平成27年3月31日  知事の定例記者会見

公開日 2015年04月20日

東洋ゴム問題(1)
地方創生(1)
新年度の取組
1票の格差判決
南海トラフ地震対策(1)
木質バイオマス
東洋ゴム問題(2)
木製ガードレール・防災関連産業
地方創生(2)
県議会議員選挙
南海トラフ地震対策(2)
沖縄の基地問題
桂浜の再整備
ビキニ被曝事件

配布資料
資料1:
高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略<平成27年度版>[PDF:2MB]
資料2:飛躍への挑戦!産業振興計画[PDF:2MB]
 

【動画】知事の定例記者会見

(知事)
 お手元に3月26日開催の庁議において決定した「高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略、平成27年度版」をお配りしております。
 もともと本県が掲げていた産業振興計画、中山間対策、少子化対策、女性の活躍促進のための取組等々の施策を全て平成27年度版という形で大幅にバージョンアップをし、創生総合戦略として、とりまとめたものになります。政府関係者にもこちらの説明を一斉に始めていますが、皆さまにも今この場で正式にお配りをさせていただきたいと思います。以上です。

東洋ゴム問題(1)

(菊池・読売新聞記者)
 昨日東洋ゴム側が発表した内容によれば、安芸総合庁舎と高知東警察署のゴムの変形率がかなり高く、当初の期待値よりも耐震性が大幅に下がってしまいます。このような東洋ゴム側の発表を含めた、今回の件の全てに対してどのような捉え方をしているのでしょうか。

(知事)
 正直申しまして、今回の事案はデータの改ざんという、あってはならないことに基づくものであり、また、県民の皆さまに多大な不安をもたらすことでありまして、本当に極めて遺憾だと言わざるを得ないと考えています。
 ただ、その後の東洋ゴムの皆さまに接する中で、一定の誠意ある対応をしていただいていると考えています。しかしながら、今後は、交換も念頭においた対応をしていかなければならないわけでありまして、より一層、誠意ある対応をしっかりと迅速にとっていただきたいと考えています。
 そういう中、本日は、国土交通省も確認をした上で、震度6強から震度7くらいにかけては、それぞれ東洋ゴムの製品を使用した建物については、倒壊の恐れがないことが確認をできました。このことは、本件始まって以来の明るい材料であると思います。この点は良かったと思いますが、完全な安全性が求められるものでありますので、繰り返しになりますが、交換を念頭において今後の対応をしっかりと求めていきたいと思います。

(菊池・読売新聞記者)
 すべての対象建築物の免震材料の具体的な交換スケジュールを早急に示すなどの内容の要請書を出されましたが、今後はそのことについても一つずつ求めていくことになるのでしょうか。

(知事)
 そういうことになります。

(菊池・読売新聞記者)
 今後、さらに別の製品でもゴムの性能の数値が偽装されている可能性があり、さらに全国的に少し増えそうです。高知県でもその影響の有無については、分からないですが、その懸念というものは知事自身もおありになるのでしょうか。

(知事)
 そのような報道もなされている中ですので、懸念は拭えません。ですから、本当に大急ぎで対応を図っていただきたいと本当に思います。ぜひスピード感と誠意を持って対応をしていただきたいと思います。

地方創生(1)

(菊池・読売新聞記者)
 県版の地方創生総合戦略のことですが、暫定版ができたということですが、全国の他の自治体がこれからいろんなものをつくっていくと思いますが、他の自治体とは違う、高知県の特徴についてご説明をお願いします。

