知事の定例記者会見(平成25年12月27日)

公開日 2014年12月17日

知事の定例記者会見

平成25年12月27日(金曜日) 14時00分から14時46分  第一応接室

2期目の折り返しを迎えた感想
特定秘密保護法
シキボウ跡地の利活用
安倍首相の靖国参拝(1)
有効求人倍率と産業振興計画
南海トラフ地震対策(1)
防災関連産業
「はた博」と「東部博」
南海トラフ地震対策(2)
日米合同防災訓練
安倍首相の靖国参拝(2)
「高知家の食卓」県民総選挙

配布資料
飛躍への挑戦! 産業振興計画 [PDFファイル/1.87MB]

(知事)
 お手元に産業振興計画の進捗状況について、お配りしていますのでご覧ください。

2期目の折り返しを迎えた感想

(井上:高知新聞記者)
 知事は、12月に2期目の折り返しを迎えられました。これまで「課題解決の先進県」を掲げ、南海トラフ地震対策や中山間対策、移住促進などを図ってきた2期目の歩みを知事自身がどう考えているかということと今後の抱負をお伺いします。

(知事)
 一言で言えば、あっという間の6年間だったと思います。
 5つの基本政策を基に県勢浮揚を目指して全力投球してきたつもりであり、この間、本当に手応えを感じたものもあったと思っています。ただ、逆に言いますと、取り組みを進めれば進めるほど新たな課題が見えてくる面もありましたので、そういう意味において、まだまだこれからだと考えています。

 具体的に申し上げさせていただくと、例えば、経済の関係で言えば、産業振興計画をこれまでの5年間、取り組みを進めてきました。そういう中で、今朝発表になった有効求人倍率は0.77倍と過去最高値になりました。さらに、県外観光客の入り込み数については、今年恐らく400万人を概ね達成できるという見通しです。
 従前、私が就任した頃の有効求人倍率は0.4倍前後であり、10年ぐらい低迷したまま変わらない状況でした。それが、産業振興計画を始めてしばらく経ってから、50ヶ月連続で求人数は対前年同月を上回る状況がずっと続いてきており、過去最高水準に至ったわけです。県外観光客の入り込み数についても、大体300万人ぐらいでしたから、それが400万人観光ぐらいまで約3割方上がってきたというマクロ的な経済環境から見ても、若干良い方向に向いてきていると思います。
 とは言いながらも、たかだか0.77倍であるわけです。過去最高値で0.77倍ということ自体、むしろ重く受け止めなければならないと思います。産業振興に向けて「より雇用を生み出す」、「より経済の好循環を生み出す」取り組みを刺激していけるよう、県としてやらなければならないことは多いと思っています。

 教育の面を見ても、例えば、学力で言えば、私が就任した頃は全国最下位レベルでしたから、小学校は随分躍進をして全国平均を上回るぐらいになってきました。中学校はまだ全国46番ですが、この間の学力の伸び率は全国1位であり、一定伸びてきたと思います。
 そういう点で、一定学力の成果は出てきたと思いますが、まだ目標には達していませんし、さらにもっと言えば非行の問題など、より骨太に取り組んでいかなければならない課題が、依然として残り続けている状況です。

 南海トラフ地震対策について、一番良かったのは、国を巻き込むことができたことです。今や、国も南海トラフ沿いの連動型地震の発生があり得るという前提で動くようになり、そして、南海トラフ地震対策特別措置法も成立し、国の予算資料などへ随所に「南海トラフ巨大地震に備える」という表現が出てくるようになり、随分と国策の中心に南海トラフ地震対策が据わるようになってきたことは、非常に良かったと思います。
 また、津波避難の取り組みを中心として、県の取り組みも進んできたと思います。しかしながら、従前より申し上げていますが、地震対策の取り組みには終わりが無いわけであります。津波からの避難対策をさらに横へ展開し、例えば、揺れ対策や火災対策をもっと強化しなければなりません。もっと言うと、時間軸を長くとり、応急期の対策もしっかり取り組んでいかなければなりません。これから取り組まなければならないこと、これから取り組もうとすることほど、正直、ますますエネルギーがいる分野だと思います。

