知事の定例記者会見(平成25年4月30日)

公開日 2013年05月08日

更新日 2014年03月31日

知事の定例記者会見

平成25年4月30日(火曜日) 14時00分から14時51分 第一応接室

土佐電気鉄道(1)
談合問題
夏の電力需給対策
放射性廃棄物最終処分場
土佐電気鉄道(2)
四万十市長選挙
土佐電気鉄道(3)
原発稼働の動向
四国電力の電気料金値上げ
道州制
土佐電気鉄道(4)
県内雇用情勢

配布資料
 飛躍への挑戦! 産業振興計画 [PDFファイル/1.51MB]
 平成25年度のクールビズ実施について [PDFファイル/173KB]

(知事)
 1点目は、産業振興計画の進捗状況について、定期的にお示ししているものをお配りしていますのでご参照ください。
 2点目は、平成25年度のクールビズ実施について、今年も昨年度と同様に5月1日から10月31日まで実施します。この間、県庁においては冷房時の室温を28度に設定して軽装で執務を実施させていただきます。
 また、(県民の皆様、企業の方々、市町村に対して)節電への取組についての呼びかけを行っていくという観点からも、このクールビズを実施させていただきますので、ご理解をよろしくお願いします。


土佐電気鉄道(1)

(池:高知新聞記者)
 土佐電鉄の役員と元暴力団組長らとの交際問題について、土電は16日付けで県に内部調査報告書を提出されました。ただ、この内部調査の段階で、県の方から何度か土電側に「こういう調査をやって欲しい」というような助言をしたように聞いておりますが、それにも関わらず、県の評価によると事実関係の調査範囲が限定的であって、暴力団や暴力団員等との関わりは一切無いという根拠が十分言及されていない報告書を出してきたわけです。県の助言を土電がどのように受け止めていたのか、あるいは県の助言がどの程度伝わっていたのかということについて、疑問が残る状態になっています。
 県は22日に外部の視点も含めた再調査を要請されましたが、再調査にあたってどのように調査の正確さであるとか客観性を担保するのか、この点についてまず知事のお考えをお聞きしたいのと、外部委員の人選、また、調査の対象者をどの辺りまで広げて何を明らかにすべきか、といった再調査の具体像について知事のお考えをお聞きしたいと思います。

(知事)会見する尾﨑知事
 土電には、調査報告書を提出される前に、県としていろいろと助言をしてきました。一言で言えば、「関係者や県民の疑念をしっかりと晴らしていく調査報告書にすべきだ」ということをお話させていただいてきましたが、結果として今回出された調査報告書については、まだまだいくつかの点において不十分であり、調査が終わったとは言えず、途中段階のものと受け止めさせていただいています。

 正直申し上げて、事実関係の調査範囲は限定的だということがありますし、評価に至る際の根拠についても十分に言及されておらず、明らかにされていない点があります。引き続き、調査を実施する必要があると考えています。
 そういう中において、ここから先は外部の視点を取り入れて調査をしていくことが大事ではないのかと思っており、我々として土電には、外部の視点を取り入れた調査をしっかりやっていただきたいということをお願いしたいと考えています。

 ご指摘の点の再調査にあたって、正確性や客観性をどう担保するのかというお話ですが、一番大事なのは、調べる人員をどうするかということではないかと思います。やはり、客観性が担保できるような形での陣容を敷いて、調査することが非常に大事だと考えています。そういう意味において、例えば、弁護士や公認会計士といった、客観的な仕事をしているお立場の方々が入った外部調査委員会を構成し、調査をしていただくことが必要であると考えています。

(池:高知新聞記者)
 メンバーに県の職員であるとか県のOBを入れるお考えはありませんか。

(知事)
 県のOBかどうかは別として、やはり、行政的な視点に精通した方をお入れすることが大事ではないかと思っています。
 県そのものが入るというより、県はいろんな情報を総合的に勘案して、場合によっては、調査報告書が来ても「ここはどうなんでしょうか」と、もう1回聞き直さないといけない立場であったりするわけですので、県が直接入るのはどうかと思います。他方で、行政的な視点をもって調査していただくという側面は、重要ではないかと思いますので、行政に精通された方を考えていかなければならないと思っています。

 先ほど申し上げましたように、県が直接入らないからといっても、調査委員会ができましたら、その調査については積極的に協力していきたいと思いますし、我々としても、「こういう点もお願いします」という形でお願いをしないといけないことや、場合によっては僭越ながらアドバイスを申し上げるということも出てくるかもしれないとは思います。
 ただ、最終的に調査報告書を受け取ってどう判断するかということを、もう一段客観性を担保するためにも、我々が直接入ることはしないでいた方がいいと考えています。

