知事の定例記者会見(平成24年7月26日)

公開日 2012年07月31日

更新日 2014年03月31日

知事の定例記者会見

平成24年7月26日(木曜日) 14時00分から14時42分  第一応接室

南海トラフ巨大地震対策の中間報告
国のエネルギー戦略(1)
十人十彩のよさこい出場辞退(1)
オスプレイ(1)
十人十彩のよさこい出場辞退(2)
オスプレイ(2)
国の政局
駅前観光施設
原発再稼働
国のエネルギー戦略(2)
ロンドンオリンピック山中詩乃選手への期待

配布資料
 飛躍への挑戦! 産業振興計画 [PDFファイル/1.59MB]

(知事)
 産業振興計画の進捗状況をお伝えします。お手元にお配りしていますのでご覧下さい。一番詳しい資料ですから、適宜ご参照いただければと思います。


南海トラフ巨大地震対策の中間報告

(福井:テレビ高知記者)
 知事も委員を務めている国の作業部会が、南海トラフ巨大地震対策の中間報告を先日発表されました。これまでの会合の中で知事ご自身が最も訴えていたご意見、あるいは提案されたご意見がどういった内容であって、それが中間報告にどういうふうに反映されているのか。
 また、最終報告に向けて、どういうふうに臨んでいくお考えかお伺いします。

発表する尾﨑知事(知事)
 南海トラフ巨大地震対策についての中央防災会議の中間報告については、私どもが主張してきたことをしっかり反映していただいていると思っています。
 特に主張させていただいた点として、まず第一に、南海トラフ巨大地震対策は、やはり国策の中心に据えて取り組むべきであり、それをしっかり担保するためにも特別措置法を制定して取り組んでいくべきではないかということを強く主張しました。そのことが中間報告にはっきり明記されていることから、その点を評価したいと思います。

 さらに、当面のことになりますけれども、全国防災対策費や緊急防災・減災事業債といった、全国防災のために現在行われている非常に有用な制度を継続すべきだと強く訴えてきた点も明記されていることから、評価したいと思います。

 また、その他の点についてもいろいろと議論をさせていただきましたが、例えば、津波対策について、特に3月31日に発表された甚大な想定として、レベルII〔1000年に1回発生すると想定される最大級の津波〕に対応するような、様々なかたちでの津波避難対策を具体的、物理的に遂行していくための意思と道筋を明確にしていく必要があることを強く訴えてきました。今回、レベルII対応の津波避難空間の整備を進めるべきだとか、そういう主張がしっかりなされている点など、提言の中にいろんなかたちで我々の主張してきた事が盛り込まれているんじゃないかなと思っています。

 ワーキンググループの中でも、私自身主張してきたところですが、現在の中間報告のほとんどの内容は、発災時において人の命を守るためにどうすべきなのか、そのために事前にどういう準備を進めていくべきなのかというところに力点が置かれています。
 今後、応急対策、復旧・復興ステージでどのような対策を講じるべきなのか、発災後の時間軸をだんだん長くとっていき、それぞれの時期の対応策を考えていくべき段階に入ってくると思っています。

 今回の中間報告では、特に応急対応について人命に関わる点があるので、その点をできるだけ詳しくということを私はお話しさせていただきました。とはいえ、まだまだ一定の方向感を示すような形にしかなっておらず、今後より具体的な対策について、書き込んでいくような取り組みをしていかないといけません。

 さらには復旧復興の段階になってくると、視野に入れていかなければならない事項が、おそらく幾何級数的〔前の値と比べて数倍の勢いで増大・変化し続ける〕に増えていくと思います。そういうことについて、我々自身も検討内容などを生かしていきながら、ワーキンググループの場などで積極的にいろいろ提案させていただきたいと思います。
 冬ぐらいまでに、とりまとめを行っていくということですから、積極的にワーキンググループの場で提言するようにしていきたいと思います。


国のエネルギー戦略(1)

(福井:テレビ高知記者)
 知事は、新しいエネルギー大綱で、原発からの依存度を下げる道筋を国がしっかり示すべきだというお考えだったかと思うんですけども、現在各地で行われている意見聴取会について、どういうふうに捉えているのか。それとあわせて、改めて今後の大綱に向けた要望を教えて下さい。

