平成28年10月27日  知事の定例記者会見

公開日 2017年01月18日

更新日 2017年01月18日

三笠宮崇仁親王殿下薨去
「世界津波の日」高校生サミットin黒潮
職員の不祥事
鳥取県中部地震
TPP(環太平洋経済連携協定)
国勢調査
元集落支援員による不祥事
参議院選挙における一票の格差
ラグビーワールドカップ
防災先進県としての取組
参議院合区問題(1)
新中高一貫教育校の校名
住宅の耐震診断
地産外商
高知県広域食肉センター
参議院合区問題(2)

【動画】知事の定例記者会見

三笠宮崇仁親王殿下薨去

(知事)
 本日、三笠宮崇仁親王殿下の薨去(こうきょ)の報に接し、大変驚きますとともに、深く悲しみを覚えております。崇仁親王殿下におかれましては、昭和43年には中浜万次郎銅像除幕式に、また平成14年には寛仁親王殿下とともに高知市でご講演をいただくなど、本県にも度々ご来県いただいておりまして、県民の方々とも親しく接していただいたところでございます。県民とともに衷心からお悔やみを申し上げたいと、そのように思います。県といたしましては、ご薨去を悼み、明日10月28日金曜日、午前9時より本庁舎玄関ホールにご記帳所を設ける予定としております。また、全庁舎で半旗を掲げて哀悼の意を表したいとそのように思うところでございます。
 改めまして、衷心からお悔やみを申し上げます。

 

「世界津波の日」高校生サミットin黒潮

(高木・朝日新聞記者)
 世界30カ国の高校生が災害への備えを話し合う「世界津波の日」高校生サミットが来月の25、26日、黒潮町で開かれます。次世代を担う各国の若者が今後、防災で連携していくことにつながると期待されますが、知事としてのサミットにかける思いや期待についてお聞かせください。

(知事)
 この度、日本他29カ国、全部で約600名の方々にご参加をいただく、非常に大規模な高校生サミットが開かれます。このことについては、本県の高校生にとっても、防災について学ぶとともに、多くの外国の高校生の皆さまと交流することができる、ある意味非常に多様な国際交流を行うことができる大変貴重な機会が得られるわけでありまして、子どもたちにとって本当に素晴らしい体験になることと思います。また、外国から来られる高校生の皆さま方にも、ぜひ高知の防災対策をよく知っていただいて、それぞれ自国における防災・減災対策にお役立ていただければと考えているところです。
 併せまして、今回、これだけ外国からたくさんの皆さんがお出でになるわけでありまして、このこと自体、非常に本県の魅力の発信にもつながっていくと思います。海外PRにも大変強力なよい機会をいただいたということなのではないのかなと思っているところです。
 政府、黒潮町とともに準備に全力を上げまして、この高校生サミットをぜひとも成功裏に終わらせたいと考えているところです。

 

職員の不祥事

(高木・朝日新聞記者)
 修学旅行中に男児にわいせつな行為をしたとして、高知市の小学校の男性教諭が強制わいせつ容疑で県警に逮捕されました。県教委の調査に対し、教諭は他にも13人の男児にわいせつな行為をしたと認めています。また、県教委による懲戒処分は2014年度は6人、昨年度は7人で、今年度は既に9人にのぼっています。今回の逮捕事案と今年度になって懲戒処分が増えていることについて、知事のご所感や今後の対応策をそれぞれお聞きします。

