平成28年2月県議会での知事提案説明

公開日 2016年02月23日

平成28年2月高知県議会定例会での知事提案説明 (2月23日)

第1 平成28年度の県政運営

1 県政運営と国の動向について
(1)飛躍への挑戦を新たなステージへ
(2)国の動向

2 平成28年度当初予算及び平成27年度2月補正予算について

第2 5つの基本政策に基づく県づくり

1 経済の活性化について
(1)第3期産業振興計画の策定
(2)「地産外商」の強化
(ア)第一次産業
(農業分野)
(林業分野)
(水産業分野)
(イ)第二次産業
(ものづくり)
(食品分野)
(ウ)第三次産業
(観光)
(コンテンツ産業)
(各産業に効果をもたらすプロモーション)
(地域アクションプラン)
(3)地産外商を「拡大再生産」の好循環へ
(ア)担い手の育成・確保
(各産業分野)
(移住施策)
(イ)地域産業クラスターの形成
(ウ)起業や新事業展開の促進

2 日本一の健康長寿県づくりについて
(1)壮年期の死亡率の改善
(2)地域地域で安心して住み続けられる県づくり
(3)厳しい環境にある子どもたちへの支援
(4)少子化対策の抜本強化
(5)医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化

3 教育の充実と子育て支援について
(1)チーム学校の構築
(2)厳しい環境にある子どもたちへの支援
(3)学校と地域の連携、協働

4 南海トラフ地震対策について
(1)住宅の耐震化の加速化
(2)地域地域での津波避難対策の実効性の確保
(3)避難所の確保と運営体制の充実
(4)地域に支援物資を届けるためのルートの確保
(5)前方展開型による医療救護体制の確立
(6)応急期機能配置計画の策定
(7)高知市の長期浸水区域内における確実な避難
(8)震災に強い人づくり

5 インフラの充実と有効活用について

6 中山間対策について

7 少子化対策と女性の活躍の場の拡大について
(1)少子化対策
(2)女性の活躍の場の拡大

第3 その他

1 ルネサス高知工場について

2 伊方発電所について

3 新たな奨学金等制度の創設

第4 議案


 本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成28年2月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。

 ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。

第1 平成28年度の県政運営

1 県政運営と国の動向について

(1)飛躍への挑戦を新たなステージへ

 平成28年度は、私にとりまして県政運営3期目の実質的な初年度であります。これまでの8年間の取り組みの土台の上に立って、飛躍への挑戦を新たなステージへ引き上げ、県勢浮揚を目指して力強く歩みを進めてまいります。
 これまでの取り組みを通じて、一部には、はっきりと手応えが感じられるものも出てまいりました。例えば、経済分野においては地産外商が大きく進み、長年にわたって減少傾向であった各分野の産出額等が上昇傾向に転じるなどしております。また、長らく0.5倍前後であった有効求人倍率は、本県の悲願であった1.0倍を超え、昨年11月には過去最高の1.05倍に達したところであります。さらには、産業振興計画をスタートさせて以降、本県人口の社会減は、過去の全国的な景気回復局面の際に比して半減してきております。
私は、このような成果を本県の県勢浮揚につなげていくため、今後、経済や福祉などの各分野において、本県が抱える根本的な課題の解決につながる持続的な好循環を作り出していくよう努めてまいりたいと考えております。
 このため、5つの基本政策をはじめとする県の取り組みについて、次の2つの考え方の下に、もう一段のバージョンアップを図ってまいります。
 その第一は、各分野の好循環の創出を阻む隘路の解消であります。
 例えば、経済分野においては、それぞれの産業の生産性の向上を図りつつも、担い手を育成、確保しなければさらなる成長は望めません。南海トラフ地震対策においては、いくら津波からの避難施設を確保しても、住宅の耐震化が進まなければ、その命を守ることは困難になります。児童福祉や教育の分野においては、厳しい環境にある子どもたちへの特段の支援がなければ、学力問題、虐待やいじめなどの根治対策とはなり得ません。こうした隘路となる課題に対して、重点的に真正面から取り組んでいくという姿勢で施策を展開してまいります。
 第二は、各分野の循環を、より大きな循環へとつなげていくための挑戦であります。
 例えば、経済分野では、地産外商の対象を広げ、抜本的に需要を拡大する取り組みに挑戦したいと考えております。このため、ユズ、土佐酒、県産材、水産加工品、防災関連製品などの海外販路の抜本的な拡大、CLT工法の普及による全国的な木材需要の創出、国際観光の強化による海外観光客の誘致など、より力強く成長を促す分野の開拓に取り組んでまいります。
 そして、この2つの観点による取り組みを進めるためには、市町村政との連携、官民協働による取り組みがなお一層必要となるものと考えております。
 私は、平成28年度を、県勢浮揚を目指してこれまで取り組んできた飛躍への挑戦を、新しいステージに向けて進めていく、そのために大きな歩みを踏み出す重要な年と位置付けております。県民の皆様方と共に知恵を出し合い、汗をかきながら、県勢浮揚に向けて全力で取り組んでまいります。

(2)国の動向

 先月4日、通常国会が開会し、20日には平成27年度補正予算が成立いたしました。現在、地方創生などを柱とした平成28年度予算政府案が国会に提出されているところであります。
 これらの予算には、本県独自に、あるいは本県が主導して全国知事会として政策提言してきた施策、例えば、地方創生の推進や少子化対策、子どもの貧困対策の抜本強化に向けた施策などが数多く取り入れられております。とりわけ、地域の実情に応じた地方創生を進めるための財源については、国の補正予算及び当初予算案に、それぞれ交付金が1,000億円計上されました。このうち、当初予算案に計上された地方創生推進交付金は、地域再生法に位置付けられ、5年以内の複数年度を事業期間とすることができることとされております。こうした恒久制度として地方が安定的、継続的に事業を執行できる仕組みとなっていることは、大いに評価できるものと考えております。また、少子化対策の抜本強化に向けて、これまで補正予算に計上されてきた地域少子化対策強化交付金が当初予算案に計上され恒久化されたことや、子どもの貧困対策について、補正予算において交付金が創設されたことなども、地方の取り組みを後押しするものとして大いに評価しているところです。
 県としましては、地方の自主性などを尊重した地方創生などの国の動きを好機と捉え、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などの取り組みをさらに加速してまいりたいと考えております。あわせて、国の施策が本県の県勢浮揚に向けた施策の大きな後押しとなりますよう、引き続き、時機を捉えた政策提言を行うなど、積極的に情報発信を行ってまいります。

2 平成28年度当初予算及び平成27年度2月補正予算について

 次に、本県の来年度の当初予算案及び2月補正予算案についてご説明申し上げます。
 今回の予算編成にあたりましては、5つの基本政策と2つの横断的な政策のさらなるバージョンアップを図り、県勢浮揚の実現に向けて実効性の高い施策をスピード感を持って展開することとし、限られた財源で最大限の事業を実施できるよう、知恵を絞り、工夫を徹底いたしました。
 その結果、来年度の一般会計当初予算案は、8年連続で前年度を上回る4,625億円余りと、県勢浮揚に向けた好循環を生み出していくための積極型の予算となっております。
 他方、課題解決先進県を目指した取り組みを大幅に加速しながらも、引き続き将来に向けた安定的な財政運営に努めたところであります。
 具体的には、歳入面では、景気回復などに伴う県税収入の増加を見込むことにより、前年度を上回る一般財源総額を確保するとともに、地方創生推進交付金など国の有利な財源を積極的に活用いたしました。
 また、歳出面では、積極的な事務事業の見直しやスクラップアンドビルドに取り組むことにより、昨年度を上回る約15億円の事業の見直しを実現するとともに、それにより生じた財源も活用して、約32億円の事業のバージョンアップを図ったところであります。
 これらの一連の取り組みを実施してもなお生じる財源不足138億円については、2月補正予算において本年度予算の効率的な執行などにより生じた財源を活用して、本年度中の財政調整的な基金の取り崩しを104億円余り取り止めた上で、当初予算において平成28年度中の基金の取り崩しを前年度当初予算時よりもやや多い108億円とするとともに、退職手当債の発行を前年度と同額の30億円に抑制することにより対応しました。
 この結果、実質的な地方交付税である臨時財政対策債を除きます来年度末の県債残高は4,956億円となり、本年度末の残高と同水準を維持する見込みであります。また、来年度末の財政調整的な基金残高についても、昨年9月時点での推計を65億円上回る220億円程度を確保できる見込みであります。
 このように、当初予算及び2月補正予算の編成を通じて、課題解決先進県を目指した取り組みを積極的に行いながらも、後年度負担の抑制と将来への一定の備えの確保を図ることができたものと考えております。

