知事の記者会見(平成27年を迎えるにあたって 平成27年1月1日)

公開日 2015年01月28日

はじめに
産業振興計画の推進
日本一の健康長寿県づくり
南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化
教育改革の推進
中山間対策の充実・強化
少子化対策の抜本強化と女性の活躍の場の拡大
公共交通の維持確保・活性化
2月の開催行事
国への対応
県勢浮揚を目指して

<以下、質疑>
今年のキャッチフレーズ
産業振興計画の位置付け
高知家プロモーション
移住促進の取組
ものづくり地産地消・外商センター

 

【動画】年頭所感

【動画】記者との質疑応答

はじめに

(知事)
 県民の皆様、明けましておめでとうございます。
 2015年の年頭にあたり、所感を述べさせていただきたいと思います。
 まずは、県民の皆様、それぞれに良き新年をお迎えになられたことと思います。本当に心からお慶び申し上げます。さらなる県勢浮揚を目指して、飛躍への挑戦を引き続き続けていく1年にしていきたいと考えています。

 高知県は平成2年から人口減少状態に陥り、人口減少による経済の縮みが若者の県外流出と中山間地域の衰退を招き、さらに経済が縮むことで人々の暮らしが衰退するという負の連鎖を辿ってきました。平成12年から平成22年にかけては、全国で有効求人倍率が1を越えるまで景気が回復しても、高知県だけは0.4から0.5近辺で変わらないという時期が10年間もありました。

 この人口減少の負の連鎖と戦っていくため、地産外商、観光振興、移住促進、中山間地域の振興といったさまざまな取組を続けてきました。(昨年11月の)高知県の有効求人倍率は0.85倍であり、ほぼ過去最高水準のところまで来ており、良い方向に向かっているとは思います。しかしながら、まだまだやらなければならないことは山積している状況だと考えています。

 さらなる飛躍を目指して、今まで取り組んできたことの土台の上に立ち、多くの県民の皆様方のご協力も賜りながら県勢浮揚に向けた取組をさらに進めていきたいと考えています。県民の皆様方には、今後ともご指導、ご鞭撻を心からお願い申し上げたいと思います。

 それでは、年頭にあたり個別の政策課題の概略について、ご説明したいと思います。

産業振興計画の推進

 まず、「産業振興計画」についてです。今年も引き続き、地産外商と移住促進の2つを大きな柱として取組を進めていきます。そして、平成21年からこれまでの6年間の取組をベースとして、主に7つの点で産業振興計画のバージョンアップを図りたいと考えています。

 1点目は、「外商の拡大」を図ることです。地産外商公社の成約件数について、平成21年度の178件から平成25年度には3,333件まで拡大し、平成26年度は昨年の秋までのデータで見た場合、前年の3割増しぐらいのペースで推移しています。この勢いがついてきた外商の流れをさらに太いものにしていくため、2つの点において拡大していきたいと考えています。

 1つ目は、地産外商公社の取組を全国展開させていくことです。今まではどちらかというと首都圏中心でしたが、今後は、関西圏や中部圏、さらには中国、四国、九州も含め、外商公社としての活動をそれぞれの事務所で展開していきたいと思っています。

会見する尾﨑知事 そしてもう1つは、さらなる飛躍へ挑戦するため、輸出振興の取組を本格化させていきたいと考えています。輸出については、例えば、ユズのプロモーションを欧州で行ったり、さらにはアメリカやオーストラリアなどで行ったりするなど大変好調であり、日本酒もさらなる輸出促進の取組をスタートさせてきたところです。今後は、機械系の取組も含め、輸出促進のチャンスがさらに広がってくるのではないかと思っています。県内外の体制強化を含め、外商全体の取組を進めていきたいと考えています。

