平成26年5月22日  知事の定例記者会見

公開日 2014年12月17日

県中央地域の公共交通(1)
集団的自衛権の行使(1)
カツオの不漁(1)
集団的自衛権の行使(2)
原発関連(1)
県中央地域の公共交通(2)
集団的自衛権の行使(3)
県中央地域の公共交通(3)
カツオの不漁(2)
原発関連(3)
TPP関連

配布資料
飛躍への挑戦! 産業振興計画[PDF:2MB]

(知事)
 産業振興計画について、関連資料をお配りしていますのでご覧ください。

県中央地域の公共交通(1)

(野口:NHK)
 土佐電鉄と高知県交通の経営問題に関して、自治体から新会社への出資金10億円のうち、県は5億円を負担する方針で調整が進んでいますが、民間の会社の経営再建に税金を投入することへの知事の所見をお聞かせください。

(知事)
 中央地域の公共交通システムは、バス3社、電車を合わせて1日で延べ約2万8000人、年間では延べ約1,000万人の方が利用しており、公共的な意味合いが非常に大きいかと思います。 これをいかにして守り、持続可能な形にしていくのかが我々の大きな課題であり、その課題を解決するために行政として応分の負担をしていきたいと考えています。
 
 公共交通システムの必要性は、コンパクトシティ化や高齢化、環境に優しいまちづくりの要請によってますます増大していきます。 将来に向けて持続可能な形にしていくために、我々として何をするか検討していきます。

集団的自衛権の行使(1)

(野口:NHK)
 今月15日に安倍総理大臣が設置した有識者懇談会で、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認するよう求める報告書が出されました。 これについて、知事も「集団的自衛権の行使は一定認められるべき」との声明を出されましたが、そのためには憲法解釈の変更が必要だと考えているのか、知事の所見をお聞かせください。

会見する尾﨑知事(知事)
 従前から申し上げていますように、集団的自衛権は一定容認すべきだと思います。 現在の安全保障は国際間での協調の上に成り立っており、そのネットワーク上で安全を確保することが、負担が小さく、かつ安全性の高い安全保障のあり方だと思います。
 その際、「私はあなたに守ってもらう。その分、私も応分の責任を果たします」となってこそ本当の意味で協調のネットワークを築けると思いますし、その観点から集団的自衛権は一定容認されるべきだと思います。ただ、常々強調していますとおり、これはあくまで自衛の目的に限定されるべきです。

  集団的自衛権と憲法との関係を整理する際は、憲法9条の要請の本質として今まで拠り所にしてきた昭和60年9月27日の質問主意書に対する答弁書にある三要件(我が国に対する急迫不正の侵害があること・これを排除するために他に適当な手段がないこと・必要最小限度の実力の行使にとどまるべきこと)から派生する解釈であるか厳密に議論すべきだと思います。 議論の中で、憲法解釈によって容認できるもの、できないものが出てくると思います。無理な憲法解釈による容認は他の条文に影響を及ぼし、立憲主義の否定になりかねないことであり、すべきではありません。

 急迫不正の侵害について、今までは直接に攻撃される事態と解釈していたかもしれません。
例えば、直接攻撃されないAという事態が起こっても、Aが起こればBが起こり、Bが起こるとCという我が国に対する直接攻撃が見込まれるのであれば、新しい科学技術、国際情勢のもとにおいて、急迫不正の侵害と見なしていいのかもしれません。
 このように、憲法9条の要請の本質に照らして、解釈の範囲で読み込めるのか、それとも越えてしまっているのかを判断し、越えるものについて安全保障上必要であれば改憲論議をすべきだと思います。そういうことを国会で論議することこそ立法府の役割であると思います。

カツオの不漁(1)

(野口:NHK)
 県内で初ガツオの不漁が続いています。特に4月の漁獲量は去年の9分の1に落ち込み、イベントでカツオ料理の提供が中止されるなどの影響も出ており、戻りガツオへの影響も心配されるところです。
 今後の県の対策も含め、知事の所見をお伺いします。

(知事)
 私が5月18日にカツオ祭りにお伺いしたとき、心配していたカツオもあり、多くの皆さんがカツオ祭りを楽しんでおられました。おそらく、関係者の皆様は大変なご努力をされたと思います。 漁獲量は5月になって少し戻ってきているそうですが、まだ心配は途切れない状況だと思います。