第2 5つの基本政策に基づく県づくり

1 経済の活性化について

次に、経済の活性化についてご説明申し上げます。

(1)第3期産業振興計画の策定

 本県経済は、長年にわたって、生産年齢人口の減少に連動する形で農業生産額、製造品出荷額、県外観光客入込数などの各分野の産出額等が減少する傾向にありました。この傾向をプラスに転じさせることを目指し、官民協働により、地産外商戦略を柱とする産業振興計画の取り組みを通じて、県経済全体の底上げに向けた挑戦を続けてまいりました。
 その結果、アベノミクスの後押しもあり、地産外商が大きく進み、生産年齢人口が減少を続ける中にあっても、各分野の産出額等が明確に上昇傾向に転じるなど一定の成果が表れてまいりました。
 しかしながら、各分野で多くの雇用が生まれたものの、地域に残りたいと願う若者の希望を十分にかなえられる状況にはいまだに至っておりません。
 このため、これまでの取り組みを土台として、今後4年間を計画期間とする第3期計画を策定し、地産と外商をさらに強化する施策を盛り込むとともに、その流れをより力強い拡大再生産の好循環へとつなげるための施策を抜本強化することといたしました。

(2)「地産外商」の強化

 まず、一つ目の柱である、地産外商の強化に関して、各産業分野の取り組みについてご説明申し上げます。

(ア)第一次産業

 第一次産業については、新たな技術の導入などにより地産を強化し、生産性の向上を図ることなどを通じて従事者の所得向上を目指してまいります。また、国内に加え、海外販路の開拓などにも取り組んでまいります。

(農業分野)
 農業分野では、これまで、県内各地に学び教えあう場を設置することにより栽培技術を向上させるとともに、オランダから学んだ環境制御などの先進技術を本県の実情に即して確立するなど、本県農業をステージアップさせる取り組みを進めてまいりました。来年度は、これまでの取り組みを土台として、次世代型こうち新施設園芸システムの一層の普及などにより産地を強化し、持続的な農業生産の拡大を目指してまいります。
 具体的には、既存型ハウスへの環境制御機器の導入と併せて、学び教えあう場を活用して普及を加速化するとともに、さらなる収量の増加につながる環境制御技術の確立を目指してまいります。また、規模拡大に意欲のある生産者などに対して次世代型ハウスの整備を支援するとともに法人化への誘導を進め、力強い経営体の育成に取り組みます。
 さらに、中山間地域においても、こうち型集落営農の拡大とその法人化を積極的に進めますとともに、農業を地域全体で支え、競争力を高める中山間農業複合経営拠点を県内各地に整備してまいります。
 あわせて、量販店や飲食店などの新たな業務需要の開拓と加工ニーズに対応した野菜の生産や流通の拡大などにも取り組み、農産物の流通規模に応じた支援を強化しますとともに、ユズの輸出で培ってきたノウハウや卸売市場との連携などを生かして、国外への取引拡大にも取り組みます。
 また、規模拡大や新規就農に必要となる農地の確保に向けて、農地中間管理機構と連携して農地の集積を加速化するとともに、積極的に優良農地を作り出す園芸団地の整備にも本格的に取り組んでまいります。

(林業分野)
 林業分野では、これまで、施業地の集約化や高性能林業機械の導入といった原木生産の効率化や、大型製材工場や木質バイオマス発電施設の整備といった加工体制の強化など、本県の豊富な森林資源を余すことなくダイナミックに活用する川上から川下までの仕組みを構築してまいりました。来年度は、このような仕組みを生かして、原木生産や木材需要のさらなる拡大などを図ってまいります。
 まず、原木生産については、成熟した森林資源のさらなる活用を図るため、計画的な路網の整備などによる効率的な生産システムの導入や皆伐の促進などにより生産量を拡大いたします。あわせて持続可能な森林づくりを進めるため、皆伐後の再造林に必要な苗木について、作業の効率化と労働負荷の軽減が期待できるコンテナ苗の生産施設の整備を支援してまいります。
 加工体制については、消費者ニーズに応じた競争力の高い加工事業体を育成するため、既存の製材工場の加工力の増強を図るとともに、大断面集成材工場など高付加価値製品を製造する加工施設の整備を進めてまいります。
 流通、販売については、県外の消費地をターゲットとした外商活動を展開するため、土佐材の流通拠点やパートナー企業との連携を強化するほか、全国的な木材需要の創出と県産材のさらなる販売拡大を目指して、CLTの普及や低層非住宅建築物の木造化に取り組んでまいります。さらには、国外の県産材の需要拡大を図るため、韓国などへの木材輸出に挑戦してまいります。

(水産業分野)
 水産業分野では、漁業所得の向上を目指して、黒潮牧場など優良漁場の形成やカツオ船へのイワシ活餌の安定供給を通じた本県への水揚げの促進を図るとともに、協業化の促進や種苗生産技術の開発などにより養殖業の振興に取り組んでまいりました。来年度は、これまでの取り組みを土台として、漁業生産のさらなる向上を図り、その効果が加工、流通、販売などの関連産業へと波及するよう取り組んでまいります。
 まず、生産面では、民間企業による定置網漁業の操業再開への支援や、クロマグロ人工種苗の早期の実用化に向けた大型いけすでの中間育成試験の実施などに取り組みます。
 加工については、HACCP手法に対応した加工施設の立地促進や既存加工施設の高度衛生管理体制の整備を促進してまいります。
 流通、販売については、高知家の魚応援の店との取引拡大に向けて、重点的に対応すべき店舗を絞り込んだ上でニーズ収集やサンプル出荷などを実施するとともに、衛生管理や品質面の向上といった産地の対応力を強化してまいります。また、海外向け商談会への出展などを通じて、シンガポールや香港など国外への販路開拓に取り組んでまいりたいと考えております。
 こうした取り組みに加え、本県の水産業をアピールする機会として、「全国豊かな海づくり大会」の平成30年度の開催を申し出ることといたしました。全国から注目を集めるこの国民的な大会が本県で開催されますよう、県民の皆様と協力して取り組んでまいりたいと考えております。

 今月4日、環太平洋経済連携協定、いわゆるTPPによる本県の農林水産物への影響額についての試算をお示ししたところであります。
 生産減少の見込額は、約5億円から約10億円という試算結果になりましたが、今回の試算は、昨年末に政府が公表した試算方法に基づき機械的に行ったものであり、政府が行う対策が十分に効果をもたらすことなどが前提となっております。このため、その影響額は、平成25年3月にお示しした、関税はすべて即時撤廃され、関税撤廃に対し何ら対策を講じないことを前提として試算した影響額と比べて大幅に小さいものとなっております。
 しかしながら、米をはじめとする安価な輸入品の流入による価格低下や、県外で米から野菜への転作が進んだ場合の価格低下の影響などは、現段階では定量的には見通せない状況にあります。さらには、こうした将来の経営への不安感が生産意欲を減退させ、結果として生産量の低下につながることも大いに懸念されます。このため、これらを含む懸念などについては、定性的な影響として影響額と合わせてお示ししました。
 県としては、まずは、前回の試算から影響額が大幅に軽微となった主要因である政府の対策が、実効性のある具体的な政策として着実かつ地方の隅々にまで行き届くものとなるよう国に対して求めてまいります。さらには、そもそも対策が講じられたとしても、安価な輸入品の流入による価格低下などの影響や、中山間地域が受ける影響など、機械的な試算では織り込むことができない不利な条件が本県には多く存在していることから、その状況を注視しつつ、国に対して、さらなる追加的な対策を求めていく必要もあります。
 そして、何よりもまず産業振興計画において、引き続き、中山間地域の農林水産業を力強くバックアップすることなどにより、持続可能な農林水産業の確立に努めてまいりたいと考えております。

(イ)第二次産業

第二次産業については、高知発のものづくりを国内外へと展開するため、ものづくりの強化と外商支援の加速化を図ってまいります。

(ものづくり)
 ものづくりの振興に関しては、これまで、試作開発や設備投資への助成制度のほか、ものづくり地産地消・外商センターの取り組みなどにより、事業者の皆様のものづくりの一連の流れを一貫して支援してまいりました。その結果、最終製品の製造に挑戦する企業が増加し、センターの外商支援による成約額が、平成24年度は2億5千万円であったものが、昨年度は27億1千万円となるとともに、本県経済全体を見ても、製造品出荷額等は5,000億円台を回復するなど一定の成果が表れております。
 来年度は、これまでの成果を確固たるものとし、本県のものづくりをさらなる飛躍へとつなげるため、これまでの取り組みを強化するとともに、センターにおいて、新たに以下の2つの点について取り組むことといたします。
 1点目として、企業の目指す経営ビジョンを実現するための事業戦略の策定からその実行までの支援を進めてまいります。具体的には、センター内に設置した民間シンクタンクなどによる事業戦略支援会議により決定された企業の支援方針に基づき、金融機関など関係機関と連携して編成する事業戦略支援チームが、企業の課題に応じて個別に支援を行ってまいります。
 2点目として、ものづくり地産地消・外商センター東京営業本部を設置して、外商支援や見本市出展後のフォローアップ営業などへの支援をより積極的に行ってまいります。
 そのほか、本年度から本格化した防災関連製品を中心とした機械製品や技術の輸出について、台湾やタイにおける見本市出展で発掘した現地の有力企業を本県で開催するものづくり総合技術展での商談会や企業視察に招致することなどにより、その拡大に向けた取り組みを強化することとしております。
 また、紙産業の振興については、高付加価値製品の開発と加工技術の確立を目指して、企業の商品開発から販路拡大、事業拡大の取り組みを一貫して支援してまいります。具体的には、紙産業技術センターに、新たに紙産業振興アドバイザーを配置して企業の支援体制を充実するとともに、セルロースナノファイバーやリサイクル炭素繊維などの研究会を設置して、センターに導入した装置を活用した企業の製品及び技術開発を加速化いたします。

