知事の定例記者会見(平成25年を迎えるにあたって 平成25年1月1日)

公開日 2013年01月04日

更新日 2014年03月19日

知事の定例記者会見(平成25年を迎えるにあたって)

平成25年1月1日 知事室

飛躍への挑戦(1)
第2期産業振興計画の推進
日本一の健康長寿県構想の推進
南海トラフ巨大地震対策
インフラ整備の推進
教育改革の推進
中山間対策
安倍新内閣
飛躍への挑戦(2)

<以下、質疑>

今年のキャッチフレーズ
移住促進の取り組み(1)
非行防止の取り組み
移住促進の取り組み(2)
津波からの避難空間づくり

 


飛躍への挑戦(1)

(知事)

 明けましておめでとうございます。2013年の年明けにあたりまして、私からこの1年の所感を申し上げたいと思います。

 知事の年頭所感

まずは県民の皆さま、それぞれ大変よいお年をお迎えになられたことと思います。心からお慶び申し上げます。また、今年1年が県民の皆さまにとりまして本当によい年となりますように、心からお祈りを申し上げる次第です。


 私ども、高知県として今年もさらなる飛躍へ向けた挑戦を続けていかなければならないと考えています。


 昨年は、5つの基本政策をはじめ、さらにそれらを融合させた中山間対策など、いろいろな新しい取り組みを進めてきました。これらの取り組みを進めていく中において、例えば、地産外商が従前に比べて随分前に進むようになってきましたし、さらには外国に向けて輸出が始まるなど、よい兆候も見えてきていると考えているところです。


 今年は、特にこれまでの地産外商が進んできた流れを生かして、さらに新しい挑戦を行っていきたいと思っています。それは「移住の促進を図る」ということです。これが今年の本当に大きなテーマだと考えています。

 地産外商の取り組みをさらに移住促進につなげていくためには、もう一段大きな力が必要になってくると思っています。特に重要なのは、高知の良さの対外発信を強化することが、非常に大きなポイントになるのではないかと思っているところです。

 飛躍への挑戦を今年も続けていきますけれども、特にその中でも「高知の良さの対外発信の強化」を、今年1年常に念頭に置いていきながら、さらなる挑戦を続けていきたいと考えている次第です。


 幸い今年は、いろいろと追い風になるチャンスがあります。まず第1に、高知県をテーマにした映画が放映されることになりますし、さらには「ねんりんピック」も高知県で開催される年となります。対外発信力を強化していくにあたって、この追い風をうまく生かして地産外商からさらに移住促進につながっていくよう取り組んでいきたいと考えている次第です。今年1年大いに頑張っていきます。是非とも県民の皆さま方のご指導、ご鞭撻をどうぞよろしくお願いいたします。


 それでは、各政策課題に従いまして、それぞれ今年1年の取り組みについての所感を申し上げさせていただきたいと思います。


第2期産業振興計画の推進

 まず、産業振興計画です。第2期高知県産業振興計画について、昨年1年間いろいろな取り組みを行ってきました。1年目としては比較的順調なスタートが切れたのではないかと思っています。一定、今後の成果の獲得に向けて、手ごたえを感じる点もあったのではないかと考えています。

 ただ、本県経済を取り巻く状況は、引き続き厳しいものがあります。特に、全国的に景気の低迷が見られるところもあります。国の経済対策等をうまく生かしていきながら、一時的な景気浮揚策をしっかりと講じていくとともに、さらなる県経済の体質強化に向けて産業振興計画をさらにバージョンアップしていかなければならないと考えているところです。今、全力でPDCAサイクルを回して、その改定に向けた作業を行っているところですが、これを続けていき、第2期計画のバージョン2として、さらにバージョンアップしていきたいと考えています。