 2点目は、外商の拡大に伴う「雇用や設備投資の拡大」といった良い好循環を生みだしていく取組を強化していきたいと考えています。「ものづくり地産地消・外商センター」では、県内事業者の皆様方のビジネスプランづくりから販路拡大に至るまで一貫して支援してきました。平成26年度は、前年の約5割増しのペースで売上が上がっていますので、この取組をさらに加速していくことができないか、今検討を進めています。外商によって成果が上がった事業者の皆様が、さらに設備投資を行い、雇用の拡大を図っていく。そして新しいビジネスプランを作り、事業の拡大をさらに図っていくという良い好循環を民間の皆様方と官民協働で進めていきたいと思っています。

 3点目は、「担い手の確保」の取組です。いろんな取組が進んでくる中で、県内の中小企業等では担い手が確保できないために、これ以上の事業展開ができないパターンが数多く見られます。さらには、後継者がいないが故に事業を承継できず、休廃業に至るケースもたくさん見られますし、1次産業の担い手が減少する傾向は今も続いています。そのため、移住促進と人材確保の取組を連動させていきながら、県内での受け皿をしっかり構えた上で、さまざまな分野の担い手を確保していくという取組を抜本的に強化していきたいと考えています。

 具体的には、移住促進、中でも人財誘致の取組についてさらに強化を図るとともに、「事業承継・人材確保センター」を新たに設置することを検討しています。(このセンターでは)県内事業者の皆様方が事業承継に向けて中長期的な計画を立て、新たなビジネスプランづくりや事業の展開、さらには人材のマッチングを図っていけるようにしっかりと応援させていただきます。そして、一定の人材を確保された後もさらなる販路拡大も含めて応援させていただくといった総合的な取組が展開できるような仕組みが作れないかと考えています。

 また、1次産業の担い手確保にもさらに力を入れていきます。農業分野では、昨年4月に「農業担い手育成センター」を設置したことに加え、林業分野でも今年4月に「林業学校」を開設することなどを通じて、1次産業の担い手確保に力を入れていきたいと考えています。

 4点目は、「人材育成」の取組として産学官民連携の強化を図ることです。「土佐まるごとビジネスアカデミー(土佐MBA)」の取組に、今年は過去最高の延べ1,800人の方に参加をいただくなど、多くの皆様の関心が高まっているという手応えを感じています。こうした中、今年は2点において、人材確保や人材育成の取組のエポックメーキング〔画期的〕な出来事が起こります。

 1つは、今年4月に「永国寺キャンパス」が新たにオープンすることです。県立大学の文化学部の定員が拡充されるとともに、工科大学の経済・マネジメント学群が新たにスタートすることは本県における人材育成力を抜本強化する一つの契機になると思います。

 併せて、永国寺キャンパスに「産学官民連携センター」を設置します。このセンターでは、高知県内の産学官民の英知を結集して新たな事業展開を図っていこうとされる皆様方を後押しします。県内の大学等や県内産業界の皆さん、そして我々官が一体となって、新たな事業展開が図れる取組を進めていきたいと考えています。このため、このセンターでは3つの機能を持ちます。

 1つ目は、産学官民連携のワンストップ窓口になること。そして2つ目は、産学官民連携のための具体的なプログラムを組み、これを県民の皆様に提示すること。さらに3つ目が、さまざまな人材育成事業を展開していくことです。2つ目の産学官民連携のための具体的なプログラムには、ぜひ県外のいろんな外資や人材を誘致し、大いにこの取組に組み込んでいけるようにしていきたいと思っています。

 アメリカのスタンフォード大学が、世界各国から人材を集めて新しい事業展開を図り、それが今のシリコンバレーという形で大きく育っているように、この「産学官民連携センター」が高知県のスタンフォード大学になり得る存在だと考えています。県外からもいろんな知恵を集め、新たな事業展開を図っていく上での具体的な後押しとなるプログラムを組んでいきたいと考えています。

 5点目は、「観光振興」の取組です。今年も昨年に引き続き、観光キャンペーン「リョーマの休日~高知家の食卓~」として、2回目となる『「高知家の食卓」県民総選挙』を実施します。併せて、今年4月からは「高知家まるごと東部博」が開催されます。

