平成26年4月24日  知事の定例記者会見

公開日 2014年12月17日

知事の定例記者会見

平成26年4月24日(木曜日) 14時00分から15時00分  第一応接室

県中央地域の公共交通 (1)
参議院選挙制度改革
本年度の政策提言
談合問題
四国地方産業競争力協議会 (1)
県中央地域の公共交通 (2)
高知家 (1)
人口動向
四国地方産業競争力協議会 (2)
高知家 (2)
漁獲量の減少
日米共同統合防災訓練

配布資料

飛躍への挑戦! 産業振興計画[PDF:2MB]

 

(知事)
 お手元に産業振興計画絡みの資料をお配りしておりますのでご覧ください。

県中央地域の公共交通 (1)

(小笠原:高知新聞)
 県中央部の公共交通の再編論議について、4月以降、土佐電鉄と県交通の経営統合を軸に議論が進んでおり、4月28日に新しいスキーム案が示されるなど、かなりスピーディに進んでいるように見受けられますが、県の基本スタンスや現時点までの協議の評価・総括、今後の見通しについてお伺いします。

(知事)
 県民の皆さまの生活を支える中央地域公共交通システムをしっかりと守っていくことが基本スタンスですが、ただ守るだけではなく、利便性が高く、多くの方々が利用することによって持続可能であるという形にしなければならないと思っていますし、検討を通じてそういう形で中央地域公共交通システムが成り立てばと考えています。

 現時点までの検討内容の評価ですが、それぞれの現状や経営体のあり方について従来にないぐらい率直に、踏み込んだ形での議論がなされていると思います。 その中で、自主的な単独再生が難しく統合も視野に入れなければならないという話も出てきていますが、そういうことも選択肢の中に入れながら、理想的な形になるように検討を深めていく必要があると思います。

 先ほども申し上げたように、利便性が高く、多くの方が使うからこそ持続可能な中央地域公共交通システムにしなければならないと思います。不便だけれどやむを得ず、(補助金など)いろんなもので支えて、何とかもっている公共交通システムではダメです。 そう考えた時に、経営体としての利便性向上や増収対策といった自主的な努力は非常に重要だと思いますし、前回4月14日の検討会においても、副知事から強く検討を求めたところです。
 経営形態をどうしていくかという議論と併せて、どうすればより多くの人に使ってもらえる公共交通システムになるかという検討も徹底して行っていただきたいと思います。
 4月28日に、前回の検討会での結論を踏まえてより詳しいスキーム案が提示をされるということですので、我々としても事前に想定も重ねながら検討は進めますが、最終的には4月28日にどういう議論になるかを踏まえて、最終的なスタンスを決定していければと思います。

(小笠原:高知新聞)
 前回の会見で、できれば6月の株主総会までに見通し的なものができればとおっしゃったと思いますが、変わりありませんか?

(知事)
 できれば目指したいです。

参議院選挙制度改革

(小笠原:高知新聞)
 参議院の選挙制度改革について、いわゆる合区案が明日の各党協議の場から具体的な検討作業に入る見通しとの報道があり、有権者の少ない高知県は合区の対象になるかならないかの境とされています。
 参議院の選挙制度改革に対して、過去に知事も持論をおっしゃっていますが、改めてこの問題に対する見解をお伺いします。

会見する尾﨑知事(知事)
 昨年7月の参議院議員選挙については、高等裁判所においても違憲であるという判決が続いており、1票の格差が非常に重要な問題であることは論をもたないところだと思います。

 ただ、1人当たりの票の格差のみに着目して選挙制度を決めていいのかは、よく議論をしないといけないと思います。投票価値の平等が大事なのは認めるところですが、ただそれのみを考慮して選挙区を決めず、その他の要素も考えるべきではないかと思います。

