平成26年11月28日  知事の記者発表

公開日 2014年12月17日

更新日 2014年12月17日

平成26年12月補正予算(案)の概要
2期目を振り返って
林業学校
集落活動センター
衆議院選挙
土佐和紙の継承・発展
沖縄知事選挙

配布資料
平成26年12月補正予算(案)の概要[PDF:6MB]
まるごと高知レポートVOL.17[PDF:4MB]
 

【動画】平成26年12月補正予算(案)の概要

【動画】記者との質疑応答

(知事)
 12月10日に県議会12月定例会を招集します。提出議案は平成26年度補正予算が6件、条例その他議案が30件、合計36件です。
 まず、補正予算について説明します。

平成26年12月補正予算(案)の概要

(資料「平成26年12月補正予算(案)の概要」により説明)

 (資料の1ページを示しながら)大別して2つあります。
 1つ目が「台風第12号、第11号による被害への迅速な対応」です。
 63億700万円と比較的大きな予算額になっています。台風災害を精査する中で新たに出てきた課題に速やかに対応するためのものです。

 2つ目が「5つの基本政策の着実な推進」のための関連予算です。
 毎年、施策に空白期間が生じることを避けるため、来年度当初からスタートしたい取組を12月補正予算で計上しています。今年も「高知家」プロモーションや地産外商の推進に向けた体制強化、「まるごと高知」の維持などについて計上しています。
 その他、林業の担い手育成の体制強化に向けて林業学校の開設を考えているほか、「次世代型こうち施設園芸システム」についても、国の予算を使った超大型の取組から大型、中型、既存施設への施設導入といった小型の取組まで、今年の9月補正予算でスタートした取組の普及を加速するための予算を、国の補正予算措置を前提に計上しています。

 南海トラフ地震対策については、新たに見つかった課題をできるだけ前倒しで対処するため、毎回補正予算で計上しており、今回も起震車やスクールバス関連の予算を計上しています。

 日本一の健康長寿県づくりについては、国の新たな基金事業を活用して、関係者の皆様にご意見を聞いたうえで、決めたメニューを実施します。

 その他を含め、総額が約98億円、債務負担行為が約38億円の補正予算です。

 (資料の2ページを示しながら)全体像としては、県債残高がフラットになりつつありますが、一方で実質的な借金の残高については減少傾向にあります。
 また、普通建設事業費については、経済対策に加え南海トラフ地震対策、そして今回の台風災害への対応が重なったことにより、過去と比べて大きな金額になっています。

 (資料の3ページを示しながら)「台風第12号、第11号被害への迅速な対応」を図るため、9月補正予算では約130億円を計上してインフラ施設の災害復旧、災害関連事業や風評被害をはじめとする経済被害への対策、被災者生活の再建を支援するための事業、そして危険マップの作成と周知徹底をはじめとする土砂災害対策を立ち上げました。
 今回の12月補正予算では約63億円を計上し、インフラ施設の災害復旧などの対策を進める中で新たに見つかった復旧箇所や工法の見直しを行う箇所への対応を速やかに図っていきます。

 (資料の4ページを示しながら)地産外商については「強化のポイント」3点に基づいて追加補正を行います。

 地産外商公社を中心に5年間にわたって地産外商活動を進めた結果、当初に想定した以上の進展が見られるようになりました。
 平成21年度に178件だった成約件数は、444件、1,327件、2,603件、3,333件と順調に増加しており、さらに今年度は昨年度以上のペースで件数を拡大しています。
 また、成約金額は平成23年度に約3億円だったものが平成25年度には約12億円になりました。
 広告換算についても、昨年度は四万十市の国内最高気温更新などの出来事に恵まれたことで約68億円と非常に大きな金額になりましたし、そうした特別な出来事がなくても20億円前後の高い効果を上げています。

 そんな中、展示商談会などに参加している県内企業29社からヒアリングを行った結果、93.1%の方が県外向け取引の増加を見込んでいることが分かりました。
 また、136社を対象にしたアンケートでは、97.8%の方から「今後の公社の活動に期待する」との回答をいただいています。
 さらに、民間との協定に基づいて6次産業化、地産外商を推進する取組においても、第1回ビジネスマッチングに40社が参加し、そのうち22社が「商品の磨き上げ・外商拡大」の取組を開始しようとしています。こうした民間事業者間の取組拡大は外商活動を本格化させることにつながると考えられますので、こちらも手応えを感じているところです。

