知事の記者発表(平成25年9月19日)

公開日 2013年09月27日

更新日 2014年03月19日

知事の記者発表

平成25年9月19日(木曜日) 9時00分から10時04分  第一応接室

9月補正予算の概要
「まるごと高知」の状況
南海トラフ地震対策
高知おおとよ製材
消費税の引き上げと経済対策
有効求人倍率と産業振興計画
日米合同防災訓練(1)
2020年東京オリンピック
日米合同防災訓練(2)
移住ホームページ
日米合同防災訓練(3)

 

配布資料
1 平成25年9月補正予算(案)の概要 [PDFファイル/18.15MB]
2 まるごと高知REPORT VOL.12 [PDFファイル/2.79MB]

 

 

9月補正予算の概要

 

(知事)
 県議会9月定例会を今月25日に招集します。今回の提出議案は、予算議案が平成25年度一般会計補正予算など3件、条例その他議案が16件、報告議案が21件、合計40件です。以上について、まずご説明します。

(資料1 平成25年9月補正予算(案)の概要により説明)

会見する尾?知事(資料の2ページを示しながら) 今回の25年9月補正予算ですが、総額は42億6,400万円、債務負担行為が9億9,600万円となっており、柱としては大きく言いますと4つです。一つは南海トラフ地震対策のさらなる充実強化・加速化。それから産業振興計画関係、そして日本一の健康長寿県構想関係、最後に教育関係という4つの柱となっています。

 第1の柱である「南海トラフ地震対策関係」では、今年6月に作りました第2期の(南海トラフ地震対策)行動計画に基づいた補正予算という形になっています。特に、今回の特徴は、この新行動計画に基づき発災直後の対策について、津波以外の揺れと火災についても、より対策を強化していくということが一つです。そして、もう一つは、応急期の対策についても事実上スタートするということです。

 こちらにあるように、「発災直後から応急期にかけての命を守る対策は3年間で概ね完了する」というのが新行動計画の目標となっていますが、それを目指してまさにスタートしていく補正予算になります。

 この被害を軽減するために、まず、「揺れに備える」という側面ですが、もう既に当初予算にあるような各住宅の耐震化の取り組みを進めていくとともに、耐震改修促進法の改正に基づいて耐震診断が義務付けられた、大規模の建物の耐震化対策の抜本的な強化を図るための補助制度を全国に先駆けて設けることとします。また、国費で設けられている商店街施設の耐震改修等にも支援を行います。

 さらに、「津波に備える」取り組みとしては、社会福祉施設の高台移転について、当初予算で計上されている施設から1施設追加します。さらに、公共事業関係費の内示増にあわせて、公共土木施設の防災・減災対策の加速化を図るため、特に高知市周辺の堤防、液状化対策などについて、取り組みを加速していきます。

 新しい取り組みとしては、この大規模な建築物の耐震化対策の抜本強化の取り組みに加えて、「火災に備える」と書いていますが、タナスカ等の石油基地等の地震・津波対策の検討を加速化していくことが非常に大きな特徴となっています。

 さらに、応急対策の速やかな実行のためにという観点から、まず、避難所や防災拠点などに再生可能エネルギーを導入する取り組みを加速します。あわせて、福祉避難所に必要な物資・器材等の整備を支援する取り組みを行っていきます。

(資料の3ページを示しながら) 「産業振興計画関係」ですが、こちらについては二つあります。一つは移住促進策について、「高知家」のプロモーションを始めて大体3ヶ月経ちました。(移住の)ホームページにも色々データが蓄積されてきたところですので、この蓄積されたデータを活かして、ホームページを速やかにバージョンアップしていきたいと考えています。(年間移住者)500組という目標は非常に高いものですから、速やかに対応を開始していきます。

 そして、6次産業化支援体制の充実については、「(現在、国が運営している)6次産業化サポートセンターを県の方で」というお話がありました。これは、我々の方向観と一緒ですので、今までの国の取り組みを県の産業振興計画でしっかりと引き受けていきたいと考えており、その関係経費を計上しています。

 「日本一の健康長寿県構想関係」では、地域医療再生計画に基づく財源を基金に積み増しするための補正予算です。さらにもう一つは、医師確保に向けた取り組みの強化です。精神科の医師確保のための中長期的な取り組みとして、高知大学に寄附講座を設けるための関係経費を計上しています。

 4番目は、「教育の充実と子育て支援」についてですが、一つは学力向上対策です。この4月に行われた全国学力・学習状況調査の結果で、小学校は大きく躍進しました。ただ、中学校は全国平均と比べて、全体としての改善傾向は続いていると思いますが、思考力・判断力・表現力を試される応用問題について、やはりまだまだ課題があることが明確になってきたと思っています。子ども達の思考力・判断力・表現力を育てるための対策を強化したいということで、(全国学力・学習状況調査)結果の分析を踏まえ、9月議会に補正予算を提出させていただきたいと思っています。

 あわせて、待機児童解消についての国のプランを加速しています。本県としても(国に)呼応し、潜在保育士の掘り起こしを行うための事業について取り組みを進めます。

 その他として、高知県立美術館の改修を行い、本県ゆかりの世界的な写真家であられる石元先生の作品展示、そして研究を深めていこうとするための施設改修を行います。

(資料の4ページを示しながら) 全体像として歳入歳出の規模はこちらのとおりですが、補正予算額のトータルが大体43億円程度ということで、規模としては大体、中規模ぐらいの予算ではないかと思っています。補正をしても、県債残高が逓減傾向を維持していることに変わりはありません。

(資料の5ページを示しながら) 今回、9月補正予算にあわせて、毎年度のことですが、中長期的な財政収支の見通しについても発表させていただきました。

 今回の中長期推計をするにあたり、一番意を用いたことは何かというと、南海トラフ地震対策にどれだけの経費がかかるかということについて、財政課で各部局から詳細にヒアリングを行い、経費の把握に努めました。

 全体としては、従前考えていたよりも、南海トラフ地震対策にかなりお金がかかるんじゃないかと予想されており、特に平成25年度から27年度にかけてかかるであろうと。ほぼ確実に見込まれる分だけでも、前回推計よりも大体193億円ぐらいお金がかかるだろうと予測されています。

