知事の定例記者会見(平成25年1月25日)

公開日 2013年02月01日

更新日 2014年03月31日

知事の定例記者会見

平成25年1月25日(水曜日) 11時00分から11時55分  第一応接室

国の補正予算(1)
体罰問題(1)
談合問題(1)
かけ込み退職(1)
体罰問題(2)
教育再生実行会議(1)
国の補正予算(2)
高知工科大資産運用
かけ込み退職(2)
体罰問題(3)
教育再生実行会議(2)
高卒の進学状況調査
子ども条例
談合問題(2)

配布資料
 飛躍への挑戦! 産業振興計画 [PDFファイル/1.48MB]

(知事)
 まずお手元に「飛躍への挑戦!産業振興計画」として、産業振興計画の進捗状況について資料をお配りしていますので、参考にご覧いただきたいと思います。
 併せまして、嬉しいニュースが先日、発表になっています。NHKさんで大河ドラマ「龍馬伝」の再放送をしてくれることになり、今年4月から来年3月まで1年間かけてやってくださるということですから、改めて観光振興に向けては良い追い風になると非常にありがたく思っているところです。資料にはまだ反映されていませんけど、高知駅前の施設などいろんな関連施設が残っていますから、そういったものを生かしていきたいと思います。


国の補正予算(1)

(坂梨:NHK高知記者)
 安倍政権がまとめた13兆円を超える大規模な補正予算案について、知事の所見をお伺いしたいと考えております。
 南海地震対策を国に要望している中で、今回の予算では高知県の地震対策がどのように進んでいくかと尾﨑知事は今現在、考えていらっしゃるのかということと、一方、この財源の6割を国債に頼った形の予算編成になっていることから、将来的に借金返済のツケを後回しにする形になるという指摘もあります。その点について、知事はどのようにお考えになるのかという質問をさせていただきます。

(知事)会見する尾﨑知事
 まず1点目の、大規模な補正予算案についてどう思うかということですが、いわゆるアベノミクス〔安倍首相が構想する経済政策〕と言われます3本の矢に非常に期待するところです。大胆な金融緩和を進め、資金環境を潤沢にしていく中で、まず、速やかに需要喚起を図っていくため、公共事業をはじめとした財政支出の拡大によって対応していく。そして、より本格的な投資につなげていくために成長戦略を作っていく。税制などにおいても新たな投資を誘発するような取り組みを進めようとしていく。確かにこういった一連の流れは、非常に理にかなった取り組みだと思います。

 長年にわたり、なかなか物価が上昇しない状況が続いてきました。その背景には、すなわち投資が行われず、新しい事業展開が図られようとしないことが、非常に大きなものとしてあったのではないかと思っています。これは「鶏が先か、卵が先か」〔説明のしようがなく堂々巡りになること〕という議論にはなりますが、「お金があれば成長するのか」と言えば、お金もないといけないでしょう。そして「投資を生み出していくために民が先なのか、官が先なのか」と言えば、最終的には民が担っていかなければならないでしょうが、やはり火付け役として官がまず火を付けることはあるのではないかと思います。

 そのうえで、世界の趨勢〔物事の成り行き〕に対応した産業構造への転換を図り、新しい需要を取り込んでいけるようになるためにも、成長戦略によって新しい産業をどのように作り出していくことができるのか。次の期待は成長戦略の方にかかっていくと思います。ホップ・ステップときていると思いますので、次のジャンプの段階の取り組みに今後、大いに注目したいと思います。

 ただ、既に一定、傾向が見えてきていると思うのは、一連の投資などの問題に対して、減税措置などが潤沢に講じられるようになってきています。新しい投資の喚起や新しい産業構造への転換について、一定視野に入った取り組みが始まっているのではないかと思っています。
 次に2点目の、南海地震対策を国に要望している中でも、今回の予算で高知県の地震対策はどのように進んでいくかということですが、事前防災・減災対策に約2.2兆円計上されているということであり、津波避難対策などに対して、大いに加速できるのではないかと期待しています。

 また、今回は「地域の元気臨時交付金」が創設されることになっています。国の事業において、地方負担分の一定割合に応じて交付金が交付されるという仕組みであり、これを例えば、地方単独事業に充ててもいいという形になっています。避難路・避難場所づくりを典型的な例として、これからやらなければならない地方単独事業はたくさんあります。そういった事業に充てていくために財源が必要だと話をしてきた中、非常に有力な手段になるのではないかと思っています。

 ただ、南海地震対策について言えば、補正予算という形での一時的な対応に留まってはいけないのであって、やはり恒久的〔いつまでもその状態が続くこと〕な対応を進めていくことが非常に重要です。私も年明けに「南海トラフ巨大地震対策特別措置法」の制定を、国土交通大臣、官房長官、防災担当大臣の皆さんに訴え、一定前向きなお話もいただいているところです。何とか次の通常国会中の成立を目指して、積極的に働きかけをしていきたいと思います。そちらが今後は特に非常に重要になろうかと思います。

