公開日 2013年12月06日
更新日 2014年03月19日
平成25年12月高知県議会定例会での知事提案説明 (12月6日)
1 国の動向など
(1)国の動向
(2)TPP
(3)少子化対策
3 南海トラフ地震対策について
(1)新行動計画の推進
(大規模建築物などの耐震化に対する支援)
(保育所の高台移転)
(燃料の確保)
(航空隊基地の整備)
(2)南海トラフ地震対策特別措置法の成立について
4 第2期産業振興計画の推進について
(1)産業振興計画の加速化
(2)「高知家」プロモーションの取り組み
(3)移住促進の取り組み
(4)ものづくり総合技術展とINAP高知会議開催
(5)工業団地の整備について
(6)観光振興の取り組み
5 教育の充実について
(1)学力向上の取り組み
(2)いじめ防止対策について
6 インフラの充実と有効活用
(1)建設業における地域防災力の確保
(2)四国8の字ネットワークの整備
7 その他
(1)ねんりんピックよさこい高知2013の報告
(2)高知龍馬マラソン2014の開催について
(3)中央地域の公共交通再構築について
本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成25年12月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。
ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。
去る10月13日、日本を代表する漫画家の一人であり、名誉県民でありますやなせたかし先生がお亡くなりになりました。
やなせ先生には、まんが甲子園をはじめとした「まんが王国・土佐」の取り組みへのご支援や数多くのキャラクターの作成など、本県のまんが文化の発展や地域の活性化に多大なご尽力をいただきました。こうしたやなせ先生のご功績に対し深く敬意を表し、感謝を申し上げますとともに、今回のご訃報に接しまして、心からお悔やみを申し上げます。
今後は、作品を通じて人々に勇気と希望を与えてこられた先生の志をしっかりと受け継がせていただき、「まんが王国・土佐」の取り組みを通じて、まんが文化のさらなる発展のために力を尽くしてまいります。
1 国の動向など
(1)国の動向
今国会におきましては、念願の「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」をはじめ、いわゆる「国土強靭化基本法」や「産業競争力強化法」など、今後の地方の施策に関連する重要な法律が成立しております。
あわせて、昨日、来年4月の消費増税などを見据えた、「競争力強化策」、「女性・若者・高齢者・障害者向け施策」、「復興、防災・安全対策の加速」などを柱とする「新たな経済対策」が閣議決定されました。
この「新たな経済対策」には、低所得者や子育て世帯に対する給付措置、地域経済を支える農林水産業や中小企業者の活力を発揮させる施策など、消費増税に伴う駆け込み需要とその反動減を緩和するとともに、持続的な経済成長を実現するための対策が盛り込まれており、大いに意義があるものと評価しております。
今後、今国会で成立しました法律や経済対策などを踏まえ、本年度の補正予算、そして、来年度の当初予算の編成が本格化してまいります。県としましても、引き続き、東京事務所を中心に情報収集に努め、本県の実情に合った有益な国の政策につきまして、南海トラフ地震対策や産業振興計画、日本一の健康長寿県構想などの県の施策に積極的に活用してまいります。
(2)TPP
環太平洋経済連携協定、いわゆるTPPにつきましては、先月19日から24日にかけて首席交渉官会合が開催されました。TPP交渉は秘密性が高く、交渉状況が明確にされておりませんが、関税撤廃を扱う物品市場アクセスをはじめ、いくつかの分野で交渉が難航しているものと考えております。
明日から4日間シンガポールで開催されます閣僚会合が、交渉参加12カ国が目指します年内の交渉妥結に向けて、まさに正念場となります。政府におきましては、可能な限り、国民に対する情報開示と説明に努めていただくとともに、米などの重要5項目の関税をはじめとした国益を必ず守っていただきたいと思っております。
県としましては、引き続き、国の動向を注視しますとともに、今後とも、必要に応じて政策提言を行うなど、県民生活を守るための取り組みを積極的に進めてまいります。
(3)少子化対策
少子化の問題は、経済活動や社会保障制度などに与える影響の大きさを踏まえますと、我が国の将来のあり方をも左右する喫緊の課題となっております。
