シリーズ 『正念場!産業振興計画』

公開日 2012年03月22日

更新日 2014年03月17日

 

<8>新産業の創出・企業立地の推進 〔平成24年 3月22日〕 

 

 シリーズ『正念場!産業振興計画』の8回目となる今回は、新産業の創出・企業立地の推進の取り組みについて、ご紹介します。

(新産業の創出)

 県内に新たな産業を創出するため、成長が期待され潜在力のある5つの分野(食品、天然素材、環境、健康福祉、コンテンツ)ごとに企業や専門家等で構成する研究会を設置しています。

 この研究会では、研究会参加企業の持つ様々なアイディアの事業化に向け、マーケティングをテーマとしたセミナーや、企業間のマッチング、専門家の派遣、ハード・ソフト両面を対象とした補助金、アンテナショップや展示会への出展など、個々の課題やニーズに応じたきめ細やかな支援を行っています。

 これまでの支援を通じて、食品の分野では高齢者向けの柔らかい食品の開発や健康福祉の分野では医療・介護用の使い捨てタオルの開発、コンテンツの分野では動植物園・水族館スマートフォンアプリの開発など、39件の事業化プランを認定し、そのうち、26件が事業化されました。その結果、売上高が約1億7千万円増加(累計)し、22名の新規雇用が創出されるなど、徐々に成果が見え始めています。

 こうした成果を拡大していくため、 (財)高知県産業振興センターや金融機関、公設試験研究機関等の連携をさらに強め、参加企業の増加や企業間連携を促進するとともに、専門家の派遣やアンテナショップ、展示会への出展を促進するなど、事業化プランに対するフォローアップを強化・拡充してまいります。

(写真) 成長分野育成支援研究成長分野育成支援研究会会(会員数:264)

 5つの分野のうちコンテンツの分野では、ソーシャルゲームやその他のコンテンツビジネスの起業化に向けた支援を行っています。

 ソーシャルゲームについては、今年度から「まんが王国・土佐」の強みを生かして、「高知県ソーシャルゲーム企画コンテスト」を官民協働により実施し、人気ゲームとなる可能性を秘めた、斬新で面白いシナリオやキャラクターの企画を募集しました。

 コンテストには50作品の応募があり、入賞した3作品のうち、1作品は1月下旬に商品化され大手ソーシャルネットワークサービス会社のサイトにおいてサービス提供が開始されています。この事業には、既に県内6社が参加しており、ゲーム開発のノウハウが県内に蓄積されています。

 また、クリエイターの収入増を目指して平成22年度から「高知コンテンツコンテスト」を開催しています。

 今年度は2作品が優秀賞に選定され、東京での国内最大級の見本市に出展した結果、優秀賞受賞者の1名に大手出版社からイラスト制作の発注がありました。

 その他、契約には至っていないものの、商談が継続中の案件が複数あり、具体的な成果が見え始めてきたところです。

 このコンテストは来年度も実施して、広く県内から優良なコンテンツを募集し、ビジネスにつなげていきたと考えています。

(企業立地の推進)

 企業立地については、助成制度を全国のトップレベルに拡充し、農林水産物に付加価値を付ける食品加工などの地域資源を活用する分野、本県製造業の高度化や県内で製品を一貫生産をしていくうえで不足している業種、女性や若者からのニーズの高いコールセンターなどに重点をおいた誘致活動に取り組んでいます。平成23年度は、これまでに継続的な誘致活動により新たに19件の企業立地が実現しました。

 また、県内企業の設備投資を後押しするため、平成24年度より新たな助成制度を創設いたします。

 加えて、本県の積年の課題である資本・産業集積の乏しさを克服するためにも、全国的にニーズが高まっている防災関連の産業の育成に取り組んでいきたいと考えています。

 南海地震対策を進めていくと同時に県内の経済が活性化していく。その県内の活性化がさらに南海地震対策につながって人の命を救う。そういった好循環を是非つくり出していきたいと考えています。

 平成23年度『正念場!産業振興計画』としてバージョンアップした産業振興計画の取り組みについてご紹介してきましたシリーズは今回で最終回となります。

 平成24年度からスタートする第2期計画では、県勢浮揚に向け、今まで以上に官民協働の取り組みを進めるため、県民の皆様と成功のイメージを共有できるよう、目指すべき10年後の将来像や各産業分野の目標を明確に掲げることとております。

 2月議会でのご議論、ご意見、2月27日まで1ヵ月間実施しましたパブリックコメントによる県民の皆様からいただいたご意見なども踏まえ、県民の皆様に納得いただける計画にしたいと考えています。

 この政策トピックスでは、新年度から新たなシリーズとして第2期産業振興計画の飛躍への挑戦の取り組みをご紹介したいと思います。

【問い合わせ先】

  工業振興課      電話 088-823-9724   電子メール 150501@ken.pref.kochi.lg.jp

  企業立地課      電話 088-823-9693   電子メール 150201@ken.pref.kochi.lg.jp

  まんが王国土佐推進課 電話 088-823-9711   電子メール 141701@ken.pref.kochi.lg.jp


 

<7>第一次産業 〔平成24年 3月22日〕 

 

 シリーズ『正念場!産業振興計画』の7回目となる今回は、第一次産業の取り組みについて、ご紹介します。

【農業分野】

 農業分野では、「競合に打ち勝つ高知ブランドを再構築」と「新たな取組による農業・農村の発展」を戦略の柱を掲げ、環境保全型農業の推進やまとまりの形成による全国トップクラスの園芸産地の再構築、「高知ブランド」を全国に売り込む流通・販売の強化、中山間地域を維持・活性化し所得確保につなげる集落営農、地域農業を支える担い手の確保・育成などに取り組んできました。食品加工場

