平成28年1月29日  知事の定例記者会見

公開日 2016年04月25日

更新日 2016年04月25日

政府機関の移転
ルネサスエレクトロニクス高知工場
観光振興(歴史博覧会、薩長土肥連合など)
消費税の軽減税率と代替財源
平成28年度当初予算のポイント
人口減少への対策
高知県学力定着状況調査における不適切な行為
政治家の育児休業取得
甘利経済再生担当大臣の辞任と石原新大臣への期待
南海トラフ地震に関する県民意識調査の結果
高知県出身力士の活躍
新国立競技場における高知県産材の利活用
衆議院選挙における1票の格差是正

配布資料
資料1:飛躍への挑戦!産業振興計画[PDF:1MB]

【動画】知事の定例記者会見

(知事)
 お手元に産業振興計画の進捗状況についての資料をお配りしておりますので、ご覧をいただきたいと思います。以上です。

政府機関の移転

(田北・共同通信記者)
 中央省庁や国の研究機関などの地方移転について、政府は12月、中央省庁や国の研究機関などの地方移転で検討対象を34機関に絞り込み、3月にも移転先を決定する方針です。
 東京一極集中の是正策の一環として持ち上がった話ですが、全面移転は1機関だけ、残りの機関は一部の移転になるということで、果たして本来の目的につながるのか懸念もあります。高知県も海洋研究開発機構などの移転を要望していますが、政府機関の移転に関して、改めて見解と、県が誘致に向けてどのような取組をしているのか、教えてください。

(知事)
 政府機関の地方移転については、地域の活性化につながる、中央から地方への人の流れ、仕事の動きの移動にもつながっていく非常に有意義な事業だと思いますが、残念ながらやや当初の目的、当初の打ち出しに対して、実際に今、現状で行われている議論は若干規模感が小さい状況になっていることは否めない事実だと思います。
 私も霞ヶ関にいましたので、霞ヶ関の各省庁がどれだけ抵抗するのかということについては肌感覚として分かるつもりであります。ただ、今回の議論は、いわゆる公務員、役人の議論ではなくて、より大きな国全体のありようについての政治的な判断に伴うお話だと思います。ぜひ政治主導でこの問題全体を大きく動かしていくことが必要なのだろうと考えておりまして、全国知事会としても政治主導での展開の促進について引き続き訴えていきたいと思いますし、政府においてもぜひそういう形でお願いを申し上げたいと考えているところです。
 高知県として幾つかの機関についてお話もさせていただいてまいりました。現在は、海洋研究開発機構について具体的に検討する機関としてリストアップされており、協議もさせていただいているところであります。他と同じく、丸々の移転というのは恐らく出てこないでしょうから、そういう中において、機構との間でいかにWin-Winの関係を築いていくことができるかということをぜひ模索をさせていただいて、少しでもその機能の移転につながり、我々から見れば、地方の、高知県の活性化につながっていく、産業の振興につながっていく、そして機構から見れば、研究に資する形になっていけるように、我々としての議論を積み重ねていきたいと思います。
 最後、3点目ですが、大事なこととして、この話は正直かなり息の長い話になると思います。政府としての方針として、息長く取り組んでいただくことも非常に重要だと思います。今年度限りの議論として終わらせずに、28年度以降についてもぜひこの議論の展開を引き続き図っていただきたいと考えます。

ルネサスエレクトロニクス高知工場

(田北・共同通信記者)
 次に、ルネサスエレクトロニクスの工場閉鎖についてです。昨年、香南市にある大手半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスの子会社の工場が閉鎖されることが発表され、県は庁内に対策本部を設置し、従業員の雇用継続に向けて取り組んでいますが、ルネサス社の工場閉鎖まであまり時間がないのも事実だと思います。現時点で県は企業誘致に向けてどのような取組を進めているのか教えてください。