 こういった取組に加えて、国際観光の推進も抜本的に取組を強化していきたいと考えています。例えば、この5年程で高知県を訪れる台湾の観光客の皆様方は約5倍に拡大しましたが、まだまだ絶対数としては少ない状況です。2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催も一つの目標にしながら、高知県の受入体制や誘客の取組を抜本的に強化していきたいと考えています。

 6点目は、「紙産業の振興」を図ることです。本県の製造品出荷額の約1割を紙産業が占めています。さらには土佐和紙の伝統から始まり、紙産業は本県にとって強みの中の強みではないかと思います。本県独自の技術を生かした紙産業の振興について、有識者による検討会でいただいたさまざまな提言を踏まえ、取組をさらに強化していけるよう検討を重ねています。

 7点目は、「1次産業の強化」です。若い人たちが就業しても具体的に所得を上げることのできる1次産業を力強く形づくっていくため、今までの取組の土台の上に立って新しいステージを展開していきたいと考えています。

 農業については、昨年、取組をスタートした「次世代型こうち新施設園芸システム」を本格的に県内各地に普及していく段階に入ります。さらには、県内外のより大規模な資本や外資について、高知県の新しい園芸システムの構築に参画していただくことをさらに検討していきたいと考えています。現在、こういった大型の取組を進めていくことができないかという検討を重ねており、今後はそれに併せて、農業分野の外商の強化にも取り組んでいきます。
 林業分野については、平成25年に大型製材工場がスタートし、そして木質バイオマス発電所が今年4月からいよいよ本格スタートをすることになります。これに併せて、CLT関連産業群も活用し、川上から川下まで一体となった林業振興の取組を強化していけるよう県内外の皆様方と協力を図りながら、大きな一歩を踏み出せないか挑戦していきたいと考えています。

 水産業分野については、昨年、外商を抜本的に強化するための仕組みとして「高知家の魚応援の店」のシステムを組み上げました。この仕組みを生かし、都会の飲食店と高知県の水産業に携わっている事業者の皆様方を直接結び付けるため、今年は大きな歩みを踏み出していく年にしていきたいと考えています。さらに、養殖業の振興のために人工種苗の開発にこれまで取り組んできましたので、昨年の技術的知見の上に立ち、今年より本格的に展開できるよう取組を強化していきたいと考えています。

 産業振興計画の個々の取組については、全体として地産外商に向けて良い方向に向かっていると思います。しかしながら、本当の意味でより地域地域で若い人が住み続けられる高知県をつくるという、最終目標に照らした時にさらなる進化を我々として遂げていかなければならないと考えています。昨年に比べて売上が上がったとか、成果が上がったといった点に満足することなく、新しいステージにステージアップしていく取組が多数あると考えています。まずは、しっかり検討を行い、次の2月議会に議案を提出させていただき、そしてフォローアップ委員会の皆様方にもその点を提示していきたいと考えています。

日本一の健康長寿県づくり

 続いて、「日本一の健康長寿県構想」の推進についてです。まず、保健分野について、特にポイントとなるのが県民の皆様方にあまねく広く健康情報をお伝えしていくことです。「高知家健康づくり支援薬局」の仕組みを昨年構築しましたが、身近な健康情報拠点であるこの支援薬局を県内にさらに広げていきたいと思います。また、子どもたちに対する健康教育の取組をさらに多くの学校で実施できるように取組を強化していきます。併せて、がん検診のセット化や土曜日・日曜日にがん検診を実施する医療機関の拡大、さらには産前産後の支援等々の充実を図っていこうと検討しています。

 医療分野については、若手医師の育成と資質向上の取組をより本格化させていきます。奨学金を受給された若い医師の数がこれから飛躍的に増えていく時代を迎えてきますので、それに合わせたさまざまな仕組みの向上を図っていかなくてはなりません。さらに、在宅療養の支援体制をしっかり整えることが重要だと考えていますので、訪問看護師を育成する取組なども強化していきたいと考えています。