 最後に3点目の、将来に借金返済のツケを後回しにする形になるという指摘です。こちらについては、また国債が発行されることになるのは確かだと思いますが、今回の内容について言うと、一定許容できるところはあるのではないかと思っています。
 借金で賄うといった時、やはり一番良くないタイプは、後に何も残らない経常的な経費を借金で賄おうとすることです。後に何かが残るものについて、長期的に便益が及ぶことを考えて、一定国債を発行して対応していくことや、便益と負担を期間的にも対称させようとすること自体は、一定理解できるところです。今回、建設国債の発行で大多数を賄っていくということですので、この点については一定理解できますが、そうは言っても公共事業の中で無駄なものがあってはいけないのは当然のことで、効果の薄いものを借金で事業展開するのは、あまり良いことではありません。

 ですが、今回の事前防災・減災対策などについて、特に公共事業を実施しようということについては、ある意味、最も良質なタイプのものではないかと思います。防災・減災対策を事前に講じておくことは、それによって多くの人命を守ることができることに加えて、中長期的にも、まさに借金を減らすことにもつながっていき、財政負担を抑えることにもつながっていく策だと思います。

 国にも今、盛んに訴えています。ハリケーン・カトリーナ〔2005年にアメリカを襲った大型の台風〕の時の試算をアメリカが行っており、経済的な被害が約22兆円あり、復旧・復興するために約7兆円かかったと言われています。ただ、ハリケーン・カトリーナの水害を防ぐために必要となる堤防を作るために要した経費は約2,200億円だったそうです。やはり、(事前の防災・減災対策を行うことは)中長期的に桁が2つくらい違う形での財政負担の軽減を図ることができるということです。100年後を考えた時に、今ここで借金をしておくことが、将来必要となる借金の量を10分の1に減らすことができる施策になるのだろうと思います。
 だから今回、経済対策とあわせて、防災・減災対策を講じることもあって、一定借金で対応していったことは、ある意味、一番良質な借金の仕方ではなかったのかと思っています。

 ただ、今回の補正予算はそうだとしても、これから平成25年度予算の編成になっていきます。その過程で、やはりプライマリーバランス〔基礎的な財政収支〕の回復を図るなど、大きな目的や目標を忘れないよう予算編成をしていかないといけないだろうと思います。不断〔絶え間のないこと〕に財政再建の取り組みを進めていくことが非常に重要ではないのかと思っています。


体罰問題(1)

(坂梨:NHK高知記者)
 大阪市の市立高校の男子生徒が部活動の顧問から体罰を受けた翌日に自殺した問題を契機に、スポーツと体罰の問題が表面化したことについて、高知県内の学校でも同様の体罰があるのではないかというふうに懸念される中で、県はこれまで独自の緊急調査などを行ってきましたが、実態をきちんと把握できていると考えているのかどうか、知事の所見をお伺いしたいと思います。

(知事)
 大阪の一連の事案は胸の痛む話であり、亡くなられた生徒には、本当に心よりご冥福をお祈りしたいと思います。
 体罰は、基本的にあってはならないことだろうと思います。そもそも、部活動についてはあくまで教育活動の一環であり、校名を高めるために行われるのは本末転倒ではないかと思います。

 もっと言えば、教育は、子ども達に対する愛情に基づいて行われるべきものであって、その部活がどれだけ強くて、それによって校名が上がろうと、生徒達に気合を入れなければならないから体罰を行うという流れは、「子ども達を教育するためにこのようなことをしているんだ」という基本的な発想が抜け落ちていたということではないか思います。やはり、もう一度原点に立ち返った一連の取り組みが必要なのかと思っています。

 本県においても、毎年、体罰がどれぐらい行われているのかということについては、調査を行っていますが、併せまして今年の1月17日付けで、体罰が行われていないかどうかについて、改めて緊急調査を実施したところです。1月21日現在、県立学校で36件と小中学校で4件の相談件数が寄せられています。そして、外部からも教育委員会の方に寄せられた報告があり、体罰に該当するのではないかと思われる事案が数件あります。今後、これらについて、実態はどうだったのかということについて、しっかり調べていくことが大事だと思っています。

 そして、先ほど言いましたように、学校現場において、この問題を契機にもう一度原点に立ち返って考え直すことが大事ではないかと思っています。既に教育長名で「体罰の根絶について」という通知文書を送り、対応しているところですが、改めて各学校で再点検・再徹底を図ってもらいたいと思っています。
 さらに、小中学校に関して、特に(県教育委員会の)管理主事が各市町村の教育委員会を訪問して、もう一度この点について各学校への周知徹底をお願いするよう悉皆的〔残すところなくすべて〕に行い、多くの皆さんにこの問題について、改めて原則の徹底を図っていきたいと思います。


談合問題(1)

(坂梨:NHK高知記者)
 去年12月の定例県議会で県商工会連合会などが指名停止期間の短縮や賠償金の分割支払いを求めて提出した請願が採択されました。さらに今月は、越知町発注の工事で談合を行っていたとして町内の業者3人が逮捕されるなど、依然県内は談合問題に揺れ続けています。
 知事は、これまでの会見で、コンプライアンス〔法令を遵守すること〕の確立が大前提と繰り返しお話しされていたと思うんですけれども、処分軽減の可否について知事の所見をお伺いしたいと思います。