(知事)
 意見聴取会については、電力会社の職員の方が発表されるなど、いろいろ報道もされていますが、国民の皆さんからいろいろ意見を聴く場だということであれば、確かに過去のいろんな経緯があったとしても、できる限りいろんな人から意見を聴くようにすべきと思います。ただ、過去に「やらせ」が非常に大きな問題になったことに鑑みれば、やはり、いろんな方の反発を招くのではないかということは、事前に想定しておいたほうが良かったのではないかと思います。

 今後いろんなかたちで、いろんな方の意見を聴くようにすべきだと思います。国民の皆様方の意見を幅広く聴くような場をたくさん設けていき、学者の先生方や専門家の方々のご意見、この中には例えば、電力会社の方なども入るんだろうと思います。さらには、経済界の方々のご意見など、いろんなかたちでいろんな分野の方々からご意見を聴く場を設けていくことが重要ではないでしょうか。是非、政府にはそういう趣旨を達するような行動をしていただきたいと思っています。

 今回、意見聴取会の結果などを受けて、新しいエネルギー大綱についての議論が行われようとしていることについて、評価するところと、注文をつけたいところと両方あると思っています。
 まず評価するところは、原発への依存度を将来に向けて徐々に下げていくという方向感を明確にしている点です。(エネルギー・環境の)選択肢として、3つのシナリオと言っていますけども、いずれも現状より下げていく方向にあるという点については、評価できると思います。

 さらに、実効性を担保するために、数値目標を明確に掲げてやっていこうとしていることについては、「絵に描いた餅にしない」という点からしても、非常に重要な点ではないかと思います。
 ただ、次の二点は是非、今後留意しながら対応すべきではないかと思います。第一の点は2030年に原発への依存度をどれくらいにできるかは、科学技術の発展度合いがどうであるかとか、社会システムがどうなるかということに大きく影響を受けるだろうと思っています。

 数値目標を定めていくことは非常に重要だと思いますが、その数値目標を達成するための具体策をどうするのか。例えば、新エネルギーの発電効率をもっと上げていくための研究や、蓄電技術の開発について国家的な課題としてこういうかたちで取り組んでいくとか、具体的な道筋を示していくことが非常に重要ではないかと思っています。

 第二の点として、毎年数値目標の見直しをしていくことが非常に重要だと思います。今年はこういう数値目標を掲げ、やってきた結果として、より依存度を減らす可能性が出てきたので、数値目標そのものを見直すとか、そういうことの積み重ねを今後先々に亘ってやっていくことが重要ではないかと思っています。まさにPDCAサイクルを回すことが必要だと思います。


十人十彩のよさこい出場辞退(1)

(福井:テレビ高知記者)
 先だって、よさこいチームの「十人十彩」の件で、責任者が暴力団の恐喝未遂事件に関与していたとして逮捕、起訴されております。それを受けまして、チーム全体としても出場を辞退されたということになったわけですけれども、この事件について知事は率直にどう受け止めているのか。
 また、これを機に、県としても、例えば暴排条例をさらに今後適用していくうえでも、考えている対応ですとか、あるいは県民に問いかけたいメッセージがあればお願いします。

(知事)
 十人十彩さんというと、実力、人気ともにすごいチームでしたから、出場辞退になったのは本当に残念だと思います。また、特に踊り子の皆さんの無念さに思いを致せば、なおさら残念だと思います。他方で、県民挙げて暴力団排除に取り組んでいる時ですので、やはり、今回の出場辞退に至ったことは、残念ですが止むを得ないことなのかなと率直に思っています。

 この暴力団排除条例の趣旨を今後徹底し、また具体的な取り組みを官民挙げて進めていかなければならないと思っています。そのためのキーワードとして、啓発活動をより一段しっかりやっていくことと、もう一つは、関係者の皆さん同士で連携をしっかり図っていくこと、この二点が重要ではないのかなと思います。

 昨年4月1日に暴力団排除条例を施行して以降、関係者の皆さんが手を携えての取り組みが進んできています。県警、暴力追放高知県民センター、高知弁護士会民事介入暴力対策委員会の皆さん、さらには地域住民等により結成された暴力排除活動を行う団体の皆さんなど、こういう方々との連携を進めてきたわけですが、さらに連携を深め、暴力団排除に伴う施策を総合的に推進していくことが重要だと思います。