(知事)
 まず1棟目について、現在の高知工場の譲渡先の確保についてでありますが、こちらについては庁内にルネサス高知工場集約対策本部を設けて、今日までに3回の会合を開催してきているところであります。この本部において、併せて2棟目への企業誘致についても話をしており、これまで3回の対策本部会議を開いて、県として方針の検討そしてアクションに努めてまいりました。
 また、ルネサス社においてもプロジェクトチームを立ち上げていただいております。
 そのプロジェクトチームの皆さんと譲渡先の確保に向けた協議について、この12月25日に我々の本部チームとの間での協議をさせていただいたところでありますが、さらに今後2月の早々にも、改めて協議をさせていただく予定になっているところです。
 ぜひルネサス社との間で密に情報交換を図りながら、譲渡先の確保に向けて取組を進めていきたいと考えているところでありまして、まずは両者の間でしっかり協力をしていくこと、そしてまた、具体的に協議をしながら取組を進めていくこと、これが昨年12月に私と社長さんとの間で合意した内容であるわけでありますが、そちらに向けて良いスタートが切れているのではないのかと考えているところです。
 ちなみに、この1月26日に香南市長とともにルネサス本社にお伺いして、鶴丸社長にもお会いしてまいりました。重ねて早期の譲渡先の確保、また、その際には県と連携しての譲渡先の確保、連携しての取組等を行っていただきたいということについて、強く申し入れを行ってきたところであります。
 それから第2棟用地への企業誘致についてでありますが、こちらについては12月28日に所有権移転登記を完了いたしております。そして今後、平成28年2月議会に財産処分議案を上程させていただく予定であり、その後に公募をかけていく予定で取組を進めていきたいと考えています。
 財産処分議案をお認めいただきましたら、その後、公募のプロセスに入っていくわけですが、それまでの間についても、この2棟目用地について、「このようなすばらしい工業団地があります。」ということについての情報発信を盛んに行っていきたいと考えているところであります。これまでにもダイレクトメールを少し目当てがある企業さんにお送りさせていただきますとともに、来週も名古屋で行われる企業立地セミナーなどの場所において、私自身この2棟用地について大いにPRをしていきたいと思っています。
 2月は大いに情報発信をし、そして3月以降、財産処分議案についてお認めいただきましたら、公募に取りかかるというスケジュール感で取組を進めていきたいと思っています。
 いずれにしても、1棟目も2棟目も、ルネサスさんとしっかり協力をしながら取り組んでいきたいと、そしてあまり時間がないということを念頭に置いて、スピード感を持って進めていきたいと考えています。

観光振興(歴史博覧会、薩長土肥連合など)

(田北・共同通信記者)
 最後に、観光振興についてです。明治維新から再来年で150年になるのに合わせて、歴史をテーマにした博覧会の開催に向けて、県は準備を進めていますが、県の観光振興の起爆剤としても期待されるイベントをどのようなものにしていきたいのか。また、明治維新の中心となった薩長土肥、鹿児島・山口・高知・佐賀の4県で幕末や維新をテーマにする観光で連携する「平成の薩長土肥連合」が設立されましたが、観光的誘致に向けてどのような取組を進めていくのか教えてください。

(知事)
 この歴史博覧会の開催を通じて、県内においては三つの点を成し遂げていきたいと思っています。
 一つは、県内に歴史観光資源がいろいろとありますが、これをぜひ磨き上げて全国的に通用していくものとして、後々まで高知県の観光資源として効果をもたらし得るものとして磨き上げをしっかり行っていきたいと考えています。本当にすばらしい歴史観光資源があります。しかしながら、それを多くの皆さんに歴史観光資源だとしっかり認識していただくためにも、より磨き上げを行うとか、より分かりやすくお伝えする手法をしっかり磨き上げていくとか、やるべきことはあると考えておりまして、これをまずしっかりやっていくというのが第1点。
 そして第2点目として、歴史観光資源のみにとどまるのではなく、歴史観光資源と周辺の自然、さらには食でありますとか、そうした観光資源としっかり組み合わせて、地域地域にその周遊ルートをしっかりつくっていけるようにしていきたいと考えております。「リョーマの休日」キャンペーンを通じて、どちらかというと自然資源とか食の資源をPRする時期をこの2、3年ぐらい過ごしてまいりました。その前は大河ドラマがあって、歴史資源をPRする時期でありました。歴史、自然、食という順番で来ているわけです。今回はこの三つを組み合わせて周遊ルートをしっかりつくり上げるようにしていきたいと考えています。
 歴史資源の磨き上げと周遊ルートづくりについては、1月の初旬に市町村の皆さんに対する説明会を行いまして、検討を行っていただいているところです。さらに今後は我々としても密接な情報交換を行っていきながら、歴史資源の磨き上げ、そして周遊ルートづくりに取り組んでいきたいと思います。
そして3点目ですが、この1点目、2点目両方に共通することでありますが、それぞれの周遊ルートづくりに当たっては、国際観光の推進をあらかじめ視野に入れて取り組んでいくことが大事だと思っていまして、意図して取り組んでいきたいと考えています。
 それから対外的な関係では、全国的な盛り上がりをつくることをぜひ目指していきたいものだと思っていまして、昨年の8月31日に「平成の薩長土肥連合」を立ち上げて以来、4県共同でのイベントの実施などに努めてきているところであり、今年もぜひ4県共同でさまざまな情報発信などのセールスを行っていきたいと考えているところです。
 マスメディアの皆さんにも、この大政奉還150年、明治維新150年の意義についてしっかりとお伝えをさせていただいて、できればテレビ、ドラマでも取り上げていただきたいと考えており、そういう運動も活発に行っていきたいと考えています。それと、旅行エージェントの皆さんにも、例えば4県共同での旅行商品づくりなどについての働きかけを4県共同で行っていきたいと思っています。
 昨年10月に東京で物産展が開催されたのですが、このとき「薩長土肥連合」的な色彩を出して4県共同で取り組みました。すると例年に比べ、13%ぐらい多いお客さんが来てくれたということもあったようであり、やはり4県連合で取り組むことのメリットは実感するところであります。それを続けていきたいと思っています。
 今後、博覧会の開催に向けて、具体的な準備を加速度をつけて進めていくことになろうかと思っており、2月下旬には準備委員会を立ち上げて博覧会の具体的な検討を進めていきたいと考えています。これは28年度当初予算にも関係することでありますから、議会でも大いにご議論賜ってご指導いただき、そして予算等のご承認をいただければ、新年度においてより具体的な準備に入っていくわけであり、推進協議会を新年度に設置し、官民一体で取組を進めていけるようにしたいと考えています。