 民主主義は数が多い意見が通るだけで本当にいいのでしょうか。
 少数意見を尊重してこそ真の民主主義だと言えますし、人口が少ないところの意見も反映されるシステムであってもらいたいと思います。
 さらに言えば、人口減少の背景である、高齢化の進行や人口構成における若い方々の比率の減少といった状況は、これから日本の行く道です。本県は全国に約10年先行してこういう状態になっていますが、今後、日本全体がそういう状況になっていきます。
 なので、人口が減っているところの意見を聞いてその状況を勉強し、今後の国政に活かさなければならないのではないかと思います。
 そういう観点からしても、ぜひ各県で少なくても1人は参議院議員を選出する仕組みを残してもらいたいと思います。
 そういう意味で、私は今回の合区案に反対です。

本年度の政策提言

(小笠原:高知新聞)
 今月中旬、国へ政策提言をされてきたと思いますが、今回の提言で県として強調すべき項目がありましたら、その課題の背景も含めておっしゃっていただきたいと思います。

(知事)
 (現時点で)21項目を県単独で政策提言することになっています。ほとんどの政策提言は終えましたが、まだ残っている部分もあります。
併せて、9県知事会議や四国4県で共同したもの、全国知事会のPT長としての少子化問題に関するものについては、この4月、5月を通じて政策提言を続けていきます。

 県単独部分では、力強い第1次産業の確立について力を入れて政策提言してきました。
 例えば次世代施設園芸団地について、オランダ型の高度な技術を持った農業を全国的に普及していくべきだという政策提言が本県の採択に結びついたと思いますが、今回はそれをさらに1歩進めて、既存のハウスに新しい技術を導入するための制度や、より小規模な高軒高ハウスの開発・普及ができるシステムなど、最先端以外の施設や既存の施設に対して新しい高度な技術を導入できるシステムづくりについて提言しました。
 また、CLTの普及促進に向けた財源措置についても政策提言したほか、中山間の新しい農業モデルのあり方についても、いわゆる複合経営モデルを普及すべきだと提言しています。

 防災・減災対策について、去年は南海トラフ地震対策特別措置法の制定に向けて力を入れてきました。今回は法律の成立した先においてどうあるべきか、政策提言をしていくと思います。
 国土強靱化について、地域計画の策定にあたって地域と国との間で行われるべきやり取りについて政策提言することもあると思いますし、さらには集団移転において、国の補助額にミシン目を入れたうえでの上限がある問題についてさらなる改善を求めるなど、より具体的な政策提言を行っていくと思います。

談合問題

(遠藤:高知さんさんテレビ)
 官製談合について、週明けに出た1審の判決が控訴されず確定する見込みです。
 既に(公正取引委員会が)処分した事案についての裁判であり、今後の処分についても、県がされる部分と国がされる部分があると思いますが、今後の県の対応について、知事の所見をお伺いします。

(知事)
 監督処分については、今後、国土交通省の考え方も参考にしながら、判決の確定後に判決文を確認したうえで判断していくと思います。
 ですので、現段階でこれ以上は申し上げられません。

四国地方産業競争力協議会 (1)

(古宇田:日経新聞)
 先月末に「四国産業競争力強化戦略」を策定されましたが、これについて3点お伺いします。
 1点目は、この戦略の特徴を教えてください。
 2点目は、四国でまとまって戦略を作るにあたって、屋上屋を重ねたり、絵に描いた餅になったりしがちですが、これについてはどうお考えでしょうか。
 3点目は、この戦略が企業や関係機関にあまり浸透していないと感じますが、どうお考えでしょうか。

(知事)
 1点目については、4県が連携して取り組む具体的なプロジェクトを盛り込んだ点が特徴的だと思います。
 しかも、それぞれバラバラに行うのではなく、地域資源や技術を活かして競争力を強化すること、国内外の新たな市場を切り拓くこと、そしてそれを支える人材を育成・確保すること、この3つの戦略の基本的な方向に沿って展開し、4県が産学官連携で実施をしていくことが大きな特徴だと思っています。
 2点目にも関連しますが、このプロジェクトを絵に描いた餅にしたくないと思っています。
 そのためにも、11の連携プロジェクトについて、リーダーやサブリーダーなどの仕様を大雑把ではありますが定めています。
 6月に四国地方産業競争力協議会を実施する予定ですが、それぞれのプロジェクトについてより詳細な事業計画を定めて報告・ご確認をいただき、今回を含め今年度中に3回開催する協議会でPDCAサイクルを回すことで確実に成果を上げたいと考えています。