(食品分野)
 次に、食品分野については、これまで、地産外商公社を中心に県内事業者の皆様を全力で支援してまいりました結果、昨年度に公社が仲介・あっせんした成約の件数は4,393件と、平成21年度の約25倍となり、成約金額も大きく伸びてまいりました。来年度は、公社の活動の全国展開をさらに進めるとともに、外商活動に取り組む中で見えてきた課題への対応、輸出のさらなる拡大に挑戦してまいります。
 まず、外商による成果をさらに高めていくため、公社の外商職員を首都圏に1名、関西・中部地区に1名増員して、規模が大きな量販店グループなど、これまで外商先としてはハードルが高かった事業者に対しても積極的な外商活動を展開してまいります。加えて、小売店などが製造元に求める生産管理基準がより高度になってきていることから、HACCP研修の充実やワンストップ相談窓口の設置、専門コーディネーターの配置など一貫した支援を充実してまいります。
 また、外商の成約実績をさらに上積みして拡大再生産につなげていくため、第一次産業から第三次産業までの事業者が参加する異業種交流の場となるプラットホームを設置し、食品加工に関わる事業者の新たな商品開発や事業創出などを後押ししてまいります。あわせて、より多くの事業創出などにつなげていくため、事業者の個別課題に対応したサポートチームを設置して、経営ビジョンや事業戦略などを整理した事業化プランの策定と実行に向けた支援を強化いたします。
 さらには、外商活動の国外への展開を本格化してまいります。本年度、英国における土佐酒の賞味会の開催などに取り組んだ結果、現地での評価に手応えを感じることができましたことから、来年度、土佐酒をユズに続く輸出基幹品目として位置付け、生産者や関係団体とも連携しながら輸出の拡大に取り組んでまいります。加えて、加工と連動した養殖魚の海外市場への販路開拓を推進するなど、輸出を牽引する柱となる品目の拡大を図り、官民協働で輸出振興に取り組んでまいります。

(ウ)第三次産業

 第三次産業については、本県観光のさらなる飛躍を図るとともに、新たな強みとしてコンテンツ産業の集積に取り組んでまいります。

(観光)
 観光分野では、県外観光客の入り込み数が、平成25年、26年と400万人を超え、昨年は、過去2番目となる408万6千人となるなど、400万人観光がまさに定着してきたものと考えております。第3期計画では、過去最高の入込客数である435万人を目標として掲げて、その早期達成に向け、歴史を中心とした博覧会と国際観光の2つの取り組みを柱に、観光商品の「つくる」「売る」「もてなす」という一連のサイクルをさらに強化して、地域地域の持続的な観光振興につながるよう全力で取り組んでまいります。
 それらの一連の取り組みの中でも、来年度については、まず高幡地域5市町で4月10日に開幕します「2016奥四万十博」の成功に向けて、地域地域の特色を生かした観光振興の取り組みを市町村と連携して支援してまいります。
 また、歴史を中心とした博覧会についても、来年3月からの開催に向けてスピード感を持って準備を進めてまいります。この博覧会の開催を通じて、市町村や観光関係者の皆様と一体となり、県内の様々な歴史上の史跡や遺産、物語をしっかりと磨き上げ、地域地域に歴史観光の基盤を整えるとともに、地域の食、自然などを一体的に組み合わせた周遊コースとなる観光クラスターをしっかりと整備し、博覧会終了後の持続的な観光振興につなげてまいりたいと考えております。
 今月26日には、来年から2カ年にわたる博覧会の開催に向けて、市町村や観光関係団体などで構成する準備委員会を設置して、歴史資源のリアル化や観光産業のクラスター形成に向けた具体的な検討を始めます。さらに、来年度は、推進協議会を立ち上げた上で、この準備委員会において承認されました基本計画に基づいて実施計画を策定し、事業を推進してまいります。
 博覧会と合わせて、高知ならではの自然を生かしたアウトドア拠点の整備やサイクリングなどのスポーツツーリズムを推進するとともに、企業研修をはじめ各種大会や学会の誘致にも積極的に取り組んでまいります。
 さらに、こうした地域地域の持続的な観光地づくりを進めていくためには、地域観光の基盤となる広域観光組織の機能強化はもとより、地域の観光事業者の育成と事業体の強化が必要であると考えております。このため、県内6つの広域観光組織が行う、それぞれのエリアの特性に応じた観光振興の取り組みを支援しますとともに、本年度から開催している土佐の観光創生塾を拡充することにより、一層の事業者間の連携促進と事業者の規模拡大につなげてまいります。

 国際観光については、県内の外国人観光客の延べ宿泊者数が昨年1月から11月までの速報値で、平成26年通年の3万人泊を上回る約3万9千人泊となっており、この勢いをさらに加速させるよう取り組んでまいります。
 来年度は、国内外における商談会などへの参加に加えて、誘客のターゲットとする国ごとの観光客のニーズに対応した定番となり得る周遊観光ルートを造成し、旅行商品として販売してまいります。加えて、国外に向けた情報発信力を持つ首都圏のマスメディアなどとのタイアップを通じて、国外での商談会の開催前後に効果的な情報発信を行うことにより、国外からの誘客に確実につなげてまいります。
 さらに、来年度は、外国クルーズ客船の寄港が大幅に増加する予定となるなど、これまで以上に様々な国からの外国人観光客が本県を訪れることとなります。このため、飲食店などのメニューや観光案内板、パンフレットなどの多言語化を一層促進するとともに、24時間対応可能な多言語通訳コールセンターを新たに設置するなど、市町村や観光施設とも連携して受け入れ態勢を整備してまいります。
また、世界から日本に大きな注目が集まる2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を好機と捉え、よさこいを日本の祭として世界にアピールするなど、よさこいの聖地・高知の認知度向上を通じて、外国人観光客のさらなる誘客に取り組んでまいりたいと考えております。

(コンテンツ産業)
 次に、コンテンツ産業については、立地が地理的条件に左右されず、また、若者の雇用の受け皿としても期待できることなどから、全国に先駆けて、ソーシャルゲームを中心とした事業化を支援するとともに企業間連携による取引拡大を推進するなど、関連産業の振興と企業立地に取り組んでまいりました。その結果、ゲーム関連会社の立地により約70人の雇用が生まれるなど、一定の成果が上がり始めたところであります。また、本年度の9月補正予算において、コンテンツ企業に特化した立地促進のための助成制度を創設して、誘致活動の強化を図ったところであります。
 今後さらに、これらの取り組みに加えて、企業が進出する際に重要なポイントとなる人材の育成と確保に取り組んでまいります。
 具体的には、現在コンテンツ産業で最も求められている、アプリケーション開発やデザイン分野の即戦力となる人材を育成するセミナーを開催するとともに、アイディアソンやビジネスプランコンテストの実施により積極的に人材の掘り起こしを図ってまいります。あわせて、県内で創業している企業の人材確保に向けては、人材の紹介や県内外での会社説明会の開催、企業が雇用した人材のスキルアップを支援いたします。

(各産業に効果をもたらすプロモーション)
 次に、各産業に効果をもたらすプロモーションの展開についてであります。
 高知家プロモーションについては、「高知家 ALL STARS」の展開により、高知家スターとして既に1,500人を超える方々に登録いただくなど、県民参加の取り組みとして定着してきたものと感じております。高知家ファミリー募金への県民の皆様の強力な後押しもいただいており、これまでに、24万個のピンバッジを配布したところであります。
 4年目となります来年度は、これまで積み上げてきた高知家の認知度などの成果を活用し、マスメディアを通じて、必要な告知を適切な時期に発信するとともに、この発信効果を個別品目のセールスプロモーションと連動させるなど、外商や観光、移住などの成果に着実につなげてまいります。
 加えて、国内外での本県の認知度向上に向けて、文化、まんがなどの本県の魅力を世界に発信するなど、新たな情報発信にも取り組んでまいります。