 また、日本一の健康長寿県構想にしても、「あったかふれあいセンター」や「こうち支え合いチャレンジプロジェクト」のネットワークが広がり、一定、中山間に絆のネットワークが広がってきつつあると思います。しかしながら、中山間地域における医療の確保や都市部も含めた救急医療の問題など、まだまだ皆さんの暮らしの安心安全を完全に確保し得たという状況ではなく、むしろ、心配の面も大変多くあるという状況ではないかと思います。

 先ほど来、申し上げているように、それぞれの分野において一定、前に進んだと思える部分は確かにあると思います。そういう意味において「やればできる」という思いは持っていますが、逆に言うと、だからこそ見えてきた新しい課題も多いわけです。そして、まだまだやりたいと思っているけれども、できていないこともたくさんあるわけですので、まだまだこれから全力投球で取り組みを進めていかなければならないと、改めて意を強くしているところです。

特定秘密保護法

(井上:高知新聞記者)
 特定秘密保護法について、法律が成立した後も国民に不安や懸念の声は根強くあり、県内で見ると本山町や四万十町の議会で、特定秘密保護法の廃止を求める意見書も可決されました。そうした動きも踏まえ、特定秘密保護法に対する知事の所見、また(採決に至るまでの)国会の審議のあり方についての考えをお伺いします。

(知事)会見する尾崎知事
 特定秘密保護法については、従前から申し上げているように、特に人の命に関わるような重大情報をしっかりと保護する法律は要ると思います。そういう意味において、特定秘密保護法をしっかりと整備していくこと自体は大事なことではないかと思います。
 ただ、国民の皆さんの間に大変懸念の声が残っていることも確かであり、この払拭に努めていかなくてはいけないと思います。逆に言うと、この懸念の声に政府として謙虚に耳を傾けていただき、しっかり一つ一つ対処していただきたいと思います。

 私は、二つの点が特に重要ではないかと思います。まず1点目は、法律を作った時は善意でも、段々運用されていくにしたがって悪用される懸念は、払拭しきれないわけです。今までも、歴史的に善意で作った制度が後に悪用されて、国の発展に大いなる妨げとなった、若しくは多くの人を不幸に陥れた、という例があるわけです。
 そういう歴史に学びながら、悪用されることがあり得るのではないかと謙虚に考えて、「予め運用に一定の箍(たが)をはめておく」という取り組みを進めていくことが重要ではないかと思います。「こういう場合だったらどうなるんだろうか」、「ああいう場合だったらどうなるんだろうか」ということを、しっかりと国民的に議論し、また、政府もしっかりそれに対して公式の答弁を出していき、その答弁集がいわば運用集になっていく形で取り組んでいくことが重要ではないでしょうか。
 国会議員の皆さんには、質問主意書などによって内閣答弁を引き出すというやり方があるわけですから、そういうことでもって後に懸念が残らないように「運用の箍をはめる」という取り組みを是非してもらいたいと思います。

 2点目は、行政が色々と秘密を指定することに対して、行政のみのチェックしかはたらかないのは危険ではないかと思いますので、行政以外の何らかの形でチェックがはたらく仕組みを作ることが大事ではないかと思っています。現在、第三者機関の議論など、多様な制度が議論されていますし、さらに国会法の改革もしたらどうかという議論も出つつあるように聞いています。
 秘密の保全と相並び立たせるのは難しいかもしれませんが、是非、行政以外のチェックが働く仕組みを、行政内部における多重防護とともに作るようにしてもらいたいと思います。実際、施行するまでにまだ時間はあるわけです。また、この間にも国会では、来年の通常国会も開かれるわけですから、その間においてしっかりと議論を重ねていただきたいと思います。

 国会運営に関して理想を言えば、今、申し上げたようなことを実際に法律を作る段階の審議の中でしっかり議論を尽くしておくべきだったのでしょうが、現実の国会運営は様々な要因によって規定されていくことであり、多くの人が努力もされたことでもありますので、私自身のコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、成立した今となっては、今申し上げたこの2点について、国会において大いに議論を尽くしてもらいたいと思います。

