平成26年9月18日  知事の記者発表

公開日 2014年12月17日

平成26年度9月補正予算(案)の概要
「まるごと高知」の概要
9月補正予算(1)
土砂災害対策
9月補正予算(2)
高知警察署の移転
四国産業競争力強化戦略
自伐林業の支援
台風災害による大雨被害
移住・交流コンシェルジュの増員
県中央地域の公共交通

配布資料
平成26年度9月補正予算(案)の概要[PDF:4MB]
まるごと高知レポートVOL.16[PDF:5MB]

(知事)
 今月24日に県議会9月定例会を招集します。提出議案は平成26年度高知県一般会計補正予算など予算議案が5件、条例その他議案が19件、報告議案が22件、合計46件です。その中から特に9月補正予算(案)についてご説明します。

平成26年度9月補正予算(案)の概要

(資料「平成26年度9月補正予算(案)の概要」により説明)

 (資料の1ページを示しながら)今回の9月補正予算は総額が188億6700万円、債務負担行為が30億4600万円と、平成になってから4番目に規模が大きな予算になっています。「台風第12号、第11号被害への迅速な対応」として、129億4,700万円の補正予算を組んだことが主な要因です。

 台風第12号、第11号被害に対して、まず公共施設等の災害復旧に125億2000万円を計上し、取り組んでいきます。被害を受けた道路、河川、海岸施設等などの公共施設の迅速な復旧に向けた対策を実施するほか、農地、農業用施設、林道の復旧に対しては、激甚災害指定による国の嵩上げ措置が適用されます。

 経済被害対策は2億6,300万円計上しています。
 農業分野では破損したビニールハウスや農業機材、日高村のトマト選果ラインなどの集出荷施設を迅速に復旧していきたいと考えています。
 林業分野では、林内作業道、製材施設の復旧を支援します。
 そして観光分野では、8月の稼ぎ時に天候が悪化し、経済的に大きなマイナスが出ていることから、情報発信を強化して補っていきます。

 被災者生活の再建支援について、被災者の住居の再建と生活の安定を支援するとともに、高知市の鏡的渕や土佐山地区の被災者への住居確保を高知市とともに支援していきます。

 (資料の2ページを示しながら)今回の災害を受け、土砂災害対策の強化を図りたいと考えています。県民の皆様がそれぞれ住んでいる土地のリスクを正確に把握してもらうことが大事であることから、啓発用冊子や土砂災害危険箇所マップを作成し、平成27年度の早期に全戸配付することで土砂災害の危険性を周知徹底したいと考えています。

 併せて、避難訓練や土砂災害危険箇所等の緊急点検も進めたいと考えています。土砂災害危険箇所であり降雨量が観測史上1位を記録した地域から、特に重要度が高いところを900箇所ほど選び、緊急点検を実施します。

 そのほか、大規模盛土造成宅地についても、県が関連する38箇所において豪雨による影響の調査を現状実施します。

 また、予算計上はされていませんが、土砂災害危険箇所の指定について、現在、従前の年間500箇所から年間1000箇所に加速しているところですが、さらに年間2000箇所まで加速することで対応を強化していきたいと考えています。

 2番目は「南海トラフ地震対策のさらなる強化・加速化」です。
 まず、住宅耐震化のさらなる加速化として、低コスト工法を普及するための市町村・事務所向けマニュアルを作成したいと考えています。
 続いて、山津波など土砂災害対策の強化です。海の津波対策は避難路や避難場所、避難タワーなどの完成にもう少し時間がかかるものの、多くの箇所で目処が立ってきています。今度は山の津波対策に力を向け、台風第12号、第11号による土砂災害対策と地震による山津波対策をともに役立てながら進めたいと考えています。
 そして、公共土木施設等の防災減災対策について、獲得した国の予算によって、橋梁の耐震化などを加速していきます。
 一連の命を守るための対策について、加速できるものは随時加速し、できるだけ早く対策を終了するよう取り組んでいきたいと考えています。