(知事)
 一つ言わせていただければ、これは暫定版ではありません。平成27年度版だと思っていただければと思います。暫定版を作って市町村の皆さまにお示しをし、ご意見を聞いて3月26日に平成27年度版として確定したものです。
 ただ、人口ビジョンはもともと持っておりましたが、今回、創生総合戦略の策定の中で、大学生・短大生・高校生の就職意向、つまりどれだけ残りたいかという意向を聞いた上で人口ビジョンを改めて作って欲しいという話もありますので、その意向調査の結果を盛り込み、今年の夏ぐらいに人口ビジョンとして作り上げる予定です。それを新たに加えて平成27年度の改定版となりますが、人口ビジョン以外の施策群一式が全体の99.9%を占めているため、今の段階のものがベストだと思っています。「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は、この平成27年度版のものを平成27年度中に実行していくものと考えています。
 ですから、暫定版でも骨子でもなく、これが平成27年度の完成版という前提でよろしくお願いしたいと思います。
 その上で、他の自治体との違い、特徴はどこにあるのかと考えると、まず3点申し上げさせていただきたいと思います。
 第1点目は、市町村との連携・協調ということを非常に意識しているという点。これが非常に大きいと思っています。厳しい状況下にある高知県は、県政と市町村政との連携・協調を図っていくということが極めて大事だと考えておりまして、これまでも産業振興計画の推進などで連携して取組を進めてまいりました。この「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の実行にあたっても、市町村と連携していくことが極めて大事だと思っています。その市町村もこれから創生総合戦略を策定することになりますので、その土台となるよう、我々としては、早期にこの県版の創生総合戦略を提示させていただいたということです。
 まず、こういうプロセス自体が一つの特徴だと思っています。
 2番目ですが、持続的な好循環を生み出していくことを意識した点。これが特徴と言いますか、非常に智恵を絞ったところだと思っています。地産を強化し、外商につなげ、それを拡大再生産につなげていく。大きく言うと、そういう構造、これが持続的に好循環のプロセスを生みだしていくことを意図した構成だと考えております。外商で結果が出たものについては、事業承継・人材確保で新しい事業を担う新しい人材を紹介するなど、拡大再生産のループに入っていく、施策が連携をして次のプロセスに入っていくことを意識してつくっています。
 それぞれについて、お手元の資料の図(資料1の12ページのポンチ絵)の方が分かりやすいと思うので、よく見ていただければと思います。例えば農業については、新しい次世代型のハウスや複合経営拠点をつくっていくことで収量が拡大をしていき、それに併せて、園芸連をはじめとした販売側の体制も強化を図っていく。そして売る方についても、全体として量が拡大をしていくことになれば、担い手の確保のために担い手育成センターの取組につなげる。そういう方に中間管理機構で農地を斡旋するなどの取り組みをし、拡大再生産につなげ、さらなる拡大につなげていくという全部が一つの好循環のループを描いています。こういう形を全ての政策分野において組み込んでいるところが、特徴だと思っています。
 そして3点目ですが、これは本県が持つそもそもの強みを大いに生かそうということであります。この好循環の基点となるところに新技術による第1次産業の強化を折り込んでいる点、これも大いなる特徴だと考えています。第1次産業、農業について言えば、オランダから技術導入し、5年かけて開発してきました次世代型の園芸施設、この普及促進を図っていくことをベースにしています。林業に関して言えば、CLT関連産業をはじめとする、新しい新技術をこの林業分野の起爆剤にしたいと考えています。水産業について言えば、養殖の人工種苗の開発。さらには「高知家の魚応援の店」のように、少量多品種の流通にふさわしい流通ルートを新たに開発したことです。
 このような新しい技術やシステムによって地産の強化を図り、これが基点となって好循環のプロセスが始まる。この点が本県にとっては、本県らしい創生総合戦略につながっていくのではないかと思っています。
 最終的にはこの第1次産業を基点に広がりも持たせて、例えば、農業であれば生産があり、その素材やいろいろな資機材をつくる、さらには種苗をはじめとして前の工程のところをつくる、そういう一群の業者が集まってくる。さらには加工業者、さらにはそれらを販売する農家レストランもできて、観光産業としても活かす形で、第1次産業を基幹とした一群の産業クラスター[ブドウの房のように企業・機関・自治体などが集積し、ネットワークをつないでイノベーションを創出すること]みたいなものがつくられていくようなものを目指していきたいと考えています。次世代型ハウス+(プラス)複合経営拠点、これを例えば農業の中核に据えていくことは、まさにそういう考えを反映している施策になっているわけです。林業でもA材、B材、C材、D材、関連産業群というのを意識としてつくり出していこうとする辺りは、そういうことを意識したものになっているわけで、第1次産業関連クラスターをつくることも三つ目の大きな特徴と言えると思います。
 要するに、市町村との連携・協調をしっかり進めて、持続的な好循環をつくり出していく点。地産の強化、外商の拡大、そして拡大再生産につなげ持続的な好循環をつくり出す点。そしてその基点として新しい技術を用いた第1次産業の振興と、その関連のクラスター群をつくり出すことを見据えているという点。この三つが本県の創生総合戦略の特徴だと考えています。

(菊池・読売新聞記者)
 地方創生に関して、地域ごとの集落活動センターに一つの大きな動きも出るかと思います。集落活動センターの取組は今年でちょうど3年になると思いますが、運営の面での課題や成果など、良いところ、悪いところが見えてきたと思います。今後、行政の支援のあり方など、どのように取り組むのかお伺いします。

