公開日 2016年05月30日
〔平成28年4月1日(金曜日) 正庁ホール〕
(はじめに)
平成28年度が今日からスタートいたしました。先ほどまで200人近い方に辞令交付をさせていただきました。昨日は、多くの皆様、退職者の皆様をお送りし、非常に寂しい思いもいたしましたけれども、今日は、新しい新人の皆さんもお迎えをすることができ、ある意味、気持ちを新たに、本当にスタートをするときが来たのだなという思いであります。この平成28年度も皆様と共に県勢浮揚に向けて全力を挙げて取り組みをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
(仕事への基本的な姿勢)
まず、いつも申し上げていることでありますが、この28年度、仕事をしていただくうえでの基本的な姿勢についてお話をさせていただき、そのうえで県政運営のそれぞれの政策分野における大きな方針についてお話をさせていただきたいと思います。
この基本姿勢については、いつも申し上げていることでありますし、もう既に多くの皆様、そのように取り組んでいただいていることでありますけれども、基本の基本だと思いますので、何度でも徹底をさせていただきたいと思います。また、今日新しくこの会場においでいただいている皆様もおいでになりますので、改めてお話をさせていただきます。
(課題に正面から向き合う)
第1に、課題に正面から取り組むということが何と言っても大事です。高知県の場合は、課題解決先進県だという話をさせていただいておりますけれども、本当に前例のない未曽有な、ある意味、先の読めないような様々な課題を抱えているということがたくさんあります。そういう課題について、ある意味、時にはリスクもとって挑戦をしていかなければならないということだろうと思います。事なかれ主義であれば、当然、挑戦をしないという選択肢もありますが、それでは県民の皆様のためにならない。そうではなくて、やはり私たちは県民の皆様のためになろうという思いをもって、もしかしたら結果は出ないかもしれない、結果として失敗ということになってしまうかもしれないけれども、果敢に挑戦をしていくことが大事だろうと思います。
今までもそういう例があり、典型的なのは移住促進策だと思います。この移住促進に本格的に取り組むという話をしたときに、正直なところリスクが大きすぎるのではないか、という話もありました。しかしながら、今、多くの皆さんがこの移住促進策に全力で取り組み、一つ一つ数値目標もクリアをしていただいています。各過程においては本当に多くの困難があったことと思いますけれども、やはり課題に正面から向き合って、正面からがっぷり四つで取り組むという姿勢が一番大事なのだろうと思います。是非、皆さん、よろしくお願いをいたします。
正面からその課題に取り組もうとしたのであれば、結果として結果が出なかったとしても、私は怒りもしませんし、その結果の責任をとるのは私であります。是非、皆さんは一生懸命その課題に向けて全力で取り組んでいただきたい。ただ、重要な課題であるにもかかわらず、逃げ腰でもって、仕事をしない言い訳が上手で、そういうものから逃げて回っているということであれば、そのときは私は厳しく言わせていただきたいと思います。是非共にがっぷり四つで仕事、課題に取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
(創造性を発揮する)
2点目。我々が取り組んでいこうとしている課題には、多くの場合、解決策について先例はありませんので、是非、創造性を発揮していただきたいと思います。本県は真っ先に人口減少に突入した県であり、ある意味、日本がこれから行く道の最先端を行っている県であります。ある課題について、どこそこの県の話を聞けば、例を見れば答えが分かる、そういう場合もあるでしょう。先進事例には是非学んだらいいと思いますけれども、本県の課題の多くについて、そのような答えはないだろうと思います。是非、それぞれ皆さん、創造性を発揮して取り組んでいただければと思います。いつも申し上げておりますけれども、高知県庁には先例主義ということはございません。私は先例がないからやらないなどと言ったことは一度もありません。是非、先例のないことをやって、良き例を皆さん自身で作っていっていただきたいと思います。
(官民協働、市町村政との協調)