 そういう形で、南海トラフ地震対策についての経費の増加も見込んだ上で、他方、地域の元気臨時交付金などという形で歳入面におけるプラス要因も見込み、さらにトータルとして歳入面と歳出面のマイナス要素もしっかり見込み、一定、今回の推計結果という形になっています。

 こちらにあるように基金残高についても、一定程度、100億円超ぐらいで確保していくことができるんじゃないかと考えています。

 さらには、単年度の収支ですが、やはり南海トラフ地震対策について経費の増加分があり、先々にわたって少し収支が悪化をしている点はあるものの、全体としてみれば、収支がずっと改善方向にたどっていくという、この傾向自体は維持されています。南海トラフ地震対策に大いに力を入れて取り組みを進めても、なお、安定的な財政運営には一定の見通しが立っているということではないかと考えています。

 あわせて、県の借金である県債残高です。臨財債を除くものですが、この見通しについても、一定、抑制傾向を維持することができるという試算結果となっています。

 ポイントとして改めて申し上げると、新行動計画を踏まえた南海トラフ地震対策に必要な経費についての増加を見込んで、なお安定的な財政運営の見通しを立てることができていると考えています。

 しかしながら、いくつか留意点があります。一つは、やはり今回の試算では、「社会保障と税の一体改革」によって、一連の増加分もありますけれども、他方、消費税の増加を見込んで試算をさせていただいています。消費税の動向がどうなるかによって試算の結果はやはり変わってくると考えていますので、そこのところは注意していく必要があるのかと考えています。

 そして、もう一つは南海トラフ地震対策です。やはり研究すればするほど、必要な対策が増えてくる可能性があります。さらにこの対策の強化を生ずる可能性があることも気を付けておかなければならないと考えています。

 他方、行政改革に伴って、例えば人件費の削減や行政のスリム化を進めてきた効果は、今後もいわば、良い意味での根雪として持続していくであろうと予想されています。

 いずれにしても、地方交付税制度への依存度が非常に大きい本県の財政であり、この動向如何によって大きな影響を受けることは間違いがありません。ですので、安定的な財政運営に一定の見通しと書いていますが、決して油断できる状況ではないと考えています。

 今後とも、こういう中長期の見通しを立てつつ、後になって取り返しのつかないことにならないよう、アクセルとブレーキを的確に踏み分けていくような財政運営に心掛けていきたいと考えています。

(資料の6ページを示しながら) こちら以降は個別事項の説明ですが、南海トラフ地震対策では、一連の取り組みを進めてきましたけれども、もう1回繰り返しになりますが、補正予算のポイントは、新行動計画に基づいて対策のウイングを広げ、さらに時間軸を長くとったということです。

 「揺れに備える」取り組みと「火災に備える」取り組みを大幅に強化しています。特に火災については、石油基地の対策が非常に大きなポイントですので、本格的に着手します。

あわせて、応急期の対策の取り組みとして、福祉避難所の対策です。今、新たな(福祉避難所の)指定を促進していますが、総合防災拠点の整備等とあわせて実施します。

(資料の7ページを示しながら) 大規模建築物等の耐震化補助制度の創設ですが、全国に先駆けて本県が実施するものです。非常に強震域が多いことが予想されている本県では、とにかく急いで対策を行っていくことが必要であろうということで、大規模な建物であるが故に多くの人が居るため(地震の被害に遭う可能性があり)、特に耐震化を加速すべしということで、国で法改正をされたものですが、国の補助金だけではなかなか事業者さんで対応しきれないこともあろうかと思います。ただ、本当に対策を急ぐこともあって、平成27年末に耐震診断の結果を公表するなどという、かなりきつい措置をこの法律では定められています。やはり、こうしたきつい措置であることも踏まえながら、急いで耐震診断、耐震設計、耐震改修と進めていかなければならないと考えています。

 国によって義務化された部分については、手厚い公的補助を行っていきながら、最終的に改修ということについては、事業者さんの便益、また義務もあろうかということであり、事業者さんの負担も求めるというスキームにしています。

 ただ、市町村と県の両方で負担するのが本来の制度でありますけれども、市町村が制度化するのに12月補正や2月補正といったように一定時間がかかってしまう可能性があります。時間がかかってしまい、26年度中に一斉に各事業者から(耐震診断の申し込みが)集中してきて、実際に耐震診断が物理的に無理ということになりかねないことも考えられます。

 25年度中にとにかく早く(事業者の)皆さんに着手してもらいたいということで、25年度中の特例として、この耐震診断の補助について、県が全額負担を行い、加速度的に耐震診断が行えるような措置をとりたいと考えています。

(資料の8ページを示しながら) こちらは、防災・減災対策の加速化です。こちらにあるような、特に長期浸水も含めてポイントとなる河川・海岸堤防の耐震化について加速を図ることとしています。

(資料の9ページを示しながら) こちらは、(移住の)ホームページのバージョンアップです。こちらにあるように、「高知家」のホームページに対するアクセス数は69万件です。そして、「高知で暮らす」のホームページアクセス数は18万件です。(前回の記者会見の説明で)ちょっとカウントの仕方を間違っており、アクセス数が間違っていたことをお詫び申し上げます。

 こういう形で推移をしてきています。(「高知家」と「高知で暮らす」)いずれも数字的には、かなりアクセスしていただいていると思っていますが、やはり大事なのは、具体的な行動に移っていただけるか、コンシェルジュに相談に来ていただけるか、そしてまた何と言っても最終的に移住者数が増えるかどうかが非常に大きいわけです。

 移住者数や相談者数は、去年に比べてかなり増えているのは間違いありません。それともう一つは(ホームページのアクセス数が)増えたことで、(移住者数や相談者数が)増えてくるのに、かなりタイムラグがあるだろうというのも確かです。ホームページを見て、しばらくじっくり色々考えて初めて相談してみようと。そして、相談した結果、しばらくじっくり色々考えてみて、本当に移住に繋がる具体的な行動をとろうかということになると思いますので、やはりタイムラグがあるのは間違いないことではないかと思っています。