会見する尾﨑知事(知事)
 集落活動センターの取り組みは、この創生総合戦略の中の第4の柱の中に盛り込んでありますが、中山間の暮らしを支える県としての一つの施策の柱だと思っています。それぞれの市町村において、コンパクトな中心部とそして集落活動センターを中心とする集落群、これをネットワーク化していくことによって、中山間の暮らしを全体として支えていくシステムをつくり上げていければと考えています。そういう意味において、この取組は、第一義的には複数集落の生活を支える拠点であるということがまず大事だと思っています。今、17の集落活動センターが事実上スタートしておりますが、それぞれにおいて、一定地域の生活の拠点という点においては、だんだんそれぞれの地域で軌道に乗りつつあると思っています。
 ただ、本当の意味で持続的な中山間の暮らしをつくり出すことに寄与しようと思えば、それぞれの地域において新しい経済活動を生みだす主体となるところまで持っていきたいと考えています。
 ですので、それぞれの集落活動センターの取組の中で、今までも一定、シソジュースを作るとか、民泊をやるとか、経済活動の取組というものも一体としてやっていこうとなってきているわけです。これをもう一段力強く後押しをしていくことで、地域の事業という形で根付くところまで持っていきたい。いわば地域の経済活動の拠点となるようにすることが、既存の集落活動センターのこれからにとっての課題だと思っています。
 そういう意味において、今回力強いと思っていますのは、「まち・ひと・しごと創生」のための交付金です。我々の政策提言が通って良かったと思っています。先行型の交付金の中でこの小さな拠点の後押しをしているわけでして、こういう交付金の対象にもなったということが大きな追い風であり、この追い風を生かして経済活動の展開につなげたいと思っています。
 今後の展開ということで、数値目標的に言わせていただくと、平成27年度中に経済活動にも一定の力強さを持った30ぐらいの拠点をつくり上げたいと思っています。この30の拠点がロールモデルとなり、従来より申し上げている130ぐらいの拠点を目指して、今後100ぐらいの集落活動センターの設立につなげていくことができればと考えております。既に候補となるところはかなりの数があると思っていますが、皆さんは、「経済的に持続していけるだろうか」、「そういうところまでになっていけるだろうか」、「補助金がなくなっても大丈夫だろうか」などを懸念していると思います。経済活動と組み合わせた集落活動センターの取組が良きお手本になることで、多くの皆さんに本当に安心してこの集落活動センターの取組に踏みだしていただけると思っています。そういう中で、それぞれの地域の特性を生かしたユニークさが重要だと思います。例えば、今度17番目に西峰にできた集落活動センターは、大豊町ですから非常に林業が盛んなところです。皆伐なんかしているところも増えている状況の中で、これからは少花粉の苗木が必要で、その苗木を供給する基地になるという事業を中心として、集落活動センターの運営に当てる取組をしています。まさに地域特性をうまく生かした集落活動センターの有り様だと思います。
 こういう形でその地域の特徴を生かして、経済活動化し、それを集落活動センターの持続的運営につなげた結果、その事業がだんだん大きくなり、その地域に若い人が残っていけるような拠点になればと考えています。

新年度の取組

(菊池・読売新聞記者)
 明日から新年度ということで知事としては2期目の最終年度になると思います。2期目の最終年度に力を入れる取組とその思いなどをお聞かせください。

(知事)
 一言で言えば、県勢浮揚を目指して、残り任期8カ月を全速力で駆け抜けていきたいと思っています。
 この創生総合戦略を作り、その一部分となる、例えば、産業振興計画も第2期産業振興計画のバージョン4へと今回さらにバージョンアップすることとなったわけです。これまでの6年間いろいろと取り組んできたことの成果を生かして、従前よりもかなり大型の仕事ができるようになってきたという実感を持っています。さらに部局間や施策間の連携も図ることで、持続的な好循環を生みだすスタートとなるため、何としてもやり遂げたいという思いが非常に強くあります。
 今までの取組がいよいよ実現可能となってくるのではないかという、ある意味非常にワクワク感みたいなものもあります。他方で非常に新しいチャレンジとなる側面もありますので、PDCAサイクルをこまめに回して、緊張感を持って取り組まなければならないと思っています。武者震いみたいな感じに思います。

1票の格差判決

(木田・時事通信)
 昨年12月の衆院選ですが、1票の格差が最大で2.13倍で福岡高裁では違憲、9つの高裁や高裁支部でも違憲、高松などの4つの高裁は合憲と判断しましたが、これまでの判決をどう評価されるでしょうか。また、改めて今後の選挙制度改革に期待することをお聞かせください。