 その結果、天敵の利用など環境保全型農業の面積が広がるとともに、篤(とく)農家の優れた技術を生産者同士が学び教えあう取り組みによって、出荷量の増にも結びつくといった成果も現れています。

 また、中山間地域における「こうち型集落営農」の取り組みでは、平成22年度までに16のモデル集落が立ち上がり、園芸品の導入や協業化等により、農産物の販売額が平成19年の4千3百万円から、平成23年は1億2千9百万円へと増加しました。

 さらに、担い手の確保対策では、就農を希望する方へのPR、研修、就農準備など段階に応じた支援が実施され、新規就農者数は、平成22年度に197名、平成23年度に234名と、目標の年間170人を上回る確保につながっています。

 こうした成果をさらに本県農業全体の底上げや農業者の所得向上につなげるためには、生産から流通・販売の各段階において、様々な課題が残されています。

 そのため、第2期産業振興計画では、これまでの取り組みや成果を基礎に、より高度な生産技術の構築・普及による生産力の向上や、本県こだわりの農業を消費者に十分に伝える販売の強化、さらには集落営農の県内全域への広がりや、農産物加工など6次産業化の推進、担い手の確保・育成に加え、個々の経営力の強化などの取り組みを進めます。

【林業分野】

 林業分野では、本県の豊かな森林資源を生かし、山の産業を元気にする取り組みを進めています。木質ボイラー

 代表的な取り組みの一つである「森の工場」では、所有者の協力によって森林を集約することで、作業道の開設や林業機械の導入を行いやすくし、効率的な森林の手入れや木材の伐採・生産を進めており、これまでに合計100工場、4万ヘクタールを超える「森の工場」が整備されています。

 また、成熟し、利用される時期へとさしかかった本県の森林資源を十分に活用できる体制を整えるため、全国に販売チャンネルを持つ県外企業の大型製材工場の誘致を進め、平成25年度に操業開始(平成24年度施設整備)される見通しとなりました。こうした取り組みに加え、県内事業者による共同大型製材工場の整備や個々の工場の生産力を維持・強化するための設備の更新等も支援していくことで、木材の大幅な増産を進めます。

 他方、増産する木材に対応するため、県や市町村の公共事業や公共施設で県産材を率先して使用するとともに、県産材を利用した木造住宅の建築やリフォームにも支援するなど、需要の拡大にも取り組んでいます。

 さらに、関東、東海、関西、九州の10カ所に県産材の流通拠点を設置し、行政と木材関係者が協働で土佐材の展示会や商談会を開催するなど、組織的かつ継続的な地産外商活動も展開しています。

 こうした取り組みに加え、「エネルギーの地産地消」を雇用の創出や県内経済への波及に繋げるため、木質バイオマスボイラーなどの導入を促進しています。

 今後は、成熟した森林資源をダイナミックに活用した所得の向上と雇用の創出を目指し、大幅に増産される木材を、一本の木に例えれば、幹から枝葉まで、用途で言えば、建築材から、チップ、エネルギー利用まで最大限に活用していく取り組みに、関係者と一体となって挑戦していきます。

【水産業分野】

 水産業分野では、「今後も持続する漁業・漁村の構築に向けた戦略」として、水産物の前処理加工の事業化をはじめ定置網、大阪や築地などの県外消費地市場と県内産地市場の関係者の交流会の開催による人的ネットワークの構築や、高知県漁協による県内量販店との直接取引、県外の市場・業務筋への販売などの地産地消・外商活動の展開に取り組んできました。

 また、佐賀地区におけるカツオ一本釣り漁業で使用する活餌(かつじ)(生きたイワシ)の供給事業、カツオのタタキ作り体験など漁村での体験型観光メニューの磨きあげやプログラム化等にも取り組んできました。

 こうした取り組みの結果、一部の地区で浜値の向上が見られたほか、活餌供給事業を開始した佐賀地区ではカツオの水揚げが増加しましたし、また、体験型観光メニューのプログラム化に取り組んだ地区では平成22年度には体験者数が7,052名となり、平成21年度と比較して約1千人の増となるなどの成果が現れています。

 一方で、養殖漁業や種苗生産などの生産や加工、流通過程における更なる民間活力の導入、高鮮度物流やリードタイムの短縮等に向けた新たな物流の構築など、乗り越えるべき課題も明らかになってきました。

 今後は、これまでの取り組みで前進したことや乗り越えるべき課題を踏まえ、「今後も持続する漁業・漁村の構築」が実現できるよう、引き続き関係者の皆様と取り組みを進めていきます。

 次回は新産業の創出・企業立地の推進について、ご紹介します。

【問い合わせ先】

  農業分野  農業政策課   電話 088-821-4510   電子メール 162201@ken.pref.kochi.lg.jp

  林業分野  林業環境政策課 電話 088-821-4572   電子メール 030101@ken.pref.kochi.lg.jp

  水産業分野 水産政策課   電話 088-821-4828   電子メール 040101@ken.pref.kochi.lg.jp

 


 

<6>観光分野 〔平成24年 3月22日〕 

 

 シリーズ『正念場!産業振興計画』の6回目となる今回は、観光の取り組みについて、ご紹介します。

(博覧会の開催)