 今の結果を見て、去年より、ものすごく相談が増えてはいますが、ただ、最終的な(年間移住者数)500組という目標を考えた時に、やはりもっと相談者数は増えてほしいと思いますし、(ホームページのアクセス数を)増やすことで(移住者数や相談者数を)もっと増やすことに繋げていきたいと考えています。

 ちょうど3ヶ月間、ホームページを運用してきて、色々データも集まってきましたし、ここにアクセスされた方の行動も色んな形で分かるようになってきました。その結果を踏まえて、今回、補正予算を使わせていただき、ホームページのバージョンアップを図っていきたいと考えています。

 サイトの動線を再整理する。端的に言うと、例えば、先にどんどんクリックして進んでいった方が、また元のページに戻れるようにするとか、入会フォームの書き方などについて、もっと簡便なやり方のほうが人が集まるんじゃないかとか、色んな改善点が考えられると思います。こちらにあるように、PDCAサイクルによる改善・検証を継続して行うということですが、民間でよくやられているマーケティング手法を活用したホームページのバージョンアップにより、一定の仮説を立てて、それを実施し、改善を施して、その結果を見て、またさらに仮説を立てて改善してということを繰り返していくプロセスになります。早い段階で手を打っておいたほうが高い目標に達するという可能性は高くなるんじゃないかと判断をしました。

 そして、もう一つが、秋に「高知家」のプロモーション第二弾を実施しますので、できればその第二弾の時にこのバージョンアップが済んでいれば、より効果的に施策が展開できるんじゃないかと考えています。

(資料の10ページを示しながら) 中学校数学における思考力の育成のための取り組みを進めていきたいと考えています。先ほど申し上げたように、数学Bの伸び率が平成19年当時に比べれば伸びてはいますが、残念ながら近年伸び悩んでいるといいますか、むしろ去年に比べれば落ちたという状況になっています。

 基礎力の積み上げをしっかり図っていくことが非常に大事だと思いますが、その基礎を応用的にうまく使えてこそ基礎の定着があって、その基礎の定着があるからこそ、さらに深く考えられるというプラスの循環を作っていくことが必要だと思います。

 そういう意味においても、基礎的な知識をもう一段使い、そして、その知識に基づいて考えるというトレーニングをもっとできるように、教材や授業の進め方の工夫改善を進めていったほうがいいんじゃないかということで、今回、補正予算を計上させていただきました。

 (対応としては)2段階になっています。一つは、既存の予算ですぐに対応するものとして、今月から実施しているものですけれども、全国学力・学習状況調査のB問題についての過去問題集などを作成し、これを教材にするとともに、先生方にも授業改善プランを作って研修を実施したり、新しい教材を作って授業で使ったりということで、応用問題にも対応できる授業づくりを既に始めています。

 さらに、今回の補正予算を使わせていただくことにより、現在実施している算数・数学シート、そして単元テストにいたるこの一連の流れの中で、新たに思考力問題を作成し、来年度から実施できるようにしていきたいと考えています。補正予算により今年度中に準備することで来年4月からすぐに思考力問題に取り組むことができるようになります。

 ステップ1、ステップ2として、考える力や表現力を身につけるような取り組みを強化したいと思っています。

(資料の11ページを示しながら) 石元泰博先生の常設展示コーナーを整備するため、県立美術館の改修を行わせていただきます。シャガールと石元コレクションが、県立美術館の誇るべき二大常設展示になるんじゃないかと、本当に大変期待しているところであり、補正予算によって対応させていただきたいと考えています。

(資料の12ページを示しながら) こちらに、主要な事業の概要を書かせていただいていますので、後でご覧いただきたいと思います。

 

「まるごと高知」の状況

 

(知事)
 あわせて、お手元に「まるごと高知レポート」をお配りさせていただいています。今年6月、7月、8月の取り組みなどを掲載していますので、ご参照いただきたいと思います。

(資料2 まるごと高知REPORT VOL.12により説明)

(資料の2ページを示しながら) こちらにあるように、今年度は外商活動の体制を強化して非常に力を入れて取り組みを進めています。

 今年4月からの累計の成約件数が867件と、昨年同時期が416件でしたから、随分いいペースで外商の成約につながっていると思っています。定番が30件くらいと少なくなっていますが、去年は(県産品を取り扱う)新しいお店がオープンしたということがあり、定番が急激に増えたという特殊要因などを加味して考えると、今のところはいいペースできていると思っています。

 地産外商戦略の要であり、今後も、精力的に高知フェアや商談会を実施していき、地産外商に繋げていきたいと考えています。

(資料の3ページを示しながら) あわせて高知事務所のほうにおいても、意欲的に取り組んでおられる(県内事業者の)皆様方との新しい取り引きをさせていただくとか、さらには、今後予定されている大規模な商談会の準備を着々と進めていくなどの取り組みを行っているところです。

(資料の7ページを示しながら) 月別売上の前年度比較を右上にグラフで書かせていただいており、今年4月から8月までですが、お陰様で前年度と比べて、14.5パーセント増と売り上げが伸びてきています。これは、本当にいつも応援してくださっているお客様のお陰ですし、店舗スタッフの皆さんが本当に頑張っていただいている成果だと思っています。

 プロモーション、外商、そして店舗での物販・飲食、この三者がうまく連動してかみ合うようになってきました。この連係プレーがとれるようになってきていることが、大きな要因じゃないのかと考えています。

 このまるごと高知の取り組み、そして地産外商公社の取り組みは、地産外商戦略の要ですので、今後とも気を抜かずに大いに取り組みを進めていきたいと考えています。

 

南海トラフ地震対策

 

(西森:高知さんさんテレビ記者)
 補正予算について、先ほど津波だけじゃなくて、揺れや火災というお話もありましたけれども、もう一度改めてポイントについてお話しいただけますか。

(知事)
 今回の9月補正予算は、6月にできました南海トラフ地震対策の新行動計画に基づいた取り組みを新たな第一歩として盛り込んでいます。

 今までの2年間は、やはり津波対策が非常に大きなポイントでしたが、今後、揺れの対策をさらに強化する必要があり、特に大規模な建物についての揺れ対策を進めていかなければなりません。さらには、石油基地から生じ得る火災対策も進めていかなければなりません。従前からやっている住宅の耐震改修などの取り組みに加えて、こういう新しい取り組みを追加していくことが第一です。

