平成26年9月県議会での知事提案説明

公開日 2014年09月24日

平成26年9月高知県議会定例会での知事提案説明 (9月24日)

1 国の動向について

2 補正予算などについて
(1)9月補正予算
(2)今後の財政収支見通し

3 台風被害への迅速な対応について

4 南海トラフ地震対策について
(1)第2期行動計画に基づく取り組み
(2)南海トラフ地震防災対策推進計画の策定について
(3)道路啓開計画の策定について

5 第2期産業振興計画の推進について
(1)産業振興計画バージョン3の着実な進捗とさらなるバージョンアップ
(2)高知家プロモーション・セカンドシーズンの展開
(3)地産外商戦略の取り組み
(4)第一次産業の取り組み
(5)県立足摺海洋館の今後のあり方について
(6)四国地方産業競争力協議会の強化戦略の取り組みについて

6 日本一の健康長寿県づくりについて
(1)日本一の健康長寿県づくりの取り組みについて
(2)少子化対策の抜本強化と子ども・子育て支援新制度への対応について

7 教育の充実等について
(1)学力向上の取り組みについて
(2)スポーツ振興に向けた取り組みについて
(3)県立高等学校再編振興計画について

8 中山間対策について

9 県立坂本龍馬記念館のリニューアルに向けた整備について

10 中央地域の公共交通について

11 議案


 本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成26年9月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。

 ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。

 はじめに、「平成26年8月豪雨」により、広島県をはじめ全国でお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様に対しましてお悔やみを申し上げます。
 先月の台風第12号及び第11号により、本県の雨量も広い範囲で記録的なレベルに達し、県内の42河川の流域で浸水被害が発生するなど、近年にない大きな災害がもたらされました。本県及び全国の被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
 この度の被害に対しましては、まず、道路、河川などの公共施設等の迅速な復旧に向けた対策を実施いたしますとともに、浸水被害の再度災害の防止についても、被害の原因分析を行い、必要な対策を国や市町村と連携して講じてまいります。また、土砂災害から人命を守るため、啓発の強化や避難訓練の充実などの対策を進めてまいります。
 さらに、被災者の支援に関しては、被災者の皆様の生活再建を図るための支援策を講じてまいりますほか、各分野での経済被害に関しても、少しでもその影響が小さくなるよう必要な対策を講じてまいります。
 これらの対策の実施に当たっては、既存制度を活用して迅速な対応を図ることとしておりますが、併せて、新たな制度の創設や予算の増額を要するものにつきましては必要な補正予算案を提案しております。
 以上のような一連の対策を通じまして、県民の皆様に一日も早く日常の生活を取り戻していただけるよう、県としましても全力を挙げて取り組んでまいります。

1 国の動向について

 今月3日、第2次安倍改造内閣が発足いたしました。これまで安倍内閣は、長引くデフレからの脱却と低迷する我が国の経済再生に向けて、いわゆるアベノミクスの三本の矢を放ち、本格的な対策を講じてきたところであります。
 安倍総理におかれましては、引き続き、成長戦略の着実な実行など、経済の再生に強力に取り組んでいただくとともに、持続可能な社会保障制度の確立や南海トラフ地震対策の推進など、我が国が直面している課題の解決に向けて、リーダーシップを発揮していただきたいと考えております。
 中でも、構造的な課題である人口減少を克服するとともに、地方が成長する活力を取り戻すことを目指した「元気で豊かな地方の創生」は、総理自身が改造内閣最大の課題の一つとして掲げているところであります。国においては、総理を本部長とする「まち・ひと・しごと創生本部」を設置するなど、内閣を挙げてこの課題に取り組もうとされており、大いに期待するところです。
 地方の創生を成し遂げるためには、国は、直面している課題に応じて地域地域が取り組んでいる施策に重きをおいて支援することが重要であります。
 また、地域の企業や事業者の皆様が抱える課題はそれぞれ異なりますことから、地域の皆様の多様なニーズに対応できる総合的な施策を展開していくことも必要となってまいります。
 さらには、県庁所在地などの中心都市のみならず、中山間地域にも若者が住み続けられなければ、真の創生は、なし得ないところであります。
 国には、地方の意見を十分に反映し、地方の目線に立った実効性のある施策を展開することを期待するものであります。
 本県としましても、全国に先駆けて人口減少や高齢化が進む中、人口減少と経済規模の縮小という負のスパイラルを克服することにベクトルを合わせて、これまで、地産外商や移住促進など産業振興計画の推進、大学改革など教育の充実、高知型福祉の促進、さらには抜本的に強化した中山間対策や少子化対策などに全力で取り組んでまいりました。
 今後も、県として、これらの政策に全力で取り組みますとともに、全国知事会などとも連携しながら、国に対し、引き続き機を捉え、本県の経験を踏まえた政策提言を行ってまいります。

