知事の定例記者会見(平成26年を迎えるにあたって 平成26年1月1日)

公開日 2014年01月09日

更新日 2014年03月31日

知事の定例記者会見(平成26年を迎えるにあたって)

平成26年1月1日(水曜日) 15時15分から16時7分  知事室

高知家元年
産業振興計画の推進
日本一の健康長寿県づくり
南海トラフ地震対策
教育改革の推進
中山間対策
国への対応
県勢浮揚を目指して

<以下、質疑>
今年のキャッチフレーズ
少年非行の防止対策
移住促進の取り組み
少子化対策と男女共同参画の抜本強化
減反政策の見直し


高知家元年

(知事)会見する尾﨑知事
 県民の皆様、明けましておめでとうございます。2014年の年頭にあたり、所感を述べさせていただきたいと思います。
 まずは、県民の皆様、それぞれによき新年をお迎えのことと思います。本当に心からお慶び申し上げます。

 昨年は、高知県にとって「高知家元年」と言える年であったかと思います。「高知家」の取り組みを通じて、「高知県のひとつの大家族のような温かさ」を全国に発信する取り組みを始めた年でした。
 昨年の秋、首都圏や関西圏の5千人の皆様に、高知県のイメージ調査を実施したところ、高知県に過去5年以内に来たことがあって、且つ「高知家」の取り組みをご存知の方々の高知県に対する好感度が約92パーセントにも至るということで、これは大変嬉しいニュースであったと思います。
 一つの大家族のような温かさを持つ高知県に、実際においでいただいて高知のことを好きになっていただき、また、「高知家」プロモーションに好感を持っていただいたことを意味しているのではないかと思っており、本当に嬉しいことでありました。

 今年は、「高知家」の取り組みをさらに進めていき、様々な産業振興の取り組み、さらには福祉の充実の取り組み、そして災害対策の取り組みなど、色々な取り組みにつなげていきたいと考えています。
 今年も「飛躍への挑戦」を続け、より一層力を入れて取り組みを進めていきたいと考えています。我々も全力で取り組んでいきますので、是非とも県民の皆様方のご指導、ご鞭撻を心からお願い申し上げたいと思います。
 それでは、年頭にあたり個々の政策の項目について、今年1年の所感を述べさせていただきます。


産業振興計画の推進


 まず、「産業振興計画の取り組み」です。これまで、第1期産業振興計画バージョン1から現在の第2期産業振興計画バージョン2に至るまで約5年間の取り組みを進めてきました。この間、昨年12月に有効求人倍率が0.77倍と過去最高値になり、これまで50ヶ月間連続で求人数が対前年同月を上回る状況が続いてきました。
 また、観光についても、昨年1年間の県外観光客の入り込み数が概ね400万人と、目標を達成できました。様々な取り組みに対する手応えは、一定出てきたのではないかと思っています。

 しかしながら、有効求人倍率が過去最高値になったといっても、たかだか0.77倍であること自体に本県経済の非常に厳しい構造が象徴的に物語られているのではないかと思います。まだまだやるべきことはたくさんあります。いや、もっと力を入れて取り組みを進めていき、本県の県勢浮揚を成し遂げていかなければならないと思っています。
 そのため、産業振興計画を平成26年度から、さらにもう一段バージョンアップを行い、パワーアップして取り組みを進めていきたいと考えているところであり、今、予算編成過程の中で、どのように強化をしていくことができるか、これまでの取り組みも踏まえながら、検討を進めているところです。

 地産外商の取り組みについては、高知県地産外商公社が手がけている様々な外商の取り組みがスタートした平成21年度の成約件数は178件であったものが、平成24年度には2,600件を超えるところまで拡大し、また、平成25年度においても、さらに平成24年度を上回るペースとなっているなど、一定の成果は出てきていると思っています。
 県勢浮揚につながるだけの地産外商の取り組みを進めていくためにも、より多くの皆様に参加していただけるような仕組みを講じていかなければならないと考えていますので、「高知家」プロモーションと具体的に連動させていく形で、地産外商の取り組みをさらに強化し、対象を広げていく取り組みを、特に今年は力を入れていきたいと考えています。