 今年の不漁の原因は、現段階で2つあると推測されています。
1つは(カツオ漁で)重要とされる海水温21度のラインが沿岸部に近づいていないこと。もう1つ、より大きいと思われるのは、近年、熱帯水域で巻き網漁船によるカツオの漁獲量が急増していることです。
 以前から国に対して、国際会議の場での資源の適正利用に向けた管理体制の構築を求める提言を行ってきました。幸い水産庁も同じ認識のようで、5月10日に水産庁資源管理部長がお見えになった際には、国際交渉において熱帯水域での巻き網規制強化などの働きかけを強化したいと発言されています。
 今回の事態を踏まえ、今後も提言を繰り返して国にしっかり対応してもらいながら、我々としても必要な協力を行いたいと思います。

 その上で、黒潮牧場(鋼鉄製の大型浮漁礁ブイ)の15基体制による対応を堅持するとともに、黒潮牧場で水温や潮の流れを観測し、漁船に伝える機器を現状の3基から1基増やすことで魚のいる場所を漁業者の皆様に伝える体制を構築し、不漁の影響を緩和できればと考えています。
 その他、産業振興計画に伴う一連の水産業の振興政策によって漁業者の皆様の所得向上に向けた取り組みを進めていきます。 ですが、まずは国際交渉の場における取り組みが重要だと思います。

集団的自衛権の行使(2)

(川内:高知放送)
 集団的自衛権のお話の中で「応分の責任」とありましたが、具体的にはどのようなことをお考えでしょうか。

(知事)
 集団的自衛権を一定認めることは必要だと思います。
 その中で、どういうことが認められ、どういうことが認められないかは、個別の具体事例に即して議論してもらいたいと思います。私自身、まだはっきりとした区別はできません。
 ただ、弾道ミサイルがアメリカに向かって我が国の頭上を飛んでいく。それを我が国が撃ち落とせるのに撃ち落とさないことでアメリカとの信頼関係がズタズタになる。直後に我が国に対してミサイルが飛んできた時にはもうアメリカは守ってくれないといったように、最初の事象は我が国に対する急迫不正の侵害ではないが、後々において急迫不正の侵害につながるものについては、我が国の役目を果たすことが重要だと思います。
 いろんな事例に即して、一つ一つ丁寧に議論してもらいたいと思います。

(川内:高知放送)
 例えば自衛隊員が命を落とすような場合、それは「応分の責任」の中に入っているのでしょうか。

(知事)
 自衛隊員が命を落とすことになるかもしれません。ただ、何より大事なことは、自衛隊員も含め日本国民の犠牲をいかに最少に留めるかだと思います。
やるべきことはやらないといけませんし、日本人を含め、国際社会全体の犠牲が最も少ない道を模索すべきだと思います。

原発関連(1)

(井上:高知新聞)
 昨日、福井地裁で大飯原発の運転差し止めの判決がありました。
以前から知事は、原発への依存度を徐々に引き下げる必要がある一方で、経済活動などの観点から愛媛県・伊方原発の再稼働は否定できないと発言されていました。
 地裁の判決は、憲法上の人格権が経済活動より優位にあることを踏まえて運転を差し止めるもので、原子力規制委員会の審査に先行する部分がありますが、知事の所見をお伺いします。

(知事)
 安全対策が万全に講じられていることが全ての大前提であり、そこに疑義があるから地裁は今回の判断をされたと思います。
地裁の判決のとおり、安全対策はしっかり確保し、原子力規制委員会においても徹底した議論をし続けてもらいたいと思います。

(井上:高知新聞)
 知事の考えは、今回の判決を受けても(変わりませんか?)

(知事)
 変わりません。
 ただ、司法の判決は、安全対策の必要性に対する世の中の認識が厳しくなったことを受けたものだと思います。それを踏まえ、原子力規制委員会や電力会社にはより一層、安全対策を徹底してもらいたいと思います。

(半田:高知新聞)
 伊方原発の安全対策について、知事はどのように現状認識していますか。

(知事)
 伊方原発の安全対策については原子力規制委員会で審査中であり、結論は出ていません。
 我々も、四国電力との勉強会において安全対策に関する質問を繰り返していますが、まだ安全対策については、やるべきことや検証すべきことがたくさんあると思います。

県中央地域の公共交通(2)

(小笠原:高知新聞)
 公共交通の新会社に関して、県は行政支援の10億円のうち半額の5億円を提示していますが、この根拠をお伺いします。
また、残りの5億円を市町村にお願いする形になりますが、市町村に求めることがあればお願いします。

(知事)
 今、県として5億円出すかどうかの最終的な検討段階に入っており、もうすぐ最終決定を下すことになると思います。いずれにしても、今回提示されたスキームに基づいて応分の責任を果たすことに変わりありません。