(知事)
 処分軽減の可否というお話ですが、今、そのことを判断するような状況ではないと思っています。
 コンプライアンスの確立が大前提ということをずっと申し上げてきましたけれども、まずは、コンプライアンスの確立を図っていただくことが極めて大事だと思っています。

 これは、3者においてコンプライアンスの確立を図っていかないといけません。まず1番目に各事業者の皆様です。それぞれの事業者、お一人お一人においてしっかりコンプライアンスにかかる基本方針を策定し、社内の体制づくりがされ、そして、従業員の皆様まで周知徹底されていくことがまず大事です。こういう事業者の皆様の動きについては、県としても今後、個別に確認をさせていただくことを行っていきたいと考えています。

 そして、2番目に建設業協会全体として、このコンプライアンス徹底の取り組みをしないといけないということかと思います。こちらについては先日、改善計画書の提出を受けたところでして、一定良い制度ができたと思っています。
 (建設業協会に設置されている)コンプライアンス委員会に加え、あわせて外部の有識者である法曹関係者や捜査機関におられた方を構成員とする倫理委員会が設置され、さらに、公益通報制度もできています。倫理委員会は、公益通報制度の事務局も持っている形になっており、通報された情報を報告する義務があります。こうした仕組み自体は、一定有効な制度ではないかと思いますが、ただ、こうしたコンプライアンス委員会から倫理委員会に至る一連の制度はできたけれども、それが本当に動き始めるのかを、これから注視していかなければならない段階なのではないかと思っています。

 そして、3番目は県です。発注者側の再発防止策として、一定説得力のある施策を県民の皆様にお示しできるかどうかについては、まだこれからです。
 今、談合防止対策検討委員会の方でご検討いただいており、いよいよ最終段階に差し掛かろうとしているところです。委員会の方で報告書をいただいた後、我々の方で具体的にどういう対策にするのかを今後決めていかないといけません。こちらも県民の皆様に見ていただき、一定納得していただけるかどうかは、これからの話です。

 ですから、まだコンプライアンスの確立が図られたと言えるかどうか、可否を判断する大前提となるところについて動き始めてはいますが、まだ道半ばだと思っています。


かけ込み退職(1)

(福井:テレビ高知記者)
 条例改正に伴います、いわゆる早期退職問題なんですけれども、知事部局の方でも20~30人という見立てもありますが、これに対する知事の受け止めと部局内の今後の対応方針についてお願いします。

(知事)
 報道にもありましたように、一定早期退職を希望される方がいらっしゃるということは事実です。こちらについて言えば、できれば最後まで職務を全うしていただきたいと思います。ただ、お一人お一人の職員の皆さんも、やはり相当悩まれた末の決断であられたのだろうと思います。それぞれの職員の皆さんを相当悩ませてしまうような制度であることは否めないところだと思います。

 他方で、民間の皆様より高い水準であることは許されません。やはりそういった中で今回の退職手当の削減措置自体はやらなければならないと思っていますが、組織の長としては心苦しい制度であることは確かです。
 いずれにしても、職員の皆さんに、できれば最後まで職務を全うしていただきたいという気持ちは変わりません。一定慰留をさせていただきながらも、やはり辞められるという方も出てきますでしょう。その場合、県民の皆様方にご迷惑をかけないように、例えば、臨時職員による補充などの措置を講じるなどによって、職務が停滞しないようにしていきたいと思います。


体罰問題(2)

(池:高知新聞記者)
 大阪の桜宮高校の体罰の問題ですが、体罰についてどう思うかということと、また別の視点ですが、政治と教育行政のあり方についてです。
 大阪市長が今回の問題を受けて、入試を中止して欲しいと。それで、中止しなかったら入試関連の予算は出さないという発言をされてみたり、あるいは、教員を総入れ替えすべきであると。大阪には大阪の事情があるんでしょうけれども、政治と教育行政の関係について、高知で仮にこういった問題が起きた時に、知事ならどういうふうに対応されるか、その点のお考えをお聞きしたいんですけど。

(知事)
 まさに「北風と太陽」の寓話〔教訓や風刺などを動物や他の事柄に託して語る物語〕になぞらえて考えればということになるのだろうと思います。今回は、典型的な北風的手法ということだろうと思います。
 何事につけ、できれば太陽的手法により、相手も納得づくで事を進めるという手法の方が良いのではないかと思います。

 この桜宮高校の件がどうかということは別として、例えば、ある問題を起こした学校があり、そこを改善しようとする。改善するためにこういう策をとろうとする。その策を我々知事部局としてもしっかり応援するため「改善策について人員と予算をしっかり配置して後押しするから、それを実効あるものとして取り組み、その結果をしっかり県民にも説明してください」という方が、本来はお互い納得感があり、かつ実効性もあります。そして、周りの方々にマイナスの影響を与える度合いの小さい策だと思います。北風的手法は、強制的な措置であって、また、周りの人を多く巻き込む場合が多く、コートを脱がせようとする人だけではなく、周りの木々も揺らすでしょうし、草木も揺らすでしょう。