 この地産外商の地産にあたる「一次産業の振興」について、やらなければならないことは非常に多いと思っています。一次産業のそれぞれの分野で、非常にインパクトのある施策を行っていきたいと考えています。
 農業の分野については、国の施策も取り込みながら、高知県の中に次世代の農業を普及させていく拠点、「次世代施設園芸団地」を作っていきたいと思います。そして、「担い手育成センター」の整備も併設して行っていくことで、先進技術の開発、そして新しい担い手の育成につなげていけるようにしていきたいと考えています。
 林業の分野については昨年、大型製材工場が始動するという形で、ステップアップした年になりました。今年はこれに加えて、木質バイオマスの取り組みを強化します。さらには、CLT普及のための取り組みを強化していくことで、いわば「CLT元年」とも言えるような年にしていければと考えています。
 水産業の分野については、養殖の取り組みに力を入れていくことに加えて、特に首都圏や関西圏などの大都市圏を中心に、高知県の魚をより効果的に売り込んでいけるための外商体制の強化に取り組んでいけないかと、検討を進めているところです。
 それぞれの分野でインパクトのある施策を展開することにより、「一次産業の振興」につなげていけるよう、取り組みを進めていきたいと考えています。

 ものづくりの分野については今年、もう一段の飛躍を狙っていきたいと考えています。技術支援をはじめ、様々なビジネスプランを作っていく取り組みを応援します。さらには、設備投資や外商の応援をしていくことで、一連の川上から川下までのパッケージとなった施策の展開により、本県のものづくりをもう一段パワーアップできるような取り組みにつなげていけないかと考えています。
 産業振興計画の柱である「ものづくりの振興」の強化を掲げて2年が経とうとしています。今年は、これまで2年間の取り組みの土台の上に立ち、もう一段バージョンアップを図っていきたいと思います。

 企業誘致の点については、特に、平成26年度から大きな形で取り組みが進んでいくだろうと思っています。具体的には、香南工業団地が今月末から分譲を開始する予定となっていますので、そういう取り組みも活かしていきながら、ものづくりの基盤の強化につなげていきたいと思います。
 さらには、中山間地域において、様々なオフィスの誘致を図っていく取り組みについても、今年大いに前進させていきたいと考えています。日本でも最高レベルの誘致施策を持っていると自負していますので、対外的なネットワークも活かしながら、小規模なものから大規模なものまで様々な企業の誘致につなげていくことを、今年は狙っていきたいと考えています。

 観光の面については、概ね400万人観光を達成することができました。平成19年頃には、300万人でしたので、約3割拡大することができました。
 この間、それぞれの地域地域において、観光資源を磨き上げて旅行商品に仕立て上げ、それを効果的にプロモーションする取り組みが行われてきました。特に、幡多地域においては「はた博」という形で、昨年は大きな成果を挙げることができた年でした。今年は、400万人観光の定着をしっかりと図っていけるように、さらなる取り組みを進めていきたいと考えています。
 東京や大阪など県外の皆様からも意見をいただきながら、地域地域の旅行商品の磨き上げ、さらには、観光資源の磨き上げをしていけるようなシステムを作り上げていきたいと思います。さらには、地域の観光振興を担っていく組織の強化を図っていくことを進めていきたいと考えています。
 今年は、来年の「東部博」開催に向けて、準備が本格化していく年となるわけです。去年行いました「はた博」の取り組みを幡多地域において定着させていくとともに、来年の「東部博」に向けて、東部地域においても地域の観光を強化していく年にできればと思います。

 そして、県全体(の観光)を底上げしていくために、今年は新しい観光キャンペーン「高知家の食卓」を行っていきたいと考えており、現在、『「高知家の食卓」県民総選挙』を実施しているところです。
 この『「高知家の食卓」県民総選挙』は、高知県の最高の売りである美味しい食べ物を前面に打ち出して、観光客の皆様を本県へ誘客しようという取り組みです。そのため、他の県と違う一歩踏み込んだ取り組みを行っていきたいと考えており、単に「食」をPRするだけではなく、地元の人がいつも行っている美味しいお店を観光客の皆様にもご紹介し、より観光客の皆様の高いニーズに応えられるようにしていきたいと考えています。
 県の広報紙さんSUN高知1月号に、『「高知家の食卓」県民総選挙』の投票用紙も一緒に掲載させていただいていますので、観光客の皆様に自分だけのとっておきのお店をご紹介してあげていただきたいと思います。これはある意味、「究極のおもてなし」だと思っていますので、是非、県民の多くの皆さまにご参加いただきますようよろしくお願い申し上げます。

 以上のような形で、産業振興の様々な施策についてバージョンアップを行っていきたいと考えています。現在、来年度に向けた予算審議を関係部局と鋭意取り組んでいるところですが、産業振興の取り組みを進めていくにあたり、三つの点に力を入れていきながら、全体の産業振興を図っていきたいと考えています。