 県が5割を出すことについては、かつて第三セクター(行政と民間が共同出資して設立した法人)に対する出資において5割を目安に県と市町村で対応してきたことが根拠にあたります。
 市町村については、それぞれご事情を抱えていると思いますが、年間延べ約1,000万人の足に関わる中央公共交通システムを守るという観点において、今回のスキームはよく練られた案だと思いますし、また今回はラストチャンスと言える状況であることから、ぜひ今回のスキームの趣旨を活かし、持続可能な形で中央公共交通システムが構築できるように足並みを揃えて対応していただければと考えています。

(小笠原:高知新聞)
 株主総会の議決が前提になりますが、5億円の予算化のタイミングは6月議会でよろしいでしょうか。

(知事)
 株主総会や市町村の対応次第であり、6月議会の開会日に間に合うか微妙なところです。ただ、6月か7月に議案を出して議会のご審議を待たなければ、10月の新会社創設に間に合わなくなってしまいます。
 日程を詰めないと結論は出せませんが、6月議会の冒頭か、少なくともその辺りで議案を提出しなければならないと思います。

(半田:高知新聞)
 今回のスキームには中央地域の公共交通を維持するための趣旨とは別に、補助金のあり方の見直しがあります。
現行制度にも(路線バスの運行経費への)赤字補てんがありますが、今後の高知県の実情に合わせた補助や支援の方針はありますか。

(知事)
 中央地域の公共交通システムを持続可能な形にすることを前提に、公的な血税負担が一番少ない形にしなくてはいけません。その観点から見れば、一旦破綻したものを再建する方が負担が大きく、今回のスキームはいい形での移行だと思います。
 補助金については精査が必要なものの、(公共交通には)特別な安全安心が求められることや、不採算路線を公共交通システムの観点から持続しなければならないことなど、民間事業者が対応できない部分もあり、それに対して補助金という形で関与することは許容されると思います。
 具体的にどう展開するかはより詳細な議論が必要ですが、民間事業者として採算重視で取り組んでいただく部分と、公的な責任ゆえに採算が二の次にならざるを得ない部分を峻別し、前者は民間としてしっかりやってもらい、後者は一定公的に関与していく形を目指したいと思っています。

(半田:高知新聞)
 安全安心の観点から設備投資を行うことで他業者への民業圧迫となる恐れもありますが、その点について知事はどう整理していますか。

(知事)
 安全安心のための設備投資については、民間事業者の皆様方が広く一般的に使える補助制度がありますので、それによってイコールフッティング(同等の条件)で対応していきたいと思います。
 ただ、ご指摘のように、補助金の適用に向けた議論の中で詰めるべきことはたくさんあると思います。
まず、新会社を持続可能な形で立ち上げるために注力し、続いて経営体として継続してどうやっていくかという議論につなげていく流れだと思います。

(大山:高知新聞)
 10億円の出資金のうち県が負担する5億円について、出すかどうかは最終的な検討を繰り返しているとのご発言でしたが、出さないという結論もあり得るということですか。

(知事)
 最終的な決定には至っていませんが、しっかり責任を果たし、応分の負担をする方向で議論を重ねていますので、何もしないことにはならないと思います。

(小笠原:高知新聞)
 知事が高知に帰って来られたときに交通運輸担当の部署がなく、1期目の機構改革で部に昇格したことが象徴するように、高知県の交通政策、特に高知市の公共交通は、政策的な観点で検討されてこなかったと思います。
バス会社からは「例えば、高知駅の南口に大きなバスターミナルがあれば効率的にバス路線を組めるのではないか」といった声もありますが、高知県の交通政策や交通事情に対する知事の印象をお願いします。

会見する尾﨑知事(知事)
 財務省主計局で旧運輸省関係の仕事をしていた時期がありましたが、全国各地どこへ行っても左うちわで経営ができている公共交通システムはなく、何とかしなければならないという議論が巻き起こっていました。

 高知県は全国で最も人口減少が進んでいる県であり、その悩みは深いと思います。
ですから当時、県議会で「高知県には国でいう運輸省がない」という話をさせていただき、交通運輸関係の施策立案から実行に至る体制強化のために交通運輸担当理事を新設しました。
 航空路線、海路、鉄道、さらには日々の交通システムなど難しい問題は多いですが、検討を積み重ね、新しいスキームを見直すことで対応できつつある部分もあり、体制強化して良かったと思っています。

 ただ、質問にも関連しますが、公共交通システムがいろんな関連事項と同時に議論されていない時期があったのかもしれません。
 今、郊外に出していた公共施設を町の中心部に戻してコンパクトシティをつくろうとしていますが、公共施設の集約に併せて公共交通システムも見直したり、あるいは観光振興施策と連動して、公共交通システムが二次交通として機能するように構築したりする視点も必要だと思います。
 状況が厳しいからこそ、まちづくりや観光政策など関連する諸課題と一体となって交通の問題を論じていくことが重要です。

