなんかも別に高知県の数字を言っているわけじゃないです。日本ではこう(です)、オーストリアとドイツに比べてこう(です)、まだまだやめる状況じゃありません、という全部日本のデータで訴えてきたりしたところです。
例えば、交付金の配分について有効求人倍率の逆数というのを是非使うべきではないかという議論につきましても、私たちのほうでそういう経済対策に資するかたちで交付金を配分するやり方としてはどうあるべきなのか、計算式そのものをどう考えるか、日ごろの意見交換の中で、私たちのほうから、経済対策ということでいけば、有効求人倍率の逆数というのを打っていくことが重要じゃないですか、ということを総務省さんに打ち込んで、それが、なるほど、そらそうだなということになって、それが取り上げられて、ああいう配分につながった。そういうことだと思っています。
ちょっと長くなりましたけど、そういうやり方でやっているということです。
(池:高知新聞記者)
それは政権交代後ですか。
(知事)
政権交代後も基本的には全部一緒です。そこのところは全く変わらないと思っています。
あえて言えば、政権交代後は、民主党の幹事長室に1回話を通すということが加わってきました。それから、政治家の皆さんと直接話をする機会が、より頻度としては増えたかと思いますが、基本は変わりません。政治家の皆さんにだって当然、理屈で訴えていくということで今まで取り組みをしてきました。
民主党からの受け方のシステムというのは、変わってきたとこがあると思いますけど。民主党でも何党でも、そらそうだという理屈というのは、私は通ると思っていますので、それを訴えてきたということだと思います。
(こうしたことから、)森林整備加速化・林業再生基金は、自民党の時に、始まったものですけど、その延長について民主党政権下でも実現することができたんだろうと思っていますけど。この2点じゃないでしょうか。
(池:高知新聞記者)
政権交代の影響をお聞きしたかったのは、今はそうでもないですけど、政権交代直後は、官僚は政治判断に携わるべきではないという基本的な方向があってですね、私共が、取材していても、取材に答えるのも非常に嫌がるようなぐらいの状況がありました。
つまり、政策判断にまつわるようなことは発言してはいけないというぐらいのところもあったそうで、でいくと、先ほどの打ち込む作業というものは、官僚のひとつ、機構の中に効き目があったのかもしれないけれども、それがそういった政治主導ということによって弱まったんじゃないかという想像をするんですが、そういうことはないですか。
(知事)
そういうことはないです。
意思決定をする政務官とか副大臣とか大臣とか政治家に打ち込みました。
打ち込みという点については、メリットとデメリットがありました。どっちにしろ、私は真の政治主導(という考え)だから、政治家が判断するにしても官僚の皆さんの情報というのは、十分使いこなすかたちで行っていくということが重要だと思っています。確かに当初の頃は、あまり公務員の皆さんの意見は聞かずに政治家だけで判断するというシーンがいくつか見られたように思います。
政治家だけで判断するので、そらそうですねと話になると、理屈が通りやすかったというところはあると思ってます。既存の前例とか、局間の縦割りとか、そういうのがあまり関係なく政治決断でパンと決まったという側面というのはあるんじゃないかと思っていますけれど。
ただ問題は、そのあと、具体的に詰める作業になってきた時に、果たして本当にあの話は今も生きているんだろうかって、ちょっと心配になったとかいうようなこともたくさんあったようには思いますけれど。それはもう時々状況の変化に応じて、1番良いやり方は何かということを追求していくしかないんだというふうに思います。だけど、基本的には、さっき申し上げた大きな2つの項目が大事ということについては、変わらないと思います。
TPP交渉参加問題(2)
(西森:高知さんさんテレビ記者)
先ほどのTPPの補足でちょっとお伺いしたいんですけれども、11月の上旬ぐらいまでに総理が態度を決められるというようなお話になっていると思うんですが、例えば県としてとか、あるいは知事会などを通して、何らかのかたちで、その拙速な交渉参加に反対するというようなアプローチをするお考えがあるのか、あるいは推移を見守っていくということなのでしょうか。
(知事)
来週の月曜日には、副知事に上京していただいて、本県としての考え方を訴えていきます。また、今、四国知事会として、提言についての調整をしているという状況でございます。全国知事会のほうは慎重対応と既に決定しているので、知事会全体としての意見というのは、もう集約できて打ち込んでいるところですけども。念のためそういうかたちで、私たちとしての考えを伝えていきたいと考えておるところです。
