知事の定例記者会見(平成24年12月10日)

公開日 2012年12月17日

更新日 2014年03月31日

知事の定例記者会見(【高知県版第2弾】南海トラフ巨大地震による震度分布・津波浸水予測)

平成24年12月10日(月曜日) 14時00分から14時50分 第一応接室

震度分布・津波浸水予測の概要説明
記者との質疑

配布資料
 1 【高知県版第2弾】南海トラフ巨大地震による震度分布・津波浸水予測の概要 [PDFファイル/555KB]
 2 高知県における地震・津波対策の推進について [PDFファイル/532KB]
 3 震度分布・津波浸水予測
      「県民の皆さまへ」 [PDFファイル/414KB]
      「揺れや津波に関して提供する情報のねらい」 [PDFファイル/387KB]
  そのほかの資料については、南海地震対策課のホームページをご覧ください。


震度分布・津波浸水予測の概要説明

(知事)会見する尾﨑知事
 本日、高知県版第2弾の震度分布・津波浸水予測について発表させていただきます。
(資料1 【高知県版第2弾】南海トラフ巨大地震による震度分布・津波浸水予測の概要を示しながら)今回、改めて震度分布・津波浸水予測を公表する目的については、まず、何と言いましても県が進める南海トラフ巨大地震対策の今後の根幹とするためです。
 これまで、本県としては5月に第1弾の想定を出しました。さらに8月には国からの想定が出ました。それを踏まえて、県として第2弾の想定を出すわけですけれども、一旦ここで、推計作業については概ね完成とさせていただいて、今回出させていただいたデータを、今後の南海トラフ巨大地震対策のベースとして取り組みを進めていくことになります。

 あわせまして、今回発表した予測はあくまで、最大クラスの地震・津波に対して備えるためのものであり、最悪ケースの想定として発表しています。
 復旧・復興対策については、幅を持たせて行っていくことが重要だと考えていますので、(最大クラスに加え)今回は、発生頻度の高い地震や津波も視野に入れた対策の検討を行いたいという観点から、あわせて推計しお示ししています。
 今回、公表する震度分布・津波浸水予測の性格ですが、まず第一に、最大クラスの地震・津波について、発表させていただいています。現時点の最新の科学的な知見に基づいて、発生しうる最大クラスの震度分布・津波浸水予測を推計したものです。発生時期を予測することはできず、その発生頻度も極めて低いものですが、あくまで科学的にはこういうことも起り得るという前提のもとで、特に人命に対する対策を進めていく必要があるという観点から、この最大クラスの地震・津波について発表させていただきました。
 次の南海地震が必ずこうなるというものでは決してありません。あくまで現在における科学的知見に基づいて発生し得る最大クラスの震度分布および津波浸水予測等を推計したものだということについては、是非ご留意いただきたいと思います。

 また、今回は発生頻度の高い津波・地震についてもあわせて推計しました。専門家の先生方にもいろいろアドバイスをいただき、安政南海地震クラスを一つのベースとして、最新の地形・地盤データなども反映して推計しました。
 特に、人命にかかわる津波からの避難対策ですとか、さらには発災直後の応急対策などについては、最大クラスの地震・津波をベースにしていろいろ対策を進めていくことになります。典型的な対策として、津波での避難路・避難場所づくりは、最大クラスをベースに取り組んでいくことになるかと思います。
 ただ、例えば、一時避難所と言われるような数カ月間住み続けるような避難所などを作っていく時に、町に近いところへ避難場所を設置できたにもかかわらず、最大クラスだけでしか準備してなかったがゆえに、近くには避難場所が無く、遠いところに行かないといけなくなってしまうといった不合理なことが起こりかねません。
 そうしたことから、特に応急時後期から復旧・復興時にかけての対策になってきますと、この発生頻度の高い地震・津波の場合はこうするという対策を設けておく必要があるだろうと考えています。そうした観点から、今回、発生頻度の高い地震・津波についてもあわせて推計をさせていただいています。

 震度分布は、内閣府の4ケースの強震断層モデルにより推計をさせていただきました。さらに、地震観測点における過去の地震記録や、ボーリングデータに基づく地盤の特性などから、一定分かっているものがあります。地震動がどう伝わるのか、どういうふうにこの地盤では反応するかということをできるだけ反映するようにしました。
 その結果、最大震度7に達する市町村が、8月29日の内閣府公表段階では30市町村でしたけれども、今回の発表では26市町村と、若干減っています。
 こちらにあるように(震度分布図を指しながら)、特に赤の部分が震度7ですが、今回の推計ではどこに分布するかということについて、よりきめ細かくなりました。

