シリーズ 『飛躍への挑戦!産業振興計画』

公開日 2013年03月28日

更新日 2014年03月31日

 

(12)Part2 各分野の取組の概要 商工業(2) (平成25年3月28日〕

 

商工(2) 防災関連産業の振興


 第2期計画では、将来的に大きな可能性を秘めている分野に挑戦し、新たな産業集積を目指すため、「防災関連産業の振興」を大きな柱の一つとして掲げています。県では、県内の防災関連製品の需要を県内企業の製品で満たす「地産地消」や、全国で求められる製品を県内の企業が商品化して売り出していく「地産外商」の取り組みを、南海トラフ巨大地震への備えと連動させています。防災関連産業の振興を地震対策と並行して進めていくことで本県経済の活性化につながっていくよう取り組んでいます。


1 「地産地消」の取り組み

 高知県は、これまで、台風や豪雨浸水、南海地震など、数多くの災害に見舞われてきました。その体験から得たノウハウを生かして、県内では、さまざまな防災関連の製品や技術が生まれています。

 県では、こうしたメイド・イン高知の製品や技術を県民の皆さまに、より知っていただくため、今年度設置した防災関連産業交流会を中心に、「これから南海地震に向けてさまざまな対策が必要」というニーズと「県内にあるたくさんのいいモノ」というシーズ(ビジネスの種となる技術・ノウハウなど)のマッチングに力を入れています。さらに、ものづくり地産地消推進事業費補助金を活用した県内でのものづくり(「地産」)の促進と、県内各地で開催されるフェアへの展示等を通した、防災関連製品の地域での利用の拡大(「地消」)の取り組みを進めています。


<防災関連産業交流会の実施>

 昨年4月に高知市で開催した「第1回防災関連産業交流会」では、津波避難タワーやシェルターなどのハード施設から、災害用トイレや防災グッズといった身近なものまで、県内34社の63製品を展示しました。企業や市町村関係者約220人が参加され、企業と市町村、企業同士の交流の機会を持つことができました。

 防災関連産業交流会には県内の77社が参加し、本年度は、県内の市町村への製品や技術の提案、県内外の見本市出展後のフォローアップについての勉強会などを行ってきました。この結果、企業と市町村、企業同士の新たなネットワークが広がっています。



<防災分野の「ものづくり」支援>

 防災関連産業交流会での情報交換を行うともに、各地域の防災ニーズをより細かく捉えた製品の開発や改良を後押しするために、今年度から「ものづくり地産地消推進事業費補助金」に防災枠を創設しています。これまでに、「水門、陸こう等の自動開閉装置」や「地震発生時でも重油が漏れない安全な重油タンク」の試作開発など16件の事業を採択し、地域の実情を踏まえた防災関連製品のタイムリーなものづくりを支援しています。

 あわせて、工業技術センター等による分析試験や技術指導などの支援も行っています。


 ※「ものづくり地産地消推進事業費補助金」詳細

http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/150501/h24-mono-koubo4-2.html

 

ものづくり総合技術展や巡回展示会等での展示PR>

 県内企業が取り扱う防災関連製品を「地消」につなげる取り組みとして、「ものづくり総合技術展」や、県下4ヶ所で開催した「防災ものづくりフェスタ」のほか、市町村の防災訓練や産業祭など、県内23会場で延べ223社が防災関連製品の展示PRを行いました。各会場では、自治体や自主防災組織の関係者のほか、多くの県民の方に防災関連製品を実際に見て触れてもらうことで、県内企業の技術力を体感していただくことができました。

 今後も、このような展示の場を通して、県民の皆さまに日頃の備えの重要性を再認識していただくとともに、県内製品を幅広く知っていただけるようPRを続けていきます。


※「ものづくり総合技術展」詳細

http://www.joho-kochi.or.jp/mono/H24/sogo_gijyutu_syuryo.html

(写真 (左)地域防災フェスティバル(宿毛市)、 (右)防災ものづくりフェスタ(香美市))

地域防災フェス防災ものづくりフェスタ

<認定制度の創設>

 県内企業による技術・ノウハウから生み出された防災関連製品について、品質や安全性等の観点からの審査を行ったうえで、高知県防災関連産業交流会が「高知県防災関連登録製品」として認定する「高知県防災関連製品認定制度」を設けました。本年2月には42件の製品や技術を認定し、それらを登録製品カタログやホームページに掲載するなど、県内外に情報を発信しています。

 あわせて、県内の事業者が開発・製造した製品の販路拡大の支援策として、新規性・独創性のある製品などを認定し、モデル的に調達する「高知県新事業分野開拓者認定制度」を新たに創設し、本年2月には15件の製品を採択しました。県や市町村での公的調達を進め、県内での導入実績を広げて行くとともに、使用後の評価を行うことで、製品の更なる磨き上げや普及を図っていきます。


 ※「高知県防災関連製品認定制度」詳細

http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/150501/h24-bousai-nintei-1-2.html

 ※「高知県新事業分野開拓者認定制度」詳細

    http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/150501/h24model-nintei1.html

 

2 「地産外商」の取り組み

 昨年発生した東日本大震災以降、全国的に防災への関心が高まっています。こうしたニーズに対応して、本県の製品や技術が生かされるよう、外商支援体制を強化した高知県産業振興センターや県外事務所等と連携し、県内製品のPRをはじめ、販路開拓に向けた情報収集や県外企業への同行訪問など「外商」活動を後押ししていく取り組みを進めています。


<防災関連展示会への出展>

 今年度は、防災関連では国内最大級の危機管理産業展など、首都圏や関西圏の4つの展示会に「高知県ブース」を設け、県内企業延べ28社が出展しました。各会場とも、高知県ブースには自治体関係者や企業の防災担当者など多数の来場者があり、県内企業の防災関連製品にも大きな関心が寄せられました。

 来年度は、東北地方と中部地方の展示会にも新たに出展し、メイド・イン高知の製品や技術をPRすることで、更なる販路の拡大に取り組んでいきます。

(写真 危機管理産業展2012(東京ビッグサイト))

危機管理産業展

 南海トラフ巨大地震への備えを急ぐためには、官民協働で対策を強化することが重要です。県では、県民の皆さまの生命を守るための計画づくりやハード施設の整備に全力で取り組むとともに、県内企業が、防災対策のニーズにあった「ものづくり」を進めることができるよう支援していきます。

 県民の皆さまには、県内企業が開発・製造した素晴らしい防災関連製品や技術をより知っていただき、積極的に利用していただきたいと考えています。

 地震対策をしっかり進めながら、本県経済のさらなる活性化を目指していきましょう。


【問い合わせ先】 工業振興課 電話:088-823-9724  電子メール: 150501@ken.pref.kochi.lg.jp

 これまで、第2期産業振興計画の主な取組みについてご紹介をしてまいりましたが、次回から、新たにバージョンアップした第2期産業振興計画バージョン2の取組みについてご紹介します。


 

(11)Part2 各分野の取組の概要 商工業(1) (平成24年12月27日〕

 

産業振興計画の推進によって実現を目指す本県産業の姿<商工業>

1 第2期計画での商工業分野の挑戦

 第1期計画においては、県内企業の方々に製品づくりから販売までの地力をつけていただく「地場企業の振興」に向けた取り組みと、県内での一貫した生産体制の構築や企業集積を高めていくための「企業立地の推進」の2つを柱に取り組みを進めてきました。この結果、成長が期待される5つの分野での研究会や「ものづくりの地産地消」の取組による事業化の進展、目標(H21からH23まで:8件)を上回る30件の企業立地の実現などの成果が出てきました。

 一方で設備投資の面では、リーマンショックの影響などから、企業が積極的な事業拡大を躊躇する傾向がありました。企業立地をさらに推進していくためには、企業ニーズに合った工業団地が不足しているなど、いくつかの課題も浮かび上がってきました。