(池:高知新聞記者)
 内部調査において、これだけ助言したのに結局ああいった内容のものしか出てこなかった理由や背景を、知事はどのようにお考えでしょうか。

(知事)
 時間の制約があったのかもしれません。それと、やはり内部調査だったのかと思わざるを得ない点はあると思っています。こうしたことから、外部の視点が必要なのかと思い至ったところです。


談合問題

(池:高知新聞記者)
 次の質問に移らせていただきます。
 県内の談合問題について、知事は昨年の12月県議会での請願採択を受けて、いろいろと検討を重ねられたと思いますが、今月15日の臨時議会で、談合認定された建設業者の指名停止短縮に踏み切られました。議会の答弁の中で知事自身が、「県民の間でコンプライアンス確立の後退だとの議論もあると思う」というふうにもおっしゃられているので、一定の批判は覚悟された上での政治判断だったのではないかと思いますが、執行部が議会に示した資料や説明をもって県民の理解が得られるだけの説明責任を果たせたとお考えでしょうか。もし、果たせたとお考えになるのであれば、その理由をお示しいただきたいのですが。

(知事)
 先に結論から申し上げさせていただくと、もちろん当然のことながら説明責任を果たすように努力をしてきました。ただ、4月の臨時議会での説明や一連の記者会見での説明のみをもって終わるということではなく、継続して果たしていかなければならない問題だと受け止めさせていただいています。
 1点目の説明責任を果たしたかどうかについては、短縮するにあたって様々な材料が必要だったと考えています。それにあたっては、まずは説明責任を果たす以前の問題として、協会としてどういう取組がされたのか、業者はどうだったのか、県としてどうだったのかといったことについて、しっかり職責を果たし、談合防止策について講じたかどうかが大事であったと思います。私は一定のレベルに達したと判断しました。

 他方、経済状況はどうだったのかについては、通り一辺倒の調査ではいけません。ここについては相当詳しく調査させていただいたつもりです。建設業者一般についても、県内建設業者700者を無作為に抽出し、乱数表を使ってランダムサンプリング調査も行いました。しかも1回だけではありません。今年2月に行い、4月にも行うという丁寧な手法をとりました。37の違反事業者を除く事業者について調査を行っていくことで、結果として全体がどういう状況なのかということを客観的に把握できるようにしました。
 また、関連事業者についても同様に調査を2回実施させていただきました。できるだけ県全体として関連事業者の客観的な状況を把握できるように努めたつもりです。通り一辺倒のマクロの数値だけで済ませたわけではなく、詳しく調査しました。

 37の違反事業者についても、外部の方に委託しまして、かなり踏み込んだ形で詳細な調査を実施していただきました。そういった一連の調査を実施し、さらに県内の各商工会議所や関係団体等へのヒアリングなども実施してきました。
 ですので、説明責任を果たす以前の問題として、客観的な形で経済情勢が把握できるように徹底して踏み込んだ調査を実施しました。正直、他県で行った調査よりもはるかに詳細に詳しく調査したと自負しています。
 その上で説明責任を果たすという観点から言えば、それぞれの結果についてしっかりと開示を行い、その過程において、どのように判断をしたのかという手順についても、(4月の臨時議会における)本会議及び委員会での質疑の中でしっかりとそこのところは明らかにさせていただいているつもりです。

 ただ、おそらく山梨県のことも念頭においてお話されていると思いますが、本県は山梨県よりもはるかに詳しく調査していると思っていますし、また、山梨県が明らかにしている手順についても、少なくとも(議会の)委員会で明らかにしていると思います。山梨県との唯一の違いは何かと言うと、個別企業の各指標毎の分布図を山梨県は開示していて、我々は開示していません。
 どうしてそういう形にしたかというと、高知県の場合、非常に小さい経済規模ですので、開示をすると、この指標がどこの会社かを類推されてしまう可能性が極めて強く、危険だと判断をし、今のところは開示させていただいてません。ただ、いずれにしても、開示しようがしまいが、最終的に出させていただいたEランク何社、Fランク何社という数字等々については全く変わるものでないのは当然のことであり、判断基準に至るまでの過程など、様々な条件については十分に説明させていただいたと思っています。