 あわせまして、地震継続時間の分布についても発表させていただいています。身体に感じる揺れレベルに達する時から、身体に感じる揺れが消えるレベルまで、どれぐらいの時間が継続するであろうかということです。大体、震度3程度から始まって、震度3程度に収まってくるまでの時間です。
 こちらにあるように(地震継続時間分布図を指しながら)、一連のモデルは、紀伊半島沖を破壊開始点として設定していますが、そこに近いほど揺れの継続時間が長いという推計がされています。大体2分以上ですが、特に長いところですと、3分以上揺れが続くことが推計されています。

 各震度の占める面積割合を高知県全体でみますと、震度7が6.6%、震度6強が58.3%、震度6弱が35%ということです。また、それぞれ市町村ごとに、各震度の占める面積割合をまとめてお示ししています。

 次に、津波浸水予測についてです。こちらは、内閣府が11ケースの津波断層モデルで計算していますけれども、そのうち高知県沿岸で最大の津波高が発生する6ケースにより推計を行いました。さらに、最新の地形測量データに加えて、それぞれの河川について一定のモデル化を行い、津波の遡上を計算しています。
 さらに、河口幅50メートル以上の河川については、水が流れている条件で、津波の遡上を計算しました。一級河川6河川と二級河川40河川の遡上については、この条件で計算しています。これらにより、沿岸部のそれぞれの地域ごとに、最大浸水深を計算しています。

 また、ここにあるように(津波浸水予測時間の図を指しながら)、津波の到達時間についても計算しています。色がついている部分は、それぞれ30センチの津波が来るまでに、どれだけ時間がかかるかということを計算して地図に落としたものです。赤い色になればなるほど、早く浸水することが予想されています。
 こういう形で30センチの浸水時間について推計していますけども、あわせて、最大浸水深に達するまでどれだけ時間がかかるかということも、発表させていただいています。
 例えば、安芸市役所付近では、最大浸水深が6.5メートルと予測されていますけれども、30センチ浸水するのは大体68分後。そして、最大浸水深に達するのが大体100分後と推計しています。津波は30センチぐらいになると歩けなくなってきます。この時間は、避難のための目安として非常に重要な時間になってきます。

 さらに、それぞれ津波浸水面積も計算しています。8月29日の内閣府公表時には、1万5,000ヘクタールぐらい浸水するとされていましたが、今回の推計では、1万8,000ヘクタール弱の面積が浸水することになっています。
 8月29日の内閣府公表では、高知市の東部が、あまり浸水しないのではないかという予側でしたけれども、今回改めて計算しましたら、やはり、浸水すると考えたほうがいいのではないかということです。そういうことで、高知市は前回に比べて、浸水域が拡大すると予測しています。

(資料2 「高知県における地震・津波対策の推進について」を示しながら)去年3月11日の東日本大震災の発生以降、今すぐできることを直ちに実行していこうということで、例えば、津波避難施設の整備を始めたり、さらに自主防災組織の組織率の向上を進めたり、ヘリポートを作ったりといった取り組みを行ってきました。

 そして、今年3月31日にとてつもない想定が出されました。今回の推計のもととなるものですが、最新の科学的知見に基づき、最悪ケースの推計が発表されましたので、これにあわせて、さらに取り組みを加速させてきました。
 特に新しいものと言えば、津波避難の選択肢を増やすための取り組み。さらには、(地域に適した)津波避難方法が選択できるよう、場所によってどういうふうに選択したらいいかということについてのガイドラインづくりに着手したり、ソフト面での支援を行っていきたいという考え方から、「こうち防災備えちょき隊」を組織して、地域の皆さま方の取り組みをサポートする取り組みを行ってきました。

 さらには、具体的な最大クラスの津波対策を加速化するということで、5月10日に第1弾の津波浸水予測を行い、避難場所の再選定について具体的な目処が立ってきたところです。全部で963箇所の避難場所の再選定を行うとともに、津波避難タワー・避難路・避難場所を急ピッチで作っていこうと緊急防災・減災事業債を活用して、市町村の実質的な財政負担をゼロにするようなスキームをづくり、整備を進めてきました。
 例えば、避難路・避難場所については現在も整備中であり、今年度中に326箇所を整備する予定です。今年度末には963箇所中600箇所ぐらいを完成させようと取り組みを進めているところです。