 確かに、こういうものは屋上屋を重ねがちで、既にやってきたことを書き直しただけの形になりかねません。そうならないために、新しいプロジェクトを協議会で生みだし、実効性を追求しています。
 詳しく言うと、まず本県の産業振興計画のように県が行うものがベースにあり、その上に各県が独自に取り組みつつ4県連携も視野に入れた各県プロジェクトがあり、さらにその上に4県連携によって3つの基本方向に沿って四国産品の付加価値向上や地産外商に相当する取り組み、移住促進を含む人材育成を行う11の連携プロジェクトがある3層構成になっています。

 ですので、屋上屋を重ねた形や絵に描いた餅にはなっていないと考えています。
 ただ、これを実際に実行することが大事であり、しっかり進捗管理していきたいと考えています。

 3点目の戦略が浸透していないという点については、確かにそうだと思います。
 ただ、現在の世論調査の結果において、高知県の産業振興計画は多くの県民の皆さんに知っていただいていますが、始めからそうではなく、広報番組を作り、私も行く先々で話をし、県職員も地域で説明を繰り返して、やっと今に至っていると思います。
 この四国産業競争力強化戦略についても、各プレーヤー自身が広報を繰り返すことが大事だと思います。ホームページで戦略の公開も始まっていますが、こうした取り組みを地道にしっかりと続けていきます。

 具体的には二つあります。
 まず、多くの皆さんに知っていただく機会を設けたいと思っています。今、次回の協議会でそういう場を設けられないか検討していまして、ぜひマスコミの皆さんに取材に来ていただきたいと思います。

 もう一つ、4県連携なので単県でやるより少し時間がかかりますので、具体的なプロジェクトは秋頃のスタートになるかもしれませんが、その時期に多くの人に知っていただけるよう発信力を持つものを仕込むことも考えています。
 おっしゃるように、戦略を知って参加していただかないと実効性は出ませんので、そうなるように努力を重ねたいと思います。

県中央地域の公共交通 (2)

(池:高知新聞)
 公共交通の再構築についていくつかお聞きします。
 まず、これまでうまくいかなかった一元化や合併など長年にわたる懸案が、なぜ今回スピード感を持って進み出したのか。これまでと今回の違いについて知事はどんなご認識でしょうか。

(知事)
 これまでの時に自分自身がいたわけではなく、臨場感を持って言えないところはありますが、時間が経ったことで今までよりも事業者の状況が悪化し、先延ばしできない状況に至っていることを率直に受けとめて検討をするシステムができていることが大きいと思います。
 例えば、検討会がそれぞれの自治体、銀行関係者、有識者、事業者の皆さんで構成され、アドバイザーには企業再生について全国的な経験を持つスタッフに来ていただくなど、状況を見据えて検討する体制になっています。
 厳しい状況に目をつぶらず、しっかりと見て対応せざるを得ない状況に至っているということだと思います。

(池:高知新聞)
 仮に統合をしたらという話ですが、検討会で行政と金融の支援が前提であるような協議が進んでいる中、会合後の取材で四国銀行の常務から債権放棄という言葉が出ました。
 行政側としても、沿線の市町村も含めて支援策、出資など何らかの税金の投入が想定されますが、知事はどういった基本スタンスで臨まれるかお考えをお聞きします。

(知事)
 事業を再生する時は、それぞれのステークホルダー[企業の経営行動などに対して利害が生じる関係者]が応分の負担を負うことになると思います。
ですから、多くの会社の再建では金融機関がそれぞれリスケジュール[債務返済を繰り延べること]やリダクション[債権の削減、縮小]などの負担をしていくことが多く、当然、この場合もそうなる可能性は想定されると思います。

 ただ、本県の場合、中央地域公共交通システムに関わる問題でもあり、事業者の企業努力で対応する部分がありつつも、企業の採算性だけでは割り切れない公共性が関わっていることが、普通の企業再生と異なる部分であり、その部分について、28日の議論の結果も踏まえながら判断していかなければならないと思います。

