平成26年7月23日  知事の定例記者会見

公開日 2014年12月17日

県中央地域の公共交通(1)
飲酒運転
集団的自衛権の行使
少子化対策
高知大学の取組
知事の政治資金パーティ
オスプレイ(1)
輝く女性応援会議
オスプレイ(2)
県中央地域の公共交通(2)
元県議の政務調査費問題

配布資料
飛躍への挑戦! 産業振興計画[PDF:2MB]

(知事)
 産業振興計画の進捗状況について、お示しした紙をお配りしておりますのでご参照ください。

県中央地域の公共交通(1)

(福井:テレビ高知記者)
 土佐電鉄と高知県交通の統合を巡る新会社設立委員会が開かれましたが、第1回の受け止めと、役員に関する協議が予定される第2回に向けての県の対応方針や意思を伺います。

(知事)
 新会社設立委員会が開催されたことについては本当に感無量です。
 苦渋のご決断を賜った株主の皆様には深く敬意を表します。また、出資案件について可決をいただいた県議会やそれぞれの市町村議会の意思、そして何よりも県民の皆様方の中央公共交通再生に向けた思いは大変重く、大きいと思います。
 多くの皆様方の思いを生かせるように新会社の設立に向けた準備を全速力で進め、本当に素晴らしい中央公共交通システムをつくっていけるよう、県としても全力を挙げていきたいと考えています。
 第1回の新会社設立委員会では規約の制定や会長の選定、名称公募の決定などについて議論していただいており、第2回目以降において実質的な審議に入っていくと思います。その中で利便性が高いが故に多くの方に利用される、持続可能な公共交通をつくっていくことが大切です。
 効果的かつ効率的な経営体制を敷き、一方で公益的な役割もしっかり果たせる中央公共交通システムを成立させるため、陣容・陣営についてしっかり議論していただきたいと思います。

飲酒運転

(福井:テレビ高知記者)
 全国で飲酒運転が絡む重大事件が発生する中、県内でも県職員を含む公務員の摘発が相次いでおり、県が厳罰化を始めた平成9年以降も非違事案が後を絶ちません。県交通安全推進県民会議の会長として、根絶に向けて県民に今何が求められ、何をしなければならないとお考えでしょうか。

会見する尾﨑知事(知事)
 この度、県職員が飲酒運転を起こし懲戒免職処分となったことについて、県民の皆様の信頼を裏切ってしまい、誠に申しわけなく思っています。
 今回、飲酒運転を根絶していくため、各所属長宛の総務部長通知において、飲酒運転は容易に人命を奪いかねない危険かつ反社会的な行為であることを特に強調し、今一度、職員一人ひとりが肝に銘ずるように徹底したところです。
 飲酒運転の厳罰化によって年平均の発生件数自体は大幅に減ってきていますが、減るだけでなく根本的に根絶しなければなりません。
 改めて、飲酒運転は容易に人を殺しかねない行為であり、やってはいけないという原点を確認するため、総務部長通知を出し、さらに各所属長と職員の間で話し合いを持つように指示しています。
 また、私は高知県交通安全推進県民会議の会長という立場にあり、県全体としても飲酒運転の根絶は大きな柱です。県民の皆様にも、飲酒運転は極めて危険で反社会的な行為であることをしっかりとご認識いただき、飲酒運転だけは絶対にしないことを徹底していただきたいと思っています。 

集団的自衛権の行使

(福井:テレビ高知記者)
 今月、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更が閣議決定されました。
 決定された内容や、それを巡って国会などで議論が続いている状況について、どう受けとめていますか。また、今後の課題についても考えをお尋ねします。

(知事)
 従前から申し上げているとおり、我が国の安全保障を守っていくためには、集団的自衛権の行使が一定必要だと考えています。一方で、集団的自衛権はあくまで自衛のために行使されるべきであり、どのように歯止めをかけていくのかということが非常に重要な問題です。
 歯止めをかけることについて、私は武力行使の3要件に根ざしつつ連続的かつ合理的に解釈できる範囲内に限定すべきだと申し上げてきましたし、政府においても武力行使の3要件から解釈を展開した、いわゆる新3要件の範囲内で集団的自衛権の行使を限定しようという議論が行われていると思います。
 最も大事な自衛のための集団的自衛権行使という点はしっかり守られたと思います。ただ、後世に禍根を残さないためにも、曖昧さを排し、しっかりと歯止めをかけることが重要です。
 新3要件については単に「他国」と書かず、どのような他国であるかを明確にしたり、「恐れ」などの曖昧な表現をなくしたりと、できる限り曖昧さを排除する方向で議論が行われていますが、今後も国会でしっかりと中身を掘り下げた議論を行っていくことが大事だと思います。
 また、急迫不正の事態によって急に集団的自衛権を行使しないといけない場合、結果的に集団的自衛権の行使に当てはまらないものに行使してしまうことがあってはなりません。そうならないため、あらかじめ個別事例に即して議論を深め、考え得るケースについて想定しておくことが今後の課題だろうと思います。
 そして、安全保障は国民の命にかかわる問題です。政府や国会議員の皆様には国民の皆様一人ひとりに丁寧に説明し、理解を得る努力をしていただきたいと思います。