(知事)
 まず、今回の逮捕事案については、本当に言語道断、極めて悪質な行為だと思っています。本当にこのようなことになってしまいましたことについて、私からもお詫びを申し上げなければならないと思います。本当に申し訳なく思っております。
 本来であれば、児童生徒の健全育成に全力で取り組むべき教員であるにも関わらず、生徒の人権を無視し、そして精神的苦痛を与えるということは、これはあってはならないということだと思っているところです。今回、学校教員への信頼度、こちらに対して与えるダメージというのは非常に大きいものがあるだろうと思っています。今後、しっかり信頼回復に向けて取組を進めていかなければならないと、思っています。
 今年度、既に9人に上る懲戒事案が出ているということでありまして、この点についても重く受け止めなければなりません。今年度発生した事案のみならず、前年度までに発生した事案に基づく懲戒処分が今年度になったという事案もあるわけですけれども、引き続き高止まりしている、またそれ以上であるということは率直に言ってそのとおりだと考えているところです。この点について、いろいろ要因を分析していく中において、次の2点について大変気をつけていかなければならないということなのだろうと思っています。
 1点目は、若い先生、臨時教員が引き起こした不祥事というのが大変増えてきているということです。大量退職時代を迎えた今、若い先生方の大量採用期に入っている中において、若い先生方についてのケアをもう1段しっかりしていく必要があるのではないか、公務員倫理ということなども含めた、きめの細かい研修などを工夫していく必要があるのではないかということです。これらにつきまして、もう一段、教育委員会で取り組まれるということでありますけれども、私としても総合教育会議の一員として、しっかり役目を果たさなければならないと、そのように思っています。
 そして、2点目でありますけれども、正直なところ、例えば全国学力学習状況調査をはじめとしまして、全体としては本県の先生方というのは大変頑張っていただいていると思っています。そういう中において、多忙感ということもあったりもしますでしょう。やはり最後は個人の責任でありますけれども、残念ながらそういう中において、個人のコントロールを失ってしまって、不祥事を起こしてしまうという事案も出てきたりしているわけですね。やはりそこは周りが、どうも彼はえらく疲れているようだねとか、彼はどうもちょっと最近おかしいねとかいう形で、事前にしっかりとケアできる、そういう形になっていければ、こういう不祥事というのは防げるという側面があるだろうと思います。
 そういう点からしても、やはり今、教育大綱に基づいて進めておりますチーム学校の取組をよりスピード感を持って進めていく必要があるのではないかなと思っています。チーム学校の取組については、一つには例えば勉強を教える点などについて、OJTが機能する学校にしたいという思いがあるわけですが、他方、専門人材を活用して、先生方が子どもに向き合う時間をもっと取れるようにしていこうという側面もあるわけです。さらに加えて言えば、全体としてチームとして動いていく中において、お互いサポートし合って、特に先輩が後輩をサポートするなどという形で、お互い心身ともにより気持ちよく、より積極的に前向きに仕事ができるように職場環境をつくっていこうというねらいもあるわけでございます。
 チーム学校の取組については、今年度緒に就いたばかりでありますけれども、若い先生や臨時教員の方が増えてきているという中において、こういう懲戒事案も増えてきていることなどに鑑みれば、なお一層スピード感をもって、このチーム学校の取組を進めなければならないなと、そのように考えている、感じている、そういうことです。

 

鳥取県中部地震

(高木・朝日新聞記者)
 鳥取県中部で、今月21日に震度6弱の地震が発生し、一時2,800人以上が避難所などに身を寄せたほか、多数の負傷者が出ました。高知県でも今後の災害対策を進めていく上で、課題に感じた部分があればお聞かせください。

(知事)
 まずは、今回の鳥取地震で被災されました皆様方に対しまして、心からお見舞いを申し上げたいと思います。高知県といたしましても、応急危険度判定士などを派遣して、応援させていただいているところでございますけれども、鳥取県の早期の復旧、復興に向けて、私どもとしてもできることをしっかり行ってまいりたいと考えているところでございます。
 今回の鳥取県における地震の課題として、「繰り返す揺れに対する対応」があると思います。この対応は非常に重要だと思います。今日のお昼のテレビ報道では被害にあった棟が2000棟を超えるということです。けれども、やはり、繰り返す揺れにどうやって対処していくのかという観点から、本県においても耐震の度合いをさらに上げていくなど、やらなければならないことは多いなと思っています。
 熊本地震におきましてもほぼ同様の対応でありました。熊本地震を踏まえて検証をして、南海トラフ地震対策の見直しを行っておりますので、その中で概ねこの鳥取地震における教訓というのは、包摂できるのではないかとは思いますが、改めてこの鳥取地震の中身というのを、さらに詳しく検証して私どもの対策に生かせるところはないか探っていきたいと思っています。
 もう1点は、やはり今回、未知の活断層が揺れて地震に至ったということです。この点についても改めて留意しなければいけないなと思いました。本県の場合は、本県全域において、地震は発生し得るものだというふうに、多くの県民の皆さんが思っておられると思います。やはり、地震というのはどこでも起こり得るので、耐震対策をはじめとした地震対策というのは全てしっかりと進めていかなければならないと思います。その点を改めて旨としたいと思いますし、また啓発もしてまいりたいとそのように考えております。

 

TPP(環太平洋経済連携協定)