(地域アクションプラン)
 次に、地域アクションプランの推進についてご説明申し上げます。
 これまで、地域の資源を生かした加工品の開発や販売、魅力ある観光地づくりなど、多くの事業者や団体の皆様の取り組みを地域アクションプランとしてきめ細かくサポートしてまいりました。その結果、平成21年度から昨年度までの6年間に新たな雇用が1,074人創出されるとともに、県の産業振興推進総合支援事業費補助金を活用した事業における商品の売上高の増加額は、昨年度までの6年間に累計で約108億円となっております。また、この地域アクションプランの取り組みが、地域における新たな経済活動の基盤として重要な役割を果たすようになってきたところも一部にあります。
 第3期計画では、新たに28件を追加し、全体で234件の地域アクションプランの取り組みを予定しております。地域地域に持続的な雇用とより大きな経済波及効果をもたらすことができるよう、一つひとつの取り組みをしっかりとサポートしますとともに、関連産業の集積を促す地域産業クラスターの形成にも全力で取り組んでまいります。

(3)地産外商を「拡大再生産」の好循環へ

 次に、経済の活性化の二つ目の柱である「拡大再生産」を実現するための取り組みについてご説明申し上げます。
 第3期計画では、地産外商の取り組みを強化した上で、その流れを力強い好循環につなげるため、拡大再生産を実現するための施策群を抜本的に強化しております。
 拡大再生産を実現してまいりますためには、3つの取り組み、すなわち、様々な分野における担い手を育成し確保する取り組み、地域地域で関連産業の集積を促す地域産業クラスターを形成する取り組み、そして、起業や新たな事業展開の促進などにより継続的に活力を創出する取り組みが重要であると考えております。

(ア)担い手の育成・確保

(各産業分野)
 まず、担い手の育成と確保の取り組みについては、各産業分野の担い手が依然として減少している状況を踏まえ、移住施策とも連携した県内外での担い手確保対策と将来を担う人材の育成に取り組んでまいります。
 具体的には、第一次産業の担い手確保策として、農業分野では、研修用ハウスの導入や農地の確保を後押しすることにより、産地自らが就農希望者を確保し育成する、いわゆる産地提案型の取り組みを進めてまいります。林業分野では、林業学校の充実強化などを通じて、林業や木材産業の将来を担う多様な人材の育成に取り組んでまいります。水産業分野では、法人などと連携した中核的な漁業者の育成を計画的に進めてまいります。
 また、企業などの中核となる人材確保の取り組みに関しては、首都圏における人材の掘り起こしを加速化してまいりますため、事業承継・人材確保センターにおいて、昨年12月から東京に求職コーディネーターを新たに配置して体制の充実を図ったところであります。今後はこの求職コーディネーターが、県出身の大学生のほか移住や転職希望者に対して、本県や県内企業の魅力を幅広く伝えていくとともに、多くの人材を抱える大企業や本県とゆかりのある企業などを訪問して県内企業との連携の提案を行ってまいります。これにより、マッチング機能のさらなる強化を図り、県内企業が必要とする人材の確保につなげてまいります。
 さらには、地域のリーダーとなる産業人材の育成をさらに強化いたしますため、土佐まるごとビジネスアカデミーによる研修の機会を充実いたします。具体的には、県内の中核企業の次期経営層を主な対象とする課程を新設するほか、テレビ会議システムの活用により県内各地での受講を可能とするとともに、「目指せ!弥太郎 商人塾」の地域セミナーを開催するなど、学びの場を県内各地に拡大してまいりたいと考えております。

(移住施策)
 移住施策については、以上のような各産業分野の担い手確保策と連携を図りながら取り組みを進めてまいりましたが、東京などに近い地域が移住対策に力を入れ始めるなど地域間競争がより激しくなってきております。このため、移住希望者への情報発信や、地域の受け入れ態勢などをさらにレベルアップすることが必要だと考えており、次の3つの視点によりもう一段の取り組みの強化を進めてまいります。
 一つ目は、高知ファンに加え移住関心層へのアプローチを大幅に拡大することであります。移住に関心を持つ方々が多く訪れる移住ポータルサイトに誘導を図るため、高知家プロモーションとの連携やポータルサイトへのアクセス増加対策、移住専門誌などへの広告掲載などに取り組んでまいります。
 二つ目は、各分野の担い手確保策と連携した移住につながるプロジェクトを展開することであります。都市部からの人材が地域で起業する又は地域の中核的な産業の担い手となることにより、地域に働く場を生み出し、そこに新たな人材が呼び込まれるといった、人が人を呼ぶ好循環を生み出す仕掛けを数多く展開してまいります。具体的には、本年度から検討を進めているCCRC構想に加えて、来年度、民間のノウハウも活用して、各産業分野の研修事業と移住施策を連携させた移住につながるツアーを10回実施するほか、既に高知に移住した皆様に地方での起業や就業を志す方々を呼び込んでいただけるような取り組みも進めてまいりたいと考えております。
 三つ目は、市町村と県の相談対応の質をさらに向上させるとともに、民間による移住促進を拡大させることであります。移住者数の増加を図るためには、移住相談件数そのものを増やすことに加えて、相談者からの問い合わせなどに適切に対応し円滑に移住につなぐことも重要なポイントであります。そのため、県の移住・交流コンシェルジュ及び市町村の移住専門相談員が継続的に相談対応の質の向上を図っていくための取り組みを進めてまいります。
 加えて、民間の移住支援団体である、高知家移住促進プロジェクトの参加団体の拡大と受け入れ態勢を強化するなど、全県的な移住支援ネットワークの構築を目指してまいります。

(イ)地域産業クラスターの形成

 次に、地域産業クラスターの形成についてご説明申し上げます。
 地域に残りたいと願う若者の就職に関する希望をかなえるためには、第一次産業から第三次産業までの多様な仕事を地域地域に生み出すことが重要であります。このためには、第一次産業など地域に根差した産業を核としたクラスターを地域地域に生み出していくことが有効であると考えております。例えば、農業であれば、農業生産の核となる次世代型ハウスの整備を中心として、集出荷場や食品加工場、農産物の直販所やさらにはレストランなどの関連施設を集積させ、これらの産業群を観光などにも生かしていくことができるものと考えております。
 これまでも、先ほど申し上げました地域アクションプランの実行支援などを通じて、第一次産業を核に、新たな加工や販売などの集積が一定進んできたところであります。第3期計画では、こうした集積を地域地域で意図的に生み出し、より大きくしていくための仕組みを設け、県内各地で取り組みを展開してまいります。
 まずは、県庁内にワンストップ窓口を設置してクラスターの形成が見込まれる案件に関する情報を集約するとともに、実現可能性の高い案件については、具体的なクラスタープロジェクトとして位置付けた上で、これに参画する事業者を募集してまいります。さらに、市町村などと共にクラスターの形成に向けたプランづくりに取り組むとともに、このプランが実行段階に入った際には、県や市町村、関係団体で構成するプロジェクトチームを設置して、各種の補助制度なども総動員しながらきめ細かくサポートしてまいります。
 現時点において、クラスターの形成を目指すプロジェクトとしては、これまでの産業成長戦略の取り組みを土台とした第一次産業を核とする9つのプロジェクトと、地域アクションプランの取り組みを土台としたやや小規模な7つのプロジェクトが予定されているところであります。今後、これらのプロジェクトについて、産業団体や市町村など様々な関係機関の皆様のご協力を得ながら着実に実行してまいりますとともに、新たなクラスタープロジェクトの掘り起こしも行ってまいりたいと考えております。

(ウ)起業や新事業展開の促進

 また、地域の持続的な発展をもたらすためには、継続的に新たな挑戦が行われる環境を醸成していくことが重要でありますことから、起業や新たな事業展開を促していくための施策を抜本強化してまいります。具体的には、起業の準備段階から事業立ち上げ後までの支援策を次の3つのポイントにより強化いたします。
 一つ目は、起業や新事業展開の取り組みに対するサポート機能の強化であります。来年度、新たに起業推進室を設置して、県内外からの起業や新事業展開に関する総合的な窓口として様々な相談に対応するとともに、事業化後も事業が地域にしっかりと根付き、さらに成長できるよう、関係機関と連携しながらサポートしてまいります。
 二つ目は、土佐まるごとビジネスアカデミーをベースとした、学びからビジネスにつなげるまでの起業化プロセスの強化であります。まず、起業に関するノウハウを集中的に学べる講座を新設するなど、起業を志す方にとっての学びの環境を充実してまいります。また、本年度から実施しているアイディアソンなどといった新事業のアイディアを生み出すプログラムを拡充するとともに、それらを実際にビジネスプランにまで仕上げる連続講座に新たな課程を設けるなど、アイディアを生み出し、事業につなげる場を拡大してまいります。さらに、学んだ成果を試す場となり、県外からアイディアを呼び込む仕掛けとなるビジネスプランコンテストを新たに実施し、優れたビジネスプランの事業化を支援してまいります。
 三つ目は、ビジネスの立ち上げに必要となる資金調達に関する支援の強化であります。創業等支援融資制度の拡充に加え、ビジネスプランコンテストの入賞プランを支援するための補助金や、小規模な事務系職場の起業や立地を促進するための補助金を創設するなど支援策を強化いたします。
 以上のような一連の支援策の強化を通じて、起業を志す方々を全力でサポートすることにより、本県が起業のメッカとなるよう取り組んでまいります。