 それとあわせて、発災直後のみならず、応急期の対策にもより本格的に着手していきたいと考えており、非常に大事なポイントとして総合防災拠点の整備や各避難所における自活的な体制の整備を行っていくことですとか、そういう対策を今も進めていますが、さらにこれを加速していくという観点から、避難所における再生可能エネルギーの導入や、福祉避難所の資器材の整備を行っていきたいと考えています。

 一言で言いましたら、起こり得る発災直後の被害について、考え方の幅をより広げて、津波のみならず揺れや火災対策について、より強化していくことと、もう一つは、発災直後のみならずこの応急期の対策について、より踏みこんで取り組みを進めていくということです。

 

高知おおとよ製材

 

(古宇田:日本経済新聞記者)
 明日、高知おおとよ製材の落成式を迎えますが、色々紆余曲折はあったと思いますけど、落成式を迎えることについての所感と、高知おおとよ製材が稼働することによって高知県の林業がどういうふうになるかをお伺いしたいと思います。

会見する尾?知事(知事)
 本当に、私も就任直後から、高知おおとよ製材の稼働には大変力を入れて取り組んできました。岡山にもお伺いさせていただきましたし、関係者の皆さんとも何度も色々お話させていただきました。いよいよ明日、落成式を迎えるのかと思うと、ある意味感無量です。本当にうれしく思っています。

 高知おおとよ製材の稼働は、単に一つの大型製材工場が稼働したということにとどまるものではなく、高知県が多く持っている森林資源を余すことなく活かすこともできる流れが、高知おおとよ製材の稼働によって動き出すことになると思います。

 高知おおとよ製材と県内の製材事業者さんとの取り組みを合わせていきながら、本県の中では課題の一つとなっていました加工部門の強化が進むことになります。これにより川上から川下に向けて、木材資源の流れが大幅に強化されるとともに、新しい流れができるようになってきます。そういう意味において、一つの事業だけということではなく、林業全体を動かす流れができることは非常に意義深いと思っています。

 この川上から川下に向けての流れをもっと大きくしていきたいと思っていて、そのためにも、本県の木材資源を余すことなく活かすための取り組みをさらに追加的に行っていきたいと考えています。

 一つは、この加工体制が整備されていくことによって、良質材の利用も大幅に増えていくでしょう。それに伴って生産される低質材を活かしていくため、木質バイオマス発電事業を今、進展しているところです。平成27年度から稼働する計画で、低質材もしっかり活かすという意味において、この木質バイオマス発電の取り組みを大いに急いで進めていきたいと思います。

 あわせて、中質材ももっと有効に活かせるようになると、なお良いわけで、そういう点において非常に期待しているのが、CLT関係のプロジェクトです。このCLTプロジェクトについては、建築基準法令などの改正を伴うことであったり、まだまだ取り組むべきことが非常に多いわけです。しかしながら、このプロジェクトを完成させることができれば、日本全体としての木材需要が劇的に向上していく可能性もあります。

 非常に期待感が持てる事業だと思っており、本県ではCLT建築推進協議会を立ち上げて取り組みを行っていくとともに、本県だけの取り組みだと決して思っていないので、国や全国の皆さんを巻き込んで取り組みを進めようとしているところです。その取り組みをさらに強化したいということで、先日も国に対して特区申請をさせていただきました。

 良質材、中質材、低質材と余すことなく森林資源を活かしていく体制を確立することができれば、高知県は資源大国になることができます。多く持っている資源を活かすことと強みを活かすことが、経済振興や産業振興にとって非常に重要だと思います。

 高知おおとよ製材の稼働は、まさに森林資源を余すことなく活かしていく体制を成し遂げていこうとする大きな飛躍のポイントであると思います。

 

消費税の引き上げと経済対策

 

(池:高知新聞記者)
 補正予算の中に、来年度の消費税の増税を前提にした県関係施設の整備事業費の見直しということで4億3,600万円の債務負担行為が出ていますが、これに関連してお聞きしたいんですが、安倍首相は10月1日にも消費税の増税について判断されると言われています。

 元をたどれば、三党合意をもとに、今年4月から6月までのGDPとか景気状況を見て増税するかどうか判断するということでしたが、県内では県議会が、6月定例会で慎重な対応を求める意見書を可決したり、言ってみれば、全国的にはアベノミクスの効果とかもあって経済指標が色々上がっているかもしれないし、県内でも有効求人倍率なんかは上がっていますけれども、県議会の中では、「非正規雇用が増えているだけで、正規雇用はなかなか数字としては上がっていないんじゃないか」と言われています。また、身近なところで給料が増えたという話がなくて、デフレ脱却というところまでいけているのかどうかというところが、慎重な判断を求める根拠にもなっているようですが、知事ご自身は、来年4月から(消費税を)5パーセントから8パーセントに上げるという判断について、どのように思っていらっしゃいますか。

(知事)
 非正規雇用が増えたと言いますけど、高知県の正規の従業員比率は59.9パーセントと全国16位です。だから、本県だけ非正規雇用がすごく多いということでは決してなくて、むしろ、本県の場合、正規雇用は全国16位ということから分かるように、構造的には比較的多い県となっています。

 ただ、最近、新規の求人数が増えてきている中で、新規求人に占める(パート求人など)非正規雇用の割合が全国平均より3ポイントぐらいやや増えている状況にあるという話だと思っていますので、そこのところについて、本県のみ非正規雇用が極端に多いかのような議論は、数値をしっかり押さえていないのではないかということをお話させていただきたいと思います。

 そのうえで、消費税についてどういう判断かということですが、私としては従前より申し上げてきているように、消費税の増税は厳しい道でありますが、将来の若い人達の暮らしを考えていった時には、「飲まなければならない苦い薬」じゃないかと思っています。

 実際に、今後の少子高齢化の進展を考えていった時に、若い人達が、今2.77人で1人の高齢者を支えているわけですけれども、これがそのうち2人で1人になり、さらに1.5人で1人ぐらいを支えないといけない世の中がやって来るわけで、そういう中において、いかに負担をあまねく広く分かち合うかということが一つのポイントになってくると思います。