 ただ、これで終わってしまってはいけないということも確かだと思っています。今回、指名停止について一定、短縮の措置を行いましたけれども、引き続きコンプライアンスの確保に向けた歩みを協会や業者の皆さん、そして、我々県も引き続き進めていかないといけません。こうした対応がしっかり進んでいるかどうかについては、議会でも申し上げましたが、今後も定期的に報告させていただくことが極めて重要だと考えています。あわせて経済の状況についても、その後どういう状況であったかについて、一定お示しさせていただくことが重要だと考えています。
 その中において、もし、一定の指標について「あくまで本当にどういうことだったのかをできるだけ示してほしい」という話であれば、今後、指名停止措置も一定終了した後、安全度も高まったと判断されていく中でお示ししていくことはあり得ると思っています。

 ただ、風評によって会社を潰すことは避けたいので、例えば、個別の会社名が特定されないように工夫する必要があるのかもしれません。
 いずれにしても、今の段階でやれる限りのことを精一杯やったと私は思っています。ただ、「1回やったからそれで終わり」というものでもないだろうと思っています。コンプライアンス確立に向けた動きをどう進め、今後も継続的に進めていかないといけません。そして、経済状況もあわせて把握していかないといけません。このことについて、引き続き説明責任を果たしていきたいと考えています。

(池:高知新聞記者)
 県発注工事を談合で受注した30者には、計14億381万円の賠償金の請求がされていますが、今日30日が納付の期限と聞いております。明日か明後日にならないとはっきりしたことは分からないのかもしれませんが、その納付状況と、4月19日までに行うとされていた書類審査の結果、何者の分割納付が認められたのか、この辺りの状況を教えていただきたいんですけど。

(知事)
 金額と納付の件数については、今日が納付期限であり、明日か明後日ぐらいにならないと分からない状況です。事前に通告をいただいていたので、ギリギリまで把握に努めましたが、システム上、もう少し時間がかかるのでお許しいただきたいと思います。おそらくですが、概ね全者から納付される見込みです。
 また、いわゆる分割納付を承認した事業者数については、承認した事業者数は4者、工事件数は9件、金額は約1億6000万円です。


夏の電力需給対策

(福井:テレビ高知記者)
 この夏は去年と違いまして、安定供給の可能な電力量を確保できる見通しという発表がありましたけれども、そういった中で、私達県民にとってはエネルギーにどう向き合っていくような夏になるというふうにお考えでしょうか。

(知事)
 昨年と同様、(火力発電所の)定期点検を延期するなどの供給対策を実施することから、厳しい電力事情に変わりはないだろうと思っています。このため、引き続き今年の夏も節電にできるだけ努めていただくことが重要と考えています。
 節電ということを社会全体でできるだけ徹底し、定着していくことが日本全体として非常に重要だと思っています。
 引き続き、節電の徹底について県民の皆さんに訴えさせていただきたいと思っていますし、県自らも節電への取組を今後も進めていくためにも、クールビズという形で明日から取り組ませていただきたいと思っています。


放射性廃棄物最終処分場

(福井:テレビ高知記者)
 四国電力としましては、火力の燃料費の増大とかで、過去最大の赤字に陥ったということがあるから、伊方原発の再稼動について理解を求めたいという姿勢だと思うんですけど、それにつきまして、原発政策の課題となっています最終処分場をめぐっては、東洋町以外にこれまで全国の自治体でも手を挙げたところがないという状況が続いているわけですが、知事としましては、最終処分に関する手法についてどんなお考えをお持ちなのかということと、今後、国はこの課題に向けてどういうふうに取り組んでいくべきだとお考えでしょうか。

(知事)
 最終処分についての科学技術的な研究や、(最終処分場の)適地についての考え方の整理をもっと徹底したほうがいいと思います。
 東洋町の件については、当時、やり方についていかがなものかと思ったりもしました。
 やはり、そう簡単に住民の皆さん全体で納得の得られるような話ではないだろうと思います。しかしながら、原発を続けていく限りにおいて、最終処分の問題については対応せざるを得ません。この問題について、どう向き合っていくのかを考えた時、二つの重要な点があって、一つは技術の問題をどうしていくのかという点と、もう一つは、誰かの犠牲にということではなくて、皆が納得できるような(最終処分場の)立地というものはないだろうかということについて、従前の発想を超えていろいろ検討してみる必要があるのではないかと思います。