 この好機を逃さず地産外商公社の機能を強化していくため、12月補正予算で関連事業を展開していくこととしています。

 「1 地産外商公社の体制強化」は、首都圏担当、関西・中部担当、中四国・九州を担当する高知事務所の職員を1名ずつ増員、さらに大阪事務所の体制を見直して実質2名とすることで、今まで営業に回れなかった首都圏の会社への対応をはじめ、名古屋、大阪、公社の高知事務所において、もう一段踏み込んだ外商、成約活動に繋げていきたいと思います。

 「2 県産品データベースのバージョンアップ」は、品目の拡大、事業者側から更新できるようにすることも含めたデータベースの更新頻度の向上、外部との互換性の強化などを行っていきたいと思います。

 「3 地産外商推進の拠点を維持」は、来年4月に契約更新を迎えるのアンテナショップ「まるごと高知」の事業展開を切れ目なく進めるためのものです。
 以前と比べて賃料が3割ほど増加し、年間1億円あまりとなっていますが、これは近隣のオフィス単価の上昇に伴ったものであり、相場と照らし合わせて妥当だと思われます。
 また、費用対効果の観点から見ても、経済波及効果30億円、広告換算効果68億円という公社の働きに対して妥当な賃料だと判断しました。

 地産外商のパイプは確実に太くなり、地産外商公社の取組をより本格化すべき段階にきています。その状況に合わせ、我々も進化していきたいと思います。

 (資料の5ページを示しながら)「高知家」プロモーションでは、「高知家」の認知度向上が大きな目標です。
 首都圏・関西圏エリアで5,000人を対象に行った今年のウェブアンケートでは、「高知家」を知っている方はそうでない方と比べ、「高知県に行きたい」「高知県に住みたい」と思う割合が10%ほど高い傾向にあります。

 平成25年度のアンケート調査では「高知家」の認知度は22%でした。その後、認知度25%を目指して取組を続けた結果、平成26年度には33%、およそ3人に1人の方に認知いただけるようになりました。
 ウェブアンケートなので多少母数に偏りがあるかもしれませんが、5,000人のアンケートはかなり大規模で正確度の高い調査だと言えます。その中で33%という結果が得られたのは非常に大きなことです。
 今後も引き続き、「高知家」の認知度を向上させていきたいと考えています。

 併せて、具体的な行動に向けた取組も行っていきます。
 現在、選定された重点10品目について、「高知家」を使ったプロモーションと地産外商のツールを使った個別品目のプロモーションの両面から取組を進めています。
 これらの取組の展開に向けて行動誘発のための土壌を形成することが3年目の「高知家」プロモーションの大きな目標になると思いますし、予算上でも重点化を図りたいと考えています。

 今後、企画を練り上げていきますが、「行ってみよう」「買ってみよう」「住んでみよう」という行動誘発に効果的なのは高知の「人」の魅力だと思います。人を通して呼びかけてもらうことが非常に重要です。
 あわせて、雑誌などのメディアとも上手くタイアップしてプロモーションの強化を図りたいと考えており、そのための予算も計上しています。

会見する尾﨑知事 (資料の6ページを示しながら) 林業学校の設立についてです。
 高知おおとよ製材の稼働に伴う加工体制の強化などの効果で原木生産量は増加傾向にあり、さらなる増産が必要な状況にあります。
 一方で、近年は林業の担い手が減少していることから、担い手育成の対応を強化する必要があると考えています。

 そのために考えられることが2つあります。
 1つは、新規就業者にしっかりと教育を施し、基礎的な技能を身につけてもらうことでスムーズに林業職場に入り、将来にわたって成長してもらうこと。
 もう1つは、県内に約1500人いるとされる、自伐林業をはじめとする小規模林業を展開する方に活躍してもらうことです。先日の「対話と実行座談会」でもお話したとおり、これは林業振興だけでなく中山間地域対策にも効果を発揮すると思います。

 そのため、来年4月を目途に林業学校を開設したいと考えています。農業分野における農業担い手育成センターのように、林業学校によって担い手育成を強化していきます。
 コースは大別して2つあり、1つは若い方が基礎技術を習得できる基礎コース、もう1つは自伐林業家などの方々が森林経営や鳥獣対策などについて学べる短期コースです。