 第2期計画においては、こうした課題を踏まえ、以下の三つを戦略の柱として、企業立地の受け皿となる工業団地の開発を加速するとともに、「設備投資支援の抜本強化」や「防災関連産業の振興」、「外商機能の強化」といった視点からの取り組みを一層強化し、本県のものづくり産業を骨太な産業に押し上げていきます。


【戦略の柱】

1 ものづくりの基盤整備・・・設備投資への支援や企業立地基盤の整備、産学官連携の推進による研究開発の促進、技術人材の育成などを行っていきます。


2 ものづくり・・・防災関連産業の振興、成長が期待される食品や天然素材などの分野での事業化促進、ものづくりの地産地消、県内企業の工場増設や企業立地を促進していきます。


3 販売の拡大(地消・外商)・・・県内外での商談会の開催や見本市への出展、産業振興センターを中心とした外商機能の強化などにより販路拡大を支援します。


◆4年後の目標

  製造品出荷額等5,000億円以上を目指す

◆10年後の目指す姿

 製造品出荷額等6,000億円以上を目指す

  ものづくりからの雇用拡大と地域の賑わい


2 ものづくりの基盤整備の促進

 本県のものづくり産業は、大都市圏から遠いという地理的な条件やインフラ整備の遅れなどから、産業集積が小さく、全体として製品の生産工程の多くの部分を県外に頼らざるを得ない状態です。県内には、先進的な技術等を持ち、全国的に高いシェアを占める企業もありますが、大部分は下請を中心とした中小企業で、個々の企業の製品開発力を強化していくことが大きな課題です。


【第1期計画での取り組み】

 まず、県内で必要とされる機械設備の製造や食品加工などの付加価値を生み出す「ものづくり」の工程を、できる限り県内で行う「ものづくりの地産地消」を重点的な取組と位置付け、昨年6月、(公財)高知県産業振興センター内に、「ものづくり地産地消センター」を設置し、支援策の紹介や事業者間の橋渡しなどを行ってきました。その結果、新たな食品加工機械の製品化や、生産者と食品加工業者とのマッチングによる商品化につながるなど、具体的な成果が現れています。

 加えて、県内で需要のある機械設備等の試作開発への支援(「ものづくり地産地消推進事業費補助金」)を行ってきました。その結果、平成22、23年度の2年間で、この補助金を活用して32件の試作開発等が行われ、その中で、第一次産業における作業の省力化や効率化に貢献する生産設備の開発を行い、製品化され販売につながるなど、県内の製造現場で求められている加工機械を県内で生産する仕組みが出来つつあります。

 また、県内での一貫した生産体制の構築や企業集積を進めていくには、県内で不足している業種や生産工程を担う企業を県外から誘致することも必要であるため、企業立地促進事業費補助金を全国トップクラスの水準に引き上げ、積極的な企業誘致活動に取り組んできました。その結果、平成23年度までの3年間で延べ30件の企業立地(フル操業時の新規雇用1,079人)が実現しました。

 このような取り組みとともに、県内中小企業が必要とするスキルを備えた技術人材の育成や、新たな製品の研究開発の推進といった課題についても、工業技術センターなどが中心となって、専門的な技術研修や企業の相談内容に応じた技術や製品開発に対する支援を行ってきました。


【第2期計画の取り組み】

 こうした第1期計画の流れをより力強いものとしていくために、これまで続けてきた取り組みをしっかりと定着させて、さらに成長、発展させていくことが必要です。具体的には、次のような取り組みを通じて、ものづくりの基盤整備を進めていきます。


〈ものづくりの地産地消〉

総合技術展 ものづくりの地産地消については、「ものづくり地産地消センター」の職員体制を3名から5名に強化し、寄せられる相談にきめ細かく対応するとともに、積極的な訪問活動により、これまで以上に「ものづくりの地産地消」につながる需要の掘り起こしを行っていきます。また、引き続き、「ものづくりの地産地消事業費補助金」の活用を通じて、県内企業の製品開発力の強化を図っていくとともに、開発された製品の県内への導入を進め、県外に流出している加工などの工程や生産設備の製造をできるだけ県内で行える体制を整えていきます。加えて、防災意識の高まりを受け、大きな需要が見込まれる防災関連の製品開発にも注力していきます。

 さらに、本年度は、県民の皆様に県内企業等の優れた製品や最新技術に対する理解を深めていただくとともに、企業同士の交流を通じた新たな製品開発や取引の拡大、技術革新の促進を目的とした展示会「ものづくり総合技術展」を11月29日から12月1日の間、高知ぢばさんセンターにおいて開催しました。100を超える企業・団体の皆様に出展いただき、3日間でのべ15,200名という多くの方にご来場いただきました。期間中に219件の商談も行われており、この技術展が、新たな商品の誕生や取引の拡大など、事業者の皆様のビジネスの発展につながっていくよう引き続き支援を行っていきます。

 ※「ものづくりの地産地消事業費補助金」詳細

   http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/150501/h24-monodukuri-tisanntisyou1.html

 ※「ものづくり総合技術展」詳細

   http://www.joho-kochi.or.jp/mono/H24/240904sogo_gijyutu.html


〈工業団地の整備〉

 県内でのものづくりや企業立地の受け皿となる工業団地については、現在開発を進めている香南工業団地の早期分譲に向け、着実に整備を進めていくとともに、さらなる団地の開発に向けて、適地調査や市町村との調整等を継続的に実施していきます。


〈設備投資への支援〉

 県内企業が生産活動を継続、拡大していくために必要な設備投資への新たな支援策として、今年度から、「中小企業設備投資促進事業費補助金」を設け、競争力の強化や雇用拡大の取り組みへの支援を強化しました。これまでに39件(10月31日時点)の相談もいただいており、県内中小企業の積極的な設備投資を後押ししていきたいと考えております。

 さらに、本年度の9月補正予算では、「民間活力を生かした防災対策の推進」として、県内の民間事業者が行う従業員と地域住民の避難のための施設整備への支援を行うこととしました。あわせて、避難施設の整備とともに新たな設備投資を行う製造業の皆様に対して、「中小企業設備投資促進事業費補助金」の要件緩和や補助率の引き上げを行うこととしました。これらを呼び水として、県内の市町村や事業者の皆様に広く呼び掛けながら避難場所の確保を進めていくとともに、県内製造業の皆様の設備投資の一層の促進を図っていきます。

 ※「中小企業設備投資促進事業費補助金」詳細

   http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/150501/h24-setubihojyo4.html

 ※「民間活力活用津波避難施設整備促進事業費補助金」詳細

   http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/151401/minnkannkaturyoku.html


〈工業技術センターによる支援〉

 平成24年度から工業技術センターに資源利用加工特別技術支援員を配置し、県内の有用植物や農作物、海洋深層水などの天然資源等の有用成分や機能性に着目した、高付加価値製品づくりの開発支援に取り組んでいます。さらに、技術力の向上や新たな分野への挑戦が円滑に行えるように、研修の充実や技術支援を強化するとともに、関連する知的財産の取得や活用についての支援も行っていきます。


 次回は、商工業分野の2つ目の柱「販路開拓・販売拡大への支援」について、ものづくりの観点からその取り組みをご紹介します。


[問い合わせ先] 工業振興課  電話:088-823-9720   電子メール: 150501@ken.pref.kochi.lg.jp


 

(10)Part2 各分野の取組の概要 水産業(3) (平成24年9月11日〕

 

産業振興計画の推進によって実現を目指す本県産業の姿<水産業分野>

【戦略の柱3】水産加工を振興

 水産物の産地価格の安定と漁村で暮らす方々の所得の向上を図るためには、地域の水産物を活用した水産加工業の振興と、それによる雇用の場の確保が重要です。このため、【戦略の柱3】では、水産加工の新たな事業化の推進、伝統的な水産加工業の振興、地域で活動する加工グループの支援に取り組んでいきます。