 いずれにしても、残念ながら原発については、即時に全面停止とか、先々に向けてずっと止めてしまっていいかというと、現実問題としてなかなかそうはいかないところも出てくるかもしれません。それはなぜかと言うと、現実にコスト面も含めて利用可能な電力というものが不足をしてしまうことも考えられるからです。
 例えば、今、(火力発電所における燃料費の増大により)四国電力が大幅な経常赤字のもと、電力を供給していますが、四国電力の経営が成り立たなくなってしまうことになれば、電力を安定的に供給し続けることができなくなります。将来にわたって持続可能な形で電力を確保していく中で、原発に対する依存度を徐々に引き下げていくべきだという考えは全く変わりませんけれども、そういう中において一時的に原発に依存せざるを得ない時期は、どうしても出てくるのではないかと思います。

 ただ、(やむを得ず稼働せざるを得ない場合でも)原発の再稼動に伴って安全は大丈夫なのかという点については、いかに電力不足の懸念があろうと、徹底して確認すべきという考えは、非常に重要だと思っています。
 新しい規制基準が施行されますが、(原子力規制庁においては)新基準に従って審査を徹底していかなければならないと思っています。それによって、稼動の時期が遅れるかもしれないし、場合によっては許されないということになるかもしれませんが、新しい規制基準をクリアするということが何においても大前提であると思っています。

 ただ、並行して、ご指摘のように最終処分をどうするかという問題は、国家的な問題というか地球規模の問題だと思いますが、この問題について考察を重ねていくことが重要だと思います。


土佐電気鉄道(2)

(遠藤:高知さんさんテレビ記者)
 土電問題について、知事は、予算の凍結を解除されましたが、先ほどのお話で、改めて外部の視点を入れた再調査ということだったんですけども、今回の土電側の対応として、社長と会長の辞任という形でもって、ある意味幕引きを図ったと思うんです。今回、専務が繰り上がるというような形になりましたけども、やはりトップ2の独走を許した組織の現役員に対して、刷新を求めるような意見というのは何かあるんでしょうか。

(知事)
 まずは、外部調査をしっかりしてから、そういう大きな決断をすることが大事だと思います。
 ただ、ご指摘のように、会長と社長が辞任されたこと自体は、大きな責任をお取りになったということを、我々としても大変重く受け止めています。この話について言えば、今の段階では、土電と暴力団との間に不適切な関係があるのかどうか、この点が非常に大きな問題となっていくわけで、この問題を明らかにしていくために必要十分な調査を今後やってもらわなければならないだろうと思います。
 そうなってくれば当然、いろんな視点からの調査が必要になってくるでしょう。だから、先ほど申し上げたような、今の疑問に対して答えられるような調査を十分に行ってもらうことが大事だと思います。その中において、必要となる諸点についてしっかり調査を行っていただくことかと思っています。


四万十市長選挙

(井上:高知新聞記者)
 先日の四万十市長選について、今回、知事本人の口からもあったように、次の新市長となる中平正宏さんの決起集会に出席して、かなり異例な形で踏み込んだ応援をされたと思うんですが、なぜそこまで踏み込んで、ましてその当時の現職との距離感なども明確にしつつ応援したのかというところと、そういった政治的な立ち振る舞いが場合によっては、市町村の連携が重要という中でしこりを残すようなことになるのではないかという懸念があるんですが、それについてどう思われているのでしょうか。

(知事)
 まず最初に、原則として今後、私自身が選挙にあたって、特定の候補を応援することはしないつもりです。基本的には中立という姿勢を、今までもそうでしたけど、今後も貫いていきたいと思います。
 ただ、今までの選挙の中で2回例外がありました。その1回が香南市長選挙の時でしたけど、立候補されたのが、私の後援会の事務局長でしたので、私の同志として応援させていただきました。

 そして、もう1回が今回の四万十市長選挙です。私自身もこの選挙に関与させていただくかどうかについては悩みましたけれども、やはり、この市長選挙については政治家として、一定、私としての主張を述べさせていただきたいと考えたところです。
 これまで4年間、四万十市政との間で、我々県政としていろいろと取組を進めさせていただきましたが、残念ながら、なかなか歩調が合いませんでした。他方で、中平候補は、四万十の副市長の時から私共と色々お付き合いさせていただいていました。やはり、県市連携という関係から言えば、基本的な考え方や政策の方向感など非常にピッタリ合う方だと思っています。