 その中で、まず地産外商については、先ほど申し上げたように、一定手応えを感じるようになってきました。地産外商公社が現在までに成約した件数でみた場合、昨年同時期の約3.3倍に及んでいます。昨年度は1年間で1,327件の成約件数を取ることができたわけですが、もう既に昨年12月末までで1,300件近く契約が取れています。昨年同時期が大体300件ぐらいでしたので、随分と前に進むようになってきました。これは多くの皆さま方がご努力をされたことや、高知県の発信力が大いに強化されてきていることの証でもあろうかと思います。

 この勢いをさらにつけていかないといけないと思っています。そういうことから、今後、いろんな形で多くの皆さまにご相談をさせていただきながら、例えば、地産外商公社の対外的な外商機能をさらに強化することができないだろうか。関係機関の皆さまとの連携を図っていく取り組みをさらに強化できないだろうか。さらには、移住促進や観光、地産外商などを統一的に進めていくためのキャッチフレーズみたいなものを考えることはできないだろうか。高知の良さを端的にわかりやすく示すキャンペーンの在り様はないだろうかといったことを、今年1年大いに検討し、実行していきたいと考えています。


 またもう1つ、地産外商の系統では、海外への挑戦をさらに強化していきたいと思っています。昨年は、フランスに向けたユズ玉の輸出について、SIAL(シアル)2012に出展し、一定の成果が上がった年でした。フランスへの輸出をより本格化させていくとともに、ヨーロッパの他の国の中で、一定手ごたえのある国に向けての輸出にも取り組んでいきたいと考えています。


 第2点として、ものづくりの強化についてです。昨年11月に開催しました「ものづくり総合技術展」には約100を超える企業・団体の皆さまが出展され、延べ1万5千人の方々が来場されました。本当に多くの皆さまが高知県のものづくりの可能性を感じられたのではないかと思いますし、また、企業さん同士でもいろいろと新しい商談も生まれてきていると伺っています。このものづくりの強化について、さらに今年は力を入れていきたいと考えているところです。

 ものづくりの地産地消センターによって、できるだけメイド・イン高知の商品づくりに取り組み、(県内企業同士のマッチングの)機会を増やす。あわせて、強化した設備投資補助金も生かしていただき、新しい設備投資の動きにつなげていく。さらには外商を行っていくため、産業振興センターに新設しました外商支援部による後押しをさらに強化していきたいと思っています。特に、防災関連産業の分野では、大いに期待したいと思っているところです。

 高知県に強みがあって、全国的にもニーズのある分野ですので、是非、この分野を強化したいと思います。新たな公的調達制度を設けていくことによって、公的にも県内の防災関連産業を後押ししていくことがさらなる飛躍につながっていくという良いスパイラル〔連鎖〕を作り出せないか、さらに検討を深めていきたいと思っているところです。


 また、もう1つでは、県内企業さんの高台移転や企業誘致を円滑に進めていくためにも、県内の工業団地の開発を新たに進めていく必要があるのではないかと考えているところです。さらに、単に工業団地だけではなく、コールセンターのような事務系オフィスの誘致を進めていくためにも、さらなる支援策の強化や仕組みの強化を考えることはできないだろうかと思っているところです。


 新エネルギー産業の推進については、この1年強、ずっと検討してきたことをいよいよ具体化するフェーズ〔段階〕に入ってくることとなります。「こうち型地域環流再エネルギー事業」のスキームの検討に1年ぐらい要したわけですが、県と市町村、そして企業の三位一体となった新エネルギー事業の利益を地域に還元していく取り組みを進めていきたいと思います。年初の比較的早い時期に、発電事業の主体を立ち上げて、少し時間がかかるかもしれませんけども、とにかくまず第一弾として安芸市でメガソーラー発電事業に着手していきたいと考えているところです。


