知事講話 (平成25年度の県政運営にあたって)

公開日 2013年04月17日

更新日 2014年03月31日

〔平成25年4月1日(月曜日) 正庁ホール〕

 いよいよ平成25年度がスタートいたしました。この新年度も皆さま方と共に県勢浮揚に向けて仕事をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。少しお時間をいただきまして、今まで申し上げてまいりましたことと随分重なることもございますけれども、県政運営にあたりまして、ぜひ申し上げておきたいことについて、少しお話をさせていただきます。

講話する尾﨑知事


飛躍への挑戦

 平成24年度は、「飛躍への挑戦」の年ということを1つのキャッチフレーズにして取り組みを続けてまいりましたけれども、新しい平成25年度においても同じくこの「飛躍への挑戦」ということを、ひとつ、われわれの目標として取り組みを続けさせていただきたいと、そのように思っています。「飛躍への挑戦」は、1年、2年で終わるものではないと。そういう思いでありまして、平成24年度は皆さんと共に取り組みを進めてきましたが、またこの平成25年度も飛躍に向けての挑戦を行いたいと思います。

 飛躍に向けて挑戦を行っていく。故に、それぞれの政策についても、また新しいステージに入っていくこととなります。例えば産業振興計画でございますが、地産外商への取り組みをさらに抜本的に強化をする。地産、地域でのものづくり、これを強化していき、あわせて、それを外部に売っていく外商の取り組み、こちらも強化していくということ。これを徹底して行っていくことに加えまして、移住促進、この新しい大きな柱に挑戦をすることとなります。

 地産外商、これが産業振興計画の1つの大きな柱でありましたが、移住促進もまたこれに並ぶ大きな柱であろうかと考えております。人口減少が進む、高齢化が進んでいく今の高知県において、新しい活力を県外から呼び込んでくるということは、極めて重要なことであります。県外の多くの県も、同様の取り組みを始めようとしている中で、他県との競争が始まっていくわけでありますが、5つの基本政策、さらに中山間対策、それらの各種施策の土台の上に立って、こういう土台の上に立っているが故に、他県ではそう簡単には追随できないやり方でもって、私たちはこの移住促進の取り組みを進めていきたいと、そのように思います。

 翻ってみれば、4年ほど前に地産外商の取り組みをスタートをさせました。スタートをさせましたとき、本当に試行錯誤の取り組みが続いてきたように思います。皆さん大変ご苦労いただいてきたところでございましたが、今や、例えば公社における成約件数は初年度が178件であったものが444件に翌年度にはなり、さらに翌年には1,350件を超えるレベルに達し、そして、おそらく平成24年度は1,700件を超えるぐらいまで、成約件数が伸びるようになってきました。大変なご尽力の中で、試行錯誤を繰り返していきながら、皆さんに頑張っていただいたおかげで、地産外商が前に進むようになってきました。雇用も生み出してくれるようになってまいりました。産振計画がスタートしてから41カ月連続で求人数は対前年度プラスという状況が続いています。それまで大体30カ月ぐらい、対前年度マイナスが続いていたことに比べれば隔世の感があると、そのように思っているところです。

 しかしながら、まだまだ経済の浮揚に向けて、やるべきことはたくさんあります。それが故に、移住促進という大きな柱を新しく打ち立てていくこととなったわけでございます。皆さん、またいろいろと全庁を挙げての取り組みになります。いろいろご苦労があろうかと思いますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 そして、日本一の健康長寿県構想でございます。こちらについても、また新しい挑戦を行うことになります。県民全体の健康に対する意識の向上。これを図っていくチャレンジを新たに行っていくことになります。よさこい健康プラン21、この取り組みについて、皆さんご存じのように、今回教育委員会の皆さんとも協力をさせていただきながら、子どもたちの教育の徹底を始めといたしまして、さまざまな健康意識高揚のための取り組みを進めていくこととなります。健康を形づくっていくのは、最後はお一人お一人の意識。だからこそ、その意識に直接働き掛けていこうじゃないかという取り組みに踏み込んでいくことになるわけであります。周産期医療体制の確保、医師確保の取り組み、さらには健診の受診率向上の取り組み。今まで努力してきたこういう取り組みに加え、新しいこういう分野にチャレンジをしていくことになります。

 そしてまた、福祉の分野におきましても、こうち支え合いチャレンジプロジェクトに踏み出していくこととなります。絆のネットワークを県下各地に張り巡らせていこうという取り組みに、さらに、一歩前に進んでいくこととなります。