 広くあまねく負担を分かち合っていく点においては、やはりこの消費税が優れた手段になるんじゃないのかと思っており、私はこの消費税の増税については、厳しい道ではありますが、止むを得ない道であり、消費税は増税すべきだと思います。

 ただ、実施の時期をどうしていくかという問題は確かにあるだろうと思います。特に、経済がすごく冷え込んでいる時に、一気に3パーセントも上げるのは、確かに他にも例がないくらい大規模な形での増税になるでしょうから、やはり慎重になるのは当然のことだと思いますし、県議会でのご指摘もそのとおりだと思います。

 そういう点において、直近の経済動向がどうなのかというと、少なくとも過去の動向から比べれば、随分上昇傾向にあること自体は間違いのないところではないかと思います。

 しかし、3パーセントを全部許容できるほど力強いのかというと、今、申し上げたように、全国的な波及の問題ですとか、色々まだまだ課題があるのは確かだと考えています。

そういう中で、消費税の増税に合わせて、かなり大規模な形での経済対策を実施するという手段は、税率を一挙に上げるんじゃなくて、じわじわと上げていく手法と事実上等しいやり方になっていくと思います。これは、一つの知恵ではないかと考えています。

 ある意味今回、そういう観点からいっても、次回打つ経済対策は、非常に短期的な財政収支の均衡に重きをおいて小規模なものにするのではなくて、やはり消費税の増税による負のインパクトを相当程度緩和できるだけの、かなり大規模な経済対策を実施していくことがいいのではないかと思っています。

 消費税の増税自体は、止むを得ないことではないかと思いますが、その痛みを緩和するための経済対策を合わせて実施する手法については、一つの知恵だと思っています。

 ただ、これから多分、色々せめぎ合いがあると思いますが、ここはけちってはいけません。しっかりと負のインパクトを相当程度緩和できるだけの大規模な経済対策であるべきじゃないかと思っています。

 ちなみに、今回、首相が決断する前に私達(県)として消費税の増税を織り込んで議案を提出させていただいているわけですけれども、仮に提出していない場合、議会中に実際に増税することが決まったとします。そうすると、次に対応できるのが12月議会になってしまうので、大幅に工期が遅れてしまうことになります。

 やはり、それぞれの施設について、一定の展望を持って準備を進めてきているところですので、工期の遅れは避けたいということから、今回、提案させていただきました。

 仮に、(消費税の)増税の見送りや増税率の変更等がなされた場合は、恐縮ですが我々として提出議案の修正という形で、対応させていただきたいと考えています。

(池:高知新聞記者)
 経済対策について、報道では5兆円規模、つまり消費税の3パーセント分を上げるうち2パーセントぐらい緩和させる効果を狙っているようですが、そこについては知事も評価されるのでしょうか。

(知事)
 今後、そういう報道が出たこともあって、色んな攻防が出てくるんだろうと思いますけど、やはり3パーセントのうち2パーセント相当の経済対策が、一つの規模観じゃないかと思います。

(池:高知新聞記者)
 それを前提とすれば、来年4月から(消費税を)8パーセントにする増税は止むを得ないというお考えで構わないですか。

(知事)
 私は、ある程度止むを得ないんじゃないかと思いますし、逆に言うと今回、完全に消費税の増税を頓挫させる(場合の)リスクをものすごく考えないといけないと思います。

 日本国債の外国人の保有比率がものすごく増えてきているのは、ご存知のとおりでして、昔のように国債を発行して日本国民が持っているという、日本政府は借金しているけど債権者は日本国民だという状況なら、まだ安定感があったと思います。段々外国人の持っている比率が増えてきている中において、極度の金融リスクという脆弱な構造に段々なってきていることを絶対に忘れてはいけないと思います。

 もし、ここで財政再建に向けての痛みを甘受できる勇気がないということになったら、大きなリスクを市場全体として博されて色んな不測の事態を招きかねないんじゃないかという心配もあるんじゃないかと思っています。

 若い人の生活がもたないということと、日本国債も今、世界のマーケットの中にあるということを鑑みて、やはりここは「苦い薬は飲まざるを得ないのか」と思っていますが、繰り返しになりますけど、確かに3パーセントはかなり厳しいものがあります。

 他方で、今から(消費税を)1パーセントずつ変えることをやった時に、法改正をしなければならないこともありますし、何といっても納税義務者の方が大変だと思います。1パーセントずつ毎年改定し、それに合わせてシステムを改修していくのか。あるいは3パーセントにするんですけど、そのうちの2パーセント分を事実上経済対策という形で相殺するやり方というのは、一つの知恵じゃないかと私は思っています。

 ただ、多分、財政再建目標との関係で、規模をもっと小さくしようとか色んな攻防が出てくると思いますが、私は大規模な経済対策をやるべきだと思っています。

(福井:テレビ高知記者)
 関連ですけど、県内に対して、例えばアベノミクスにしても、波及してないですとか、あるいはその速度が遅いという意見もあるかと思うんですけれども、そういった中で、知事もおっしゃった経済対策で地方に配慮したような対策というものを何か求められるというか、こういった対策をしてもらえればいいなとお考えになっていることはないですか。

(知事)
 やはり、若い人に向けての対策を打ってもらいたいという思いはすごくあります。子育て家庭への応援をしていただくような対策を、全国知事会としても今、すごく訴えているところなんですけれども、少子化対策をはじめ、やはり若い世代の皆さん達の暮らしは大変だということを非常に実感として感じるところがあります。こういう問題にしっかり切り込んだ形で経済対策を打ってもらいたいというのが一つあります。

 あともう一つは、当たり前のことですけれども、社会保障制度の充実がなされるという形で対応していく必要があると思います。やはり、こういう問題は痛みとともに温かみを合わせてしっかり考えてもらいたいというのが二点目です。

 三点目ですが、特に本県にしてみれば是非お願いしたいと思うのが、南海トラフ地震対策です。本県では今、全力で進めていますから、こういうものを後押ししてくださるような対策を講じてもらいたいと思います。