 また、産業人材の育成の取り組みも、引き続き力を入れていきたいと考えています。「土佐まるごとビジネスアカデミー」を今年度開設しまして、本当に多くの皆さまにご参加いただきました。さらに、昨年やってきたその結果を踏まえ、さらなるバージョンアップを考えたいと思います。例えば、地域や企業での現場研修を取り入れていくことはできないだろうか。さらには、できるだけそのお住まいや職場の近いところで、講座を受けていただけるような出前講座を研修メニューに追加することはできないだろうか、といった検討をしていきたいと考えているところです。

 県立大学の改革や産学官連携など、全体をコーディネートしていくことによって、さらに全国一学びの機会が多い県を作っていくことができないか、こういう新しい構想についても検討の着手に入りたいと考えているところです。


 観光振興については、「リョーマの休日」キャンペーンを、平成25年度も引き続き実施していくことになります。今年の大きなテーマとして言えば、地域の観光組織を強化し、地域で観光商品や旅行商品づくりを自立的に行っていけるような体制を作り上げていくことが非常に大きなテーマになると考えているところです。大河ドラマの放映以降、「高知県は観光でいけるのではないか」というふうに自信を持たれた地域の皆さま方が、たくさんいらっしゃると伺っており、本当に心強い限りだと思っています。この流れを契機にしっかりと生かし、地域地域でそれぞれ旅行商品を作り出し、対外的に発信していく、それを組織的に行っていき、地域に根付いていくようさらなる取り組みを進めたいと考えています。

 そういった中で、「リョーマの休日」キャンペーンにおけるエリアキャンペーンをそのために生かしていきたいと思いますし、さらには幡多で構想されています、まだ仮称だそうですけれども、「幡多博」の取り組みなど、地域の観光イベントやキャンペーンの取り組みを県としてもしっかり後押しをさせていただきたいと考えているところです。

 そしてもう1つは、平成26年度以降どうしていくかということについて、考えることも必要となってきます。「リョーマの休日」キャンペーン終了後どうするかということについても、今年構想を練らなければならないと考えているところです。


 そして、おそらく、産業振興計画の25年度版に向けた改定の大きな柱となるのが「移住促進策の抜本強化」です。高知で作られたものを手に取っていただいたり、実際に使っていただくといった「ものづくりの地産地消と地産外商の取り組み」、さらには観光振興によって交流人口を拡大していき、それによって外貨を稼いでいこうという取り組みなどを、さらに発展させていき、移住促進の取り組みにつなげていくことが非常に大きなテーマです。


 高知県の中山間対策、さらに中山間にとどまらず、高知県全体の県勢浮揚を図っていくためにも、人口の社会減をより一層食い止め、できれば、ささやかでも増加に転ずるという取り組みができないだろうかと思っているところです。

 ただ、移住促進を図るのは、正直なところ、そんなに簡単なことではないだろうと思っています。多くの県も同じような取り組みをしてますでしょう。また、単に高知県の物を買うことや旅行に来ることに比べ、移住をすることになれば、ハードルも非常に高くなるだろうと思います。だからその分、県の施策も大幅に強化していかなければならないと考えているところです。

 具体的にどうするかについて、今、プロジェクトチームを設け、鋭意検討を進めているところです。これも新しい政策のパッケージを第2期産業振興計画の25年度版の素案として発表させていただくときに、我々としての案を皆さま方にお示ししたいと考えています。今年の1月から2月にかけて、そういう構想について、一定お示しできるようになるのではないかと考えているところです。


 いずれにしても地産外商をさらに進めるために、そして、交流人口の拡大や移住促進を図っていくためにも、非常に必要なことは「高知県の良さ」を対外発信する力をさらに強化することだと思っています。このことを1つのテーマとして、今年は取り組んでいきたいと考えています。



日本一の健康長寿県構想の推進

 続いて、日本一の健康長寿県構想の推進についてです。この日本一の健康長寿県構想は第2期のバージョン1となっていますので、第2期のバージョン2にするように今、改訂作業を進めようとしているところです。