 今、新会社設立の議論をしていますが、時を置かずして今後の経営についても議論していかないといけません。
その中で、交通運輸担当理事には産業振興計画の施策と合わせてよく議論してもらいたいと思いますし、私も知事としての役目を果たしたいと思います。

(西村:朝日新聞)
 コンパクトシティという概念が出ましたが、中山間地域とコンパクトシティは相反するものだと思います。まちづくりと交通政策を一体的に行うことが重要とされる中で、コンパクトシティと中山間地域という高知特有の位置付けをどう両立させるお考えでしょうか。

(知事)
 コンパクトシティとは、県庁所在地などの中心部分をコンパクトな構造にすることであり、中山間地域があるからコンパクトシティではないということではありません。
 コンパクトシティでないと、町の中心部と地方集落・都市を結ぶ幹線構造の密度がまばらになってしまい、運行が非効率になり、採算が合わないことも出てくると思います。
 運輸だけではなくインフラ整備についても、町が際限なく広がって水道管や下水管の距離が長くなると、人口が減っている中で負担に耐えられなくなるかもしれません。
 人口減少、高齢化の中でコンパクトシティであることが効率的なまちづくりになります。高齢者の皆様も町の中をちょっと歩くと用事が済んで便利だし、結果として環境にも良いまちづくりを目指すことが大事だと思います。

それはそれでしっかりやりながら、他方で中山間との関係で交通をどう維持していくかは、別の問題として考えていくことかと思います。

(古宇田:日経新聞)
 かつて高松琴平電気鉄道が破綻したとき、県を含め自治体は出資せず、加ト吉や穴吹工務店、四国電力など元気のある民間企業が出資に応じましたが、今の高知県内の企業にそれだけの体力があるとは思えません。
 そう考えた場合、(自治体からの出資は)消去法で県を含めた自治体がやるしかないという発想でやられたのか、それとも公共交通を民間に任せた場合に不採算路線が廃止される可能性が出てくることから、それを維持するために出資しようとなったのか、どちらに重きを置かれたのでしょうか。

(知事)
 両方です。
 民間で支援してくれるところを探さなかったわけではありませんが、あれだけ経営状況が厳しい中で手を挙げるところがなさそうだったことが一つです。
 もう一つは、コンパクトシティ化や観光客に対応しておらず、中山間地域とのネットワークの維持という厳しい制約条件も抱えている高知県の公共交通システムの再構築を考えるうえで、公共的観点が重要であり、公共として背負っていくことが大事だと考えました。
 多分、高松琴平電気鉄道のときと厳しさが違うんだろうと思います。

集団的自衛権の行使(3)

(野口:NHK)
 集団的自衛権の話ですが、先ほど無理して憲法解釈ですべきではないとおっしゃいましたが、それは現在の憲法解釈を変更してまで集団的自衛権を行使すべきではないということでしょうか。

(知事)
 そうではありません。
 例えば、今すぐ攻撃されてなくても高い確率で急迫不正の侵害につながっていく場合など、三要件に基づいて考えたときに許容できる範囲があると思いますし、その範囲のものについては、従前の解釈を派生することで憲法上許容できると思います。
 ただ、範囲を超えるものも出てくるかもしれません。それがどうしても安全保障上必要なら改憲論議に付すべきだと思います。

(半田:高知新聞)
 集団的自衛権行使の容認を憲法解釈の変更で行うことに、知事としては賛成ということでしょうか。

(知事)
 今までと切り離された不連続な形で憲法解釈を変更するのはどうかと思いますが、今までの解釈から連続している範囲もあると思います。範囲内に定まり、三要件の本質から外れていないなら容認できるし、超えていれば現行の憲法体系では読めず、改憲すべきという議論になると思います。

 私がおかしいと思ったのは集団安全保障の関係です。(他国と)一緒にイラクへ攻めていくことは三要件から外れています。この件について、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会は容認しましたが、総理が直後に否定されました。このように、解釈が連続しているもの、していないものをしっかり区別することが重要だと思います。