 さらに、森林経営や木材の加工、流通、販売などについてより深く勉強できる専攻コースをつくりたいと考えています。具体的にどのようにコースを設け、教育していくか検討が必要なことから、協議会を設置して専門家のご意見を賜り、平成29年4月の開講を目指します。

 (資料の7ページを示しながら) 日本一の健康長寿県づくりについてです。
 平成22年からの5年間にわたり、地域医療再生基金を活用して県立あき総合病院の整備や災害拠点病院のヘリポート整備の支援、若手医師のキャリア形成支援などに取り組み、一定の効果を上げてきました。また、救急医療連携体制のためのシステムも整備中であり、平成27年度から稼働予定です。

 この地域医療再生基金が新たに地域医療介護総合確保基金に切り替わることになり、平成26年度分として本県に8億円が配分されました。
 この基金を使った新しい事業を展開するために官民を問わず幅広い地域の関係者への意見照会を実施したところ、36団体から89事業の提案がありました。特に意見が多かった事業について実施したいと考えています。

 (資料の8ページを示しながら)在宅療養患者の情報を関係者間で共有するICT[主に公共分野で用いられるコンピュータやインターネット技術の総称]システムの構築を支援します。在宅患者には複数の方が関わるため、情報共有が極めて重要となることから、そのためのシステムを構築します。
 さらに、医師をお招きするにあたって老朽化した医師住宅がネックとなる場合があることから、医師住宅整備費の補助に取り組みたいと考えています。

 この先はそれぞれの事業ごとに概要を記載していますので、ご参照ください。

 併せて、「まるごと高知レポート」をお配りしています。

(資料「まるごと高知レポートVOL.17」により説明)

 (資料の2ページを示しながら)今期の成約件数は614件、4月からの累計は1,636件です。定番採用95件、短期採用1,541件となっています。
昨年度は定番採用の件数が1,000件を超えましたが、現段階では商談中のものが多く、件数が少なくなっています。年度後半になれば件数が増えると思います。

 今後、スーパーマーケット・トレードショーやFOODEX JAPANなど、定番採用に繋がる大型の商談会が控えています。
 また、日本アクセス商談会やオール日本スーパーマーケット協会展示商談会など、今まで参加をしていなかった、もしくは昨年から部分的に参加を始めた商談会もありますので、多くの事業者の皆さんにご参加いただいて地産外商の取組を広げ、県勢浮揚に繋げていきたいと思います。
 そのためにも地産外商公社の体制強化が必要だと考えているところです。

 (資料の7ページを示しながら)物販売上構成比について、最初は商品の偏りがありましたが、最近では様々な商品が売れるようになってきたと思います。

2期目を振り返って

(木田・時事通信記者)
 知事は来年12月で任期満了を迎えますが、最後の1年への思いと、来年の知事選についての考えをお聞かせください。

(知事)
 3つあります。
 まず、第2期産業振興計画、中山間対策などの取組を全力で進める中で、地産外商や観光振興などについて一定の成果が出てきました。特に地産外商については対外的なパイプが太くなるなど、いい方向に向かっていると思います。
 ですが、若い人が地域に残って暮らしていける高知県をつくるために、やるべきことはまだまだ多くあります。その時々の進行状況に合わせて政策を進化させ、本当の意味での県勢浮揚につながるよう取り組んでいきたいと思います。

 次に、南海トラフ地震対策については、取組の進んだ面もありますが、命を守り、守った命を繋いでいくために、まだやるべきことは膨大にあります。
例えば、新たに取り組んできた企画や作戦を地域に浸透させることが重要です。そのために今年度から南海トラフ地震対策推進本部を立ち上げ、地域での取組を進める体制をスタートしました。今後も市町村や地域の皆さんと協力しながら、県としての対応を強化していきたいと思います。

 最後に、増田レポートの影響などもあって少子化対策が国政の中心的な施策に据えられ、日本全体で人口減少や少子化の問題に取り組む機運が高まってきました。
 この問題については、日本一の健康長寿県づくりの一環として取り組む一方、全国知事会の「次世代育成支援対策プロジェクトチーム」のリーダーや国の「子ども・子育て会議」の委員として政策提言などの活動を行ってきました。
 そうした取組によって前進した部分もありますが、本格的な対策の展開に向けてはこれからが正念場だと思います。今後も全国知事会と連携し、取組を強化していきたいと思います。