(木田・時事通信記者)
 TPPの関係で2点お伺いしたいと思います。政府与党はTPP承認案・関連法案の今国会での早期成立を目指している一方で、野党はそれに反対しています。TPPがどうなるかによって、本県の農業などへの影響も変わってくるかと思いますが、尾﨑知事としては、今国会でのTPP早期承認の是非をどのようにお考えになるかと、今国会でのどのような議論、野党の対応を求めていくのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

(知事)
 今回TPPについて、承認について急いでいる背景には、アメリカの大統領選挙があるのだろうと思います。トランプ候補はTPPに反対であり、クリントン候補についてはいわゆる見直して再交渉をという方向で、多分議論が展開されていくことになるだろうと思います。
 そういう中において、政府のみならず、国会においても現行の案に基づいて、これでフィックスしていこうとする意思をぜひ示していきたい。そういう意図というのは、国益を守ろうとする中において分かるところはあります。今後、そうは言っても、非常に大事な点があるのだろうと思っております。そういう大きな国際情勢の中において、日本の国益をどう守るかという観点からは急がなければならないということでしょうけれども、それはそれとして勘案していきながらも、何と言っても中小の農業者の方々に対してダメージが及ぶかもしれないということについての対策をしっかり議論するということは、是非お願いをしていきたいと、考えております。
 これまでのところ、補正予算においても、例えば、産地パワーアップ事業などについて非常に大規模な予算措置がされております。このTPP対策に関連した取組というのを政府として、去年の秋に出された「総合的なTPP関連政策大綱」の内容に沿って着実に実行してきていただいているわけですが、まだ今後検討することとなっている項目があります。また、当初予算でどうなるかという話もあります。さらに言えば、いわゆる執行されてから以降に講じられることとなっている措置についての制度設計をどうするかなど。そもそもそういうところから議論しなければならない項目も残っているわけであります。しっかりとそちらについて議論をお願いをしていきたいと思います。

(木田・時事通信記者)
 衆議院高知2区選出の山本農林水産大臣が18日にTPPの承認案・関連法案について、強行採決の可能性に言及し、その後発言を撤回しました。また、衆議院の比例四国選出の福井てる議員も9月29日に強行採決に言及し、その後、衆院のTPP特別委員会の理事を辞任しています。地元縁の国会議員のこうした発言をどのように受け止められましたか。

(知事)
 強行採決をあらかじめ想定するということは、よくないということだろうと思いますし、お二人ともそういう気持ちでいらっしゃるものと考えています。
 山本農林水産大臣は、採決は国会で決めることだと伝えたかったというふうに説明をされ、また発言も撤回をされており、文字通りそういう趣旨でおっしゃりたかったのでしょうけれども、少し誤解を生じる発言であったことを認め、撤回をされたということかと思っています。そのように受け止めたいと考えさせていただいています。
 正直なところ、山本農林水産大臣にしても福井先生にしても、私もよく存知上げておりますけれども、ある意味田舎の選挙区の中で、あっちこっち駆け巡られて日ごろより政治活動をしておられる方々ですから、田舎の農業、田舎の一次産業の厳しさということはよくご存知の方々だと思います。ですから、そういう意味において、このTPPのプラスの側面はもとより、負の側面についてもよくよく思われて日ごろより取組を進めておられると思っています。
 ですから、そういうお気持ちでおられるという中において、少し残念ながら誤解を招く発言があったということだろうと思います。ぜひ、これからの田舎を大事にしていただいて、その田舎を大事にした一次産業行政を展開していただきたいものだなと思います。

(遠藤・高知さんさんテレビ記者)
 改めてTPPなんですが、国会での承認を求めて審議が進められていて、明日にでも早ければ衆議院特別委員会で採決が行われる可能性もあります。先ほどの強行採決の話もありますが、知事はこれまでも他県の知事とも連携して、国に対してこのTPPの承認審議というのは慎重な姿勢をと再三提言されてきました。
 改めて、この採決のタイミングに、今の国会にどのような審議、どのような姿勢を求めたいとお考えでしょうか。

(知事)
 大局的な採決のタイミングについての国際情勢をにらんだ判断というのは、やはりそれは国全体としての判断があるだろうと思っています。ただ、一つもうちょっと議論をしていただきたいと思っていますのは、やはり国内、なかんずく先ほどから言っていますが、中小、零細な事業者に対してどのような影響が及んで、それに対する対策は十分なのかということについての議論というのをぜひ深めてもらいたいということ。これは間違いのないことです。
 TPPの特別委員会だけでやることではないだろうとは思いますけれども、今、衆議院で議論していただいていますが、またさらに参議院もあります。しっかりそこのところの議論はもっと深めていただきたいと考えているところであります。
 また、29年度の当初予算の編成という観点からも、この点というのは非常に大きな争点になるのではないでしょうか。ぜひそこのところの議論をしっかり深めていただきたいと思います。