消費税の軽減税率と代替財源

(木田・時事通信記者)
 古い話になってしまって恐縮ですが、昨年政府は消費税10%導入に伴う軽減税率導入を決めました。それに伴って1兆円の税収減、地方財源への影響も予測されますが、この点についてご所見いただければと思います。

(知事)
 軽減税率は、しっかりとした規模を取るべきだと思っています。5%から8%のインパクトは大きかったと思います。8%から10%について、これからの高齢化の進展、社会保障を安定的に運営していく必要性などを鑑みた時にやむを得ないことだとは思いますが、やはり税率が高くなればなるほど、経済的に弱い立場にあられる方々に対する配慮を手厚くしていくことは極めて大事だと考えておりまして、軽減税率は十分に配慮がなされたと言えるにふさわしい額を確保していくことが大事だと思っています。
 そういう形で、世の中の進展状況に合わせて、また税率の議論だとか、その中身の構成の議論だとかってことが行われていくのでしょうが、当初のスタートとしては私は現在の形で、十分な形で軽減税率を適用していくことが大事だと思っています。

(木田・時事通信記者)
 代替財源に関してはどのように。

(知事)
 代替財源についてはいろいろ考えられるでしょう。いろいろな議論を重ねていけばいいと思いますが、やはり歳出を抑制しなければならならい部分も出てくると思いますし、他の代替財源を確保すべく議論していくべき点もあると思いますし、それについて今、具体的にこれということは言うことはできませんが、軽減税率の問題が最終的に決着していくまでの過程において、いろいろと議論を積み重ねていくべきだと思います。
 こういうものは歳出も歳入も両面からどちらにしても厳しい話になっていくわけですが、これはぜひ両面からバランスをとった議論をしないといけない。それとともに、それぞれの政策効果について十分効果があると思われるぐらいまでのことをやらなければ意味がないことだと思いますから、私は歳入面において軽減税率が十分に配慮がなされる額を確保するということは、そうあるべきだと思ってます。

(木田・時事通信記者)
 その代替財源について既に固まっているものの中で、医療、介護の自己負担額に上限を設ける総合合算制度の取り止めというのがあるかと思いますが、この点についてはどのように。

(知事)
 それは代替財源というより。

(木田・時事通信記者)
 社会保障制度の話?

(知事)
 そうでしょうね、歳出側をその点は抑制せざるを得なかったということなのでしょうけど。総合合算制度なども含めて、社会保障全般の議論の中でどうしていくかということをよく考えていくことになるのではないでしょうか。