2 補正予算などについて

(1)9月補正予算

 今議会では、「台風第12号、第11号被害への迅速な対応」、「南海トラフ地震対策のさらなる強化・加速化」、「経済の活性化」、「教育の充実と子育て支援」、「2020東京オリンピック・パラリンピック開催を契機としたスポーツの振興」の5つの柱に基づき、総額188億6千万円余りの補正予算案を提出しております。
 「台風第12号、第11号被害への迅速な対応」に関しては、先ほど申し上げましたとおり、国の補助事業や県単独事業も最大限活用し、公共施設等の災害復旧や経済被害対策のほか、被災者生活の再建支援、土砂災害対策などを迅速に実施してまいります。
 「南海トラフ地震対策のさらなる強化・加速化」に関しては、住宅の耐震化や公共土木施設等の減災防災対策など「命を守る」対策を加速化いたしますとともに、県立の特別支援学校の避難所機能の強化など応急期の「命をつなぐ」対策も強化することとしております。
 「経済の活性化」に関しては、第2期産業振興計画の目標達成等に向けまして、先進的な園芸農業システムの普及など第一次産業での取り組みを強化いたしますほか、観光分野では地域博覧会の開催の支援などを進めてまいります。さらには、四国産業競争力強化戦略に即応した取り組みも展開してまいります。
 「教育の充実と子育て支援」に関しては、小中学生の学力向上や高校生の基礎学力定着に向けた取り組みを強化いたしますとともに、県立高校におけるグローバル教育の推進のため、高知南中・高校及び高知西高校において先導的な取り組みを進めてまいります。
 「2020東京オリンピック・パラリンピック開催を契機としたスポーツの振興」に関しては、今後推進するプロジェクトの実施計画を策定するなど、開催を契機に本県のさらなるスポーツ振興を図ることとしております。

(2)今後の財政収支見通し

 県の財政運営においては、県民サービスの確保と県財政の健全化を共に実現するため、中期的な収支の動向を常に念頭に置いて財政規律の維持に努めていくことが重要であります。
 このため、本年度も、昨年度の本県の決算状況や中期財政計画をはじめとする国の動向などを踏まえ、平成32年度までの中期的な財政収支の試算を行いました。
 その結果、南海トラフ地震対策行動計画に基づく建築物の耐震化や保育所・幼稚園の高台移転などの地震対策のさらなる加速化や、社会保障と税の一体改革を踏まえた今後の社会保障関係経費の増加による影響を加味しても、一定の財政調整的基金を確保しつつ中期的に安定した財政運営を行うことができる見通しとなりました。また、実質的な地方交付税である臨時財政対策債を除く県債残高も、引き続き抑制傾向を維持できる見通しであります。
 しかしながら、歳入に占める地方交付税などの割合が高いため、本県の財政運営は、国の財政健全化に向けた取り組みや税制改正などの動きに左右されます。引き続き、これらの動向を注視し、必要に応じて国にも政策提言を行うなど、気を緩めることなく中期的な見通しに立って安定的な財政運営に努めてまいります。

3 台風被害への迅速な対応について

 次に、台風被害への迅速な対応についてご説明申し上げます。
 台風第12号及び第11号による豪雨は、先月1日から10日までの間に仁淀川町などでは総雨量が2,000ミリを超えるなど、多いところで年間雨量の5割、8月平年値の4倍を超える記録的な雨量をもたらしました。この結果、県内でも多岐にわたり多くの被害が発生しておりますが、これらの被害に対しまして、5つの分野ごとに対策を迅速に講じてまいります。
まず、第一の対策は、公共施設等の復旧に向けた対策であります。
 今回の豪雨により、道路の被災や地すべりの発生、河川の流域での浸水被害、農地の崩壊など、多くの公共施設等の被害が発生し、また、県内40カ所で、道路の寸断などによって孤立地域が発生いたしました。孤立状態は全て解消いたしましたものの、現在も迂回路の通行や、地すべりなどによる避難生活を余儀なくされている方々がおられます。現在、応急復旧作業を行っている県管理道路について、できる限り早期の工事完了を目指して取り組んでまいりますとともに、その他の被災箇所についても、早期の本復旧に取り組んでまいります。
 第二の対策は、浸水被害についての再度の災害防止対策であります。
 今回広範囲に浸水した河川の流域では、これまでも様々な対策が講じられてきましたものの、この度の豪雨による出水規模が各施設の計画容量を超えたことにより浸水被害が発生したものであります。このため、これらの河川における浸水被害の原因を分析した上で、国、市町村とも連携し、排水ポンプの新設など治水能力の増強を検討してまいりますとともに、その他の河川についても今回の被害を教訓にさらなる対策を講じることといたしました。
 第三の対策は、土砂災害から人命を守る対策であります。
 土砂災害につきましては、県内には、地形などの特性から土砂災害が発生する可能性のある土砂災害危険箇所が18,112カ所あり、そのうち、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域に指定した箇所は、先月末現在で6,756カ所となっております。
 土砂災害警戒区域の指定については、平成17年度から着手しており、当初は年間500カ所のペースで指定してきたものを、平成25年度からは指定箇所を倍の1,000カ所にして取り組みを進めてきたところであります。しかしながら、今回のような豪雨に備えるため、平成28年度からは、さらにその倍の年間2,000カ所の指定ができるよう対応を強化してまいりたいと考えております。
 また、日頃より、住民の皆様に土砂災害の危険性についてあらかじめ警戒感を持っていただくことが何より重要でありますことから、土砂災害の一般的な前兆現象や、土砂災害警戒情報などが発表された時の対処の仕方などと併せて、現時点で警戒区域に指定されていない土砂災害危険箇所についてもさらに周知していく必要があると考えております。
 このため、土砂災害への備えに関する冊子と危険箇所などを示したマップを作成して来年度の早い時期に県内全戸へ配布いたしますほか、土砂災害に関する学習会を開催するなど、県民の皆様に土砂災害の危険性を認識していただく取り組みを加速してまいります。また、住民の的確な避難行動に結びつくよう、住民参加型の防災訓練の回数を増やしますとともに、その内容についても充実を図ってまいります。
 第四の対策は、被災された方々の生活の再建支援であります。
 今回の豪雨により、住宅の全半壊などの被害や、避難指示などが長期に及ぶ地域が生じていることから、災害援護資金貸付金などを活用して、被災者の皆様の生活再建を支援するとともに、教職員住宅の提供、民間住宅の借り上げ支援といった、被災者の皆様の住居確保につきましても万全を期してまいります。
 第五の対策は、様々な分野で生じた経済被害に対する対策であります。
 まず、農業分野では、農作物の冠水やビニールハウスの倒壊、集出荷施設の浸水などにより24億円余りの被害が発生しております。迅速な復旧を目指して、県単独事業とともに国の制度も活用して復旧を支援してまいります。
 また、林業分野では、林内作業道の崩壊や製材施設の浸水などにより2億9千万円余りの被害が発生しており、特に木材生産全般に影響のある作業道などを優先しつつ、復旧を支援してまいります。
 さらに、観光分野では、例年観光客数がピークを迎える時期に豪雨被害を受けたため、旅館・ホテルの宿泊キャンセルが相次ぎその数が約1万6千泊に上るとともに、宿泊客以外の客足も遠のくなど、県経済の広範な分野に大きなマイナスの影響が発生したところであります。こうした、広範な影響を補うべく、マスメディアへの情報発信などによる緊急誘客対策を展開してまいります。