そして3点目。官民協働、市町村政との連携・協調。この点を引き続き徹底をしていただきたいと思います。全ての施策は、結果として県民の皆様のためにならなければいけないのであります。県民の皆様のためになっていくためにも、県民の皆様と共に仕事をさせていただくということでなければ、実効性を上げるということはできないのだろうと思います。そしてまた、全ての高知県民はいずれかの市町村民であり、その市町村民の皆さんと一番近い市町村政としっかりベクトルを合わせて取り組みを進めていくことができなければ、結果を出すことはできないだろうと思います。官民協働、市町村政との連携・協調の姿勢を引き続き徹底をしていただきたいと思います。官民協働、市町村政との連携・協調を徹底していくためにも、それぞれの政策分野について、自分の言葉で、何ゆえにこの政策をしなければならないのかということについて、その意義について県民の皆様に説明ができるということが大事だと思います。民間の皆様にも、そして市町村の皆様にも、県としてはこういう意義があるがゆえにこういう政策をしようと思っているんです、ということを自分の言葉で語っていただくことが大事だと思います。是非よろしくお願いします。
いつも申し上げておりますけれども、最悪の説明は「知事が言っているからこれをやるんです」などというのはナンセンスであり、全く意味がない。私が言っているのは、県民の皆様のためにこうお役に立つからだろうと思うから言っているのであって、県民の皆様のためにこうお役に立つのだろうということを自分の言葉で県民の皆様に、市町村の皆様に語ることができるということが大事だと思います。そして大いに説明をしていただいて、そうしたらいろんなお声を頂くでしょうから、そのお声をよく聞いていただいて、そして政策運営に生かしていただければと思います。庁内にも広報広聴課があるように、良き広聴をするためにも良き広報をしないといけません。腹に入った言葉で自分で説明をして、そうしたら本当に心のこもったご意見や、反論などいろいろなご意見を頂けるので、そのご意見を是非よくお聞きをして、政策運営に生かしていただきたいと思います。
(全国区の視点を持って仕事を進める)
4点目。全国区の視点ということを常々申し上げてまいりました。この点は引き続きどうぞよろしくお願いをいたします。高知県の施策を展開していくに当たって、高知の中だけで閉じ籠もってしまっては絶対にいけません。いろんな施策を展開していくに当たって、是非、全国の皆様と良きネットワークを築いて取り組みをしていただきたいと思います。高知県の中だけで閉じ籠もってしまったら、どうしても視野が狭くなってしまうかもしれない。もっと言うと、産業振興にしても何にしても、目指しているのは地産外商であり、外といかにネットワークを作り上げていくかということが大事になります。南海トラフ地震対策にしても、日本最高、世界最高の知見をこの高知県に導入して県民の皆様方の命を守っていかなくてはなりません。そのためには、いかに日本の様々な人たち、世界の様々な人たちとネットワークを築き上げていくのか、いろんな意味で高知県にとってこれは大事なことであります。いろんな政策を推進するに当たって、委員会などを立ち上げたりすることがありますでしょう。是非、高知県の人だけではなくて、県外の皆様にも、いろんな学者の先生にもこの高知にも来ていただくよう、皆さん、そういうふうに働きかけをしていただき、良きネットワークを築いていただきたいと思います。危機管理部はずっとそうやって取り組んできました。おそらく日本のテレビに出られている様々な地震学者の先生は、ほぼ危機管理部の皆さんはご存じの方ばかりであり、結果として、いろんな地震学の知見というのがこの高知県を実証フィールドとして生かされるようになってきています。是非、全国区の視点を持って、全国とのネットワークづくりということにも心がけていただきたい。また、皆さんも機会があれば、国の様々な委員会であるとかネットワークとか、そういうものに積極的に身を投じていっていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
(職員の心身の健康への留意とモチベーションの維持)