(浜田:高知新聞記者)
 高知に波及効果のある経済対策があればということなんですが、元財務省に居た立場として、(消費税の)3パーセントのうち2パーセントを経済対策に充てるやり方が一つの知恵だとおっしゃったんですが、「税と社会保障の一体改革」ということで、(増税分を)社会保障に充てるということでやっているのが、いつの間にか経済対策というふうなことにすり替わっているというか、3パーセントを上げるありきの辻褄合わせにも見えるんです。社会保障と経済対策が途中でごっちゃになっているような気もするんですが、県民というか国民に対して説明がつくとお考えでしょうか。

(知事)
 それは違うのではないでしょうか。3パーセントの増税は恒久的に行われていくものであり、先々にわたって社会保障に使われていくということですから、しっかり守られていればいいと思います。ただ、一時的に経済対策としてそれに伴う痛みを緩和するのは、相満たすものじゃないかと思います。

 永遠に2パーセント相当を経済対策に充て続けるというのなら、「3パーセントの財源を別のことに使っているじゃないか」という話になるかもしれませんが、一時的なことであれば許容されると思います。

(浜田:高知新聞記者)
 政府与党内で、「3パーセント引く2パーセント」とか「8兆円引く5兆円」といったような議論になっているのが、違うんじゃないかという気もするんですが、その辺りの危惧はないですか。説明不足というか、1パーセントずつ段階的に上げるような方向をとりたいので、2パーセント相当分を経済対策に充てるというふうに聞こえてくると思うんです。

 3パーセントのうち2パーセント相当分を経済対策として還元するから1パーセント分じゃないかみたいなアナウンスもされているんですけれども、そこは何か「税と社会保障の一体改革」ということでいえば、ちょっと違和感を感じるんですが、知事としては未来永劫やるわけではないから違和感はないということですか。

(知事)
 そうです。経済対策の効果は多分、1年ぐらいでしょう。だから、一挙に来年4月1日から3パーセントになるのは大変でしょうが、来年1年間ぐらいは事実上1パーセントぐらいのマイナス効果にしかなくて、その翌年ぐらいから3パーセントになっていくという形で、段階的にマイナスの効果が及ぶようになるやり方をとったということじゃないでしょうか。

 だから、段階的引上論を税率変更することなく経済対策によって成し遂げようとすることじゃないかと思います。

 やはり政府内においても、3パーセントを一気に上げることのインパクトを懸念する声があって、段階的にという方がいいんじゃないかという議論はあったと思います。ただ、それを法改正のうえ、税率改定をやることになると、それに伴うコストが膨大なものとなり、特に納税義務者の人は毎年変えられると、ものすごく大変だと思います。そういうことを考えてもこういう形で、事実上段階的に実施する策をとったことは、一つの知恵だと思っています。

 

有効求人倍率と産業振興計画

 

(浜田:高知新聞記者)
 関連しますけども、有効求人倍率の話なんですが、7月に過去最高タイの0.76倍になったということなんですけれども、先週金曜日の産業振興計画フォローアップ委員会の知事からの挨拶の中で、「アベノミクスで上がったという単純なものではない」という発言もあったと思うんですが、その発言の趣旨と、有効求人倍率に対する産業振興計画の押し上げ効果を何か定量的に把握されているのでしょうか。そういう定量的なデータがなければ、どう見られているのかを教えていただきたいんですが。

(知事)
 定量的な分析は、もう少し時期をおいてやらないといけないと思いますが、今の段階でできることをお話ししたいと思います。

 私が産業振興計画フォローアップ委員会の冒頭で申し上げた趣旨は、全国的に景気が浮揚するから、高知県も浮揚するという単純なものでは決してないということです。これまで全国の景気が浮揚したとしても、本県の景気が全く浮揚しなかった時代が長いことありました。

 全国が浮揚したことにあわせて、私達自身も努力しなければ、全国の浮揚についていくことはできない。だから、気を抜かず産業振興計画をしっかり進めていこうということを言いたかったんです。

 逆に言えば、地方に波及させるためにも、我々自身が努力をしなければならないだろうと。故に「産業振興計画を頑張りましょう」と、産業振興計画の関係者に申し上げたというのが、あの時の私の発言の趣旨です。

 実際のところ、全国的に景気が非常に上向いた時期があります。いつも申し上げていますが、平成12年から20年ぐらいにかけては、むしろ今よりも全国的な有効求人倍率は非常に高めに推移した時期があります。

 例えば、平成18年、19年は全国の有効求人倍率が1倍を超えて推移しています。全国の平均が平成18年1.06倍で、19年1.02倍の時、高知県がどうだったかと言うと、平成17年0.49倍、平成18年0.48倍、平成19年0.5倍という状況で全くついていけなかったわけです。

 今回は、全国の有効求人倍率が1倍に向かって段々上昇していく中で、久方ぶりに高知県の有効求人倍率もずっと上昇傾向をたどっていき、今、0.76倍まで達しているという意味において、前回は全国が上がっても全然ついて行けなかったのが、今回は全国が上がるにつれて、差はついているものの一定、有効求人倍率自体が上昇パスをたどっているということです。

 前回と今回の違いは何かというと、前回でも公共事業に関係する補正予算はたくさんありました。むしろ平成17年とか18年ぐらいのほうが、国の補正予算もかなり大規模なものがありましたから、公共事業に関係する県の予算は非常に大きかったはずです。

 そういう意味においては、今回も経済対策として大きいですけど、当時よりは小さいものです。では、その違いは何なのかといった時、定性的に言わせていただければ、当時なくて今あるものは何かというと、産業振興計画に伴う一連の取り組みではないかと思っています。

 前回、平成12年から20年にかけて、全国の景気が大幅に上昇していった時、何で高知県の経済は浮揚することができなかったのか、色んな見方ができると思います。全国がプラスになっても、足元の人口減少によって県内の市場が縮小していったので、それで相殺されたという見方もできるでしょうし、もう一つは、多分これも非常に大きいと思いますが、全国の景気が浮揚しても、その全国の景気に高知県の経済が繋がっていなかったので、結局あまり関係なかったということも言えるのかもしれません。

 今、地産外商でやろうとしていることは何かというと、東京や大阪の経済から外貨を稼いでこようとする取り組みです。東京、大阪、名古屋といった都会の経済としっかり繋がろうとすることが、地産外商の取り組みと言えるんだろうと思います。