4 南海トラフ地震対策について

 続いて、平成26年度の県政運営の現状に関し、まずは、南海トラフ地震対策についてご説明申し上げます。

(1)第2期行動計画に基づく取り組み

 現在、第2期南海トラフ地震対策行動計画に基づき、避難路・避難場所や津波避難タワーといった津波避難空間の整備など「命を守る」対策に最優先で取り組むとともに、避難所の確保対策など応急期における助かった「命をつなぐ」ための対策についても本格的に取り組んでいるところであります。
 一連の対策を進めるにあたっては、被災者が置かれた状況をリアルに想定し、考えられる課題を常に洗い出していくことが重要であると考えております。
 こうした考えの下、今月1日、南海トラフ地震対策推進本部会議において、想定される課題をさらに洗い出した結果、例えば、津波避難場所で孤立した場合における通信手段の確保や医療活動で大量の水を必要とする県立病院の水の確保など、命をつなぐ視点で新たに61項目の対策を行動計画に位置付けることといたしました。
 今後は、新たに追加された対策も含めまして、地震発生直後から応急期の初期段階までの対策を平成27年度までに概ね完成させることを目指し、取り組みのさらなる加速化を図ってまいります。

(2)南海トラフ地震防災対策推進計画の策定について

 昨年12月に施行された南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づき、現在、県と市町村において南海トラフ地震防災対策推進計画の作成に取り組んでおります。
 この推進計画には、地震防災上緊急に整備すべき施設などの整備や、国、地方公共団体その他の関係者の連携協力の確保といった事項を定めることとされており、県の計画については、今月8日の高知県防災会議においてご承認いただいたところであります。
 今後、市町村におきましても、県の計画との整合を図りながら、より具体的な地震・津波対策を実施するための推進計画が作成されることとなります。
 中でも、津波避難対策特別強化地域に指定された沿岸19市町村においては、推進計画の作成と併せまして、津波避難対策緊急事業計画の作成も進められているところであります。この緊急事業計画に位置付けますことで、津波からの避難に必要な事業などについて、国の補助金のかさ上げ措置が適用されますことから、今後、できる限り早期に市町村の計画作成が完了いたしますよう、県としても支援してまいります。

(3)道路啓開計画の策定について

 次に、道路啓開計画の策定についてご説明申し上げます。
 地震発生直後には、救命・救護活動を行うためのルート確保に全力を尽くす必要がありますが、現実には、情報の断絶や錯綜により被災状況が十分把握できていない中で道路の啓開作業を余儀なくされることが想定されます。
 こうした制約された条件下において迅速かつ効率的に道路啓開を行うためには、優先すべきルートをあらかじめ決定し、限られた資源を集中させる必要があります。
 優先すべきルートとしましては、予想される被災状況に鑑みれば、果たす役割に応じて大きく2つのタイプのルートがあると考えております。
 その第一は、広域的なルート、すなわち、高規格道路と総合防災拠点や災害拠点病院などとを結び、県外からの応援部隊や物資などを受け入れる役割を持つルートであります。第二は、地域内のルート、すなわち、各地域において、総合防災拠点と病院など地域の防災拠点とを結び、負傷者の搬送、備蓄物資の運搬などの役割を持つルートであります。
 現在、これら2つのタイプのルートについて、優先的に啓開できるよう関係者の皆様と検討を進めているところであります。
 7月には、第1回の道路啓開計画作成検討協議会を開催し、国や自衛隊、建設業協会、警察本部などの関係者の方々と、啓開作業の手順や必要となる重機の確保など啓開活動を進める上での課題について協議いたしました。
 その後、南海トラフ地震対策推進地域本部と各市町村の連携の下、各ブロックごとに、実際に啓開にあたっていただく建設業者の皆様と作業上の課題などについて協議を行うとともに、地域の防災拠点までの啓開が必要な道路の選定を行っているところであります。また、啓開に要する日数の算定や啓開時間をより短縮するための対策案の検討も進めております。
 今後は、啓開区間ごとに建設業者を選定し、併せて啓開手順書を作成するなど、より具体的で実効性のある計画の策定に取り組んでまいります。