 そして、福祉分野については、「高知型福祉」をさらに進展していくため、特に2点のポイントがあります。一つは、一人暮らしで低所得の高齢者の皆様方に対して、住まいの確保をしっかり図っていく取組が大事ではないかと思います。そしてもう一つが、虐待や貧困といった厳しい状況に置かれている子どもたちに対して、手厚いケアをしていくことです。この子どもたちにしっかりとした生活や教育を保障するため、子どもの貧困対策のプランや虐待対策の取組を根本的に検証し、これまで強化してきました。引き続き、教育委員会や警察本部はもとより、何と言っても地域住民の皆様と連携していきながら取組を強化していきたいと考えています。

南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化

 「南海トラフ地震対策」についてです。まず、津波避難対策や火災対策など「命を守る」対策については、平成27年度が第2期の南海トラフ地震対策行動計画の最終年度として、総仕上げにかかるべき時期だと考えています。現地での点検をしっかり図っていくことがポイントだと考えており、(平成27年度末までの完成を目指し)避難路や避難場所が現在1,445カ所、津波避難タワーが115基をそれぞれ整備しています。これらが本当に機能するかどうか、現地での点検を徹底していくことが1つのキーポイントだと考えています。併せて、今年は山津波の対策を抜本的に強化することを計画しています。平時の土砂災害対策と併せて、山津波の対策を強化していきたいと考えています。

 次に、「命をつなぐ」対策、いわゆる応急期の対策については平成24年度からスタートし、昨年はさらにこの取組を強化した年でした。特に、津波避難対策等々について、一定の進展が見られたことを受けて、この応急期の対策のさらなる強化を図ります。まず、避難所確保の取組をより強化していかなくてはなりません。まだ避難所が不足しており、福祉避難所的な対応がしっかりできるように対応していくことも非常に重要です。現在、新たなマニュアルを作成し、地域に普及していく取組を進めており、さらに孤立化対策にも取り組んでいきますが、現実にこの避難所が機能するかどうかをさらに確認していくための施策を展開していく年になろうかと考えています。

 さらに、災害時医療救護計画については、有識者の皆様方にいただいたさまざまなご提言を踏まえ、具体的なアクションプランに落とし込みながら、具体の対策をスタートさせます。さらに、道路啓開計画については、平成26年度内に計画づくりを終了しますので、具体的な対策に踏み出していきたいと考えています。

 また、我々としては「南海トラフ地震対策推進地域本部」の体制をさらに強化していくことが重要ではないかと考えています。実際に津波避難計画は機能するか、津波避難タワーに逃げた後、実際に避難所まで確実に避難することができるか、といったことを地域地域でしっかりと確認を行っていくことが非常に重要です。そのため、県の出先機関との連携体制をしっかりと強化しながら、地域本部の取組を強化していきたいと考えています。

教育改革の推進

 「教育改革」については、「知」・「徳」・「体」の取組をそれぞれ加速していきます。
まず、やや足踏み状態にある学力向上の取組については、活用問題、特に思考力や表現力を鍛えるさまざまな教材群が揃ってきました。さらには、先生方の研修体制も強化されてきましたので、学力向上に向けた取組をさらに強化していきます。

 体力向上の取組については、体育の1つ1つの授業を強化する地道な取組を進めていくとともに、スポーツ推進プロジェクトを本格化していきたいと考えています。(具体的には)2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、高知県の子どもたちの競技力の向上を図ります。さらには、子どもたちをはじめ、多くの県民の皆様がスポーツに慣れ親しむ環境をつくります。そのための取組を今スタートさせようとしているところであり、有識者の皆様方にさまざまな形でご意見をいただきましたので、平成27年度予算から具体的な形でより本格的にスタートしていきたいと考えています。

 徳育の取組については、「心を耕す教育」をはじめ、「高知家の子ども見守りプラン」、「高知県いじめ防止基本方針」に基づいた取組をしっかりと進めていきます。また、虐待や貧困により厳しい状況に置かれている子どもたちの教育を充実し、生活を改善させるため、教育委員会と福祉担当部局がしっかりと連携を取り、具体的な形で展開していきたいと考えています。具体的には、放課後における学習支援の充実や、スクールソーシャルワーカーの配置拡充など、関係する皆様方の連携による取組の強化に向けて、今後さらに検討を深めていきたいと考えています。