 県民の皆様には、特に暴力団排除条例の第3条に非常に重要な基本理念として、「暴力団を恐れない」、「暴力団に資金を提供しない」、「暴力団を利用しない」の三つを明確に掲げていますので、県民挙げての取り組みにつながっていくよう、改めてご確認いただければと思います。


オスプレイ(1)

(西森:高知さんさんテレビ記者)
 先日、アメリカ海兵隊のオスプレイが、岩国基地に陸揚げされまして、安全性への強い懸念がある中、配備や訓練に向けて進みますけれども、高知も訓練の飛行ルートに入ってまして、県民も不安をかなり持っていると思うんですが、知事としては、このことをどういうふうに受け止めているのかということと、今後、国に対して何らかのアクションをされるのかということをお聞きしたいんですけども。

(知事)
 この点は、全国知事会でもすごく議論があって、意見交換の場などでも、割と年が近く仲のいい知事さん達といろいろ話をすることもあったりしました。やはり、このオスプレイの問題については、みんなが懸念しているし、憤ってました。そういう議論を踏まえて、全国知事会で緊急提言をしようじゃないかという話になって、翌日、緊急決議がされたわけです。

 オスプレイの安全性が確認されていない問題について、懸念を抱くのは、住民として、県民として、国民として当然だと思います。その多くの方が懸念を抱いていることについて、なぜ総理が「政府は何も言えない」と言ってしまったのか。さらには、何もされないまま、事態が推移しようとしていることで本当にいいのかという問題だと思います。

 今回、全国知事会としても明確に懸念を表明して、具体的な行動をする前にはしっかり説明を果たすことと、それぞれの自治体の意見を聴いて対応すべきだということについて決議をして、訴えさせていただいているところです。

 全国知事会やその他のいろんなところからいろんなご意見も出たということで、政府もちょっと対応が変わってくるんじゃないかということを期待しています。今日もリアルタイムで日米合同の委員会が行われていると思うんですけど、さらに今度は、8月4日に日米で防衛担当大臣レベルの会合も行われると聞いているところですから、そこでしっかりと日本国民の懸念を伝えていただいて、さらに安全性の確保とか、もしくは本当に確認できないんだったら、いろんな行動について取り止めていくなど、しっかり対応していただきたいと思います。
 引き続き、関係の知事さん達とも連携しながら、この点について声を上げていきたいと思っています。

 我々として特に訴えていきたい点は二つです。一点目は、(オスプレイの)配備そのものについて、やはり安全性が十分確認できていない中で配備するのかということ。二点目は、安全性の十分確認されていないオスプレイという機体で低空飛行訓練を行うことは、絶対反対だということ。本当に多くの方がこれまでに懸念を抱き、低空飛行訓練の中止を訴えてきました。このことを今後も強く訴えていきたいと思っています。

 政府は、国民の懸念を真摯に受け止めて、相手にしっかり伝える、そういう日本政府であってもらいたいと思います。


十人十彩のよさこい出場辞退(2)

(大山:高知新聞記者)
 よさこい祭りの件について関連ですが、(よさこい祭)振興会が今回の問題を受けて、今年参加チームに出させた誓約書に加えて、来年からは署名した責任者へ暴力団に関わっているのかいないのかについて、警察に対して照会するというようなことを決められたと思うんですが、暴排の理念が大切というのはもちろんなんですが、祭の主催者としてどこまで把握すべきなのか、どういうふうに対処すべきなのかと考えられるのかを。

(知事)
 よさこい祭振興会ご自身として、そういうところについてはご議論されて、今回判断もされているんだろうと思うんですけれども、ただ、おっしゃるとおりで、当然のことながら、単に基本理念を言うだけではなくて、それを担保するための具体策をしっかり講じていくことが大事なことではないでしょうか。その対策の一つに関係機関へ情報を照会することもあると思います。

 ただ、何と言いましても、誓約書に署名をして提出していただくという行為をとっていただく中で、まず、それぞれの団体の中で自ら自問自答し、スクリーニング〔情報開示〕をしていただくという手順をしっかり制度化し、担保していくことが大事じゃないかと思います。

 今回のことは残念でありましたけれども、そういうことについて多くの関係者の皆さんが改めて確認をした暴排条例の問題について、そういう側面から言えば一歩進んだということになったんじゃないかなと思います。