こうした中、国においては、待機児童解消加速化プランなど子育て支援施策の充実を中心に少子化対策を進めてきてはおりますが、我が国の将来を見据えた時に予想される深刻な状況を変えていくためには、まだまだ十分とは言えません。
このため、私は、国自らが少子化対策を国策の中心に据えて取り組むとともに、地方独自の取り組みを強力に支援することが何よりも必要だとの考えの下、社会保障財源の確保に一定の目途が立った今こそその好機と捉え、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、政府・与党の関係者などにその必要性を強く訴えてまいりました。
今後の少子化の進行に歯止めをかけていくためには、結婚・妊娠・出産・子育てといったライフステージに応じた総合的な対策が必要であり、また、こうした環境の整備は、今後の我が国の成長に欠かせない女性の活躍の場を広げることにもつながります。
今後も、引き続き、全国知事会などとも連携して、少子化対策の必要性を国に強く訴えてまいりますとともに、県としましても、未婚化・晩婚化対策などを中心とする本県独自の少子化対策や、男女共同参画を促進する取り組みなどの一層の強化を図ることにより、若い世代の方々が安心して子育てできる環境づくりを推進してまいります。
2 12月補正予算について
今議会では、「南海トラフ地震対策のさらなる充実強化・加速化」、「産業振興計画の推進」の2つの柱に基づき、総額62億円余りの歳入歳出予算の補正及び総額85億円余りの債務負担行為の補正を含む一般会計補正予算案などを提出しております。
第一の柱である「南海トラフ地震対策のさらなる充実強化・加速化」に関しては、まず、本県の将来を担う子どもたちの安全・安心を確保するため、本年6月に設置いたしました「高知県職員等こころざし特例基金」を活用し、保育所の高台移転に伴う施設整備の支援を行ってまいります。さらには、被災者の方々の救助救出など応急対策の速やかな実行に必要となる消防防災航空隊と警察航空隊を津波被害から守る取り組みとして、これらの基地のかさ上げ工事を実施するとともに、応急対策活動に不可欠な燃料備蓄設備の整備も進めていくこととしております。
第二の柱である「産業振興計画の推進」に関しては、「高知家」プロモーションのさらなる戦略的・計画的な展開や本県の「食」を前面に押し出した新たな観光戦略の推進など、来年度施策の切れ目のない展開に向けた準備を進めてまいります。また、新規就農者の育成と生産性の高い先進技術の普及促進拠点の設置に向けた取り組みを進めてまいります。
このほか、平成26年度から新たに適用される地方公営企業の会計基準の見直しなどを踏まえ、積年の課題となっております中筋川ダム関連工業用水道事業と香南工業用水道事業の債務の解消を図り、工業用水道事業会計の経営の健全化を進めてまいります。
3 南海トラフ地震対策について
次に、南海トラフ地震対策についてご説明申し上げます。
(1)新行動計画の推進
現在、6月に策定いたしました南海トラフ地震対策行動計画に基づき、建築物の耐震化や津波からの避難路・避難場所の整備など、地震・津波から命を守るための対策に最優先に取り組んでおります。あわせて、新たに地震火災対策にも取り組むこととしており、先月に開催いたしました高知市との南海トラフ地震対策連携会議において、県と市が役割分担をしながら取り組みを進めていくことを確認したところであります。さらに、9月補正予算からは、被災者支援などの応急期の対策にも本格的に取り組んでいるところであります。
また、10月には、県議会の南海地震対策再検討特別委員会から、東日本大震災以降約2年半にもわたる活動の成果として、最終提言をいただきました。この中では、命をつなぐための医療救護態勢の強化や避難所の環境整備など、今後の地震対策を進める上で大変重要なご指摘をいただいております。
こうしたご指摘も十分に踏まえながら、詳細な想定に基づく対策の検証を積み重ねることにより、取り組みのさらなる充実強化を図ってまいります。
(大規模建築物などの耐震化に対する支援)
地震による強い揺れから身を守る対策につきましては、住宅や建築物の耐震化に全力で取り組んでいる中、9月補正予算において、耐震診断が義務付けられる病院やホテルなどの大規模建築物に係る耐震診断などへの支援制度を全国に先駆けて創設いたしました。
9月補正予算では、3件分の支援に係る予算を計上しておりましたところ、今回、新たに5件を追加することとなり、徐々に制度が浸透しているものと感じております。この支援制度には、市町村の協力が欠かせないことから、今後も、引き続き、市町村との連携を深めながら、多くの県民の皆様の命を守る取り組みを進めてまいります。
