シリーズ 『南海地震対策の抜本強化』

公開日 2012年03月26日

更新日 2014年03月17日

 

<2>東日本大震災から1年 〔平成24年3月26日〕 

 

(1)被災地への支援

 マグニチュード9.0という巨大地震による大きな揺れと大津波により、2万人近くもの方が犠牲になられた東日本大震災から1年余りが経過しましたが、今でも避難生活を強いられている方がたくさんおられ、大災害の爪痕は深く刻まれたままです。あらためて、東日本大震災によりお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。

 本県は、地震発生直後から消防防災ヘリやドクターヘリ、災害派遣医療チーム、緊急消防援助隊、県警の広域緊急救助隊や自衛隊、医師や保健師の派遣など救助救援活動や支援物資の提供など様々な支援を行ってきました。

 また、本県に避難して来られた方には、公営住宅を提供するほか、新たに官民協働による生活支援の窓口を設置し、日常生活に必要な物資の提供、就労支援などを継続して行っているところです。

 今後も引き続き、被災者の皆さまに一刻も早く平穏な暮らしが戻るよう、全力で支援をしてまいります。

(2)南海地震対策の取組状況

 今後30年以内に60%程度の高い確率で南海地震が起こるとされている本県にとって、東日本大震災による深刻な被害は決して他人事ではありません。

 県では、これまでの取組をもう一度検証しながら、「今すぐできること」と「抜本的な対策」の2つを大きな柱として、南海地震対策の加速化と抜本強化に取り組んできました。

「今すぐできること」

 「今すぐできること」として、避難場所や避難路の再点検、学校などにおける地震、津波を想定した避難訓練などを実施するとともに、いち早く取り組むことで効果を発揮するものについては補正予算を計上し、対応してきました。

  *南海地震対策関連予算

      H23年度 当初予算108億円、補正総額53億円、最終予算161億円

      H24年度 当初予算169億円

 今回の震災の教訓でもある「まずは逃げること」を基本に、それぞれの地域での津波避難計画の策定と自主防災組織の設立への支援をはじめ、この教訓を少しでも早く正しくお伝えするために啓発冊子※「南海地震に備えちょき」を改訂し、県下各戸へ配布しました。

   ※今回改訂しました「南海地震に備えちょき」は、東日本大震災の教訓を少しでも早くお伝えするために、

     現在の知見を踏まえて作成しました。

     今後、新たな被害想定やハザードマップができましたら直ちに再改訂を行い、県民の皆さまにお伝えします。

 また、住宅の耐震対策に対する支援を拡充するとともに、避難路・避難場所の整備を急ピッチで進めてきました。23年度は津波避難タワー8基(うち設計のみ3基)、避難路や避難場所87ヶ所、避難誘導灯等80基の整備を順次支援してきました。来年度も、津波避難タワーの設計や設置8基、避難路や避難場所の整備152ヶ所、避難誘導灯等の整備115基などを予定しており、スピード感を持って対策を進めます。

津波避難タワー設置予定地津波避難路・避難場所設置場所

その他設備設置場所

津波避難タワー津波避難路津波避難場所

「抜本的な対策」

 「抜本的な対策」については、「命の道」として東日本大震災でも大きな効果を発揮した緊急輸送道路の確保対策を加速化するとともに、海岸堤の整備や液状化対策、浦戸湾内の排水機場の耐震・耐水化など津波の被害を軽減する対策をできる限り前倒しして取り組んできました。

(3)新たな津波被害想定

 現在、国は東海・東南海・南海地震など、南海トラフで発生する巨大地震の新たな被害想定の検討を進めています。新たな想定震源域は、東は東海沖、西は日向灘、南は南海トラフまで拡大されるなど、これまでの約2倍に広がり、これに対応する地震の規模について、マグニチュード9.0クラスとなる可能性があります。

 国において、考えられる最大クラスの地震、津波を想定した震度分布や津波高の新たなシミュレーションを行っており、本年3月末には結果が示される予定です。さらに、秋頃までには、それらに基づく被害想定も公表される予定となっています。

 県としましては、このシミュレーション結果と本県が独自に進めている過去の津波痕跡や古文書などの調査結果と組み合わせて、地域ごとのきめ細かい想定を作成し、年内を目途に県民の皆さまにお示しする予定です。

 国から示される新たなシミュレーションでは、これまでの想定を大幅に上回る津波高となる可能性もありますので、県民の皆さまの生命を津波から守るため、津波避難対策をさらにスピード感を持って進めます。

 避難場所の確保については、平成25年度を目途に概ね完了させることを目指し、引き続き、津波避難計画の策定や避難路、避難場所づくりなどの対策を進めます。

 また、24年度からは、県職員OB、防災士会、県内大学の有識者などで組織する「こうち防災備えちょき隊」を派遣し、県下各地域における津波避難計画の策定や見直しへの支援、福祉施設や学校現場からの様々な養成など、地域の特性や実状に応じたきめ細やかな対応をすることで、県民の皆さまの安全度を日々上げてまいりたいと考えています。

(4)県民の皆さまへ

 今回の震災は、津波からはとにかく逃げることが一番重要であることをあらためて教えてくれました。

 南海地震による被害を最小限にとどめるためには、この貴重な教訓に学び、県民の皆さまに迅速な避難行動を身につけていただくとともに、自主防災活動など、自分たちの住む地域を自分たちで守ろうとする取り組みも大切です。