 ただ、今回の大阪の事案がどうなのかということについて言われれば、それは分かりません。太陽では済まなかったのかもしれない。太陽的手法では済まないから北風的な対応によらざるを得なかったのかもしれませんから、大阪での対応がどうだったかということについて、私が軽々にお話をさせていただくのは控えさせていただきたいと思います。少なくとも今の高知の状況であれば、私ならできるだけ太陽的手法によって対応したいと思います。

(池:高知新聞記者)
 そこを、ちょっと言葉を足して頂ければと思いますけど、高知で起きた場合に太陽的な政策で対応したいと。つまり、入試の中止であるとか教員の総入れ替えのような手法は知事ならとらないということでしょうか。

(知事)
 果たして入試を中止するぐらい意識改革を迫ったり、教員の総入れ替えを行うことがどうなのかと。例えば、意識改革を迫り入試を中止した場合、高校を目指してきた子ども達の気持ちもあります。教員の総入れ替えをして、その先生達が次に行った学校はどうなんだという話もあったりします。

 やはり、具体的に本件をどう反省してどう対策を立てるのかを、その学校にも考えさせ、そして教育委員会にも考えさせる。これをおざなりにしようとして考えもせず、正面からこの問題に向き合おうとしないのであれば、世論にも訴えながら徹底して説得をし、そして、そのための対策をしっかり講じさせていく。他方で、これであれば実効ある対策だと思えば、人員的にも予算的にも応援し、その結果がしっかりと果たされているかということをきちんと確認するという対応が、本来であれば良かったのではないかと思います。

 (太陽的手法が)できたにもかかわらず、(北風的手法を)やってしまったのか、それとも、大阪の場合はとてもではないけれども済まない事情があるのかもしれませんが、そこは分かりません。
 ただ、できれば、最初に(太陽的手法の)プロセスがあって、それから(北風的手法を)やるというのが一般的にはよろしいのではないかと思います。


教育再生実行会議(1)

(池:高知新聞記者)
 知事は、教育再生実行会議の委員にもなられて、昨日、第1回会合が開かれた中でも教育委員会の制度改革といいましょうか、そういったものは議題になるんですかね。
 結局、大阪で問題になっているのは、市長であるとか知事が、教育委員会にどの程度介入するのか、教育行政にどう介入するのかという話になっているんじゃないかと思うんですが、教育再生実行会議でその辺りの議論になった場合に、知事はどういうスタンスで臨まれるか。

(知事)会見する尾﨑知事
 まず、基本的には今の教育委員会制度でも、しっかりとやることはできるだろうと思っています。例えば、高知県では一連の教育改革の取り組みを行っています。学力向上や体力向上についてもそうです。また、いじめ対策や非行対策も強化しなければならないということで、議論をしているところです。
 ただ、全国的なそれぞれの事例を見た時に、いじめの問題を積極的に認知しようとしない事例や、問題が起きたのに、積極的に反省をして次の行動をとろうとしない事例、言い訳ばかりに終始するのかと思える事例が、やはりあります。

 問題のある事例や限界的な事例と思われるものに、十分対処できる制度となっているのかということについては、もう1回検証が必要だと思います。
 ただ、その時の手法について、いろいろ知事部局との関係をより緊密にするような形で見直すことは、責任の所在がはっきりする一方で、教育というものは政治的に中立なものでなければならないということも非常に大事な価値観だと思いますので、こちらとの整合をどう図るのかということもあります。やはり、両面から考えていかないといけない話かと思います。

 多くの場合は現実問題として、そんな簡単に政治的中立性を失うような教育ができるかというと、例えば、市長だって選挙で選ばれていますから、なかなか難しい場合もあるかもしれません。ただ、そういうことが推し進められてしまう可能性が全くないのかと言うと、それはあるかもしれません。歴史的には、そこが大きな反省点になってきたわけです。
 政治的中立性の問題は生じないかということも重要な要素として熟慮しないといけないと思います。やはり、これは両面から考えないといけない問題だと思います。


国の補正予算(2)

(坂梨:NHK高知記者)
 今回、国が緊急経済対策で、暮らしの安心や地域の活性化などに重点的に取り組むことにしていて、その中で通学路の安全対策を行う時に資金を交付する方針を合わせて大体数千億円盛り込む方向だということなんですけど、県も今回の補正予算で12億円程度を通学路の安全対策のため予定されていると思うんですけど、改めて、なぜこの通学路の安全対策が必要なのかというところと、高知県として通学路の安全対策にどれぐらい力を入れていきたいかというところについて、知事の見解をお伺いしたいと思います。

(知事)
 通学路に車が突っ込むということが何度もあり、幼い貴重な命が失われる残念な事件がたくさんありました。
 運転側の問題もあると思いますが、道路は整備されても通学路というところまで、まだ配慮が至っていないというインフラが全国的にもたくさんあった結果でもあろうかと思います。

 本県の場合、まだ十分整備されていない通学路があっちこっちにあるのは、もう否めない事実です。「対話と実行行脚」などで地方を回っていても、「ここの通学路が非常に厳しいんだ」というお話も聞きますし、それから、保護者の皆さん達といろいろお話をさせていただく機会でも、一番切実に言われるのは子どもの通学路です。道が不便ということもありますが、やはり「子どもの通学路が危険なので、毎朝子どもを学校に送り出した後、不安でたまりません」というお話を聞くことが多いです。