(保育所の高台移転)
津波からの避難対策につきましては、現在、沿岸部の市町村により津波避難空間の整備が急ピッチで進められており、県としましても、早期に全ての整備が完了するよう、市町村を全力で支援しているところであります。
他方、高台移転につきましては、移転先でのコミュニティの再生や移転費など、様々な課題が浮き彫りとなっていることから、これまで国に対して、高台移転を進めるために必要な制度改正を提言してまいりました。また、移転の手法や活用できる事業について地域で勉強会を開催するなど、移転の具体化へ向けた取り組みを着実に進めております。
こうした中、自らの力で避難することが困難な方々が利用する施設につきましては、特に優先して高台移転を進めていく必要があると考え、移転のための支援制度を創設し、移転の条件が整った施設から支援を開始しているところであります。
このたび、保育所の高台移転支援の第1号として、統合移転の条件が整いました土佐清水市の3つの保育所の移転整備に対する支援を行うこととなりました。このほか、現時点で宿毛市や中土佐町をはじめとする8市町において、保育所の高台移転について具体的な検討が進められております。
幼い子どもたちの安全・安心が一刻も早く確保されますよう、今回の土佐清水市の事例が先駆けとなり、現在、検討が行われている8市町はもとより、他の地域の保育所・幼稚園などにつきましても、高台移転に向けた取り組みが加速されますことを期待いたしますとともに、その取り組みを全力で支援してまいります。
(燃料の確保)
地震発生後には、多くのガソリンスタンドが被災することなどから、救助救出などの応急対策活動を行う県有車や県内外の応急救助機関の車両などに必要となる燃料が一時的に不足することが想定されます。このため、燃料確保対策の一環として、高知市の南消防署南部分署の整備に併せて、市と共同で燃料備蓄タンクの整備を行うことといたしました。こうした取り組みや、現在進めております災害対応型給油所の整備支援などの取り組みを通じて、燃料確保対策を進めてまいります。
(航空隊基地の整備)
また、高知空港内にある消防防災航空隊と警察航空隊の基地については、最大クラスの津波の想定によれば、浸水により機材が使用不能の状態になることが予想されております。応急対策活動において、これらの航空隊が持つヘリは欠かせないものでありますことから、抜本的な津波対策として現在位置の北側の地盤をかさ上げし、基地を移転整備することといたしました。
さらに、本年度末に消防庁から新たな消防防災ヘリの貸与が予定されております。既存の消防防災ヘリと警察ヘリと合わせて、合計3機の配備となり、災害時における、津波浸水や道路の寸断などの被害状況の空からの情報収集や、物資や負傷者の搬送などの態勢強化が図れるものと考えております。
こうした取り組みを着実に進めるとともに、新たな対策にも着手していくことにより、地震発生後の応急対策の強化を図ってまいります。
(2)南海トラフ地震対策特別措置法の成立について
先月22日、臨時国会において、念願の「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」が成立いたしました。この法律の成立にあたりましては、議員の皆様や県選出の国会議員の皆様、関係省庁の皆様に多大なご尽力を賜りました。この場をお借りして、心から厚くお礼申し上げます。また、昨年来、本県の呼び掛けにより結成しました9県知事会議や、9県議会議長会議が緊密に連携し、早期制定に向けて粘り強く働きかけを行ってまいりましたことが実を結び、私としましても大変うれしく思っております。まさに悲願達成の思いであります。
今回初めて、法律において、南海トラフを震源とする連動型の地震が発生し得ることを前提とし、かつ、その前提に立って対策が講じられることとなったことは、今後の地震対策において大変大きな意義を持つものであります。さらに、東日本大震災の教訓を踏まえ、津波避難対策も抜本的に強化されるなど、その実効性にも大きなものがあります。
具体的には、津波避難施設などの整備に対する補助率のかさ上げのほか、教育施設、医療施設、社会福祉施設などの要配慮者施設の高台移転に関する特例措置や、高台移転に関する農地転用許可要件の緩和などが盛り込まれております。これまで進めてまいりました津波避難空間の整備のさらなるスピードアップに加え、先ほど申し上げました保育所などの施設も含めた集団での高台移転も現実的な対策として視野に入ってまいります。
現在、国においては、この法律に基づく様々な対策が来年度から実施できるよう、年内の法律の施行を目指し、政令の具体的内容などの詰めの作業を進めております。