単なる民間企業の再生という問題であれば、官として関与する部分はありませんが、検討会に自治体のメンバーが委員として加わっていることから分かるように、これは中央公共交通システムという公の問題についての議論でもあり、この公の問題に官として役割を果たさなければならない部分も出てくると思います。
 具体的にどうするかは、28日の議論も踏まえて検討を重ねたいと考えています。

 ただ、逆にいうと、これは民間企業再生の問題でもあります。 ですから、民間企業としてしっかりと自助努力してもらわないと困りますし、前回の4月14日の委員会では岩城副知事から増収策と利便性向上策の提示をしてもらいたいと厳しく話をしたと思います。

(池:高知新聞)
 公共性については私も理解します。
 ただ、新会社なのかホールディングシステムなのかは別にして、新たな受け皿となる会社が累積債務を引きずっている時に税金を投入すると、債務を返済するために新たに税金が投入されたようになりますし、県としては債権・債務が引き継がれる形での再編は、あまりきれいじゃないのではないでしょうか。

(知事)
 確かにあまりきれいな形じゃないと思います。
 ただ、一般論を言わせていただくと、企業再生するときは、第一にBS[貸借対照表・バランスシート]が成り立つ構造に改善し、第二に先々について負債部分の負担をできる限り軽くする形で、企業として立っていられる状態をつくり、第三にそれぞれの事業が単年度で黒字を出せる方向を目指すという3本柱だと思います。

 ですので、累積債務を膨大に抱えたまま新しいスキームがスタートすることはあまりないと思います。
 官としての役割を果たすとすれば、今、言われたような後ろ向きな形でとどまらず、利便性が高く持続可能な中央地域公共交通システムが確立される形につながっていくものでありたいと思います。
 ただ、一般論としてそんな形(債権・債務が引き継がれる形)で新体制がスタートすることはあまりないような気がします。

(池:高知新聞)
 県のスタンスとしてお聞きしたいのは、仮に行政が支援をする場合、旧会社の債権・債務を引きずったままでは支援しませんとか、そういう条件付けをするかどうかということです。

(知事)
 そのようなスキームが出てくるか分からない状況なので、やるとかやらないとかは言いにくいと思います。

(日経新聞:古宇田)
 中央地域公共交通システムについて、こういった企業再生にかかわる問題には、経営陣、従業員、金融機関、行政、さらに株主が関わってくると思いますが、経営陣は引き、金融機関も検討会で金融支援を含め行政と議論しています。ただ、株主については一切表に出てきませんし、株主責任を問われないことを非常に疑問に思っているのですが、県として株主に何か求めるお考えはありますか。

(知事)
 そういうことについて物申すという立場にないと思います。
ただ、一般の企業再生の常識から言えば、4月28日にスキームが提示されるときには、ステークホルダーそれぞれの役割が提示されると思いますし、今言われたことも明らかになってくると思います。

 まだはっきり決まっていないので言いにくいんですが、官がやろうとしていることが次に活かされないものにならないよう、我々もしっかり見ていかなければならないし、どういう形になっているかによって、我々としてどうすべきか決めていかなければならないと思います。
 28日を待たなければならないということだと思います。

(小笠原:高知新聞)
 今回の協議の中で、県が果たす役回りをどのように自認されておられるでしょうか。

(知事)
 土電からの要望に基づき、我々として今までもアドバイスを行ってきました。また、議会のご意見も踏まえて、中央地域公共交通再構築検討会をつくり、この問題に率直に向き合って対応していこうと枠組みづくりに取り組んできました。

 実際にこの検討会、特に企業再建の問題が議論され始めてから、我々がどういう役割を果たすかと言うと、それは官というステークホルダーとしての役割だと思います。
 先ほど申し上げたように、通常の企業再生だったら官が関与することではありませんが、中央地域公共交通システムという公の色彩が非常に強い問題では、我々もステークホルダーに入っていると思います。

 民間部分として、事業体や金融機関、その他の皆さんはどうされるのか。その中で官はどうするべきなのか。28日の結果を踏まえて議論を重ねさせていただきたいと思います。

(小笠原:高知新聞)
 官として言うべき部分は当然おっしゃっていかなければいけないと思いますが、相手の立場もあり、それぞれの関係者との間合いについては非常に難しい部分があると思います。 県が議論を引っ張って、強く発言していく視点から、間合いを計るうえで心掛けていることはありますか。