 そして今回、12月10日に新たに(第2弾の)震度分布・津波浸水予測を発表させていただいたところです。今後の取り組みについては、今まで行ってきたことを引き続き継続していくことに加え、やはり、もう一度見直していかないといけないものがあります。何と言いましても、避難路・避難場所の再見直しを行っていく必要があります。

 (津波避難場所の)高さなどの再点検もあります。「など」と書いているのは、先ほど申し上げましたように到達時間の問題とか、さらに今回、少し公表が遅れる場合もありますが、動画でシミュレーションもお示ししようと考えています。到達時間などを見ていただくと、水の流れがどういうふうに動いてくるかということも分かっていただけるはずです。そういうものも見ていただきながら、避難路・避難場所の選定が本当にこれでいいか、再点検をしていただきたいと考えています。
 その再点検にも資するようにと、近日中に、「津波からの避難方法の選択に係るガイドライン」の中間とりまとめをして公表したいと考えているところです。こういった避難場所の再点検を、各市町村それぞれの地域で行っていただくよう慫慂〔勧める〕していきたいし、我々自身も汗をかいていきたいと思っています。

 そのためにも迅速な情報共有を行います。まず、本日この後、南海地震対策推進本部会議を開催して、県庁内で改めて情報共有と今後の動きについて徹底します。あわせまして、市町村の取組状況の確認と県からのさまざまな要請、また、市町村から要請を受けることも多々あろうかと思いますけれども、危機管理部の幹部職員が市町村をお伺いするなど、1月中には再確認を行っていきたいと考えています。そういう中で、避難場所の再見直し等についてお話をさせていただきたいと考えています。
 あわせまして、政府への働きかけも行っていきます。現在、衆議院議員総選挙中ですが、選挙が終わった後の新しい政権に対しても引き続き、関連の県とも連携しながら防災・減災事業の予算拡充、さらには、南海トラフ巨大地震対策特別措置法の早期制定等について、話をさせていただきいと考えています。

 さらに、年度内には何とか高知県版の被害想定を公表させていただきたいと思っています。なぜ、被害想定を公表するかということですが、地震動や津波によってさまざまな被害を受ける中で、それぞれ定量的にどのような分布になるかということを正確に把握しておくことは、今後の対策の優先順位付け、いざという時のいろいろな部隊の派遣などの優先順位付けを考えたりする時に極めて重要です。
 でありますから、市町村ごとの被害、残念なことですけれども現段階での死者数の予測を、計算して発表することで、今後の対策の重要参考資料にしていただき、我々も参考にさせていただこうと考えているところです。

 この一連のデータについて、国が発表するものをベースとして県版のものを策定したいと考えていますが、データが非常に膨大であるということもあって、「年内に出す」と言っていました国の発表が少し遅れる予想です。国の発表を待って、その計算データを基に我々がもう1回再計算をすることになります。もし、国が遅れた場合、年度内を越えたりするかもしれませんが、できる限り早く公表し、一連のデータを基にして、今後、新たな被害想定を踏まえた対策の見直しの総仕上げを行っていきたいと考えています。

 東日本大震災が発災した直後から、当時は、南海地震と言っていましたけど、「南海地震対策の抜本強化に取り掛かるんだ」というお話をさせていただきました。それから約2年かけてさまざまなな見直しによる取り組みを続けてきたところです。この南海トラフ巨大地震対策の抜本強化を年度内に概ね完成させたいと考えています。
 それぞれのシーンにおいて、何をすべきなのかということを定めた南海地震対策行動計画がこれまであったわけですが、それを抜本強化して、新行動計画を年度内には概成せたいと考えています。
 特に、今、一生懸命取り組んでいるのは、地震が起こった直後にどこへ逃げるのか、津波からどうやって命を守るか、その津波から命を守るために逃げる場所づくりに全力を挙げているところです。あわせまして、地震・津波が起こった後で、応急時・復旧時・復興時に何をすべきなのかということについての具体的な対策や、どう行動すべきかについての練り直しをこの2年間ずっと続けてきました。