 いくつかの残念な事件を経て、緊急的に点検をしまして、県下各地で重点的な危険箇所をあぶり出しています。前回の補正予算の時にも、できる限り安全対策を行えるように対応を始めました。
 実際には、道路の拡幅を要したりすると、土地の買収といったことも絡んだりしていて、多くの皆様のご理解を得て、事業を進めていかないといけない話でもありますし、一定時間もかかるところもあったりします。やはり、これは非常に力を入れて取り組まなければならない課題であるのは間違いないことです。


高知工科大資産運用

(芝野:高知新聞記者)
 高知県が設立されている公立大学法人高知工科大学さんが、元本保証のない金融商品を保有しておられて、その経過は、当然、私立大学時代から寄付を受けたということでちゃんと経緯もあるかと思うんですけども、ハイリスク・ハイリターンの金融商品をめぐっては、よその自治体さんでも、いろいろと保有していることとか運用していることが問題になっているわけですけれども、工科大さんが今現在、多額の金融商品を持っています。経緯はあったにせよ、そのことに関してどのようにお考えなのか、知事のご所見を教えていただければ。

(知事)
 例えば、税金を原資にして金融商品を買い、大損をしてしまった場合はいけませんが、ご存知のように今回のケースはそうではありません。
 工科大がまだ私立であった頃、税金が投入されていない時に自分で買い、その後、時価が下がった。そして、公立大学法人になるにあたって、オープンな形でいろんな関係当局にも相談をしたうえで、これを寄付という形で公立大学法人として受け継いでいます。

 公立大学法人になってから、今度は経常経費の中で税金が入っています。ここからどうかということです。公立大学法人としてスタート時点から比べて、金融商品が大変なことになってしまわないだろうかという問題は確かにありますけども、その後聞いたら、受け継いだ時点よりも値は上がっているそうです。だから、税金を投入して買い、県民に損をさせたという状況にはなっていません。そういう意味においては、まだ最悪の状況になっていないということは確かに言えると思います。

 ただ、先々にわたって、やはりこういう問題は常に気を付けて、財務状況の悪化によって県民の皆さんに損をさせたり、教育力の低下に繋がってしまったりということのないようにしていくことは、ご警鐘のとおりだと思います。やはりそこは、常に気を付けていきながら対応をし続けていくことが大事ではないかと思います。

 例えば、今後、新しく(余裕金を運用する)という話になってくれば、公立大学法人ですので抑制的な対応をしてもらいたいと思いますし、現在持っているものについても、今後どうしていくのかということについては、先ほど言ったような視点で、よく考えてもらいたいと思います。
 決して、過去にやったことで大きな損失を出して、県民の皆様にご迷惑をかけたという状況でないということは、工科大の名誉のためにも、ここで申し上げさせていただきたいと思います。

(芝野:高知新聞記者)
 その関連でいくと、もともと買った原資がどうかは別にして、今、評価額がちょっと上がり気味ですよね。上がるかもしれないけど下がるかもしれないというものが、僕がちょっとお聞きをしたところでは7億円分くらい、そういうハイリスクのものをお持ちであって、去年の3月時点で1.4億円ぐらい含み損がある。ただ、移行期から比べたら上がり気味にあるので、こればっかりはもう時価なので得するかもしれないし損するかもしれないと。
 じゃあ、今お持ちの7億円分のものについては、当然、県民の税金から買ったことではないというご主旨のお話でしたけれども、これについて、今後どうしていくのかを県の方から何か言われるということは、特にお考えではないでしょうか。

(知事)
 今の段階ではありません。
 ただ、先ほどから言っているように、こういう問題は税金に迷惑をかけてはいけませんし、教育にも迷惑をかけてはいけません。それを大原則として、適切な対応を図ってもらうことを考えてもらわないといけないと思います。


かけ込み退職(2)

(尾崎:共同通信記者)
 条例改正の件で、退職手当の引き下げになると思うんですけども、3月1日ではなくて、4月1日からやるという考えはなかったかということについて教えてください。

(知事)
 いろいろ議論もありましたし、県によっては4月1日にしているところもあります。けれども、例えば税金の場合、年ごとで払っていただいているわけです。その時、平成24年度の予算・財政単位の中で、民間より明らかに高いと分かっている退職金を、職員に支払うことは、平成24年度のあり方として、県民の皆さんの理解が得られないのではないかと判断しました。
 ただ、国と合わせて1月1日からというのはあまりにも短すぎるので酷だと。周知期間も一定必要ということで3月1日からにさせていただいたということです。これは、我々県としての判断です。

 県知事としては、やらなければならないことだとは思っていますが、組織の長としては、長年真面目に働いてこられた職員には心苦しいと思います。ですから、早期退職される方について、できれば職務を全うしてもらいたいと思いますが、相当悩まれた末のご決断であり、悩ませてしまうような制度であるとは思います。