(1)水産加工業の新たな事業化の推進

 第1期計画では、県内各地(7ヵ所)において、漁協もしくは漁協と民間企業が連携した水産物の前処理加工の事業が始まりました。

 第2期計画では、これらの動き出した前処理加工事業が軌道に乗るよう、加工用原魚の確保や販路の確保等を支援していきます。また、生産・加工・流通に関わる事業者が参加する「水産加工業交流促進協議会」を開催し、加工業者と関連事業者との交流を促進することで、事業者間の連携による新たなビジネス機会の拡大を図っていきます。さらに、漁業者が主体となった生産・加工・流通の一体的な取り組み(6次産業化)や、県外等との取引に対応できるよう加工場の衛生管理の高度化を支援します。


(2)伝統的な水産加工業の振興宗田節だし昆布茶

 本県の伝統的な水産加工業である宗田節加工業を振興するため、第1期計画では、宗田節のPRを行う推進組織「宗田節をもっと知ってもらいたい委員会」を立ち上げ、その活動を支援するとともに、(株)土佐清水元気プロジェクトによる新商品の開発を支援し、新たに4つの商品の販売を開始しました。

 第2期計画では、引き続き、宗田節の認知度の向上、新商品開発、県外も含めた販路の拡大を支援していきます。

 さらに、シラス加工業の振興に向けて、土佐湾中央部におけるシラスの水揚げの高知新港への集約化などについて働きかけ、魚価の向上による漁業者の経営安定と加工用原魚の安定確保による加工業者の安定操業を図っていきます。


(3)地域加工グループによる雇用の場の確保

 第1期計画では、地域で水産加工に取り組むグループに対し、それぞれが抱える課題に応じた講習会の開催やアドバイザーの派遣などの支援を行ってきました。第2期計画においても、グループが持続的に活動し、安定した雇用の確保が図られるよう、引き続きアドバイザーの派遣などによる支援行います。


【戦略の柱4】地域資源を活用し、交流を拡大

 地域での雇用の場を確保し、所得の向上を図るため、【戦略の柱4】では、漁村における滞在型・体験型観光の推進や、資源豊かで賑わいのある河川づくりの推進など、地域資源を活用した交流人口の拡大に取り組んでいきます。


(1)滞在型・体験型観光の推進

漁村観光パンフレット 第1期計画では、体験メニューのプログラム化を進めるとともに、関係機関と連携して旅行会社や学校等への情報発信、商品の売り込みに取り組みました。その結果、大河ドラマ「龍馬伝」の追い風もあり、体験型観光に力を入れて取り組んできた上ノ加江、佐賀、窪津、松尾、栄喜の5地区では、平成22年度の体験者数が、前年より約1,000人(H21年度6,021人→H22年度7,052人)増加しました。また、漁村における滞在型・体験型観光を紹介するホームページ「漁村感動体験!!タラッタ!こうち」(http://www.kochi-marugoto.com/gyoko/)を作成し、旅行者に向け効果的な情報発信ができる仕組みができました。一方、多様なニーズへのこまやかな対応や、いかに旅行者を主要な観光地から漁村へ誘客するかといった課題も見えてきました。

 第2期計画では、モニターツアーの開催やアンケート調査を行い、体験者のニーズを把握し、プログラムの磨き上げやメニューづくりに反映するなど、魅力ある商品づくりに取り組みます。また、近隣の主要な観光地から漁村へ旅行者を呼び込むために、交通拠点やホテル等へのパンフレットの配布やホームページの随時更新など、効果的な情報発信を行っていきます。


(2)資源豊かで賑わいのある河川づくりの推進

 清流に生息し、姿が美しいアマゴは、釣り人に人気のある大きな誘客資源ですが、産卵期の冬季は資源保護のため、禁漁となっています。このため、産卵などの資源保護に影響のない区域で冬季に釣りが可能となれば交流人口の拡大が期待されることから、第1期計画では、奈半利川や吉野川の一部流域において、アマゴの生息、産卵状況等の調査を実施し、地元調整を行った結果、冬季のアマゴ釣りが可能な状況が整いました。現在、県の漁業調整に関する規則の改正に必要な手続きを進めています。

 第2期計画では、引き続きアマゴ釣りの冬季解禁に向けた調査を行い、上記以外の河川への拡大を図っていくとともに、解禁となった地域についての情報発信を行い、誘客を図っていきます。

 また、関係者が取り組むアユ産卵場の造成への支援やウナギ種苗の放流などにより、河川資源の維持を図ります。


 次回は、商工業分野の1つ目の戦略の柱「ものづくりの基盤整備の促進」について、ご紹介します。


【問い合わせ先】 水産政策課  電話:088-821-4828  電子メール:040101@ken.pref.kochi.lg.jp


 

(9)Part2 各分野の取組の概要 水産業(2) (平成24年8月8日〕

 

産業振興計画の推進によって実現を目指す本県産業の姿<水産業分野>

【戦略の柱1】漁業の生産高を伸ばし、漁業収入を向上


 (3)養殖業の振興

養殖 第1期計画では、養殖生産物の品質向上と生産量のまとまりを作るため、養殖生産者のグループ化を推進してきました。この結果、既存の3グループに加え新たに2グループが誕生し、この5グループには県内の約半数の養殖漁業者が参画している状況です。これらのグループでは、県外量販店との取引が始まるなど、販路の拡大に向けた活動が進んでいます。第2期計画でも引き続き、これらのグループに対して、漁業指導所・水産試験場による赤潮や魚病、生産管理に関する情報提供や学習会の開催や、首都圏等の市場、バイヤー、飲食店などへの販路開拓などの支援を行っていきます。

 さらに、第2期計画では、民間企業の活力を活かした養殖漁業の振興に取り組んでいきます。

 具体的には、全国3位の生産量を誇る本県の代表的な養殖魚であるカンパチは、現在、稚魚を中国からの輸入に依存していることから、県内の民間企業と水産試験場が連携し、県内での稚魚の量産化に取り組み、県内養殖業者への安定供給、さらには県外への稚魚の販売を目指していきます。

カンパチ稚魚

 また、宿毛湾でのマグロ養殖の振興に向けて、マグロの養殖業者や地元市町村とともに「マグロ養殖振興検討会」を立ち上げ、安定的にマグロを生産するために必要な基盤整備などの検討や、マグロの鮮度を高めるためにスラリーアイスを使った高鮮度化モデル実証試験などを行っていきます。



【戦略の柱2】漁業費用を削減

 漁業者の所得を向上させるためには、【戦略の柱1】でご説明したような漁業収入の向上を図るとともに、漁業費用の削減に取り組む必要があります。第2期計画では、この点を【戦略の柱2】として掲げ、取り組みを進めていきます。


(1)漁業者による漁業費用の削減

 漁業にかかる経費で最も大きな割合を占めるものの一つが漁船の燃油費です。このため、第1期計画では、燃油費削減と漁業者の経営意識向上を目指し、漁協が漁業者に低燃費の省エネエンジンをリースする事業に対する補助などの支援を行いました。その結果、事業を活用した漁業者のほとんどから、燃費の向上や経営面の意識が変わったという意見が寄せられる等、経営体質の改善に貢献することができました。第2期計画においても、引き続き省エネエンジンの導入による漁業経営の改善に取り組みます。


(2)漁協による漁業費用の削減

 第1期計画では、高知県漁連(県漁連)から高知県漁協(県漁協)への購買事業などの移管に対して、県漁協の増加する運転資金の調達への支援や、電算システムの導入に対する補助などを行い、漁業用資材等の購買事業が、県漁連から県漁協へ円滑に承継されました。これにより、資材や燃料などの流通において、それまでは県漁連と県漁協の両方を経由していたものが県漁協のみの経由となり、流通に係るコストが削減され、価格が下がったことで漁業費用の削減が図られました。

 第2期計画では、購買品管理の効率化などを支援することで、さらなる供給価格の引下げを図っていきます。

 あわせて、漁協において経営改善に向けた取り組みが継続されるよう、漁協の役職員に対して教育・研修等の場を提供することにより、将来を担う人材の育成を図っていきます。


 次回は、水産業分野の3つ目の戦略の柱「水産加工を振興」と、4つ目の戦略の柱「地域資源を活用し、交流を拡大」について、ご紹介します。


〔問い合わせ先〕水産政策課 電話:088-821-4828 電子メール:040101@ken.pref.kochi.lg.jp


 