 

国勢調査

(柴山・毎日新聞記者)
 昨日発表された国勢調査の確定値についてなんですが、県内全域でも人口減が認められて少子高齢化が進んでいます。そのことについて、どう思われるかというのと、一方で大川村など一部の自治体で若年人口が増加に転じていると、そういうことについてもどういうふうに評価されているかお聞かせください。

(知事)
 今回、人口を見ますと5年間で3万6,180人減少して、72万8,276人となったということでありますが、ひと言で言うとこういう傾向そのものについては、もう従前からこういう傾向を辿ってきていますし、その明確な理由として言えば、高齢人口が若年人口より圧倒的に多いという人口ピラミッドの構成が背景にあるわけでありまして、ある意味、驚くべきことではないだろうと思っています。
 問題は、このような形でトータルの人口が減っていく中において、人口減少のダメージというものをいかに少しでも軽減し、さらに言えば、そういう中にあっても一人当たりの、例えばGDP(県内総生産)でありますとか、もっと言えばお一人お一人の暮らしというものをいかに改善させられるような取組をするかという、それこそが一番大事なことだろうと思います。そして、何十年単位のスパンで見たときに、そういう取組がしっかり行われているが故に人口が若返る方向に転じる、そしてまた人口が増加する方向に転じていく、ただこれは何十年スパンで考えなければならないことだと思っていますが、そういう方向に転じていくようにしていくということが、県政としては大事なことだろうと思っています。
 ですので、今回の国勢調査で人口が減ったことをもってして、全てが駄目ということは決してないと、そのように思います。既に私どもとして取り組んでおりますような地産外商を徹底していく。そういう中において中山間を大事にしていく。そして、その中において少子化対策などについても、しっかり講じていく。こういう県政全体の方向性を、しっかりと今後も加速していきたいと考えているところです。
 そういう中で、ご指摘のありましたように少し明るい兆しがあるとすれば、この年少人口割合です。こちらが本山町、土佐町、大川村、それぞれで5年前に比べて上昇しているという状況になってきています。いわゆる嶺北地域が年少人口割合が増えてきていますよね。ぜひこの年少人口割合を段々増やしていき、それが生産年齢人口の増加につながっていくという方向が、本県の目指す方向でありますから、ある意味、真っ先に高齢化が進んだ地域でかつ地産外商も含め、大変ご尽力しておられるような地域において、こういう形でいい結果が出ているということは望ましいこと、素晴らしいことだと思います。ただ、まだまだほんの一部でありますし、兆しに過ぎないそういうような状況だろうと思いますから、今後もさらなる徹底をしていきたいなと、そのように思います。
 いつも申し上げているんですが、地産外商によって雇用を創出する、これが第一。そして、それに伴って若者の県外流出を防止するとともに移住を促進するという取組をする。この2つを通じて若者の定着増加を図る。そしてこれら、1番目と2番目の取組というのを特に出生率の高い中山間地域で徹底して行う、これが3番目。これによって出生率の平均値を上げていって、さらに4番目として少子化対策そのものをしっかり講ずる。この四つの政策をトータルで講ずることで、若者の定着増加×(掛ける)出生率の向上、これにつながってトータルとして人口の構成割合が若返り、かつ人口増加にいずれ転じていく、そういう県をつくっていくことができるだろうと思っています。
 これは本当に総合的な政策ですが、他方、そういう総合的な対策というものを私どもは産業振興計画、長寿県構想、もっと言えば総合戦略に基づいて対応してきているわけでありまして、このことを今後も徹底していくということだと、そういうふうに思っています。

(今村・読売新聞記者)
 今の質問に関連してなんですけど、2町1村で増えた原因というのは、割合が増えている、大川村が実際に人口の数で見ても15歳未満の方が7人増えているんですけど、何で増えているのかというのを、知事なりの分析をお聞かせください。