 教育改革については、知・徳・体のそれぞれ教育改革の取り組みを続けてまいりました。一定成果も出てまいりました。ただ、もう一段上を目指していかなくてはなりません。そのために、平成25年からは、さらにもう一歩、積年の課題でありました非行対策の取り組みに、大きな一歩を踏み出していくこととなります。ぜひ皆さんと共に、この取り組みを進めたいと思います。

 南海トラフ巨大地震対策と、そしてインフラ整備の取り組みについて、平成25年度は、こちらもまた新しい一歩を踏み出していくこととなります。津波避難対策について、平成25年度、平成26年度で、おおむね完成をさせていこうという取り組みを引き続き進めていきますが、あわせて南海地震対策新行動計画の策定を終え、新しい応急対策活動要領に基づいて、発災直後の段階からさらに一歩進んで、応急段階、応急・復旧・復興の段階の対策について具体的な取り組みを進めていくこととなるのが、この平成25年度ということになります。ステージを追うに従いまして、やらなければならないことは飛躍的に拡大をしてまいります。

 南海地震対策は、従前より申し上げておりますように、南海地震対策課だけがやる取り組みではありません。全庁、各課全て、この南海トラフ巨大地震対策に関係をしておるわけでありまして、それぞれの課においてやるべきこと、危機管理部を1つの指令塔として、皆さん方と共に取り組みを進めてまいりましょう。

 そしてまた、そういう中で、インフラ整備の取り組みでありますが、南海トラフ巨大地震対策にしっかり呼応していく取り組み。これをしっかり進めていきます。アベノミクスもしっかりと取り込んでいきながら、この取り組みを加速していくことになりますが、あわせまして、経済活性化のためのインフラ整備の取り組み。例えば高知新港の振興プラン、こちらを実行していくことなど、新しいことにもチャレンジしていく年となるわけであります。

 中山間対策の取り組みとして、集落活動センターは今、6カ所できています。この集落活動センターの取り組みについて、県外の皆さんからも視察が相次ぎ、国の政策にも取り上げてもらえるようになる、いわば課題解決先進県としての取り組みだと思っていますが、ただ、この集落活動センターの取り組みをいかに定着をさせていくのか。そして、もう一つ、中山間において、今ひとつ躊躇しておられる皆さま方と共に手を携えて、どうやって中山間の活性化に進んでいくか。私たちはもう一歩、この中山間対策の取り組みの実効を上げるべく、努力をしていかなくてはなりません。それを図るのが、この平成25年度ということになります。

 今まで皆さん大変頑張っていただいてまいりました。平成25年度は、その土台の上に立って、引き続き飛躍への挑戦を行っていく年となるわけでございます。日ごろより大変ご尽力いただいておりまして、私からも本当に心から感謝を申し上げたいと思いますが、なお一層、この平成25年度、共に知恵を出し、汗をかかせていただきたいと思いますので、またどうぞよろしくお願いをいたします。


仕事に対する基本姿勢
(課題解決を目指した取り組み、成果目標の共有)

 仕事の基本姿勢として、3点、従前より申し上げてきておることでございますが、あらためて繰り返しお話をさせていただきたいと思います。

 従前より申し上げておりますように、課題先進県である私どもは、課題解決の先進県を目指した取り組みを進めていっておるわけでございます。産業振興計画の地産外商の取り組みにせよ、また、移住促進の新たな取り組みにしても、さらにはあったかふれあいセンターから端を発したこうち支え合いチャレンジプロジェクトにいたしましても、人口減少が進んでいる、だからこそやらなければならない取り組みであり、また、過疎化が進んで地域の支え合いの力が落ち込んでいるからこそ、やらなければならない取り組みであります。徹底した津波対策、本当に現実を見据えた応急対策、これらの取り組みについても、誠に大きな課題に対抗するために真摯にこれに向き合おうとする対策だということであります。

 課題解決の先進県を目指していく取り組みを進めていくために何より大事なことは、課題から逃げずに、課題に正面からぶつかっていくことだと、そのように思っております。われわれが抱えている課題は、ある意味、歴史上、これを解決した例があるというようなものではありません。これほどの急激な人口減少という事態に直面した社会というのは、歴史的にも珍しいことであります。そしてまた、これほどの災害に立ち向かっていくということも、おそらくかつて歴史上、事前の備えという点においては、なかなかそんな例はないのではないかと思います。ひるみそうになることもあるでしょうし、思わず逃げたくなるような厳しい課題もあろうかと思います。しかしながら、私たちは、県民の皆さまのために一生懸命働こうとしている高知県庁の職員として、この課題に正面からぶつかっていかなくてはなりません。課題から逃げないこと、これが課題解決先進県の第一歩だと思っております。皆さま方、本当に一生懸命、今、課題に向けて正面からぶつかって、頑張っていただいております。ぜひこの平成25年度も、課題解決先進県を目指し、課題に正面から取り組んでいただきたいと、そのように思います。