 残り任期は1年ほどですが、全力で取り組んでいきたいと思います。
 知事選についてはまだ考える段階ではないと思っています。

林業学校

(尾崎・共同通信記者)
 林業学校の設立によって、高知県の林業をどういう形にしたいとお考えですか。

(知事)
 森林経営について様々なセミナーに参加したり、県内外の関係者に教えていただいたりする中で、50年後、100年後を見据えた取組が必要だったり、近年は素材生産[立木を伐採し丸太にする工程]システムが急激に発達してきたりと、勉強すればするほど非常に面白い分野だと思います。
 このような分野に若い人たちが夢を持って就業できるよう、環境づくりを行っていきたいと考えているところです。

 まずは基礎的な技術の習得が重要です。併せて、森林経営などを学ぶ短期コースを設けたり、最終的には専攻コースを設けたりすることで、若い人が学んだことを生かして森林経営に取り組み、さらに進化させていけえるようになってほしいと思います。

 また、特に中山間地域において、専業・副業を問わず多くの方が林業に参加する県になりたいと考えています。
 おおとよ製材の稼働などによって、川上、川中、川下に向けて大きな商流ができつつあり、小口販売であっても木が適正価格で確実に売れる体制に向けて条件が整いつつあると思います。
 これを機に、多くの方が自伐林業家や副業的な小規模林業に参加できる高知県になることで、中山間地域に住む方の生活向上に繋げていきたいと思ってます。
 そのためには技術の習得や経営面の感覚が重要ですから、養成コースを設けて応援していきたいと考えています。

 若い人が将来の夢を託して就業できるようにすること、多くの皆さんが中山間地域で林業に就業できる高知県にすること、この2つの願いを込めて林業学校をスタートさせようと考えています。

(尾崎・共同通信記者)
 全コース一括での開始ではなく、まず基礎コースだけで始めるのは何故ですか。

(知事)
 専攻コースもすぐ始めたいのですが、やはり熟議が必要です。
 全コース一括で開始すると開校時期が平成29年4月になってしまい、せっかくの好機を取り逃してしまいますから、まずはできる部分からスタートし、続けて専攻コースを開始することでより早く取組を始めたいと思います。

集落活動センター

(古宇田・日経新聞記者)
 集落活動センターの取組が始まって一定期間が経ちましたが、現在の評価と130箇所開設という当初の目標に向けた進捗状況、今後の課題について教えてください。

(知事)
 現在、県内15箇所で集落活動センターの取組がスタートしています。それぞれの集落活動センターが集落の維持・発展のために外貨獲得を意識した活動を進めており、非常にいい感じだと思います。

 一方で、課題もあると思います。特に、最終的に自立できるのか、という問題は、経済的に自立して集落を維持していくための手段として集落活動センターができた経緯からも分かるとおり、中山間地域が抱える課題そのものです。
 集落活動センターの取組について具体的な検討がされるようになったことは進化だと思いますが、実際に取組が経済活動として力強さを持ち、自立に繋げられるかどうかは、引き続き課題であると思います。
 ですから、我々も外部のアドバイザーを活用しながら、市町村の皆さんと一緒にそれぞれの地域が経済的な自立に繋がるよう応援し続けたいと思っています。

 そして、中山間地域全体の経済規模を底上げすることも集落活動センターを維持し、かつ自立するために重要だと思います。
 その意味でも、集落活動センターで小規模林業に取り組み、収益源のひとつになればいいと期待しています。

 集落活動センターが経済的自立を果たすためのビジネスモデルは多様にあると思います。林業のようにそれぞれの集落活動センターが共通して関わるものもあれば、それぞれの状況に応じて取り組むものもあります。
 地域の特性を生かした仕組みができるように応援を続けていきたいと思います。

 集落活動センターの開設ペースに関しては、今年度中に17箇所ぐらいが開設できる見込みです。
 最初はゆっくりと開設が進み、成功例の増加に伴って加速をしていくと思いますから、10年後に130箇所開設という目標があるものの、毎年13箇所ずつ開設しなければいけないとは思っていません。
 とはいえ、ペースアップに向けて来年度あたりは勝負していくことになるかと思います。

 ただ、集落活動センターの設立に向けては、地域で2年ぐらいかけて議論していると伺いました。厳しい中山間地域の状況での新しい船出ですし、たくさん話し合っただけ取組も強固になると思いますから、最初はノルマ主義的に件数を増やすことへ注力せず、地域のお気持ちを大事にしながら、じっくり時間をかけて準備することを重視すべきだと思います。
 そうやっていいロールモデルを増やすことでペースを加速していければと思います。