 やはり、一定繋がりができてくる中で、全国の景気浮揚に伴って高知県経済も浮揚してきているんじゃないかという見方もできるのではないかと思っています。ただ、私がむしろ言いたいのは、たかだか(有効求人倍率は)まだ0.76倍です。その繋がりがどれだけ強固なものであるのかというと、まだまだじゃないのかと思っています。

 ですから、絶対気を抜いてはいけないし、(有効求人倍率が)過去最高でもたかだか0.76倍に過ぎないことをよくよく自覚をして、地産外商の取り組みをはじめ一連の産業政策を気を抜かないで頑張ってやっていかなければならないということを申し上げたわけです。

 ちなみに、定量的なデータでお話をさせていただきますと、色んなデータがあります。新規の求人数を産業別に見ていった時に、例えば平成18年度では、農林漁業の新規の求人数が大体336人ぐらいでした。ところが、平成22年度848人、23年度896人、24年度986人ときて、平成25年度もまだ4ヶ月分のデータしかありませんが、それを仮に3倍すると、880人ぐらいという形で、300人台だったのが800人台から900人台ぐらいになっているという形で増えています。一次産業に力を入れてきた中で、その関連産業は増えてきているのではないかと思っています。

 それから、卸小売業の新規の求人数は、平成16年度、17年度、18年度ぐらいで毎年度大体8,000人くらいでした。これが、平成24年度では1万3,000人弱、平成25年度のベースが1万5,000人ぐらいと、地産外商の効果があったのかどうか分かりませんが、やはり増えてきています。

 観光振興にも力を入れてきました。飲食店・宿泊業の新規の求人数は、平成16年度、17年度、18年度と3,000人から4,000人ぐらいでしたが、平成22年度4,048人、23年度4,180人、24年度4,636人ときて、平成25年度のベースが5,394人になります。

 そういう意味において、一定、重点対象として取り組んできた分野について、平成16年度、17年度、18年度の傾向と、22年度、23年度、24年度、25年度の傾向は、やはり明らかに変わってきているんじゃないかと思っています。

 地域アクションプランで新たに創出された雇用人数が、例えば、第1期の産業振興計画(平成21年度から23年度)を通して623人、24年度のみで124人であるとか、設備投資に関して雇用増加数53人とか、企業誘致で約1,000人とか、成長分野育成支援事業で新規雇用47人とか、ある意味、個別の施策に伴う個別ファクターごとの雇用人数は、一定把握できている部分ではありますが、先ほど申し上げたように、少なくとも重点的な対象としてきた分野において、雇用が大幅に伸びているのは間違いないと思っています。

 ただ、繰り返しになりますが、私は、だからいいと言っているわけじゃなく、まだ(有効求人倍率は)たかだか0.76倍であり、決して気が抜ける話ではありません。それがマクロにどう効いているかをもっと検証する必要がありますし、継続的に取り組みを進めていく必要があるだろうと考えています。

 だから、アベノミクスがあるからいずれ伸びるだろうという楽観論は決していけないと思います。アベノミクスが波及していないのは、アベノミクスが悪いからだと、人のせいにしてもいけません。むしろ、私達自身でしっかり地産外商の取り組みをもっと進めていけるよう頑張らなければならないということを、産業振興計画の関係者の皆さんに申し上げたと、ご理解いただければと思います。

 

日米合同防災訓練(1)

 

(井上:高知新聞記者)
 10月下旬に予定されている日米合同防災訓練についてなんですけれども、知事は前回の記者会見の時に、低空飛行訓練と防災訓練というものは一線を画して考える必要があるとおっしゃいましたが、一方でオスプレイを使用するにあたっての防衛省の発表では、防災訓練を今までやってなかったが新たに滋賀県で実施することを、沖縄の負担軽減という言葉にひっくるめて説明されていましたけど、ちょっとそこで認識のずれがあるのかなと思うんですが、そこについてのご意見をお伺いできますか。

(知事)
 今回の訓練は、間違いなく防災訓練として実施されると我々は認識しています。ただ、それが沖縄での訓練回数を少しでも減らす形で沖縄の負担軽減に結果として繋がるという点は、否定のできないところだと思います。

 防衛大臣が沖縄に行かれる直前でしたから、少しそこを意識してご発言されたのではないかと私は受け止めました。ただ、あくまで防衛省とやりとりさせていただいている中で、我々が認識しているのは防災訓練です。

(中田:高知民報記者)
 地元紙で、地元の有力な防衛族の代議士である中谷さんが、「防災(訓練)の名を借りた軍事(訓練)」と言ったという大きい報道がありましたけれども、中谷さんの発言をどう感じますか。

(知事)
 中谷先生は日本の中でもトップクラスの安全保障の専門家であられますから、その安全保障の観点から見れば、一つのご見識を述べられたんだと我々は受け止めています。

 ただ、私達として、実際に防衛省とやりとりをしていく中で認識しているのは、今回の日米の合同訓練については、防災訓練だという認識ですし、あくまで防災に役立てるために実施をするという意味において、有意義であるということを申し上げているわけです。

 

2020年東京オリンピック

 

(澤田:共同通信記者)
 少し先の話になるんですが、7年後に東京でオリンピックが開催されることが決まりましたけれども、高知県として、海外チームの合宿を誘致するようなプロジェクトチームを立ち上げる予定がありますか。もし、立ち上げるとすればいつ頃になるのか、規模はどれくらいになるのかを教えていただけますか。

(知事)
 既にオリンピックに限らず、次のラグビーのワールドカップに向けて合宿の誘致をしようと関係者の皆さんが色々取り組まれています。

 オリンピックに向けて、当然のことながら、まだ時期や規模は決まっていませんが、その合宿の誘致をしていくための取り組みは当然やっていきたいと思っています。また、他にもこのオリンピックを活かすチャンスは色々あると思っていまして、このオリンピックを機会に外国人観光客の皆さんが多分、オリンピックを見た後で日本の色んなところに行ってみようと思われると思います。その外国人観光客をしっかりつかまえていく取り組みを考えてみたいと思っています。あともう一つ、私共が非常に思っているのは、オリンピックにあたって色んな施設を作るじゃないですか。その時に是非、木で作ってもらいたいと思っています。