 避難場所づくりの実践とともに、応急時・復旧時・復興時も視野に入れた計画の見直しをずっと続けてきたところです。
 内容としては、避難空間づくりに全力を挙げる。ただ、この発災時の計画についても、さらにこの応急時を視野に入れた時にどうしていくべきなのか、総合防災拠点をどうするか、さらには、応急対策活動計画も見直していかなければいけません。さらに復旧・復興を遂げていくための具体的な取り組みをどうしていくのかについても、根本的に見直しをしていかないといけません。

 あらゆる対策をまとめた新行動計画を年度内に概成させたいと考えています。そして、策定した新行動計画のうち、特に震災直後から応急期にかけての対策については、25年度から27年度までの3年間で計画的に実施し、再点検を繰り返していきながらこの3年間で概成するように取り組んでいきたいと考えているところです。
 避難空間づくりは何とか25年度中。26年度に少しかかるかもしれませんけれども、それぐらいには概ね完成させたいと思っています。さらに、発災直後から応急期にかけての対策についても、この3年間で概ね完成させていきたいと考えているところです。

(資料3 震度分布・津波浸水予測の1ページ「県民の皆さまへ」を示しながら)今日、発表させていただいた想定に付けてある留意事項について、こちらに書かせていただいています。改めて記者の皆さんにも、また県民の皆さまにもお伝えしたい内容ですので、私の方からもう一度お話をさせていただきたいと思います。

 今回の想定については、東日本大震災で得られた最新の知見に基づき、現時点で最大クラスと思われる地震・津波の想定を行ったものです。
 この最大クラスの地震・津波の発生確率は極めて低いものですが、こうしたことも起こり得ることを念頭に置いておく必要があります。ただ、地震・津波は、この想定どおりに起こるとは限りません。また、いつ起こるのかも、今の科学をもってしても正確には分かりません。あくまで可能性の一つであり、最悪のケースの推計です。県民の皆さまには、「次、必ずこういうものがくるんだ」と思い込まず、いたずらに恐がることはやめていただきたいと思います。

 かといって油断することなく、備えを進めていただきたいと考えています。こういうことが起こり得るという前提のもとで、特に、人の命に関わることについては対策を進めていただくことが重要であろうと考えているところです。
 非常に難しいことでしょうが、是非、この地震について「正しく恐れる」こと。これは全国的にもよく言われていますが、この姿勢が非常に重要ではないかと思います。

 そのうえで、改めて県民の皆さまに、特に3点、お願いしたいと思っています。
 まず、その1として、「事前の備えが大切であり、あなたの命を守るのはあなた自身」です。是非とも事前の備えを進めていただきたいと思います。県としても、全力で地震・津波対策を進めていきますし、市町村においてもそれぞれ大変な努力をしています。
 しかしながら、発災直後において命を守るのは、何と言っても県民の皆さま、あなたご自身です。事前の備えを重ねていき、「自分の命を守るのは自分自身なんだ」という思いで、日頃からの備えを実行していただきたいと思います。事前に備えておけば必ず被害は減らせます。
 前回、国が発表した想定においても、高知県で最大クラスの死者4万9,000人の死者が出るだろうという被害想定が発表されました。これは、もう一つの別のケースで推計すると4万2,000人が亡くなることになります。例えば、早期避難をするだけで7割の被害が軽減されることが分かっています。さらには、いろいろな対策を加えていくことで、4万2,000人の想定死者数が6,000人台にまで減らせることも、事前のシミュレーションで分かってきています。
 そういった早期避難を可能にするための事前の備えが必要です。早期避難を可能にするためにも、住宅の耐震化や家具の固定化などの備えをしていただくことが重要です。この事前の備えが大切ですので、県民の皆さまには、是非、備えを進めていただきたいと思います。

 その2です。今回、かなり精緻な想定を発表させていただきました。しかしながら「思い込みは禁物です。是非、想定にとらわれないでいただきたい」と思います。
 津波は、想定浸水域と浸水しないエリアの境界線でピタリと止まるわけでは決してありません。時に水の特性によっては境界を越えて水が来ることだってありえます。今回、いろいろな対策を進めていくための必要な資料として発表させていただきましたけれども、やはり、想定浸水域以外でも備えを進めていただくことが必要ですし、想定浸水域以外の住民の皆さまにも逃げる姿勢をもっていただくことが非常に重要であろうと考えていますので、絶対に油断はしないでいただきたいと思います。