 1点目は、「高知家」プロモーションをさらに進めていき、この「高知家」プロモーションの下で統一して県外への外商活動・観光誘客・移住促進に取り組んでいくということです。先ほど申し上げたように、「高知家元年」のプロモーションとしては一定の成果を挙げることができたと思いますし、高知県への好感度も一定高かったという点は良かったと思います。
 今年は、この「高知家」プロモーションをさらに切れ目なく展開していくことで、より一層、外商活動の取り組み、さらには観光誘客の取り組み、そして、移住促進の取り組みといった具体策と連動させる形で連携させていき、より実益につなげていく取り組みを強化したいと考えています。

 2点目は、移住促進策の強化に力を入れていきたいと考えています。先ほど、申し上げた地産外商や観光誘客の新しい取り組みが県内各地でスタートしています。こうした新しい取り組みをスタートさせていくためには新しい力が必要です。移住促進を通じて、人の財産と書いて「人財」を県外からたくさん誘致してくることによって、地元の皆様と力をあわせて新しい動きが加速していくといった流れを作っていけないものかと考えています。
 移住促進を通じて「人財誘致」を行い、そして、地元の力とコラボレーションが起こり、新しい動きが加速していくという高知県でありたいと考えています。そういう意味では、今年は「人財誘致促進の年」と言えるのではないかと。是非そういう年にしたいと考えています。
 今、移住促進策の一連の取り組みを、さらに抜本強化すべく鋭意検討を重ねているところであり、移住促進策の抜本強化を通じて、「人財誘致」を促進し、そして地域地域で新しく動き始めた色んな動きをさらに加速していく年にしていきたいと考えています。

 3点目は、様々な対外的な連携をさらに強化していくということです。官民協働で行っていくこと、そして市町村と県政との連携協調を図っていくことについて、より徹底していきたいと考えています。例えば、今年度からは、四国4県での連携をさらに強化していくことも考えられるのではないかと思っています。また、県外企業の皆様との連携を強化していくことも考えられるのではないかと思っています。
 「四国地方産業競争力協議会」では今、四国全体の産業振興に向けた計画づくりが行われているところです。四国全体で力を合わせることにより、単県では乗り越えられない壁を乗り越えていくこともできる分野もたくさんあると考えており、そういう取り組みをさらに強化していきたいと思います。
 さらには、「高知家」プロモーションを通じて、民間企業の皆様との連携も強化できればと考えています。例えば、高知県内の銀行の皆様とも連携を結ばせていただきました。また、県外企業の皆様とも連携を結ばせていただきました。こういう官民の連携の輪をさらに対外的にも広げていければありがたいと考えています。

 以上、『「高知家」プロモーションとの連動』、『移住促進策のさらなる強化によって新しい「人財誘致」を図っていくこと』、そして、『対外的な連携の強化を図っていくこと』の三つの視点でもって、産業振興計画のさらなるバージョンアップを図っていきたいと考えています。


日本一の健康長寿県づくり>


 続いて、「日本一の健康長寿県構想」についてです。「保健」、「医療」、「福祉」のそれぞれの分野について、現在続けている取り組みを継続し、さらに強化していきたいと考えています。
 「保健」の分野については、健診の受診率向上、さらには、喫煙と高血圧対策の強化に向けた取り組みを継続していきます。併せて、今年度からスタートしている健康教育の取り組みを小学生から高校生までの年代において実施できるよう、今年は健康教育をさらに強化していきたいと考えています。

 「医療」の分野については、県立あき総合病院が今年4月にフルオープンするなど、新しい動きが出てくる年になります。引き続き、医師確保や救急医療提供体制の強化に取り組んでいかなければならないと思っています。
 特に、医師確保の取り組みについては、奨学貸付金を受給して卒業される学生達が今後、急激に増えてきますので、若手医師の育成に力を入れていくことが非常に重要になってくるのではないかと思います。
 さらに、救急医療の問題については、非常に厳しい状況が続いており、現場の先生方に大変ご苦労をおかけしています。この救急医療をより効果的・効率的に実施できるよう、昨年は検討会を立ち上げて検討を始めました。特に、ICTを活用した、より効果的・効率的な救急医療提供体制のあり方はないものかと検討を重ねてきました。今年は、救急医療のより良いシステムが作っていけるよう、努力を重ねていきたいと考えています。