2 日本一の健康長寿県づくりについて

 次に、日本一の健康長寿県づくりについてご説明申し上げます。
 これまで、本県が抱える様々な課題に対して、保健、医療、福祉それぞれの分野で取り組みを進めてきた結果、各分野において一定の成果も表れてきているところであります。しかしながら、働き盛り世代の死亡率が依然として高い、過疎化、高齢化のより進む中山間地域では福祉や医療サービスの提供が困難になっている、県内で一定数の子どもたちが厳しい環境にある、結婚・妊娠・出産の希望が実現していない、介護人材の不足が見込まれるなど、解決すべき課題も多く残されております。
 このため、今般、第3期日本一の健康長寿県構想を策定し、「県民の誰もが住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることのできる高知県」を目指して、こうした本県が抱える5つの根本的な課題に対して、より重点的かつ骨太に対策を講じていくことといたしました。

(1)壮年期の死亡率の改善

 一つ目の柱は、壮年期の死亡率の改善であります。本県の40歳から64歳までの男性の人口10万人当たり年齢調整死亡率は、全国平均を上回る人数が平成21年には92人であったものが、昨年には28人とおよそ3分の1になるなど、一定改善傾向にありますが、それでも、いまだに全国に比べて高い状況にあることに変わりはありません。
 このため、来年度は、健康づくりのための県民運動「ヘルシー・高知家・プロジェクト」を推進することとし、新たに実施する「高知家健康パスポート事業」などにより、県民の健康意識のさらなる醸成と行動の定着化を目指してまいります。具体的には、特定健診の受診や健康関連のイベントへの参加、運動施設の利用などを通じてポイントをためることで取得できるパスポートを発行してまいります。このパスポートは、県民の皆様が協力店舗でご提示いただくことにより料金の割引など様々な特典を受けられるとともに、運動施設の利用などを継続してさらにポイントをためることにより、健康的な商品などが当たるキャンペーンに応募していただける仕組みといたします。加えて、このパスポートをプラットホームとして活用し市町村やその他の保険者にも独自の事業を展開していただくことにより、県民の皆様の日々の健康づくりにつなげてまいりたいと考えております。
 あわせて、子どもの頃から健康的な生活習慣を定着させるため、引き続き、全ての小中高等学校において副読本を活用した健康教育を行いますとともに、来年度は、食生活改善推進員の皆様による食育活動を通して児童への健康教育を充実し、子どもが学校で学んだことを家庭内で実践することにより保護者などを巻き込んだ健康づくりの実践につながるよう取り組んでまいります。
 そのほか、死亡原因の第1位であるがんについて、早期発見、早期治療に重要な役割を果たすがん検診の受診率向上を目指します。また、心疾患や脳血管疾患などの血管病については、正しい生活習慣を促す特定健診の受診勧奨の取り組みを進めるととともに、特定保健指導について、高知県栄養士会にその一部を担っていただくことにより、実施率の向上を図ってまいります。

(2)地域地域で安心して住み続けられる県づくり

 二つ目の柱は、地域地域で安心して住み続けられる県づくりであります。
 県民の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることのできる高知県を実現するため、高知型福祉のバージョンアップとともに、在宅医療と介護のサービス提供体制の充実強化を図ってまいります。
 まず、地域福祉活動を推進する拠点として定着してきたあったかふれあいセンターについて、在宅生活を支えるための機能を強化してまいります。具体的には、元気な高齢者の皆様が介護を必要とする状態に至らないよう、リハビリテーション専門職の派遣などを通じて介護予防サービスの提供体制を充実するとともに、認知症の方とその家族や地域住民などが集い語らう場となる認知症カフェの設置を推進してまいりたいと考えております。
 あわせて、高齢者をはじめ、子どもや障害者が地域地域で安心して暮らし続けられるよう、あったかふれあいセンターや民間事業所などが小規模で複合的な福祉・介護サービスなどを提供する場合に必要となる施設の整備を支援してまいります。
 次に、県民の皆様の「療養が必要となっても住み慣れた地域で生活を続けたい」というニーズに応えてまいりますため、中山間地域において在宅医療を選択できる環境の整備を推進してまいります。
 具体的には、不採算となる遠隔地への訪問看護サービスに対する支援や、高知県立大学への寄附講座の設置による訪問看護師育成などの取り組みを継続するとともに、身近な地域で療養の相談ができるようあったかふれあいセンターでの訪問看護師の相談活動を実施いたします。あわせて、在宅療養を希望する入院患者が適切なリハビリテーションを受けられるよう、回復期機能を担う病床を確保するなど、在宅医療への円滑な移行を支える医療資源の充実に努めてまいります。
 また、地域の医療提供体制の核となる医師の確保については、これまでの奨学金制度や高知医療再生機構によるキャリア形成支援事業などに加えて、新たな専門医制度への移行を念頭に、県中央部と中山間地域の中核的医療機関で勤務しながら総合診療専門医などの資格を取得できる環境を整備してまいります。

(3)厳しい環境にある子どもたちへの支援

 三つ目の柱は、厳しい環境にある子どもたちへの支援であります。
 生活の困窮という経済的な要因のみならず、家庭の教育力や地域社会の見守り機能の低下などを背景に、県内でも一定数の子どもたちが学力の未定着や虐待、非行、いじめなどといった困難な状況に直面しております。こうした子どもたちの将来が閉ざされることのないよう、本年度から、教育や福祉などの分野を中心として、課題解決に向けた取り組みを強化しているところであります。来年度からは、現在策定作業中の子どもの貧困対策計画に基づき、子どもたちの発達や成長の段階に応じ、幼少期においては生活や就労面などの保護者への手厚い支援が中心となり、学齢を重ねるに従って学びの場や居場所づくりなどの子どもたち自身を見守り育てるための支援を中心としていく形で、支援策をさらに強化いたします。
 出生から乳幼児期にかけては、児童虐待を防止し、子どもたちの命の安全、安心を確保するため、県が積極的な支援をすることにより、市町村における母子保健と児童福祉の連携を強化してまいります。具体的には、母子保健分野では、市町村に子育て世代包括支援センターを設置するなどして、保健師などの専門職が乳幼児健診の未受診などを端緒にして支援の必要な家庭のフォローをスタートさせ、必要に応じて児童福祉へとつなげる仕組みを作ってまいります。また、児童福祉分野では、市町村の要保護児童対策地域協議会を中心に、行政と民生委員、児童委員などが連携して地域での見守り体制を構築し、個別ケースに応じた見守り活動を行うこととしております。県としましては、このような市町村の取り組みを保健師の派遣などにより全面的に支援してまいります。
あわせて、件数が急増している虐待通告への的確な対応や要保護児童対策地域協議会の活動支援のため、中央児童相談所の人員体制を大幅に拡充し、相談支援体制のさらなる充実強化を図ります。

 さらに、子どもたちが成長するに従って、教育の分野での対応がより重要となってまいります。貧困の世代間連鎖を教育の力で断ち切ることを目指し、乳幼児期において、保護者の子どもを育てる力の向上などを重点的に支援するとともに、就学後は、放課後などにおける学習支援の充実や地域全体で子どもを見守る体制づくりなどを通じて、子どもや家庭が抱える課題の解決につなげてまいります。
また、いじめや不登校などの未然防止に向けて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を拡充するとともに、心の教育センターにおいて、ワンストップかつトータルな支援体制を構築してまいります。
 少年非行の防止対策につきましては、高知家の子ども見守りプランの推進により、引き続き、「予防対策」、「入口対策」、「立直り対策」の3段階での取り組みを、関係機関が一体となって進めてまいります。
 こうした取り組みを地域の皆様の力もお借りしながら、県や市町村など関係する支援機関が連携を強化して着実に進めることにより、本県の子どもたちの健やかな成長を目指してまいります。

(4)少子化対策の抜本強化

 四つ目の柱は、少子化対策の抜本強化であります。
 より多くの県民の皆様の結婚、妊娠、出産、子育ての希望をより早くかなえるとともに、理想とする子どもの人数の希望を実現するため、引き続き少子化対策の強化を図ってまいります。
 結婚支援については、婚活サポーターなどによる身近な地域での出会いの機会の創出に加え、来年度は、先月オープンしたこうち出会いサポートセンターのマッチングシステムを本格稼動して出会いの機会をより多く創出するとともに、相談窓口を増設し、県内3カ所で相談が受けられる体制とするなど支援策の充実を図ります。
 あわせて、「ファミリー・サポート・センター事業」の普及拡大や多機能型保育所の設置推進などの子育て支援や、イクボスの普及による仕事と生活の両立支援などといった、ライフステージの各段階に応じた切れ目のない支援策のもう一段の充実強化を図ってまいります。
 少子化対策の取り組みは、県民運動として取り組むことによってより大きな効果につながると見込まれますことから、来年度は、「高知家の出会い・結婚・子育て応援団」を創設し、これまで働きかけが十分とは言えなかった民間企業の皆様と協働した取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 加えて、こうした一連の取り組みについて、高知県少子化対策推進県民会議において、PDCAサイクルを通じた進捗管理を図りながら、県全体で少子化対策を推進していくことにより、県民の皆様の希望の実現を目指してまいります。