(大山:高知新聞記者)
 今回の問題で言いますと、参加チームの代表の方が暴力団との関係で直接逮捕されたので、明確に社会的にどうかということで辞退されたと思うんですが、来年以降、もっと微妙な問題が出てきた時に、主催者側として、例えば参加を認めないのか認めるのかという判断が出てくる場合もあるかと思うんですが、そこについては警察に全部聞くのが是か非かということも県民の中で議論になるとは思うんですが、言える範囲でそのあたりをどうお考えか。

(知事)
 基本的には、(よさこい祭)振興会でよくご議論いただかなければいけない問題であり、どうあるべきかを私が言うことは適当ではないと思いますが、ただ、私から申し上げたいのは、この暴力団排除条例の趣旨を徹底するための具体的な対応について、よくよくご議論いただきたいと思います。


オスプレイ(2)

(中丸:NHK高知記者)
 さっきのオスプレイの件なんですけども、先日、中国四国防衛局の方が、危機管理部長のもとを訪れて説明されたのを取材させていただいたんですが、どんな説明をしたかと聞くと、結局何かアメリカの言っている事をただ伝えただけかなという印象がありました。何の判断もなく、あれを伝えられた危機管理部長をはじめ皆さんがかわいそうだなと思ったんです。一方で、心配されている県民の方が当然いると思うので、そういう方に、情報が少ない中で難しいとは思うんですが、県として安全性を確認してくれと、国に対して訴えているという話は、さっきの説明でわかったんですけど、逆に県民に対しては、どういうふうに説明をされていくのでしょうか。

(知事)
 米軍の安全性の問題については、私も同じことを思いました。要するにアメリカから説明されたことを伝えに来ただけだと思いました。だから、みんなが憤っているんだと思います。
 さっきも申し上げましたように、全国知事会で議題にないことを突然取り上げて緊急提言するというのは、異例のことであって、しかも安全保障に関わることについて、かなり微妙な側面もある中で、緊急的に話をしていこうとなったのは異常なことなんです。

 その背景には、やはり7月初旬から中旬にかけて、アメリカの言われていることを右から左に伝えればいいと受け止められても仕方のないような国の対応があったのではないかと思います。
 いろんな方々に随分いろんな気持ちが出てきていることを斟酌〔相手の事情や心情をくみとること〕していただいて、しっかり自分の言葉で語れる日本政府になってもらいたいと思います。

 そして、どういうやり取りがあってどうなるべきかということを、基本的には公開すべきだと思います。県の会議でもよほど差し支えのある時を除いては、いろんな会議や打ち合わせのほとんどを公開で行っています。
 今回も我々から強く公開すべきだと言ったんですけども、先方からはどうしても非公開でという話でした。けれども、後になって考えてみれば、別に非公開にする内容でもないんじゃないかなと思っており、次回行われる時には公開でということを強く言いたいと思います。


国の政局

(井上:高知新聞記者)
 国政の話になりますが、小沢一郎氏が民主党を脱退して「国民の生活が第一」という新党を立ち上げましたが、これについて知事は、その新党の動きやこれからの政局の動きをどのように見ているのかをお伺いします。

(知事)
 社会保障と税の一体改革という、いわばこれからの国の行く末を決めるような大問題について、確かに大議論をすること自体は大事なんだろうと思うんですが、最終的に至るその結論が白と黒ぐらい違うというなら、党を割って当然だろうと思います。むしろ、党を割られてそれぞれの主張をオープンの場で戦わせられたらいいんじゃないのかなと思っています。

 今後、この問題については、「国民の生活第一」のみに関わらず、やっぱり与野党でしっかり対立をして、議論を徹底して繰り返していくべきことと、一致協力して国家のために、国民のために、将来のためにやるべきことと、そこのところを峻別〔厳しくはっきりと区別すること〕していくかたちで取り組みを進めていただければと思います。

 非常に重要な法案が、残念ながらまだ通っていません。特に心配しているものとして、特例公債法案なども通っていませんし、これが政局に非常に絡んでいるところもあったりするでしょう。それは政治家ですから、お互いそれぞれの駆け引きというのはあるんでしょうけれども、ただ、いつまでも続いてしまったら、毎月の国債の発行が大変なことになってしまって、国全体、日本国債自体の信用がどうなってしまうかとか、そんな現実的に恐ろしい問題を引き起こしかねないところもあるわけです。
 やはり、一定の駆け引きはあるにしても、最終的に国民のためにはどうあるべきか、ということを与野党が協力すべきは協力していただきたい、そういう政界であってもらいたいと強く思います。