少子化対策

(井上:高知新聞記者)
 先日、全国知事会で少子化対策に関する非常事態宣言が出され、知事が次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーとして原案の説明を行いましたが、この非常事態宣言のポイントや意義を説明していただけますか。

(知事)
 少子化の問題がいかに深刻な事態を将来の日本に引き起こすかについて、その危機感を全国知事会で共有したうえで、全国に発出し、具体的な行動を取っていくための宣言です。
 「少子化非常事態宣言」という表現については、これぐらいしないとこの問題に対して大きなうねりを創り出せないという私自身の考えや全国知事会の山田会長のご意向もあり、宣言を発出させていただきました。
 50年後も人口1億人レベルを維持するために合計特殊出生率はどうあるべきであり、具体的に何をしないといけないのか、また若い人たちの結婚・子育ての状況がどうあるべきかなど、我々として具体的にどういう対策をとれば少子対策課を解決できるのかを考えるうえで進むべき道筋をお示しし、併せて、それを実現するための具体の施策群を提示しています。
 特徴的なものとして、高齢世代か若者かという問題があります。
 最近、高齢世代に資源を投入し過ぎであり、もっと若い人に予算を注入すべきという議論がありますが、高齢者向けの社会保障を充実することも国として大事なことであり、ゼロサムゲーム的にとらえると物凄く難しい問題になってしまうと思います。
 その中で、高齢者と若い世代が助け合い、支え合う仕組みがつくれないものかと考えています。公的な財政負担だけに頼っては限界があることが分かっていますから、民間活力を生かせる形で高齢者と若い人たちが助け合えないものかと。そういった意味で高齢者世代が蓄積している資産を若い人に贈与できるよう促進し、高齢者の助けを借りて若い人たちが子育てできる経済環境をつくるという議論を展開した点は非常に目新しいと思います。
 少子化対策について、昨年の全国知事会で狼煙を上げてから1年経ち、議論の盛り上がりを感じています。また、増田リポートなど発信力のあるリポートが提出されたことで国政の中心的なアジェンダ(検討課題)にもなりつつあります。
 地域の人口減少や少子化問題に正面から向き合ってきた地方の立場として、今後も国に対して実効ある政策提言を行いたいと思っていますが、その際には全国知事会として結束して政策提言し、実現に結びつけたいと考えています。

(井上:高知新聞記者)
 将来のあるべき姿として合計特殊出生率の数値を挙げていますが、それを数値目標として設定している県もある一方、生めよ増やせよという考え方があるという指摘もあって設定していない県もあります。高知県はまだ数値目標を設定していませんが、それに対しての考えを伺います。

(知事)
 数値自体を目標として考えるより、例えば1億人ぐらいを維持するのであれば、若い人たちにどのような環境を整備すべきなのかを明示し、それを政策目標として展開することが大事だと思います。
 問題は大きく二つあります。
 一つは、結婚したいと思っている人が結婚できる環境にしていくこと。
 もう一つは、晩産化・晩婚化について、結婚したいと思う年齢で結婚できないことが背景にあることから、できる限り希望される年齢にもっていくこと。
 この二つが大事であると提言の中でお示しし、政策目標として掲げて取り組んでいきたいと思います。
 そのうえで合計特殊出生率2.07ぐらいを目指していくことになると思いますが、とにかく2.07を目指せばいいということではありません。その過程において、結婚を希望する人が希望する時期に結婚できる社会を目指すという目標を掲げることで、正しい方向に少子化対策の施策を進めていけると思います。
 ですから、合計特殊出生率2.07は一つの目標ではありますが、それを達成すればいいというものではなく、皆さんの希望を叶えて結果として合計特殊出生率2.07となっていくようにしていきたいと思います。そのためにも希望する時期に希望する人が結婚できることを一つの成果目標として掲げ、政策を展開していきたいと思います。