シキボウ跡地の利活用

(井上:高知新聞記者)
 シキボウ跡地の土地活用に関連して、高知赤十字病院が移転した場合の跡地の利用に民間病院が手を挙げているという話がありました。これについて、高知赤十字病院では「まだ決定はしていないが、病院の後に病院が来るということであれば、地元住民からも理解が得られやすいのではないか」と話しています。これに対して県としての受け止め方をお伺いします。

(知事)
 周辺の住民の皆様には、大変ご心配をお掛けしており、本当に申し訳なく思いますが、どうしても高知赤十字病院を移転しなければ、災害時における県民の皆様の命を守ることができません。本当にご理解を賜わっていかなければならないと思っています。
 そういう中において、跡地の利用が一番大きな問題であり、同じ(業種の)病院がこの跡地に来ていただくことになれば、周辺への影響も小さくできるのではないか。また、ご心配の向きを少しでも和らげることができるのではないかと考えており、今回こういうお話をいただいたことは、県としてもありがたいお話だと受け止めています。

 高知赤十字病院に伺ったところでは、今後、跡地の利活用について、新たに整備する建物の事業計画や資金計画とあわせ、来年、日本赤十字社と高知赤十字病院が正式に協議して決めていくというお話であり、最終的な決定はその後になると聞いています。是非、地域の方々に理解される形で跡地の利用を考えていただきたいと思いますし、そうしていく方向だと伺っていますので、我々も地元の方々に理解される方向で跡地の利用が決まっていくように努力していきたいと思います。

安倍首相の靖国参拝(1)

(田中:高知放送記者)
 昨日、安倍首相が靖国神社の参拝をしたという報道がありましたが、日中関係が悪化する中、これ以上配慮してもという思いがあったと聞いています。今議会でも、日中関係が悪化する中、「上海事務所をどう見直すべきか」という議論もありました。
 知事は、この時期の首相の靖国参拝をどう捉えているのか。また、靖国参拝によってさらに日中関係が悪化するだろうと思いますが、上海事務所の見直しのあり方をどう進めるべきだと考えるのかをお聞かせください。

(知事)
 総理が靖国神社に参拝されたことについては、私人として大変重い決断を下されて行かれたわけですから、私自身が特段コメントすべきことではないと思います。ただ、一般論として、国のために尊い命を犠牲にされたご英霊に対して手を合わせることは、理解できる行為だと思います。
 他方で、中国や韓国は日本にとって大事な国であり、仲良くしていかなければならない国だと思うわけです。その中国や韓国からの反発が実際生じていることについて、しっかり理解を得るような取り組み、加えて、関係改善を行っていくための取り組みをしっかり進めていくことも必要ではないかと思います。今回のことがあり、より一層この点を徹底していくことが重要ではないかと思います。

 併せて、上海事務所の関係については、日中関係の政治的悪化とは全く関係がありません。そういうことではなく、あくまで経済的な取引をしていくための拠点として、今、事務所を上海に設置していることが妥当であるかどうか、経済効果の問題として我々は捉えています。
 背景には政治的な要因があるのかもしれませんが、あくまで要因の一つに過ぎません。我々が着目しているのは、最近、中国向けの本県からの輸出案件があまり太る状況にないということが一つ。また、昔と違って企業も中国への進出だけでなく、より東南アジア系に進出される方向の議論が高まってきているということを考えた時に、経済における我々の拠点を上海に置くことがふさわしいのか、ということを議論しています。
 逆に言うと、中国でも上海以外の土地に事務所を置くことも、まだ選択肢として当然考えられるわけです。そういう問題ですので、決して日中関係の背景があってということではないことをご説明させていただきたいと思います。

有効求人倍率と産業振興計画

(池:高知新聞記者)
 先ほどの2期目の折り返しのお考えの中で、有効求人倍率が0.77倍と過去最高になったということでしたが、産業振興計画の効果がどの程度であったと評価されているのかということと、新規求人数のうち、パートが全体の42パーセントとまだ割合として多いことについての評価も含め、お考えをお聞きします。