(知事)
 すべての行政判断と同じで、県民の皆さんにご説明でき、ご納得いただけるかです。我々はその判断をもってスタンスを決めています。
 今後の高齢化の進展をにらんで、この高知県において利便性が高いがゆえに持続可能な中央地域公共交通システムをぜひ確立していきたいと思いますが、そのために、官としてどういう役目を果たすべきなのか。私たちは県民の皆さん、議会にご説明しないといけません。そのときにしっかりご説明できるものとなっているか考えてきましたし、これからもより加速して考えていこうと思います。

高知家 (1)

(遠藤:高知さんさんテレビ)
「高知家」について、先日、セカンドシーズンの発表がありました。
 1年目はホームページへのアクセスや移住者の増加など一定の成果がありましたが、それに比べて2年目は非常に難しい部分があると思います。
 知事のセカンドシーズンにかける意気込みや、発表後の各方面からの反応をお伺いします。

(知事)
 1年目は「高知家」の取り組みを通じて高知県を知っていただくことが大事なポイントでしたが、2年目はより具体的に高知県のいいものや自然の場所、そして素晴らしい人たちがいることを知っていただくことをねらいに、「おすそわけ」というテーマを掲げてプロモーションしています。

 火曜日(4月22日)の発表以降、この2~3日で一番重要なのはマスコミ向けにどれだけPRできたかということです。暫定的な集計ですが、テレビでは全国ネットで11番組、新聞ではスポーツ紙を中心に7本の記事、ウェブで122本の記事になったそうです。広告換算効果に直すとおよそ2億5,800万円です。 第1段を発表した際は1週間で3億1,200万円の広告効果でしたから、2日間で2億5,800万円というのは大きいと思っています。ホームページについては、暫定ですが火曜日の1日で1万5,284ページビューであり、累積でもっと増えていけばありがたいです。出だしは好調と思っています。

 今回は、年間を通じ、具体的なものに結びつけてPRしなければいけません。 カツオのたたきはみんな知っていてもウツボは知られてないとか、四万十川は知られていても仁淀川の知名度はまだまだだと言われることがあります。他にも文旦や小夏など、知ってもらいたいものがたくさんあります。
 東京でも申し上げましたが、年間を通じ、ムービーなどによるきめの細かなPRに腰を据えて取り組んでいきたいと思います。1年経ったら小夏や文旦も随分関東で有名になったと言えるようにしていきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いします。

人口動向

(井上:高知新聞)
 人口減少について、国が年1回発表する人口推計で初めて75万人割れをし、県が毎月調査している人口推計ではさらに74万人割れしているという、歯止めが利かない状態ですが、これに対する知事の受け止めと対策をお願いします。

会見する尾﨑知事(知事)
 まず、人口の自然減を防ぐことは無理です。日本全体でも無理だと思います。なぜかというと、人口ピラミッドの構成が高齢者の方は圧倒的に多く、若い方はものすごく少ないという構造に日本全体がなっているからです。
 本県は全国に先駆けてそういう状況に陥ったので、人口減少が真っ先に進んでいますが、既に日本全体もそういう状況になっています。逆に言うと、高知県は推計上、そういう状況に早く入ったので早く抜け出すことができるかもしれません。

 問題は、そういう状況の中でどうやって一人一人の県民の皆さんの暮らしを守っていくかだと思います。
 今、県政として進めている一連の対策は、人口自然減時代において一人一人の暮らしを守っていくためにどうあるべきかということにすべてベクトルは向いていると思っています。

 産業振興計画は、人口の自然減によって足元のマーケットが縮んでいく中、地産外商によって外貨を稼いでくることで一人一人の県民所得を守ることを目指すものです。 さらに移住促進で社会増を目指し、人口減の痛みを少しでも和らげようとしています。 もっと言えば、地産外商の担い手を移住によって確保していくことで、移住促進をさらに進めていこうとするものです。