中山間対策の充実・強化

 「中山間対策の充実・強化」については、今年さらに取組を進展させていきます。昨年までに集落活動センターが、15箇所設立され、今年度内に2箇所の設立が予定されています。平成27年度においても、この集落活動センターの取組をさらに普及・拡大していきたいと考えています。その際のキーワードは、「外から人財を誘致してきて新たに地域の力になっていただくこと」と「地域地域でその実情に合ったビジネスプランを作っていくこと」ではないかと思っています。地域の実情に合った地産外商に取り組み、1つ1つ開拓していくことを今までの経験も踏まえながら、地域の皆様とともに実施していきたいと考えています。

少子化対策の抜本強化と女性の活躍の場の拡大

 「少子化対策の抜本強化と女性の活躍の場の拡大」については、今年もさらに取組を進めていきます。「高知家の出会い・結婚・子育て応援コーナー」の機能の充実、さらには「高知家の女性しごと応援室」の取組のバージョンアップを他の取組と合わせて行っていくことが重要であると考えています。

公共交通の維持確保・活性化

 「公共交通の取組」については、「とさでん交通」が昨年10月に設立されて以降、会社の皆さんも大変頑張っています。データ経営に伴う取組が実際に形になっていくのか。さらには、おもてなし・接遇の向上といった取組がしっかりと定着していくのか。今年はある意味、「とさでん交通」にとって正念場だと思います。県としても、「とさでん交通」の皆様方の努力にしっかりと寄り添い、持続可能な中央地域の公共交通システムの確立に向けて努力していきたいと考えています。

2月の開催行事

 非常に注目すべき行事として、この2月に「高知龍馬マラソン2015」、そして「全国漫画家大会議 in まんが王国・土佐」を開催します。ぜひ多くの県民の皆様にご参加いただきたいと考えています。

国への対応

 昨年は、国政課題についてさまざまな形で政策提言を行い、「まち・ひと・しごと創生本部」の仕事や総合戦略に反映することができた年であったと思います。ただ、大枠として反映することができたということに過ぎず、具体的な点についてもっと政策提言をしていきたいと考えています。私自身、今年は恐らく政府の委員に4つから5つほど就任することになろうかと考えています。その委員会の場での政策提言、さらには全国知事会の「次世代育成支援対策プロジェクトチーム」のPT長として、さらに国に対して政策提言を強化していきたいと考えています。

 国が、「地方創生」や「少子化対策」の取組に大いに目を向けてくれているこの時期に、しっかり国に対して政策提言を行い、いろんな施策を打ち込んでいくことで、国の取組をしっかり追い風として取り込んでこれる仕事をしていきたいと考えています。

県勢浮揚を目指して

 県勢浮揚を目指してさらなる取組を進めていく1年だと考えています。飛躍への挑戦を重ね、現状に甘んじることなく、さらなるステージアップを図っていくための努力を行っていきたいと考えています。足らざる点も多々ありますが、その点を大いに改善し、県勢浮揚につなげていく年にしていきたいと考えています。

 まずは、平成27年度の予算編成に全力を挙げて取組を進めていきますので、県民の皆様からご指導ご鞭撻を賜りますよう、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今年のキャッチフレーズ

(井上:高知新聞記者)
 今年1年にキャッチフレーズを付けるとすると、どんな年とお考えでしょうか。

(知事)
 今年も引き続き、「飛躍への挑戦」を続けていくことになります。
 従前より申し上げているとおり、1年や2年で終わる課題ではないと思いますし、加えて言うと、「飛躍への挑戦」を言い続けてもう3年になるかと思います。そうした中、毎年1つ1つホップ・ステップ・ジャンプという形で施策をバージョンアップしてきていると思っています。正直、1期目の4年間の変化に比べて、2期目の4年間の変化の方がはるかに大きいものがあると思っています。というのは、今まで取り組んできたことを土台にして、新しい仕事にいろいろチャレンジできるようになってきたからです。