(知事)
 定量的な分析をこれから色々と加えていかないといけないと思います。我々としてのアウトプットそのものは、例えば、地域アクションプランが何百人といったことは分かっているわけですが、定量的にどう評価されるであろうかという辺りでの分析は、最終的にもう少しデータを積み重ねないと分からないと思います。
 ただ、少なくとも定性的に言えるのは、過去、景気がどんなに良くなっても高知県だけ上がらなかった時期が平成12年ぐらいから約10年ありました。それに対して、今回は全国の景気の伸長にあわせて高知県も同じように有効求人倍率が上昇する基調にあります。平成12年から平成16年当時に無く、現在あるものは何かと言えば、産業振興計画の取り組みではないでしょうか。

 また、先ほど、有効求人倍率だけ申し上げたわけではなく、例えば、観光の数字で言えば、県外観光客の入り込み数は、約100万人、30パーセント強ぐらい上振れする形になっています。これは、如実にマクロ経済全体に効いてくる話ですので、そういう背景も合わせ鑑みた時、一定、産業振興計画の取り組みもプラスの方向に効いているのではないかと思います。

 私も最初の知事選挙に出る時、色々お話をいただいていく中で、自分自身の故郷に帰って来ようと思った強烈な動機の一つとして、当時の有効求人倍率の数字があるわけです。私が平成18年当時、官邸のスタッフとして仕事をしていた時に、有効求人倍率が何年ぶりに全国で1を超えました。失われた20年がいよいよ終わったと喜んでいた時に、高知から来られた方が「高知県の有効求人倍率は、たった0.4倍ぐらいです」というお話を伺った時の衝撃は本当に忘れることができません。
 あの時、色々データをずっと集めて調べてみて、こんなに全国で有効求人倍率が上を向いて、どんどん良くなっているのに、何で高知県だけが変わらないんだと思いました。本当に高知県だけ0.45倍を下回るぐらいでずっと変わらない状況を見た時、「故郷は大変なことになっている」と、つくづく思ったことでした。

 いわば、全国の景気の動向に全く連動していないという状況が10何年続いてきたわけです。色々見方はありますが、少なくとも定性的に言えば、足元の人口減少によって対外的なプラスの影響が相殺されてしまうという方向もあります。また、全国の景気がどんなに良くなっても、(全国の経済に)つながっていないので関係ないこともあるなど、色々な要因が複合的に重なっていると思います。
 人口の自然減自体を防ぐことはなかなかできないわけですが、少なくとも全国の経済につながっていくことを通じて、全国の様々な景気の伸長による好影響を県内に呼び込んで来ることはできるはずです。

 産業振興計画における地産外商戦略の目指すところは、「全国の経済につながる」ことだと思います。
 過去の10数年間は(全国の経済に)つながっていなかったので、全国の景気が良くなっても高知県に関係なかったわけですが、今回は全国の景気にあわせて一定つながることができたことが、上に向いてきている一つの要因になっていると言えるのではないかと思います。

 アベノミクスの好影響も、直近の有効求人倍率が0.77倍になった要因でもあるでしょう。ただ、50ヶ月連続で対前年同月の求人数が前の年を上回っているということは、この4年2ヶ月間、ずっと上がり続けているということですから、大きいことだと思います。アベノミクスはたかだかこの10ヶ月くらいですので、アベノミクスが始まる遥か以前、40ヶ月もずっと上がり続けているわけです。ちなみに、その前が対前年で20数ヶ月減少し続けた時期がずっとあったことと比べても、(産業振興計画は)一定効いていると思います。

 しかしながら、率直に言って、パートが多いこともあります。ただ、パートの多さは全国平均とそんなに変わらないので、今の日本経済全体の構造としてそういう形になってきているんだろうと思います。
 過去最高であったので本当に嬉しいし、今日も県庁の産業振興計画のスタッフと打ち合わせをする中で、皆にもお疲れ様という話をし、皆が頑張ってくれたおかげだと本当に思います。けれども、(高知県の有効求人倍率は)たかだか0.77倍であり、本当に喜ぶのは1倍を超えた時だと思います。
 やらなければならないことは多いと思っています。この脆弱な高知県の経済構造の中でどうやって1倍を超えるぐらいまで雇用を生み出していくのか。さらに、産業振興計画のバージョンアップを行い、努力もしていかなくてはならないと思います。