 まず、保健の分野で特に力を入れなければならないと思っているのが、働き盛りの男性の生活習慣病対策です。生活習慣病による死亡原因の一番大きいものに、特に的を絞った対策を進めていきたいと思っています。具体的には、がん対策を強化することや高血圧と喫煙への対策を大いに強化していきたいと考えているところです。


 医療について、引き続き、医師確保の充実は非常に大きな取り組みになります。高知医療再生機構を核とした中長期の医師確保対策、いわゆる腕を磨きやすい環境づくりをする取り組みを続けていきますし、さらには、県外私立大学との連携やこうちの医療RYOMA大使の取り組みなどの即効性のある医師確保の取り組みを、引き続き続けていくわけですが、中でも今年は、「周産期医療体制の充実」を図ることに強く取り組まないといけないと思っています。医療現場の皆さんが大変なご苦労をしていただいて、高知県の周産期医療を支えていただいています。スタッフの数も足りませんし、設備も足りない状況になっているのではないか思っています。今、庁内にプロジェクトチームを作って対策をどうするかということの検討を進めていますので、この取り組みを具体化していかなければならないと思っているところです。


 福祉の分野では、高知型福祉の取り組みをさらに強化していきたいと思っています。官民一体となった意図的・政策的な支え合いの再構築の取り組みとして、「こうち支え合いチャレンジプロジェクト」を立ち上げることができないかと考えているところです。福祉の関係者や地域の関係者の皆さん、そして医療の関係者の皆さんなどが一堂に集って「あったかふれあいセンター」などの既存の場も活用していただきながら、地域でのお互いの支え合いを意図的に作り上げていこうという取り組みです。今、市町村で地域福祉アクションプランの策定が進んでいますので、そのアクションプランの策定とあわせて、こういう新しい支え合いの仕組みづくりをよりきめ細かく全県下に広げていくような取り組みにチャレンジしたいと思っているところです。

 あわせてもう1つ、認知症の人と家族を支える体制の強化、さらには発達障害や児童虐待などの問題に対する取り組みも強化していかないといけません。特に後者(発達障害や児童虐待)については、療育福祉センターと中央児童相談所を合築して機能を強化することが考えられないだろうかという検討を、具体的に進めていきたいと思っているところです。

 あともう1つは、教育と絡む話として、少年の非行問題についてです。残念ながら少年の非行率が全国ワースト1という状況が続いています。この対策を強化しなければならないのではないかと考えているところでして、今、教育委員会や福祉の関係、さらに警察などの関係機関が一緒になり、どのような対策を取っていくべきなのか検討を進めています。福祉の分野、そして、教育の分野いずれにも関わる話ですので、この非行防止対策を抜本強化することに取り組んでいきたいと考えています。


 


南海トラフ巨大地震対策

 南海トラフ巨大地震対策について、今年のテーマは2つです。第1に津波からの避難空間の確保に全力で当たっていきます。第2は、新行動計画を今年度中に作り上げて、25年度から実践段階に入っていきたいと思っています。


 まず、避難空間づくりについては、現在の段階で県内に963箇所の避難路・避難場所を新設しなければいけないということを想定しています。昨年12月に新しい(高知県版第2弾の震度分布・津波浸水予測の)想定を発表させていただきました。その想定を基にして避難路・避難場所が本当にこれでいいのかということの再見直しを行っていかなければなりません。今年早々からこの取り組みに着手して、今年度内には概ね終えたいと考えているところです。今年度中に大体600箇所ぐらい避難路・避難場所を作っていこうと取り組みを進めてきているところですが、必要に応じてさらに加速をしていかなければならないと。とにかく25年度を1つの目標として、この避難路・避難場所づくりを概ね完成させたいと思っているところです。


 加えて、応急時・復旧時・復興時を睨んだ事前対策を抜本的に進めていくことが必要です。発災時の対策を含めた一連の対策をとりまとめた新行動計画の策定を今、急ピッチで進めているところです。南海地震対策行動計画を元々、県では持っていました。しかしながら、東日本大震災の教訓を踏まえて、この南海地震対策行動計画をどう見直していくべきか、ずっと検討を続けてきたところです。