 観光産業はすそ野が広く、即効性があることから、産業振興計画の重点分野として戦略的な展開を図ってきました。中でも、大河ドラマ「龍馬伝」の放送に合わせて平成22年1月から約1年にわたって開催した「土佐・龍馬であい博」は、産業振興計画のリーディングプロジェクトとして位置づけ、官民一体となって様々な取り組みを進めてきました。

 「土佐・龍馬であい博」では、4つの会場の入込客の目標を合計で65万人としていましたが、結果はそれを大きく上回り92万人を超えました。また、平成22年の県外観光客の入込数は、産業振興計画の目標の400万人を上回る435万人を記録しました。日本銀行高知支店の発表によると「龍馬伝」放送による経済波及効果は、535億円にのぼるほか、地域雇用の拡大にも大きなプラス効果をもたらすなど、他の産業をけん引する役割を果たすことができました。

 大河ドラマは観光振興にとって、放送される年は大きな追い風となりますが、これまでの例では、放送終了後の観光客の入込が放送前年よりも下回るケースが見られます。

 このため、本県では大河ドラマ放送前年の入込数(平成21年315万人)を下回らないことを目標として、龍馬を育んだ土佐の風土をまるごと体験していただく「志国高知 龍馬ふるさと博」を平成23年3月5日から今年3月末まで開催しているところです。

 「志国高知 龍馬ふるさと博」では、「歴史」「花」「食」「体験」といった本県の強みを生かし、高知駅前のメイン会場を中心に、東部から西部まで14の既存観光施設を地域会場として、様々なイベントを実施しながら、より一層地域周遊の促進を図ってきました。

 こうした取り組みの結果、「龍馬ふるさと博」の開幕直後に発生した東日本大震災や、高速道路料金上限1,000円の廃止、度重なる台風の襲来など、本県観光にとって厳しい状況もありましたが、平成23年の県外観光客の入込数は、目標の315万人を大きく上回り、これまで最高であった平成22年につぐ、約370万人前後になるのではないかと予想しています。「志国高知 龍馬ふるさと博」の様々な誘客戦略が功を奏したものと考えています。

(新たな観光の動き)室戸ジオパーク

 これまでの取り組みの中、地域には有望な観光資源が生まれてきています。観光分野の成長戦略や地域アクションプランによる支援を通じて、世界認定を受けた「室戸ジオパーク」や「海洋堂ホビー館四万十」といった全国からの誘客の核となる観光資源や、龍馬ゆかりの地を巡る「土佐っ歩」のような体験プログラムなどが各地に生まれ、本県観光のポテンシャルを再認識したところです。

 また、仁淀川や物部川、嶺北地域では市町村の枠組みを超えた広域観光を推進する広域観光協議会が誕生しました。協議会では、点在する観光資源を組み合わせて広域周遊プランを作成し、旅行会社へのセールスを行うなど、スケールメリットを生かした情報発信や誘客活動を展開していますが、地域の周遊と滞在を促し、観光消費額の拡大につなげていくためには、こうした取り組みをより一層強化していくことが必要と考えています。

 国際観光については積極的なプロモーション活動が実を結び、韓国、台湾からのチャーター便の就航につながりましたし、外国人観光客の接遇研修の実施や観光パンフレットの多言語化など受入態勢の整備も進んでいます。

(全国に通用する観光地づくりへの挑戦)

 このように、本県の観光は大きく前進してきましたが、今後は龍馬ブームが落ち着き、本県の観光にとってまさに正念場を迎えることになります。

 このため、第2期産業振興計画では、これまでの取り組みを通じて得られた成果や財産を最大限に活用し、地域観光の底上げをより一層図っていくための取組を行っていきます。平成24年度からは、その推進組織として新たに地域観光課を設置し、地域の観光資源の更なる磨き上げを進め、核となる観光拠点を中心とした周遊観光を推進していきます。また、地域観光の担い手の育成など、中長期的な視点に立った魅力ある観光地づくりにしっかりと取り組んでいきます。

 あわせて、観光政策課に戦略的プロモーションやスポーツツーリズムへの対応などミッションを明確にしたセクションを設けるほか、観光客の満足度の向上に向けたおもてなし課の体制強化など、観光振興部の組織を改編し、観光コンベンション協会についても、各施策の実効性を高める体制の見直しを行うことにしています。

 そうした体制の見直しのもとに、観光振興部と観光コンベンション協会のセクションがそれぞれカウンターパートとなって連携し、チームとして一体的に取り組むことにより、お互いに作用しあいながら、全国に通用する観光地を目指したさらなる挑戦を続けてまいります。

 次回は「第一次産業」の取り組みについてご紹介します。

【問い合わせ先】

  観光政策課      電話 088-823-9606   電子メール 020101@ken.pref.kochi.lg.jp


 

<5>「ものづくりの地産地消」の取組 〔平成24年 3月 6日〕 

 

シリーズ5回目となる今回は、「ものづくりの地産地消」についてご紹介します。

【「ものづくりの地産地消」を抜本強化】

 前々回、前回と、地産外商の取組についてご紹介しましたが、その外商活動による経済効果を県内に波及させ、雇用や所得の増加につなげていくためには、「外商」のもととなる加工や機械製造をできるだけ県内事業者どうしで行い、県内の受益をできるだけ大きくする「ものづくりの地産地消」の仕組みが必要です。このため、本年度は次の3つの対応策により「ものづくりの地産地消」の抜本強化に取り組んでいます。