 今後、高知県全体の振興を図っていくためには、幡多地域の振興が必要であり、幡多地域の振興を図っていくためには、四万十市の振興が必要だと私共は思っていますし、多くの関係者の皆さんも同様のご認識の方が多いのではないかと私は思っています。
 ここで、何とか県市の連携体制を築くべく、その他の努力もしてきましたけれども、本当に信頼関係を結べる市長の誕生を望みたいと、一政治家として思わさせていただいたということです。私が選挙に関与することによって、どういう結果が出るのかは分かりませんけれども、今回の四万十市長選挙は中平候補を応援させていただこうと決断しました。

(井上:高知新聞記者)
 今後の選挙じゃなくて、今回の四万十市長選挙によって、地域や地元にしこりが残るようなこともあるかと思うんですが。

(知事)
 できれば、そういう選挙で白黒はっきりさせるみたいなことにならないほうがいいのかもしれませんけれど、やはり政治ですからしこりが残ったとしても、自分自身のスタンスを明らかにせざるを得ないシーンはあるのだろうと思います。今までの5年間の中では、そこまでの事はあまりなかったですけど、今回については、そうせざるを得ないと、私は判断しました。
 新しい市長は、大変立派な方ですので、懸命に市勢の浮揚に向けて取り組まれるという決意も、私は何度も伺いまして信頼申し上げていますし、そういう中で、良い四万十市政が展開されていくのではないかという期待感を持たせていただいています。私も県の立場でありますけれども、四万十市の取組に少しでもお役に立てるよう努力を重ねていくことで四万十市民の皆様方の生活が少しでも良くなり、福祉が少しでも充実していくといったことを通じて、このしこりの解消に努めていきたいと思っています。


土佐電気鉄道(3)

(池:高知新聞記者)
 土電の外部の視点を入れた調査委員会のことで、知事は行政的視点に精通した方というふうなおっしゃり方をしましたが、これは県のOBを念頭にしたお考えということでよろしいんでしょうか。

(知事)
 基本的には県のOBを念頭に置いていますけど、いろいろ考えないといけませんので、まだ結論は出せていません。

(池:高知新聞記者)
 スケジュール感については、6月の定例会に中間報告を出すような形を考えていらっしゃるのでしょうか。

(知事)
 次の議会には必ず、一定お答えできるようにしていないといけないと思いますので、先ほど言った問題について、多くの方がその答えに納得していただけるよう、しっかり調査していただかないといけませんが、かといって、いつまでもダラダラということにはならないと思います。
 ただ、そこが最終報告という形になるのか、中間報告という形になるのかということは、調査していく中で明らかになってくることかと思いますので、少なくとも、6月の議会前に(調査委員会には)一定報告をしていただく、そこが一つの目安になるだろうと思います。要すれば、さらに調査を継続していただくということになるかもしれませんし、それで終わるかもしれません。

(池:高知新聞記者)
 土電の件で、副知事が土電の幹部と、再調査の要請について意見交換されたのはお聞きしましたが、知事から何か直接、土電側にメッセージを伝える場面はなかったんですか。

(知事)
 直接、土電に私から伝えたことはありません。


原発稼働の動向

(浜田:高知新聞記者)
 先ほど、原発依存度を徐々に下げるべきだというスタンスのお話をお伺いしたんですけれども、それに関連するんですが、今、原子力規制委員会が7月に安全基準を施行する中で、(各電力会社が)再稼動の申請をしてきた場合、四国電力の伊方原発と九州電力の川内原発が再稼動の一番手というか最有力じゃないかとも言われているんですけれども、改めて地元の同意というのが要るらしいんです。地元の考え方も含めて、値上げとの関係性もあるんですけど、秋と言うか、もっと早いかもしれませんけど、そういう場面になった時のスタンスをお聞きしたいんですけど。

(知事)
 従前から申し上げてきていますが、伊方原発の再稼動については、高知県として次の3点が絶対的に重要であり、再稼働の条件と言ってきました。
 1点目が、国の説明の妥当性と四国電力の追加安全対策を含め、真摯な取組姿勢を確認できることです。世界最高水準である新規制基準に基づき、安全性が確認できることに加えて、これに対する適合性についてしっかりと説明をしてもらい、誰もが納得できるようにしなければなりません。
 このことは、日本全国同じだろうと思いますが、本県独自のスタンスとして言わせていただくと、2点目に南海トラフ巨大地震に対する安全性の確保をしっかりと確認できなければなりません。
 そして、3点目として、異常発生時等の本県に対する迅速な通報連絡体制の確立がしっかりなされることが大事だと思っています。この3点については強く求めていきます。