 「飛躍への挑戦」という意味においては、昨年より今年の方がふさわしい年だと私は思っていますので、敢えて「飛躍への挑戦を継続する年」だと言わせていただきたいと思います。

産業振興計画の位置付け

(福井:テレビ高知記者)
 平成27年は、知事の2期目最終の年になるかと思います。それを踏まえた上で、昨年の産業振興計画については正念場の年と位置づけ、高知家プロモーションの下にプラスのスパイラルが生まれるための政策に取り組まれたと思います。では、今年の産業振興計画がどういった位置付けになるでしょうか。

会見する尾﨑知事(知事)
 第2期計画の目標値を達成するという観点からいけば、1つの最終ゴールに向けて物事を仕上げていかなければならない年だと思います。ただ、私が思っているのは、ゴールに向けてうまく着地するというより、目標以上のものを目指して走り抜けていくことが求められている状況にあるのではないかと思っています。ゴールをゴールと思わず、その先を目指してさらに加速して走り抜けていくという時合〔適当な時期〕にあるのではないかと思っています。

 例えば、製造品出荷額や観光の入り込み客数については、第2期計画そのものの目標値をもう既に達成しています。ただ、自然条件などもあり、まだ達成できていないものもあったりしますが、いずれにしても全く見通しがつかない状況であるものは極めて少数であり、大多数のものについては一定の道筋が見えてきています。むしろ今までに比べれば随分ペースアップしてきていることを実感するものが多いのではないかと思っています。

 足元を見た時、昨年11月末ぐらいの地産外商公社の成約件数も非常に多かったのですが、その同時期と比べても3割増しであり、さらに、ものづくり地産地消・外商センターの売上高や高知県内への移住者数も昨年同時期の4割増しという形で増えてきている状況であることからも、これまでいろいろ取り組んできたことが一定効いてきていると思っています。

 だからこそ、この勢いでもう一段上のレベルに行けるよう、取組を加速させていく時合にあると思っています。
 そういう意味で、平成27年度は第2期計画のバージョン4となる中、バージョン3の土台の上に立ってさらに取組を加速させていき、より大きな仕事にチャレンジすることになると思っています。結果として、1年後に目標値を達成できたものがかなり多い形になっていればと思っています。

高知家プロモーション

(福井:テレビ高知記者)
 高知家プロモーションについては、どのような展開をイメージしているのでしょうか。

(知事)
 高知家の認知度における目標値について、昨年の秋段階で大体25%を目指す予定でしたが、既に認知度が33%であり、目標を大きく上回る形で認知していただきました。この認知度は、首都圏や関西圏の方を対象にしたインターネット調査として約5,000人の方にアンケートをした結果です。首都圏や関西圏でのインターネットを利用した調査ですので一定の偏りはあるかもしれませんが、5,000人という母数はかなり大きく、そういう意味においては信憑性のあるデータと言えるのではないかと思います。この調査で3人に1人の方に認知していただいていることはありがたいと思いますし、それに合わせたいろいろな好感度調査などの結果を見てもやはり効いていると思います。

 今年は、この高知家プロモーションの一群の取組をより具体的な成果につなげていけるようにしたいと思います。もっと言うと、高知家プロモーションの認知から行動誘発へつなげていけるような取組をしていけないかと思っています。「実際に移住促進を考えてみたい」「高知県への観光を考えてみたい」「高知県の物を手に取ってみたい、食べてみたい」と思ってくれる行動誘発をしていくことが大事だと思っています。

 高知県への行動誘発を図る点において、最大の強みはやはり「人」だと思いますので、県民の皆さんにご協力いただきながら、高知家プロモーションを通じて県外の皆さんにいろんな行動を呼びかけていくプロモーションにしていくことができないかと計画しているところです。これが全体の移住促進、地産外商、観光振興の後押しとなるプロモーションにできればと思っています。