(半田:高知新聞)
 三要件の内容にあっていれば、憲法解釈の変更も十分あり得るということですか。

(知事)
 今までの解釈に連続した形で憲法解釈を展開することはあり得ると思います。

(半田:高知新聞)
 我々が取材していると、なぜ今の時期にという議論が議員などからも出てくることがありますが、知事はどのようにお考えでしょうか。

(知事)
 私は第1次安倍内閣のときのスタッフでしたが、この件は当時から課題であり続けたと思います。
 あの時はグレーゾーン事態に対する切迫性はあまり高くなく、国民投票法に代表されるように戦後レジーム(戦後に出来上がった政府の体制や制度)における法制度上の不備をいかに正していくかという議論が展開されていました。

 一方、今の時代はグレーゾーン事態に関わる事項が増えており、これが大きな議論の推進力になっていると思います。だからといって、憲法解釈において許容できないものを解釈改憲だけで片付けることは危険であり、歴史上の悔いを残すことになると思いますので、やってはいけません。
 中谷先生をはじめ与党関係者の皆様に、憲法解釈を派生する中で容認できる範囲を、個別事例に則して丁寧に議論してもらいたいと思います。

県中央地域の公共交通(3)

(尾崎:共同通信)
 再構築スキームについて、自治体は10億円を出資しますが、県は出資するだけのスタンスなのか、それとも県民の公共交通利用を促す策をお考えなのか。

(知事)
 今回のスキームは、今の会社が持続可能な形で再スタートするための必要条件だと思います。
これが必要十分になるためには経営に関する議論が必要ですし、その中で、補助金関連をはじめとする我々の考えを練り上げていくことになると思います。
 今後、経営再建に関する議論が活発化していくと思います。民間の優秀な方に大いに知恵を出していただき、行政としても少しでもサポートできる点があればサポートさせていただいて、いい経営体となるような再建スキームが組めればと思います。

 4月に検討会を3回やりましたが、副知事が委員として経営再建策を強く求める中で、積年の課題である系統番号化や路線再編に関する議論もスタートしています。
 それらを後押ししながら、多くの県民や観光客の皆様にも使ってもらえる公共交通システムにしていきたいと思います。

(尾崎:共同通信)
 知事自らもご利用になるのでしょうか。

(知事)
 はい。県では520運動をやっていますし、私も生まれながらの高知市民として子どもの頃から利用してきました。
 現在、1日に約2万7,000人の人が利用しており、高知県にとってはなくてはならないものですから、何とか再建を果たしたいと思います。

カツオの不漁(2)

(天野:朝日新聞)
 カツオの巻き網漁について、高知県は全国に先行して問題を指摘してきましたが、水産庁と同じ方向に向かいつつあるこの機会にもう一つ踏み込みがあってもいいのではないでしょうか。

(知事)
 水産庁資源管理部長の来高が象徴するように、相当に覚悟を固めていただいていると思います。その上で足りないなら、さらに踏み込まないといけません。
 6年前に私が就任して最初に東京へこの話を持っていった頃は、危機感を持つ方がいる一方でまだまだ十分カツオの資源はあるという議論も一部にありました。ですが近年、特に今年になってからは危機感が強くなってきており、随分前に進んできていると思います。
 国際会議における相手のある問題ですが、この流れを具体のものにしてもらいたいと思います。

原発関連(2)

(井上:高知新聞)
 大飯原発に関する福井地裁の判決は、科学的な地震想定を不可能とするなど、原発自体を否定する内容と取れますが、その上で伊方原発の再稼働をやむを得ないとする知事の考えをお伺いします。

(知事)
 電力供給が不安定になることは人の命に関わる問題だからです。
 いずれ安価で安定的な電力を供給するシステムが構築され、原発ゼロになることが理想だと思っています。
 しかし、それまでの間に電力供給が不安定になることは避けなければならず、再稼働も全く否定することはできないと思います。
 ただ、その場合も安全対策の徹底が大前提なのは言うまでもありません。

TPP関連

(天野:朝日新聞)
 TPPについて、どんどんアメリカの圧力に屈しているように感じます。
 農家は、「最後の最後でこんなことになってしまった」という状況に陥ることに不安を持っていると思いますが、その辺りの知事のご認識を伺います。

(知事)
 我々としても、交渉状況について十分な情報提供がなされているとは思っておらず、もっとオープンにできないかと訴えてきました。
そのため、「どうなっているのだろう」という心配があるのは確かですし、心配の声を上げ続けることで交渉担当者を後押しすることが大事だと思います。
 今までも、四国知事会の緊急提言をまとめて内閣府に持っていったり、私自身も高位高官の方だけでなく、実際の交渉で影響がある中堅の人たちと話をしてきました。国益を守るために頑張ってくれていると思いますが、他方で不安感があるのも確かです。
ですから、TPPの問題については今後も時機を捉え、しっかり声を上げていくことが大事だと思います。

(司会)
 以上で会見を終わらせていただきます。

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