 その再検討が、概ね終了に近付いてきていると思います。東日本大震災を踏まえた形で、南海トラフ巨大地震対策行動計画、いわゆる新行動計画の策定をいよいよ概ね終えるという段階に入りたいと思います。

 そして、新年度からはこの行動計画を実践し、その結果を踏まえて、今の計画でよいか点検し、必要に応じてさらに計画を見直すといったプロセスに入っていきたいと思います。PDCAサイクルを回し続けて、不断の改善を図っていきたいと考えていところです。


 ちなみに、総合防災拠点については、昨年までに全体で8箇所の拠点を作るという構想案をお示ししています。年度内には、総合防災拠点の基本構想の策定を終えたいと思っており、新年度からは具体的にこの総合防災拠点の整備に向けて、行動を進めていきたいと考えているところです。


 南海トラフ巨大地震対策は、本当に大変エネルギーが必要な取り組みであり、県も全力を挙げていきます。市町村の皆さんも今、全力で取り組んでいるところです。そして、多くの住民の皆さんもこの対策を進めておられるところです。今年は、官民一体となった取り組みをさらに加速していきたいと考えています。

 もう1つ、国にもしっかりと地域の防災・減災の取り組みを後押ししていただかなくてはなりません。南海トラフ巨大地震対策特別措置法の制定を、昨年から強く訴えてきました。今年何とか、この法案を成立させられるように、国に対する働きかけをさらに強化していきたいと考えているところです。


 


インフラ整備の推進

 インフラの整備については、引き続き取り組みを進めていきます。今年度末には、高知東部自動車道の香南かがみインターチェンジから香南やすインターチェンジが開通する予定です。国のいろいろな経済対策も生かしていきながら、本県にとって必要なインフラ整備をさらに進めたいと思います。


 


教育改革の推進

 教育改革については、昨年3月に策定しました「高知県教育振興基本計画重点プラン」に基づいて、「知」・「徳」・「体」の取り組みを進めてきた結果、子供たちの学力や体力は、着実に上昇してきています。ただ、もう一段強化をしていかなくてはいけません。

 今までの取り組みを検証し、さらに対策を進めていきたいと思っているわけですが、先ほど福祉の分野でも申し上げたように、非行防止対策に教育の分野でも力を入れていきたいと思っているところです。心の問題に根本的に取り組んでいかなければなりません。非行防止対策に加え、さらに不登校、暴力行為、いじめといった問題についても、さらに取り組みを強化したいと考えているところです。今年は特に、生徒指導の充実や学校経営の改善など、専門家の方もお招きしていろいろと知恵をつけていきたいと思っていますし、さらに、一連の問題解決に必要となる体制の強化を図っていきたいと思います。そのため、福祉の分野との連携を図っていくことで、トータルに子供をみんなで見守り、そして育てていくことが必要であることから、そういった取り組みを県内へ広げていきたいと思っているところです。


 あわせて、保健の分野では「よさこい健康プラン21」を新たに改定する予定で、今、作業を進めています。さらに、防災教育を進めていくとともに、健康や保健の分野についても教育を充実させていきたいと思っています。これまで「早ね・早おき・朝ごはん」の取り組みなどを続けてきました。やはり、健康的な暮らしをしていくとはどういうことなのかということについても、しっかりと教育できるよう取り組みを充実させたいと思っているところです。


 ちなみにこの分野で、非常に楽しみなのは「高知龍馬マラソン2013」の開催まであと2ヵ月を切ったことです。県外から4千人近くの皆さんにおいでいただくことが予定されており、今まで3年越しぐらいで仕込んできた取り組みが、いよいよ実現することになるわけですので、非常に楽しみにしています。こういった機会も生かして、子供たちの教育や生涯学習・生涯スポーツの充実などを伝えていければいいと思いますし、対外発進力の強化にもつなげていければと思っています。