(尾崎:共同通信記者)
 そうしますと、3月1日からというふうに決めた段階で、ある程度、早期退職される方がいると見込んだうえでの決断だったと。

(知事)
 それは制度上、一定覚悟はしなければならないと思っていました。

(尾崎:共同通信記者)
 現段階で県庁として把握している人数というのは、知事の見込んだ人数より多いんでしょうか。それとも、ある程度想定内でしょうか。

(知事)
 人数までは見込んでいませんでした。
 今朝の報道のとおり、大体、知事部局で20~30人くらいで、教育委員会で10人弱、県警がまだ分かりませんが、そんな感じだと思います。
 この問題で職務が停滞し、県民の皆様にご迷惑をおかけしてはいけませんから、特に、年度末の最後の1カ月間ということになりましょうが、その間の措置をよく考えていきたいと思います。できれば本当に職務を全うしていただきたいと思います。


体罰問題(3)

(笹島:高知新聞記者)
 先ほど、体罰の話が出た時に知事のお答えで、「基本的にはあってはならない」というふうに答えていたんですが、「基本的に」ということは、「一定ある状況下であれば、体罰というものはあってしかるべきものだ」というふうに考えているんですか。

(知事)
 「基本的に」とは言わなければ良かったと思っていました。絶対にあってはならないと思います。
 暴力でもって言うことをきかせるということは、大人になったら通用しないことじゃないですか。教育というのは、良い大人になっていくために今、子ども達にこういう人であろうということを教えていく場です。その場において、教育の手段が大人になっては使うことはできないどころか、使ってはならないような手段であってはいけないと思います。

 ただ、極めて軽微な場合など、ものすごく限界的な事例もあり、例えば、ちょっと肩をポンポンっと触って「がんばれよ」と言ったものもあり、そういった事例も体罰なのかという議論があって、やはり体罰かどうかについて、もっと区別をつけてもらいたいという話は聞いたりもしています。ただ、やはり常識的に言って、例えば、パーンと叩いたりするといったような体罰は、絶対にあってはいけないと思います。

(笹島:高知新聞記者)
 僕が取材した中でも、先生の悩みみたいなものがちょっと見えてきています。
 先ほど、36人という数が出ましたけど、あれは36人が体罰をしたわけではなくて、体罰だったんじゃないかなと不安に思った先生が、こちらに報告した数だと思うんですよ。
 ただ、有形力の行使〔相手に対し、直接的に力を振るうこと〕という言葉が(学校教育法の)規則であるんですけど、これは認められるけども、行き過ぎたら体罰だよみたいな、ざっくり言うとそういうことを決めているんですが、じゃあ、どこまでいったら体罰なのか。軽く肩を叩くくらいの強さを強めていって、どこまで強くいったら体罰なのかとか、あるいは、どんな状況で何回やったら体罰なのかという基準が分からないっていう先生がすごく多いんです。そういう基準というのは、今後決めていくとか、あるいは基準を示していくようなことというのは有り得るんでしょうか。

(知事)
 私が承知している範囲では、国全体で、もう既にその辺りはよく議論しようという方向になっているのではないかと思います。本当は常識なんですけど、そこは一定示した方がいいのかもしれません。
 今回の36件の話を聞いてみても、「これは違うのではないか」というものもあります。他方で、「これはいかん」と思うものもあります。ただ、一方的な話だけなので、もう少し調べてみないといけません。

 ただ、今言われたように、先生方がみんな不安に思って報告したというお話があります。私はむしろ、それが大事だと思います。いじめもそうだったように、調べ始めたら一挙に2倍か3倍ぐらい、全体として件数が出てきました。
 いじめの問題も然り、体罰の問題も然りなんですけど、一番いけないのは見て見ぬふりをする。(いじめや体罰が)行われているのにそのまま誰も注意をせず放置されてしまうことが、一番いけないと思います。もっと言うと、組織的にこれをあえて認知しないようにすることが一番いけないです。

 今回の教育委員会の一連の問題でも、やはり皆がおかしいと思うのは、教育委員会が真剣にこの問題をとらまえているのかと。できるだけ認知しないようにしていたのではないのかと。これではいけないと思います。
 私は、昨日の教育再生実行会議でも申し上げたんですけど、いじめの問題も、それから体罰の問題もそうだと思いますが、積極的に認知しないといけないと思います。積極的に認知をして、その後、できるだけ早い段階から、一人ひとりの教員に任せるのではなく、組織的に学校で対処することが非常に重要だと思います。

 先ほど言われたような定義の問題など、今後さらに議論を深めないといけない問題もあるでしょう。ただ、基本中の基本は早期認知、そして組織的に対処することであると思います。
 今後いろんな議論が行われると思います。普通は、先生の良心によってそれが成し遂げられるのでしょうが、十全〔十分に整っていて危なげがない〕に機能しないような時においても、制度的にそういうことがうまく回るように担保されるかどうか、その辺りは今後大きな議論になるのではないでしょうか。私は是非そういうお話をさせてもらいたいと思っています。

(笹島:高知新聞記者)
 その中で、安倍さんも確か言ったと思うんですけど、国の教育の最終責任者として、国も行政的な権限をしっかり行使できるようにするというような趣旨だと思うんですが、県としても、例えば体罰を行った先生が、先ほど知事がおっしゃられたように、これはいかんというものであったとして、それが実際に体罰だと認定された時、県の教育行政としては、どんなことをするんですか。