5 第2期産業振興計画の推進について

(1)産業振興計画バージョン3の着実な進捗とさらなるバージョンアップ

 次に、産業振興計画についてご説明申し上げます。
 第2期計画で掲げた「4年後の目標」を達成するためには、3年目となります本年度の取り組みが特に重要となりますことから、これまで以上に、PDCAサイクルにより、取り組み状況をきめ細かく検証するとともに、こうした検証を通じまして、必要な対策の追加や見直しを行ってまいります。

(2)高知家プロモーション・セカンドシーズンの展開

 2年目の高知家プロモーションについては、高知家のさらなる認知度向上を図ることと、地産外商や観光振興、移住促進の面で具体的な成果に結びつけることを目的として、「おすそわけ」をテーマに掲げ、首都圏を中心にプロモーション活動を展開しております。
 具体的には、首都圏などの電車や航空機内での広告、スーパーよさこいに合わせた原宿表参道でのフラッグ広告などのPR活動を展開してまいりましたほか、魅力的な食や自然、高知家の温かい人柄にスポットを当てたテレビ番組など、マスメディアによる広報も充実させるなど、切れ目なく高知家を発信しております。
 また、高知家統一セールスキャンペーン推進本部において、にらや宗田節、土佐和紙など5品目を第1弾の重点プロモーション品目として選定し、その認知度向上や販売拡大といった目標達成に向けて、本県独自の技術や独特の味わいなど各品目の特徴を際立たせたプロモーションを展開しております。
 さらに、これからの季節に合わせて、高知の特産品である土佐文旦やトマト、ブランド養殖魚を新たな重点プロモーション品目として追加いたしました。今後も引き続き、関係団体などとも戦略を共有しながら、官民協働によるセールス活動に取り組んでまいります。

(3)地産外商戦略の取り組み

 地産外商公社の外商部門においては、本年度は、特に、大口の取引につながりやすい卸売業者の方々との関係強化に努めております。これまでの取り組みにより、大手卸売業者と生活情報誌が共同で実施しました全国的なヒット商品を発掘するプロジェクトの第1弾に本県の商品が取り上げられ、全国に向けて発信されるなど、多くの高知県産品に対して高い評価をいただきました。また、このほかにも、県内事業者が卸売業者主催の展示商談会に出展する機会が増加し、7月だけで5回の出展につながるなど具体的な成果が表れております。
このように工夫を重ねながら取り組みを続けてまいりました結果、本年度の地産外商公社の仲介・あっせんによる成約件数は、先月末までに1,022件と、昨年同時期の867件を大きく上回っております。
 こうした公社の取り組みに加えまして、県では、6次産業化と地産外商の推進にご協力いただける企業との間でパートナー協定を締結し、全国で通用する商品づくりや販路拡大などを支援することとしております。その第1弾となる協定を締結した旭食品株式会社との連携を希望する県内の食品加工事業者や農林業者の皆様を公募いたしましたところ、40社の方々の応募をいただきました。来月10日には、こうした事業者の方々と旭食品株式会社とのビジネスマッチングの場を設け、事業者同士の具体的な事業展開につなげてまいりますとともに、協定に基づく支援を行い、両者の連携による相乗効果をより大きなものにしてまいりたいと考えております。

(4)第一次産業の取り組み

 次に、第一次産業の取り組みについてご説明申し上げます。
 まず、農業分野では、先進技術を活用して高品質・高収量を目指す「次世代型こうち新施設園芸システム」の普及に、今後、本格的に取り組んでまいりたいと考えております。
 本県では、これまで、全国に先んじて施設園芸の先進地であるオランダから収穫量の大幅な増加が見込まれる高軒高ハウスや環境制御などの先進技術を学ぶとともに、これを生かしつつ、農業技術センターにおいて、本県の実情に即した技術の早期確立に向けた研究開発に取り組んでまいりました。また、現場での実証も重ねてきており、重点品目であるピーマンなどの7品目について、5パーセントから37パーセントの増収効果が確認できたところであります。
 さらに、本年度から、四万十町において、国のモデル事業を活用して大規模な次世代型の園芸団地の整備を進めますとともに、新たな担い手育成と先進技術普及の拠点として、農業担い手育成センターを隣接して開設したところであります。
 このように、関連する取り組みが着実に進んできましたことから、これらの先進技術を「次世代型こうち新施設園芸システム」として県内全域に普及するべき機が熟したものと考えております。
 このオランダの技術を基礎とした新しいシステムは、県内農家の経営を大きく変える可能性があるものであります。意欲ある農業生産法人や農家が、早期にその経営規模などに応じた対応を図ることができるようになりますよう、ハードとソフトが一体となった支援策を推進してまいります。
 具体的には、まず、ハード面では、規模拡大に意欲ある農業生産法人等を対象に、県内複数箇所におきまして、国のモデル事業の対象とはならないものの本県の施設園芸の経営面積には適した次世代型ハウスのモデル整備を県単独で支援してまいります。あわせまして、先進技術のすそ野をさらに広げてまいりますため、新技術の導入に積極的な農家等を対象に、既存型ハウスへの環境制御技術の導入を支援してまいります。
 また、ソフト面では、県の普及指導員とJAの営農指導員の中から、環境制御技術に習熟した職員を環境制御技術普及推進員として県内5ブロックに10名配置して、推進態勢を強化いたします。その上で、次世代型ハウスのモデル整備や既存型ハウスへの環境制御技術の導入にあたり、これらの推進員等が、地域や品目ごとにきめ細かな技術指導を行いますとともに、技術導入後のフォローも実施することとしております。
 さらには、次世代型ハウスや環境制御技術を導入した既存型ハウスを「学び教えあう場」と位置付けるなど、あらゆる機会を捉えて、先進技術のノウハウや効果を農業団体や農家の皆様に普及してまいります。