 日本が再生可能な資源を使って復興したという姿を世界にアピールするチャンスじゃないのかと思っており、そういう意味において、先ほどからCLTという話を盛んに申し上げていますけど、この2020年までにCLTが全国的に普及できるような体制が作られればいいと思います。

 例えば、選手村とか色んな施設がCLTで作られて、日本として木の文化をアピールでき、再生可能な資源を活かして環境に優しく、そして、ある意味日本のそういう哲学を世界に示すことができればいいと思っています。そうなるべく本県としては活躍したいと思いますし、オリンピックに向けては本当に夢が広がります。

 

日米合同防災訓練(2)

 

(西森:高知さんさんテレビ記者)
 先ほどの日米合同防災訓練の関連なんですけども、先月も国に対してしっかり安全対策をしてほしいというような話があったんですが、これまでの政府とか米軍の説明では十分な説明ができていないということで、県民の皆さんも不安に思っているところがすごくあると思うんです。今後、どれだけの情報、あるいは説明が出てくるか分かりませんけれども、県民に対してそういう不安がある中で訓練をすることを、知事としてどのように理解を求めるのかという部分と、安全対策の説明について(国への)アプローチを別に考えていらっしゃるのかということを教えていただけますか。

(知事)
 第一点目は、繰り返しになりますけれども、実際に南海トラフ地震が起こった時、米軍をはじめとする外国の支援は不可欠です。東日本大震災でも大変重要な役割を果たしていただきましたし、もし、南海トラフ地震が起きると、東日本大震災の数倍以上の大災害になる可能性は否定できないわけです。

 そういう中において、東日本大震災でも重要な役割を果たした外国からの支援は、南海トラフ地震においても不可欠だと思います。そうであれば早めに訓練をして、いざという時に役に立つようにすべきだと考えています。そういう意味において、この日米合同防災訓練を行っていくことは、私は有意義なことであるという基本的な認識を持っています。

 ただ、その時に機材としてオスプレイを使用するということ。オスプレイが災害時の対応として、このスピード及び(物資等を搭載できる)容量という点において、今後の機材の配置などの観点からして、防災上実際に不可欠だということであれば、やはり訓練を行い習熟してもらったほうが、いざという時の安全対策という点においても重要だと思います。ただ、今、この時期において使用することに県民の皆様方の懸念が払拭されていないことは、確かだと思います。

 そういうことで、今日、私と室戸市長、土佐清水市長、香南市長の連名で要請書を防衛大臣宛てに提出したいと思っています。その中で、安全対策の徹底について求めるとともに、訓練の詳細やオスプレイの安全対策をどのように講ずるのかということについて質問をさせていただきたいと思っています。

(浜田:高知新聞記者)
 (防衛大臣へ)提出する場面があるとすれば、どういう形になるのでしょうか。

(知事)
 郵送します。

(西森:高知さんさんテレビ記者)
 直接、話すわけではなくて、連名で(郵送するのでしょうか)。

(知事)
 直接お話しすると、東京に行く時間がかかるので郵送します。送ることは(防衛省に)もう伝えています。

(中田:高知民報記者)
 オスプレイが機材として、すごくダウンウォッシュ〔下降気流〕が強烈で、防災上(被災地の支援に)不適格だという指摘もよくあるんですけども。

(知事)
 逆に言うと、訓練をやってみて不適格だということであれば、それは使わないということでしょう。防災に使えるかどうかの確認をしていくことが非常に大事ではないかと思います。

 そういう意味において、今回の訓練で降りる場所がどこかということもポイントになるんじゃないですか。今回は自衛隊施設ではないかと言われていますが、まだ確認しないといけません。そういう点も含めて、確認をさせていただきたいと思います。

 

移住ホームページ

 

(井上:高知新聞記者)
 移住促進のホームページのアクセス数についてですけども、ちょっと残念ながら、当初は、昨年1年間をもう越えていたというのが、7割に止まっていたんですけども、改めて、「高知家」PRの効果であったりとか、がっかりじゃないですけども、知事の率直な印象を(お聞きします)。

(知事)
 負け惜しみを言うわけじゃないですけど、むしろ結果として(移住相談数や移住者数の実績が)大事なので、それが減ったのではないわけです。そういう意味においては、プロジェクトをやって、(新規の移住相談者数が)対前年同期の1.4倍だとか(移住者数も)既に目標の半分ぐらいに近づいていますので、結果としてこの「高知家」ホームページ作戦の効果は出ているんだろうと思います。

(前回、)もう既に去年を上回っているぐらいにアクセスされていたと思っていたので、そこは残念です。それから、まだ慣れてないこともあり、カウントの仕方が間違っており申し訳ございませんでした。

 ただ、既に対前年度の7割になっていることと、もう一つ言わせていただくと、平成24年度は(移住促進のホームページの)アクセス数がものすごく多かったんです。なぜかというと、(テレビドラマの)「遅咲きのヒマワリ」があって、昨年も移住促進のためのプロモーションを実施しました。例えば、中央線でプロモーションビデオを流したり、テレビでも流していた時期もありましたから、飛躍的に多かった昨年と比べても、もう既に7割のアクセス数があるということですから、その意味においては、ものすごく好調と思っていたのが、まあ好調という感じです。

 

日米合同防災訓練(3)

 

(山本:NHK記者)
 連名の要請書というのは、県側から呼び掛けてやったものですか。

(知事)
 県から呼び掛けもしましたし、それから、この問題については各市長さんとも話し合いもさせていただきました。(県から)呼び掛けを行い、話もして、「是非、要請書を出しましょう」ということになりました。

(山本:NHK記者)
 (要請書の)意味合いをどういうふうにお考えですか。

(知事)
 防衛省の皆さんに来ていただき、誠意をもって色々ご説明もしていただこうという形になっていると思います。まだ、訓練の詳細が明らかにされていないので、どういう形で安全かということが言えないじゃないですか。ですから、その訓練の詳細を説明していただくとともに、こういう形で安全なんだということが言えるかどうか、そこの説明をお願いするということです。

 ただ、いずれにしても、日米合同防災訓練は有意義だと考えていますから、その考え自体が変わったという意味ではありません。

(司会)
 以上で記者会見を終わらせていただきます。

 

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