(浜田:高知新聞記者)
 基本的には以前と変わってないということでしょうか。

(知事)
 全く変わっていません、


四国電力の電気料金値上げ

(浜田:高知新聞記者)
 先週、消費者庁が高松で開いた意見交換会の中で、かなり四国電力の説明が分かりづらいというか誠実さを欠くという話も出ていたんですが、東京の審査専門委員会でも、東京事務所の方が傍聴しているのか分かりませんが、今まで5回くらいあって、そこでも四電の説明が分かりづらいという話があるんですけども、高知県は四国電力の大株主でもあり、株主総会に向けて意見を言う場面があるのかもしれませんが、今の現状をどう見ているのか。知事のところまで情報が入っていないのかもしれませんけど、その値上げの審査の現状をどう見ているのでしょうか。

(知事)
 四国電力の姿勢が不誠実なのかというと、決してそうとも思っていません。今回、値上げ申請するにあたって、社員の皆さんの給与をカットしたりといった経営合理化も前提に値上げ申請をされていますし、記者会見においても社長自らが説明されるなど、他の電力会社に比べても誠意ある対応をされていると思います。ただ、説明がわかりづらいといったご批判については、説明する側に責任があると思いますので、分かりやすい説明をするよう努めていただきたいと思います。
 私もいろいろ話を聞いていて、かなり専門的で難しい話が多いと前から思っています。我々としても、より分かりやすい説明をしてもらいたいという思いであり、また、(県民の皆様に対して)しっかり説明できるようにするためにも、四国電力との勉強会を開催してきました。この勉強会を通じて四国電力に対し、情報をわかりやすく県民の皆様に説明していただくようお願いしますし、我々としてもしっかり説明できるようにしていきたいと思っています。あわせて、勉強会を通じて引き続き、徹底した安全性の確保を強く要望していきたいと思います。

(浜田:高知新聞記者)
 株主総会での発言はどうされますか。

(知事)
 まだ決めていません。


道州制

(半田:高知新聞記者)
 道州制なんですが、この前の22日の全国知事会で、7月の全国知事会までに意見集約をするということが決まりました。また、政党の動きを見ていますと、基本法案を本国会にも出そうかという話と、参院選の公約に公明党、維新の会、みんなの党辺りが持ち出してきていると。一方、どこまでつながるか分からないですけど、その背景に2009年の地方制度調査委員会の出した9~13ブロックでやるという下地もありまして、参院選ではなかなか切羽詰まった話になっていくんじゃないかと思うんです。
 今の道州制の議論の流れをどういうふうに捉えていらっしゃるのかということと、7月の参院選には高知県としてどういう姿勢で臨んでいくかということをお伺いしたいんですが。

(知事)
 結局、道州制という一つの言葉を使っているからいろいろ混乱していくわけで、「こういう道州制だったらどう」、「ああいう道州制だったらどう」といったようにいろいろ意見は分かれてくると思います。
 今の道州制議論の中で、この間の全国知事会でもかなり意見が出ていますが、懸念している点が二つあります。

 1点目は、地方の話ばかりしていて、中央の話をしていないということが非常に心配です。結局、道州制にするということはどういうことかと言うと、「地方自治の体制を変えるというよりも中央における国の政府の有り様をどうしていくのか」という話の方がむしろ大きいはずです。例えば、様々な意思決定について、国はどこまでの責任を果たし、道州なる新しい大きな地方自治体ができた時に、どこまでをその地方自治体の方に担ってもらうのかという点などの議論をしっかりしないといけないと思います。
 ところが、残念ながら分割して地方の方で何をさせるかという議論はあるけれど、それに伴って中央の方はどういうふうに変わっていくべきなのかという議論が見えないことを非常に心配しています。

 一番いけないのは、中央政府と地方政府との間の大きな権限配分といったものは全く変わらず、単に地方側において数合わせのような形で合併させて、いわゆる行革だけを目的としたような道州制というのは、最悪だと思います。地方行政が住民から遠くなるだけで良いことは何もないという形の道州制になってしまうのではないかと思っていまして、やはり、そもそも道州制問題というのは中央政府の話なんだというところを、しっかり我々からも訴えていかないといけないと思っています。
 出先機関改革の問題で、若干、前政権の時に最終的につまずいたことがあり、中央政府側をどうするかという問題に、今、踏み込みづらい状況になってしまったことが背景にあるのかもしれませんけれども、やはり、道州制を考える時に、出先機関も含めて中央省庁をどうするかという問題を考えないといけないと思います。そこはしっかりと議論をしてもらいたいです。