(8)Part2 各分野の取組の概要 水産業(1) (平成24年7月30日〕

 

産業振興計画の推進によって実現を目指す本県産業の姿<水産業分野>

【戦略の柱1】漁業の生産高を伸ばし、漁業収入を向上

 


1.第2期計画での水産業分野における挑戦

 本県の水産業を取り巻く情勢は、水産資源の減少や魚価の低迷による漁業経営の圧迫、漁業就業者の減少など非常に厳しい状況です。

 こうした状況を打開するため、第1期高知県産業振興計画では、漁業者の所得の向上と家族の方々の雇用の確保により、漁業者とその家族が将来にわたって漁村で生活していくことができるよう「今後も持続する漁業・漁村の構築」に向けて取組を進めました。

 その結果、例えば、黒潮町佐賀地区では、カツオ一本釣漁船用の活餌(生きたイワシ)の供給がスタートし、カツオの水揚量が増加(H21年45t → H23年208t)しましたし、県内各地(7ヶ所)で、漁協もしくは漁協と民間事業者が連携した前処理加工事業が立ち上がるなど、一定の成果が現れています。

 一方で、次のような課題も浮かび上がってきました。

 ・漁業生産量の確保

   年間を通して安定して生産できる養殖業を伸ばしていくことが重要であり、

   量産技術の開発や生産規模の拡大に向けてより一層の民間の力が必要

 ・東京や大阪などの大消費地へ県産水産物の販売の拡大

   高鮮度な水産物を供給していくことが重要であり、

   時間距離を短縮する新たな物流の構築が必要

 このため、第2期計画では、新たに「4年後の目標」と「10年後の目指す姿」を掲げ、上記の新たに浮かび上がってきた課題も踏まえ、「漁業の生産高を伸ばし、漁業収入を向上」、「漁業費用を削減」、「水産加工を振興」、「地域資源を活用し、交流を拡大」を戦略の柱として、引き続き漁業収入の増加と家族の雇用の場の確保による地域での所得の向上に取り組んでいきます。

 今回は、一つ目の戦略の柱「漁業の生産高を伸ばし、漁業収入を向上」の取り組みについてご紹介します。

  ◆4年後の目標

   沿岸漁業生産額 370億円 + 水産加工出荷額 170億円 以上を目指す

  ◆10年後の目指す姿「若者が住んで稼げる元気な漁村」

   沿岸漁業生産額 400億円 + 水産加工出荷額 200億円 以上を目指す

 

 



2.【戦略の柱1】漁業の生産高を伸ばし、漁業収入を向上

 漁業収入の向上には、漁場の整備や漁業の担い手の確保による生産量の安定確保と、市場での価格形成力を高め魚価の向上を図ることが必要です。このため、生産場面の取組を強化する「漁業生産量の確保」、水揚げ後の流通・販売の取組を強化する「水産物の販売力の強化と魚価の向上」、さらに「養殖業の振興」の3つの取組方針により、漁業収入の向上を図ります。

(1)  漁業生産量の確保

〈生産量・資源の確保〉

黒潮牧場 第1期計画では、カツオやマグロなどを集めて効率的に漁獲するための鋼製浮魚礁「土佐黒潮牧場」を3基増設し、15基としました。第2期計画では、最大の漁獲を得ることを目指し、黒潮牧場の再配置の検討や整備の低コスト化に取り組みます。

 また、第1期計画で取り組んできた黒潮町佐賀地区でのカツオ一本釣漁船への活餌供給について、引き続き供給の安定化を図るとともに、入港するカツオ船の利便性の向上に必要な施設整備への支援などを行い、カツオの水揚げの増加を図っていきます。

 さらに、漁業者グループやボランティアが取り組む磯焼け対策への支援や、ヒラメ・エビ類の放流種苗の大型化などを行い漁業資源の確保に取り組んでいきます。

〈担い手の確保〉

 第1期計画では、就業アドバイザーの設置や漁業技術の習得、漁船購入への支援を行い、目標値の年間22名程度を上回る新規就業者を確保することができました(H21年34名、H22年39名、H23年76名)。今後はこれらに加えて、県中央部の小型底びき網や機船船びき網漁業など、これまで研修の受け入れがなかった地区や漁業種類への拡大を図り、目標の年間32名の新規就業者の確保に向けて取組を進めていきます。


(2)水産物の販売力の強化と魚価の向上

〈産地市場での価格形成力の強化〉

 第1期計画では、水揚げ後の流通・販売の取組を強化するため、水産物の鮮度や産地市場の衛生管理の向上に向けた取組を進めてきました。第2期計画では、産地市場での価格形成力をさらに強化するため、量や品揃えが十分でない零細な産地市場から拠点市場に商品の集約を図る陸上集荷体制の構築など、魅力ある産地市場づくりに取り組みます。

 また、高知県漁協が、産地市場での魚価の向上を目指して自ら市場の入札に参加して行う買取販売事業を強化するため、販売子会社の設立や販路拡大を支援します。

〈地産地消の取り組み〉

 地産地消の推進に向けては、第1期計画に引き続き、高知市中央卸売市場等と連携し「土佐のおさかなまつり」や親子料理教室などの開催、「土佐のたたき料理」など本県の伝統的な魚食文化の情報発信を行い、県産水産物の消費の拡大を図っていきます。

 〈地産外商の取り組み〉

買受人連絡協議会 地産外商の強化に向けては、引き続き関西や中四国の消費地市場との交流を促進し、これまでに構築した人的ネットワークをさらに強化していきます。あわせて、新たに県内産地市場の買受人により設立された「高知県水産物産地買受人連絡協議会」が行う、県外の消費地での商談会などの販売促進活動を支援します。

 また、「脂が少ない」と言われる本県の水産物の差別化を図っていくためには、鮮度にこだわった商品を県外消費地へ届けることが重要なことから、漁協や買受人、物流業者と連携して、大阪や築地などへの時間距離を短縮する新たな物流体制の構築に取り組んでいきます。

マリンエコラベル 加えて、本県を代表するカツオ、キンメダイ、ゴマサバ(清水サバ)を対象とする5漁業で昨年度取得した「マリン・エコラベル」(海と資源に優しい漁業であることを認証する制度)を活用し、本県の水産物のブランド化に取り組んでいきます。

 次回は、水産業分野の1つ目の戦略の柱「漁業の生産高を伸ばし、漁業収入を向上」の3つめの取組方針「養殖業の振興」と、2つ目の戦略の柱「漁業費用を削減」について、ご紹介します。

 



〔問い合わせ先〕水産政策課 電話:088-821-4828 電子メール:040101@ken.pref.kochi.lg.jp


 

(7)Part2 各分野の取組の概要 林業(3) (平成24年7月2日〕

 

産業振興計画の推進によって実現を目指す本県産業の姿<林業分野>

木質ペレット製造機械


木質バイオマスの利用促進

 林業分野では、これまで原木生産の拡大と加工体制の強化、土佐材の地産外商の推進など、今後の高知県の林業・木材産業の基盤強化のための大きなターニングポイントとなる取り組みを紹介してきました。こうした加工体制等の強化の取り組みと併せて、森林資源を余すところなく活用し、林業・木材産業を振興するためには、木質バイオマスの利用促進も大変重要な取り組みとなってきます。



1 これまでの取り組みと課題

 森林県であり施設園芸が盛んな本県の特色を生かした取り組みとして、ビニールハウスの加温用を中心に木質バイオマスボイラーの導入を支援し、導入台数は累計で144台(平成23年度末:農業用120台、その他24台)と大きく普及が進んでいます。その中には、養鰻業や製紙業などでの利用もあり、施設園芸以外の業種への広がりも出てきています。