駅前観光施設

(大山:高知新聞記者)
 観光についてなんですが、駅前の龍馬伝幕末志士社中がオープンして7月9日で1年経ちましたが、入場者数が「志国高知龍馬ふるさと博」の閉幕後に大分減っているように思います。少ない日は一日十何人という日もあったでしょうし、夏休みである程度は盛り返しているのかとは思いますが、もちろん、駅前の観光施設の人数が多ければ観光として素晴らしいということでないのは当然ですが、当初、あそこをつくる議論の中で、賞味期限が切れるまでは、ずっと生家セットですよという議論もあったかと思いますが、三志士像も含め、駅前の今後の在り方をどう捉えられて、これからどうするかということについて。

(知事)
 一言で言えば「とさてらす」には、ものすごく人が入っています。それが最終目的という点から言えば、一定の効果を今も発揮し続けてるんじゃないかと思います。従前より申し上げているように、駅前の一連の施設が果たすべき役割は何かと言うと、県内各地の様々な観光情報を発信し、かつリピーターを獲得できるようにしていくための機能を果たすということです。

 そういった観光情報の発信機能を発揮するためにも、駅前の一連の施設に集客機能も併せて持たそうではないかということで、例えば、三志士像をセットにしたり、その横にパビリオンを置いたりとかをやってきました。
 多くの県の観光情報発信館は、単独で建っていると思うんですけども、本県の場合には、集客機能も加えることで観光情報発信館の役割を、より一層果たせるようにしてきたことかと思っています。

 「とさてらす」には、引き続き多くのお客さんに毎日入っていただいており、累計で13万4,000人の方に入っていただいています。特に、今年から新基軸で打ち出した「龍馬パスポート」は、もう既に6,500人を超える方に登録いただき、ステージアップした二段目の赤のパスポートでも、間もなく1,000人になります。そういう意味においては、非常に大きな効果を発揮していると思うんですが、ただ、ご指摘のように、パビリオンにもっと人が入り、結果として「とさてらす」にもっと人が入れば、なお良しだと思います。

 端的に言って、終わったと思われていたことが非常に大きいと思います。3月31日の(志国高知龍馬)ふるさと博の閉幕イベントをやってから一気に人が減っており、実際にはもうやってないんじゃないかと思われていたことが、当初のほうは大きかったと思います。

 もう一つは、ふるさと博というかたちで冠をかけていた時は、旅行エージェントさんのツアー商品の中に組み込まれていたんですが、今、それが組み込まれている数が極端に減っていて、例えば駅前に来るバスの台数に如実に反映されたりしています。
 私も気になって聞いてみたんですけど、24年度上期については、そういう意味でツアー商品の数が大幅に少ないようです。その反省を踏まえて下期に向けて、駅前を組み込んでほしいという話を、エージェントさんにも強く訴えて、一定の成果も挙げているようですから、下期にはまた、エージェント関係の旅行商品に組み込まれてくるようになって、盛り返してくるんじゃないかなと思います。

 いろんな要因がありますので、その時々の状況を踏まえてご指摘のように、それこそ改善すべきは改善する、そういう対策を速やかに打っていくことが大事じゃないかと思います。


原発再稼働

(西森:高知さんさんテレビ記者)
 原発の問題なんですけども、関西電力の大飯原発の再稼動に対する東京での大規模な反対デモをはじめ、各地で原発への反対デモが起きています。今後、再稼動する可能性が高い原発の一つに伊方原発が挙げられていると思うんですが、先月、愛媛の中村知事も、安全対策の条件が整えば再稼動も必要というような前向きな発言をされています。けれども、県民の中には原発の再稼動が安全なのかという懸念を持っている方もかなりいると思うんですが、改めて知事としては、この再稼働についてどのように考えているのか、お伺いしたいんですけども。

(知事)
 原子力規制委員会が9月に発足します。そこでどういうかたちで、安全についての確認をするのか見直しが行われ、本格的な安全基準が作られるべく努力されるはずだと思っています。
 その時に、しっかりと伊方原発の安全性について、議論をしていただきたいと思います。