そして5点目。何と言いましても、職員の皆さんの心身の健康が第一であります。特に所属長の皆様方は、それぞれの部下、職員の皆様方の心身の健康に大いに留意をしていただきたいと思います。いつも申し上げておりますけれど、私が就任させていただいたときは、この高知県庁の残業時間というのは全国でも最下位クラスでしたが、今や全国平均を上回る状況になってきています。急激に忙しくなっていることからも、本当に皆さん頑張っていただいているということだと思います。私自身ももう一段残業を減らしていけるように工夫もしていきたいと考えておりますので、皆々様方も是非、心身の健康のために残業時間を減らすように努力をしていただきたいと思います。
そして、その上でも、やはり忙しいだろうと思いますが、忙しい中においても心のモチベーションをしっかり保って、体の健康を維持していくためには、是非、所属長の皆さんには次のことをお願いしたい。すなわち、それぞれの所属において今何をしようとしているかということを是非、所属員一人一人に徹底をしていただきたい。何をしようとしているのか、その政策目的の意義とは何か、いかに意義深いことなのか、そして、その目的を達成するためには、どのような道筋をたどろうとしているのか。逆に言うと、どういう道をたどっていけば、その目的を達成できると見込んでいるのかということを所属のそれぞれ一人一人に是非徹底するようにしていただきたいと思います。どんなに忙しくても、やっている仕事が意義深く、そして頑張ればできると思うことができれば、多くの人はモチベーションを維持できると思いますので、是非、その点をよろしくお願いします。
以上が、いつも申し上げております5つの基本姿勢ということでございます。もう私も8年仕事をさせていただいて、それぞれ職員の皆さんに、この点は随分徹底をしていただいているなという実感を持っておりますけれども、年度当初、改めてこの点をもう一度お願いを申し上げたいと思います。
(平成28年度の政策運営)
そのうえで、この平成28年度の政策運営について、それぞれの5つの基本政策と2つの横断的な課題について、これからそれぞれの所属で運営方針を作って検討していかれることとなりますでしょうから、是非ご参考にしていただきたいという思いで、各政策についての大きな方向性について、この場でお話をさせていただきたいと思います。
(産業振興計画)
まず、産業振興計画について、地産外商の取り組みにしても、一定、数値的にいろんな成果が出てくるようになってまいりました。本当に皆様方の大変なご尽力のお陰であります。また、有効求人倍率など、マクロの数値にも一定良い形で結果が出てくるようにもなってまいりました。本当に皆さんよく頑張っていただいて、心から感謝を申し上げる次第であります。しかしながら、年間2,000人を超える方が高知県から流出をしています。過去の景気回復局面時の半分とはいえ、まだ2,000人を超える人が出ていっており、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県を実現していくために、やるべきことはまだまだたくさんございます。
第3期の産業振興計画の目指すところは、地産外商の取り組みを更に強化し、その成果を拡大再生産の好循環に乗せていく仕事をすることです。持続的な拡大再生産のパスに高知県経済を乗せることができれば、あとはじわじわっと高知県が良い方向に向かっていけるだろうと思います。地産外商という点においては、一定成果は出てきましたが、それが次の更なる地産の強化、そして更なる外商の拡大、更なる地産の強化という形につながっていっているかというと、まだまだ弱い部分があると思います。そのため、今回、地産外商の取り組みに加えて、「拡大再生産」という政策群を新たにユニットとして組み込むこととしたところであります。
拡大再生産を図っていくための施策の第一は、担い手の確保をいかに図っていくのかということです。これは、担い手がいなければ、時間軸を紡いで先々に事業を展開していくことができず、取り組みが一過性に終わってしまうということになるので、是非とも必要なことです。
2点目が、産業クラスターを作るということ。点の取り組みをいかに面にするか、この取り組みを是非進めていきたい。一次産業から三次産業までの多様な仕事を、多くの場合、一次産業を核としたクラスターとして地域地域に作り上げていきたい。
そして3つ目に、新たな起業、新事業展開というものが活発に行われる県を作り上げていく、これは質的な拡大再生産と言っていいだろうと思います。常に良き新陳代謝が図られる、そういう経済構造となるために、そのことを是非達成していきたいと考えています。