 「福祉」の分野については、「あったかふれあいセンター」や「こうち支え合いチャレンジプロジェクト」の取り組みを継続していくとともに、特に今年は新しい取り組みとして、認知症の早期発見とその対応を強化していくことや、少子化対策と男女共同参画の抜本強化に向けた取り組みに力を入れていきたいと考えています。
 特に、少子化対策については、私も全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーとして、国に対して政策提言等を積み重ねてきました。高知県においても全国の展開に機を合わせてと言うより、さらにその前を行く形で、少子化対策に大いに力を入れていきたいと思います。そして、その背景の一つともなる男女共同参画の推進についても、今年は抜本的に取り組みを強化していくことができないかと考えています。


南海トラフ地震対策


 次に、「南海トラフ地震対策」について、こちらも県政の最重要課題の一つです。昨年1年間はある意味、国を巻き込み、国を動かす取り組みが一定できた年ではなかったかと思っています。「南海トラフ地震対策特別措置法」が昨年制定され、年末に施行されたことは、本当に大きな成果であったと思います。
 そして、国の予算においても、この法律関連の予算がしっかりと計上され、防災・減災対策の関係予算について、十分に予算措置がなされることとなり、非常に良かったと思います。ある意味、国策の中心に南海トラフ地震対策が据わることになったと言えるのではないかと考えています。
 これまでの間、本当に多くの皆様のお世話になりました。本県選出の国会議員の先生方にも本当にご尽力をいただきました。関係する皆様に本当に心から御礼を申し上げたいと思います。

 この新たにできた制度によって、国の力を活かし、南海トラフ地震対策をさらに加速していくことに挑戦しなければならないのが本年です。(南海トラフ地震対策の)さらなる加速に向けて取り組みを強化し、国に対してもさらに交渉力を発揮していきたいと思います。
 県としてこの2年間は、特に津波対策について大変力を入れて取り組んできました。引き続き、津波対策にしっかりと取り組み、避難路・避難場所、そして津波避難タワーの整備を進めていきたいと考えています。そういう中において、地域地域の避難計画づくりをよりきめ細かく実施していくことが非常に重要かと思います。

 要配慮者対策については、「こうち支え合いチャレンジプロジェクト」をはじめとした、支え合いの絆のネットワークを作っていく取り組みを通じて、地域において要配慮者の皆様も巻き込んだ形での避難計画がしっかり作られていくことを目指していきたいと考えています。
 そうして作った支え合いの絆のネットワークが、いざという時には災害のために、普段においては福祉の支え合いのネットワークとして機能するという姿を目指した取り組みを進めていきたいと考えています。
 併せて、揺れ対策や火災対策にも視野を広げて、発災直後の命を守る対策について、相当の完成度を目指して取り組みを進めていきたいと考えています。そして今年は、発災直後のみならず応急期の対策にさらに踏み込んで強化していく年にしていきたいと考えています。

 昨年9月の補正予算から、この応急期の対策について事実上スタートをいたしましたが、平成26年度はより本格化させていく年になるわけです。応急期の対策として大事なことは、十分な規模の避難所を確保できるか。避難所が孤立しても人々の命をつないでいけるような、自活できる体制を作ることができるかどうかが、非常に大きなポイントとなります。そして、その避難所の取り組みをバックアップできる総合防災拠点の整備を進めていくことも、非常に大きな取り組みの一つだと考えています。

 また、災害時の医療救護のあり方について、より抜本的な取り組みの強化を図っていくことも重要であろうかと考えています。この災害時の医療救護の取り組みを強化するということは、非常に厳しい課題がたくさんありますので、国も巻き込んでいかなければなりません。
 国土強靭化政策大綱づくりに向けて、防災大臣の下にあるナショナル・レジリエンス懇談会の委員として、私も様々な意見を述べさせていただき、特に災害時の医療救護のあり方の抜本強化を国に訴えてきました。この大綱にも盛り込まれる方向であり、国の取り組みにおいても一定強化されるでしょう。しかしながら、地域地域でより密着した形で、災害時の医療救護のあり方をどうするべきか、しっかりと考えていかなければならないと思っています。

 昨年12月27日に、南海トラフ地震における応急期の対策を検討するための懇談会を、全国から有識者の皆様に集まっていただき、開催させていただきました。災害時の医療救護のあり方について、現実を見据えての対策をしっかりと練り上げていき、県の対策に活かしていくとともに、国に対する政策提言にもつなげていきたいと考えています。
 応急期の対策を練り上げていくことは、南海トラフ地震対策行動計画の大きな柱の一つです。取り組みをさらに強化していくよう、全力を挙げて進めていきたいと考えています。