 再生可能なエネルギー資源として、関心が高まっている木質バイオマスですが、一方で、その導入にあたっては、県内産木質ペレットの安定供給や、利用後に発生する燃焼灰の処理など、従来の重油ボイラーになかった新たな手間やコスト負担などの課題も抱えています。


2 木質ペレットの安定供給と利用後の燃焼灰の処理

 上記のような課題を克服するため、今後は既存の製造施設の生産能力の向上と新たな製造施設の整備など、木質ペレットの安定供給体制の整備を早急に進めていきます。

 あわせて、燃料の配送や燃焼灰の処理などについては、地域でまとまって取り扱うことによる低コスト化を図ることで地域での持続可能な仕組みづくりに取り組んでいきます。現在、安芸地域で、農家などの木質バイオマスボイラー利用者やJA、地元自治体と一緒になって仕組みづくりに取り組んでおり、今年度の具体的検証を踏まえて今後の県内への普及に繋げていきます。


3 木質バイオマス発電の推進

 木質バイオマス発電は、森林資源を大量かつ安定して有効に活用できるほか、運送業などの林業以外の分野においても雇用機会の拡大といった波及効果が期待されます。県では、本年7月からスタートする電力の固定価格買取制度※ を受けて、林業・木材産業の再生を図るために造成した基金の一部を活用し、発電施設の整備に対して助成することを検討しています。現在、事業化に向けた要望調査を実施しており、事業の採算性や地域への波及効果等を精査したうえで、木質バイオマス発電の取り組みを進めていきます。

※電力の固定価格買取制度:バイオマス、風力、(中小)水力、地熱といった再生可能エネルギー電力を、電力会社等が決められた価格で買い取る制度。


 こうした取り組みを通じて、木質バイオマスの利用拡大を図り、石油などの枯渇性のエネルギーから再生可能エネルギーへの転換を進めるとともに、本県の豊富な森林資源を有効活用し、林業の活性化はもとより農業などの県内産業との連携、地域の雇用機会の拡大につなげることで本県に根ざした取り組みとなるよう引き続き積極的に推進していきます。


 次回は、水産業分野の1つ目の戦略の柱「漁業の生産高を伸ばし、漁業収入を向上」について、ご紹介します。


【問い合わせ先】

木材産業課 電話:088-821-4592  電子メール030501@ken.pref.kochi.lg.jp


 

(6)Part2 各分野の取組の概要 林業(2) (平成24年6月6日〕

 

産業振興計画の推進によって実現を目指す本県産業の姿<林業分野>

【戦略の柱2】流通拠点を活用した地産外商の推進

1 土佐材流通促進協議会の設立

県内の森林資源を有効活用し産業振興につなげるためには、積極的な外商を推進する必要があります。そこで、第1期計画では、県内業界と県が連携して地産外商の推進母体となる土佐材流通促進協議会を設立し、県外に向けた「土佐材」の本格的な外商活動を開始しました。

 この協議会には、県外へ積極的に木材の外商をすすめていく県内の製材所や木材センターなどが参加しています。

2 土佐材の流通拠点を大消費地に設置

 高知県は消費地から遠いという距離的なハンディを持っています。それを軽減するため、土佐材製品の流通拠点となっていただける企業の開拓に取り組み、現在、全国10箇所(関東3ヶ所、東海1ヵ所、関西5ヵ所、九州1ヵ所)の流通拠点を設置しています。

 これにより、高知から大型トラックで木材製品を流通拠点まで一気に運び、流通拠点から工務店などの需要者の要望に応じて小型トラックで配送するなど、流通の効率化や利便性の向上が図られました。

 第2期計画では、新たな流通拠点を開拓するとともに、これまでに設置した流通拠点を最大限に活用するため、展示会や商談会を引き続き開催し、土佐材の流通量を拡大する取り組みを進めます。

3 土佐材展示会の開催

上記の外商を推進するための仕組みづくりと併せて、従来の流通ルートでの木材販売量を増やすための取り組みも行いました。関東や九州などの流通拠点となっている木材会社において、土佐材流通促進協議会と共催で、平成22年度から「土佐材展示会」と名付けた記念市(セリ売りによる展示即売会)を開催しており、22年度には2会場、23年度は3会場で開催しました。

展示会では、スギやヒノキの柱や板などをロット単位で取引するため、一度に大量の土佐材製品を木材問屋などへ販売することができます。

今年度は、新たに愛知県の木材会社で5月19日(土)、20日(日)の2日間、四万十川流域のヒノキ製品主体に土佐材を特別展示するなど、土佐材の流通量のさらなる拡大に向け、販売先の開拓の取組を加速化させていきます。

※ロット:同じ種類の製品を一定量まとめて梱包したもの

(写真:左から「流通拠点の活用」「土佐材展示会」)

流通拠点の活用土佐材展示会

 

4 商談会の開催等による販路拡大の取り組み強化

従来の木材流通の枠を超えて、県外の工務店などへの産地直送による販売量を拡大するため、平成22年度から本格的に東京、名古屋、大阪の大消費地で商談会を開催し、土佐材の知名度の向上や新たな販売先の拡大にも取り組んでいます。

あわせて、土佐材を使用して木造住宅を新築や増改築していただける県外の工務店や設計事務所などを「土佐材パートナー企業」として登録していただき(H23年度末現在33社)、大都市圏での土佐材を使用した住宅づくりを進めています。

 さらに、今春(2/16~3/20)、東京都新宿区の高層ビル内に土佐材を使用した実物大の住宅構造体を設置するなど、土佐材製品を一堂にPRする場を創出した「TOSAZAI展」を開催しました。期間中、個別商談が多数もたれるなど、参加された方々からは好評価をいただきました。

今後は、この商談を生かして、土佐材パートナー企業を拡大し、本格的に関東進出を目指すなど、業界との連携を一層深め、もう一歩前に進んだ土佐材の外商戦略に挑戦していきます。 

(写真:TOSAZAI展の模様)

展示会場正面会場内での立ち上げ

知事のあいさつ展示風景

次回は、林業分野の3つ目の戦略の柱「木質バイオマスの利用促進」について、ご紹介します。

[問い合わせ先]  林業環境政策課 電話:088-821-4572 電子メール 030101@ken.pref.kochi.lg.jp


 

(5)Part2 各分野の取組の概要 林業(1) (平成24年5月15日〕 

 

産業振興計画の推進によって実現を目指す本県産業の姿<林業分野>

【戦略の柱1】原木生産の拡大と加工体制の強化

1.第2期計画での林業分野の挑戦

 引き続く木材価格の低迷、森林所有者の山離れ、円高の状況での外国産材との競争など、林業を取り巻く情勢は、厳しいものがあります。

 一方、84%という日本一の森林率を誇る本県では、戦後に植林された森林が成熟し、本格的に伐採・利用できる状況になってきました。

 このため、第1期計画では、所有者が異なる森林をまとめて、林業機械の導入や作業道の開設を行い、効率的に木材を生産する「森の工場」の整備を進めてきました。また、住宅や公共施設での県産材利用を促進する地産地消の取り組みとあわせて、県外の大消費地に設置した流通拠点(10ヵ所)を活用して外商活動を行い、県内での住宅の木造率の向上や県外での県産材の販売量の増加に繋げてきました。

 しかしながら、県内の加工事業者の多くは中小零細であり、本県の豊富な森林資源を生かし切れないこと、安定した価格・品質・量などの消費者ニーズに対応できず、製品生産量の減少に歯止めが掛からないことなどの課題は、積み残されています。

 第2期計画では、こうした課題の解決に正面から取り組み、「成熟した森林資源をダイナミックに活用した所得の向上と雇用の創出」を進めます。

◆4年後の目標

 原木生産量62万m3以上(H22  40.4万m3)、木材・木製品の出荷額190億円以上(H22  150億円)を目指す

◆10年後の目指す姿

 「山で若者が働く、全国トップ3の国産材産地」

 原木生産量65万m3以上、木材・木製品の出荷額200億円以上を目指す

2.原木生産の拡大と加工体制の強化

 平成24年度には、全国に販売チャンネルを持つ県外企業を中心に設立された「高知おおとよ製材株式会社」により、大豊町に四国最大級の大型製材工場(フル操業時の原木消費量 10万m3)が整備されます。また、既存の中小加工事業者が競争力を保ち、事業を継続し、雇用や生産力を維持するための設備投資を支援する助成制度を創設いたしました。