(対応策1)ものづくりの地産地消に関する相談・マッチング支援機能の強化

 県内には、優れた技術力をもつ企業もある一方で、「加工や機械の製造をどこに頼めばいいかわからない」という方もおられます。そこで対応策の第1は、ものづくりの地産地消に関する相談・マッチング支援機能の強化です。そのための総合相談窓口として、昨年6月3日に「ものづくり地産地消センター」を財団法人高知県産業振興センター内に設置しました。

 このセンターには、開設して以降、「ブルーベリーを加工できる事業者を紹介して欲しい」、「機器の導入を考えているが県内で対応できる事業者を紹介して欲しい」といった「ものづくり」に関する相談が1月末現在で192件寄せられています。

 補助事業などの支援制度の紹介や、事業者同士のマッチング支援などを通じて、生産者と機械メーカーが連携して、新しい試作機開発を行うといった具体的な動きも出てきています。

 このほかにも、専門技術や最新情報など、様々な相談に対応できるよう、県の試験研究機関をはじめ庁内26機関で構成するプロジェクトチームを設置するとともに、県内での「ものづくり」の必要性への理解と機運を高めるため、県内にある優れた技術を紹介する技術展示会の開催や企業訪問活動を行っています。

(対応策2)県内事業者の企画力・技術力・商品開発力の強化

 ものづくりを進めるうえでのポイントは、商品開発力ですが、その前提として、企画力や技術力などの向上も大変重要です。そこで対応策の第2は、県内事業者の企画力・技術力・商品開発力の強化です。その一つとして、県工業技術センターでは、加工技術力のレベルアップを図るため、事業者による様々な加工食品の試作品開発を支援しています。今年度は、新たに食品加工研究棟を設置し、「果実洗浄装置」や「搾汁装置」、「真空乾燥機」など各種の機器を配置・充実させ1月末現在で、41事業者の方々に132件のご活用をいただいています。

 また、県内で製造されていない機械については、県内の機械製造事業者が工業技術センターなどの技術的なサポートを得ながら、補助事業(ものづくり地産地消推進事業費補助金)を活用して、試作機の開発を行っています。

 この補助金は、これまでに19件の案件に活用されており、今年度は、開発期間が複数年にわたる事業にも柔軟に対応できるよう、制度の拡充を図っています。

(対応策3)県内に不足している業種・工程や新たな成長産業の誘発

 ものづくりの地産地消を進めるうえで、どうしても県内に不足する業種や工程については、新たに企業立地を進めることも必要です。そこで、対応策の第3は、県内に不足している業種・工程や新たな成長産業の誘発です。このため企業立地を促進するための県補助金を活用して、新たに設備投資を行う場合には、県内・県外企業を問わず、全国トップクラスの補助率にかさ上げして支援しています。

 今年度は、この拡充した制度を活用して、既に10件のものづくり企業の立地が実現しています。

【今後の課題】

 これらの対応策により、県内事業者間で付加価値を生み出す仕組みが本格的に動き始めました。しかし、その効果を広げるためには、県内事業者の方々に一層の参画をいただき、県内の多様な「技術力の見える化」の機会やものづくり系企業の外商機会をさらに増やしていくことが必要です。また、地場企業が将来にわたり競争力を保ち続けるための支援策の強化という点についても、様々な県内ニーズを正確に捉えるという視点を大切にしていきたいと思っています。

 これから「ものづくりの地産地消」の取組が進み、メイド・イン・高知の商品が全国に羽ばたき、県全体の元気につながっていくよう、「ものづくり地産地消センター」を中心に、さらに取組を進めて参ります。

 また、県では「ものづくりの地産地消」の促進を図るため、様々な支援策を用意していますので、積極的にご活用いただきたいと思います。支援策の紹介をはじめものづくりに関することでしたら、お気軽に「ものづくり地産地消センター」にご相談ください。

 次回は、「観光分野」の取り組みについてご紹介します。

[問い合わせ先]

  計画推進課         電話 088-823-9334 電子メール120801@ken.pref.kochi.lg.jp

  ものづくり地産地消センター 電話 088-825-7100 電子メールmono@kochi-joho.or.jp

ものづくり地術展示会

(写真解説)

本年6月に開催した「ものづくり地術展示会」。

29事業者が出展し、4,300人の方に来場いただきました。


 

<4>外商の強化(その2) 〔平成24年 3月 6日〕 

 

 シリーズ『正念場!産業振興計画』の4回目となる今回は、農業、林業、水産業及び商工業における外商の強化の取り組みについて、ご紹介します。

【農業分野】

 農業分野では、環境保全型農業など高知県の特徴的な取り組みを理解していただける関東2社、関西3社の量販店と信頼できるパートナー関係を構築し、高知フェアの開催や高知野菜コーナーの設置など、県産青果物の販売拡大に取り組んできました。また、県産青果物の生産から流通までのプロセスやこだわりなどを消費者に伝える、産地の「見える化」により、県産青果物の存在感や訴求力を高める取り組みにも力を入れています。

 その結果、環境保全型農業など本県の取組に対する消費者の認知度アンケートの結果、着実に認知度が向上し、販売店などからも「安全・安心面で優先的に購入されている」といった評価が得られています。さらに、今園芸年度からは、環境保全型農業の取組が消費者により伝わりやすくなるよう、表示するマークを一新し、PRを図っていきます。

     「高知県産青果物の新ブランドマーク」

エコシステムのマーク特別栽培農産物のマーク

 また、畜産物についても、関東、関西をはじめ、愛知県や岡山県などのこだわりをもった量販店や飲食店にターゲットを絞り、試食販売会や商談会などの外商活動を展開してきました。これらの取り組みにより、県外の新規取扱店舗数は、平成21年度から平成22年度の2年間で91店舗となり、着実な販路拡大につながっています。