 2点目は、仮に、県というものがより広域の行政である道州という形になるとした時に、基礎的自治体の有り様はどうあるべきなのかということの考察をもっと深めないといけないだろうと、私は強く思っています。
 高知で懸念されているのは、むしろこの点が非常に大きいだろうと思います。人口減少や高齢化、過疎化が進む状況の中で、地方行政というものがより住民に寄り添っていかないといけない側面がたくさん増えているにも関わらず、むしろ遠くなるかもしれないような選択をどう共有できるのかと。
 道州制になったとしても近くにあるためには、どういう基礎的自治体であるべきなのかといった議論が、やはりもう一段重要だと思います。この点からいくと、県を廃止するという、県レベルでの議論はされているけれど、基礎的自治体をどうするという議論がされていないのではないかと思います。

 まとめますと、県を廃止しようという議論はされているけれど、国はどうなんだ、基礎的自治体はどうなんだといった、一番重要なコアとなるところの議論が十分されているのかと非常に心配しています。
 全国知事会でそういうところについて、声を上げていき、より議論を深めるようにしていかないといけないと思っています。

(半田:高知新聞記者)
 そういう状況でものすごく抽象的ですけど、各政党が公約に掲げ、それから自公に関しても基本法案で5年くらいのスパンはあるんですが、こういうものを掲げてくるということに対して、片や、さっきも申し上げたように都道府県の廃止ということも、地方制度調査委員会をベースに考えるとあります。そういうふうな各政党のスパンをどういうふうに見ていらっしゃるのでしょうか。

(知事)
 私が今、答えたことは、多分、3年前も同じようなことを言ったのではないかと。要するに全く議論が前に進んでいません。やはり、今回の各政党のスタンスなどは、議論を進めていくことが大事だという意思表示なんだろうと思います。最終的な議論を進めていった先に、やるかやらないかは分かりませんけど、議論は進めていくべきだと思います。
 議論を進めていこうとされている、その姿勢自体については、私もそうだと思いますが、ただ、その議論を進めていく過程で「一番本質的なところの議論を是非忘れないようにしてください」ということを訴えていく必要があると思っています。

(半田:高知新聞記者)
 現段階で、賛成、反対はありませんか。

(知事)
 前から申し上げているように、ものによります。


土佐電気鉄道(4)

(芝野:高知新聞記者)
 土電のこの前の内部調査の中でも指摘がありました、社長や会長が面談した相手方について、正規の商取引でないのに「あれをくれ」といった形でいろんな要求を言われていたと。あるいは会話のやりとりの中で、一般人でない方の名前を相手方も口にされていたようなことも確かにあると思います。
 土電の内部調査では、相手方の属性のことも触れていて、要は何と言うんでしょうか、汲むべき事情というんですか、普通の人ではなく、そういう人を追い払いたかったというか、早く帰って欲しかったというようなことが竹本社長の話でもあったかと思います。今回の問題について、改めて基本的な認識として、社長や会長の行動を引き起こした、あるいは彼らがそういう行動をとった相手方の性質について、今後汲むべき事情になり得るんでしょうか。

(知事)
 そういう点も含めてしっかり調査をしていただくということではないでしょうか。
 何故、5月8日に、ああいう会話がなされるようになったのか。さらに、5月8日のみならず、いろんなやりとりがあったとしたら、そのやりとりはどういう背景があってなされたのかということを調べていく。そういうことを通じて、全体として最終的にこれが一番大事な点ですが、補助金の再開においても、土佐電気鉄道株式会社という会社と暴力団との間に不適切な関係があったのかということが明らかになってくるだろうと思います。
 今、言われたような点も含めての調査を行っていただきたいと思います。

(芝野:高知新聞記者)
 相手方の属性如何によっては、社長や会長の行動が免責といったらおかしいですけど、汲むべき事情になるんでしょうか。

(知事)
 「これから調査をしてください」と言う者として、今後の個別の評価は言うべきではないので、発言はお許しいただきたいと思います。

(浜田:高知新聞記者)
 今の発言は、汲むべき事情になり得るというふうにとれるんですけれども。

(知事)
 汲むべき事情になり得るかどうかも含めてノーコメントにさせてもらいたいと思います。ただ、超一般論として言わせてもらったら、毒をもって毒を制したからと言って、毒をもったことが許されることにはならないという議論もよくあったりします。
 ですが、今の段階の話として、どの方がどうだったといったことは本当に分かりませんので、今後の調査を待って判断させていただきたいと思います。