南海トラフ地震対策(1)

(寺田:NHK記者)
 知事も力を入れてこられた(南海トラフ地震対策)特別措置法が今日施行され、年明けから「特別強化地域」の指定や関係自治体との協議を始めていくと思いますが、今日施行されたことについてお考えをお聞かせください。

(知事)
 本当に率直に言って嬉しいですし、感慨深いとも思います。
 去年3月31日に(内閣府から「南海トラフの巨大地震による震度分布・津波高」の)想定が発表されて、絶望的な気分になりましたが、ある意味、逆にその厳しさをバネにして、「何とか国全体を巻き込む方向で頑張ろうじゃないか」ということで、関係県にも声を掛けさせていただき、9県知事会議を結成し、運動してきました。また、国会議員では、特に、本県選出の先生方に大変ご尽力を賜りました。大きな政治的な力を本県選出の国会議員の先生方が作ってくださったわけであり、我々9県知事会議と、そして連動して動いていただいた議長会議の皆さんも加わり、うまい形で力を結集できて、本日に至るということかと思います。

 法成立の時も申し上げましたが、一番大きい意義は、やはり南海トラフ地震という存在自体を、国が真正面から認めたことではないかと思います。今までの法制度は、東海地震と東南海・南海地震の二つの法律に分かれていたわけです。そして、地震対策大綱も東海地震対策大綱と東南海・南海地震対策大綱の二つに分かれていました。
 それが、今回初めて3連動、若しくは4連動、5連動という地震があり得ることを認め、その地震に備えていこうとしたことの意義は、非常に大きいと考えています。

 今回の平成26年度政府予算案を見ても、基本的に予算書の中に書かれている地震の表現は、「南海トラフ巨大地震対策と防災・減災対策を進める」という表現をあらゆる国の予算関係資料の中で使っています。そういう表現が当たり前のように使われるようになってきたことは、この南海トラフ地震対策自体が国策の中心に据わったということだと思います。
 そういう形で国の政策の中における位置付けが大きく変わってきたことは、我々にとってみれば、国の力を大いに引き出すことができたのではないかと考えており、この法律の施行は非常に意義深いと受け止めています。
 そして、個々個別には津波対策や、特に懸案となっていた要配慮者施設の高台移転を支援する制度ができることなど、有効な制度があると思います。今後はこの法律も活かして取り組みを進めていきたいと思います。

 ただ、まだやることはたくさんあります。例えば、新たな地震対策大綱作りをやっていただかなくてはなりません。さらに、この法律にとどまらない様々な南海トラフ地震対策をより総合的に講じていくことも重要だと思います。
 そういう意味では、「国土強靭化対策大綱」も今、作られているところですが、一連の取り組みによって、本当に国を挙げて南海トラフ地震対策に取り組み、本県としても一生懸命取り組んでいくことが大事だと思います。

(寺田:NHK記者)
 高知県は、(津波への対策を国が支援する)「特別強化地域」に大体、指定されるのでしょうか。

(知事)
 当然指定されると思います。既に我々は、内閣府防災担当の事務方の皆さんとも密に連絡をとらせていただき、政省令の設定などの協議も重ねています。そういう流れに沿って、淡々と且つスピード感を持って指定をしていただくことになると思います。

防災関連産業

(古宇田:日経新聞記者)
 防災(関連)産業について、高知県内の企業によるユニークな商品が出てきていますが、今後、どういった形で防災(関連)産業を活性化させていくかを教えてください。

(知事)
 2点あります。まず1点目は、新しい商品を生み出していくことをしっかり応援していくことです。これは関係事業者さん同士のコラボレーションを支援するとともに、やはり技術支援として、テクノロジーの支援だけではなく、様々な製品作りのマーケティング面における支援も含め、そういう対応をしっかりとっていけることが大事だと思います。
 防災関係の製品を色々全国で展開している企業さんにもご協力いただいて、アドバイザーを派遣していただくなど、我々も、ものづくりの応援をさせていただいているところであり、少しずつユニークな良い製品ができつつあるのではないかと、非常に期待しています。