 (資料の3ページを示しながら)併せて、平成26年度から助かった命をつなぐための応急期の対策もスタートしており、必要なもの、準備が整ったものから実施したいと考えています。
 今回は、幡多地域の総合防災拠点である土佐清水総合公園について、住民の避難施設として使わないといけなくなったことを踏まえ、総合防災拠点の機能を確保する必要があることから、別途連絡調整・備蓄機能を備えた施設を整備します。
 また、福祉避難所として活用される特別支援学校7校に非常用電源設備を整備し、停電時に対応したいと考えています。

 3番目は「経済の活性化」です。第2期産業振興計画ver.3の上半期の取り組みの中で、さらに加速できるものや対応を強化した方がよいものについて、今回の補正予算で対応を図りたいと考えています。

 移住・交流コンシェルジュを6名から9名に増員したいと考えています。相談件数が前年同時期に比べて230パーセントほど増えていることから、増員によって対応力を強化し、相談した方の確実な移住につなげていきたいと考えています。

 併せて、開催に向けて準備が整む「高知家・まるごと東部博」について、関連する施設の最終的な整備を行うほか、2016年の開催が決定した「2016奥四万十博」についても準備をスタートしていきます。

 (資料の4ページを示しながら)また、県立足摺海洋館については、「足摺海洋館あり方検討委員会」による今後の方向性の取りまとめ結果を踏まえ、基本計画を策定します。

 そして、先進的な園芸農業システムの普及促進です。
 オランダ王国ウェストラント市と協定を結び、高知県にオランダ型農業を導入する事業に取り組んできたことで、国のモデル事業を四万十町で実施できることとなりました。
 このモデル事業を県内に導入することに加え、次世代施設園芸システムを小規模、部分的にでも県内に普及していけるよう、高軒高ハウスの整備や、既存ハウスへの環境制御装置の導入に取り組みたいと考えています。

 また、カツオの県内水揚げを促進するため、佐賀漁港での活餌供給事業の取り組みへの支援を強化します。

 次に、四国4県、国の関係機関と策定した「四国産業競争力強化戦略」に即応し、県の取り組みを強化するための補正予算を組んでいます。

 ひとつが紙産業のさらなる振興です。
 強化戦略の策定にあわせてつくった11の連携プロジェクトの中に、紙を中心とする素材産業の育成を図る事業があり、本県として紙産業の振興策を強化したいと考えています。
 全国的に活躍する専門家によって「紙産業の在り方検討会」を設置し、今後の戦略・戦術を練っていくとともに、必要な資機材を早期に整備し、紙産業の振興に向けた研究開発機能を強化していこうと考えています。

 もうひとつがサイクリストの誘客対策の強化です。
 強化戦略に、サイクリングによる国際観光を含む四国の観光の強化が盛り込まれていることから、「四万十・足摺無限大チャレンジライド」の大会コースにブルーライン[目的地までの方向や距離を示す路面表示]を設置し、全国的・国際的な大会の誘致に取り組めるようにしていきたいと考えています。

 (資料の5ページを示しながら)4番目は「教育の充実と子育て支援」です。
 まず、学力向上対策について、教育委員会の発表にもありましたが、今年4月に実施された全国学力・学習状況調査において、A問題と言われる基礎的な問題では着実に学力の定着が見られるものの、B問題と言われる応用問題では足踏み状態にあります。

 子どもたちに応用問題を教えることで、もう一段上の学力が身に付けられるようにするため、昨年の9月からB問題に対応した数学の教材を開発し、4月から授業の強化に取り組んでいます。さらに、この補正予算で国語についても新たに教材を開発し、授業や家庭学習で活用したいと考えています。

 また、高校生の基礎学力定着に向けた取り組みの強化にも着手していきます。
 高等学校学力定着把握検査において、高校生の基礎学力に課題があるという結果が出ていることから、小中学校での学習内容を振り返りつつ、最終的に高校段階の力が付けられえる教材を、まずは数学Ⅰについて開発し、授業や家庭学習で活用したいと考えてます。高校生の基礎学力定着に向けて抜本強化する取り組みは、この補正予算における1つの大きな動きになるのではないかと考えています。