教育改革の推進


 次に、「教育改革の取り組み」です。高知県の子ども達の「知」「徳」「体」、それぞれを向上させていく取り組みを今年もしっかりと腰を据えて進めていきます。
 学力の面においては一定、全国学力・学習状況調査などの結果にも、学力向上対策の成果が出てきました。しかしながら、まだ目標に達している状況ではありませんので、1回1回の分析によって分かってきた高知県の弱点をしっかりと伸ばしていくような対策を進めていきたいと思います。
 例えば、中学校の数学では、やはり応用問題をはじめとして、まだまだ弱いところも見えています。そのための対策を去年9月から始めたところでしたが、さらなる強化につなげていけるように取り組みを進めていきたいと考えています。

 また、徳育のさらなる充実を図り、体力向上のための取り組みを図っていくことで、「知」「徳」「体」相い揃って、全体としての向上が図られるよう、この3点をしっかり視野に入れた取り組みを進めていきたいと考えています。
 そういう中において、昨年、新しい取り組みとして大いに力を入れ始めたのが、少年の非行防止対策です。残念ながら高知県では、平成21年から平成23年まで非行率全国ワースト1位という状況が続き、平成24年はワースト2位でした。極めて厳しい状況が続いていることに変わりはありません。様々な形で少年非行の入口対策、そして、更生していく段階における対策などを強化しようということで、知事部局、教育委員会、そして県警本部の三者が連携して取り組みを進めようと、「高知家の子ども見守りプラン」を昨年6月に策定しました。

 昨年末には、コンビニ各社(ローソン、スリーエフ、ファミリーマート、サークルケイ、サンクス)の皆様と「青少年の万引き及び深夜徘徊防止のための一声運動」という形で協定を結ばせていただくなど、具体的に地域での取り組みにつながっていくような広がりも少しずつ出てきています。高知県の子ども達の健全育成に資するように、非行防止対策をしっかりと今年も進めていきたいと考えています。
 併せて、昨年9月に施行された「いじめ防止対策推進法」に基づき、「高知県いじめ防止基本方針」を年度中に策定しますので、いじめ防止対策もさらなる強化を図っていく年になると考えています。

 高知龍馬マラソン2014の開催まで、1カ月余りとなりました。約5千人のランナーが参加していただく見通しとなっています。この高知龍馬マラソンでは、高知県を対外発信し、県外から来られた皆様をおもてなしして、また、高知ファンになっていただく絶好の機会です。去年は、沿道から温かいメッセージを送っていただいたことがランナーの皆様に大変好評であったと伺っています。高知龍馬マラソンの時には、県民の皆様に交通規制などにより大変ご迷惑をおかけすることとなりますが、ご理解とご協力を心からお願い申し上げます。


中山間対策


 五つの基本政策を融合させる形で、中山間対策の抜本強化の取り組みを継続していきたいと考えています。
 集落活動センターが去年末までに11カ所でオープンしました。地域の資源を活かして、集落に元気を取り戻していこうという取り組みが本格的にスタートしてきたわけです。ただ、もっと集落活動センターの取り組みが県内各地で実施されるようにしていかなければなりません。集落活動センターの取り組みをはじめとする中山間対策を強化していくために、二つの視点を取り入れていきたいと思っています。

 1点目は、地域の資源を活かすということに併せて、外から新しい力を地域に取り込んでくるような取り組みを、集落活動センターの取り組みと連動させていくことができないかと思っています。地域に新しい力をもたらすような新しいプランを外から提案していただき、そして、手を挙げていただいた地域に導入していくような取り組みも考えられるのではないかと思います。

 2点目は、移住促進策としっかり連動させていくことが重要ではないかと考えています。「地域で意欲的な取り組みをしようとしても担い手がいない」というお話を伺うことがたくさんあります。こうした地域に「人財」を誘致してくることで、中山間のそれぞれの集落に活力をもたらす取り組みを進めていくことができないかと思っています。そういう意味でも、今年は、「人財誘致促進の年」として取り組みを進めていきたいと考えています。
 地域における新たな挑戦が挑戦を呼び、地域において「人財」を域外から誘致することがさらなる「人財」を呼ぶ。そういう好循環を作り出していきたいと考えています。新たに域外からやって来られた「人財」が、地域に元々いる「人財」と力を合わせていくことで、お互いの良いところを伸ばしあって新しい取り組みが加速していくという形にしていきたいと考えています。