 今後も、高知県の「こだわり」を消費者に伝え、訴求力を高める取組の強化や、品質面や供給力など消費地の要望に対応できる産地づくりに取り組むことにより、競合に打ち勝つ高知ブランドの確立を目指します。

【林業分野】

 林業分野では、昨年6月に県内業界が連携して外商活動の核となる「土佐材流通促進協議会」を設立し、東京、名古屋、大阪で土佐材セミナーや展示会を開催するなど、意欲の高い企業20社程度が一体となって大消費地での土佐材の本格的な外商活動をはじめました。

 こうして、土佐材の知名度の向上や新たな販売先の開拓に取り組んだ効果もあり、土佐材を使用した住宅づくりを進める県外の工務店や設計事務所等を「土佐材パートナー企業」として登録する制度を今年度からはじめたところ、1月末時点で32社の企業に登録していただきました。

 また、土佐材の輸送の効率化や流通の利便性の向上に向けた取り組みも進めており、1月末時点で大消費地10箇所(関東3、東海1、関西5、九州1)に流通拠点を設置し、土佐材の販売拡大に向けて取り組んでいます。

 今後、県外販売を大きく伸ばしていくためには、積極的な販路開拓や注文への迅速な対応、さらにJAS製品や産地ブランド材など多様な品揃えで商品力を高めることが必要ですので、今までの外商戦略をもう一歩進め、営業力や供給力を強化していきます。

 そのため、今年2月から3月にかけて、東京都心の高層ビル1階のメインフロアーに土佐材を使用した実物大モデルの住宅構造体を設置し、和紙や漆喰なども含めた土佐の自然素材を使った製品をPRする土佐材展を開催しており、これを機に本格的に関東進出を目指していきたいと思います。

土佐材を使った住宅モデル1

土佐材を使った住宅モデル2

【水産業分野】

 水産業分野で産地市場の関係者との交流会は、「土佐の魚(いお)」の外商を強化するため、消費地と産地の人的ネットワークの構築を目的とした大阪や築地市場などの関係者と県内の水産物の水揚げ地にある産地市場の関係者との交流会の開催や、高知県漁協によるキンメダイを主体とした神戸、京都等への試験出荷の開始などの取り組みを行ってきました。

 その結果、県外での高知県フェアの開催や商談の機会の増加など消費地と産地の結びつきが強まり、県外における本県水産物の認知度が高まりつつあります。

 また、カツオ・キンメダイ・ゴマサバの3魚種を地産外商加速化品目に選定し、首都圏の飲食店でのフェアの開催や、県外の消費地市場へPRを行うなど、「土佐の魚(いお)」を全国に売り出すとともに、昨年10月には高知県漁協とかつお流通対策協議会が、資源・環境に優しい漁業の認証制度であるマリン・エコラベル・ジャパン(MELジャパン)の認証を取得するなど、「土佐の魚(いお)」のブランド化の取り組みも進めています。

マリンエコラベル認証の授与式

マリンエコラベルのマーク

 一方、高知県は大消費地に遠いという地理的ハンディがあることから、今後は、「土佐の魚(いお)」を鮮度の良い状態で県外の消費者の方々に食べていただくことができるよう、魚が消費地に届くまでの時間を短縮するための新たな物流の構築に取り組んでいきます。

【商工業分野】

 商工業分野では、優れた技術や製品を持ち県外での受注拡大に意欲ある企業を支援するため、大都市で開催される見本市への県ブースの設置や県外有力企業と県内企業との受発注のマッチングを支援する商談会の開催、インターネットを活用した「高知県製造業ポータルサイト」による情報発信の強化など、機械金属加工系などのものづくりに関しても、積極的に外商機会を確保し、新規取引先の獲得、受注拡大に向けた取り組みを行ってきました。

見本市

 見本市では、「高知県」という看板を掲げたブースを県が設置し、県内の企業が出展しています。平成22年度の展示会参加企業の成約件数は368件になり、出展した県内企業からは「1社で出展すると大規模な見本市では埋没するが、県ブースとして出ると目立ち、PRを行いやすい。」など高い評価をいただいています。本年度も東京、大阪、名古屋で開催される見本市に延べ27社が出展しています。

 商談会では、他県の産業支援機関と連携して大規模な商談会を開催するなど、平成22年度に開催した6回の商談会で884件の成約につながっています。また、本年度からは独自で小規模な商談会を県内外で開催し、県内企業の販路拡大に向けた支援を行っています。

 また、製造業ポータルサイトは、現在88社の会員企業が各社の技術や製品等をインターネットで公開して、県外の企業からの受注拡大に向けたPRを行っています。

 高知県は大都市圏から遠く、不利な条件もありますが、全国から多くの業界関係者が集う見本市への出展などに積極的に取り組み、技術・製品の特徴や優位性などのPRを行うことにより、今後も外商の強化に取り組みます。

次回は、ものづくりの地産地消の取り組みについて、ご紹介します。

[問い合わせ先]

 農業分野:農業政策課 電話:088-821-4510 電子メール162201@ken.pref.kochi.lg.jp

 林業分野:林業環境政策課 電話:088-821-4572 電子メール030101@ken.pref.kochi.lg.jp

 水産業分野:水産政策課 電話:088-821-4828 電子メール040101@ken.pref.kochi.lg.jp

 商工業分野:商工政策課 電話:088-823-9692 電子メール151401@ken.pref.kochi.lg.jp


 

<3>外商の強化(その1) 〔平成24年 3月 5日〕 

 