(知事)
 移住でしょう。

今村・読売新聞記者
 移住促進がうまく進んでいるということですか。

(知事)
 だと思います。移住と言いますか、帰ってこられた若い方がおいでになられるとか、そういうことが起きているんじゃないでしょうか。

(今村・読売新聞記者)
 Uターンということですか。

(知事)
 Uターン、Iターン両方あると思います。ただ、もう少し分析してみなければなりません。私が今年、対話と実行行脚で大川村をお伺いしたときの感じから言わせていただければ、やはり最近、若い方が帰ってこられて村おこしの中心的な役割を担っておられたりするわけです。ご家族でお帰りになられて、お子さんも一緒に連れて来られてということでありまして、そういう形で、大川村の場合は効果が出てきているということじゃないでしょうか。
 大川村は、和田村長さんはじめ皆さんが本当に村おこしに一生懸命、全力で取り組んでおられる中で、若い皆さんのお力を取り込んで、これをしっかり活かしておられる。それに共感する若者がさらに帰ってきてという好循環が作られているということじゃないのかなと思います。

(今村・読売新聞記者)
 全体の減少率で見ますと、都道府県別で、秋田、福島、青森に次いで4番目の減少率の高さだという事実もまたあるわけで、それに関しては。

(知事)
 高齢化が先行している県というのは、というか高齢化率がピークに達しようとしている県ほどそういう形で減少率は大きくなっていきますよね。だから、逆に言いますと高知などはだんだん、減少率という点においては、抜けていくんだと思います。
 むしろ、これから高齢化が急激に進んでくる県の方が減少率というのはどんどん高まっていくと、そういうことだと思います。

(今村・読売新聞記者)
 むしろ、ピークが先にきているからこそ、今数字が高いんであって、それは一時的なもので、それは下がっていくだろうと。

(知事)
 いずれそういうふうになると思いますね。人口推計どおりになるならば、ですけど。ただ、その人口推計どおりでも駄目なので、もう少しそういう事態も改善できますように、先ほど言ったような政策をしっかりとらなければならないということだと思います。

 

元集落支援員による不祥事

(田北・共同通信記者)
 地域おこしに関わるとは思うんですけれども、先日大豊町の元集落支援員の男が大麻所持の疑いで、厚労省の麻薬取締部に逮捕されましたが、集落支援員ということで、県とか国の補助を受けて集落活動センターの立ち上げにも関わったということですけど、この件に関しての受け止めと、そのそういうふうに地域おこしをする、外から来た人が起こしたということで、こういった不祥事というのは何か減らせるような対策とか、防止することはできるのか、あれば所感をお聞かせいただければと思います。

(知事)
 本件について言えば個人の問題じゃないでしょうか。私もいろんな地域おこし協力隊の皆様など色々な方に接しますけど、多くの方々は集落の皆さんとしっかりと信頼関係を結んで取組を進めておられるというふうに思っています。
 私も対話と実行行脚などでよくお伺いしては、皆さんとお話をしますけど、本当に感心する、お若いのにしっかりしておられるなとか、また非常に感心するのはその中山間の農村漁村の皆さんが、この若い人をしっかり盛り立てていこうとされておられる。そういうほほ笑ましい姿は本当に素晴らしいなと思える姿をたくさん見てまいりました。私はそちらの方が中心だというふうに思いますね。
 どうしても数が増えてくる中において、こういうことも起こってしまうんでしょう。そういうことが起こってしまうときにあたって、やはり、それはそれでしっかりその時々において対処をするということなのかなと思います。

 

参議院選挙における一票の格差

(石井・NHK記者)
 先の参議院選挙の1票の格差の関係で、今月18日の髙松高裁判決のときもコメントもいただきましたけれども、合憲であるという司法判断が出ました。一方で他の高裁では違憲状態であるというような司法判断も出ていて、司法の判断が分かれている現状について、改めて合区についてもお考えも含めてご所見をお聞かせください。