(知事)
 1票の格差をめぐる一連の判決の内容については、尊重しなければならないことだと思っています。その前提の上で言わせていただければ、1票の格差の問題というのも非常に大事ですけれども、非常に人口が減ってくる小規模な地域の民意をしっかり反映するということも、今後、日本全体が高知のような状況に直面することを鑑みて、日本全体にとって大事なことだと思っています。
 課題先進県の意見を日本の国政全体に反映するということが非常に重要なことなのでありまして、そういう意味におきまして、人口の少ないところの意見の反映されるような選挙制度にするという配慮も非常に大事だと思っております。
 アメリカ合衆国というのは、下院はどちらかというと人口、しかしながら、上院においては州代表という考え方で人口規模にかかわらず、2人を代表にするという形で議会を構成しています。これは一つの工夫だと思います。今後、選挙制度全般の見直しが行われていくことと思います。その中において、ぜひ多面的に議論をしていただきたいと思っています。

南海トラフ地震対策(1)

(遠藤・高知さんさんテレビ記者)
 昨日、国が応急期の対策として主に甚大な被害が想定される10県、国の中で特に警察・消防・自衛隊などの人員を大量投入する重点支援などに高知県も含めた10県を発表しました。この国の支援を受けての知事のご所見をお聞かせください。
 それから、今、県の方で道路等のインフラの被災による外部からの支援体制の遅延を想定して、前方展開型の医療救護活動の具体案等の取組をしていますが、今回の国の人員等の大量投入の重点支援を受けて、この前方展開型の医療救護活動の具体案の検討や今後の施策の練り方などに何か変更することがあるのでしょうか。

(知事)
 今回の南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画については、我々としても非常に歓迎をしたい内容だと考えておりますし、想定していた範囲内の計画案となっていると考えています。
 いろいろな救急救助機関のうち、約3割の人員をこの方面へ集中的に投入してくださること自体、非常に歓迎したいと思いますし、また被害の実情に合った多めの配分になっていると思います。
 それともう一つは、輸送ルートに制限が出ることを想定して、空路、海路、陸路のいろいろな組み合わせを想定して、あらかじめ対応しようとしている点は、非常に素晴らしいと思っています。
 支援の受入先としては、例えば本県の総合防災拠点を国の方でも想定しています。本県においては、支援の受入れも含めた応急期の対応をしっかり図っていくために、例えば空路での受入れを前提にすることで、8つの総合防災拠点を県内に準備しています。さらに陸路の制限度合いを想定しておくために、県版の道路啓開計画を作って、2月、3月と議論してきているわけです。我々がこういう受け皿の準備をしてきたことと今回の応急対策活動計画は全く整合していると思っています。作成に当たり、コミュニケーションをとってきているわけですから、整合しているのは当然のことです。我々が総合防災拠点、道路啓開計画を作って準備をしてきたことに、今回の新しい国の計画が加わったことで、さらにもう1段次の応急対策のプロセスに進むことができるようになったと考えています。

木質バイオマス

(古宇田・日経新聞記者)
 木質バイオマスの関連で2点質問させてください。
 まず1点目、このほどグリーンパワーが稼働を始めます。それについてのご所感をお伺いしたい。もう1点は、木質バイオマスが動き始めていますが、一方で材がなかなか集まりにくい、価格の問題、担い手の問題についてどうお考えになっているかお伺いしたい。

(知事)
 土佐グリーンパワー(株)の運転も始まり、本当に待ちに待った待望のプロジェクトが動き出すということで、本当に嬉しく思います。C材・D材の有効な活用ができなければA材・B材の有効活用もできず、結果として山において雇用も生まれないことになります。おおとよ製材が動き出してから、そろそろ2年ぐらいになろうかと思いますが、これぐらいの期間で今度はC材・D材も本格的に動き出すようになってくる、受入先ができてくる、これは素晴らしく歓迎すべきことだと思います。A材・B材・C材・D材を余すことなく使う。そういう体制というのを県内につくりたいと思い努力したことで、大きな第2ステップに力強く踏み出すことができるようになったと考えており、本当に関係者の皆さんのご尽力に感謝を申し上げ、敬意を表させていただきたいと思っています。
 一方で材がなかなか集まりにくい状況というのもあると思います。正直、木がどんどん切られている状況の中で、そこから新しい需要先をつくり出していくということであれば、もっと物事はスムーズになるでしょう。しかしながら、長年にわたって、どんどん林業そのものが衰退してっている中においてこういう新しい需要を見いだすことができてきたと考えれば、一定の当初いろいろと部分的な摩擦が生じるということは残念ながらやむを得ないという点もあると思います。県もそれぞれの出先機関も含めてこの調整に今も奔走しているところでありますが、引き続きしっかり調整をして、それぞれの木がそれぞれの需要先にマッチングするように、後押しをしていきたいと考えています。
 私が就任したばかりのころは、「どんなに切ったって一つも売れんぞ、知事。切っても切ってもひとっちゃあ売れんが、どうしてくれるがな」とよく怒られました。今は木が足りないと言って怒られる状況になっている意味においては一つ前進だと思います。しかしながら、どちらも困ることですので、需要の拡大に合わせて供給が拡大し、さらに需要が拡大する、供給がさらに拡大するという、それこそプラスの循環。うまく導き出していけるように、我々としてもしっかりと努力をしてまいりたいと考えています。