 本県では、平成2年から、全国に15年先行して人口が自然減少しており、県内市場はどんどん縮小しています。

 また、輸移出から輸移入を差し引いた本県の県際収支は、約6,000億円もの大幅な赤字となっています。こうした状況に打ち勝っていくためには、より活力ある県外市場にモノを売って、「外貨」を稼ぐための施策を展開していくことが重要です。

 今回は、その「外貨」を稼ぐための「外商の強化」の取り組みについてご紹介します。

【「まるごと高知」を中心とした首都圏での外商活動】

 「外商の強化」の推進母体となる一般財団法人高知県地産外商公社を平成21年8月に設立し、そして、平成22年8月には首都圏での外商拠点となる高知県アンテナショップ「まるごと高知」がオープンしました。ンテナショップ「まるごと高知」

 「まるごと高知」では東日本大震災の影響がある中、オープンから1年間で約70万人にも上る多くのお客様にご来店いただき、売上額も物販・飲食の両部門を合わせ約3億9千万円と目標をほぼ達成することができました。

 更に、約300の県内事業者の皆様の3,000を超える商品を販売することで、首都圏に高知県の様々な商品を紹介することができました。この中には、初めて首都圏で販売した事業者の方もあり、店舗を活用した商談会などの外商機会、首都圏での販売機会の提供というアンテナショップの役割を果たしています。

 店舗での商品販売に加えて、店舗で得た首都圏の消費者の皆様の声などを商品の磨き上げにつなげていただくために情報をお返し(フィードバック)することも「まるごと高知」の大きな役割です。

 「まるごと高知」では、オープンからの1年間に店頭で実施した38商品のテストマーケティングの結果を各事業者にフィードバックするとともに、日々の購入者の性別や年齢層などの売上データについてもお返ししました。このほか、店舗に並べる全商品の食品表示チェックを行い、改善することが望ましい240商品について事業者の皆様に情報をお伝えしました。

 「まるごと高知」は、物販での販売、飲食での本県産食材の提供など、まさに首都圏における県内事業者の方々の営業の拠点です。事業者の皆様には「まるごと高知」を自らの店ととらえていただき、店頭での商品販売はもちろんのこと、新商品等のテストマーケティングやイベントスペースでの催事なども積極的に活用していただきますようお願いします。「まるごと高知」からも、引き続き、首都圏の状況をお知らせしていきます。

 「まるごと高知」のほか、地産外商公社では、首都圏の量販店や飲食店との取引に向けた仲介・あっせん活動を中心に213社と708件の商品について商談が成立いたしました。

 その成約金額については、県内事業者の皆様へのアンケートで把握していますが、1年間換算で約3億5千万円にのぼると推計しています。今後、取引が続くことで、その額は年を重ねるごとに累増していくものと期待しています。

 また、地産外商公社では、テレビや雑誌などメディアへのプロモーション活動にも積極的に取り組んでいます。その活動の結果、メディアへの露出による広告効果は昨年度末の取りまとめで、17億円を超えると試算されており、観光面も含め広く「高知県」のPRにつながったものと考えています。

★★「まるごと高知」の営業時間や問合せ先はこちら★★★

⇒「まるごと高知」http://www.marugotokochi.com/

 

【大阪・名古屋事務所の外商機能の強化】

 首都圏以外でも、関西地区や中部地区では地産外商公社との連携のもと、県大阪事務所、名古屋事務所が外商機能を大幅に強化して精力的に取り組みを進めています。

 続いて、大阪と名古屋の両事務所の本年度の主な外商活動の取組事例をご紹介します。

 まず、関西地区では、大阪事務所を中心に高知県及び高知県産品の認知度の向上と県産品の販路拡大を目指し、平成21年度から関西地区地産外商戦略に取り組んでいます。

 本年度の主な取組としては、9月7~9日に「フードテック2011−国際食品産業展2011大阪」に高知県ブースを初めて出展し、県内企業12社が参加して関西企業のバイヤー等に商品の売り込みを行いました。同じく9月に堺市内の大手量販店で開催された高知フェアには私も参加しセールスを行いました。名古屋フードビジネスショー

 今後も、こだわりの商品を取り扱う高級量販店での高知フェアのほか、昨年に続き、ホテルやレストランのシェフをはじめ、百貨店、スーパーのバイヤー、マスコミ関係者等をお招きして総合的に高知県をPRするための試食商談会「土佐の宴」を開催するなど、県産品の更なる認知度向上に努めていきます。

 次に、中部地区では、昨年5月に中部地区に基盤を置く量販店46店舗で高知フェアを開催したほか、10月には、名古屋市内の大手量販店で高知フェアを開催するなど、平成21年度には4件だったフェアの開催件数が本年度は13件となっており、外商の機会が飛躍的に拡大しています。

 また、食品関係の展示会「NAGOYAフードビジネスショー」には自治体として初めて出展し、土佐はちきん地鶏や米豚などの試食や皿鉢料理の展示などによる高知県及び高知県産品の知名度アップに取り組みました。

 今後も、こうした取り組みを着実に進めていくほか、3月には次年度以降の外商活動をより効果的・効率的なものにしていくための「中部地区地産外商戦略」を取りまとめる予定です。