平成28年度当初予算のポイント

(池・高知新聞記者)
 来年度の予算編成が大分大詰めの状態だと思います。知事が最も意を用いている部分、そこについてご説明いただければと思います。

(知事)
 まず経済の面について言えば、産業振興計画の中で拡大再生産に向けた施策をいかに充実させるかということについては、今、非常に知恵を絞らせていただいているところであります。地産外商の取組をいかに拡大再生産の好循環につなげていくかということについて言えば、本当に持続的な経済成長に高知県をつなげていけるかどうかという、まさに正念場に当たるところでありまして、この施策の成否は高知県経済にとって極めて重要だという認識であります。担い手の確保にしても、クラスター化にしても、それから起業、新事業展開の促進ということにしても、非常に民の要素というのが大きい中において、官としてどういう刺激策をとっていくことができるのかということで、ここは、やはり難しいところだと思います。
民間の要素、割合、ウエイトが大きいことだから、ゆえに官としては大したことはできません、以上、では終わらないのであって、民間のウエイトが非常に高いところなのでありますが、県庁としてうまく知恵を練って施策を展開することで、民間の大いなる刺激につながり、結果として高知県経済が好循環に乗る。どうすればそう持っていけるのかについて知恵を練っているところであります。
 大分議論を積み重ねてまいりました。最終的に今日も明日も明後日も、予算査定の協議をしていきますので、その中でさらに練り上げていきたいと思います。その中で民間の皆さんにも、予算ができた後もだと思いますが、呼びかけをさせていただいて、協働による取組を進めさせていただくようにお願いしていきたいと思います。
 それから2点目です。健康長寿県構想や、さらには教育改革の側面においてもですが、、非常に厳しい環境にある子どもたちへの対策をいかに実行性のあるものとするか、ということについても非常に意を用いているところであります。このことについては、近日も非常に残念なニュースが全国的にありましたが、非常に厳しい状況にある問題、社会問題に対して向き合っていく課題になるわけでありまして、本当に早急にしっかり実効性をもたらすようにしていかなければならないということが一つでありますが、他方で非常に関係部局が多岐にわたっているということも確かです。それぞれの部局が取り組んでいくことがいかにそのチームとして、全体としてしっかり実効をもたらすようにするのかということ。これは予算編成がしっかりとうまくいくかどうかに係っているところも大きいと思っていまして、そういう意味で関係部局とともに今知恵を練っているところです。
 全体としていろいろな施策の展開を図っていくのですが、特に今回28年度予算において大きな重点となって、長く協議を積み重ねてきているのは、大きく言えばこの2点だと思っています。

人口減少への対策

(池・高知新聞記者)
 国勢調査の速報値がこの前出まして、全市町村で人口が減少しているということで状況としては深刻ですけど、先ほどの当初予算編成の話とも絡めてなんですが、まず来年度、その人口減少に対して、どのように予算上で取り組んでいくか、若干のご説明をお願いします。

(知事)
 人口減少対策は総合的な対策で、人口減少を抑制する施策をとることは即ち県政全体で頑張ることだと思います。だから、人口減少を抑制する施策単独のものなどというのは決してないのであって、いろいろな施策の組み合わせだろうと思います。
 ただ、それを例えばフォーメーションを組んでいくとすればこういう形になるのかなと。第1に県内において雇用を確保すること。ゆえに、雇用を確保するために働く場の創出に向けて仕事を一生懸命やるということ。これが産業振興計画の受け持つ分野です、これはしっかりやっていかないといけない。県内に雇用を確保したうえで、社会増減をできる限りプラスに近づけていく仕事をする。そのためには、移住促進は極めて大事です。これも産業振興計画の取組でありますが、併せて、人口流出抑制も含めて考えれば、教育面などにおいても非常に大きな役割を果たすことが出てくると思います。
 そしてさらに言えば、こういう取組をいかに中山間地域において充実させていくかということも極めて大事だと思います。というのは、中山間地域こそ本来は出生率が非常に高い地域であるからであり、高知県においても0.3ポイント以上、中山間地域の出生率が高い。この出生率が高い地域において、若い人ができるだけ残れるようにしていくことが極めて大事。雇用創出の取組と、そして移住促進の取組などについて、特に中山間で手厚く講じていくように取り組んでいくことが大事だと思います。
 そして最後ですが、そのうえに立って、直接的に少子化対策に効いてくる施策を講じていくことが大事だと考えていまして、婚活応援をさせていただく仕組みについてもマッチングシステムがスタートしましたし、さらに新年度においては、女性が子育てしながら働きやすい環境づくりをしていくためのさらなる施策を考えていくことができないものかということで、今議論させていただいているところであります。こういう形で雇用の確保、移住促進、そして特にこれらを中山間地域に手厚く行っていく社会構造をつくったうえで、少子化対策の取組に特別に焦点を当てて取り組んでいくフォーメーションになると思っています。
 こういう良き循環をつくり出していけるように、私たちとして28年度の予算それぞれ施策の強化を今図っているところだと思っています。