 林業分野については、小規模な林業活動のさらなる推進に向けまして、新たな取り組みを進めてまいります。
 昨年8月、高知おおとよ製材が稼働を始め、平成27年には、低質材を中心に大量の原木を必要とする木質バイオマス発電所が県内2カ所において操業する予定であり、商品としての原木に再び脚光が当たりつつあります。
 今後、さらなる原木の増産を図っていくためにも、森林組合や林業事業体はもとより、様々な形で小規模な林業活動を実践している方々に、その一翼を担っていただきたいと考えております。
 また、このことが、中山間地域において小規模な林業活動を実践している方々のさらなる所得の向上にもつながるとともに、集落活動センターの取り組みに自伐林業を取り入れることで、その経済的自立にも寄与するなど、各方面において大きな効果が期待できるのではないかと考えております。
 これまで、県としても、小規模な林業活動を実践する方々に対して、林業技術の習得に向けた研修の開催などの支援を行ってまいりました。また、小規模な林業活動を実践する方々ご自身が、高い志を持って山を守ってこられるとともに、後継者育成にご尽力されてきたこともあり、小規模林業を営む方も一定増えてまいりました。
 原木の需要が高まることによって、その商品としての価値が従来に比して高まりつつある中で、より多くの方々が小規模な林業活動に専業や副業で携わっていただくことができる環境が整ってきたのではないかと考えております。
 こうした小規模林業を取り巻く環境に明るい兆しが見え始めた好機を確実に生かしてまいりますため、今後、小規模な林業活動の本格的な振興に着手することとしたいと考えております。
 その第一弾としまして、まずは、同じ活動をする人々が情報を共有できる場が必要であるとの皆様からのご意見に応えるため、情報交換の場となる推進協議会を設置することといたしました。
 今後は、この推進協議会等において、様々な方からご意見をお伺いしながら、小規模林業の本格的な振興に向けた次なる対策を検討してまいりたいと考えております。

 水産業分野については、水産物の販売力の強化と魚価の向上を図るため、大都市圏での外商の強化に取り組んでまいります。
 本県の水産物の取り扱いやPRにご協力いただける大都市圏の飲食店と県内の水産事業者とのマッチングを図る高知家の魚応援店制度については、本年4月の事業開始以降、関東、関西を中心に既に300店舗余りの飲食店にご登録いただいております。他方、県内からも、この応援の店との取引を希望する60余りの事業者に参加いただいているところであり、大都市圏の飲食店との間で水産物のサンプル出荷や取引が始まっているところもあります。引き続き、産地情報の提供を進めますとともに、応援の店などを対象とした商談会や産地見学会を開催することなどにより、大都市圏の飲食店と県内事業者との取引の拡大を目指してまいります。
 さらに、来月23日には、東京築地場外市場に水産物の産直市場「築地にっぽん漁港市場」がオープンいたします。県としましては、これを絶好の機会と捉え、この産直市場への県内事業者の出店とイベントの開催等の外商活動を支援することといたしました。この施設には、水産事業者や飲食店などの関係者のほか、買い物客や国内外からの観光客など、多くの来場者が見込まれております。このため、出店する事業者の方々と緊密に連携しながら、こうした築地のブランド力や立地条件を生かし、この施設を首都圏における本県水産物の外商拠点とすべく取り組みを進めてまいります。

(5)県立足摺海洋館の今後のあり方について

 昨年度の耐震診断により補強の必要性が判明いたしました足摺海洋館につきましては、これまでの取り組みを検証するとともに、幅広い視点から今後の館のあり方について検討を進めてまいりました。
 検討委員会では多くの議論を重ねていただき、この度、最終の取りまとめをいただいたところであります。
 その中では、海洋館のある竜串地域について、その最大の魅力である素晴らしい海を十二分に生かしながら、竜串地域全体を海の水族館と見立てた体験型総合レクリエーションゾーンとして整備すべきとのコンセプトが示されました。
 今後は、この最終報告の方向性を生かして、全国レベルの知名度を持つ水族館を経営し、土佐清水市に研究センターを設置されております大阪の株式会社海遊館との連携も密にしながら、施設の機能や規模などについて具体的に検討を進め、地方の水族館であっても全国に情報発信できる魅力的な施設となるよう取り組んでまいります。

(6)四国地方産業競争力協議会の強化戦略の取り組みについて

 次に、本年3月に策定されました四国地方産業競争力協議会の「四国産業競争力強化戦略」の取り組みについてご説明申し上げます。
 強化戦略では、四国地域の産業競争力の強化を目指し、四国が連携して取り組みを進める11のプロジェクトを掲げており、本県においても、そのプロジェクトを取り入れて産業振興計画をバージョンアップするなど、それぞれの取り組みを進めております。
 このうち、2つのプロジェクトに関連する施策について、必要な経費を今回の補正予算案に計上し、取り組みを強化することといたしました。