(5)医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化

 五つ目の柱は、医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化であります。
 国の介護人材需給推計によりますと、本県における介護人材は平成37年には901人の不足が見込まれております。高齢化に伴い今後増大する介護などのサービス需要に対応する人材を安定的に確保していくため、新たな人材の参入促進策や、人材の定着促進と離職防止対策の抜本強化を図ってまいります。
 具体的には、まず、新たな人材の参入促進については、地域で活躍する人材を安定的に確保するため、高校生や中山間地域などの住民の皆様を対象とした介護職員初任者研修への支援を充実いたします。あわせて、福祉・介護職場を離職した潜在的な有資格者の掘り起こしを図るため、再就業支援セミナーを開催するなど、対象者に応じたきめ細かな取り組みを進めてまいります。
 人材の定着促進と離職防止対策については、福祉研修センターの研修体制を充実し、処遇の改善につながるキャリアアップ支援を行うとともに、介護ロボットの普及促進や福祉機器などの導入支援により魅力ある職場づくりに取り組んでまいります。
 こうした取り組みを総合的に実施することにより、人材の確保と職場定着を促し、新たな雇用とサービスの創出を通じて産業としても育成、振興を図ってまいります。

3 教育の充実と子育て支援について

 次に、教育の充実と子育て支援についてご説明申し上げます。
 教育委員会では、これまで、高知県教育振興基本計画重点プランに基づき、教育改革を推進してまいりました結果、小学校の学力が全国上位クラスに向上するなどの成果が表れてまいりました。
 しかしながら、小中学校ともに思考力や判断力、表現力に弱さが見られますとともに、中学校の学力の改善状況はここ数年足踏み状態にあります。また、高等学校における不登校や中途退学などは改善傾向にある一方、小中学校における暴力行為や不登校者数などは依然として高い数値で推移するなどいまだに厳しい状況にあります。
 こうした本県の教育上の諸問題について、何が原因となり厳しい状況に陥っているのか、深く掘り下げて対策をしっかりと講じていくことが重要であると考え、これまで、私も参加する総合教育会議において議論を積み重ねてまいりました。この議論を踏まえ、この度、「教育等の振興に関する施策の大綱案」を取りまとめたところであります。
 教育分野では、この大綱に基づき、根本的な課題解決につながると考えられる次の3つの点を中心として対策をしっかりと講じてまいりたいと考えております。

(1)チーム学校の構築

 まず一つ目は、チーム学校の構築であります。
 学校を取り巻く課題が多様化、複雑化する中、個々の教員の力量のみに頼らず、教員同士がチームを組むとともに、外部の専門家や地域の人材の力もお借りし、学校が組織として目標の実現や課題の解決を図るチーム学校の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 こうした取り組みは、教員の大量退職に伴い、新規採用者数が増加している中において、若手教員を学校を挙げて育成していくことにもつながるものであり、大変有意義な取り組みだと考えております。
 まず、来年度は、組織のミドルリーダーの役割を担う教員の配置を拡充するなど、全教職員が学校の目標や課題を共有し、授業力の向上や生徒指導の充実に向けた具体的な取り組みを組織的に推進する体制を構築してまいります。
 また、教員同士がお互いの授業力を高め合うとともに、若手教員の人材育成を図るため、9つの中学校において、複数の教員が学年をまたがって同一教科を担当する、いわゆるタテ持ちの仕組みを導入し、教科主任や経験と力量を備えた教員が日常的に若手教員を指導するなどの取り組みを推進いたします。そして、こうした取り組みの成果を県内全域の学校に普及してまいります。
 このほか、高等学校におきましては、多様な生徒の学力状況や進路希望に応じた学習支援を強化するため、教員と学習支援員が連携し、インターネット学習教材を活用して組織的に指導する取り組みも推進してまいります。
 加えて、学習支援員や運動部活動支援員など学校外の方々の協力を得ることにより教員が子どもに向き合う時間をより長く確保するとともに、スクールカウンセラーなど専門的な人材を活用して不登校などといった学校だけでは解決が困難な事案に対応するなどの取り組みを進めてまいります。

(2)厳しい環境にある子どもたちへの支援

 二つ目は、厳しい環境にある子どもたちへの支援であります。
 先ほど概要を申し上げましたが、教育分野では、貧困の世代間連鎖を教育の力で断ち切ることを目指して、就学前から高等学校までの各段階に応じて切れ目なく親育ち支援や学習支援などの取り組みを行ってまいります。
 まず、就学前の子どもたちへの支援については、保護者に対して子育てに関する講話を実施するとともに、保育士などの保護者に対する支援力の向上を図るため、親育ち支援の研修内容を充実するなど、保護者の皆様に子どもを育てる力を高めていただくための取り組みを強化いたします。あわせて、厳しい環境にある幼児とその保護者に対して、保育者とスクールソーシャルワーカーが連携して生活習慣や生活環境を改善するための個別支援を行うなど、子どもたちが健やかに育つことのできる環境づくりを進めてまいります。
 また、就学後は、子どもたちの学習機会を確保するため、放課後などにおける学習支援の取り組みを大幅に強化いたします。具体的には、小中学校では、放課後等学習支援員の配置を91校から170校に拡充して学力の定着に課題のある子どもたちに対して個別の学習支援を行ってまいります。また、それぞれの学校が組織的、継続的に学習支援の質の向上に取り組むよう、学校訪問などによる助言や指導の充実を図ってまいります。加えて、放課後児童クラブや放課後子ども教室の設置を促進するとともに、保護者のニーズに応じた開設時間の延長などに対応できるよう支援策を拡充いたします。
 高等学校においては、授業や放課後の補力補習での学習指導を行う学習支援員の配置を延べ90人から116人へと拡充するなど、子どもたちの学力や進路に応じた学習支援をさらに進めることとしております。
 さらに、厳しい環境にあるがゆえに不安や悩みを抱える子どもたちや保護者に対応するため、教育相談支援体制のさらなる充実を図ってまいります。
 具体的には、スクールカウンセラーの配置校を293校から329校に、また、スクールソーシャルワーカーの配置数を69人から79人に拡充いたします。加えて、県内の教育相談機関の中核となる心の教育センターについて、より専門性の高いスーパーバイザーなどを新たに配置することにより、いじめや不登校などの子どもたちに関する相談を一元的に受理するとともに悩みや状況に応じて関係機関と連携しながら解決するまで相談者に寄り添う、ワンストップかつトータルな支援ができる体制を構築してまいります。

(3)学校と地域の連携、協働

 三つ目は、学校と地域の連携、協働であります。
 近年、家庭の核家族化や地域のコミュニティが希薄化していることなどに伴い、地域における地縁、血縁などのつながりが薄れ、従来子どもたちの成長を支えていた家庭や地域の子育て力の低下が問題とされております。また、学校が抱える課題は多様化、複雑化していることから、学校だけでは解決が困難な状況も出てきております。
 このような課題に対しては、地域の方々に学校と力を合わせて子どもたちを支え育んでいただくことが必要であり、教育の面においても子どもを育てる地域の縁を意図的、政策的に作り上げていくことが重要であると考えております。
 そのため、これまで、家庭と地域と学校が一体となって子どもたちを育てる仕組みである学校支援地域本部の設置拡大や活動の充実に取り組んでまいりました。現在、25市町村に92の学校を支援する43の地域本部が設置され、地域の多くの方々が学習支援や学校行事に参画するなど、地域で子どもたちを見守り育てる体制づくりが進んでいるところであります。来年度は、支援の対象をこれまでの小中学校に加えて、県立高校まで広げることとし、32市町村125校、61の地域本部が行う活動を支援してまいります。

4 南海トラフ地震対策について

 次に、南海トラフ地震対策についてご説明申し上げます。
 南海トラフ地震対策については、第2期南海トラフ地震対策行動計画に基づき、全力を挙げて取り組んでまいりました結果、避難路や避難場所、避難タワーといった津波避難空間の整備や公共施設の耐震化などが一定進捗してまいりました。これらの第2期行動計画の取り組みによる減災効果によって、東日本大震災の発生後に本県が推計した最大クラスの地震が発生した場合の想定死者数4万2千人は、1万4千人程度まで減る見通しとなっております。
 現在、策定作業を進めております第3期行動計画では、地震による死者数を限りなくゼロに近づけるため、津波避難対策はもとより、揺れ対策や火災対策なども含め、発災直後の命を守る対策の完成度をより高めてまいります。
 また、避難所の確保対策や医療対策など応急期の助かった命をつなぐ対策について、各対策の取り組み内容をさらに掘り下げて具体化させてまいりますほか、生活を立ち上げる対策についても、速やかな復旧と復興に向けた検討を加速してまいります。
 中でも、特に、住宅の耐震化や津波避難対策の実効性の確保など、第2期行動計画の取り組みにより見えてきた8つの課題については、重点的に取り組むべきものとしてしっかりと計画に位置付け、対策の見直しと新たな取り組みを進めてまいります。