【海外への地産外商に挑戦】

 産業振興計画では、将来を見据えて輸出の振興を図るため、海外での販路開拓に意欲を持つ企業の皆様を積極的に支援することとしています。

 最後に、海外への地産外商の取組についてご紹介します。海外での展示会

 貿易は、国内取引と違って

 ・国が違う:異なる言語、制度、商習慣、政治・経済状況などの意思疎通のリスク

 ・通貨が違う:為替変動のリスク

 ・相手が見えづらい:企業信用のリスク

 ・輸送距離が長い:貨物損害のリスク

 ・商品受取りと代金支払いに時間差がある:代金回収のリスク

など、様々な困難が伴いますが、県内はもとより、国全体の消費が縮む中では、活路を海外に求め打って出るための挑戦は続けていかなければなりません。

 これまで、国内外での商談会の開催や展示会への出展、フェアの開催など、シンガポール事務所や上海事務所が海外での支援を行いながら多様なビジネスマッチングを創出することで販路開拓を進めてきました。こうした取り組みに加え、平成21年7月からは高知県貿易協会に貿易実務経験のある貿易促進コーディネーターを配置し、専門的かつ実務的なアドバイスなど、きめ細かな支援を行うことで、新たに貿易に取り組む事業者が増えてきています。

 更に、本年度は、世界の飲食業界に大きな影響力のあるフランスにおいて、本県が大きな強みを持つ「ユズ」の賞味会を開催いたしました。高い評価を受けたユズは新たな輸出にもつながっています。

 

【乗り越えるべき課題】

 このように首都圏をはじめ、関西・中部地区など全国各地で、さらには海外でも精力的に外商活動が拡大し新たに挑戦する事業者が増加するなど、県内事業者の方々の外商活動も活発化してきました。

 しかし、競争が厳しい大都市市場で勝ち抜いていくためには、更なる努力が必要です。大都市市場と生産地間相互の情報交換の更なる活発化や、商品の競争力の強化、地理的なハンディを克服するための新たな物流を構築することも必要だと考えています。また、海外では、高知県はまだまだ知られておらず、新たに挑戦しようとする事業者にはハードルが高い状況です。県ではこれまでの挑戦の継続・定着に向けて、更に高いレベルを目指し他県との競争を勝ち抜く施策の強化に努めていきます。

 次回は、農業、林業、水産業及び商工業に係る「外商の強化」の取り組みについて、ご紹介します。

 

[問い合わせ先] 地産地消・外商課 電話:088-823-9738 電子メール120901@ken.pref.kochi.lg.jp


 

<2>地域アクションプランによる地域の取り組みの支援 〔平成23年11月30日〕 

 

 今、地域地域で産業振興につながる様々な「仕掛け」や「仕組み」が動き出し、地域の元気な実践者の皆様が活躍する場が広がっています。今回は、その具体的な行動計画である「地域アクションプラン」の取り組みのへ支援についてご紹介します。

 

 産業振興計画の「地域アクションプラン」では、おいしい野菜や魚、良質な木材、豊かな自然や風景など、地域にある強み(資源)を活かした227の取り組みが進められています。

 県内7つのブロックに地域本部を設置し、227の取り組みの一つひとつに実行を支援するチームを置いて、総合補助金による加工品の開発や加工施設の整備、観光資源の磨き上げなどへの支援を行うとともに、専門家の派遣や人材育成研修の実施など、ソフト、ハードの施策を組み合わせて、きめ細かくサポートしてきました。

 

 その中でも平成21年度から創設された総合補助金の活用により、ユズやうるめの加工など平成22年度までの2年間で30件の農水産加工の取り組みが始まるとともに、20件の観光資源の磨き上げが行なわれ、室戸ジオパークや海洋堂ホビー館四万十に代表されるような地域の新たな核になり得る観光資源も誕生しました。

 これらに伴い、地域の雇用や売上の増加など補助事業の効果に効果が表われ始めています。

 例えば、平成21年度に総合補助金を活用した事業(43事業、補助額6.7億円)のうち、事業効果が直接把握できる31事業について見てみますと、25事業で売上が増加し、その額は8.8億円となっています。この額は、単年度のものですので事業継続により図のように累積していき、さらに大きくなっていきます。

 また、こうした売上以外にも、様々な効果があります。例えば、「魚梁瀬森林鉄道遺産を活用した交流人口の拡大」の取り組みでは、昨年度、旅行商品化されたことにより、前年より1,000名以上多い観光客が地域を訪れ、お土産・食事・宿泊など地域への経済波及効果も生まれています。

 さらに、地域アクションプラン全体としては、補助事業の導入や国の雇用対策事業の後押しなどにより、平成22年度末で500人の雇用の創出にもつながっています。

 このように地域に雇用や経済効果をもたらす事業が動き出し、成果が表れてきていますが、より大きな花を咲かせ、地域の基幹産業として根付くまでには更なる取り組みが必要です。このため、今後は、これまでの取り組みを通じて見えてきた課題や残された課題に挑戦していきたいと考えています。

 その1つ目は、動き出した事業を軌道に乗せていくための継続的な取り組み・支援です。ソフトやハードの各種支援策を総動員して、動き出した事業が自立できるまで、粘り強く支援を行っていきます。

 2つ目は、より大きな事業、より多くの雇用を生む事業の展開です。地域外との連携、他の産業との連携も意識したダイナミックな取り組みへのサポートや、民間事業者の方の力が十分に発揮されるための仕組みの充実・強化に取り組んでいきます。

 3つ目は、観光の取り組みです。観光は地域の産業振興の大きな力となることから、地域の観光資源を点から線へ、線から面につなげて売り込んでいける体制づくりに取り組んでいきます。

 4つ目は、計画の更なる周知・徹底です。一人でも多くの県民の皆様に地域アクションプランの取り組みにご参画いただくことで「産業振興計画」が更なる大きな県民運動となっていくよう、計画の広報などに取り組んでいきます。