 そして、課題解決先進県を目指すためには、何といいましても、先例主義ではなくて、新しい知恵を出すということが大事であります。そして、明確な成果目標を設定して、その成果に向けたPDCAサイクルをしっかりと回していくということも、大事なことでございます。庁内の仕事は、年を追うごとに、成果目標を立て、そしてPDCAサイクルを回してそれに対する達成度を把握し、取り組みについて修正をしていくということは随分徹底をされてきたのではないかと思いますが、しかしながら、新年度になりまして、また新しいチームのメンバーも加わったことと思います。ぜひ、この点、あらためて大事なことでありますので、徹底をしていただきたいと、そのように思います。

 特に、今、私と直接お話をさせていただいております所属長以上の皆さま方、所属長もしくはそれに準ずるクラス以上の皆さま方には、特に、各職員の皆さま方に、「今、課として目指している成果目標は何で、そのために具体的にどういうことをしようとしているか」ということを、課員一人一人に徹底できるようにぜひしていいただきたいと思っています。

 ちょっと具体的なことを申し上げるようでありますが、4月に毎年、各部局の運営方針について、それぞれ私と協議をさせていただく場があろうかと思いますけれど、その場において、それぞれの課、例えば産業振興計画であればこの部分、日本一の健康長寿県構想であればこの部分、南海トラフ巨大地震対策であればこの部分、というふうにそれぞれの課が持っている線表があろうかと思います。あの線表の中には、成果目標とそれを達成していくための5W1H、これが明確に記されているわけでありますけれども、それを各課ごとの単位で、ぜひ私と共に共有をさせてもらいたい。その協議をさせてもらいたいと、そのように思っています。課員それぞれに、「今目指しておるものは何なのか」「行き着こうとする先は何なのか」、それをぜひ徹底していただくように、所属それぞれの皆さんに、ぜひそのことをお願いをいたします。それがおそらくモチベーションの源になるのではないのかと、そのようにも思っております。ぜひその点、よろしくお願いをいたします。

講話する尾﨑知事


(官民協働、市町村との連携・協調、県民との対話)

 大きな第2点目でありますが、具体的な成果を積み上げていくということが極めて重要です。そして、この成果を出していくために何より重要なのが、真の意味で官民協働の体制をつくり上げること。そして市町村との連携・協調の体制をつくり上げていくということが、極めて重要であります。官民協働の真の体制をつくり上げていくためにも、県民の皆さんとの対話ということをぜひ重視をしていただきたいと思います。民間の皆さんと接していて「この仕事をやろうと思っているんです」と言ったときに、「なんでその仕事をやるんですか?」と相手から問われたときに、ぜひ自分の腹の中に入ったその施策の意義、「今、この高知県の置かれた状況の中で、なぜこの施策をやらなければならないのか」、その意義と、「われわれとして、こういうふうにやろうと思っている」という道筋を、明快な言葉で説明できる、そうであってもらいたいと、そのように思います。

 最悪中の最悪なのが、「知事が言ってるから」。これは最悪であります。誰も相手にしてくれないはずです。市町村の皆さんと話をしていて、「この施策を一緒にやりましょう」「なんで、やるんですか?」と問われたとき、自分の言葉でその政策の意義を明快に説明できるように、ぜひしていただきたいと、そのように思っております。「知事が言ってるから」なんていうのは、ほかの市町村の人には全く通用しないのであって、今、そういう人が多いということを言ってるわけでは決してないんですけれど、ぜひ、そこのところをお気をつけていただきたいと、そのように思います。

 県民の皆さんとしっかり対話をする。そして、県民の皆さんにしっかりご納得を得る、賛同を得る、協賛を得る、賛意を得る。だから、官民協働が成し遂げられるのであります。県民の皆さまと対話をして、「どうもこれは県民の皆さまの納得を得られる施策ではないな」ということも出てくるかもしれません。その県民の声こそ、重要であります。それこそ本当に、われらがもう一度反省をしなければならないシーンということになるんだろうと思っているところです。