(西森:高知さんさんテレビ記者)
それがさっきおっしゃっていた理由で、拙速な交渉にはしないでくれというような訴えをするという(ことですか)。
(知事)
そうです。
人事院勧告の実施見送り
(和田:時事通信記者)
政府が今日、人事院勧告の実施見送りを閣議で決めたということなんですけれども、7.8%国家公務員給与引き下げの特例法案の成立を目指すということなんですが、これが実現すると地方自治体にも職員給与の引き下げ等に付き合ってほしいというようなかたちで言ってくる可能性があると思うんですが、これについてはどんなふうにお考えですか。
(知事)
地方公務員の給与は地方で決めるというということが大原則だと思うんです。
今後、地方財政計画はどうなっていくのかとか、そういうこともよくよく見極めていって、いろいろな判断を加えていかなければならないと思いますけれども、やはり地方の給与というのは地方で決めるということは、大原則だと思います。
給与の問題だけじゃなくて、これから公務員制度の改革が全体として行われていくわけですけれども、やはり地方としての私たちとして判断して物事を決めていくということが非常に重要じゃないのかなと思っているところです。
国家公務員の場合と私たち地方の場合というのは、いろんな違いがあるわけです。例えば、二元代表制なのか議員内閣制なのかという違いもありますし、給与カットの有りようだって全然違います。過去の累計して行ってきた削減額というのは12%相当です。7.8%なんかゆうに超えるぐらいの金額を高知県の職員は給与カットして財政再建に貢献すべく努力を重ねてきたわけです。
だから、そういう事情も関係なく、私たちが何%切るんだから、あなた方も何%切って当然でしょうというような言い方というのは、恐縮ですけど、ややおかしいんじゃないのかなと思います。
ただ、そのうえで、例えば、地方財政計画はどうか、県民生活はどうか、県民の皆さんの全体としてのご負担はどうかとか、いろんなことを総合的に勘案して物事を決めていかないといけないと思いますけれども、今の段階で、私はできれば、もうこれだけ長いこと給与カットやってきた中で、そういう給与カットをというのは、できればやりたくない。前にも申し上げましたけどもスタンスに変わりありません。
(給与カットした)過去の累計を単年度分に直してみれば、それぐらいやってきたということです。
知事選での政党推薦
(半田:高知新聞記者)
知事選挙の絡みですけど。政党との関係なんですが、今回の場合、かなり早い段階から、自民党、民主党サイドあたりからは、そういう推薦なしの県民向き合い型といいますか、そういうかたちで選挙をやったほうがいいんじゃないかという声がありながら、今回は、知事のほうから積極的に推薦とかというような方向で向いたように聞いているんですけれど、その辺りの理由というか、どういうお考えのもとに、そういう判断で知事のほうから求めていかれたかということについて(聞かせてください)。
(知事)
それは、前も1回ご説明したことが、あったと思いますけれど。私は、県民の皆さんと直接対話をしていくということを非常に大事にしたいと思っています。
ですけれども、あわせて政治とか行政のプロである政党の皆さんともしっかり信頼関係を結んで、その信頼関係の上に立って活発な政策論議を展開していくことで県民の皆さまのお役に立つ政治とか行政を展開していきたいと考えているところです。この4年間もそういうかたちでやらせていただいてまいりました。これから4年間についても同じようなスタンスで臨ませていただきたいと考えています。
そういうスタンスで4年間臨むのであれば、そういう姿勢は選挙の時から県民の皆さまにしっかりお見せしておくことが誠実ではないかと思ったので、私のほうから推薦を是非お願いしたいというお話を申し上げたということです。
(半田:高知新聞記者)
ちょっと別の話なんですけど、共産党さんが、革新系以外での知事の施策としては非常に評価が高いということなので、今まで喧々諤々ですね、県政野党として知事と本会議などで論戦をされた相手が、そういう評価をしてきたと。2、3日前の記者会見では、対抗馬を立てないということなんですけれど、知事はこういう状況について、率直にどういう感想をもたれますか。
(知事)