 そして、その3です。「取り組みに無駄はない。できることから実行をしてください」ということです。確かに、全ての備えを一度にやるということは大変だろうと思います。しかしながら、できることから実行していただき、一つ一つ取り組みを積み重ねていっていただきたいと思います。例えば、住宅の耐震化を進めるにあたって、仮に今すぐはできないということであったとしても、せめて寝室の家具の固定はすぐやっていただきたいと思います。
 そして、寝室の家具の固定が終わったら、家全体の家具の固定をして、家具の固定が終わったら、今度は住宅の耐震化と、少しずつ取り組みを進めていただきたいと思います。日々、安全度を高めるための取り組みを進めることを、是非、お願いしたいと考えているところです。

(資料3 震度分布・津波浸水予測の2ページ「揺れや津波に関して提供する情報のねらい」を示しながら)今後、いろんな形で津波避難計画、避難路、避難場所の選定について見直しをしていただくこととなります。その際に、今回、発表させていただいた想定をどのように使っていただくかというねらいについて、説明させていただきたいと思います。

 (1)震度分布図は、それぞれの地域で、どれぐらい揺れが強いのかを示したデータになります。是非、それぞれの震度分布を参考にしながら、家の耐震化や家具の固定化を行っていただきたいと思います。まずは揺れから身を守ることが重要です。

 (2)地震継続時間分布図も発表させていただいていますが、地震の間は机の下などに潜って、身体を守る。そして、動けるぐらいの揺れになったら、すぐに避難を開始する。そういう目安となる時間として考えていただければと思います。
 あともう一つのねらいとして、揺れが強く継続時間が長いと破壊力が非常に大きくなります。そういう地域では、本当にこちらにあるような耐震対策を、急いで進めていただきたいと考えているところです。

 (3)津波浸水予測時間図については、何分ぐらいで津波がやって来るかということです。足を取られて動けなくなる高さの津波は、概ね浸水深30センチ以上です。今回、これぐらいの津波が来るまでにどれだけ時間がかかるかということを発表させていただきました。
 この(3)から(2)を引いた時間が避難に使える時間になります。避難路、避難場所の選定などを行う時には、この(3)のデータと(2)のデータを使っていただいて、避難に使える時間はどれぐらいなのかを概ね推定していただくなど、今回の推計を使っていただきたいと考えています。

 (4)津波のアニメーションです。紙媒体では発表できないものであり、一部計算中のところがあるので、別途公表させていただきます。
 津波が襲ってくる挙動が、海側から来るのか、川を遡って山側から来るのかなどを、今、計算しているところであり、どういうふうに津波が来るのかということが、このアニメーションによって分かります。
 津波の動きを見ていただいて、避難する際の経路が安全かどうかの確認を行っていただきたいと考えています。この(4)のアニメーションや(1)のデータを使っていただき、避難経路を決める時の参考にしていただきたいと思っています。この(1)を見て、避難経路で倒壊家屋や倒壊ブロックなどがないかを確認していただく。これぐらいの揺れだと、やはりこのブロック塀ではだめじゃないかとか、そういった確認をしていただきたいと思います。
 そのうえで、この(4)のアニメーションなども活用していただきながら、この経路だと途中で水によって塞がれてしまうのではないかとか、避難経路が本当に大丈夫かどうかの確認をしていただくことを行っていただきたいと考えています。

 (5)津波浸水予測図については、津波による最大浸水域と浸水深になります。さらに、もう一段高いところに上がれるような高台を目指して逃げることが非常に重要です。(5)のデータを使っていただき、避難場所を決めていただくことが非常に重要かと思います。そのうえでなお、さらに高い所に逃げることを徹底していただきたいと思っています。

 (6)津波浸水深時間変化図です。これは、津波が起こり始めてから12時間、どのように津波が押し寄せてくるかを示したものです。
 ところによっては、6時間を超える時間においても津波が収まらず、津波がずっと継続する姿も、この変化図によって示されています。こちらを見ていただいて、どれぐらいの長期間、逃げないといけないのか、避難空間においてどれぐらい滞在しないといけないのか、ということの概ねの目安を持っていただきたいと考えています。
 さらには、真夏でこの場所にそれだけの長時間、本当にいられるのか、厳寒の時にこの避難空間にそれだけ長時間いられるのか、そういうことを、このデータを基にして再検討していただきたいと思います。水の備蓄がもっと必要だとか、やはり毛布を置いておかないといかんとか、いろんなことが分かってくるはずですので、そういったことをご検討いただきたいと考えているところです。