 ぜひ皆さん、まずは県民の皆さんが納得できるだけの、対話ができるだけの、政策の意義と道筋が自分の腹に入っているか、まずそれを自覚してもらいたい。その上で、県民の皆さんの中に入っていって、県民の皆さんと対話をして、県民の皆さんの声を聞いてもらいたいと思います。そして、その上で、「これじゃ、いかん」と、「これでは駄目だ」と思うことがあれば、即座に私、知事もしくは副知事に教えてもらいたいというふうに思います。県民の中に入って、県民と対話をして、県民の声を聞いて、そして、その中から必要な声を私たちにぜひ教えてください。私も副知事も、対話と実行行脚とか、そういう取り組みなどを通じていきながら、県民の皆さんと直接対話をする努力を、これからも続けてまいります。ぜひ県庁の皆さんも、説明責任を果たすためにも、真の意味で官民協働の体制をつくるために、市町村政との連携協調を図れるようにするためにも、この点ぜひ徹底をしていただきたいと、そのように思います。

 知事に説明できて終わりではありません。議会でご了解を得て、それで終わりではありません。県民の皆さま方の納得を得て、県民の皆さま方のご了解を得てこそ、県民の皆さま方と共に仕事ができる体制をつくり上げることができてこそ、本当の意味で県勢浮揚に向けた歩みを進んでいくことができるのだと思います。ぜひ、その点はよろしくお願いをいたします。


(全国区の視点)

 最後、3点目でございますが、これも従前より申し上げておりますが、ぜひ全国区の視点を持った取り組みを進めていただきたいと、そのように思います。われわれは今、県勢浮揚に向けた取り組みを進めておりますけれども、他の県も一生懸命頑張っておられます。ある意味、全国との競争であります。全国との競争でありますから、例えばこの間も、鳥取県と漫画について友好通商条約を結ぶとか、そういう取り組みをしたりもいたしました。競争、それだけじゃない。実際、全国を動かしていくためにも、協働しないといけないこともたくさんあるだろうと思います。南海トラフ巨大地震対策は、9県知事会議をつくって9県協働での取り組みを進めてきたからこそ、一定物事が動いてきているというところもあるんだろうと思います。

 全国のいろんな動き、これをぜひ見ていただいて、全国の中の高知県、世界の中の高知県だということを、ぜひとも忘れないでいただいて、それを意識して取り組みを行っていただきたいと思います。ライバルに負けない新しい施策を、その中から見い出すことができるかもしれません。一緒に闘っていける仲間を見つけていくことができるようになるかもしれません。われわれにとって大いに追い風となるような国策、これをわれわれに生かせるような道を探してくることができるようになるかもしれません。ぜひ全国的な視野を忘れずに取り組みを進めていただきたいと思います。

 そして、そうなるためにも、全国ネットワークの中に、ぜひ積極的に身を置いていただきたいと、そのように思います。知事会だとか、いろんな協議会、懇談会、勉強会などがあろうかと思いますが、全国の方の集まる集いや会に、積極的に各課で身を置いて、全国的な視点で仕事をし、全国ネットワークから情報を得られるような体制づくりに努めていただきたいと、そのように思います。


おわりに

 ぜひ皆さん、平成25年度も県勢浮揚に向けまして、共に取り組みを進めてまいりましょう。私も市町村などに行かせていただいたり、また、いろんな懇談会などに出させていただいたりして、私個人に非常に厳しいお声を頂くこともたくさんありますが、最近うれしいなと思いますのは、「県庁の皆さん、頑張ってくれて、ありがたい」と言ってくださる人が徐々に徐々に増えてきておるように思います。そういうことを聞いたとき、私も本当にうれしく思わさせていただいておるところです。本当に日ごろより頑張っていただいておりますことに感謝を申し上げますが、ただ、客観情勢は非常に厳しいものがあります。さらなる努力が必要であります。共に頑張ってまいりましょう。

 オールラストです。いい仕事をするためにも、心身の健康を維持していくことが非常に大事だと思っています。各所属、特にここにおいでの所属長の皆さんには、部下職員の皆さま方の心身の健康に心から意を用いていただいきたいと、そのように思います。いろんな意味で、残業もやはり増えてきています。水曜日はノー残業デーといっておりますが、これもぜひ徹底していきましょう。それからまた、どうしても時間外勤務にならざるを得ないときは、例えば管理職の方だけとか、あるいは知事室に入るときも人数を限定して入ってきていただくようにするとか、いろんな工夫をしていただきながら、職員の心身の健康の維持にご留意を賜りたいと思います。

 ただ、もう1つ、心身の健康という点で非常に重要な点は、やっぱり「自分はいかに意義ある仕事をしているか」ということを、職員一人一人に分かってもらうということではないかと思ってます。それぞれ「自分たちの職場は、何を目指そうとしているのか、そのために具体的に何をしようとしているか」ということを、ぜひ所属長の皆さん、これを課員に徹底をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 では皆さん、この平成25年度も、皆さんと共に歩みを進めさせていただきたいと思います。私自身、一生懸命、知恵を出し汗をかいていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。どうもご静聴ありがとうございました。

 

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