こうした状況を受け、県としましては、法の施行後、速やかに対策が実施できますよう、実施主体となる市町村とともに、必要となる計画の策定など準備に万全を期してまいります。
4 第2期産業振興計画の推進について
(1)産業振興計画の加速化
次に、産業振興計画についてご説明申し上げます。
産業振興計画につきましては、来年度のバージョンアップに向けて、当初に計画したことが実行されているか、そのアウトカムが最終の目標に照らして十分なのかといった視点に加え、各施策がつながり最大の効果を発揮するために、各施策がうまく連携できているか、その連携の太さは十分なのか、といった視点からも確認を進めております。
特に、ある施策で実施したことが効果的に次の施策につながっているか、一連の施策群の成果がフィードバックループを形づくり、プラスのスパイラルとなり次のステージにつながっているか、より新たな参加者が広がる形になっているか、そして、こうした一連の取り組みが、数値目標や定性的な目標につながっているかという点から、検証しているところであります。
あわせて、第2期計画で掲げた10年後の目指す姿の実現に向けましては、CLTの早期普及といった中長期を見通した新たな取り組みを進めているところであり、このように今から着手しておくべき取り組みが他にはないのかといったことも検討しているところであります。
引き続き、産業団体の皆様などのご意見もお伺いしながら、議論をさらに深め、来年度のバージョンアップにつなげてまいります。
また、計画のさらなる加速化を図るためには、国の政策を積極的に活用していくことが重要となります。
先月18日には、国と地方が一体となった地域の産業競争力の強化に関する取り組みの推進と、地域の実情を国の成長戦略などへ反映することを目的として、「四国地方産業競争力協議会」が立ち上がりました。
四国の知事や四国経済連合会の会長、企業の経営者など、24人の委員で組織されたこの協議会には、四国経済産業局や四国地方整備局など、国の9つの出先機関もオブザーバーとして参加しております。
この協議会では、来年の3月を目途に、四国地域の産業競争力の強化に関する戦略を取りまとめることとしております。私としましても、この協議会の会長として、各県それぞれの政策を生かしながらも、4県の連携による取り組みをしっかりと進めることにより、各県の施策を確実に後押しできるような、実効性のある戦略を策定してまいりたいと考えております。各県単独では乗り越えられない壁を4県が連携することによって乗り越えていけるような取り組みや、4県の連携であるからこそ相乗効果を発揮し、各県の施策のバックアップにつながるような取り組み、あるいは、各県それぞれの施策であるものの、四国全体の広がりを持つ可能性のある取り組みなどをしっかりと盛り込むとともに、その進捗管理を着実に行っていけるような戦略としてまいります。
このような戦略を策定することにより、国の成長戦略などの政策に対して、説得力をもって、本県はもとより四国の主張を具体的に反映させることができるものと考えております。
こうした考えについて、私から委員の皆様方にご説明させていただき、ご賛同をいただきました。今後、この協議会を通じて、幅広いご議論をいただくことにより、実効性のある四国の戦略の策定につなげてまいります。
次に、各分野における取り組み状況についてご説明申し上げます。
(2)「高知家」プロモーションの取り組み
先月12日には、「高知家」プロモーション第2弾として、本県の一番の魅力である高知県人の家族のような温かさを全国の皆様に一層感じていただけるよう、「高知家の唄」を制作し、そのプロモーションビデオを特設サイトで公開したところであります。
この「高知家の唄」までの一連の「高知家」プロモーションの取り組みにより、既に、いくつかの成果が生まれ始めております。
まず、6月のコンセプトコピー「高知家」の発表に伴うテレビなどへの露出による広告換算効果は、6月の1カ月だけでプロモーション予算の約10倍に当たる3億円を超える金額となっております。さらに、県内外の企業とのタイアップ企画もいくつか実現いたしましたほか、「高知家」ファミリー募金には予想を大きく上回る大勢の方々にご協力をいただき、ピンバッジも5万個以上をお配りするなど、県内を中心に大きな盛り上がりとなっております。