 最後は(7)津波浸水域・津波痕跡重ね合わせ図です。発生頻度の高い津波による浸水域と、最大クラスの地震の浸水域と、いわゆるL1〔100年から150年毎に繰り返し発生する巨大地震〕とL2〔極めて発生頻度の低い最大クラスの巨大地震〕の浸水域を重ね合わせ、さらに過去の津波痕跡を重ね合わせた図を示したものです。
 こちらをご覧いただくと、過去の津波で同じものは一つもないことが分かります。今回、いろんな形で津波の想定を発表させていただきました。これらを参考にしていただいていろんな避難計画を作っていただくわけですが、他方で想定にとらわれないことも非常に重要です。発表された想定に基づいていろんな対策を進めていただくのですが、「想定にとらわれるな」という発想のもとで、できる限り余裕度をもった形で、幅をもったいろんな対策を講じていくことが非常に重要となってくると思います。

 少し浸水エリアから離れているからといって油断をしないでいただきたいということです。想定と違うことも起こり得ることを忘れないで、いろんなシミュレーションを繰り返していただくことも重要かと考えています。是非、こういう図も参考にしていただきたいと思っています。


記者との質疑

(吉田:テレビ高知記者)
 今回の発表ですが、推計作業は一旦終了ということで、発表を見る県民にとっても最終版という意識が強くなると思うんですが、今回の発表を通して、県民に知事が一番伝えたいことはどういったことになりますでしょうか。

(知事)
 とにかく、相当な被害が予想されるわけです。避難路、避難場所を確認し、足りなければ、新たに作っていくことを県、市町村とも全力を挙げて取り組んでいきますので、住民の皆さんお一人お一人も、その辺りについて、是非、いろいろ確認していただいたり、皆さんで協力し合っていただいたりして、準備を進めていただきたいと思います。
 何と言っても事前準備を進めていただくために、今回の想定を発表させていただいたと思っています。もちろん、我々も今以上に頑張っていかないといけないと思っています。

(山本:NHK記者)
 学校や役所、病院などが、どのくらい浸水域に入っているのかというのは、いつ頃分かるのでしょうか。

(堀田南海地震対策課長)
 今後、そういうものが詳細に分かるソフトを(県庁内の)関係課へ年内に配りますので、それをもって早ければ1月中にデータを集計します。

(松井:高知新聞記者)
 今回、さまざまなデータが出ましたけれども、知事がご覧になって一番衝撃を受けたとか、印象に残ったものはありますでしょうか。

(知事)会見する尾﨑知事
 やはり、今回の一連のデータの中で、津波浸水予測図については、厳しい想定ですけど一定こういう形で浸水するのだろうと思います。
 3月31日から5月10日にかけては衝撃でしたが、今まで予想してきたところにマッチしているだろうと思います。やはり今回は、津波浸水予測時間です。
 それぞれお示しをさせていただいていますけれども、30センチ浸かるまでにかかる時間と、最大浸水深が来るまでの時間が随分短いということです。東日本大震災に比べてもかなり短いわけです。短いからこそ、事前の備えが本当に必要なんだろうと思っているところです。

 本当に厳しいデータですけれども、他方で、30センチの津波が来るまでに、一定時間のあるところの方が多く、逃げることはできるわけです。ただ、高齢者の皆さんや要援護者の皆さんなども一緒になって逃げられるためには、一体どういう備えを事前にしておくべきなのだろうかということを、地域の皆さんで、本当にこの図を見ていただいて真剣にご検討いただきたいと思います。今もしておられると思いますが、さらにご検討いただきたいと思います。
 そして我々も、地域の皆さんのやろうとしておられることを可能とするような対策を、さらに積み重ねていかないといけないと思っているところです。

(畑矢:読売新聞記者)
 今回の浸水域の面積と浸水域の中の人口というのが、新たに追加されているんですけれども、1センチでも浸水する最低ラインの浸水の中で、夜と昼で何人、その中に何人人口が入りますかというのを見まして、1センチだとかなり広い面積で相当の人数になると思うんです。30センチでもいろいろ取り組みが大事だということなんですが、それよりも低い最低ラインの浸水の場合、1人でも多く助ける為に堤防を作るとか避難経路の整備とか、いろいろあると思うんですが、まず一番最初に何に取り組むべきと思われるか。