 130箇所という目標は、高知県の中山間地域全体を支えていくためにはこれくらいの密度が必要だろうという「べき論」で設定しました。当時は部内で「こんな大胆な目標を提示してもいいのか」という意見もあり、相当議論しました。高い目標ではありますが、達成に向けて努力を重ねていきたいと思います。

 また、国の地方創生に向けた取組においても、集落活動センターのような小さな拠点を大事にする事業を展開してもらいたいと思います。
 中山間地域は日本の農業の4割、高知県の場合は7割を支えています。また、林業を大事にする国になろうとすれば中山間地域こそが主役です。
 そして何より、住み続けたいと思っている人がたくさんいらっしゃる以上、中山間地域を大事にしないといけません。多くの集落が存続し、若い人が中山間地域で住み続けられるようにするためにも、中山間地域の中に活動拠点が必要です。
 このようなメッセージを国に訴えることで、地方創生の中に中山間地域をしっかりと柱に位置付けてもらい、国の力も味方につけた取組を進めていきたいと思います。

衆議院選挙

(半田・高知新聞記者)
 衆議院選挙の公示まであと4日ということで、2年間の安倍政権の成果が問われてくると思います。まずは、アベノミクスによる経済対策について知事の評価を伺います。

会見する尾﨑知事(知事)
 アベノミクスの第1の矢、第2の矢に関しては、本県にとってプラスに効いていると思います。
 特に第2の矢については、南海トラフ地震対策を強力に進めなければいけない本県にとっていいタイミングでの追い風になり、非常にありがたかったと考えています。

 問題は今まさに議論され、構築されようとしている第3の矢であり、非常に重要なポイントになると思います。
 この時期の解散には議論があると思いますが、私はより良い第3の矢を構築するためにも、この解散の機会を生かしてもらいたいと思います。

 また、最近はかなり良い方向に向かっていますが、以前は東京で話をしていると東京目線というか、地方を知らないと思うことがたくさんあり、小さな拠点に関する話もピンときてもらえなかった気がします。そのため、国会議員の候補となる先生方にはぜひ地方の声をしっかり聞いていただき、これからの政策立案に生かしてもらいたいと思います。

 また、地方創生に取り組むにあたっては、個別の良い事案をついばむのではなく、多様な主体の多様なニーズに対応できる、間口の広い政策群を持ってもらいたいと思います。
 例えば、産業振興計画では川上から川下までフルセットの政策群を持っていますが、それは地域の主体というのはそれぞれに多様なニーズ、ボトルネックを持っており、これらに対応できてこそ、地方全体の再生に繋がると考えているからです。
 ですから、国にはビジネスモデルの構築、付加価値向上、商品開発や販路開拓の支援、設備投資とそれに伴う増産・拡大・再生産に向けた支援など、一連の政策群をしっかりと構築してもらいたいと思います。
 予算上の制約やばらまきへの批判もあるかと思いますが、だからといって特定の分野に選択と集中[特定の分野に資源を集中投下する経営戦略]するのではなく、間口の広い骨太な政策群の構築に向けて、国には頑張ってもらいたいと思います。

 また県は、県内市町村にとって国と県との関係と同様の存在でなければなりません。そのためには全国知事会でも言っているように、個別の補助方式ではなく、県全体のトータルプランへのバックファイナンス[県全体のトータルプランを構築し、それに必要な経費を自由度の高い交付金で支援していく仕組み]が重要だと思います。

 地方の声を聞くこと、そして政策群を川上から川下までつくり上げることは、今後の地方創生に必要なことだと思います。衆議院解散の時期を生かしてもらい、我々も政策提言を行っていますので、地方の再生のための取組に繋げてもらいたいと思います。

(半田・高知新聞記者)
 続いて安全保障政策です。特定秘密保護法や集団的自衛権の行使に関する議論が特に参院選後に進んできました。一方で成立の過程や選挙の公約に明確に記載していない点などから国民不在という批判を受けていますが、知事の所見を伺います。

(知事)
 従前から申し上げているとおり、特定秘密保護法は必要であり、集団的自衛権についても容認されるべきだと考えてます。一方で、どんな制度にも危険性やマイナス面がありますから、これに対しては十分な配慮や対応策をとることが大事です。