東洋ゴム問題(2)

(野口・NHK記者)
 先ほどの東洋ゴムの免震装置の関連について、専門家の話を聞いていると、55棟の中で、震度6強と7の揺れに耐えられるということに触れましたが、その中でも高知県庁は、非常に揺れの余裕が比較的ない方だという話も専門家の中で出ていると思います。どれだけの規模の揺れが次の南海地震でやってくるか分からないという状況の中で、いくら震度6強と7の揺れに耐えられるという結果が出たとしても、不安をぬぐい去れない部分があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。

(知事)
 震度6強と7の揺れに今現在は耐えられるということでありますが、今後10年も20年も30年も耐えられるようにしてもらわなければなりません。いくら今耐えられるという判定が出たとしても、私どもとしては完全に安全となるように、求めていきたいと考えています。
 余裕度でいけば、ある免震装置については、100分の1未満ならば余裕を持って安全だとされているのに対して、127分の1ということですから、余裕を持って安全だとされているものから、さらに27の差があるということです。県庁の建物は大きく、やや古いので、他の建物に比べて少し数値が悪いのかもしれませんが、余裕度という点においては十分だと考えていますので、今現在においては心配ないと思います。
 また、繰り返しになりますが、今現在、当面の間安全であるだけでは駄目であり、何十年も安全でなければなりません。そうなるようしっかりした対応を東洋ゴムには求めていきたいと思っています。

(海路・高知新聞記者)
 先ほどの東洋ゴムの関係です。知事は先ほど交換を念頭に今後対応をしていきたいというお話がありましたが、工期の問題や補強材などの全交換以外の手法を取り入れるかどうかなどの点についてお聞かせください。

(知事)
 その辺りは、専門家のご議論を待ちたいと思います。県庁内にも専門家はたくさんいますので、関係者とよく協議をさせていただいて、最善の道をとりたいと思っています。

木製ガードレール・防災関連産業

(古宇田・日経新聞記者)
 観光についてです。最近何度か四万十川に行く機会があって、特に大正とか十和の間を通っていると非常に白いガードレールが見ていてなかなか風景にマッチしないと感じます。その思いを持って、馬路村に行ったら、たまたまガードレールが木製でした。非常に見栄えもいいですし、古くなったガードレールを変えるときに、県が進めている木材の利活用という意味でも、木のガードレールというのは非常にいいと勝手に思いましたが、それについてどう思われますか。
 また、防災関連産業について、今度の高知工科大学学長になられる磯部さんは、土木学会の会長もしており、非常に幅広い知見をお持ちの方だと思います。その方と一緒に連携して防災関連産業の振興などを進めるというお考えはありますか。

(知事)
 ガードレールを木に変えていくという作戦は確かにありますが、コストの問題があります。ただ、これからそれぞれの観光地がそれぞれの特性に合わせて、より徹底していくことは非常に重要になってくると思いますので、このことも視野に入れていろいろと検討を進めたいと思います。
 馬路村は、ある意味、ディズニーランドに似ているところがあると思っています。村の入り口に、「よう来たねぇ」と人形が歓迎してくれるところから始まり、その世界を徹底して追及しています。あのようにそれぞれの地域でそれぞれの個性に合わせて、それを徹底していくことは求められることであると思います。それぞれ個性を活かせるように考えていきたいと思います。