(知事)
 予算を確保することは大事ですが、何と言っても、津波からの避難空間づくりが大事だと思っています。あと、「耐震対策を進めてください」ということを徹底的に訴え続けることも大事です。
 あわせまして県民の皆さまには、「ここで地震が来たらどこへ逃げるか」ということを常に意識して、いろんな見直しを進めていただきたいと思っているところです。

 本当に浸水深が浅いところもありますが、浅くても津波の場合は、水平方向の流れがあるものですから、やはりそこに注意しないといけないというのもあります。
 地盤沈降して、それで水に浸かるというところもあります。そういうところは、割と水平の動きは短いかもしれませんけど、先ほども申し上げましたように「想定にとらわれるな」というところで、確かに全体として押しなべて見れば、それほど浸水深は深くないかもしれないけど、あなたのいるそこの場所については何かの影響によって局所的に水が高くなったりするかもしれませんので、やはり油断をしないで対応していただくことが非常に重要だと思っています。

 何といっても、県民の皆さん、お一人お一人で避難路、避難場所を確認していただくこと。我々は、その避難路、避難場所を現実のものとなるように、避難空間づくりに全力を挙げていくことが重要であると思います。
 避難路、避難場所を見直しても逃げる場所がないじゃないかと思われている方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。そういう方々が本当に逃げられるようにするために、今、全力でこの避難路、避難場所を作っていますので、県民の皆さんには、自らの見直しを進めていただくことが重要だと思います。

(小坂:毎日新聞記者)
 土佐清水市役所の下の部分、いわゆる中心部に10分から30分というスピードで第一波の30センチ級が来て、その後、10メートルから15メートルぐらい浸水するという、かなり危機的状況だと思うんですが、地域ごとに集中的に検討することを、今後考えていくようなことは。

(知事)
 おっしゃるとおりで、非常に重要なポイントだと思っています。
 実は、地域ごとに集中的に考えていく必要があると思いましたので、高知市と連携会議を設置して、今、取り組みを進めています。高知市の場合は人口が圧倒的に多いことと、もう一つ、やはり高知市が、応急活動や全県的な復旧・復興を図っていくにあたっても要になるわけです。そういう観点からも高知市との連携を集中的に図っていくことが全県的に重要ではないかということから、県と高知市で連携会議を始めたところです。

 あわせまして、やはり今回の想定を見て、本当厳しい市町村も、これから分析するといくつか出てきます。そういうところとどういうやり方をやっていくのか。それは、市町村の検討に、県も我が事として入り込んでいき、やっていくような体制づくりが非常に重要だと思います。
 今後、そういう対象範囲を、我々も物理的な限界はありますけども、一つ一つこなしていく中で、そういう仕組みを他の市町村に広げることも検討していきたいと思います。

(大山:高知新聞記者)
 今回、最大地震の想定が出て、ある程度、県民もどんなものが起こり得るかというのをイメージできるようになったと思うんですけど、ただ、実際に起こるものは、県内全部が同じ浸水になるわけではないでしょうし、同じ震度になるわけでもないと思うんです。その一方でL1地震(を想定した予測)というものも示しながら、これをどう正しく県民に伝えていくかというのが今後、課題になってくると思うんですが、その辺りでどんなふうに県民に伝えていこうと思われていますか。

(知事)
 やはり最悪の状況が概ねどういう姿なのか。先ほど「想定にとらわれるな」という話でも申し上げましたように、局所的にはもっと最悪のことが起こるかもしれません。ですけども、最悪の姿というのはどういうものかということを知っていただくことが、まず対策の第一歩だと思います。
 だから、そういう意味においては、こういう形で、かなり厳しいものですけれども、最悪の姿を示し、これをベースにして、それぞれの対策をさらに加速していただきたいと思っているところです。

 先ほど、ケースの重ね合わせをしているので、それぞれの地域が全部同時に起こるかどうか分からないというお話だと思います。
 そうでしょうけど、その地域にお住まいの方にとって、最悪のケースはどういうことかということを知ることが非常に大事だろうと思います。ですから、我々としては、それぞれの地域の最悪のケースをお示しするようにしたということです。