県議会でもいろいろ議論をさせていただいてまいりましたし、この間、夕刊のコラムにも書いておられましたけど、結果として私がいろいろ展開してきた政策の方向性というのが、共産党さんが目指しておられる政策の一部に合致をする点があったということなのではないのかなと思います。その結果としてそういうご判断をいただいたということなのかなと思っています。
今後もあくまで野党の立場でおられるというご主張でありますから、知事選挙以外の場においても、是是非非でいろいろ議論が活発に展開をされていくことになるんだろうなと、私が政治活動を続ける限りそういう展開になっていくんじゃないかなと思っています。
4年間を振り返って(2)
(小笠原:高知新聞記者)
財政状況のお話の中で、なお、国の動向に左右される状況というところをおっしゃっておったんですけど、この4年間を見てまいりまして、知事の手腕とか努力とか、それはそれとして、国の経済政策が比較的手厚くあって、かつ、それとは別に龍馬伝といういわゆる追い風、知事が働いていくうえで土台として、比較的、県議の皆さんも言っておる言葉を使えば、恵まれておった分があったというようなところをおっしゃるわけなんですけれども、自身の天恩といいますか、自身を取り巻く環境が、この4年間、そういうことを踏まえてどうだったのか、その辺りの認識について、ちょっとお尋ねできればと思うんですけども。
(知事)
私自身というより、非常に高知県として幸運だったなというふうに思います。
本当に龍馬伝は、素晴らしいチャンスをいただいたなというふうに思います。またそれから、これからいろいろ物事を進めていこうとすることで、いろいろ国の経済対策というのが実施をされてきたというのは、いい流れだったなと思っているところです。
ただ、問題は、他方で、なかなか大変なこともあった。リーマンショックが起こったり、東日本大震災という問題が起こったり、さらには、外国の金融危機によって未曾有の円高にさらされてしまうとか、非常に大変なこともありました。
いかにそのラッキーな部分というか、チャンスを生かしきるのかということ。それから、もう一つはそういう厳しい状況が襲ってきた時に、それにどう立ち向かっていくのかということ。これからもずっとそういう取り組みをしていかなければなりません。
与えていただいたチャンスというのはしっかり生かしきる。また、厳しい状況に対しては、知恵を振り絞って立ち向かっていくという、そういう姿勢でもってこれからも県政運営を残りの任期の間、行わさせていただきたいと思いますし、また次の4年間に向けて私自身は挑戦させていただきたいということを申し上げている立場でございます。
(小笠原:高知新聞記者)
俗っぽい質問なんですけど、経済対策とかが、もし、なかったという時、そういうことを想像するのもナンセンスなんですけれど、もしそういうものが無かったとしたら、どんなふうに思われますか。
(知事)
経済対策がなかったらというのは、なかなか難しいですね。龍馬伝は明らかな純増プラスだと思うので、本当にラッキーだったと思います。あれがあるので、本当にみんな勇気をもって前に進めたと思っています。だから、これはもう高知県に神様がくれた、龍馬さんがくれた、本当に天運なんだろうというふうに思います。
経済対策のほうは、経済状況が厳しくなって経済対策が打たれるので、マイナスとプラスが両方くるというかたちになりますから、トータルとしてどうだったかというと、そこはちょっと微妙なところなのかなというふうに思います。
ただ、本当にいろんなこともあって、財政再建に大きく貢献をする方向に生かせたというのは良かったんじゃないかなと思っていますし、また使い方です。ふるさと雇用基金にしても何にしても、ちょうど私たちは、地域アクションプランとかの準備をしていた時でもありましたから、そのタイミングの良さという点においては、ちょうどぴったりというか、たまたま私たちがそういう産業振興計画を作っている時で、そういうものをうまく使える準備を整えていたというタイミングの良さというのはラッキーだったなと思います。
県下一斉避難訓練の結果を踏まえて
(大山:高知新聞記者)
南海地震の避難訓練のことなんですが、先ほど、9月4日のアンケートの結果をちょっと見たんですが、結果を見ると、60代以上が全体の6割という数字と、訓練の参加数ですが、当初4万人規模というふうにいっていたのが実際には3万3,000人ということですが、この数字の捉え方と、来年以降もやられるということですが、今後への課題なり取り組みについて(聞かせてください)。
(知事)
(訓練参加者が)4万人に対して3万3,000人ぐらいになったというのは、台風の影響があって、本当に避難しておられて帰って来たばかりという方が結構おられたとか、台風被害への対応も必要だったということもあって若干減ったと思うんです。