(1)住宅の耐震化の加速化

 重点的に取り組むべき課題の一つ目は、住宅耐震化の加速化であります。地震による強い揺れから身を守り、安全で確実に避難するためには、住宅の耐震対策が不可欠でありますことから、市町村との連携の下、耐震診断の勧奨などの対策に取り組んでいるところであります。
しかしながら、住宅の耐震化率は、本年度末の時点で77パーセントにとどまる見込みであることから、いかにしてこれを100パーセントに近づけていくかが、地震津波対策を進める上でも大きな課題となっております。
 このため、全ての市町村において戸別訪問を行いますほか、低コスト工法を普及させる取り組みや住宅の耐震設計にかかる市町村の助成制度に対する支援を拡充してまいります。
 加えて、住宅の耐震化については、所有者の経済的負担が重いため、県民の皆様がなかなか改修に踏み出せないという大きな課題があります。このため、倒壊の可能性が高い住宅について、倒壊しないレベルまでの耐震化を一度に進めることができない場合であっても、まずは、第一段階として行う一定レベルの改修を支援する制度を創設することといたしました。この制度により、所有者の当面の費用負担を抑えつつ、現状よりは安全性を高めることを可能としてまいります。この新たな制度の活用を促すことなども含めて、全体的に耐震改修工事の加速化を図ってまいります。

(2)地域地域での津波避難対策の実効性の確保

 二つ目は、地域地域での津波避難対策の実効性の確保であります。現在、一人ひとりが確実に避難できるよう、南海トラフ地震対策推進地域本部が中心となり、住民の皆様と共に、現地での避難経路などの点検を県内の沿岸部全域で行っております。
 今後、沿岸部の19市町村508地域において、点検作業をさらに加速化するとともに、点検が終了した地域については、避難路をふさぐ恐れがあるブロック塀の撤去を支援するなど、避難のための課題の把握と対策を講じてまいります。

(3)避難所の確保と運営体制の充実

 三つ目は、避難所の確保と運営体制の充実であります。発災一週間後において、避難所の収容能力が県全体でいまだに約4万人不足する見込みであることから、引き続き、地域の集会所の耐震化や学校の教室利用などにより、避難所の収容能力の拡大を図ってまいります。加えて、市町村単位では必要な避難所の確保が困難な場合があるため、市町村域を越えた広域避難体制の構築も進めてまいります。
 あわせて、発災後には、住民の皆様が主体となって速やかに避難所を開設するとともに、円滑に運営していくことが必要となります。このため、本年度作成する県内10カ所のモデル避難所の運営マニュアルや、マニュアルの作成過程で得られたノウハウを生かして、県内全域において速やかに避難所の運営マニュアルが作成されるよう取り組んでまいります。

(4)地域に支援物資を届けるためのルートの確保

 四つ目は、地域に支援物資を届けるためのルートの確保であります。被災者の迅速な救助、救出、医療救護活動や支援物資の搬送など、応急期の様々な対策を進めるためには、被災地へのルートの迅速な確保が重要であります。このため、昨年度策定した道路啓開計画について、道路の啓開に必要となる日数の再算定や啓開作業の手順書の作成、啓開にあたっていただく建設業者の割り付け、建設重機の配置などの更新を行っているところであります。
 あわせて、被害状況によっては、道路啓開に長期間を要する地域が想定されることから、海上輸送の基点となる防災拠点港の耐震強化岸壁の整備や、孤立が想定される地域における緊急用ヘリコプター離着陸場の整備に対する支援などを進め、陸海空で連携したルートの確保対策を図ってまいります。

(5)前方展開型による医療救護体制の確立

 五つ目は、前方展開型による医療救護体制の確立であります。災害時の医療救護活動については、総力戦による地域ごとの医療提供体制の強化や県民参加の仕組みづくりを進めてまいります。
 本年度、県内10市町村6地域で、医師会の皆様などと共に、被害想定や医療資源の状況を踏まえた地域ごとの医療救護の行動計画づくりに取り組んでまいりました。来年度は、これらの地域の取り組みも生かしながら、多くの地域で行動計画が策定されるよう努めてまいります。
 また、災害時には、多くの負傷者が発生することが想定されますことから、日頃、救急医療などに携わっていない方も含めた県内全ての医師の皆様に医療救護活動に参画していただけるよう、災害医療に関する研修を実施しますとともに、県民の皆様にも救護活動に参画いただけるような仕組みも検討してまいります。
さらに、こうした地域の医療救護活動をバックアップする体制を作ってまいりますため、総合防災拠点について、県外への患者搬送の拠点やDMATのベースキャンプ、臨時の医療救護施設として円滑に活用できるよう、その機能を強化してまいります。
 加えて、災害時における地域での医師などのマンパワーの確保については、夜間や休日に地震が発生した場合には、県内の医師の多くは高知市付近に居住しているため、特に高知市以外の地域において医師が自力で参集することが困難な状況が想定されること、また、県外から参集したDMATの移動手段を確保する必要があることなどの課題があります。このため、地域の災害拠点病院や核となる医療救護施設に県内の医師やDMATなどを搬送する仕組みを検討してまいります。
 そのほか、孤立し医師がいない状態となる地域や長期浸水が想定される地域への対応といった残された困難な課題についても、市町村などと連携を図りながら検討を進めてまいりたいと考えております。

(6)応急期機能配置計画の策定

 六つ目は、応急期機能配置計画の策定であります。発災後の混乱した状況において、市町村内で使用可能な施設や用地が大きく制約される中、応急活動を迅速に進めることを可能とするためには、まずは、応急救助機関の活動拠点や支援物資の集積場所、応急仮設住宅の建設用地、避難所など、応急期に必要となる機能の配置をあらかじめ想定しておくことが重要となります。
 このため、現在、沿岸部の13市町村において、応急期機能配置計画の策定に取り組んでいるところであります。
 この計画を策定する中で、それぞれの市町村で不足する機能も明らかとなってまいりますため、市町村域を越えた活動が可能な応急救助機関の活動拠点や災害ボランティアセンターなどを中心とした広域での対応についても検討を進めてまいります。

(7)高知市の長期浸水区域内における確実な避難

 七つ目は、長期浸水区域内における確実な避難についてであります。高知市中心部では広範囲で長期間の浸水が想定されておりますが、救助にあたる人員や資機材には限りがありますことから、浸水区域内に取り残される要救助者数をできるだけ少なくすることが重要となります。
 このため、高知市と連携し、住民一人ひとりが避難先を決定し、確実に津波から避難することができるよう、地区ごとに避難行動を検証した上で津波避難計画の見直しを支援します。また、こうした見直しなどを通じて、より多くの住民の浸水区域外への避難が可能となるよう、早期避難の徹底を図ってまいります。さらには、長期浸水区域内の避難ビルに取り残された方々に必要となる対策や、速やかに救助するための資機材の整備を支援してまいります。

(8)震災に強い人づくり

 八つ目は、震災に強い人づくりを目指した県民への啓発の充実強化であります。昨年8月から9月にかけて実施した「地震・津波に対する県民意識調査」の結果によりますと、津波から早期に避難する意識が2年前から70パーセント程度で横ばいとなっていることや、地震による揺れの被害に対する危機意識はあるものの、住宅の耐震化や家具の固定などの行動につながっていないこと、さらに、依然として地震対策に関心を持っていない層が一定見られることなどの課題が明らかになりました。
 県民一人ひとりが自らの命を守り、つなぎ、生活を立ち上げていくためには、発災時のみならず応急期、さらには復旧・復興期において、自分や地域がどのような困難な状況に置かれることになるのかを想像した上で、そうであるならば現在どのような備えをしておくべきか、ということを意識して自助や共助に係る準備を進めていくことが重要となってまいります。このため、来年度は映像なども活用し地震発災から復興までのより具体的なイメージづくりができる啓発を行ってまいります。また、こうした取り組みに加えて、地域地域においても、地域本部が中心となって自主防災組織の活動を通じた啓発を進めてまいります。