高知県学力定着状況調査における不適切な行為

(池・高知新聞記者)
 先日の学力定着状況調査で、公立中学校の英語教師が調査問題を事前に見て、酷似した内容を生徒に宿題を出したという事案がありました。この出来事自体が論外ですし、ずっと学力向上を掲げてきた尾﨑県政にとっても、「ずる」というか、根本的に点数を上げるために、事前にずるいことをして点数を上げても全く意味ないわけで、こういう考え方をすると、ちょっと意地悪な言い方になるかもしれませんけど、点数至上主義になるがゆえに、そういったプレッシャーで間違ったことをしたんじゃないかと考えると、なかなか対応が難しいとこではあると思いますけども、知事がずっと掲げてこられた学力向上というものと、こういった不正をしないような、ないような形というものを、この今回の事案をもってどのように考えていらっしゃるか。

(知事)
 私もこの事案は非常に良くない話だと思いました。正直なところ、点数を上げることが最終目的ではないので、人生を力強く生き抜いていくための基礎的な力をつけさせてあげることが義務教育段階における大人たちの役割であって、その必要とされる力の一つとして基礎学力というものがあると。それを子どもたちにしっかり定着させていくための施策として、この学力調査を行っているわけです。定着状況を把握し、今後の指導に活かす、そのためにやっていることであります。決してこれで高い点数を取ることが目的なのではない。その本来の目的をぜひ改めて周知徹底していくことが大事だと思っています。多くの先生方はそういうことを認識していただいていると思いますが、ただ、今回のような非常に本末転倒な残念なことがありましたので、この点については改めて徹底をしていくことが大事だと思います。
 ただ、他方で、こういうことが1カ所であったからといって、学力向上のための取組を「それは点数至上主義になって、やるべきではない」などというのもまた本末転倒の話であって、角を矯めて牛を殺すということになりかねません。それでは駄目で、こういうことがあったけれども、その本来の趣旨をしっかり徹底していくとともに、引き続き学力向上に向けての対策はしっかり講じていくという方針自体は全く揺るぎないものだと考えているところであります。
 ただ、教育改革の取組については、これからもう一段ステージは変わっていくと思っております。そういうつもりで、今回教育大綱についても議論を積み重ねてきたところです。1期目、2期目と学力向上のための取組をしていく中において、どちらかというと、まず、その授業の型というか、その勉強の仕方の型というのをしっかり各クラスで徹底できるようにしていこうということで、例えば教材を高度化したり、さらには宿題として使えるような教材をお配りしたりとかの取組などをやってきたところでありまして、それは一定の効果は上がってきたのだと思います。ただ、やはりここに来て、中学校の学力向上の歩みが足踏み状態になってきている中で、より根本的な対策を講じていくことが必要だと今考えているところであります。
 その方向として今議論させていただいているのが、第一に「チーム学校」としての取組をしていこうということ。これは学校として、先輩が後輩をしっかり指導していくという形で若い先生方の力量も上がっていくし、先輩方もまた一つ刺激を受けて力量が上がっていく形で先生方の指導力の向上を本格的にしていくような仕組をぜひつくっていったらどうだろうかということや、あまりにも過剰な忙しさがある中において、もう一つ、その周辺の専門家のお力も借りて、先生方がもう一段子どもたちに真剣に向き合える体制もつくっていくべきではないだろうかといった取組を徹底すべきではないかということ。
 そしてもう一つは、高知県の場合は、非常に厳しい環境にある子どもたちがたくさんいて、学力などの以前の問題として、そもそもしっかりと学業に向き合うという環境に必ずしもないという子どもたちもいるのではないかと。その現実に目を背けることなく、そういう子どもたちがしっかり学業に向き合えるような環境づくりをしていくこともまた大事なのではないかということ。これが2点目。
 そして「チーム学校」にしても、厳しい環境にある子どもたちへの対策にしても、これは学校だけで教育していくのではなく、地域と学校でともに子どもたちを育てていくようにしていかなければならないのではないか、と今議論をさせていただいているところです。
 今まで取り組んできた中において、うまくいったと思うところもある反面、残念だなと思うところもあります。そういう中において、今までの取組をしっかりと振り返って、今回の教育大綱において、私たちとして、今後本当に高知県の教育を充実させていくために必要な柱を打ち立てていきたいと考えているところです。