(ア)紙産業の振興について

 第一に、紙産業など四国に集積する産業の一層の高度化を目指した「高機能素材関連産業創出プロジェクト」がスタートしたことに合わせ、本県の紙産業のさらなる振興に取り組んでまいります。
 土佐和紙の産地としての長い伝統とこれまでに培われた高い技術力によって、高品質の不織布や高機能紙などを製造している本県の紙産業は、本県製造品出荷額等の12パーセントを占めており、まさに本県の製造業を牽引しております。
 これらの技術により生み出された製品は、生活用品から工業製品、さらには防災関連商品に至るまで、幅広い分野で利用されており、また、新たな高付加価値製品の開発などにより、医療・介護・健康分野などさらなる成長が見込まれる分野への用途の拡大も期待されているところであります。
 このため、県内紙産業のさらなる振興に向け、今月11日、製紙工業会をはじめとした県内外の有識者による「高知県紙産業の在り方検討会」を立ち上げ、本県の紙産業が目指すべき方向性や具体的な方策について協議を開始いたしました。来年度からは、検討会でいただきましたご意見を基に県の施策を抜本強化し、本県紙産業のさらなる技術力の高度化や付加価値の高い新製品の開発と売り込みに向け、官民一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
 あわせまして、県内企業の製品開発の拠点となります紙産業技術センターの早急な機能強化を図るため、企業からのニーズが高い機械設備を導入するなど、紙産業の振興にしっかりと取り組める態勢を整えてまいります。

(イ)サイクリング観光の振興について

 第二に、「四国ならではの観光資源づくりプロジェクト」のスタートに合わせ、サイクリストの誘客拡大を目指した取り組みを進めてまいります。
 このプロジェクトでは、海外からのサイクリスト誘客のため、サイクリングの盛んな台湾や韓国などのメディアなどを招いてPRすることや、サイクリストの安全・安心な走行のため、コースに目的地までの距離や方向を示す路面標示、いわゆる「ブルーライン」の設置を進めていくことに、今後4県が連携して取り組んでいくこととなっております。
 本県としましては、こうした取り組みに即応し、まず、四国一周コースの一部であることも踏まえて、毎年3月開催の「四万十・足摺無限大チャレンジライド」の大会コースにブルーラインを設置してまいります。また、このような先行した取り組みに加えて、周辺地域の魅力を情報発信することによりまして、国内外にサイクリングの地としての本県をいち早くPRし、サイクリストの誘客を積極的に推進してまいりたいと考えております。

6 日本一の健康長寿県づくりについて

(1)日本一の健康長寿県づくりの取り組みについて

 次に、日本一の健康長寿県づくりの取り組みについてご説明申し上げます。
 まず、保健・医療の分野では、若手医師のキャリア支援や奨学貸付金などによる医師・看護職員の確保対策を図るとともに、乳幼児健診やがん検診の受診促進、働き盛り世代の生活習慣病対策に加え、子どもの頃からの健康的な生活習慣の定着にも力を注いでまいりました。本年度、小学校から高校までの健康教育の教材が全ての学年でそろいましたことから、今後、学校現場での活用を通じ、それぞれの年代に応じた健康づくりや健康教育をさらに進めてまいります。
 また、本年度から、地域地域において県民の健康づくりを支援してまいりますため、地域の薬局を「高知家健康づくり支援薬局」として認定することといたしました。今月7日には、その第1弾となる100の支援薬局が誕生したところであり、これらの支援薬局では、県が提案する健康づくりに関する活動を実施していただくこととしております。例えば、年間を通じて、特定健診や乳幼児健診などの受診勧奨などを行っていただくとともに、乳がん月間などには、さらにきめ細かな受診勧奨など、機を得た活動を行っていただくこととしております。
福祉の分野では、認知症やその疑いのある人が安心して暮らせる地域づくりに向けまして、市町村と医療・介護サービスの提供事業者などが一体となった地域の支援体制が構築できるよう、四万十市と香美市でモデル事業をスタートしたところであります。
 また、「高知家の子ども見守りプラン」に基づく少年非行の防止対策に関しては、民生・児童委員などと小学校・家庭が連携した地域での見守り活動の仕組みを、県内の各小学校に普及・定着させるため、関係機関との協議を進めているところであります。昨年は高知市内の11の小学校で取り組みが始まりましたが、本年は、県内全小学校196校のうち、100校以上の小学校での実施が見込まれております。今後、養育上の支援を必要とする家庭の早期の把握と支援に取り組むことによりまして、地域における見守り体制の整備に努めてまいります。
 このほか、少子化対策の抜本強化に向けた取り組みといたしまして、この7月に開設をいたしました「出会い・結婚・子育て応援コーナー」では、出会いや結婚を中心に、先月末時点で106件のご相談が寄せられており、相談者へのきめ細かなサポートや情報提供に努めているところであります。

(2)少子化対策の抜本強化と子ども・子育て支援新制度への対応について

 こうした中、先の全国知事会議においては、少子化の問題は待ったなしの重大な課題であるとの危機感を共有し、「少子化非常事態宣言」と一連の政策提言を取りまとめたところであります。
 私は、全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、この知事会での取りまとめに携わってまいりました。その中では、第一に、出生率を高めること、第二に、地方で子育て環境に恵まれた家庭を築く若者を増加させること、第三に、世代間の支え合いの仕組みを構築すること、という3本の柱の下に、高齢者の資産移転を促し若者の経済的負担を軽減する税制改正など、具体的な政策提言を数多く盛り込んだところであります。
 7月以降、担当大臣や政府与党の関係者などに対し、一連の政策の必要性を訴えてきており、先月末には、全国知事会の山田会長とともに安倍総理に直接お会いし、国と地方が総力を挙げてこの問題に取り組むべき時は今をおいて他にはないことなどを、強く申し入れてまいりました。
 また、本県においては、来年度からスタートいたします子ども・子育て支援新制度へ円滑な移行が図られますよう、幼児期の教育・保育の質の向上と量の拡充に向けた計画づくりについて継続的に議論を進めているところであり、今月16日には、第4回となる高知県子ども・子育て支援会議を開催し計画の骨子案などについて議論したところであります。
 さらには、結婚・妊娠・出産・子育てなどを通じた幅広い少子化対策の取り組み方針を定める新たな次世代育成支援行動計画につきましても、年度内の策定に向けまして、本格的な取り組みを進めております。