県内雇用情勢

(浜田:高知新聞記者)
 今日、発表になった有効求人倍率のことなんですけれども、0.67という数字が1992年のバブル崩壊直後頃の(県内有効求人倍率の)数字に戻ってきているという労働局の発表だったんですが、その時と全く質が違うのは、当時、知事が就職されたのが1991年ですから、非正規という言葉が無かった時代かと思いますけれども、今は非正規のパートの比率が、当時と比べようが無いとは労働局は言うんですけれども、明らかに増えているんです。
 県庁の産振本部の資料とかも、有効求人倍率のみを資料として出しているような気もするんですけれども、事務職が低いとかは書いているんですが、非正規のパートと正社員の比率についてはあまり言及がないままになっているんですが、庁内では議論があると思いますので、現状どういうふうに捉えているか教えていただきたいんですが。

(知事)
 有効求人倍率が0.67になったことや、有効求人数が統計をとりはじめて以来、過去最高になったこと自体、やはり県経済として一定、力がついてきていると思っていますし、良い傾向です。
 忘れてはならないのは、全国の景気がどんなに良くなって、有効求人倍率が1を越える水準になっても、高知県の有効求人倍率は非正規も含めて0.45ぐらいで低迷していた時期が長くあったということは本当に厳しいことです。どんなに追い風が吹いたとしても、足元がどんどん縮小してくる中で相殺されてしまい、高知県は上に浮かび上がることができなかったと。本当に久方ぶりに全国が上がってくるのに合わせて高知県も一定、上がってこれるようになったこと自体、この良い傾向のベクトルは、客観性を保つためにも率直に受け止めないといけないと思います。

 ただ、ご指摘のように、これにあわせての厳しさがあることも我々は認識しているつもりです。先ほど言われたように正規の雇用者数が少ないという話もあります。ただ、そうは言っても、今、日本全体の構造として、正規と非正規の問題でいくと、非正規労働の比率を高めてくるような誘導政策を国がとられてきたわけで、どちらかと言うと正規の労働を海外にどんどん流出してしまうような経済構造になってしまってきたわけです。これは別に、高知県の雇用の問題というよりも、日本全体の雇用環境や雇用構造自体がそうなったというところに、やはり根本の問題はあると思います。
 私はむしろ、この問題については、0.67で20年8ヶ月ぶりの高水準ということをやはり率直に受け止めないといけないと思います。0.67で随分高くなってきたことは嬉しいことですし、有効求人数が過去最高になったことも非常に嬉しいことですけど、ただ、そんなに良くて0.67ということは、これ自体が何故だろうと、我々は追求し続けていかないといけないと思います。

 新規求人倍率は1.09と、新規については一定増えてきているので、そちらの傾向はいいですが、やはり高知県全体としてまだまだ職が足りません。だから、それを増やしていくために、足元の経済規模が縮んでいく中で、もう一段も二段も地産外商を進めていき、外貨を稼いでこられる経済構造にしていくことが大事なのではないかと思います。
 ですから、私はこの数字を聞いた時は正直嬉しかったですけれど、ただ、手放しで喜べる状態でないのは当然です。むしろ、去年1年が0.62ぐらいでずっと動かなくなっていましたので、経済の限界が来たのかと思って、ちょっと心配もしていました。その後、0.66、0.67と上がってきたので良かったですけど、この数字を見て嬉しくもありますが、0.67で本当に20年8ヶ月ぶりという状況であること自体、本県経済の根本的な脆弱性を物語っています。
 産業振興計画の地産外商の取組をさらに力を入れて取り組まないといけないという決意を新たにするような数字だと思います。

(浜田:高知新聞記者)
 県庁内での議論というのは、例えば、コールセンターをはじめとする企業誘致をする時に、正社員を採用する割合を高めて欲しいという要請はもちろんしているということですか。

(知事)
 正規か非正規かということについても、それは当然、議論の対象となるでしょうけど、ただ、先ほど申し上げましたように、国全体としての雇用構造がそういう形になってきている中においての本県もそうだということですから、やはり、国全体として雇用構造をどう考えるかという議論を是非してもらいたいと思います。
 私達は、むしろどちらかと言うと、今一番注目しているのは、もっと極端に厳しい部分である事務系職場が非常に極端に少ないという話です。どちらかというとそこのところに我々は議論を集中してきました。だから、コールセンターにももう一段注力しようという話になったということです。

(司会)
 それでは記者会見を終わらせていただきます。

 

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