(知事)
 3つあります。1つ目は、その先生自体の意識を改めてもらうことです。2つ目は、なぜ組織としてそれが許されてきたのか。そういう組織自体について、やはり反省してもらわなければいけませんし、今後ニ度とないことを確認してもらわないといけません。最後の3つ目は、その背後に何があったのかということです。

 今日、報道もされていましたけど、いじめについての支援チームなどを作ることになっています。学校において、特にこういうことが問題で、十分に自浄能力が発揮されていないのではないかと思う時は、やはり外から誰かが行かなければいけないと思います。
 だから、今までも教育委員会において、そうしてこられましたけれども、やはり学校をバックアップしていくチームをしっかり設けていくことが大事ではないでしょうか。いじめなどについても、それぞれの学校を支援するチームを設けようという議論をさせていただいています。学校の中だけで解決できなければ、やはり外からバックアップする仕組みを設けることが、大事ではないかと思います。

(笹島:高知新聞記者)
 その仕組みというのは、教育委員会の方に作っていくんですか。

(知事)
 まだ、予算編成中なので議論しているところですが、教育委員会だと思います。


教育再生実行会議(2)

(笹島:高知新聞記者)
 昨日、知事が行かれた教育再生実行会議ですね。そこで、高知県の知事という有識者として招かれたわけですけど、その中で尾﨑さんはどういった役割を担われているというか、自分が果たすべき役割というのはどんなものだと考えていますか。

(知事)
 一つは、実践してきた者としてであり、もう一つは、地方の代表として話をしたいと思っています。

 教育改革について、高知県では本当に深刻な問題でした。平成19年に行われた全国学力テストでは、ご存知のように、公立中学校が全国では図抜けて低い46番でした。
 もっと言うと、「2χ+3y=9、これをyについて解きなさい」という代数の基本中の基本みたいな問題ができない中学校3年生が6割いた。これは、中学3年の4月段階において、全く代数を理解していない子が6割いたということを意味しています。
 でもその時、「勉強ができなくても体力、元気があり、目がキラキラしていればいいんだ」と言う人もいました。ところが、翌年の全国体力テストでは全国最下位でした。さらに、非行率も全国最下位となり、非常に深刻な状況だと思いました。

 そういうことで、私も若干北風的だった時もありましたけど、その後は太陽的に、お互い納得づくで、いろんな教育改革の取り組みをしてきたつもりです。
 知・徳・体それぞれについて、例えば、しっかり宿題を出し、補習する体制を整え、単元毎の学力の定着状況を確認する。そして、必要であれば補習を行う。さらに今は、単元を複数構成した単元全体の学力の定着状況をしっかり把握しようということで、県版の学力テストを実施するなど、1年を通してやるようにしました。
 こういう取り組みを通じて、まだまだ道半ばですけど、平成19年度から平成24年度までにかけて言えば、全国学力テストの伸びが全国1位だったわけです。そうした結果も、一定出てきているのだろうと思います。

 これは一つの例ですけど、そういう形で教育委員会とともに、知事部局にいる県知事として教育問題に取り組んできました。その実践的な取り組みから得られた知恵をいろんな形でささやかながらも、この教育再生の取り組みに生かせればと思います。「そういう取り組みで本当にうまくいくのだろうか」などと言わせてもらうこともあると思います。若しくは、「こういう取り組みが有効だった」という提言をさせていただくこともあるのではないかと思います。

 もう一つは、地方の代表としての声です。例えば、もともと「大学設置認可の在り方の見直しに関する検討会」の委員だった時にも言わせてもらいましたが、都会における大学の役割と、先ほどお話がありました地方における大学の役割は、大分、趣の違うところがあるのではないだろうかと思います。教育委員会制度などにおいても、大きい自治体の教育委員会制度と、非常に小さい自治体における教育委員会制度のあり様は、いろんな違いがあると思います。
 私は地方の中の地方で生まれ、そこで育って、今、仕事をさせてもらっている者として、地方ではどうかということについて、発言させてもらいたいと思っています。


高卒の進学状況調査

(笹島:高知新聞記者)
 教育をどうするかという上で、今、実態がどうなのかというのを調査するのはすごく大事だと思うんですね。教育が進んでいる、進んでいないということを、一定示す基準として、大学に行くのかどうかというのは全てではないにしろ、大学進学率とかはあると思うんですね。
 それで、県の教育政策課で行っている調査で、高等学校卒業者の進学状況調査っていうのがあるのをご存知でしょうか。平成19年から行っているんですが、僕はある調べものをしていて見ていたら、平成24年3月に卒業した卒業生がどうなっているのかという調査がいまだに出てないんですよ。
 調べていたら、毎年5月に調査をして翌年の5月とか春先ぐらいに出すんですね。つまり、今この入試シーズン真っ只中で、その進路(指導)の先生が見れる資料に23年卒業分しかないんですよ。つまり、前の年の分が分からない。一昨年分のデータしかない状態で進路指導をするというのは、もちろん学校毎にデータはあると思うんですけど、県全体でどうだというデータを見る事ができないんですよ。これをもっと早くやったほうがいいんじゃないかと思うんですが、どう考えますか。