10月には、県外におけるプロモーションの効果を検証するため、関東・関西の大都市圏在住の方々を対象にインターネットによる高知県のイメージ調査を実施いたしました。この調査結果では、高知に「観光に行きたい」と思っている方が59パーセントで全国第13位となるなど、観光や移住の対象として本県が高いポテンシャルを持っていることや、22パーセントもの方々が「高知家」を認知し、その多くの方々が本県に好印象を持っていることが明らかになりました。加えて、「高知家」を認知している方は認知していない方に比べて本県に対してより愛着や好感を持ち、高知に行きたい、高知に住みたいという意向も強いことが分かりました。さらに、「高知家」を認知していて、5年以内に観光で本県を訪れたことがある方になりますと、こうした意向が全てにおいて高まり、中でも、本県に愛着や好感を持っている方の割合は、「高知家」を知らず、そして、本県への観光の経験も無い方を実に37ポイント上回る92パーセントと非常に高い数値になっております。こうしたことから、「高知家」の認知度をさらに高めることができれば、より多くの方々に高知を好きになっていただき、高知への観光や移住といった実際のアクションを起こしていただけるものと考えられます。
このため、来年度は、「高知家」の認知度を25パーセントまでさらに高めるという目標を掲げ、これまでの取り組みを継続・強化してまいりたいと考えております。具体的には、来年4月以降、「高知家」特設サイトの充実や動画の作成などを順次行い、大都市圏を中心に「高知家」の露出を一層強化するなど、第2期産業振興計画の目標年度である平成27年度に向けて、効果的かつ切れ目のないプロモーション活動を展開してまいります。
加えて、「高知家」プロモーションと、地産外商や観光振興、移住促進などのそれぞれの施策を強力に結び付けることにより、県産品の販売拡大、観光客や移住者のさらなる獲得など、より一層の具体的な成果に直結させてまいりたいと考えております。
(3)移住促進の取り組み
「高知家」プロモーションと連携して施策を展開しております移住促進の取り組みにつきましては、県の移住ホームページ「高知で暮らす。」を、「高知家の唄」の公開に合わせて先月12日に全面的にバージョンアップし、移住者インタビューなどの魅力的なコンテンツの配信などを始めております。
この移住ホームページには、先月末現在で、20万件を超えるアクセスをいただいており、今後も、アクセス動向の分析などによる検証を基に継続的に改善を行い、アクセスされた方々に本県への移住に興味を持っていただき、移住相談などの具体的な行動に移っていただけるようなホームページとなりますよう工夫を重ねてまいります。
また、先月には、県内全ての市町村がパートナー市町村となり、さらに、民間の皆様のご協力により、今月から移住希望者へのレンタカー料金の割引制度が始まるとともに、さらなる支援策の検討が進められるなど、市町村との連携協調、官民協働の取り組みも着実に進んでおります。
こうした取り組みによって、本年度の第2四半期までの移住実績は、昨年度1年間の121組225人を既に上回る、143組227人と好調を維持しております。
今後、市町村や民間団体との連携をより一層強めながら、移住者向けの住宅の確保対策や、地域が求める人材の確保に向けた積極的な情報発信と都市部の人材とのマッチングに取り組むなど、移住促進策のバージョンアップを図り、年間500組の移住達成という高い目標に向けて取り組みを進めてまいります。
(4)ものづくり総合技術展とINAP高知会議開催
先月21日からの3日間、防災や食品、新エネルギーなどに関連する100を超える企業や団体の皆様のご出展をいただき、「第2回ものづくり総合技術展」を開催いたしました。
この技術展には3日間で昨年とほぼ同程度の1万4千人を超える方々にご来場いただいたところであり、同展は、本県の優れたものづくりの技術や製品などを知っていただく場として定着しつつあると感じております。
開催期間中には、339件の商談を受けるなど、一定の手応えも得られたことから、今後も、こうした取り組みを通じて、ものづくりの地産地消の推進と外商の拡大をしっかりとサポートしてまいります。
また、この技術展の開催時期に合わせて、高知港の姉妹港などアジアの6カ国7港で構成されたネットワーク組織であるINAPの第15回会議を高知市で開催いたしました。
会議は、各港の関係者の交流を深める場となったほか、シンポジウムやものづくり総合技術展の会場で同時開催した「INAP2013アジアフェア」などを通じて、県民の皆様にも、INAPの活動や、アジア6カ国7港の港湾、経済、文化を理解していただく、またとない機会となりました。
あわせて、貿易や国際観光の振興に向けて、INAP会員各国の企業と県内企業との間の商談会を行うなど、大変意義のある取り組みになったと感じております。今後、これらの取り組みが実りあるものになりますよう、継続的に県内企業の支援を進めてまいります。
(5)工業団地の整備について