 県内事業者による大型製材工場の整備を支援するなどの取り組みにより、第2期計画の4年間を通して、加工基盤の強化を本格的に進めます。

 (写真  最新設備の大型製材工場)

大型製材工場1大型製材工場2

 第2期計画の最大の課題は、これらの強化した加工基盤に対して、安定的に原木を供給できる体制を確立することです。

 このため、県では、これまで支援してきた間伐による木材生産に加え、原木生産業者と加工事業者等との間で締結した安定供給協定に基づいて行われる皆伐に対しても作業道の整備などを支援し、間伐と皆伐を組み合わせて原木の増産を進めます。

 (写真  (左から)間伐材の生産、  搬出された原木)

間伐材の生産搬出された原木

 また、その結果、増加が想定される皆伐跡地については、適切な資源の更新を図るため、再造林(シカ被害対策を含む)に対して、今まで以上に手厚い支援(補助率:90パーセント)を行うこととしています。

 これまで山に溜まる一方であった森林資源を余すことなく活用し、生み出された付加価値を中山間地域の所得の向上と雇用の創出に繋げる取り組みを総合的に進めていきます。

 次回は、林業分野の2つ目の戦略の柱「流通拠点を活用した地産外商の推進」について、ご紹介します。

[問い合わせ先]  林業環境政策課 電話:088-821-4572 電子メール 030101@ken.pref.kochi.lg.jp


 

(4)Part2 各分野の取組の概要 農業(3) (平成24年5月10日〕 

 

産業振興計画の推進によって実現を目指す本県農業の姿<農業分野>

【戦略の柱3】新たな担い手の確保・育成と経営体の強化

 本県の農業従事者は、平成17年から平成22年までの5年間で約6,000人減少しており、農業の担い手不足や高齢化が深刻な問題となっています。第1期産業振興計画では、新たな担い手の確保・育成対策に力を入れて取り組んできた結果、新規就農者数は、計画実行前の平成20年度の114人と比較して大幅に増加し、平成21年度に161人、平成23年度には目標の170人を上回る234人の確保につながりました。

 しかしながら、全体として農業従事者が減少傾向で推移していることに変わりなく、これからもこの傾向が続くことが予測されます。今後、第2期計画に掲げる4年後の目標や10年後の目指す姿に向けて農地を維持し、本県農業の生産力を強化していくためには、まず新規就農者の確保・育成の取組を進めていくこと、加えて個々の経営体の規模拡大や経営力を強化していくことが重要です。

 第2期計画では、各施策で共通して意識すべきこととして「全国一学びの機会が多い県を目指す」「全国一サポート体制が整った県を目指す」を挙げており、第1期計画に引き続き次のような担い手の確保・育成対策や経営体への支援に取り組みます。

(1)新たな担い手の確保・育成

 就農を希望される方が実際に農業を始めるためには、基礎となる技術の習得や農地・施設の整備など様々な準備が必要です。また、就農後、営農活動を軌道に乗せ経営を安定させるまで、技術面や経営面でのきめ細かいサポートも大切です。新たな担い手を確保・育成し、地域の担い手として定着していただくため、就農希望者へのPRから実際に営農するまでの段階に応じた取組を強化します。

 具体的には、就農までの取組として、農業に関心を持っている方に対し、ホームページでの本県農業の紹介や、県内外での就農相談会を行うほか、U・Iターンを希望される方を対象に、東京と大阪で農業の基礎を学べる「こうちアグリスクール」を開催しています。今年度からは、住宅等の情報提供を併せて行うことで高知県に就農しやすい環境作りを進めて行きます。

 また、就農希望者が実際に就農する前に農業の基礎となる技術を習得し、同時に営農しようとする地域に馴染み定着できるよう、市町村等が実施している実践研修に対して支援を行います。

 実践研修を終え就農する段階では、農地や遊休ハウスの情報の収集・提供を行うほか、ハウスがすぐに入手できない方のために、JA等が行う「就農サポートハウス」の取組を支援します。また、レンタルハウス整備事業や国の制度の活用、営農技術指導や経営面でのフォローアップなど、営農を開始し経営が安定するまでの段階に応じた支援を行います。

 ※新規就農者が就農開始時に営農経験を積むためのハウス

(2)経営体の規模拡大と経営力の強化

 また、国内外での競争に打ち勝つ農業を築いていくためには、本県農業を支える担い手の経営力を強化し、地域の核となるような企業的経営体を育成していくことが重要です。

 このため、経営体が規模拡大しようとする時に必要となる農地の集積や施設整備等に対し、情報提供や補助金等による支援を行います。また、国の制度を活用して、雇用就農される方に対して研修などの人材育成を行っていくほか、法人化を目指す経営体に対しては、セミナーの開催や専門家の活用による経営発展計画の作成支援や県内農業法人の交流や情報交換の場づくりなどに取り組みます。

※農地の集積に関する情報提供の問合せ先 (財)高知県農業公社 Tel:(088)823-8618

※補助金による支援

補助金名

県担当課

事業内容

ホームページアドレス

農地保有合理化促進対策事業

農地・担い手対策課

認定農業者等の担い手育成と農地の有効活用のための農地利用集積への補助

http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/160101/

農地活用推進事業

農地・担い手対策課

耕作放棄地の有効活用と担い手育成を目的とした補助及び農地等情報の収集、提供

http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/160101/

レンタルハウス整備事業費補助金

産地・流通支援課

農協等が行う園芸用ハウスのレンタル事業に必要なハウス整備への補助

http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/160701/

 このように、新規就農者の確保・育成に向け、就農希望者の段階に応じた取組を進めるとともに規模拡大や法人化など個々の経営体の強化を支援することによって、地域農業の核となる担い手の育成に取り組んでいきます。

 農業分野では、第2期計画において、これまでにご紹介した「1.本県農産物の高付加価値化」「2.中山間地域の農業・農村を支える仕組みを強化」「3.新たな担い手の確保・育成と経営体の強化」の3つを戦略の柱にして、計画に位置づけた各取組を農業者や関係団体と一丸となって実践していくことで、農業者が地域で暮らしながら所得を稼ぐことができ、また、次代を担う若者が希望を持って参入したいと思える本県農業の実現を目指します。

(下の写真(左から) 経営指導  こうちアグリスクール  新農業人フェア  働きながら学ぶ農業技術研修)

経営指導こうちアグリスクール新農業人フェア

働きながら学ぶ農業技術研修

 

次回は、林業分野の1つ目の戦略の柱「原木生産の拡大と加工体制の強化」について、ご紹介します。

[問い合わせ先]  農業政策課 電話:088-821-4510 電子メール162201@ken.pref.kochi.lg.jp


 

(3)Part2 各分野の取組の概要 農業(2) (平成24年4月20日〕 

 

産業振興計画の推進によって実現を目指す本県産業の姿<農業分野>

【戦略の柱2】中山間の農業・農村を支える仕組みを強化

 過疎化や高齢化が進んでいる本県の中山間地域は、本県農業産出額などの約80%を占める食料供給の重要な地域であるとともに、国土や生物多様性の保全、良好な景観の形成において重要な役割を果たすなど、多面的機能も発揮しています。こうした役割を維持しながら、安心して農業を続けることができるようにするためには、所得の確保や雇用の創出に向けた、農業・農村を支える仕組みの強化を図ることが必要です。

 (写真  美しい棚田と茶園の景観)

美しい棚田美しい茶畑

 そのため、国の「中山間地域等直接支払制度」などにより、中山間地域を維持していく「守り」の対策に取り組むとともに、*集落営農などの取り組みによって生活できる所得を確保する次のような「攻め」の取り組みを進めていきます。