 各ご家庭にお配りしている「南海地震に備えちょき」などを参考にしていただきながら、ご家庭での備えや地域の防災活動への参加、避難計画づくりなど一人一人ができることから南海地震対策に取り組んでいただきますようお願いいたします。

 

 次回から、平成24年度の取り組みを紹介します。

[問い合わせ先]

 県庁南海地震対策課 電話088-823-9798 電子メール010201@ken.pref.kochi.lg.jp


 

<1>南海地震対策の抜本強化に取り組み、今まで以上にスピード感を持って対応 〔平成23年4月28日〕 

 

 東日本大震災の発生から一ヶ月余りが経過し、被災地では、復旧・復興に向けて懸命に取り組んでおられます。高知県としましても、一日も早い復旧、復興に向け、全力で支援してまいります。

 また、本県は過去から繰り返し地震による大きな被害を受けており、今後30年間で60%程度の発生確率と言われる南海地震への対策は、県政の最重要課題と位置づけ取り組んでまいりました。今回の大震災の、特に津波による甚大な被害を検証し、南海地震対策の抜本強化に取り組み、今まで以上にスピード感を持って対応してまいります。

(1)被害想定の見直し

 前回も触れましたが、本県の南海地震対策は、最大規模の被害を想定して対応を進めています。揺れは中央防災会議の想定よりも大きく、津波は南海地震が本県により近い震源域で発生したものとし、さらに、東西に長い本県の特性を考慮して5つの地点でそれぞれ地震が発生した場合に各地域の最大となる津波高を採用しています。その結果、本県の人的な被害想定は中央防災会議の約1.5倍となっています。

 しかしながら、今回の震災を大きな教訓とし、南海地震対策に生かしていくためには、現在の被害想定につきましても、しっかり検証したうえで見直さなければならないと考えています。国においては、東海、東南海、南海の三つの地震が連動した場合の被害想定を本年度から見直すこととしていますが、今回の地震のメカニズム等を検証し、早期に結果を出すことを強く要望していますし、本県でも津波シミュレーションの再検証が必要になってくると考えています。

 少しでも被害を減らしていくためには、地域ごとにきめ細かく見直していくことが必要です。そのためには、それぞれの地域における過去の津波の状況の把握など、歴史的な記録等を検証する作業が非常に重要となります。市町村や県民の皆さまのご協力を是非お願いします。

(2)現在の地震対策

 地震の被害を軽減するためには、日頃からの備えが重要であり、地域の自主防災組織、事業者の方々の自助・共助の取組が何よりも大切です。そのため、県では平成21年2月に「南海地震対策行動計画」を策定し、自助・共助・公助が一体となった111の取組を掲げ、市町村や地域の皆さまと連携しながら、さまざまな対策を講じているところです。

 一例をご紹介しますと、河川や港などの開口部の閉鎖や急傾斜地の崩壊対策、学校や公共施設の耐震補強、また、市町村が設置する津波避難タワーの整備に対する補助などのハード対策のほか、より実践的な訓練の実施、物資や非常食の備蓄、地域で防災活動をしていただく自主防災組織の設立や津波避難計画の作成に対する支援、災害時に援助が必要となる方々に対する支援体制の整備などといった、いわゆる仕組づくりなどのソフト対策にも力を入れてきています。

 また、南海地震が発生した場合に、県民の皆さまの生命・身体・財産を守り、被害を最小限にとどめるため、人命救助や被災者支援、応急的な復旧など、発生直後から1か月程度の間に県が行うべき対応業務をまとめた「南海地震応急対策活動計画」を平成22年2月に策定し、南海地震に備えています。

(3)再検討プロジェクトチームの立ち上げ

 今回の東北地方太平洋沖地震のかつて経験したことのない大津波による甚大な被害を検証し、上述のような既存の南海地震対策を抜本強化するため、『南海地震対策再検討プロジェクトチーム』を3月末に立ち上げました。専門家の科学的な知見も賜り、南海地震対策について改めて十分な検証を行い、不十分な点があれば「行動計画」や「応急対策活動計画」の追加・強化を行います。

 また、スピード感をもって対応していくため、チームの中に『優先課題検討ワーキンググループ』を設置し、被害想定の見直しを待たずに「もし1週間後に起こったら、1ヶ月後に起こったら・・」と考えて、まずは、今何をしなければならないかを洗い出し、関係部局が連携して速やかに、かつ、効果的に順次実行してまいります。具体的には、市町村や地域の津波避難計画の策定促進、津波避難路・避難場所の再検討などを行ってまいります。

 県民の皆さまにも、家具の固定、非常持ち出し品と備蓄品の点検、避難経路の確認など、できることから着実に取り組んでいただきますようお願いいたします。

 南海地震対策は、「日々、県民の皆さまの安全・安心レベルが上がっていく」という形で進めていくことが重要です。市町村や関係者、県民の皆さまと連携しながら、全力で取り組んでまいります。

[問い合わせ先] 県庁南海地震対策課 電話088-823-9798  電子メール010201@ken.pref.kochi.lg.jp

 

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