平成19年度から香南市と共同で開発を進めてまいりました香南工業団地の造成工事が年内に完成いたします。
この工業団地は、新たな企業立地による本県経済の活性化を図るための産業集積拠点として整備したものであります。加えて、海抜60メートル以上の場所にありますことから、近年需要が高まっております南海トラフ地震に伴う津波被害対策にも適した工業団地となっております。
今議会には、この工業団地の分譲を進めていくため、県有財産の処分に関する議案を提出しているところであり、ご承認をいただきました後、来月から公募を開始し、本県の生産基盤の強化と雇用の拡大につながる企業立地を香南市とともに押し進めてまいります。
さらに、今後も、新たな企業立地による産業集積と高台への企業立地による震災に強い産業基盤づくりが一層求められます。本年4月から開発に着手しております高知市一宮地区の工業団地のほか、適地調査が完了し、条件が整ったところから、新たな工業団地の開発を順次進めてまいりたいと考えております。
(6)観光振興の取り組み
平成26年度以降の観光戦略につきましては、引き続き「リョーマの休日」キャンペーンを展開する中で、先ほど申し上げましたとおり「高知家」プロモーションとも連携させながら、「高知家の食卓」と題して、本県の強みである「食」をこれまで以上に前面に押し出して誘客を図ることとしております。このために、地域地域の「食」を生かした観光資源の磨き上げを行い、その魅力を県外に情報発信し、おもてなしの取り組みを強化していく、こうした一連の取り組みを進めてまいります。
大手旅行雑誌の調査によりますと、「地元のおいしいものを食べる」という行動が旅行目的の全国1位となるなど、近年、観光客のグルメ志向が高まっております。全国各地で、その地域ならではの「食」の売り込みにより観光客の獲得が図られている中、他県との競争に打ち勝つためには、旅先で地元の方が教えてくれるお薦めのものを食べたいという、観光客の皆様のより高いニーズにしっかりと応える取り組みが欠かせません。
このため、「食」に関する新たな取り組みとして、県民の皆様に観光客にお薦めする県内の「飲食店」と「メニュー」を選んでいただく『「高知家の食卓」県民総選挙2014』を実施することといたしました。
全国でも例のない県民参加型のこうした手法を用いて、「食」で誘客を進める他県との差別化を図ることにより、本県へのさらなる誘客の拡大につなげてまいりたいと考えております。
あわせまして、県民総選挙の結果を活用し、例えば、旅行会社に、総選挙で選ばれた店舗での飲食と宿泊をセットにした旅行商品を提案していくなど、「食」を生かした地域の観光商品の磨き上げを進めてまいります。
この取り組みを成功させるためには、何よりも県民の皆様による機運の盛り上がりが必要不可欠であります。ぜひとも多くの県民の皆様に総選挙へご参加いただくことにより、本県ならではの家族に接するような「食」によるおもてなしの機運を高め、観光客の皆様に「高知家」をご堪能いただきたいと考えております。
また、既に6万人を超える皆様にご利用をいただいております「龍馬パスポート」につきましては、パスポートに新たな上位ステージを設けるなど、本県観光をより一層楽しんでいただくための工夫を盛り込み、来年4月、「龍馬パスポートII」としてリニューアルいたします。引き続き、多くの観光客の皆様にご利用いただくことにより、今まで以上の周遊促進とともに、さらなるリピーターの確保につなげてまいります。
5 教育の充実について
次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。
(1)学力向上の取り組み
教育委員会では、本県の児童生徒の学力に関しまして、小学校は全国上位に、中学校は全国平均まで引き上げることを目標に定め、取り組みを進めております。とりわけ、本年8月に公表されました全国学力・学習状況調査の結果から、課題がより鮮明になりました中学校の数学における思考力の育成につきましては、授業の改善や教材の効果的な活用などの取り組みをできる限り前倒しで進めております。
具体的には、全ての中学校において、新たに策定した数学の授業改善プランに基づき、各教育事務所による指導・助言の下、授業の質の向上に取り組んでおります。また、先月からは、新たに作成しました全国学力・学習状況調査の過去問題集の活用を開始しましたほか、今月には、教員の指導力の向上に向けた研修も開催いたします。
また、来月には、高知県独自の学力定着状況調査を、昨年度に対象とした小学校5年生と中学校2年生に、小学校4年生と中学校1年生も加えて実施し、児童生徒の学力の定着状況を詳細に分析することとしております。こうした分析を踏まえ、様々な取り組みの質をより一層向上させながら、市町村教育委員会と共に、さらなる学力向上の取り組みを進めてまいります。