 


中山間対策

 中山間対策については、昨年までに集落活動センターが県内で3箇所立ち上がりました。今年度中に新たに3箇所立ち上がる予定です。あわせて、集落活動センターを新たに作ろうという構想が、他に10箇所以上進んでいると承知していますので、この集落活動センターの取り組みをさらに県内全域に広げていけるよう、今年も力を入れたいと思います。

 そして、鳥獣被害対策については、本当に厳しい問題です。守りの強化とともに、攻めをもう一段強化することができないか、より実効性のある対策を模索していきたいと考えているところです。この中山間対策は総合的な対策であり、産業振興計画の取り組みや日本一の健康長寿県構想の取り組み、その他インフラ整備の取り組みなど、いろんな対策を融合していかなければならないものです。今年度、庁内で中山間対策推進本部を作り、私自身も本部長に就任し、取り組みを強化をしてきたところであり、この取り組みをさらに強化していきたいと思います。

 そして、非常に魅力的な中山間対策を打つことが、例えば、移住促進にもつながっていくという形で、施策同士のプラスのスパイラルを作り出していけるよう、全体としての県政運営を目指していきたいと考えているところです。


 


安倍新内閣

 安倍新内閣が昨年末に発足されました。安倍新内閣には、まず経済対策に本当に期待させていただいているところです。より緩和的な金融政策をとっていただくとともに、補正予算をはじめとする財政出動によって経済全体を温めていき、その間に是非、日本経済の自立的な成長につながっていくような成長戦略を樹立し、そして実行していただきたいと思っているところです。

 そういう取り組みを進めていく中で、我々のような厳しい条件にある地方の取り組みを大いに後押しをしていただく政策を展開していただきたいと思っています。そして特に、高知県にとって重要なこととして、先ほども申し上げました南海トラフ巨大地震対策特別措置法の制定を強く求めたいと考えているところです。来週若しくは再来週になろうかと思いますが、私自身も上京いたしますし、またさらには、9県知事会議としてもこの法律の制定などを強く訴えていきたいと考えているところです。


 


飛躍への挑戦(2)

 今年も飛躍への挑戦を続けていきたいと考えています。そして、従前以上に努力を重ねていきたいと考えています。飛躍への挑戦を成し遂げていくためにも、官民協働の取り組みが是非とも必要だと考えています。我々も一生懸命頑張っていきますので、県民の皆さま方のご指導、ご鞭撻を心からお願い申し上げたいと思います。今年もどうぞよろしくお願いいたします。



<以下、質疑>


今年のキャッチフレーズ

(池:高知新聞記者)

 年間キーワードみたいなのを毎年おっしゃっているわけですけど、今年は去年と同じ「飛躍への挑戦の年」という(ことですか)。

(知事)

 飛躍への挑戦というキャッチフレーズは、例えば産業振興計画など今年も続けると思います。今年の大きなテーマの1つとしては「高知の良さの対外発信強化」だと思います。


(池:高知新聞記者)

 今年の言葉ということ(ですか)。

(知事)

 そう受け止めてもらって構いませんが、飛躍への挑戦は引き続き続けます。


(池:高知新聞記者)

 毎年の言葉をやめたわけではない(のですか)。

(知事)

 やめたわけではないです。小見出しであれば、「高知の良さの対外発信強化」といったことかと思います。

 移住促進になると、もう一段レベルが上がるので、やはり相当キャラの立った取り組みをしないといけないと思います。だから、そこを今どうするのかということを一生懸命模索しているところですが、今すぐには申せませんけど、我々の案もあるので、その辺りを磨き上げていければと思っています。


(池:高知新聞記者)

 もうちょっと観念的なというか、象徴的なというか、今年はそういう感じではないんですか。

(知事)