 移住促進策を中心とした各種の施策を組み合わせていくことで、有為な「人財」が集まり、光り輝くような高知県にしていきたいと考えています。


国への対応


 最後に、国に対して、引き続き高知県の厳しい状況などをしっかりと対外発信していくことにより、国の力を引き出して、高知のために活かしてきたいと考えています。
 例えば、アベノミクスの成長戦略の効果が地域地域に及ぶよう、取り組みを強化してもらいたいと思いますし、防災・減災対策についても、さらに強化をしっかりしていただきたいと考えています。また、TPP交渉においては、地域を守る視点を持って取り組みをしっかりと進めてもらいたいと考えています。

 そういう中において、単に待ちの姿勢でいて国を後から批判するだけではいけないと考えています。全国知事会や関係する県の皆様、さらには我々単県でも、色んな方々としっかりと連携をしていきながら、国に対する交渉力をしっかり持ち続け、さらなる対外発信の強化をしていきたいと考えています。


県勢浮揚を目指して


 県勢浮揚を目指して、今年も全力で頑張っていきたいと考えています。高知県の皆様方のさらなる生活と福祉の向上を目指して、本年も全力で取り組みを進めていきます。私自身も一生懸命頑張らせていただきたいと考えています。
 県民の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、私の年頭所感とさせていただきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


<以下、質疑>


今年のキャッチフレーズ

(井上:高知新聞記者)
 毎年、その1年のキャッチフレーズということで、「飛躍への挑戦」や「本気で実行」などがありました。今年に関しては、何かありますでしょうか。

(知事) 
 今年も「飛躍への挑戦」ということは変わりません。「飛躍への挑戦」は、1年、2年で終わることではなく、ある意味、2期目を通じたキャッチフレーズだと思っていますので、色んな取り組みにおいて「飛躍への挑戦」というキャッチフレーズを、引き続き使わせてもらいたいと思っています。
 その上で今年の特徴的な一言として言わせていただければ、先ほど申し上げた「人財誘致促進の年」にしていきたいと考えています。中山間の振興、さらには産業振興や福祉の充実など、色んな面において、それぞれの地域で域外から、人の財産と書いて「人財」を誘致していくことが非常に効果的ではないかと思っています。

 特に、「対話と実行行脚」を通じて中山間地域の色んな集落を回らせていただいた時、「新しい取り組みをしようとしているが、担い手がいない」というお話をたくさん伺いました。そういうところに、新しい担い手の方が来てくださることで、地元の皆様の今までの頑張りが報われ、より効果が出てくることもたくさん起こり得るのではないかと思いました。
 それぞれの集落にとっては域外から、さらに本県全体としては県外から、色んな人を集めてこられるという一種の求心力を持った高知県でありたいものだと思っています。そういう思いを込めて、「人財誘致促進の年」にしたいと思います。


少年非行の防止対策

(福井:テレビ高知記者)
 少年非行について、平成25年度に策定した「高知家の子ども見守りプラン」の中に盛り込まれ、見守り活動が始まったと思います。ただ、県議会の委員会では、「教育現場は実際のところ、警察に踏み込まれたくない」といった質問があったりしましたが、知事はその中で「垣根を飛び越えて三者連携を深めて本格的に始める」ということを強調されたと思います。これまでの取り組みを改めて振り返ってどうであったか。また、(教育現場と警察の)垣根は取り払うことができたのかをお伺いします。

(知事)
 知事部局と教育委員会、県警本部の三者連携で一つの政策プランに向かって進めていく取り組み自体は、全国的にも珍しいのではないかと思います。それだけにそれぞれの垣根があるということだと思います。
 そういう意味では、三者連携して取り組みを進め始めたこと自体は、大きな意義があったと思います。ただ、やはり先ほども申し上げたようにまだ始まったばかりですので、まだまだ改善しなければならない点は多いと思います。ですので、これからさらに取り組みを継続し、そして、バージョンアップをしていくことが非常に重要だと思います。