 特に、特定秘密保護法については、一定項目が絞り込まれてきてはいますが、もっと明確にしていくことが大事だと思います。そういう意味では質問趣意書を活用して解釈の明確化を図るなど、具体的な限定的許可の達成に向けた取組を続けていくことが大事だと思います。
 集団的自衛権についても、日本の防衛のための行使に限定していくことが大事です。

 それぞれの法律の成立過程については、今回の選挙で大いに争点にされるべきだと思います。
 アベノミクスの第3の矢が最大の争点であることは間違いありませんし、地方の立場としてそうあってもらいたいと思います。
 ですが、特定秘密保護法や集団的自衛権の問題など、他の国政上の大きな動きについても、今回の総選挙で争点化し議論をすることが大事だと思います。そこについては、野党の皆さんも頑張ろうとしているのではないかと思います。

(半田・高知新聞記者)
 原発問題について、鹿児島県の川内原発が年明けにも再稼働する見込みです。
 高知県においても伊方原発の動向は大きな問題ですが、安全性が確保された場合の再稼働に関して知事の所見を伺います

(知事)
 伊方原発は平成24年の送電停止以降は稼働しておらず、基準地震動の設定などについて議論が続いている状況です。老朽化した火力発電所等の稼働によって電力を供給する状況が続いており、県民を含め四国の皆さんが電力料金の負担を被っています。
 四国電力においても厳しい経営状況が続いていると思いますが、そういう状況にあってなお、安全を第一として再稼働を行わず、基準地震動などについて大激論を続けている、この姿勢は大事だと思います。
 今後も、この姿勢は堅持してもらわないといけませんし、基準地震動に関する規制委員会の議論も、納得できるまで徹底して続けてもらいたいと思います。

 また、県としても引き続き安全対策をしっかり求めていきます。原子力の専門家ではない我々に対して平易な言葉で説明し、納得を得られる状況でなければ、本当の意味で安全対策が確保されたとは言えません。そういう考えのもと、素朴な疑問をぶつけ、納得いく答えが得られるまで問い続けていきます。

 伊方原発の稼働が電源上必要不可欠な状況が来るかもしれませんが、だとしても安全第一の姿勢は堅持してもらいたいと思います。

土佐和紙の継承・発展

(小笠原・高知新聞記者)
 ユネスコの無形文化遺産に「和紙 日本の手漉和紙技術」の登録が決まりましたが、土佐和紙に関しては対象外となっています。これに対する感想や今後の追加登録に向けた考えをお伺いします。

(知事)
 今回のユネスコの登録で、和紙自体の知名度が上がったのは喜ばしいことだと思います。また、登録された団体の皆様にはお喜びを申し上げたいと思います。
 一方で、世界に誇る我らが土佐和紙が認定されなかったことは残念です。今回の登録は国の重要無形文化財のうち、技術保持団体がある和紙が対象とのことで、本県の場合は人間国宝の浜田幸雄さんをはじめ、優れた技術を持たれた方が継承しているものの、技術保持団体の有無が差を分けたということです。

 我々も土佐和紙の継承・発展は大事だと思っていますので、関係者の皆さんとよくお話をさせていただき、団体を立ち上げる、あるいはユネスコの登録を目指す方向に向かうのであれば、県としてしっかり応援していきたいと思います。

 ユネスコの登録の問題では、文化の継承・発展における組織的な対応の重要性を再認識させられました。今後、関係団体と話し合い、皆さんのお気持ちも大事にしながら、我々としても積極的に対応していきたいと思います。

沖縄県知事選挙

(中田・高知民報記者)
 沖縄県知事選挙の感想をお願いします。

(知事)
 沖縄の皆さんの気持ちを十分に把握し、取組に関する説明を行うことの大切さが明らかなった選挙だったと思います。
 従前より、沖縄の負担軽減のために、まずは2プラス2[日米安全保障協議委員会]の協議に基づいた合意を遂行していくことが大事だと申し上げてきました。
 ただ、今回の選挙の結果を受けて、改めて沖縄の皆さんのお気持ちを伺い、政府の取組に関して丁寧に説明していくことも大事だと思います。

(司会)
 以上で記者会見を終わります。

お問い合わせ

総合企画部 広報広聴課
TEL:088-823-9046
FAX:088-872-5494

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