 「対外発信強化の年」でいいです。飛躍への挑戦は1年で終わらないので、飛躍への挑戦の年であることは変わらないです。ただ、その中でも特にテーマになるのは「対外発信の強化」ということで、移住促進につなげられるぐらいの強化が非常に重要だと思っています。


移住促進の取り組み(1)

(福井:テレビ高知記者)

 移住促進というところの25年度ならではの位置づけというのは、どういうところから柱に挙げていらっしゃるのか。背景や一番の目的は(何でしょうか)。

(知事)

 (背景の)1つは、移住促進を図ることで、本県にとってどういう影響があるのかということをいろんな面から調べてきました。やはり調べるにつけ、トータルとしてプラスだろうということ。そして、もう1つは全国的な流れを見たときに、特に団塊世代が非常に高齢化してきているという流れを見たときに、やはり移住促進の流れは出てくるのではないだろうかということを強く感じたところです。やはり時代背景からして、今動きだすべきではないかということを考えたのが1つですが、特に25年度になったところについて言わせていただければ、これまで本県では地産外商の取り組みや、観光振興の取り組みなどを続けてきました。特に第2期産業振興計画になって、もう一段取り組みを強化し続けてきました。一定、こうした取り組みの手応えが出てきたと思っています。高知県というのは、対外的にもやはり多くの人に好感を持って受け止められているのではないかということも、そういった取り組みの中で感じてきました。

 さらにもう1点は、中山間対策などの取り組みを進めていく中で、人口減少のもたらす負のインパクトが非常に大きいものであることを実感した点も大きいと思っています。やはり、こういった問題による痛みを少しでも緩和できるように、若い人の移住促進を図っていくこと、さらには元気な高齢者の皆さんの移住促進を図っていくことが、中山間対策にとっても非常に重要な点ではないかということを深く感じた1年でした。

 そういう一連のことを考えて、移住促進について庁内で本格的に取り組もうとしています。是非、移住促進をやりたいと思っています。


(福井:テレビ高知記者)

 感じられたというのは、例えば24年度から始められた「対話と実行行脚」とかそういったところで、直接知事もそういった地域の人の実情というものを非常に感じられたということなんでしょうか。

(知事)

 (知事に就任して)この5年間でいろんなところで話をさせていただいてきて、それを肌で感じるところはたくさんあります。やはりそういう人口減を一定食い止めるような、若しくは地域に新しい活力を呼び込んでくるような取り組みが是非とも必要だと思います。

 ただ一足飛びには、なかなかうまくいかないものですけども、やはり我々としての対外発信の取り組みを続けてきている中で一定いけるのではないかというところがあります。さらには今度、(移住の)受け皿として、例えば中山間にお呼びするとして、どこでどういう取り組みをしていただくのかという話を考えたとき、集落活動センターの取り組みなどを進めてきている中で、集落活動センターが行っている活動などが、強力な1つの受け皿となるのではないだろうかということを実感してきたところもあり、今ならいけるのではないかと思っています。ただ、簡単ではないと思いますので、もっと努力しないといけません。


(天野:朝日新聞記者)

 移住促進は去年もおっしゃってらしたんですね。

(知事)

 そうです。2012年のことでした。


(天野:朝日新聞記者)

 (去年からあったということは)優先順位が変わったということなんですか。

(知事)

 去年はまだ部分的でした。いわゆる集落活動センターの担い手を全国から募る「高知ふるさと応援隊」などの取り組みをやり始めたことで、去年から目出しを始めたということです。ですが、まだ政策パッケージになっていないので、これからやらないといけません。


(天野:朝日新聞記者)

 2013年から本格的に家族(単位の)移住みたいなものも(取り組むのでしょうか)。

(知事)