 そして、県立高等学校におけるグローバル教育の推進の取り組みを進めていきます。
 「グルーバル教育推進委員会」を立ち上げ、具体的な検証やカリキュラムの開発などを進めていきたいと考えており、特に南中学校・高等学校や高知西高等学校では先導的な取り組みを実施したいと考えています。

会見する尾﨑知事 (資料の6ページを示しながら)5番目は「2020東京オリンピック・パラリンピック開催を契機としたスポーツの振興」です。草の根からのスポーツの振興や競技者の育成を行いたいと考えています。
 全国的な有識者や学校スポーツ関係者からなる検討会を設置し、「高知県スポーツ推進プロジェクト実施計画」を策定します。そして、実施計画に基づき、スポーツ指導者の招聘や、本県に施設がないために県内で競技力を磨けず、県外に出て行かざるを得ないといった問題に対応することで、幅広い県民がスポーツに親しみ、子どもたちがオリンピック・パラリンピックを目指して競技力の向上に励めるようになればと考えています。
 また、春野総合運動公園陸上競技場の写真判定システムの更新や県立青少年センター体育館の床の改修など、長年の課題であった施設整備についても対応していきたいと考えており、こうした一連の取り組みのスタートを今回の補正予算で図りたいと考えています。

 併せて、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿招致に向けて、まずは2015年世界陸上北京大会の事前合宿の招致活動を展開したいと考えています。

 その他として、ふたつの施設の整備を図ります。
 まず、坂本龍馬記念館について、基本構想を踏まえた基本設計等の実施に向けた取り組みを進めます。
 次に、庁舎の老朽化が著しい高知警察署の建て替えに向けた調査を実施します。

 そして、国の交付金の内示増に伴う公共事業費の増についてです。特に施設の整備点検事業や安全性の点検事業等への対応を強化していきたいと考えています。

 (資料の7ページを示しながら)9月補正予算の対応を図ってもなお、県債残高は逓減傾向を維持しています。
 普通建設事業費については、前年からの経済対策を引き継いだものを合わせて1175億円相当とほぼ前年並みです。南海トラフ地震対策の加速化に加え、平成27年度に大規模事業費の予算が大きくなることが要因であり、普通建設事業費はやや大きい規模になっています。

 (資料の8ページを示しながら)例年通り、今回の9月議会にも今後の財政収支の見通しを提示したいと考えています。

 こちらが平成25年9月に推計した今後の財政収支の見通し、その下が今回推計したものです。比較してよくなった点や注意しなければならない点があります。
 よくなった点としては、全体的に基金残高の底上げが図られています。平成29、30年度ぐらいから前年より小さくなっていますが、最終的には前回推計以上の規模に戻ってきています。特に、直近の平成26、27年度については大幅な嵩上げが図られており、財政の安全性が高まっていると考えられます。
 注意しなければならない点としては、平成27年度の財政収支が前年度推計より50億円ほど悪化しています。今回、地方交付税の概算要求において、前年度比でおよそマイナス4.4パーセントの要求がされたことをベースに、かなり固めに試算したことが主な要因です。
 今後もさまざまな外的要因によって、財政の在り方が大きく左右されることから、注意深く今後の財政収支を見通し、予算編成を進めていきたいと考えています。

 ただ、南海トラフ地震対策については随時強化しています。南海トラフ地震が発生してから実施しても間に合わなかったことになるわけで、とにかく前倒しで対策を実施して、発災時の被害を少しでも軽減していかなければなりません。
 今回の推計でも、前回に比べて南海トラフ地震対策予算の規模が200億円ぐらい増えています。それを呑み込んでもなお財政調整基金の残高を維持し、安全性を高めることができていることから、一定の財政見通しを立てることができていると考えています。