 その上で国としての判断があり、愛媛県としての判断があるでしょう。高知県としての考えも示させていただきたいと思いますが、その中身は従来より申し上げている三つの条件((1)国の説明内容の妥当性と四国電力の追加安全対策を含めての真摯な取り組み姿勢、(2)東海・東南海・南海地震3連動に対する安全性の確認、(3)異常発生時等の本県に対する迅速な通報連絡体制の確立)という点においては、変わりはありません。
 この三つの条件のうち、三番目の「異常発生時等の本県に対する迅速な通報連絡体制の確立」という点について、四国電力と具体的な協議を始めたところです。今後、実効性があるようなかたちでの議論を積み重ねていきたいと思っています。

 原発の再稼動という問題は、本当に難しい話で、私はもちろん、原子力発電への依存度を減らしていくべきだと考えていますが、本当にどこまで依存度を減らしていけるかは、先ほど申し上げたように、科学技術の開発と社会システムがどうなるかに影響されると考えています。
 その依存度を減らしていく過程においては、どうしてもエネルギーの不足が生じる場合があります。それともう一つ気をつけないといけないのは、中東情勢が非常に不安定であり、エネルギーの安全保障(日本は化石燃料の大半を海外からの輸入に依存している)も問題だと思っています。
 その二点に鑑みて、一時的にどうしても再稼動をせざるを得ないという時期や場面が、出てくる可能性はあります。

 ただ、仮にそうだとしても、その前に安全性がしっかり担保できているかについて、確認することが大前提であると思っています。
 いずれにしても、そういうやむを得ないと言われる状況になったとしても、(伊方原発については)先ほど申し上げた、三つの条件に照らして対応策等がしっかりとられているかについて、しっかり確認をさせていただきたいと思います。

 何より、国は9月に新組織が発足した後、本格的な安全基準を早急に策定し、総理自らが暫定的な基準だとか言うんじゃなくて、本格的な基準に照らしてしっかりと判断してもらいたいと思います。

(西森:高知さんさんテレビ記者)
 大飯原発の再稼動への判断というのは、知事として納得できるようなものだったのですか。

(知事)
 (電力が)15%も足りないという話になったら仕方なかったと思います。いかに非常電源装置がついていても、いつまでも非常電源装置を保たせるわけにはいかないですから。ICU〔集中治療室〕は24時間機能するのか、熱中症で多くの方が亡くなってしまうなんてことが起きて構わないのか、いろんなことを考えないといけないだろうと思います。

 ただ、それが何%だったら許容できるのかという議論をしないといけないと思いますが、節電努力だけではとても対応できないレベルの電力量不足が生じた場合、新エネルギーなど他のエネルギー電源でもって対応できるような状況になっているのが理想ですけど、残念ながらそうなってなかったんだから、逆に人の命を守るためにやむを得ず稼動せざるを得なかったと、私は思っています。

 電力不足の問題は、短期的には四国電力管内で、火力発電所とか揚水発電所をフル稼働させているところですけども、そういう体制がいつまでも持続可能かについての検証も必要になってきます。また、電力不足によってどういう影響が及ぶかについての検証も必要になってきます。

 そして、ものすごく大事な視点だと思っているのは、エネルギーの安全保障の問題です。中東に対する依存度が極度に高まった時に、例えばシリア情勢やいろんな海峡に出没する海賊の問題なども見ながら、本当に大丈夫なんだろうかということを考えないといけません。

 突然、燃料がなくなってしまって、電力不足になってからパニックになるということがあってはいけないと思います。例えば、化石燃料への依存度が下がって、木質バイオマス発電などがどんどんできるようになり、電力を賄えるようになればいいと思うし、それは本県にとっても非常に有利な方向に進んでいくだろうと思いますが、残念ながら100%それだけでは対応できないという時期は、まだしばらく続くでしょう。その時期において、人の命を守るためにどう対応するのが一番いいのかということを、その時々の選択肢の中から考えていかないといけないと思います。

 とは言いながらも、安全対策をしっかり施すことについての妥協はできないと思っていますので、その点は強く訴えたいと思います。


国のエネルギー戦略(2)