(1)生活できる所得を確保する集落営農の実現

 第1期では、中山間地域で生活できる所得確保を目指した仕組みとして、園芸品目等を導入した「こうち型集落営農」の取り組みを県内16のモデル集落で進めました。その中で、「こうち型集落営農」の仕組みが出来上がるとともに、16のモデル集落全てで集落営農組織が設立され、県内初の法人組織「農事組合法人 ビレッジ影野」が四万十町に誕生するなど、着実な成果があがっています。また、こうした取り組みの波及効果として、水稲を中心とした集落営農組織(こうち型を含む)が、平成20年度125組織であったものが平成23年度では、164組織まで増加しています。

 第2期対策では、こうした成果を県内全域に広く波及させるため、市町村やJA、関係機関が連携したサポート体制を整備するとともに、集落における話し合いの場づくりや組織化のための支援を行います。また、集落営農の取り組みをけん引できるリーダーやコーディネーターなどの人材を育成し、足腰の強い組織の育成を進めます。これらの、ソフト面での支援に加え、共同利用機械や施設等のハード面の支援も一体的に行うことで、集落営農の取り組みを県内全域に広げていきます。

 さらに、所得向上に向けた農産物加工やグリーン・ツーリズムの推進など経営の多角化を支援し、法人化による財務体質強化など経営安定化に向けた取り組みを支援します。

 *集落営農とは、集落を単位として水稲を中心に、農作業の共同化や農業機械を共同利用し、省力・低コスト化により営農の継続性や農地の維持を目的に取り組まれている活動です。

お茶ゆずの木ゆず

(2)6次産業化の取組による拠点ビジネスづくり

 農業者が生活できる所得を確保し、地域経済を活性化させ地域の活力を取り戻すためには、地域資源を効率的かつ最大限に活用しながら、加工や他産業と連携した活動など6次産業化の取り組みが重要になります。

 このため、農産物の加工などに取り組む農業者の取組の芽を見い出し、魅力ある商品づくりに向けた企画・提案から実行に至るまでの技術習得を支援する「農業創造セミナー」を始めとした人材育成プログラムなどにより、6次産業化をリードできる人材を育成し、6次産業化の取組への支援を進めていきます。

 また、地域資源を活用した商品の開発や磨き上げを支援するとともに、農業者と加工業者等とのマッチングを支援することにより、商品の販売拡大と農産物加工の取り組み拡大を進めていきます。

 (写真 農業創造セミナーの様子)

セミナーのポスターセミナーの様子1セミナーの様子2

 集落営農の県内全域への拡大と、6次産業化の取り組みによる拠点ビジネスづくりを通じて、中山間地域における農業・農村を支える仕組みを構築し、農業者の所得向上や地域の活性化につなげていきます。

 次回は、農業分野の3つ目の戦略の柱「新たな担い手の確保・育成と経営体の強化」について、ご紹介します。

[問い合わせ先]  農業政策課 電話:088-821-4510 電子メール 162201@ken.pref.kochi.lg.jp


 

(2)Part2 各分野の取組の概要 農業(1) (平成24年4月13日〕 

 

産業振興計画の推進によって実現を目指す本県産業の姿<農業分野>

 シリーズ「飛躍への挑戦!第2期産業振興計画」のPart2は、各分野の取組の概要について、まずは農業分野からご紹介します。

 

1.第2期計画での農業分野における挑戦

 農業を取り巻く情勢は、生産資材の高騰や農産物価格の低迷など非常に厳しい状況であり、農業者が意欲とやりがいを持って農業に従事し、次世代に引き継いでいくためには、生産基盤の強化や農家所得の向上が求められています。

 そのため、第1期計画では「競合に打ち勝つ高知ブランドを再構築」など2つの戦略の柱を掲げ、「高知ブランド」を全国に売り込む流通・販売の強化や、本県農業の強みである「環境保全型農業」の推進、担い手の確保・育成などに取り組んできました。この結果、地域のまとまりの形成や収量アップ、本県産農産物の認知度向上や販路拡大、環境保全型農業の取組の拡大、集落営農組織の育成や新規就農者の確保などの成果が出てきました。

 一方で、更なる生産技術の向上が必要であることや、環境保全型農業の取組を消費者に十分に伝える販売を強化すること、「こうち型集落営農」の取り組みをステップアップさせていくこと、法人化など担い手の経営を強化すること、などの課題も浮かび上がってきました。

 第2期計画では、新たに「4年後の目標」、「10年後の目指す姿」を掲げるとともに、その実現と、第1期計画を通して浮かび上がってきた課題の解決に向け、「本県農産物の高付加価値化」「中山間地域の農業・農村を支える仕組みを強化」「新たな担い手の確保と経営体の強化」の3つの戦略を柱として、施策の大幅なバージョンアップを行いました。

 ◆4年後の目標

    4年後に農業産出額1,000億円以上を目指す(H22:930億円)

 ◆10年後の目指す姿

    「地域で暮らし稼げる農業」

    10年後に農業産出額1,050億円以上を目指す

2.【戦略の柱1】本県農産物の高付加価値化

 本県農産物が、他産地との競合に打ち勝ち、全国で優位に販売されるためには、生産から流通・販売まで一体となった取り組みを強化し「高知ブランド」を確立することが重要です。このため、次の4つの取組方針により、本県農産物の高付加価値化を進めます。

(1)まとまりのある園芸産地総合支援学び合う農業者

 生産段階では、高い品質や安定した供給力、安全・安心、個性が光る商品づくりなど、消費者や小売業者、流通関係者のニーズを的確に捉え、販売を見据えた生産を行うことが産地には求められます。また、所得向上のためには、高収量・高品質、低コスト化などを進め、農業の生産性を高めていくことが大切です。

 このため、これまで「学び教えあう場」で培ってきた高い生産技術の普及拡大や、省エネルギー技術の導入、石油代替エネルギーの活用など生産コストの低減に取り組みます。また、レンタルハウス整備や園芸用ハウスの流動化などにより、新規就農する際や、現在営農されている方が規模拡大する際に必要な施設整備を支援します。さらに、集出荷等施設の再編・集約によって効率的な集出荷や加工の体制整備を進めていきます。

                                            (写真:学び教え合う場)

 

 

 

(2)環境保全型農業のトップランナーの地位を確立高軒高ハウス

 本県では、消費者の安全・安心のニーズに応えるため、天敵等を活用した病害虫防除などの環境保全型農業を全国に先駆けて実践しており、土着天敵の利用や天敵の産地間リレーなど、全国に誇れる本県独自の取り組みが進んでいます。

 第2期計画では、引き続き消費者に信頼され選ばれる産地を目指し、本県農業の特徴であり強みでもある環境保全型農業の県内全地域・全品目への普及に取り組みます。また、世界の環境保全型農業のトップランナーであるオランダとの友好園芸協定を生かし、天敵利用などのIPM技術の高度化を進めるとともに、本県に合ったより生産性の高い「こうち新施設園芸システム」の構築を進め、産地の競争力強化に取り組みます。

                                            (写真:高軒高ハウス)

 *IPM(Integrated Pest Management、総合的病害虫・雑草管理)とは、天敵、防虫ネット、防蛾灯など様々な防除技術を組み合わせ、農作物の収量や品質に経済的な被害が出ない程度に発生を抑制しようとする考え方。

 

 

 

(3)流通・販売の支援を強化

 本県農産物の競争力を強化するためには、農産物の取引先や取引量を増やす販路拡大の取り組みと、「高知県産」の魅力を伝え、商品の訴求力を高めるためのPRや消費拡大に向けた取り組みが重要です。

 このため、環境保全型農業によって生産された「特別栽培農産物」や「エコシステム栽培品」を、高知県の新園芸ブランドとして販売を拡大します。併せて、パートナーシップ量販店での販売強化や、流通関係者の産地招へい、メディアを活用した効果的なPRなどにより、産地の取り組みをしっかり消費者に伝え、販売に活かしていく取り組みを進めます。また、これら基幹流通の強化に加え、消費者や小売業者、流通関係者の多様なニーズに対応したマッチングや、従来の規格品以外を望まれる顧客と産地をつなぐ「新たな受発注システム」の構築に取り組むことにより、販路の開拓を進めていきます。