 県債残高の見通しがこちらです。逓減傾向は維持していますが、平成27年度ぐらいから減少見込みが小さくなっているところもあり、南海トラフ地震対策の強化の影響が厳しく出てきていると考えています。

 まとめると、南海トラフ地震対策を進め、社会保障負担を吸収したうえで一定の安全度は保っているものの、南海トラフ地震対策の負担は、はっきり財政に影響してきていると思います。
 今後の交付税の見通しによっては厳しいことになるかもしれませんので、そちらを見込んで慎重に対応していきたいと考えています。

「まるごと高知」の概要

 (資料「まるごと高知レポート」により説明)

 (資料の2ページを示しながら)高知県地産外商公社の成約件数が4月からの累計で1022件となっています。前年同時期が860件ぐらいだったのと比べて、随分大きな規模になっています。外商の取り組みは順調に進んでいると思いますが、地域間競争が厳しくなっていることから、一層の対応を図っていきたいと考えています。
 (資料の6ページを示しながら)メディア露出の増加に向けた取り組みや、一連のプロモーションについても、「高知家」プロモーションとあわせて、対応をしっかり図っていきたいと思います。

9月補正予算(1)

(植村・高知放送記者)
 今回の補正では8月豪雨の対策関連費が7割ほど占め、かなり大きなものになっていますが、知事が9月補正で手を付けたいと思われた内容と、その理由をお聞かせください。

(知事)
 まず、今回の補正予算で新たに着手する先進的な園芸農業システムの普及促進の取り組みです。
 国のモデル事業が当初予算において採択されたことで、本県に大きな拠点ができることになりますから、それを県内各地に普及し、農業全体の底上げを図るための事業をこの補正予算に計上しています。

 次に、こちらも新たに着手する四国産業競争力強化戦略に即応した取り組みです。
 今年4月に強化戦略としてスタートをして以降、本県主導のものは既に当初予算に盛り込んでいましたが、他県が主導するものについても即応することで四県連携事業を本格化させていきます。

 そして、高校生の基礎学力定着に向けた取り組みの強化、グローバル教育推進に向けての具体的な取り組み、さらにスポーツ振興の取り組みについても、今回の補正予算で本格的にスタートをさせていきます。

 このように9月補正予算に新しいメニューを盛り込もうと準備をしていたところに台風第12号、第11号災害が来たことで、追加的に復旧事業を計上することになり、全体の規模が大きくなったと考えています。

土砂災害対策

(遠藤・高知さんさんテレビ記者)
 台風第12号、第11号被害について、土砂災害対策に約1億2000万円が計上されています。
 県民アンケートの結果にもあるように、山津波は海からの津波と比べてあまり意識されておらず、警戒区域も知られていません。
 山津波対策は今回の豪雨や南海トラフ地震にも共通すると思いますが、改めて今後に向けた知事の考えをお伺いします。

(知事)
 東日本大震災の発災を受けて南海トラフ地震対策を見直し、遅れていると思われた海からの津波対策を全力で進めた結果、避難路・避難場所1,445カ所、津波避難タワー115基の整備に見通しが立ってきました。
 そういった中、余力ができたこともあって、これから山津波対策を強化していこうと考えていたところで今回の台風第12号、第11号災害が発生し、土砂災害の危険性を改めて認識するとともに、南海トラフ地震対策の一環として山津波対策とあわせた土砂災害対策を強化したいと考えました。

 避難訓練や緊急点検についても取り組んでいきますが、すべての基本であり一番大事なことは、住民の皆様にその土地のリスクを率直に伝え、事前から認識してもらうことです。
 そのため、平成27年度の早期に土砂災害危険箇所を掲載したマップや啓発用冊子を全戸配付し、周知徹底を図りたいと考えています。

9月補正予算(2)