 2点目は、売り込み支援をもう一段強化するということで、年明けに少しトライしていくことになります。「防災関連産業と言えばここに売り込むべき」という企業がありますので、そういう個別企業に、私自身のトップセールスも含めて個別に売り込んでいきたいと思っています。その際、やはり最初のものづくりの部分として、付加価値をつけていくことが非常に重要だと考えています。
 また、防災関係の製品ですので、やはり安全安心の信頼度がものすごく大事であると思います。その安全安心の信頼度をつけるために、認定制度や公的調達制度を設けさせていただいていますので、その制度を大いに活かしていきたいと思っています。そこは、本県のユニークなところの一つだと思います。

「はた博」と「東部博」

(古宇田:日経新聞記者)
 もうすぐ終わる「はた博」の評価と今後始まる「東部博」についてお伺いします。

(知事)
 幡多地域全域で地元の皆さんが結束して取り組みを進められたこと自体、非常に意義のあることだと思います。
 昔は、観光でライバル同士だった幡多地域(の市町村)が、一致団結して取り組みを進めていくことができたのは、非常に有意義だったと思います。
 結果として、(幡多地域への)入り込み客数も(対前年比で)大体2割弱くらい伸びたということであり、具体的な成果としてつながっていると思います。今年は、必ずしも天候条件などに恵まれた年ではなかったわけですが、そういう中でやられたことは本当に大きいことだと思います。

 今後の課題は、今年やったことをいかに定着させるかが大きな課題だと思います。
 幡多広域観光協議会が、「はた博」の取り組みを事実上オペレーション〔運営〕しているわけですが、今回、「はた博」でやったことを来年以降も続けていくことが非常に大事ではないかと思っていまして、先日も(四万十市で開催した)「対話と実行座談会」の中で、そういうお話をさせていただきました。

 実際にこういう地域博をやって、地域の観光組織の力をつけ、そして、自律的に今後も展開できるようにしていくことが、地域観光についての我々の戦略です。(そういう意味で)「はた博」の取り組みは、戦略の中の大きな取組編としては(県内)第1号になると思います。
 この次に、持続可能な形としてどうやってつなげていけるかが、来年の大きな課題だと思います。この前、地域の皆さんと話をさせていただき、地域の皆さんも同じ思いですので、必ずできると思います。

 「東部博」は来年、準備をして再来年にスタートします。是非、東部全域の観光資源をうまくリンクさせながら、全体として非常に魅力的な観光地となっていくことが大事だと思います。その上では、まず(地域が)団結をして組織的な展開ができるようにすることです。
 幡多地域と違って東部地域の場合は、広域観光協議会がまだありませんので、そういう中でどうやって組織体制を整えていくかが次の課題になっていくと思います。当然、「東部博」が終わった後も持続的に続いていく形にするためには、どうあるべきかということをずっと視野に入れ続けて、対策を講じていくことが大事だと思います。
 「東部博」に携わる多くの皆さんの熱気が非常にあるように、受け止めさせていただいているので、是非、「はた博」と同じように良い展開につながっていければと思います。

南海トラフ地震対策(2)

(福井:テレビ高知記者)
 平成25年の年頭所感の時に、「この1年の南海トラフ地震対策に関しては、新行動計画を踏まえた上での実践の年」という位置付けの話をされたと思います。その観点から見た場合、この1年の対策を実践してみてどういった年であり、どういった課題が見えてきたのか。また、それを踏まえての今後の対応についてお願いします。

(知事)
 一言で言うと、「津波からは早く逃げないといけない」ということです。ただ、去年までは、「早く逃げろと言っても逃げる場所がないじゃないか」と多くの住民の皆さんが思っていたと思います。けれども、今の段階になって、「いや、逃げる場所はああいう形で少しずつできてきた」といえる状況にはなりつつあると思います。
 実際、平成27年度までに避難路・避難場所1,437箇所、津波避難タワー117基の整備を計画しており、結構なスピードで準備が進んでいると思います。ただ、今、建設中ですから、形になっていないところもありますが、いずれ整備されることはほぼ確実という状況にまでもっていけたという点では、実践編として大いに前に進めたと思います。