政治家の育児休業取得

(木田・時事通信記者)
 先ほどの子育て支援の話に関連してなんですけど、国会の方で自民党の宮崎謙介議員が育休を取得するという意向を示されて、国会ですとか全国の首長さんから賛否両論上がっていますけど、知事は政治家の育児休業についてはどのようにお考えでしょうか。

(知事)
 私はイクメン推進派でありますから、少なくとも首長は育休を取得してもよいのではないかなと思います。ただ、政治家が育休を取得するときというのは、一つ、これも賛否両論が出てしまうのかもしれませんけど、その個人として育休を取るということに加えて、その社会へのメッセージというのをぜひ意識してやっていくということが大事ではないのかと思います。僕はそういう点では、広島の湯崎さんとか三重の鈴木さんは立派だと思います。彼らは自分自身が育休を取得して、1日とか2日ですかね取得しているのですが、それによって社会全体に、「男性も育児に参加しようよ。」という強烈なメッセージを送ることに成功したと思います。そういう形で何というのか、社会に対する意義も合わせ鑑みて育休を取っていくことが大事ではないかと思います。僕は子どもの年齢がそういう年齢ではなくなったので、私自身が育休を取ることはないと思いますが、そう思います。

甘利経済再生担当大臣の辞任と石原新大臣への期待

(野村・高知さんさんテレビ記者)
 経済の話が先ほどから幾つか出てましたが、今回、甘利経済再生担当大臣が辞任されたということで高知への影響がどのぐらいあるものか。あと、今後の石原新大臣への期待というのも合わせて教えてください。

(知事)
 甘利大臣は本当に大変優秀な政治家の方で、これまでもアベノミクスの推進とかTPP協定交渉とか、大変なお力を発揮してこられたわけであり、今回こういう形で辞任に至ることとなったこと自体、本当に残念なことだと思います。ぜひこれからしっかりさらに説明責任を果たしていただきたいと考えているところです。
 本県への影響ということでいけば、大事なことはアベノミクス、特にこの3本目の矢である地方創生をしっかり後押しをしていっていただくことについて、そしてもう一つは、TPPについて、その負の側面に対する対策をしっかり講じていただくことについて、切れ目なく対策が講じられることが極めて大事だと考えております。
 昨日、石原大臣がご就任されたわけでありますが、報道によっても、また私が知っている範囲においても大変な政策通であられるわけでございますから、このアベノミクス、そしてTPP対策などの重要な課題について、スピード感を持ってロケットスタートを切っていただけるものとご期待を申し上げているところです。

南海トラフ地震に関する県民意識調査の結果

(海路・高知新聞記者)
 地震対策についてなんですけど、去年のその地震に関する県民の意識調査で、早期避難の意識が前回調査よりほぼ横ばいで、その後大きく伸びてなかったという数字があったかと思うんですが、まず率直にそういう数字、伸びてなかったというその調査の結果に対してどういうふうなお考えをお持ちか、お願いします。

(知事)
 一言で言うと、伸びてないことについて危機感を持っています。確かに経年で見てきますと、東日本大震災以降の危機意識というのはアンケート調査から見ても伸びておりました。しかし、ここにきて頭打ちになっていることについては、これは敢えて危機感を持って捉まえるべきだと思っています。
 ご案内のように、「自宅で今まで経験したことがないような大きな揺れが1分以上続いたとき、いつ避難しますか」という問いについて、「すぐ逃げる」とお答えになった方が7割弱でありました。その他の選択肢は、「警報が出たら逃げる」とか、「近所の人が避難したら逃げる」とか、そういう選択肢でありますが、「すぐ逃げる」というのが正解です。ここはもっとこの「すぐ逃げる」とお答えになる方、そういう危機意識を持っていただく方をもっと増やすべく取り組んでいかなければならないと考えているところでありまして、もう一段、啓発の強化をしっかり図っていかなければならないと考えているところです。
 また現実的な問題として、私は非常に大事なことだと思うんですけど、人のこと気にせず、まず自分が逃げなさいという「津波てんでんこ」という考え方がありますが、人情の問題として、自分の子どもたちが、自分の親が、妻がどこに逃げているという確信を持てるからそれぞれみんな、自分勝手にてんでんこに逃げられるのだと思うのです。
 先程も申し上げたように、「すぐ逃げる」という選択肢を選んでいただくためにも、どこにいても地震がきたらあそこに逃げている、ということをお互い家族同士の中で確信できるような状況を、日ごろからつくっておくことが極めて大事なのではないかと思います。ですから、そういう意味においても地域地域において、いざというときに備えた実践的な津波避難訓練を徹底し続けることが、本当に大事だと思っているところです。また、ご家族でもぜひそういうことを常に話し合っていていただきたいと。「仕事をしている時はここへ逃げるからね」とか、「買い物に行っている時はここへ逃げるからね」とか、常にいろいろな事態を想定しての話し合いをしていただきたいと思います。
 もう1回元に戻りますが、避難訓練するとともに、実情に合った形での啓発をよくよく考えていく必要があると思っています。
 ちなみにちょっと質問とは違うんですけども、啓発に関して言えば大事なこととしてもうひとつ、例えば津波避難タワーの上に逃げた後、それから避難所での生活を立ち上げていくわけですが、その先にもいろいろな苦難が待ち受けています。そういうことも併せて、できるだけリアルな形で実感していただけるように、少し時間軸を長く取って広報していくことも大事だと思っています。
 避難所に行きました。負傷しています。しかしそんなに簡単に手当が受けられるわけではありません。薬ももしかしたらないかもしれません。水もなくなっているかもしれません、と。いかに厳しい状況になるのかということを啓発することも大事だと思います。だから、ケガしないように家具の固定をしっかりしようとか、いざというときのために薬の備蓄もしっかりしておこう。水もしっかり構えておこうというふうになっていただければと思います。リアルな広報と言いますか。そこは一つのポイントだと思っています。