とは言え、参加をされた方の大体50%くらいは、60代、70代いう年齢の方であられたわけです。もっともっと各層、若い方々にも参加を是非していただかないといけないと思いますし、さらには、もっともっと多くの皆さんに、この避難訓練に参加をいただくようにしていかなければならないと思います。それから、時間帯とか条件を変えて、いろいろ訓練を行っていくということも非常に重要じゃないかなと思っているところです。
ただ、(避難訓練は)大規模なものになればなるほど、いろいろ担当の皆さんとか参加される皆さん、大変になってきます。だけど、実際に、本当に南海地震が来た時に備えて、多様な訓練というのを繰り返しておく、できるだけ多くの方に参加をしていただくということが重要と思います。
毎年続けていきたいと思いますし、別に1年に1回と限ることはないと思っています。いろんな多様な形で行っていきたいと思います。住民参加型もあれば、さらには、より密度の高い地区について、その専門家たちの間で、密度の高い図上訓練をやるやり方なんかもいろいろあるでしょう。多様な訓練をたくさん実施して多くの方々に参加していただくようにしたいと思います。
TPP交渉参加問題(3)
(竹村:高知新聞記者)
TPPの関係で、先ほど、農作物自体の高付加価値化というのをおっしゃっていましたけれども、具体的には、単収とか味の良さだけじゃなくてほかにもあるのでしょうか。それをどういうふうに国に訴えていくのかというのを、もうちょっと詳しく教えてください。
(知事)
土地利用型農業だけじゃなくて、こういう私たちのような園芸農業なんかに対する支援というのもしっかり行ってもらいたいということを訴えていかないといけないと思うんです。
土地利用型じゃない分、逆に言うと施設利用型みたいなところがあって、若い人たちや新しい人たち、新しい業種の方、別の業種の方々が、そういう分野に参入しやすくするようなやり方というのは、是非必要だと思うんです。
さらには、販売支援、もっと言えば、付加価値をしっかりとトレースするようなことについて、対応策などについての支援とかいうことも必要になってくるんじゃないかと思うんです。
産業振興計画全体として、それはやっていますけども、そういうことを是非後押ししてくれるような施策を国においてどんと講じてもらいたいなと思います。
土地利用型農業に対する対応でもって、規模拡大のためだけに農業関係の予算を使うというのはちょっといかがなものかと私は思います。
2期目に向けて
(池:高知新聞記者)
知事選がらみでもう1点。
候補予定者としては答え難いかもしれませんが、無投票になりそうなことをどんなふうに受け止めていらっしゃるかということと、それと仮に無投票になった場合ですね、知事の2期目に向けてのお考えを県民にどんなかたちで伝えていこうとか、ちょっと気が早い質問になるかもしれませんが、その辺のお考えを聞きたいなと。
(知事)
もう私としては臨戦態勢で臨むだけでありますから、無投票になるだろうというようなことは全く考えておりません。
とにかく全力でもって、今、私自身の活動というのを高めさせていただいておるという状況でございます。
いずれにしても県民の皆さんには、この機会に、いろんな所で私の次に向けての思いということについて訴えさせていただきたいなと思っています。
新図書館等の整備
(福井:テレビ高知記者)
新図書館なんですけど、執行部と委員会の方での紛糾といいますか、それを巡るかたちで、今後進め方について何かお考えのことはございますか。
(知事)
今回のことについて、県民の皆さまの関心事が高いことについては、きちっと説明をしていくということが、非常に大事だということを改めて再認識させられました。その不十分さについて反省をさせられたことだったと思っているところであります。
でありますから、基本設計のそれぞれの段階で議会とか、機会ごとにしっかり今の段階の検討はこうだということをご説明していく、それからまた、基本設計などが詰まっていく段階で、いろんな住民の皆さんの意見を聞く機会を設けるとかいうことも必要になってくるんじゃないかと思います。
(中村課長補佐)
それでは、以上をもちまして記者会見を終了します。
(知事)
今回で最後の定例会見ということになります。どうも皆さん、4年間お世話になりまして、どうもありがとうございました。
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