 日本一の健康長寿県構想は、人口減少や過疎化・高齢化が急激に進む中で中山間の暮らしを支えるための高知型福祉の確立を目指すものです。 また、人口の自然減に伴って急増する若い人たちの負担を少しでも和らげるため、平成26年度から「少子化対策」や「女性の活躍の場の促進」について、本格的に取り組みを始めました。

 一連の県の取り組みは、根源をたどれば人口の自然減に伴う諸問題にどう対処して、その中で人々の暮らしをどう守っていくかに行き着くのだろうと思います。
 ですので、人口が73万人台になったこと自体は寂しいことではありますが、今後もこうした状況が続いていくという事実を率直に受け止めたうえで、どうやって暮らしを守るかということについて、既にいろんな措置は打ってきていますし、これからも積極的に対応していきたいと考えています。
 そして、参議院選挙の話にも関係しますが、日本全体がこうなるからこそ田舎の声をもっと聞いてもらいたいと思います。そういう地方の議員を減らすことが本当にいいのかということを、ぜひ申し上げたいと思います。

四国地方産業競争力協議会 (2)

(小笠原:高知新聞)
 四国地方産業競争力協議会の件ですが、知事が会長になられた経緯を教えてください。
 また、先ほど進捗管理を強調されていましたが、産業振興計画に見られるような進捗管理をこの四国産業競争力協議会でもやっていくのでしょうか。先ほど屋上屋を重ねないようにということをおっしゃっていましたが、このようなカラーを発揮していきたいということでしょうか。

(知事)
 会長になった経緯は、四国知事会の常任世話人である私がやるのが一番まとまりやすかったのではないでしょうか。
 私たちも、四国全体で取り組まなければならないことは多いという問題意識を持っていましたし、組織として協議した結果、高知県のためになるだろうと判断をしてご提案をお受けさせていただきました。

 それから、尾﨑流にPDCAサイクルを回すことですが、こうした進捗管理は、県庁的には珍しいかもしれませんが、民間だったら当たり前で議論にすらならないと思います。
 協議会には各県の経済界の代表の方などがおいでになりますが、とにかく実行することが大事とのご意見がありました。
 私もそれにお答えする形で、絵に描いた餅にはしないと意思表示させていただきましたし、具体的に実現するために5W1Hや誰が責任を持つか、誰がいつまでに何をやるのかをはっきりさせました。
 6月の協議会でより具体化して、今回を含め年3回ぐらい開催する協議会において、しっかりと進捗管理していきたいと思います。
 各県ともに忙しい仕事を抱えている中で、そこまで進捗管理をやるのかというご意見もあったと聞いていますが、四国の皆さんの生活の向上を図るため、確実に実行して、成果を上げなければならないと思っています。

高知家 (2)

(安恒:読売新聞)
 「高知家」のプロモーションについて、先ほど1年目が終わってある程度の成果があったと言われましたが、それは移住に結び付いたということでしょうか。それとも各方面からの反応があったということでしょうか。

(知事)
 いろいろな数字を具体的にお示ししていますが、「高知家」プロモーションとしての認知度については、首都圏や関西圏で、通常の世論調査より多い5,000人にインターネット調査を行いました。ネットですから偏りはあると思いますが、その中での認知度が22%だったことはそれなり(の成果)じゃないのかと思います。

 また、その中で行ったアンケート調査では、5年以内に高知県に来た人の高知県に対する好感度が82%ですが、「高知家」の取り組みも知っている人の好感度だとプラス10%の92%となっています。他にも「来たい」「住みたい」といった(アンケート調査の)項目でも、「高知家」の取り組みを知っていると全てプラス10%となっており、「高知家」の取り組みが全体の印象を良くしていることが分かりました。
 このような調査は今年の10月頃にも行いますし、今後も継続的に行って効果を測定しなければいけません。

 そうして好感度が上がっている中で、去年に比べて移住した人が倍以上になっているという結果も出ています。
 また、今後の潜在力の高まりという点でも、NPO法人による移住したい先ランキングで2年前にランク外だったのが去年が12位、今年が6位と急激に上がっています。「何でこんなに上がったんでしょうか」と、そのNPO法人の方に聞いたときに、「「高知家」の取り組みは大分効果があるんじゃないでしょうか」というコメントもあったということですから、そういう意味においては良かったと思っています。