地産外商の取り組みとこの拡大再生産の取り組み、第3期計画の期間を通じて我々はこの政策を徹底して実行し、高知県政の良き好循環を作り出していきたいと思います。これを実行していくに当たって非常に大事なことは、関係各部が真の意味で連携を深めていくことだと思っております。今までも連携を深めてプロジェクトチームを作ってやっていただきましたが、更になお一層この点を徹底をしていただきたいと思っています。
例えば、商工労働部。商工労働部は、第3期の産業振興計画では、事実上、拡大再生産推進部になります。例えば、企業立地課は産業クラスター形成、この主役となるはずであります。新産業推進課は起業促進の取り組み、そして産業クラスター形成の取り組み、その主力となるはずであります。経営支援課は地域の産業クラスター形成の主役となるだろうと思いますし、新たなミニクラスターを作り上げていく、その主役ともなっていくだろうと思います。雇用労働政策課は移住促進策と組み合わせて、担い手確保のための取り組みをする課になっていくのだろうと思います。これは一つの例ですけれども、商工労働部がこれから拡大再生産推進部の役割を担っていくことになります。
観光振興部は、一次産業の取り組みとそれぞれ関連をしていくことになるだろうと思います。クラスターを作っていくということは、すなわち、水産業×(かける)観光という産業群を作り出していくことで、高知県の漁村に観光客に来てもらって、外貨を地元に落としてもらえるような、ゆえに若い人たちもそういうことにいろいろ夢を持って取り組んでみようと思えるような、そういう地域を作り上げていくということなのだろうと思います。観光振興部は、クラスター案件に全て関わっていくことになるだろうと、そういう意味において、また一次産業部局をはじめ、多くの皆さんとの密なる連携ということが必要になってまいります。
(中山間対策)
産業振興計画に関連することとして、中山間対策については、成長戦略を実施する第1層目の政策。地域アクションプランを行っていく第2層目の政策。そして、それらの恩恵を地域地域の集落に発展させて普及させていくため集落活動センターが取り組む第3層目の政策。この3層構造での取り組みをこれからも進めていくことになります。そのときに、中山間地域対策課の仕事と、一次産業関連部局の仕事と、産業クラスター関連部局の仕事と、観光クラスター形成部局の仕事が密に絡まって、全ての交差点にいるのが集落活動センターという形に持っていかなければならないのだろうと思います。
言うまでもないことでありますが、それぞれの部は「うちの仕事はこういう仕事をする部です」ではとどまりません。要するに、それぞれ地産外商の強化とともに拡大再生産の実現ということに全て関わっているのだというつもりでお仕事していただきたい。今までもそうしていただいておりますが、是非そういう形でお願いを申し上げます。難しい課題でありますが、今まで取り組んできた中において、マクロの指標も改善してきているなど、一定我々として、やればできるという思いが地産外商の成果を拡大再生産につなげていく、第3期産業振興計画の所期の目的を達成できるよう、皆さんと共に頑張らせていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
(日本一の健康長寿県づくり)
日本一の健康長寿県構想については、第2期計画から第3期計画にかけて、大幅に刷新いたしました。皆様ご案内のとおり、高知県の抱える5つの根本的な課題に政策目的を重点化し、それぞれの施策を骨太化した形で第3期計画は組み立てているつもりであります。
この5つの課題とは、第1に、壮年期の死亡率の改善を図ること。第2に、住み慣れた地域で住み続けられる高知県を作ること。第3に、厳しい環境にある子供たちへの対策をしっかりと行っていくこと。そして第4に、少子化対策を推進していくこと。そして第5に、保健・医療・福祉の各産業、特に人手不足という大きな課題を抱えている中で、これらの産業がしっかりと機能を発揮できるようにしていくこと。それら一連の5つの目的に向かってそれぞれ重点化し、施策の骨太化を図っています。