(2)いじめ防止対策について
現在大きな社会問題となっておりますいじめの防止などに関し、総合的かつ効果的な対策を推進するため、本年9月、いじめ防止対策推進法が施行されました。
さらに、この法律に基づき、10月には、国の基本方針が策定され、地方公共団体や学校における、基本方針の策定や組織体制に関する具体的な内容などが示されたところであります。
これを受け、県としましては、教育委員会や関係部局の連携の下、いじめの未然防止から早期発見、重大事態の対処に至る総合的ないじめ対策を講じることを目指し、近く有識者などによる検討委員会を立ち上げ、年度内に県のいじめ防止基本方針を策定することとしております。
また、市町村や各学校に対して、法律や国の基本方針の趣旨、具体的な内容について周知いたしますとともに、各々における、いじめ防止基本方針の策定やいじめ防止対策のための組織の設置が迅速かつ円滑に進みますよう、情報提供や助言など必要な支援を行ってまいります。
こうしたことを通じて、県・市町村・学校が一丸となっていじめ防止対策に取り組んでまいります。あわせて、保護者や県民の皆様にも広く関心を持っていただくことにより、地域が一体となった取り組みにつながるよう、努めてまいります。
6 インフラの充実と有効活用
次に、インフラの充実と有効活用についてご説明申し上げます。
(1)建設業における地域防災力の確保
県内建設業界のコンプライアンスの徹底につきましては、建設業団体と各事業者において検証と改善を図りながら取り組みを行っているところであります。県としましても、県内7地域で開催いたしました建設業界との意見交換会におきまして、各事業者の取り組み状況を確認するとともに、各事業者や関係団体において、たゆみない取り組みが継続して行われるよう、改めて要請したところであります。
引き続き、こうした取り組みを通じて、これまでの談合防止対策の効果を検証するとともに、コンプライアンスの確立に向けて建設業界への支援を行ってまいります。
他方、南海トラフ地震など大規模災害が発生した際には、建設業の皆様にはそれぞれの地域で、道路啓開などの応急活動やその後の復旧に向けて、重要な役割を果たしていただかなくてはなりません。
このため、昨年8月から高知県地域防災力維持確保対策検討委員会において、大規模災害時に建設業が担う公的な役割や課題について、行政と建設業界がいかに連携して迅速に対応するか、また、地域の実情をよく知り、応急・復旧に対応できる建設業者をいかに確保するかといった視点から検討が重ねられ、先日、報告書として県に提出いただきました。
この報告書には、災害発生時における行政と建設業界の役割分担の明確化とともに、合同訓練により相互連携の強化を図ることや、若者の労働力の確保に向け、建設業の魅力発信に取り組むことの必要性など、今後の具体的な取り組みの方向性が示されております。
県としましては、建設業界や国、市町村と連携しながら、この内容を具体的な施策に反映し、地域防災力の向上に取り組んでまいります。
(2)四国8の字ネットワークの整備
本年度に開通が予定されております高知東部自動車道の香南のいち・香南かがみインターチェンジ間につきましては、現在、工事の最終段階に入っており、春の行楽シーズンを迎える3月までには供用開始が間に合うよう、国に対しまして、1日も早い開通をお願いしているところであります。
この区間が開通いたしますと、香南のいち・芸西西インターチェンジ間の起終点が国道55号に直結いたしますことから、県東部地域へのアクセスが飛躍的に向上するとともに、災害時の輸送面におけるバックアップ機能の確保など防災面においても、高規格道路の効果がより一層発揮されるものと期待しております。
今後とも、命の道となる四国8の字ネットワークの整備を着実に進めるため、事業実施中の区間の整備促進や未着手区間の早期事業化に向けて、関係機関と一体となって取り組んでまいります。
7 その他
(1)ねんりんピックよさこい高知2013の報告
台風27号が接近する中、開催が心配されておりました「ねんりんピックよさこい高知2013」につきましては、幸いにも、大会前日から天候が回復し、また、関係者の皆様の懸命の努力もあり、大会の一部に影響が出ましたものの、ほぼ予定どおり開催することができました。
大会期間中は、常陸宮同妃両殿下のご臨席を仰ぎ、「長寿の輪 龍馬の里で ゆめ交流」をテーマに、県内各地の会場において23種目のスポーツ・文化の交流大会を開催いたしましたほか、健康や福祉・生きがいづくりに関する様々なイベントを実施いたしました。