 防災関連産業の育成については、ものづくり外商センターの後押し、さらにはいろいろな認定委員会の認定による後押し等々、多くの皆さんのお力があって、飛躍的に今売り上げが伸びてきています。本県にとって言えば、いろんな意味でこの地産外商、拡大再生産につながっていく。さらには、輸出を視野に入れたときには非常に有望な産業と考えています。磯部先生は土木学会で会長をしており、上京したときでも、「あの高名な磯部先生が高知においでになるんですね」と、いろんな方にお話を聞いたりもします。ほんとに素晴らしい方ですので、今後も大いにお知恵をお借りできればと思っています。
 そういう中で、磯部先生を含め多くの高名な方々、さらには専門家の皆さん、高知においでになる方だけではなく、全国の皆さんの教えを活かして、それを個別の具体のプロジェクトに仕立てていく仕組みがぜひとも欲しいと思っております。今回、第2期産業振興計画ver.4に基づいて産学官民連携センターというのをオープンすることになりますが、これはそのための具体的な取組と考えています。
 地産外商を進めていくことに伴って非常に持続的なイノベーションというのを実現していくということは非常に大事だと思いますが、さらに将来に向けて、やや新しい実験的なイノベーションというようなものも生み出していくということも同時に必要であると考えています。産学官民の連携をして、今までにないアイデアで、新しい産業を将来生み出す種となるような新しいプロジェクトがスタートしていくことを非常に期待しています。
 工科大学、県立大学、高知大学のそれぞれの先生方の研究シーズ[研究開発や新規事業創出を推進する発明、人材、設備など]を民間の皆さんに聞いていただいて、「よし、ひとつ連携してやっていこうじゃないか」という話になったら、プロジェクトのフィージビリティ・スタディ[プロジェクトの実現性について事前に調査すること]を行い、その合格をセンターが認定をすれば、いろんな政策群で優先採択をする形で取り組めるようになる。それがセンターの機能です。こういう機能を大いに活かしていきたいと思います。
さらにはここの中に、既にいろいろとお願いして仕込みをしてもらっていますが、県外のいろいろな研究機関や金融機関にも入っていただいて、県外からもどんどん新しい知恵を集めてこられるセンターにしていきたいと思っています。
 地産の強化、外商の拡大、拡大再生産へというこのプロセスの中で、この地産の強化ということの中において、このイノベーションの素質を仕込んでおくというのは今回の一つの肝でもありますが、ただ、これは新しい取組ですので、いろいろとチャレンジングな点も多いようです。この点は私自身、新年度一つ大いに楽しみにしていますし、大いに力を入れてやっていきたいと思っています。

地方創生(2)

(石川・テレビ高知記者)
 地方創生に絡めて、特区の話が決まったっていうことがよく出てきますが、この件について、課題先進県の高知県としては、何か意識されることはおありでしょうか。

(知事)
 特区の申請は本県もいろいろとやっていますが、なかなか特区という形にならず、その先の全国制度になるパターンが本県の場合は多い感じがします。例えば、移住促進の特区申請をしたこともあれば、移住・交流情報ガーデンの形で送り出し機能を国で強化するといった政策提言をしたものもあり、特区の方はまだ議論いただいている最中だと思いますが、それよりも早く移住・交流情報ガーデンができたと思っています。
 特区はある一部の地域に限定というところがありますが、高知県が得意なのは全国制度にする方なのかもしれません。しかしながら、できれば特区というのも考えていきたい。決してサボっているつもりはないですが、結果として今のところはそうなっています。

(小笠原・高知新聞記者)
 同じく創生に関して、先週もまち・ひと・しごと創生本部に政策提言に行かれたと思います。創生総合戦略ができたうえで、なお、今後政策提言活動をしていくというところで、そのポイントと方向性をお聞かせください。

(知事)
 4月から早速この新しい創生総合戦略に基づいて、政策提言活動を始めていきたいと思っています。ポイントは3つだと思っています。
 第1の点は、創生総合戦略の後押しをしてもらいたい。例えば、先行型の交付金をはじめとした一群の平成26年度補正予算で手当てされた施策は大いにこの創生総合戦略の後押しになっていただいておりますが、新しく措置されることとなった創生総合戦略の後押しとなる施策について、ぜひこれを恒久化してもらいたいということを訴えていくのが第1のポイントです。
 補正予算で措置されたということと当初予算で措置されたということは、霞ヶ関的な理屈からすると全然意味が違うのでありまして、これをいかに恒久化していくかということについては非常にエネルギーが要ると思っています。
 2番目が今回この創生総合戦略をつくったことに基づいて、新しくこういう施策があったらと思うものが出てくると考えられ、その点は新しい政策提言としてしっかり打ち込んでいきたいと思っています。
 そして3番目が、「まち・ひと・しごと創生」の交付金を恒常化していく中でどういう制度設計にしていくのかということが非常に大きな論点になるだろうと思っています。特にこの3番目は、全国知事会ともしっかり連携をしながら政策提言をしていくということだと思っています。
 比較的早く創生総合戦略の取りまとめに動いたのも、これらの政策提言活動に活かしたい狙いもありますので、今、準備をスタートしたという感じです。