5 インフラの充実と有効活用について

 次に、インフラの充実と有効活用についてご説明申し上げます。
 社会資本の整備が全国水準から大きく立ち遅れている本県においては、この整備水準を少しでも引き上げることが、県民の安全、安心の確保と地域経済の活性化につながります。このため、引き続き地域の実情を踏まえ、必要性や緊急性の高いインフラ整備に重点的に取り組んでまいります。
 四国8の字ネットワークの整備促進については、南海トラフ地震対策を進める上での「命の道」として、また、地域の経済活動を支える基盤として必要不可欠であり、重要課題と位置付けて早期のミッシングリンクの解消に向けた取り組みを進めているところであります。本年4月には高知東部自動車道のなんこく南インターチェンジから高知龍馬空港インターチェンジまでの開通が予定されており、これにより、整備率は53パーセント、供用延長は138キロメートルとなるなど、ミッシングリンクの解消に向けて着実に前進しております。引き続き、県内の東部や西南部に残るミッシングリンクの解消に向けてさらなる整備促進に取り組んでまいります。また、中山間地域などにおきましては、1.5車線的道路整備などを着実に進めてまいります。
 南海トラフ地震対策としましては、橋梁の耐震化や道路の法面対策を進めますとともに、河川や海岸堤防の耐震化、水門や排水機場の耐震及び耐水化を引き続き進めてまいります。
 特に、県人口が集中し社会基盤が集積している県中央部の被害を最小化するためには、浦戸湾の地震津波対策が急務であります。このため、最も手前で津波を受け止める第一ラインとなる高知新港の防波堤、そして、第二ラインとなる浦戸湾外縁から湾口部の防波堤や防潮堤、第三ラインとなる浦戸湾内部護岸、これら3つのラインで津波から防護する「三重防護」による対策の早期実施に向けて取り組んでまいります。
 現在、第一ラインとなる高知新港の防波堤については、その延伸と粘り強い構造への補強が進められているところであります。残る第二ライン、第三ラインの耐震対策についても早期に整備が実施されるよう、引き続き、国に働きかけてまいります。

6 中山間対策について

 次に、中山間対策についてご説明申し上げます。
 高齢者の暮らしを守り若者が住み続けられる中山間地域の実現に向けて、5つの基本政策を連携させながら、生活支援や鳥獣対策を着実に実施するとともに、経済面では、次の三層構造による取り組みを全力で進めてまいります。
 まず、一層目にあたる産業振興計画の成長戦略の取り組みを通じて、中山間地域の基幹産業である第一次産業を中心とした産業の育成を図ってまいります。
 そして、二層目にあたる地域アクションプランの取り組みを通じて、地域地域での取り組みがしっかりとしたビジネスとして確立できるよう支援してまいります。
 さらに、こうした成長戦略や地域アクションプランの取り組みが届きにくい小規模な集落などを対象に進めている施策が、一層目、二層目の取り組みと連動した三層目に位置付ける集落活動センターの取り組みであります。
 集落活動センターについては、まもなく県内22市町村30カ所での開設が実現する見込みであり、その中には、農業の複合経営拠点の取り組みとセンターの活動が効果的に連動するなど、今後のセンターの運営や他地域におけるセンター開設の良きモデルとなる事例も生まれてきております。
 来年度は、成長戦略や地域アクションプランの取り組みと集落活動センターの取り組みを連携させることをより強く意識して取り組むことにより、経済的な活動基盤を強化したセンターをロールモデルとして確立し、その取り組みを良き先例として県内に普及できるよう努めてまいります。
 加えて、センターの経済活動の拡充に向けた人材育成の強化や、それぞれのセンターのネットワーク化による情報共有や連携促進にも取り組み、将来的に県内全域で130カ所程度のセンターが開設できるよう取り組んでまいります。

7 少子化対策と女性の活躍の場の拡大について

(1)少子化対策

 次に、少子化対策につきましては、先ほども申し上げましたとおり、ライフステージの各段階に応じた切れ目のない支援策をもう一段充実させるとともに、官民が協働して取り組みを進めることにより、県民運動として展開されていくよう努めてまいります。
 このため、現在、高知県少子化対策推進県民会議の4つの部会において、来年度に予定している事業などを含め、官民協働による効果的な少子化対策の進め方について活発なご議論をいただいているところです。
 今後は、こうしたご意見なども踏まえ、民間企業や地域社会などとの連携をより一層深め、その実効性をこれまで以上に高めてまいりたいと考えております。

(2)女性の活躍の場の拡大

 女性の活躍の場の拡大については、結婚や出産、育児など様々なライフステージを迎える女性が希望に応じて働き続けられるよう、地域や職場など社会全体で取り組んでいくことが必要であります。
 このため、来年度は、ファミリー・サポート・センターによる地域での子育て支援と高知家の女性しごと応援室による就職を希望する女性への支援の2つを重点的に進めてまいります。
 一つ目の地域での子育て支援については、有償ボランティアが子どもの預かりや保育所などへの送迎を行うファミリー・サポート・センターの開設を大幅に拡充してまいります。
 具体的には、国の補助制度を活用した現行のセンターが、現在、県内で2カ所の開設にとどまっていることから、国の補助要件に満たない少人数の取り組みを県版ファミリー・サポート・センターとして県独自に支援することといたしました。さらに、センターを運営するための支援も拡充し、多くのボランティアに登録いただけるよう制度の周知を図るほか、新たにボランティアを対象にした研修を実施することなどにより、平成31年度末までに、高知市周辺及び県東西の市部を中心に県内全域でセンターが開設されるよう取り組んでまいります。
 二つ目の、就職を希望する女性への支援については、いったん子育てに専念するなど一定期間職を離れた女性が、これまでのキャリアを生かして再就職できる環境を一層整えるため、高知家の女性しごと応援室での復職支援などの取り組みをさらに充実してまいります。
 応援室では、本年度の就職件数が100件を超えるなどの成果が表れてまいりました。今後は、一人ひとりの適性や経歴に応じたよりきめ細かなキャリアコンサルティングなどを実施することにより、確実に就労につながるよう取り組んでまいります。

第3 その他

1 ルネサス高知工場について

 次に、ルネサス高知工場の集約に関してご説明申し上げます。
 現在、庁内に設置した対策本部とルネサスエレクトロニクス株式会社が立ち上げたプロジェクトチームにおいて、高知工場の譲渡先を確保するための継続的な協議を行っております。両者がしっかりと協力して、具体的な協議を進めていることから、まずは良いスタートが切れているのではないかと考えております。
 また、無償で譲渡を受けました第二棟用地については、昨年12月28日に所有権移転登記が完了し、今議会に財産処分について、所要の議案を提案させていただいているところであります。
 現在、県内外に、あらゆる機会を通じて、工場用地の情報を発信しているところであり、この議案をご承認いただきました場合には、速やかに公募に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。

2 伊方発電所について

 次に、四国電力伊方発電所の再稼働の動きに関してご説明申し上げます。
 伊方発電所3号炉につきましては、再稼働までに工事計画や保安規定の認可などのプロセスが残っており、現在、原子力規制委員会による審査が行われているところであります。
 こうしたプロセスの節目節目には、四国電力との勉強会を開催し、伊方発電所の安全対策に関する確認などを行ってまいります。また、これまでの勉強会の内容は、すでに県のホームページで情報提供させていただいているところでありますが、これに対していただきましたご意見の中から新たに生じる疑問につきましても、県として、勉強会の中で回答を求めてまいります。
 いずれにしましても、安全対策には終わりがなく、常に最新の知見をもって対策を講じていく必要がありますことから、今後も、四国電力に対しては、勉強会などを通じて安全対策の徹底を求めてまいります。
 また、危機管理上の観点からも万全の対応が必要であります。本県は、国が原子力災害に備えた計画の策定を義務付けている原発から半径30キロメートルの範囲内に入っておりませんが、万が一事故が発生した場合に備えて、伊方発電所から最も近い四万十市及び梼原町の避難計画の策定に向けて、両自治体と具体的な協議を進めているところであります。できれば再稼働までに、遅くとも再稼働後の早い時期までに策定が完了できるよう取り組みを進めてまいります。

3 新たな奨学金等制度の創設

 次に、本県を支える人材の確保に関連しまして、産業を支える中核人材の確保などを目的とした2つの新たな奨学金等の創設について、議案を今議会に提案させていただいております。
 一つ目は、産業人材の確保と定着のための制度であります。若者の県内企業などへの就職を促進して、本県経済を牽引するリーダーとなる人材の確保を図ってまいりますため、日本学生支援機構の奨学金を受けた方が県内に就職する場合に奨学金の返還を一部支援する制度を設けることとしたいと考えております。
 二つ目は、篤志家の方からいただいた貴重なご寄附を財源とした制度であります。意欲と能力のある学生たちに、家庭の経済状況にかかわらず安心して大学に進学し学業に専念することにより、卒業後、国や社会に貢献できる人材として大きく羽ばたいて欲しいとの寄附者のお気持ちに応え、学生が返還の義務を負わない育英資金を創設することといたしました。
 ご寄附に関しまして、改めて心から感謝申し上げます。

第4 議案

 続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
 まず予算案は、平成28年度高知県一般会計予算など41件です。
 このうち一般会計予算は、先ほど申し上げました5つの基本政策を推進するための経費などを中心に、4,625億円余りの歳入歳出予算などを計上しております。
 条例議案は、高知県行政不服審査法関係手数料徴収条例議案など38件であります。
 その他の議案は、公平委員会の事務の受託に関する議案など13件であります。
 以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
 何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

お問い合わせ

総合企画部 秘書課
TEL:088-823-9151
FAX:088-824-7745
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