この指し示すところとしては、これからはその政策目的、政策目標の達成を目指して、各部局連携をしていただいて、政策を実施していくということになるということです。もっと言うと、今までどちらかというとアウトプット目標、これを追求する場合というのもたくさんありましたけれども、これからはアウトカム目標をより重視しての政策展開ということが必要になってきます。具体的には、結果として壮年期の死亡率を更に改善させられたか、結果として住み慣れた地域で住み続けられたという形に持っていけるかということであります。第1期、第2期の長寿県構想を通じて、例えば壮年期男性の死亡率について全国平均との乖離率が3分の1になるなど、そういう形での改善が見られていることは確かでございます。しかし、先ほど申し上げた5つの課題というのは引き続き残っており、厳しい環境にある子供たちへの対策を含め、更に言えば、中山間で高齢者の皆さんもできる限り住み続けられる県づくりを進めるためにも、いろいろとこれからクリアをしていかなければならない課題というのは多いのだろうと思います。是非なお一層、アウトカム目標というものを意識していただいて、この第3期構想の期間に、先ほど申し上げた5つの課題それぞれが確実に好転したと言えるような取り組みを是非お願いを申し上げたいと思います。
(少子化対策と女性の活躍の場の拡大)
関連して、少子化対策と女性の活躍促進については、特に少子化対策について言えば、県民運動までいかに高められるかということが大きなポイントとなってまいります。応援団、企業の皆様方にいかに実効ある仕事を我々と共にしていただけるような体制が作れるか、ここが肝だろうと思います。
女性の活躍促進という点について、一言で言えば、子育てをしながら働き続けることのできる環境をいかに整備できるか、高知家の女性しごと応援室の取り組みを進めてきて、就職件数も随分増えてきており、皆さんの頑張りのお陰だと思います。加えてこれから、ファミリーサポートセンターの県内への普及など、新たな取り組みにチャレンジをしていかなくてはなりません。是非、長寿県構想の取り組みを、女性の活躍促進、少子化対策の取り組みと共に前に進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
(教育改革)
そして4点目。教育改革の取組については、教育大綱を策定いたしました。教育委員会の皆様と私も1年かけて議論をさせていただいて、有識者の皆様方ともいろいろとご議論をさせていただいて、先日、教育大綱を策定をさせていただいたところでございます。
今までも教育改革の様々な取り組みを行ってまいりました。例えば、教材を強化することでありますとか、さらには学校経営計画を作り、新たな組織としての動きを展開することであるといった取り組みを進めてきました。小学校の学力は全国下位から全国上位へと飛躍するという成果も出てきていますけれども、中学校の学力が引き続き低迷したままであることや、不登校の問題に課題があることとか、体力のことについてもまだまだ課題のある分野があり、更に取り組みを進めていかないといけない。いや、むしろ近年伸び悩んでいるからこそ、更に事態を打開していくためにも、私たちとしての取り組みをもう一段強化しなければならないのだろうと思います。
今回、教育大綱の策定に当たって、なぜ、どうしてそういう課題があるのかということを繰り返し繰り返し問い続けたつもりであります。何ゆえに学力は向上しないのか、何ゆえに子供たちにもう一段勉強を教える力が全体としてもう一段向上しないのか、その向上しない原因は何なのか。これだけ先生もご多忙の中において、どうしてこういう形で結果が出ない側面があるのか、そういうことなどをいろいろと検討をしたところです。
その結果、チーム学校の取り組みを進めよう、若い先生をベテランの先生がバックアップするような仕組みを作ろう、外部の専門家のお力もお借りして、もう一段先生方が子供たちに向き合う時間をとれるようにしよう、そういうことを是非進めようということとなりました。そしてもう一つ。やはり高知の場合は、厳しい環境にある子供たちへの対策というのが大事であり、その取り組みを更に強化をしよう。放課後の学習支援など、こういうことももう一段充実させていこう。そしてその2つを成し遂げていくためにも、地域の人材にも助けていただく、地域との協働による学校教育というものが大事です。