県議会議員選挙

(木田・時事通信記者)
 4月の県議選ですが、4つの選挙区で5人が無投票当選の可能性が高いと言われていますがどのように思われますか。それと統一選で期待されることについてお聞きします。

(知事)
 果たして無投票になるかどうかは、告示日まで分からないことかと思います。それぞれ議員の皆さん、地域において信望を得ておられる方がおいでになって、そういう中において結果として無投票になる場合もあると思います。そういう場合は、非常にその方の今までのご努力の結果ということなのではないかなと思います。
 ただ、いずれにしても今回の県議選を通じてぜひぜひ、その人口減少が進む中において、どうやってそれぞれの地域を活性化していくかという、この非常に難しい課題に対していろんな活発な議論が行われていくということを期待申し上げたいと思っています。
 県議会議員選挙、さらには市町村議会議員選挙というのは、よりきめ細かい形で選挙戦が行われていくわけでありまして、ほんとにこの地域の皆さんの声というのが反映されていく選挙になり得るものと思っています。
 4年前の統一地方選挙後の議会の皆さんということになるわけですが、一番言われたのは、「今回選挙戦を回っていて、いかに中山間地域というのが衰退著しいかということをほんとに実感した」ということです。そういうことも踏まえて、中山間対策集落活動センターという形で新しい施策をスタートすることにしたわけです。選挙において県民の皆さん、市町村民の皆さんのお声を聞く、きめ細かく聞くということは非常に大事なことと思います。ぜひぜひそういう人口減少著しい中においてどう活性化していくかについて、多くの皆さんの声を聞いていただいて、活発な議論が展開されるということを望みたいと思っています。

南海トラフ地震対策(2)

(尾崎・共同通信記者)
 南海トラフ地震の関連で国が被害想定を2012年に発表して、今年は4年目の対策を進めていくわけですが、その意気込みと、その備蓄食に対して、今の県内の状況についてお伺いします。住民によってはいざとなったら行政が配ってくれるだろうというような考えのところもあり、行政側としてもなかなかちょっと財政的に住民分までの備蓄までするのも難しいところがあると思います。現状と今後の課題についてお願いします。

会見する尾﨑知事(知事)
 4年目になっていく中において、平成27年度から力を入れていこうと思っているのは、応急期の対策についてです。発災(地震や津波の発生)直後の対策ということについて言えば、一定取組が進んできたところがあると思っています。例えば避難路、避難場所とか津波避難タワーなどは一斉にできてきました。これからよりきめ細かい対策を講じていく必要があり、我々地域本部もより充実をさせて、地域本部、市町村と一緒にそこのところを継続的に発災直後の命を守るための対策を進めていくことになるわけです。ただ、そういう中において、我々は、さらに次の局面へと足りてないところにどんどん自ら先頭に立って進んでいかなければいけないと思っています。そういう意味において言えば、今度は応急期の対策について、より本格的な対策を講ずるというのが非常に大事だと思います。
 一言で言うと、地震の揺れや津波から生き残った人たちが避難所で持続的に暮らせるようにするような体制をつくり上げるということが非常に大事なことで、命に直結することだと思っています。避難所がなくて寒さで亡くなってしまう、避難所にはたどり着いたけれども飢えて亡くなってしまう、衰弱して病気で亡くなってしまうということのないようにするための体制をどうすればよいのか取り組んでいかなくてはならないと思っています。
 そのためにも、総合防災拠点、さらには道路啓開計画、さらには国からの事案、そういうことも含めてどうやって食料を地域地域に運んでいく体制をつくり上げていくのか。さらにはそれぞれの避難所をどうやって効果的に運営するのか、そもそもその避難所の数をどうやって確保するのか。膨大な課題があるわけです。その先々、時間軸が長くなればなるほどやることが凄い勢いで増えていくと思っています。そういう意味でより難しい連立方程式を解かないといけないわけですが、ただ、それぞれのパーツパーツをずっと考えて準備してきましたので、それを組み合わせて意欲的に取り組んでいきたいと思っています。
 そういうことをやればやるほど、どうしてもこの地域には例えば3日間だとか2日間だとか、場合によっては5日間だとか支援の手が届かないことが出てくるかもしれないことが、リアルに分かると思います。今は3日間分の備蓄を準備してくださいというお話をしています。正直なところまだ1、2日だけというところもたくさんあると思っています。財政的な問題もあります。しかしながら、そういう具体的な計算をしていく中で、よりリアルに状況が想定されれば、より備蓄へのインセンティブが高まっていくと思っています。またそうなってくれば、避難タワー、津波避難路、避難場所などの建設が終わった分のお金をそういうところに集中投入するということも考えられると思います。
 ステップバイステップで取組を進めてきております。だんだん後の工程に向けて取組を拡充していこうと思っています。