 ただ、私達が県全体として、この発災時の姿をどう想定するかといった時、発災時は全体としてそれぞれで最悪のことが起こっているくらいのつもりで対応を考えることが非常に重要なんだろうと思います。応急時から復旧・復興時ということにだんだんなってくると、やはり東部中心型で起こった場合なのか、若しくは日向灘の方にふれた場合なのか、という状況の違いを想定して、対策を立てていくことが重要だろうと思います。

 津波について、国は全部で11ケースを計算しています。国では、もともとそんなにたくさん計算する予定ではなかったんです。一番被害が最悪の場合だけを取りあげて計算しようとしていたので、私も(南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの)委員だったから、いろんなパターンを計算してほしいとお願いしました。
 東側が大変だからといって東側ケースだけ計算されたが、実際に起こったのは西側ケースだった場合、東側ケースで立てた応急・復旧・復興計画というのは、役に立たないということになりかねないじゃないですか。

 だから、意義として言えば、それぞれの地域で最悪どういうことが起こり得るかを知っていただくことが第一。あともう一つは、我々として計画を立てていく時は、やはり全体としての最悪はどうなるかを把握しつつも、それぞれのパターンの特性を一定、把握しておいて、要すれば、その特性ごとの対策を考えることが必要になってくる。そういう形で我々としては使わせていただきたいと思います。
 県民の皆さんには、「それぞれの地域での最悪の姿はこうです」ということで、お示ししていくことになるのではないかと思っています。

 あと、起こり得る地震の話というのは、例えば、津波で逃げて行く場所を「避難空間」と言うとして、長期に皆さんが滞在される場所を「避難場所」と言わせていただくとした時、その避難場所をどこに選定するかとか、さらには瓦礫の一時処理場をどこにおくかとか、残念なことですが、ご遺体の安置所をどこに置くかとか、そういうことを応急時、復旧時、復興時になると考えていかないといけなくなるわけです。

 その時の参考に、発生頻度の高い津波のデータを役立てることができると思っています。住民の皆さん向けというより、どちらかというと、行政でいろんな計画を作っていったりする時に役に立つデータになるのではないでしょうか。
 住民の皆さんには、最悪のことも起こり得るということで避難場所の選定をするような取り組みを、是非、全力で行っていただきたいと思います。

(大山:高知新聞記者)
 34メートルショックの時もそうだったんですけど、あまりにも大きいものが示されて、これは逆に諦めにつながるんじゃないかというのは、県の方でもずっと危惧されてきたことだと思うんですが、そうならないために、この新しい想定というものをどういうふうに使っていこうとお考えですか。

(知事)
 34.4メートルだけドーンと出されたから、我々も3月31日、大ショックだったわけです。どういう対策を講じるのかも示されてなかったし、34.4メートルがどういう形で来るのかも分からなかったわけです。
 先ほど申し上げましたように、我々はこういう想定を出して、それに対してどういう対策をとるのかということをお示しするというのが一つあります。

 あともう一つは、単に津波の高さだけではなくて、例えば、ここにありますように、津波浸水予測時間をお示しするとか、さらにはどういう挙動をとるのかアニメーションでお示しするなど、データもあわせてお示しをさせていただくことによって、実践的に避難に使える情報にしていきたいと思っています。
 あとはこのデータを使っていただいて、「諦めないで対策をしてください」ということを訴えていくことが非常に重要だと思っていますので、記者の皆さんも是非、分かりやすく書いてください。

 これを見ていただくと、使い方の例を書いてあるように、こうやって計算していただくことで、具体的にどうやれば避難路、避難計画が作れるのか大体分かっていただけると思います。
 さらに、「こうち防災備えちょき隊」も有志の皆さんで結成しています。この皆さん達は専門家ですから、アドバイスをいくらでもお示しするような体制になっていますので、場合によっては相談もしていただいて、是非、考えていただきたいと思います。

(小坂:毎日新聞記者)
 市町村とかが作る事前の復興・復旧計画のレベルは、安政モデルで考えるのでしょうか。

(知事)
 L2レベルとL1レベルの2パターンで考えることになると思います。

(小坂:毎日新聞記者)
 長期浸水だとどうなりますか。

(堀田南海地震対策課長)
 長期浸水の場合、地盤の沈降量の話ですのでその差はありません。そのため(沈降量が)深い方で推計しています。

(司会)
 以上で記者発表を終了します。

 

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