(海路・高知新聞記者)
 もし良かったら、来年の予算編成に絡んで、そのリアルな広報について、具体的に考えられていることって伺えますか。

(知事)
 発災直後にどうなるかっていうだけではなくて、避難生活に至るまで一つのストーリー仕立てで皆さんに分かりやすくお伝えできるような広報を考えられないか、今議論しているところです。非常に大事だと思っています。

高知県出身力士の活躍

(田北・共同通信記者)
 大相撲ですけど、先日の大相撲初場所で明徳出身の琴奨菊が優勝、宿毛出身の豊ノ島も検討して優勝争いに絡み、高知県に縁のある力士が活躍しましたが、ご感想を。

(知事)
 嬉しいですよ。本当にそう思います。また高知の相撲黄金時代が戻ってくるんじゃないかっていう予感を感じさせます。優勝争いに絡んでいる力士の皆さん、高知関係の方が増えてきているし、それから栃煌山関も、確かに優勝争いには今回は絡まなかったかもしれませんが、3役としてずっと残り続けておられて、この間もお祝いのとき申し上げたのですが、すっかりテレビでもお馴染みの力士になられて、高知の相撲の力量レベル全体が底上げされ、スター力士が育ってきていて、本当に楽しみだと思います。

新国立競技場における高知県産材の利活用

(石川・テレビ高知記者)
 今週ですが、建築家の隈研吾さんが新聞の方に載ってらして、僕も初めてお会いしたんですけど、なかなか梼原との出会いというのが、自分の人生を変えたぐらいの、木の恩人とか、今の新国立の今回のデザインにも高知での、梼原での出会いというのがデザインに生かされているという、ものすごく、僕もびっくりするほどの、ベタ誉めというのか、前向きなことをおっしゃってたんです。知事も前から、新国立のデザインに木が使用されたということで流れが変わってきているのかなということを仰っていたかと思うんですけど、こうした状況を受けて、率直な知事のご感想とか。
 それから、何か今現在動いていることとか具体的なアクションというか、あれば教えていただけますか。

(知事)
 新国立競技場について、新しい二つのコンペ案が出てきたときに、二つとも木をふんだんに使う形になっていました。私はすごく良かったと思いました。このような日本を代表する施設において、木を使うことが当然視されるようになってくれば、日本全国いろいろなところで木が使われるようになってくると思うのです。これは非常に素晴らしいことだと思っています。
そしてもう一つ、両方のコンペ案ともに素晴らしい案でしたが、隈研吾先生については、梼原とのご縁があり、私も1度だけ前梼原町長と一緒に3人でお会いしたことがあります。非常にりっぱな方だと思いましたし、お話を聞いていて、確かに高知愛にも溢れておられる方だと思いました。こんなことを言ってはいけませんが、高知に縁のある方ということで、今回、新国立競技場にデザイン、設計が採用されることになったことは、本当に我々にとっても喜ばしいことだと思っています。
 ぜひ、この新国立競技場の設計、そして建築、建設を通じて木を使うとこんな素晴らしいことができるのだということを、全国の皆さんに分かりやすくお示しいただければありがたいものだと思います。それは、全国においていろいろな建物が木で作られる良い契機になるものと期待しているところであります。
 我々として、今後、いろいろなアクションを起こそうと思っており、一つは、特にCLT首長連合の皆さんと一緒に動いていくことになると思います。CLTや大断面集成材でありますとか、いろいろな形で、木の用途を劇的に拡大していく技術があります。そういう技術について、建設会社とか建築会社の皆さんに、ぜひ使いましょうとプレゼンをしていきたいと思っており、資料を準備しているところでありますが、そういう活動を今年大いに行っていきたいと思っています。
 新国立でもかくの如く木が使われますと、これからのトレンドは「木」ということになります。木を使うことは、地方創生や社会貢献にもつながり、エコという点でも素晴らしいものです。いい契機になりましたので、ぜひ「木」を使いましょうということを高知県だけではなく、CLT首長連合の皆さんとともに、徹底して売り込みをかけていきたいと思っています。我々もずっと政策提言をしてきただけに、本当にそういう意味でも良かったと思っています。