7 教育の充実等について

(1)学力向上の取り組みについて

 小・中学生の学力向上の取り組みについては、先月公表されました本年度の全国学力・学習状況調査の結果を見てみますと、本県の小学生は、国語、算数ともに全国平均を上回っており、中学生も、全国との差は依然厳しいものの、全国平均正答率とのポイント差は昨年と比べて縮小しているところであります。
 しかしながら、調査の始まった平成19年度から著しい伸びを示していた学力の改善状況も、ここ数年は足踏み状態にあり、特に、思考する・判断する・表現するといった能力をさらに伸ばす必要があることが明らかになってきております。これらの能力は、児童生徒が社会に出た際に真に必要なものであり、その習得・定着に向けた取り組みを一層強化する必要があります。このため、昨年度、まず数学の問題について教材を開発し、この4月から授業に取り入れてまいりました。さらに本年度は、国語につきましても、思考力や表現力の育成に重点を置いた新たな教材を開発し授業での活用をスタートするほか、指導力向上のため担当教員が自ら授業の改善点を分析できるシートを導入する準備を進めてまいります。
 今後も、有識者や県内外の教育関係者の方々のご協力の下、課題の分析、検討を行うことにより、子どもたちが大人になって力強く生きていくために必要な思考力や表現力が身につくよう取り組んでまいりたいと考えております。

 高校生の学力向上の取り組みについては、学力定着把握検査などの結果を見てみますと、社会に出た際に求められる思考する力や表現する力などが十分でないまま高校に入学し、高校1年生で学ぶ基礎的な科目の学習内容を十分に習得できずに進級している生徒が一定数いるといった課題が明らかになっております。このため、高校生がこれらの基礎的な学力を身に付けることができるよう、まず数学について、中学校での学習内容に立ち返りながら数学Ⅰの学習を進めることができる補助教材を本年度中に作成し、授業や家庭学習で活用してまいります。
 今後は、国語や英語につきましても順次対策を進め、さらなる学力向上に向けた取り組みを推進してまいります。

(2)スポーツ振興に向けた取り組みについて

 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向けて、今後、スポーツ振興に向けた様々な取り組みが国を挙げて強化されることが期待されるところです。
 スポーツは、子どもたちの「知」「徳」「体」全てを鍛え、次世代を担う人材の健全な育成に資するものであります。県としましては、あらためてスポーツの意義や価値を踏まえ、まず、土台となる学校や世代を超えた地域のスポーツ活動の充実に重点を置きつつ、さらにはオリンピック・パラリンピックを目指した選手育成に向けた取り組みを強化していきたいと考えております。
 そのため、教育委員会を中心に、スポーツ関係者や有識者の方々にも参画いただきながら検討会を立ち上げ、スポーツの振興に向けた具体的な戦略を盛り込んだ「スポーツ推進プロジェクト実施計画」を本年度中に取りまとめてまいります。検討会での議論を通じまして、学校教育を通じた体力づくりの推進、全ての地域において子どもから高齢者までがスポーツに親しみを持てる環境づくり、質の高い一貫指導を通じたオリンピック・パラリンピックや国内外の主要な大会で活躍できるトップ選手の育成、さらには、こうした活動を支えるスポーツ施設の整備や事前合宿の招致に向けた準備などについて、明確な目標と対策を示した計画を策定してまいりたいと考えております。
 そして、この計画に基づき、官民を挙げて、スポーツの振興のための総合的な取り組みを進めてまいります。

(3)県立高等学校再編振興計画について

 教育委員会では、今後10年間の県立高等学校のあり方と方向性を示す県立高等学校再編振興計画の策定に関しまして、統合の対象となりました各学校の関係者や県内の教育関係者の方々にもご出席いただき、本年4月から延べ14回の教育委員協議会を開催してまいりました。
 その中で、ご出席いただいた皆様からは、「なぜ学校の統合が必要なのか」「なぜこの学校なのか」という疑問や、統合の進め方、統合後の学校のあり方などについて多くのご意見をいただいてまいりました。
 こうしたご意見に対して、生徒数が今後大幅に減少する中で適正規模の学校を維持することの必要性や、統合後の新しい学校の姿、その実現に向けた具体的な取り組みなどについて、丁寧に説明を行い、意見交換を重ねてきたところであります。
 高知南中・高校と高知西高校の統合の進め方に関しましては、保護者の皆様などのご意見を踏まえまして、統合の過程で下級生が長期間いないといった状態ができるだけ少なくなるよう見直しを行うとともに、両校の教育の充実策もご提案いたしました。
 高知南中・高校の関係者の皆様からは、統合の進め方について、生徒へのより一層の配慮を求める声や、統合が決まった後に志願者が減ることに対する懸念などのご意見をいただきました。このようなご意見に対しましては、統合までの間、教育センターと学校が密接に連携し教育環境を充実するなど、生徒一人ひとりの進路の実現などに向けて、教育委員会としてしっかりと対応していくことをご説明いたしました。
 これまでの協議によりまして、高知南中・高校と高知西高校、須崎工業高校と須崎高校の関係者の皆様からは、統合の必要性について概ねご理解をいただいたところでありますが、さらに今後、教育の充実策や統合後の具体的な学校の姿などについて、節目節目でご意見をいただくこととしております。
こうした経過も踏まえた上で、今月11日には、再編振興計画の案を取りまとめ、現在、パブリックコメントを実施し、広く県民の皆様からご意見をいただいているところであり、パブリックコメントでいただいたご意見も踏まえ、来月には再編振興計画を取りまとめたいと考えております。