                             (下写真:(左から)販売促進活動、高知フェア、生産者による出前講座)

販売促進活動高知フェア生産者による出前講座

 

(4)品目別総合戦略

 本県には、施設園芸以外にも、地域ブランドが育っている米や土佐茶、土佐あかうしや土佐ジロー、土佐はちきん地鶏など本県独自の特色ある農畜産物があり、第1期計画の取り組みにより、県内外で認知度が向上し販路拡大が進みました。

 これらの農畜産物の安定供給に向けた生産力の強化や、地産地消・外商活動の積極的な展開により、ブランド力の向上と更なる販路拡大に取り組んでまいります。

 次回は、農業分野の2つ目の戦略の柱「中山間地域の農業・農村を支える仕組みを強化」について、ご紹介します。

[問い合わせ先] 農業政策課 電話:088-821-4510 電子メール162201@ken.pref.kochi.lg.jp


 

(1)Part1 官民協働で取り組む第2期産業振興計画が始動 〔平成24年4月3日〕 

 

第2期計画の特徴

 「飛躍への挑戦」を合い言葉に第2期産業振興計画がいよいよスタートしました。

 県勢浮揚に向け、これまで築き上げてきた取り組みに加え、より高いレベル、より広がりのある産業の振興を目指します。

 そのためには、より多くの県民の皆様に産業振興に参画いただき、官民協働で進めていく必要があります。

 この官民協働を成し遂げるためにも、県民の皆様と共有しうる成功のイメージを掲げたいと考え、第2期計画では、広範な県民の皆様との議論を通して「産業振興計画の推進によって目指す将来像(10年後の成功イメージ)」や「計画全体を貫く目標」を練り上げるとともに、産業分野ごとにも「4年後の目標」や「10年後の目指す姿」を明らかにしました。

◆産業振興計画の推進によって目指す将来像(10年後の成功イメージ)

  『地産外商が進み、 地域地域で若者が誇りと志を持って働ける「高知県」』

 この全体イメージが、県民の皆様の行動に結びつくよう、更に具体的にわかりやすく表現した3つの成功イメージを付記します。

1 本県の地域資源を使った新しい商品が次々と誕生し、全国、海外において数多く認知されるようになる

2 防災や新エネルギーの関連産業が形成され、高知県の産業として誰もがイメージできるようになる

3 厳しい時代を生き抜くたくましい産業人材が数多く輩出され、各地で活躍するとともに、地域を支える新しい基幹産業が各地に定着し、地域の明るい未来が広がる

◆計画全体を貫く目標

 産業振興計画の取り組みの効果を測るため、経済の面から「県際間の収支」、人口の面から「人口の社会増減」の2つの指標により、10年後の目標を掲げ、毎年、進捗状況を検証していきます。

《目標1》県際間の収支を改善する

 産業振興計画の取り組みによる10年後の移輸出額の増加効果+1,300億円 [試算値]

                           <平成17年の県際収支 ▲6,678億円>

《目標2》今後10年間の人口の社会増減(転入数と転出数の差による増減)をプラスにする 

                           <平成12~22年(年平均)の社会減2,158人>

 こうした「産業振興計画の推進によって目指す将来像」や「計画全体を貫く目標」の実現に向けて、各産業分野においても、これに連なる「4年後の目標」「10年後の目指す姿」を掲げて取り組むこととしていますが、その際、各施策を進めるにあたって共通して意識すべきこととして、次の3つがあげられます。

 

  ◎若者が志を持って打ち込める魅力ある仕事をつくる

  更に、学びの段階から事業化までの多様なサポートにより、実践者のチャレンジを応援するため、

  ◎全国一学びの機会が多い県を目指す

  ◎全国一サポート体制が整った県を目指す

 目指す将来像にある「地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県」を実現するためには、まず、人口社会増につながるような「若者が志を持って打ち込める魅力ある仕事をつくる」ことが重要です。

 このために、各産業分野においても、これを意識した施策を進める必要がありますし、さらに言えば、仕事に就いた後も、学びの段階から事業化までの多様なサポートにより、実践者のチャレンジを応援することで、さらに本県で働く魅力が高まるものと考えられます。このため、「全国一学びの機会が多い県」、また、「全国一サポート体制が整った県」となることを目指します。

 そうしたことをトータルで進めることによって、若者を呼び込み、人口社会増の達成、ひいては、産業振興計画の推進によって目指す将来像である『地産外商が進み、 地域地域で若者が誇りと志を持って働ける「高知県」』を実現していきます。

◆各産業分野における「4年後の目標」「10年後の目指す姿」

 「4年後の目標」は、人口が減少し、経済が縮む中にあっても、これまで築き上げてきた土台に立って施策を更に強化し、官民一丸となって挑戦を続けることで達成が可能と思われるもの、何としても達成したいものを掲げています。

 また、「10年後の目指す姿」は、そうした中で、それぞれの産業が持続的な成長を遂げていくうえで、かくありたいという姿を掲げています。

 その実現のためには、これまでの施策の延長線上の取り組みに加えて、新たな発想による取り組みを行うことが必要となります。第2期計画では、この新たな発想による取り組みについて、その戦略的な方向性を「さらなる飛躍へのポイント」として整理をしました。第2期計画の4年間を通して、官民で共に知恵を出し合いながら、この「さらなる飛躍へのポイント」それぞれについて、具体的な戦術を練り上げてまいります。

 また、第2期計画では、各産業分野において、産出額等についての数値目標を掲げています。

 国全体の人口が減少し、国内市場がますます縮む中で、現状を維持すること自体、簡単なことではありません。まして、増加を目指すことは大変なことですが、様々な取り組みを進めながら、県勢浮揚に向け、官民一体となって挑戦していきます。

「各産業分野の4年後の目標」「10年後の目指す姿」「さらなる飛躍へのポイント」 [PDFファイル/2.27MB]

 

■第2期計画の挑戦

 第2期計画では、SWOT分析※によって導き出された次の5つの基本方向に沿って、3つの視点をもって挑戦していきます。

 

  【5つの基本方向】

  (1) 足下を固め、活力ある県外市場に打って出る

  (2) 産業間の連携を強化する

  (3) 足腰を強め、地力を高める

  (4) 新たな産業づくりに挑戦する

  (5) 産業人材を育てる 

 第一の視点は、産業振興の取り組みの経済効果をより大きなものにできるよう、地産外商の推進や観光の振興、県内企業の投資の誘発などによって、動き出した数々の事業を定着、さらに成長・発展させて、より大きな動き、大きな産業を目指します。

 第二の視点は、本県産業が長期にわたって成長、発展し続ける礎を築いていくことができるよう、企業誘致や県内産業の投資の誘発を進めるとともに、防災や新エネルギーなど、将来に大きな可能性を秘めている分野に思い切って挑戦し、新たな産業集積の形成を目指します。

 そして、第三の視点は、地域アクションプランのさらなる推進や、中山間対策の抜本強化などによって、より多くの県民の皆様に産業振興の取り組みにご参画いただき、地域の潜在力を引き出すことで、その経済効果を地域地域に広げていきます。

 大幅にバージョンアップした第2期産業振興計画。

 「10年後の成功のイメージ」の実現に向けて、高知県庁としても、県民の皆様と共に汗をかき、知恵を出し合いながら、課題解決の先進県を目指し飛躍への挑戦を図ってまいりたいと考えております。

 次回からは、Part2として各分野(農業、林業、水産業、商工業、観光、地産外商等)の取り組みの概要について、ご紹介します。

[問い合わせ先]

 計画推進課 電話:088-823-9049 電子メール120801@ken.pref.kochi.lg.jp

※SWOT分析とは、組織のビジョンや戦略を企画立案する際に利用する現状を分析する手法の一つです。SWOTは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取ったものです。

 

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