(福井・テレビ高知記者)
 平成に入って4番目に大きい予算規模も含め、どのような9月補正予算だとお考えでしょうか。

(知事)
 今回の9月補正予算はかなり大きな規模ですが、何よりも台風第12号、第11号災害の応急復旧対策を全速力で進めるために、十分な量を確保しています。
 併せて、新しい園芸農業のシステムを普及する取り組みやサイクリングによるツーリングを他県と協働して進めていく取り組み、高等学校の基礎学力の向上のための取り組み、スポーツ振興といった新しい取り組みもこの9月補正予算からスタートをしていきたいと考えています。
 台風からの応急復旧対策、そして新しい取り組みの2本柱で今回の9月補正予算を構成していることから、少し規模の大きい予算になったと考えています。

高知警察署の移転

(福井・テレビ高知記者)
 今回、高知警察署の移転に関する調査費が盛り込まれています。
 県警の再編計画に基づいて県内各地で新しい警察署の整備が進む中、最も多く警察官を配置する高知警察署の移転について、知事のご見解をお伺いします。

(知事)
 長年の懸案であり、また確実に対処しなければならない課題であることから、今回の予算計上を機に、本格的な対応を図っていきたいと思います。
 最終的には警察本部の判断のうえで予算編成にかけて議論することになりますが、高知警察署には、高知市内の中心部である繁華街の治安を守る役割と、南海トラフ地震が起きた際に長期浸水する区域を守っていく役割があると思いますし、今後も、そのふたつの役割をしっかりと果たしていく必要があると考えています。
 中でも、高知市内の人口が多い地域の治安をしっかり維持できる警察署であることが大事だと思います。

(福井・テレビ高知記者)
 移転が検討される場所も浸水区域となっていることについて、どうお考えですか。

(知事)
 まず、繁華街での治安維持ができる場所にあることが第一であり、最優先して考えるべきだと思います。そのうえで、浸水区域の中にも治安を維持する施設は必要ですし、浸水するまでの間に避難誘導を行ったり、浸水した場所で災害警備を行ったりすることも必要です。浸水区域にあることで果たせなくなる部分は、他の署と連携して補えばいいと思います。
 日頃の治安維持の役目を果たすことを考えれば、今の想定地点は非常に有効ですし、総合的にベストだと思います。

四国産業競争力強化戦略

(井上・高知新聞記者)
 四国産業競争力強化戦略の中にある紙産業技術センターについて、機械設備を入れて強化する製品開発能力は、高知県だけではなく四国全体で活用していくイメージなのでしょうか。

(知事)
 四国の強化戦略として、愛媛県や四国経済産業局の主導によって高機能素材関連産業創出プロジェクトが実施される中で、本県も協力するために対応力を強化していきます。
 まずは本県で活用し、本県独自の産業振興に大いに資するようにしていきながら、四国全体にも良い波及効果をもたらせるようにしたいと思います。

(古宇田・日本経済新聞記者)
 四国地方産業競争力協議会が始まった当初、高知県が熱心な一方、四国の他の3県と温度差があると感じました。今回、高知県がさらに取り組みを強化していますが、3県との温度差は埋まってきているんでしょうか。

(知事)
 地方創生が国全体のテーマになり、地方自らが何をするか問われている中で、四国としての答えがこの強化戦略であり、「四国でやっていこう」という気運は高まっていると思います。
 その中で、本県も補正予算という形でコミットメント(関わり合い)を示したいと思いますし、それが他県のさらなる取り組みにつながり、我々もそれを刺激に取り組みを強化していけるように相乗効果を発揮できればいいと思います。

自伐林業の支援

(小笠原・高知新聞記者)
 自伐林家等に対する支援の強化として100万円ほど計上されていますが、補正予算の意図や今後の展望についてお伺いします。

会見する尾﨑知事(知事)
 9月補正での予算計上を皮切りに、本格的な自伐林業の振興策を講じたいと考えています。
 自伐林業は多くの人が携わることができ、一つひとつは小さいながら、多くの箇所で良い経済効果をもたらしてくれます。一方で、森林組合などに比べると出荷できる木の量が少なく、大きな商流にならない点が指摘されていました。
 しかし、高知おおとよ製材の設立などによって、高知県における川上から川下までの商流が大きくなりつつあることから、自伐林業を本格的に展開することで多くの人々に恩恵を均填していく時期に来たと認識しています。