 5つ目は、現場のニーズや実態に応じた制度の改正です。地域アクションプランで活用している県の支援制度を、民間事業者のスピード感にも対応ができるよう改善していきます。

 こうした課題に全力を挙げて挑戦していくことにより、地域経済全体の底上げにつなげていきます。

 次回は、外商の強化について、ご紹介します。

[問い合わせ先]計画推進課  電話:088-823-9334   電子メール120801@ken.pref.kochi.lg.jp


 

<1>実行2年半の取り組みの総括 〔平成23年11月29日〕 

 

 今年度、高知県では、3年目を迎えた高知県産業振興計画について、着実な成果につなげるため、5本柱の改定を行い、更にバージョンアップした取り組みを進めています。

産業振興計画Ver.3 改定の5本柱

URL:http://www.pref.kochi.lg.jp/~seisui/keikaku/pdf/23kai_point.pdf

 「正念場の年」である今年度は、県勢浮揚に向けた歩みを確かなものにするとともに、これまでの取組を総括し、次のステージの計画を作り上げていくという重要な時期でもあります。

 このため、県内各地で開催した「対話と実行」座談会をはじめ各市町村や関係団体、住民の方々との意見交換会等を通して、これまでの実行2年半の取り組みに対するご意見などをお伺いしてきました。

 あわせて、産業成長戦略に関する専門部会や地域アクションプランフォローアップ会議において、それぞれの2年半の取り組みを確認し、9月12日には産業振興計画フォローアップ委員会において計画全体の取り組みの総括を行ったところです。また、この委員会では、次のステージに向けたキックオフとして、これまで高知県が抱える積年の課題に、正面から取り組んできたからこそ見えてきた乗り越えるべき課題や新たに挑戦すべき視点について提起し、議論をスタートしました。

 今回の政策トピックスでは、これまで2年半の取り組みの総括と次のステージにおいて乗り越えるべき課題などについて、まず全体的な取り組み状況などを概括的にご紹介したうえで、テーマごとにシリーズで具体的な内容をご紹介します。

◇県勢浮揚への挑戦

 産業振興計画は、高知県の経済が抱える根本的な3つの課題に正面から取り組んできました。

 その一つが「人口減少により縮小を続ける県内市場」という課題です。高知県の人口は全国に15年先行し自然減(平成2年から)がはじまり、平成9年に1兆9,706億円あった商品販売額は産業振興計画実行前の平成19年には1兆5,932億円に減少し、高知県と県外・国外との取引の状態を示す県際収支も平成17年には6,000億円の赤字という状況にありました。

 二つ目は、「産業間の連携が弱い」という課題です。高知県はいわゆる戦後の重化学工業政策の重点対象地域にならなかったこともあり、資本や産業集積に乏しく、ものづくりが県内で完結できないという状況にあるとともに、射程距離の長い地産外商に繋がるような商品開発力も弱いという状況にありました。

 三つ目は、「強みである第一次産業さえも弱体化」しているという課題です。高知県の農業などは全国的にも優位な分野ではあるものの、就業者の高齢化などにより担い手不足が深刻化しており、第一次産業の弱体化が懸念されています。

 こうした3つの積年の課題に正面から向き合い、県勢浮揚に向け挑戦していくために平成21年4月、官民協働で産業振興計画はスタートしました。

◇実行2年半の取り組み、成果

 産業振興計画の取り組みを進めるにあたり、国への積極的な政策提言なども功を奏して国の臨時交付金の重点配分を受けることができたこと、国の雇用対策事業が講じられたこと、昨年放映された「龍馬伝」による追い風があったことなどは、計画の大きな推進力や後押しとなりました。

 一方で、100年に一度といわれる不況の契機になったリーマンショックの発生や、未だに全国的な影響が癒えない東日本大震災の発生、そして、史上最高値を記録した未曾有の円高など、極めて厳しい社会経済情勢の中での取り組みとなったことも事実です。

 こうした中で取り組んできた実行2年半で、今高知県は産業振興に向け、積年の課題に立ち向かうためのいくつかの「仕組み」が整い、動き出したところだといえます。例えば、首都圏に向けた地産外商の拠点として地産外商公社が動きだし、「外商」のもととなる「地産」を強化する「ものづくりの地産地消」の仕組みも整い動きはじめています。

 また、地域アクションプランにもたくさんの方々にご参画いただき、各地で地域資源を活用した加工や観光など、様々な取り組みが具体的に事業として動き始めています。

 成果が上がり始めたものがある一方で、まだこれからという取り組みもありますが、この間、「外商」の取り組みとして展示会への参加者の増加や、成長分野育成研究会にも多く方が参画していただくなど、産業振興計画への参加者は着実に拡大し、地域の元気な実践者の皆様が活躍する場が広がってきています。

 今後、県経済全体の底上げを図るために、腰を据えて継続的に取り組みを行うとともに、より高いレベルを目指して新たな挑戦を行っていく必要もあります。産業振興計画の取り組みが進んできたからこそ見えてきた新たな課題や残された課題に、更なる挑戦をしていくことが県勢浮揚のために必要であると考えています。

 次回以降は、分野ごとの実行2年半の取り組みの総括と、より高いレベルでの実践、すそ野の広がりに向けた更なる挑戦について、具体的な内容を紹介させていただきます。

【問い合わせ先】  計画推進課  電話 088-823-9334   電子メール 120801@ken.pref.kochi.jp

 

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