(井上:高知新聞記者)
 高知県版の数値を示して施策を進めていく考えはありますか。

(知事)
 もちろんあります。ただ、希望する時期に希望する人が結婚できるということが一番の目標であり、産業振興計画にも成果目標を掲げているように、合計特殊出生率は目標が達成される結果としてどうなるかの目安です。
 例えば、合計特殊出生率が1.56に過ぎないのに、希望する人が希望する時期に結婚できるようになりましたと胸を張るというわけにはいきません。成果目標に連動する数値目標として合計特殊出生率2.07を超えていくことを目指すことになると思います。
 ただ、高知県版の数値目標を2.07にするかについては議論をしていきたいと思います。
 産業振興計画では必ず成果目標や、それに連動する数値目標を掲げており、少子化対策も同様ですが、一方で個人の自由もあります。また、多くの方のプレッシャーにならないようにすべきという議論ももっともだと思います。そういう点にも配慮しながら最終的な決定を行いたいと思います。

高知大学の取組

(古宇田:日経新聞記者)
 高知大学の取組に関して、来年度に新設予定である「地域協働学部」についての所見と、地域連携推進センターを通したこれまでのえ取組について、評価や要望があれば教えてください。

(知事)
 地域協働学部については、県としていろいろな連携の形を模索させていただいており、大変大きな期待感を持っています。
 既に、地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)として、県の地域産業振興監のところに高知大学から先生を派遣していただいて一緒に地域振興に取り組み、実が上がっていると伺っていますし、大学の持つ知見やネットワーク、そして学生さんがいらっしゃることによる若い活力を地域活性化にぜひつなげていただきたいと思います。
 また、地域連携推進センターについても、この取り組みがベースとなって地域協働学部が新設されるなどの実効につながっており、高く評価しておりますし、これからもよろしくお願いしたいと思います。

知事の政治資金パーティ

(小笠原:高知新聞記者)
 今週末に知事が就任以来、2回目の政治資金パーティを開かれますが、この時期の開催ということも含め、その意図をお尋ねします。

(知事)
 前回の開催が平成21年4月でしたから、5年3カ月ぶりの開催になります。
 私は、政治資金について浅く広くお願いすることを基本方針としており、そのために一番最適な方法として政治資金パーティ開催させていただきました。
 前回の政治資金パーティ以降、自分でお金も出したりしながら何とかやってこれましたが、いよいよ完全に底をつく状況になりましたので、今回、政治資金パーティを開催させていただくことになりました。来年11月頃の知事選挙をにらんでこの時期にしたということではなく、政治資金がなくなったので今の時期になったわけです。
 政治資金パーティでは、県政の現状と今後どのように県政を進めていきたいかといったことについてご報告したいと思っています。

オスプレイ(1)

(村上:高知新聞記者)
 オスプレイの佐賀空港への移駐計画について、昨日、防衛副大臣が佐賀県知事に対して、自衛隊だけでなく普天間飛行場のオスプレイについても佐賀空港への移駐を検討するよう要請しました。
 日頃、尾﨑知事は沖縄の負担軽減が必要だとおっしゃっていますが、今回の佐賀空港への移駐計画についての所見をお伺いします。

(知事)
 政府としてお考えになった上での判断だと思いますが、佐賀県民の皆様に丁寧に説明していただき、話し合いながらご理解を得た形で取り組みを進めていただければと思います。

(村上:高知新聞記者)
 佐賀県だけではなく、全国の他の空港にも受け入れを求めていく可能性があると官房長官がおっしゃっているようですが、これまでに高知空港をはじめ高知県内の関係機関に要請があったのでしょうか。もしなければ、これからあった場合に知事としてどう対応されるかを教えてください。

(知事)
 今まで国からの要請はありません。
 仮にあった場合について申し上げるのは難しいですが、高知県の場合、オスプレイを含め低空飛行訓練という形で、既に大変な負担を引き受けている県だということを忘れないでいただきたいと思います。安全保障のためではありますが、オレンジルートの訓練を繰り返す中で住民の皆様には非常にご負担いただいていることをご認識いただきたいと思います。

輝く女性応援会議

(古宇田:日経新聞記者)
 明日、輝く女性応援会議が全国に先駆けて高知県で開催されますが、高知県で第1回目が開催される意義と高知県に決まった経緯を教えてください。