 そうです。毎年、産業振興計画をバージョンアップしており、第1期のときもバージョン1、バージョン2、バージョン3となっていったわけです。今、第2期計画のバージョン1ですので、バージョン2に25年度からなります。多分、5つぐらいの柱でもって改定をすることになるだろうと思いますが、そのときの改定の大きな柱として「移住促進施策」をパッケージとして、産業振興計画の中に組み込むことになるだろうと思っています。

 まだやろうかと言っている状況で、政策をこれから出すことになります。


非行防止の取り組み

(福井:テレビ高知記者)

 非行防止の観点なんですけど、(文部科学省公表の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査結果」では、全国の)ワースト3に入っていたかと思うんですが、具体的にどういった施策をやってみたいというような知事のお考えがありましたら。

(知事)

 まだ検討中なので、もう少し待っていただければ、ありがたいと思います。

 もう少し子供たちを見守る力を強化できないかと思っています。ですが、それを具体的にどうするのかということについては、まだ諸案を検討中です。


移住促進の取り組み(2)

(天野:朝日新聞記者)

 移住促進は若い世代なのか、団塊の世代なのか、どちらですか。

(知事)

 年齢に関わらず取り組んでいきます。


(天野:朝日新聞記者)

 逆に団塊の世代をあまりに呼んでしまうと、いろいろな福祉とかそういうコスト面のマイナスが出ないんですか。

(知事)

 そうしたこともあったので、本当に進めることがプラスなのか、マイナスなのかということをずっと検討してきたところ、トータルで見ますと、高知県としてはプラスだろうと考えています。多分、県によって事情が違うと思いますが、移住を促進していくことで、例えば、65歳以上の夫婦の方が来られたときに、経済的な面だけで見てもプラスかマイナスかというと、大幅にプラスというデータがあって、さらにもう1つ、高齢の方がおいでいただく場合でも、それに伴って若い人に職が生まれることもあって、例えば、福祉の分野にとどまらず、いろいろな仕事も生まれることもあり、それを考えてもやはりプラスだろうという結論に達したということです。

 ただ、もっと言うと、全国的に政策提言もしていかなければならないと思っています。医療保険制度や介護保険制度を全国単位で運営できるようにしたほうがいいと思います。そういうことをすると、もう一段高齢者の皆さま方の地方回帰みたいなことはもっとスムーズに進むようになるのだろうと思っています。移住した際に、地方だけの負担が大きくなるということではなくて、やはり全国で支え合う視点が重要で、そのためにもその辺りの制度改正ができないかと。今は市町村単位ですが、県単位にしようという議論も出ています。さらに、これを全国単位にすべきではないかという議論もありうると思っていますので、全国知事会などでもそういう提言はしてきています。

 これから、大都市圏で本当に急激に進む高齢化を支えきれるのだろうかという問題意識もあるわけです。ものすごい勢いで高齢者の皆さんが増えてくることになります。それを地価の高い大都市圏でいろんな福祉施設をどんどん新設していくことができるのだろうかと考えた場合、私はなかなか厳しいのではないかと思います。だから、そういう高齢化時代を日本全体で乗り切っていくためにも、高齢者の皆さんの地方回帰を考えないといけない、これが日本全体のテーマになるだろうと思います。

 我々は、全国に向けていろんな制度を見直し、これを訴えていく取り組みと共に、そういう時代の流れの受け皿に真っ先になれる取り組みが進められればと思っています。


津波からの避難空間づくり

(井上:高知新聞記者)

 南海地震対策のところで、津波からの避難空間の箇所数とかも出てましたけれども、今年度中に600箇所というのは24年度のことですか。

(知事)

 そうです。25年度には概ね完成させたいと思っていますが、どうしても、工事中といったことなので、ずれ込んだりする部分も出てくるかもしれません。

 ただ、先ほども申し上げましたけど、去年12月に出した想定を踏まえて、もう1回見直しをしないといけないと思うので、これで十分だろうかということは、それによってまた数が増減することがあるかと思います。


(司会)

以上で記者会見を終了します。

 

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