(知事)
 おっしゃるとおりだと思います。それはどういうことなのか、調べてみたいと思います。
 その時々で、どういう状況になっているか把握することは、非常に重要なことだから、県版の学力テストなどもやっています。いろんな形で今の状況を率直に受け止めて、それに対してどう対処するかということを考えることが必要だと思います。


※県教育委員会において状況を確認した結果
◆平成24年3月高等学校卒業者の進学状況等については、平成24年4月に県教育委員会が調査を実施し、5月に速報版、7月に詳細版として、結果をとりまとめています。この調査結果は、各学校にフィードバックされており、それぞれ、進路指導等に活用されています。
◆ただし、この調査結果は、「高等学校等卒業者の進学状況調査」として、(教育関係の複数の調査結果の概要を取りまとめる)「教育調査報告書」の中に収録され、教育政策課から毎年3月に公表されます。


 ちなみに、大学の進学率の話について、少しだけ言わせてもらえば、大学では県立大学の改革をさせていただいています。それこそ高知工科大学とあわせて、一連の改革をさせていただいていますし、国立大学法人の高知大学といろんな新しい包括協定を結び、取り組みを進めさせていただいています。平成27年4月になると、新しい学部もできるということで、県立大学について具体的な取り組みが実現することになってくるので、そこで大きく変わると思います。
 県立大学の改革が、どういう形で県内の学生のいろんな取り組みに効いてくるのかを、今後、非常に楽しみにしていますし、その結果を踏まえての新しい取り組みも必要となってくるのかもしれません。その辺りを是非見てもらいたいと思います。


子ども条例

(井上:高知新聞記者)
 子ども条例についてなんですけど、去年の12月定例会で、主に改正案が議員提案ということだったので、議会を中心に質疑が行われてきたんですけれども、改めてこの全文改正という形になった経緯も踏まえて、その意義というのをどう捉えていらっしゃるかということと、それを受けて今後の施策に何か変化はあるのかを教えていただきたいです。

(知事)
 最初の条例が制定された時も然りですが、議会の中で活発な議論があったという話を伺っています。我々が第2期の推進計画をお示ししたことを契機に、再度その議論が再燃して、いろんな議論がされ、今日に至っていると思います。議会制民主主義の中でいろんな議論が行われて改正された条例ですので、我々はそれをしっかり受け止めて、執行機関としてどうあるべきか考えないといけないと思っています。

 ただ、その中で、子どもの権利を大いに大事にしつつ、あわせて大人の責務ということに、よりウエイトを高めた形で、強く規定されているのが今回の条例ではないかと思います。
 「子どもの権利が条例から消えた」と言われますけど、上位規範に書いてある限り、条例に書いてないからといって、その権利自体が消えることはありません。当然、憲法や法令があった上での条例ですから、私は消えたとは思いませんし、むしろ、人権というのは、時代に応じてどんどんいろんな解釈などが変わっていきます。時代の流れにあわせた人権の概念を、県行政に生かしていけるようにするためにも、条例は比較的その辺りをふわっとして作り、上位法令の動きをその時々で的確に反映できるようにしておいた方がいいという側面もあるのではないかと、個人的には思っていました。ただ、「書いていない」という事が論点になっていましたけど、それよりもむしろ、大人としてどうあるべきかというところを非常に強く打ち出そうとされたのが、今回の子ども条例ではなかったのかと、私は受け止めています。

 今回、新しい条例に基づいて予算を作らないといけません。今回の予算で、今までやってきた子ども達の取り組みについて後押しをする予算に加えて、大人の部分を付け加えて、予算を作っていかないといけないと考えています。そういう意味においては、ダブルトラック〔2つの事を同時に進めること〕になるような感じかもしれません。
 次の記者会見の時には、詳しくお話しますので、もう少し時間をください。


談合問題(2)

(池:高知新聞記者)
 談合の処分軽減に関してですが、知事はこれまでもずっとコンプライアンスの体制確立というものを言っておられ、今日の段階では判断する状況にないと。そのお考えは、よく分かりましたが、短縮の可能性は否定されていないんでしょうか。つまり、何かこういう形ができたら短縮もあるという含みを持たせているのでしょうか。

(知事)
 そこのところの議論の出発点というのは、請願が採択されていますから、そこで全く可能性がないと言えば、「請願を全く重く受け止めないのか」という話になってしまいます。やはり、県議会で請願が採択されたこと自体は、重みをもって受け止めないといけないと思っています。
 ただ、請願でも「コンプライアンスが確立されたうえは」となっています。だから、そこを判断しないといけないわけで、それがされていないということであれば、請願に沿って考えてもできる話ではないということになるでしょうし、「コンプライアンスが確立されたうえは」ということが、いつまでにどういう状況なのかということを予断〔前もって判断すること〕を持って言える状況にはありません。
 まさに今、取り組みが進められようとしているところであり、我々も今後、判断をしなければいけないと考えています。

(司会)
 それでは以上で記者会見を終了します。

 

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