高知らしいすがすがしさのあふれる秋晴れの下行われた総合開会式では、アトラクションにおいて、世代を超えて参加された皆様方に日頃の練習や活動の成果を存分に発揮していただき、数多くの県民の皆様はもとより、全国からお越しいただいたたくさんの選手・役員の皆様方から、喜びや感動を与える素晴らしい出来栄えだったとの評価もいただきました。
残念ながら、選手の安全確保のため、大月町会場のフィッシング競技は中止になったものの、県内各市町村の会場においては、地域の皆様方の「高知家」ならではの温かいおもてなしにより、世代を超えたいくつもの交流の輪が生まれたと伺っております。高知の素晴らしい自然、文化、人、新鮮な食べ物などの魅力をご堪能していただき、多くの方々に、「高知家」の家族の一員になっていただけたものと確信しております。
また、大会開催による経済波及効果が当初の試算を約3億円上回る92億1千万円にも上ることが明らかとなり、県内経済の活性化という面においても、大きなインパクトを与えることができたものと考えております。
本大会が、こうして成功裏に幕を閉じることができましたのも、ひとえに、数多くのボランティアの方々をはじめ、この大会を支えていただいた関係者、県民の皆様方、そして、議員の皆様のご支援、ご協力の賜物だと思っております。この場をお借りして、心から感謝申し上げます。
そして何よりも、この大会を通して、私自身を含めました多くの県民の皆様が自らの健康づくりや生きがいづくり、あるいは、社会活動などに参加することの大切さについて、改めて考える機会を得ることができました。このことは、日本一の健康長寿県づくりを進めていく上においても、意義深いことであったと考えております。
(2)高知龍馬マラソン2014の開催について
来年2月16日、市民参加型のマラソンとして第2回目となる「高知龍馬マラソン2014」を開催いたします。
本年2月には記念すべき第1回大会を開催し、全国から3,475人のランナーに参加いただきました。今回は、スポーツを通じた地域活性化のさらなる推進に向けて、規模を拡大し、約5千人のランナーに参加いただく予定となっております。エントリー総数7,995人の約7割が県外在住のランナーであり、全国各地から多くの皆様の来県が見込まれております。
本大会の開催を通じて、県民の皆様にスポーツや健康に対する関心を高めていただきますとともに、県外からお越しいただく方々を「高知家」の家族としてお迎えするおもてなしの心で準備を進め、参加者の皆様の満足度を高めるよう努めてまいります。
こうした実績を積み重ねることにより、観光の活性化やスポーツを支える人々の交流・地域間連携に大きく寄与できる大会に育ちますよう取り組んでまいりたいと考えております。
(3)中央地域の公共交通再構築について
去る9月24日に、厳しい経営環境にある県中央地域の公共交通を、子育て世代や高齢者、観光客にも利用しやすく、将来に向けて持続可能な公共交通とするため、県をはじめとする関係自治体や金融機関などで構成する「中央地域公共交通再構築検討会」が設立されました。
現在、専門家の協力を得ながら、運行路線の実態把握や、事業上の課題の整理を始めたところであります。今後は、関係者間における協議などを経て、本年度末を目途に再構築のスキーム案を取りまとめることとしており、県としましても、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
また、土佐電気鉄道株式会社では、一連の問題を受けての社内改革の取り組みが進められております。こうした取り組みが社会からの信頼回復につながるよう、県としましても、引き続き指導、助言を行ってまいります。
8 議案
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、平成25年度高知県一般会計補正予算などの8件です。
このうち一般会計補正予算案は、先ほど申し上げました南海トラフ地震対策のさらなる充実強化・加速化などの経費として、62億円余りの歳入歳出予算の補正などを計上しております。
条例議案は、高知県指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準等を定める条例議案など23件でございます。
その他の議案は、平成26年度当せん金付証票の発売総額に関する議案など20件でございます。
報告議案は、高知県が当事者である和解の専決処分報告の1件でございます。
以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。