 特に、警察との関係で言えば、重要な点が二つあると思います。1点目は、少年サポートセンターのような形で立ち直りを支援していく中において、警察の果たしてきた役割は大きいと思います。その体制を抜本的に充実強化するよう今、準備を進めているところであり、そうしたことをしっかり成し遂げていきたいと考えています。
 また、犯罪の入口に立つような状況を抑止していく観点からも、警察の果たす役割は、一定大きいと思っています。犯罪を犯す前の入口対策として、警察が非行防止教室を徹底してやっています。また、自転車盗難防止のための「鍵をかけようキャンペーン」も大きな効果を出しているらしいです。こうしたキャンペーンをしっかりやっていくことで実際の被害が減る、すなわち加害者が減ることにつながりますので、効果はあると思います。
 さらには、残念ながら犯罪を犯すに至った子であっても、その子達の立ち直りをサポートしていくための、少年サポートセンターの取り組みなどを充実強化することで、側面から子ども達をバックアップすることができますので、(関係機関の)連携は重要だと思っています。

 2点目は、知事部局、警察、教育委員会の連携にとどまらず、やはり地域社会とも連携を進めていくことが非常に重要だと思います。民生委員や児童委員の皆様との連携により、今までも様々な取り組みを進めさせていただきましたが、さらに実効あるようにしていかなければならないと思います。
 また、昨年末にはコンビニエンスストアの皆様と協定を結ばせていただきました。コンビニエンスストアの皆様のネットワークは大変大きいですので、(コンビニエンスストアを訪れる子ども達に店員の皆様から)声をかけていただく運動をして、見守っていただこうという協定を結ばせていただきました。こういうネットワークを今後より広げて、且つそれぞれのネットワークをより強固なものにしていく形で取り組みを進めていければと思っています。


移住促進の取り組み

(田中:高知放送記者)
 先ほど、今年は「人財誘致促進の年」にしたいということで、高知県が求心力を持って県外から様々な「人財」を担い手として誘致していきたいということですが、良い「人財」というのは多分、他の県でも引く手あまたと思います。具体的にどうやって高知県に「人財」を誘致させていこうと考えているのでしょうか。

(知事)
 県内では、色んな人の志に訴えるであろうと思えるようなプロジェクトが始まっています。観光振興にしても、さらには地産外商にしても、実際に新しい動きが色んなところで始まっているプロジェクトを、私は、「対話と実行行脚」などを通じて、地域にお伺いする中で触れさせていただきました。「こういうプロジェクトが始まっています。是非、皆さん一緒にやりませんか」という形で、個別にアクティブに対外発信をしていきたいと考えています。
 今の移住促進策は、どちらかと言うと、「高知家」プロモーションでもって全体的に広く発信して、その中で関心を示したくれた方に寄り添い、具体的に移住に向けて一緒に進めさせていただくやり方です。これまで、「高知家」プロモーションと絡ませて取り組みを進めてきて、もう既に去年1年間の移住者を超える形で、高知県へ移住していただいていますので、一定効果は出てきていると思います。

 今後は、そういう取り組みを進めながらも、「この地域において清流を活かしたこういう観光振興をやろうというプロジェクトが立ち上がっています。是非、このプロジェクトに参加してくださる方はいませんか」という形で全国に個別プロジェクトを発信し、それに応募してくださった方に移住していただくようにすることができないものかと思っています。
 こうしたプロジェクトごとのアクティブな情報発信を積極的に行うことをやっていきたいと思います。具体的にどうやるのか、システムはどういうふうに組んでいくのかといったことを今、一生懸命検討しているところです。


少子化対策と男女共同参画の抜本強化

(井上:高知新聞記者)
 「日本一の健康長寿県構想」の福祉分野で、少子化対策と男女共同参画の抜本強化という言葉がありましたが、もう少し具体的に何か考えている施策があれば(教えてください)。

(知事)
 私は、政府の「子ども・子育て会議」の委員になっており、先日も会議へ出席してきました。その場でも申し上げたことですが、政府の少子化対策は、基本的に待機児童問題の解消に象徴されるように、子育て面に非常にウェイトが置かれています。
 しかしながら、少子化対策の問題をより広範囲で見ていくと、例えば、50代になられた方で結婚していない人が、高知県の場合は4人に1人から5人に1人いらっしゃるというような形であり、そもそも結婚していないところから少子化問題の原因はあると思います。
 そして、結婚されてお子さんを持たれたとしても、それで職を失ってしまい復職できなかった。結果として経済的事情もあって、それ以上のお子さんは諦めざるを得なかったという場合もあるわけです。すると今度は、実際に働きながら子育てすることを、第2子、第3子以降も含めて長期的にどう支援していくかという問題になってくるわけです。そういう意味において、子育てという段階の前後の対策も含めて総合的に進めていくことが非常に重要ではないかと思います。