(池:高知新聞記者)
 原発のからみで意見聴取会の話がさっき出ましたけど、あの中で出ているのが、2030年に原発依存度が三択になっています。知事がさっきからおっしゃっている科学技術の進展度合いとか社会システム、それとエネルギー安保、現実にあわせてどういう判断をすべきかというお考えもわかるんですが、あえてお聞きしますけど、あの三択の中で知事が目指すべき方向性というのは、何だと思いますか。

(知事)
 率直に申し上げて、三択を示してもそれぞれが実現できるのかを示さないと、感情論で決める話ではないので、正直私は無意味だと思っています。
 それぞれの三択について、2030年までにどれが実現可能なのかを、まず検証しないといけません。そこのところの検証がなく選択肢だけ示して、「皆さんご意見どうですか」というやり方そのものに、私は若干疑問を持っています。

 さっき申し上げたように、今より減らすという方向性を示したことは素晴らしいと思います。また、数値目標を掲げたのは、掛け声だけに終わらせないようにしようという姿勢でしょうから素晴らしいと思います。ある時点でどこまで(原発の依存度を下げて)いけるのか、実現の可能性があるものから示してくれるというやり方ならわかります。

 もう一つは、「毎年減らしていくためにこれぐらい努力しようと思いますが、そのためにはお金がこれぐらいかかりますから」というようなことを、つまり選択肢として、対応策やコスト、さらにその結果をあわせて示していくべきだと思います。
 それで一旦決めたら、毎年どれだけ進捗したかを踏まえ、毎年その数値目標の見直しをしていくべきだと思います。産業振興計画だって全部そうやってます。

(池:高知新聞記者)
 一つ思うのは、数値目標というものをどう捉えるかだと思うんです。知事のおっしゃるように、現実に人命に関わるところとか、あるいは技術的にそれは可能なのかどうかという観点ももちろん大事ですが、例えば、地球温暖化に対してCO2をどれだけ削減するとかいったものは、一つの指針として大きな方向を示すために数値はあるんだと思います。
 それが、まさしく政治の役目じゃないかと僕は思うんですが、そのうえでもちろん現実を見ながらという観点も否定はしませんが、どこを目指していったらいいのかという、多分、今、国民は指針を示してもらいたいというところがあるんだと思うんです。2030年にどこを目指すのかということについて、それであえてお聞きしたんですが。

(知事)
 15シナリオ(原発依存度15%)が実現できるのか、安全保障の観点も考えて20~25シナリオ(原発依存度20~25%)が実現可能なのか。ましてゼロシナリオ(原発依存度0%)はどうなのか。それぞれのシナリオについて明確な道筋というのが示されてなくて、果たして選択肢になるのだろうかと私は思います。できればゼロシナリオと15シナリオの間を目指せれば一番いいと思います。

 正直なところ、全国知事会でも、愛媛の中村知事さんも言われていたんですけど、原発の依存度をどうするかという議論は、具体的にそれぞれの選択肢に向けて、こういう対応策をとるんだという具体策なくして論じても意味はないと思います。そこのところを逆に強く訴えたいと思います。
 方向感としては、減らすことは間違いないでしょう。もっと言えば、2030年まであと18年でしょう。長期的なことだったら、例えば2050年にゼロシナリオを目指すということだったらわからなくはないと思います。


ロンドンオリンピック山中詩乃選手への期待

(福井:テレビ高知記者)
 ロンドンオリンピックが、いよいよなんですけども、(本県出身の)山中詩乃選手も含めた期待感をいただいてよろしいですか。

(知事)
 是非頑張ってもらいたいです。
 本当に、山中選手はすごいと思うんですけど、近代五種という難しい競技を2年ちょっとで一挙にオリンピック選手まで上り詰めたということは、たいしたもんだと思います。
 今回のオリンピックもしかり、さらに次もその次も期待できる選手だと思っているので、まず、今回のオリンピックでは、出場したという誇りを持って思い切り伸び伸びと、結果を気にせず頑張っていただきたいと思います。

(山中選手本人には)「あんまり期待感を言い過ぎてプレッシャーをかけてもいけないですよね」みたいなことを言った気がしますけど、とにかく頑張っていただきたいと思います。彼女はプレッシャーに強いそうで、むしろ本番のほうが強いといったような話も周りの方から聞いたりもしました。あんまり本人のプレッシャーにならないようにしなければならないと思いますけど、ものすごく期待もしていますし、いずれにしても応援しています。

(司会)
 それでは以上で記者会見を終了します。

 

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