チーム学校、厳しい環境にある子供たちへの対策、地域との協働、この3つを柱とした教育大綱を策定したところであり、この教育大綱に従って、子供たちのために全力でもってもう一段、その教育改革の取り組みを前に進めていきたいと思います。是非とも、新しい教育大綱の初年度ということになりますけれども、皆々様方、教育委員会の皆さん、福祉部局とも大いに連携をしていただいて、取り組みを進めさせていただければと思います。ただ、教育大綱は作ったばかり、実行元年の年であります。現場とのいろんな乖離があるかもしれませんので、現場の皆さんの声を聞いて、次なる改善につなげていけますように、そういうPDCAサイクルを良い形で回していけるように、その点もまた是非ご留意をいただければと思う次第です。
(南海トラフ地震対策)
そして、南海トラフ地震対策、インフラ整備の取り組みについてであります。南海トラフ地震対策については、今まで、どちらかというと、発災直後の命を守る対策に注力をし、応急期の対策については、まだプランニングという段階であったかと思います。この第3期の行動計画において、特に耐震化などの発災直後の対策について、大きく課題が残っている分野にも更に注力するとともに、応急期の対策について、実行段階に本格的に移っていくということが大きな課題となります。言うまでもないことでありますが、応急期の対策というのは、人々の生活が絡んでくる話になり、地域性が非常に高い課題ということになると思います。地域本部の体制も大幅に強化をしているところでありますけれども、是非是非、地域地域で実効性ある対策をとっていくことができるように、地域の連携を密にしていただきながら、この応急期対策の実行に全力を挙げていただきたいと思います。
そしてまた、土木部の皆様方にも是非、皆さんのお仕事は全庁に絡む仕事をしておられるわけでありますので、引き続き、全庁的な視点を持って土木行政の推進を図っていただきたいと思います。是非、我々知事室においても、よく皆さんと協議も重ねさせていただきながら、全体をにらんだ土木運営行政の推進ということにつながっていくように、引き続きよろしくお願いを申し上げます。
以上、平成28年度の県政運営の大きな方向性についてお話をさせていただきました。これから皆さん、それぞれ各課の経営方針の策定をされて、この4月の中旬から私とそれぞれ協議をさせていただくことになるわけでありますけれども、是非皆さんで良き検討、徹底した検討をしていただいたうえで、じっくり協議をさせていただければと思います。
(情報の共有)
最後の最後です。いつも申し上げていることでありますが、一番大事なこととして、悪い話ほど早く副知事か私に上げてきてください。良い話も聞かせてはもらいたいと思いますけれども、基本的に悪い話ほどできるだけ早く、まだ答えが出てなくてもいいですから、悪いことが起こったということだけで構わないので、副知事と私のところに話を上げてきていただきたいと思います。悪い話とは、不祥事が起こったとかそういうことだけではありません。例えば、官民協働で進めなければならない政策運営であるところ、そこがうまくいかなくて、結果として政策の推進が大いにこれが滞ってしまったということもあるだろうと思います。悪い話ほど私か副知事に速やかに上げていただきますよう、とにかくお願いを申し上げたいと思います。時にまだ答えが決まってないので答えが決まるまで待ってましたと言われる場合がありますけれども、それでは駄目です。悪い話の答えはそんなにすぐには見つからないと思いますので、まずは悪い話が起きたのだという段階で構わないので速やかに教えていただくようにお願いを申し上げたいと思います。対応策はそれから考えていけばいいのであって、その点は是非徹底をしていただきたい。そして、各所属においても、部下職員から皆様のところに、悪い話ほど速やかに上がってくるような所属の体制づくりというのを徹底していただきたいと思います。危機管理の観点からも、政策運営の観点からも、官民協働の観点からも、これは非常に大事なことだと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
(おわりに)
それでは皆さん、平成28年度いよいよ本日からスタートでございますが、本年度も県勢浮揚を目指して、皆様と共に知恵を出し、汗をかかせていただきたいと思います。高知県民の皆様のために全力でもって頑張らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。