移住促進の取組

(井上:高知新聞記者)
 移住促進の施策の抜本強化について、具体的なイメージを何かお持ちでしょうか。

(知事)
 移住促進の取組と県で行っている他の政策群をしっかり連携させながら、移住促進の次にある取組をしっかり強化していき、故に移住促進の取組自体も強化されることを図っていきたいと考えています。移住促進の次の取組は何かと言うと、1つが「事業承継・人材確保センター」の設立だと思っています。事業承継を図り、さらには人材確保を図っていくことは、本県の中小企業の皆さんにとって非常に重要なポイントだと思います。県内から見つけられるのが一番いいですが、それでとどまらない部分もあると思います。さらに新たな挑戦をしたいと思っている方々もいますので、そういう皆様にとって人財誘致のスキームが一番親和性の高いものだと思います。移住促進と組み合わせることでしっかり人材確保を図っていくことが非常に大きなポイントだと思っています。

 高知県では後継者が不足しているというお話もたくさんあるわけですので、まさに縮む経済の1つの側面の現れだと思います。こうした中、人財誘致のスキームは本格稼働し始めて半年ほどであり、まだ数件ぐらいの成果しか出ていません。他方では、企業人材の中に地方を志向される方がいるという手応えも感じています。この人財誘致のスキームと人材確保・事業承継の取組をしっかり結びつけていくことが重要です。

 そして、一次産業分野における担い手確保の取組について、林業分野では「林業学校」の創設という形で強化します。また、農業分野では「次世代型こうち新施設園芸システム」の普及・導入促進などに応じて、「農業担い手育成センター」の取組や「農地中間管理機構」の取組もさらに強化していきます。そういう意味では、受け入れ側も強化されていくことになるのではないかと思っています。

 あともう1つは、国が強化する取組との接続をしっかり図ることです。「全国移住促進センターを設立すべきではないか」と我々は国に政策提言を行ってきた中、ほぼ導入する話になっています。おそらく多くの県の望むところであり、本県と同じように提言されたのかもしれません。ですので、地方から東京への流れを東京から地方への流れに変える国の取組をしっかり取り込んでいきたいと考えています。

ものづくり地産地消・外商センター

(古宇田:日経新聞記者)
 人財誘致という言葉が象徴的だと思われる事例として、平成26年度において「ものづくり地産地消・外商センター」に経営統括と技術統括をそれぞれ一人ずつ採用されたと思います。その二人の活動についてどう評価されていますか。

(知事)
 私が報告を聞いている限りでは非常に活躍しており、県内事業者とも良い関係を持ちながら取り組んでいるという話です。やはり外からどんどん人財や知恵を集めてくる状況に置くことによって、高知県の本当の潜在能力が発揮されるようになると思います。経営統括や技術統括の取組も象徴的ですが、他にも観光の分野であったり、農業分野の地域おこしの分野であったり、人が来ることで地域の皆様との新たな取組がスタートしたこともたくさんあると思いますので、そういう循環をぜひ作っていきたいと思います。

 ただ、そのための仕組みを具体的に強化し、いろんな形で仕込んでいくことが重要だと思います。「事業承継・人材確保センター」もその一つです。このセンターには事業継承だけではなく、人材確保の取組も入っています。加えて「産学官民連携センター」も大いに強化していく受け皿になっていくのではないかと思います。

(古宇田:日経新聞記者)
 事業承継については、地元の金融機関などの力が要ると思います。そういった金融機関との連携については、どうお考えでしょうか。

(知事)
 おっしゃるとおりであり、今いろいろと検討を進めています。真に官民協働で取り組む必要があると思っており、実際に人材をマッチングさせるだけにとどまる話ではないと思っています。大きく言えば、経営改善や経営強化の一環としてあるものだと思いますので、そのビジネスプランの策定から人材のマッチング、さらにそこから先の場合によっては、M&A〔企業の合併や買収〕という話にもなると思います。さらに事業体が立ち上がった後の販路開拓の支援なども徹底していく必要があります。

 もう一つは、県内のいろんな機関と協働することも大事だと思います。「ものづくり地産地消・外商センター」や地産外商公社とも連携することで初めて成り立つ施策だと思います。

(司会)
 以上で終わらせていただきます。

 

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