 しかしながら、そのハードを作っても、当然のことながら終わりではなく、そのハードに向けて、いかに要配慮者の方も一緒になって逃げていく態勢が作れるかということが重要です。各地域の津波避難計画作りは、一巡目がほぼ終わりつつあると聞いていますが、より実効性ある形にしていくために改善すべき点は、まだたくさんあると思います。
 実際、地域の避難訓練でも、家には寝たきりのご主人がおいでになるままで、避難訓練に参加している場合もまだまだあるわけです。実際に寝たきりのご主人も一緒になって逃げて行けるようにするためにはどうすればいいかということを考えた場合、もう一段、避難計画のバージョンアップをしていかなければいけないことになると思います。

 逆に言うと、逃げる場所を作る意味においては一歩前に進んだと思いますが、今度はそこに逃げられる一連の準備を、より実践的な形で作り上げていくことが今後の大きな課題になってくると思います。
 より実践的にするということでは、先ほど、津波からの避難を例として申し上げましたが、他にもたくさんあると思います。色んなことにおいて、取り組みをバージョンアップしていかなければならないことは多いと思っていますので、そういう意味において、我々はもう一段、実践を強化していくことが来年の課題になってくると思います。
 そのため、防災対応を進めていく上で何をすべきなのかということについて、県庁の組織を少し前方に展開していくことをやらなくてはいけないのかと思っています。そういう意味では、より実践を行っていくための組織体制のあり方を来年度に向けて考えていくべき時期にきていると思っています。

日米合同防災訓練

(仁木:読売新聞記者)
 沖縄県の仲井眞知事が今日、「辺野古沖に埋め立て申請を承認する」と表明しました。また、政府は「オスプレイを使った訓練を半分程度沖縄県外で実施する」と表明しています。(高知県では)10月にオスプレイを使った訓練を実施するようになっていましたが、直前で中止になりました。今後、(日米合同)防災訓練を含めて、オスプレイを使った訓練や演習を高知県が受け入れる可能性はいかがでしょうか。

(知事)
 沖縄の負担軽減については、全国色んな形で取り組んでいくことが大事であり、ある特定の地域に特別な負荷がかかることではなく、全国で遍く広くこの負担を分かち合うことを徹底していただきたいと思います。そして、その前提として安全対策をしっかり講じていただきたいと思います。
 我々が申し上げたいのは、例えば、軍事訓練という点で言えば、超低空飛行訓練という負担をずっと負ってきた県であり、正直なところ、沖縄の負担軽減の話をする時に、我々は既に相当負担をしてきている県だということです。超低空で、危険且つ夜間に子供が泣き出すような訓練をずっとされてきている県であり、少しでもこの訓練を減らしてほしいという話をしてきているわけです。

 沖縄の負担軽減に、高知県としても貢献はしていくべきだと思いますが、今後、負担の分かち合いをしていく時には、「負担の全国的な公平」と「安全の確保」に併せて、「高知県は既に相当程度の負担をしていることを十分配慮してもらわなければならない」という3点を申し上げたいと思います。
 ちなみに、防災訓練はあくまで防災訓練だと思っていますので、有効であるかどうかという観点から、判断させていただきたいと思います。その際、オスプレイの使用でも防災訓練であれば有効だと我々は思っています。

安倍首相の靖国参拝(2)

(半田:高知新聞記者)
 先ほど、靖国参拝の質問の中で、知事は「亡くなった方に手を合わせる行為は理解できる」とおっしゃいましたが、ご承知のようにA級戦犯の合祀であるとか、政教分離の問題とか、首相の靖国参拝には色々と問題がついて回ります。
 知事はそもそも、首相や閣僚の靖国参拝に関して、当然やるべきであるとお考えなのか、本来はやるべきでないとお考えなのかを教えていただけますか。