 そういうことで、全国知事会としても、ライフステージ全般に応じた少子化対策の実行を強く訴えてきました。結婚したいと思っている人ができるように、そして、子どもを持ちたいと思っている方が持ちたいと思っておられる人数をお持ちになれるように、個人のそれぞれの意思ができるだけ実現できるようにするため、少子化対策をより強化する必要があると考えています。

 同様に、高知県もそういう形でやりたいと思っており、ライフステージ全般に応じて少子化対策を強化していきます。出会い、そして妊娠や出産の安全な環境づくり、さらには子育ての応援とその後の復職支援に向けた環境づくり、また、当然のことですが、全般的な教育の充実という一連の取り組みをしっかり進めていく形で取り組んでいきたいと思います。
 男女共同参画についても様々な取り組みがあります。特に、少子化対策と重複している「働きながら子育てができる」という部分についての対策の強化を図っていくことができないかということで、復職支援に力を入れていくことを考えています。


減反政策の見直し

(天野:朝日新聞記者)
 先だって、農林水産省が新しい米政策を打ち出しました。私自身は、中山間地域を一定切り捨てていく方向という認識で見ています。その辺りも高知県の施策とはかなり違う方向に、国は向かっているような気がしますが、知事ご自身、あるいは全国知事会や地方の知事さん達の認識はどんな感じでしょうか。

(知事)
 新しい日本型直接支払制度ができたこともあり、一定、中山間に対する配慮もなされているとは思いますが、実際の運用においてどうなっていくかは、よく見ていかないといけない状況かと思います。
 「減反廃止」と「(定額補助金を)15,000円から7,500円に半減」というところだけは一時、非常にセンセーショナルに世の中に発表されました。
 もっと言うと、かなり複雑な制度改編であり、ものすごいスピードで物事が決まっていったので、正直なところ、事態の推移がちょっとよく分からないまま物事が決まり、後になって我々も慌てて色々情報を集め、話をしていったところが結構あったりもしました。そういうところが余計な不安感を助長している点もあるのではないかと思っています。

 正直なところ、減反に伴う個々個人に対する支払金額は減っていく形にはなっています。他方で、中山間の集落を維持するための支払制度を創設するという形で、一定、全体としてバランスのとれた方向を目指そうとしているのではないかと、私は理解しています。
 しかしながら、それが実際に中山間地域に対して、量的にどれだけプラスなのか、若しくはマイナスなのかというところは、まだ完全には見極められていないところがあると思っています。議会でも申し上げましたが、具体的にどう適用されていくかということについて、これから詳細な制度設計が行われることになっていきますので、そこをしっかりと見極めて中山間地域の切り捨てにならないように、訴えていかなければならないと思っています。

 あと、是非これをやってもらいたいと思うのは、やはり「こうち型集落営農」への支援です。「こうち型集落営農」とは、集落営農の取り組みの中に園芸作物を一緒にかましていくことで、通年現金収入が得られる集落を目指そうという取り組みです。今、県内で16カ所から17カ所ぐらい作られていますので、そういう取り組みを是非、(国に)応援してもらいたいと考えています。
 中山間地域において、条件が悪い中でも一定、高付加価値の作物が作れるような集落づくりが、私共の目指すべき一つの方向だと思っていまして、棚田で米を作っていくことも大事なことですが、併せて、現金収入が比較的通年を通じて得られるような集落づくりをしていくことが大事だと思っています。

 そういう中において、我々が今、目指そうとしている新しい園芸システムの開発であるとか、さらには、新しい担い手の確保のための取り組みは、農地中間管理機構の取り組みと合わせて、有効な取り組みとなり得るのではないかと思っています。
 いずれにしても、今回の一連の農業政策の結果、全くおかしな制度になりつつあるのかというと、当初心配したほどではなくなっていると思いますし、一定のバランスをとってくれる形で進んでいるのではないかと思っています。

 しかしながら、引き続き、中山間地域の切り捨てになり得る可能性はあると思っていますので、国の対応を注視して取り組んでいきたいと思います。もっと言うと、待ちの姿勢ではなく、先ほど申し上げた「こうち型集落営農」のような中山間地域でも暮らしていける農業づくりを我々自身が進めていかないといけませんし、それに有利となるような制度を国から引き出してくることをやっていかないといけないと思っています。
 次世代施設園芸拠点などにしても一定、良い方向には向いていると思いますが、まだ(国に)してもらいたいことはたくさんあります。

(司会)
 以上で終わらせていただきます。

 

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