沖縄の基地問題

(遠藤・高知さんさんテレビ記者)
 最近沖縄の基地問題で、沖縄県知事が出した指示に対して、沖縄防衛局がその知事の指示の効力無効を出し、林農水大臣が昨日それを認める決定を下しました。まだ国の中でその決定に対して審議が行われますが、沖縄県知事の決定は、あくまでも最近の国政選挙や知事選挙や地方選挙の結果という民意を受けての決断だったと思います。民意を受けた県知事の決定に対して、国がその無効を求める。こういった県知事の対応とそれに対する国の対応、この対立について同じ県のトップを預かる身として、知事はどのように今回の一連の問題を受け止めているのでしょうか。

(知事)
 どうしても見解が異なるということは出てくるだろうと思います。本件の場合は、国家の安全保障と、日々の大変な負担に関わる非常に重要な問題同士の意見の相違ということですから、より対立が先鋭化してきているということだと思います。私も詳しい事情をすべて承知しているわけではありませんが、報道などで勉強させていただく限りにおいては、それぞれ厳しいお立場にあるということを痛感しています。
 そうだからこそ、よくよく対話をするということが大事なことであると思います。閣僚の皆さんもだんだん今後に向けて対話を重ねていくというお話も出てきてるやに報道されています。ぜひ両者の間でよくお話をしていただきたいと思います。

桂浜の再整備

(小笠原・高知新聞)
 桂浜は、高知の屈指の観光名所でありながら、観光客を迎える体制というのがなかなかです。今度高知市の検討委員会が桂浜の再整備、再開発に取り組もうとしています。桂浜観光に関する現状の認識と、この一連の動きに対して、県としての関わり方について何かお考えがありましたらお願いします。

(知事)
 桂浜の知名度は、ますます高まってきていると思いますし、観光客の期待感というのもますます今後高まっていく流れにあると思っています。間もなく明治維新から150年になります。その時は龍馬記念館の新館がオープンし、新たに高知城歴史博物館もその前にオープンしていますので、今後3、4年くらいは歴史物の観光を充実させていく方向になっていくと思っております。そういう中において、高知市が桂浜のキャパシティをもう一段大きくし、内容を充実させることで、さらに多くの観光客を受け入れられるようにしたいという問題意識を持たれたということは、ある意味ごもっともなことであると思っています。
 その検討委員会の中に高知市の産業振興監として県の職員が一緒に検討させていただいております。その検討会で決定が出て、高知市でこれを大いにやっていくことになるのであれば、県・市連携という考え方のもとで、県としてもしっかり高知市の取組をバックアップしていきたいと考えております。

ビキニ被曝事件

(尾崎・共同通信記者)
 ビキニ事件の関連について、今月半ばに室戸市で初めて健康相談会をされたと思いますが、ここで得たことを県としてどのように対応していくのでしょうか。また、今年広島原爆、長崎原爆から70年ということで、これまで認められてこなかったような核被災が注目されてくると思いますが、このことについてのご見解をお願いします。

(知事)
 少しでも不安な思いをしておられる皆様にお答えをしたいということで、今回このような相談会を実施したわけでありますが、相談を担当した放射線医療の専門家からは、現在は放射線の影響が心配される方はいなかったという総評はいただいております。ただ、他方で「継続的にこういう相談会等を実施した方がいいのではないか」、さらには「政府で実施した方がいいのではないか」などのご意見をいただいております。できるだけ不安な思いをしておられる皆さんのお気持ちに寄り添うような形で、どうしていくか検討して進めていきたいです。これがまず県としての対応の第1です。
 もう一つは、平成27年度に厚労省において、ビキニ水爆実験関連資料に関する研究班による検討が開始されると聞いております。それをぜひおざなりにせずにしっかり研究をしてもらいたい、検討を重ねてもらいたいと思っています。そのことを国がしっかりやってくれるならそれでよし、そうでないようなら、しっかりお願いしますよということを働きかけていく対応をしていきたいと思います。

(尾崎・共同通信記者)
 基本的には国の対応を見るということでしょうか。

(知事)
 私たちはまずその方ご自身の健康についてしっかり相談に乗り、もし医療的な処置の必要があれば、応じるということになると思います。まずそれが第1です。それと併せて、国から、先ほど申し上げたような新しい知見に基づいたいろんなことが出てくるかもしれない。だから、国には、そういう検討をしっかりやってもらい、その結果をもって、必要なことがあれば対応するという、その2本立てだと思っています。

(司会)
 以上で知事会見を終わります。

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