会見する尾﨑知事(知事)
 私が全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチーム長として、森特命担当大臣(消費者及び食品安全、少子化対策、男女共同参画)と議論をさせていただく中で、「ぜひ高知県で第1回目をやってはどうか」とご提案をいただきました。私どもとしても本当にありがたい機会だと思っています。
 高知県は女性の有職率、管理職に占める女性の割合が全国第1位という県であり、大変誇らしい一方、有業率の高さについては厳しい状況からそうせざるを得ないこともあるかと思います。
 昨年度の県民世論調査で「高知県は女性にとって働きやすい環境と思うか」という質問に対してもネガティブな声の方が多く、働かざるを得ない環境だからこそ、より働きやすい環境を目指すことが必要だと思います。
 また、真に女性の能力を生かし切れる活力ある地域を目指すというポジティブな側面からしても、女性の活躍ができる県を目指していくべきであり、この二つの点において、平成26年度は女性の活躍促進を少子化対策とともに県政上の一つの柱に掲げています。
 平成26年度は少子化対策と女性の活躍促進政策の第一歩であり、まだまだ力強さに欠けている点もありますが、この1年間の取り組みで得たノウハウを生かし、平成27年度から施策をさらにパワフルに展開していきたいと考えています。
 こうした中、森特命担当大臣においでいただいて地元の皆様とお話いただいたり、第1回の地方版「輝く女性応援会議」を開催ただくことをきっかけに、政策のさらなる強化につなげていければと考えています。

オスプレイ(2)

(池:高知新聞記者)
 これまで知事はオスプレイの安全性の確保について強調する一方、日米共同総合防災訓練などにおいては南海トラフ地震対策としてのオスプレイの有用性についても言及がありました。
 仮に南海トラフ地震対策として高知県にオスプレイが常駐する場合、有用性と安全性の確保についてどう考えるのかをお聞きします。

(知事)
 従前から申し上げているとおり、航空機の安全性は時を重ねるごとに積み重なっていくものであり、事故を起こしたときに大きく声を上げ、しっかり対応を求めることで事故が減り、安全な状況にステイブル[安定]していくと思います。
 まだ懸念が完全に払拭できるという状況ではないかもしれませんが、従前に比べればいろいろな安全対策が取られてきているのも確かです。
 高知県で運航されることになるのであれば、引き続き具体的な安全対策を強く求めていくことに変わりありません。他方で、安全対策への努力が積み重ねられてきていることも認められると思います。
 また、オスプレイは災害時における航続距離や運搬能力という点において有用な手段だと思いますが、音がうるさいなどと言っていられない災害時に有用であることと、普段から常駐しているということはイコールではないため多方面の考慮が必要だと思います。
 ただ、仮に自衛隊の施設としてオスプレイを置くなら、佐世保との一体運用が必要であるということで佐賀県を選んだと思いますし、それが高知県になることはないと思います。また、米軍の負担軽減のために全国に声が掛かるのであれば、今まで負担していないところにまずはお願いしたいと思います。

(池:高知新聞記者)
 仮に常駐となれば、知事は消極的であるということでしょうか。

(知事)
 消極的ですが、議論も起こっていないのにあえて言及する必要もないと思います。

県中央地域の公共交通(2)

(小笠原:高知新聞記者)
 公共交通に関して、高知県には大口株主としての立場と、まだ決まってはいないものの何らかの形で経営に参画する経営者の立場の両方がありますが、基本的な考え方をどのように整理しているのでしょうか。

(知事)
 県民の声を生かした経営の実現に向けて、その両者の立場を一貫させていくことかと思います。
 県が株主であるということは、即ち会社は県民の会社です。県民の会社であるなら県民の声を反映した経営を行うべきです。そのため、民間事業者として経営を行う上で効率性の追求は必要ですが、それだけではなく安全性や過疎地域を守る公益性や、さらに高い利便性なども実現してもらうために経営者として参画していくことが基本スタンスだと思います。
 民間企業体であることの良さを大いに生かしていただきたい一方、中央公共交通システムを持続可能なものとするためにしっかり経営参画をしなければいけません。民間事業者としての良さをなくさないように気を付けながら、我々としてもしっかり発言をしていこうと思います。

元県議の政務調査費問題

(遠藤:高知さんさんテレビ記者)
 先日、ある県で県議会議員の政務調査費が問題になり、結局本人が辞められました。
 高知県においても元県議の方が政務調査費の問題で辞め、本人の説明がないまま数カ月経ちましたが、政務調査費の調査はどのくらい進んでいるのでしょうか。

(知事)
 議会の方で本人に説明を求めている状況であり、そういう意味では事態が変わっていないのかもしれません。ただ、説明を求め続けているという意味ではしっかりとした対応が取られていると言えます。
 引き続き、議会のご判断、ご姿勢を信頼し、我々も注視していきたいと思います。

(司会)
 以上で記者会見を終了します。

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