 そのために小規模林業推進協議会を設置し、いろんな方と情報共有をすることによって具体的な対応策の検討を進め、平成27年度の第2期産業振興計画ver.4において本格的に自伐林業の振興策を盛り込みたいと考えています。
 また、今度開催を予定している「対話と実行座談会」において、自伐林業を行っている皆さんからいろいろなことをお聞きし、学ばせていただくことで、骨太なパッケージとして自伐林業の振興策を打ち出していきたいと思っています。

 中山間地域の農家の皆さんが副業的に自伐林業を行うことで所得向上につながりますし、集落活動センターが自伐林業を組み合わせて行うことで経済的自立につながるという点においても意味があります。また、逆にこれらの取り組みが木材の増産の底上げや商流を太くすることにつながれば、さらにプラスの効果をもたらすことができるので、自伐林業には本当に期待しています。

 いろんな意味で重要な施策であり、機が熟しつつあることから自伐林業の振興に向けた対策を強化したいと思います。

台風災害による大雨被害

(及川・NHK記者)
 今回の補正の大半を占める復旧対策費を見ると県の本気度が伝わってきますが、まだまだ立ち直っていない方々も多くいる中、今回の対策にかける知事の思いをお聞かせください。

(知事)
 10年ぶり以上の大きな水害となり、いろいろなところにその爪跡が残っています。
 多くの皆様が本当にご苦労していると思いますが、少しでも軽減できるように応急対策を講じ、そして復旧・復興できるように9月補正予算によって取り組みを強化したいと考えています。

移住・交流コンシェルジュの増員

(遠藤・高知さんさんテレビ記者)
 移住・交流コンシェルジュを6名から9名と、3名増員することについて、相談件数が大幅に増加していることが要因だとは思いますが、具体的に増加したのはいつの時点か教えてください。また、増員によって相談対応の変化はあるんでしょうか。

(知事)
 前年同時期で見た場合、移住・交流コンシェルジュへの新規相談者数は平成25年度の4月から7月までが331人、平成26年度の同時期が762人ですので、前年同期比230パーセントになります。

 新規相談者数の増加は様々なプロモーションが効いた結果であり、非常に嬉しいことです。一方で、県の相談窓口を通じた実際の移住者数は前年同期比146パーセントにとどまっています。
相談してから移住するまでに時間のずれもありますが、やはり増えた相談にしっかりと対応するための体制の強化は必要であり、今回の補正予算で移住・交流コンシェルジュを増員することにしました。

 各メディアでPRしている段階と比べ、移住・交流コンシェルジュによる相談対応はマンツーマンで相手の事情に寄り添うことが大事であり、非常にマンパワーがかかります。
 そこをしっかり丁寧に対応するには、今の人員では足りません。今後、相談件数の増加にあわせて、さらに体制強化を考えなければいけないかもしれませんが、まずは要員をトレーニングすることも必要ですし、今回は9名まで増やすことにしました。

県中央地域の公共交通

(小笠原・高知新聞記者)
 とさでん交通発足をおよそ2週間後に控え、現時点での知事の思いや期待、見えてきた課題についてお伺いします。

(知事)
 まずは10月1日に新会社を確実に設立することが大事であり、短い期間ではありますが、準備を徹底してもらいたいと思います。
 また、利用者の皆様にとって使い勝手がよく、ゆえに多くの皆様に使われる持続可能な公共交通システムをつくり上げることが究極の目的だと思います。その目的を達成されるよう、今後の経営戦略や、経営戦略に照らした整合的な組織体制を備えた会社としてスタートしていただきたいと思いますし、利便性の高い公共交通サービスを提供できるような形に持っていければと考えています。

 新会社設立に向けた準備を全力で進められているので、本当に信頼していますし、今後の取り組みについても大いに期待しています。併せて、県としてもしっかり役割を果たしていきたいと思います。

(司会)
 以上で記者会見を終わります。

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