(石川・テレビ高知記者)
 隈さんも個人的に使えるものならば使いたいみたいな発言があったのですが、何か隈さんだけの一存でいくのか、いかないのか分からないんですけど、何か例えば、ちょっともう一段、高知県として何かこう。高知の木、例えば、スギとかを新国立競技場に使ってもらうための。

(知事)
 新国立競技場に使われる木は、FSC認証を取った木でなければならないという意味においては、高知の木、梼原などは劇的に有利だと思います。
 ただ、新国立競技場に高知県の木が使われるということもシンボリックで極めて大事ですが、もう一つやはり代表的な建築物に「木」が使われること自体が、日本全体の意識を変えるということも極めて大事であり、むしろこちらの方が大きい流れをつくり出すことができると思います。そこをぜひ実現したいものだと思っているのです。
 この5、6年ぐらい前までに建てられた日本の代表的な建築物は、全部鉄とコンクリートでしょう。そういう時代だった。だけど少しその流れが変わるかもしれない。鉄とコンクリートと木というものが共存する文明に今度のオリンピックを通じて僕はぜひなってもらいたい。
 前回のオリンピックによって、首都高速やオリンピックセンターなど鉄とコンクリートの文明というのが日本中に行き渡った。しかしながら今度は新国立競技場に「木」が使われることによって、木も併せて使う形になり、トレンドが変わることがものすごくいいことだと思っています。

(石川・テレビ高知記者)
 そこにさらに高知の木が使われるということに関してはどうお考えでしょうか。

(知事)
 高知の木が使われることも大きいでしょう。ぜひ営業しましょう。ただ、あの建物の中の一部に木が使われることは大きいことですし、象徴的なところですからぜひ取り組みたいと思いますけど、私はそれよりも先ほどから申し上げているように、世の中が変わることの方がずっと大きいと思うのです。FSC認証を取っていない高知の他の木も全部生かされるようになった方がより意義が深いことだと思います。
 もちろん、梼原の木も使われますようにと思っています。

衆議院選挙における1票の格差是正

(木田・時事通信記者)
 先日、衆院議長の諮問機関が衆院選の1票の格差是正に関して、定数に関する答申を行いまして、その中で、衆院選選挙区の1票の格差を2倍未満に収めることですとか、あと都市部の東京や愛知など5都県で選挙区7増加、宮城、広島など13県で定数減ということになりましたが、この衆院選の選挙区区割りに関する答申について、どのようにお考えかお聞かせいただければと思います。

(知事)
 国会議員全体として、二つの要素というのをぜひ実現できるようにしてもらいたいと思います。
 一つは、人口比例による民意の反映、そして地方、地域の違いによるところの民意の反映、この二つを国会議員全体として反映できる制度であるべきだと思います。
 でありますので、衆議院について、人口割りをできる限り徹底していくということはある意味やむを得ないのかもしれません。地方にとって議員さんの数が減るということはやや残念なところもありますが、一定やむを得ないところもあるのかもしれません。ただ、他方で参議院においてはぜひ都道府県代表的な性格を持った制度にしてもらいたいものだと考えているところであります。そういう意味において私どもはこの参議院の合区にいかがなものかという話を、今までもさせていただいてきたところであります。現実問題としては、今回の選挙は合区で戦われるっていうことになるのでしょうが、ぜひ、人口割りという側面と、地域の違いという側面と、両方勘案した制度が最終的に出来上がっていきますように、知事会などを通じて、我々としても主張していきたいと思っています。

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