8 中山間対策について

 次に、中山間対策についてご説明申し上げます。
 現在、本県では、集落活動センターの普及の取り組みと併せて、6次産業化の推進や鳥獣被害対策、地域の実情に合った移動手段の仕組みづくりなど、一連の中山間対策に全力を挙げております。
今後も、こうした一連の取り組みを進めながら、国に対しましても、その施策が本当の意味での地方再生につながりますよう「まち・ひと・しごと創生本部」などへ積極的に政策提言を行うなどの対応を図ってまいりたいと考えております。
 こうした中、人口が約400人と、離島を除きますと全国最小の市町村となっております大川村では、村の振興計画を策定し、主要な産業である畜産業の振興と地域資源を生かした山岳観光の振興、生活交通の確保等の取り組みや、集落活動センターの開設も視野に入れた取り組みが進められております。
 県としましては、人口最少の大川村での取り組みの成功は他の市町村にも大きな波及効果をもたらすとの考えの下、大いに力を入れて支援することとし、これまでに庁内にプロジェクトチームを立ち上げたほか、今月から同村に県職員を1名派遣したところであります。今後とも、大川村と連携し積極的に取り組んでまいります。

9 県立坂本龍馬記念館のリニューアルに向けた整備について

 次に、坂本龍馬記念館の整備についてご説明申し上げます。
 坂本龍馬の生誕150周年にあたる平成3年に、多くの県民有志の熱心な活動により建設された坂本龍馬記念館は、県内外から多くの龍馬ファンが訪れるなど、県内屈指の集客を誇る施設となっているところであります。
 また、開館当初は数点であった資料も、現在では、「龍馬の手紙」や「海援隊約規」の真筆を含め千点を超えるまでに充実してきております。
 しかしながら、現在の記念館は、資料を収蔵・展示できる博物館としての機能が十分でなく、調査研究のスペースも不足しており、県議会からも、その充実強化に向けた提言をいただいておりましたことから、昨年11月に有識者などで構成いたします検討委員会を設置して、検討を重ねてまいりました。この検討委員会の中でいただきました文化、観光分野などでの幅広いご意見や、県民の皆様からのご意見も踏まえまして、7月に坂本龍馬記念館リニューアル基本構想を策定したところであります。
 この基本構想に基づきまして、記念館のリニューアルを進めていくための基本設計などを行うこととし、そのための経費を補正予算案に計上しております。
 今後は、既存館の北西側に、博物館機能を備えた新館を整備し、「龍馬の手紙」をはじめとする貴重な資料を収蔵、展示、調査研究できる環境を整えますとともに、太平洋を眺望できる雄大な景観を有する既存館と併せ、坂本龍馬の魅力を体感できる中核施設としての機能充実を図ってまいります。
明治維新150年にあたる平成30年のリニューアルオープンに向けて、これまで以上に観光振興にも寄与できる文化施設を目指した取り組みを進めてまいります。

10 中央地域の公共交通について

 土佐電気鉄道株式会社と高知県交通株式会社の経営統合につきましては、両社を中心に精力的に組織体制の検討や許認可の手続きなどの準備が進められ、予定どおり来月1日には新会社が設立される見通しとなっております。
 去る19日には、路線の再編やサービスの充実を通して利用者の満足度を高めていくとの基本的考え方の下、利用状況等のデータに基づく経営の徹底と、接遇の向上や安全・安心の徹底、コンプライアンスの強化を柱とする新会社の経営戦略が発表されたところであります。また、その実現に向けて、運輸事業戦略部と接遇センターが専門部門として新たに設けられるなどの組織体制の改革案も示されました。
 今後は、そうした経営戦略に基づき、効率的な経営と収益構造の確立に向けて、利用促進・増収対策など事業再生に向けた取り組みを着実に進めていただく必要があります。
県としましては、最大出資者としての責任・役割をしっかりと果たしてまいりますとともに、関係市町村や事業者などとしっかりと連携を図りながら、中央地域の公共交通の事業改善に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 また、バス路線の抜本的な見直しや再編を行う上では、高知市の中心部に乗換拠点となるバスターミナルを整備することが有意義であると考えられますことから、高知市と連携し、まちづくりの視点も加えまして検討を進めてまいります。
 今回の「とさでん交通株式会社」の設立を契機として、「県民の皆様にとって利用しやすい」、そして利用しやすいがゆえに「将来にわたって持続可能な公共交通」が実現するよう、県としましても公共交通政策を担う立場から、その責務を果たしてまいりたいと考えております。

11 議案

 続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
 まず予算案は、平成26年度高知県一般会計補正予算などの5件です。
 このうち一般会計補正予算案は、先ほど申し上げました台風第12号、第11号被害への迅速な対応などの経費として、188億6千万円余りの歳入歳出予算の補正などを計上しております。
 条例議案は、高知県税条例の一部を改正する条例議案など11件でございます。
 その他の議案は、県有財産の取得に関する議案など8件でございます。
 報告議案は、平成25年度高知県一般会計歳入歳出決算など22件でございます。
 以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
 何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

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