(安恒:読売新聞)
 (移住者のうち)何人がその「高知家」のプロモーションに後押しされて移住したということまでは集計を取れていないのですか。

(知事)  そこまでは一人一人に聞いていないと思います。

(安恒:読売新聞)
 移住者が移住に踏み切るための時間は大分長いと思うので、まだ(移住者の倍増は「高知家」の取り組みの)効果とまではいかないのではという印象も受けますが、その点はどうですか。

(知事)
 (移住者が移住に踏み切るための時間がかかるのは)そうでしょう。
 でも逆に言うと、それぐらい効果が出るのが大変だとしたら倍になったのはすごいことですし、何かが効いているのだと思います。映画やテレビ、この「高知家」の効果もあったと思いますが、何が効いて何が効かなかったかについては詳細な分析が必要です。今月30日の第1回移住推進協議会に向けて関係部局と打ち合わせをした際にも何故こんなに増えたのか詳細に分析をしようと話したところです。

(安恒:読売新聞)
 ホームページの閲覧数は出しているのに、なぜここを出さないのか疑問ですが。

(知事)
 移住された人の中で、「高知家」の取り組みを知らない人はいないと思います。
ですが、「高知家」の取り組みを知り、ホームページを見て移住コンシェルジュにたどり着き、市町村にバトンタッチして最終的に移住を決めるという、一連のチェーンの中でどれを移住の決め手とするかは人それぞれです。
 ですから、「高知家」だけですべてが決まるとも思っていませんし、逆に「高知家」に意味がないとも思いません。

(安恒:読売新聞)
 第2弾の目標については、具体的な自然の場所や食べ物などを知ってもらうことでよろしいですか。
 それを「おすそわけ」と。(表現している)

(知事)
 そうですね。今後もプロモーションビデオを何本か発表していき、その間に細かいムービーを何度か発表することでより具体的にものを紹介する作戦です。
(プロモーションビデオとムービーの)1群をセットとして、年間を通して見ていただいた方から、高知県にはいいものがあるじゃないかと思ってもらればいいと思います。

漁獲量の減少

(遠藤:高知さんさんテレビ)
 先月、カツオや土佐清水市のメジカ、清水サバなどの漁獲量が前年度と比べて激減しました。
「高知家」の魚の売り出しを前に大きな痛手だと思いますが、知事の所見と今後の対応を伺います。

(知事)
 漁業者の皆さんが自然相手にご苦労されていると思うと非常に胸が痛みます。
 土佐黒潮牧場など、できる限り自然条件に左右されない仕組みを設けてはいますが、やはり限界もあるだろうと思います。

 魚が戻ってきているという話も一部に聞いていますが、漁獲量の減少が一時的なものなのか、長期化するのか動向を見極めたうえで、今後どう対応していくか決めないといけません。
こういう年にこのようなことになったのは残念です。

 一方でもう1度、資源をしっかり大事にするための運動を行わなければならないと思います。
カツオ・マグロの水産資源の保護を国に対して訴え、水産庁もそれを踏まえて国際社会へ訴えてくれていますが、こうした取り組みをより説得力を持って続けていくことが大事だと思います。
 今回の件を契機に、幼魚をごっそり網で捕っていく漁業のあり方など、国際的な規制も含めて議論を重ねていくことが大事であり、我々もしっかり訴えていきたいと思います。
 ただ、もう少し様子を見ないといけないとは思います。

日米共同統合防災訓練

(尾崎:共同通信)
 日米共同統合防災訓練について、今まで知事は南海トラフ地震対策としてオスプレイが有益だと話されてきたと思いますが、今年度、国からの訓練の打診や、県からの発信を行うのですか。

(知事)
 国からお話があれば協力させていただきたいと考えています。

(尾崎:共同通信)
 今の段階では(日米共同統合防災訓練の話は)ない。

(知事)
 今の段階でオスプレイに関する具体的な話はありません。

(司会)
 以上で記者会見を終わらせていただきます。

 

 

 

 

 

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