(知事)
 私は、先の大戦で亡くなられた方を含め、国のために殉じられた皆様方に対して、手を合わせる行為はしていくべきだと思います。ただ、そのやり方は人によってそれぞれ違うと思います。それが靖国神社への参拝という形もあれば、戦没者御影の参拝という形や、戦没者追悼式への出席という形もあります。

 私はいつも護国神社にお伺いさせていただき、追悼の言葉を述べさせていただいています。さらには、県の戦没者追悼式で追悼の言葉を述べさせていただき、全国の戦没者追悼式に出させていただくという形でやらせていただいています。
 追悼すること自体は、非常に大事なことだと思っていますが、具体的にどういうやり方で追悼するかは、それぞれの判断があると思います。

(半田:高知新聞記者)
 首相(の靖国参拝)に関してはどうですか。

(知事)
 首相に関して言えば、私人として参拝されたということだと思います。時々の国際情勢をより重視して対応するのか、それとも、こういう形で靖国神社への参拝を重視するのかは、言うまでもなくその時々の政治判断だと思います。

「高知家の食卓」県民総選挙

(尾崎:共同通信記者)
 「高知家の食卓」県民総選挙について、数日前に始まったばかりですが、街中でちょっと聞いて回っても、まだ、実際に投票する県民の方が認知していないと感じることが多々あります。改めて知事から県民が投票する意義について、説明をお願いします。

(知事)会見する尾崎知事
 「高知家の食卓」県民総選挙は、県外の皆さんに地元ならではの素晴らしいお店をご紹介するための特別な取り組みです。
 皆さんご存知のように、今、観光振興からいけば、「食」をテーマに売り込みをしている県はたくさんありますので、「食」を売りにしているだけだと、他の県に差をつけることはできません。より高い観光客の欲求に応えていくことが必要であるため、「地元ならではの、地元の人が行きたいお店に、私達も行きたい」と思っている観光客の皆さんのニーズにお応えしていくことで、他の県の一歩先をいきたいと思っています。

 これは即ち、観光客の皆さんに自分の特別のお店を教えてあげるというわけですから、ある意味、「究極のおもてなし」だと思います。ただ、自分の行きたいお店を教えてあげるといった時、やはり多くの皆さんの投票で選ばれたお店になると、信頼感が違ってきます。
 是非、県外の皆さんに信頼性のある特別のおもてなしのメッセージを発するためにも、多くの皆さんに投票していただきたいと思います。さんSUN高知1月号に投票用紙が入っています。何とか投票率10パーセントを目指したいと思いますので、皆さんも投票をよろしくお願いします。

(尾崎:共同通信記者)
 今回の「高知家の食卓」県民総選挙が、来年度に食の文化をPRしていくことにどうつながっていくのでしょうか。

(知事)
 観光では、来年度に「高知家の食卓」という「食」を中心としたキャンペーンをやる予定です。これまでは、歴史を題材にしたキャンペーンをやってきましたが、来年度は「食」を題材にしたキャンペーンをやろうということで、今回の「高知家の食卓」県民総選挙により、(県全体の飲食店舗のうち)トップ1パーセントを選ばせていただくことになります。
 トップ1パーセントについて、店名や具体的なメニューなども紹介させていただくことになるわけです。これを色んな旅行エージェントや旅行商品を作っている方々にもデータを提供して旅行商品に組み込んでいただくようセールスをしていく予定です。

 さらに、高知においでいただいたお客様にも、そういう情報を発信する予定ですし、また、我々自身も、県外にいる個人のお客様にそういう情報を発信していこうと思っています。いわば、観光戦略の中で投票結果をそのまま観光PRに使っていきますので、そういう意味では、「高知家の食卓」という観光キャンペーンの中核になると思います。

(尾崎:共同通信記者)
 (今回の投票結果が)命運を握っているのでしょうか。

(知事)
 命運を握っていると思います。あまり投票率が低いとデータに信頼性がないと言われても困るので、(県民の皆様には)たくさん投票していただきたいと思います。

(司会)
 以上で記者会見を終わらせていただきます。

 

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