(知事)
 まず、高裁判決についてでありますけれども、確かにおっしゃるように合憲、違憲状態の判断が分かれているところですね。この合憲の判断について、そして違憲状態の判断について、いずれも合区ということがやはり一つ判断材料として加味されているのかなと思います。
 二つの考え方に分かれていますね。合区ほどの取組みをやったのだから、一定の努力もされており、3倍を少し超える状態ではあるが、過去の選挙時と大幅に乖離しているとは言えない。故に合憲であるという方向の判断。
 もう一つは、特に厳しい方のご意見でいけば、合区をやったとは言え、もっと合区をやることができたにも関わらず、二つの合区に留まってるのだから、これでは不十分ではないかということで、違憲状態だという判決を下されていると、そういう状況なのかなと思います。
 ひと言で言えば、現行憲法下で一票の格差ということに著しく重きを置いて判断をするという観点からいきましたときに、この合区問題も含めて比較的厳しい判決がまだ出て来ているということは、そういう判断になるのかなと思います。ただ、一票の格差、やはり2段階に分けて、考えなければならないだろうと思います。
 第一に、一票の格差、これを是正すべきであるということ。一票の平等性、これを徹底していくべきである。それこそが選挙制度において、最大に価値を置くべきものであるという判断について、それを仮に是として、一定最高裁の判決からしてもそちらを是としなければ、現状では是とするということになるんでしょうけれども、その上においたとしても、私どもとしてはやはり合区という手段は不適切だと、そのように思っています。何度も申し上げておりますけれども、合区という手段でもって対応していけば、人口が減っている田舎ほど、その代表の声が国政に送れないということになってしまう。都会ほど、ますます国政において声が大きく反映されることとなる。それがさらなる集中化を産んでしまう危険性ということをよくよく考えなければならんのだろうなと、そのように思っています。
 そして2点目、やはり今回の判決を見ても、もう一段、本当に国会の議員の在り方というのは、一票の価値の平等という観点、こちらだけの判断でいいんだろうかということですよね。その他の価値というものもないのかということについて、やはりここは憲法問題としてしっかり議論していく必要があるなということを、今回の一連の高裁判決を読んでつくづく思ったところです。
 この点、やはり今回の高裁判決も分かれてますね。広島高裁松江支部の判決について、「憲法上の要請ではない都道府県代表を理由に投票価値の平等を犠牲にすることは、もはや憲法上許されないというべき」と、そのように判断をされてます。
 でも、高松高裁は、「都道府県が歴史的、経済的、社会的にも独自の意義と実体を有し、政治的まとまりを有する都道府県単位の選挙区とすることにより、住民の意思を集約的に反映させるという点で、相応の合理性を有する」、そういう判決をされているわけです。都道府県の位置付けについて、高裁の中でも判断が分かれてきているところですね。
 私は、この都道府県というものは非常に、もっと言いますと、地方自治の在り方というのは、憲法上もう一段重きを置かれるべきではないのかなと思っています。やはりそこのところの議論をしっかりしていくことが、本当の意味で根本的に問題の解決を目指していくにあたっては、避けて通れないというところなのではないかなと、そういうふうに思ってますけどね。
 ただ、まずは3年後の解消を目指していきたいわけですから、そういう観点から言っても、まずはこの「一票の価値の平等」という観点からしても、その達成手段としての合区というのは不適切だということ、その他の対応策というのをしっかり講じてもらいたいということ、このことを強く訴えていきたいなとそう思います。

 

ラグビーワールドカップ

(石井・NHK記者)
 2019年のラグビーのワールドカップに向けまして、明日、トンガのラグビーのCEOがいらっしゃるかと思いますが、実際、向こうから来られて具体性、実現可能性が高まってきたのかなとこちらでは感じている部分があるんですけども、改めて事前キャンプの誘致、実際キャンプの誘致、それについてのお気持ちというか、お考えをお聞かせいただければと思います。

(知事)
 明日ですね、トンガ王国の皆さんがおいでいただきますから、私もお会いさせていただきたいと思っています。いよいよ施設をご覧いただくという段階に入ってきましたので、ぜひ施設をご覧をいただいて、事前のキャンプについて少しでも前向きな感触が得られますように努力をしたいと思っているところです。来ていただいて、施設も見ていただく段階に達したということはありがたいことだなと、そういうふうに思ってますけどね。

 

防災先進県としての取組

(佐藤・朝日新聞記者)
 防災先進県としての高知を海外へどの程度知ってもらうかということで、3点順番にお伺いしたいんですけども、9月にJICAの企画で海外の研修員の政府職員の方々が視察に来たりとかですね、来月「津波高校生サミット」もありますし、知事は台湾、フィリピンへも防災用品の売り込みに出かけていらっしゃいますけれども、その防災先進県としての高知が海外にどの程度浸透しているかという受けとめを、まずお願いしたいんですが。

(知事)
 浸透という点ではこれからだろうと思いますけれども、少なくともフィリピン、そして先日は台湾へお伺いしてきましたが、防災先進県として私たちが売り込みをするにあたって、ひと言で言うと、手応えは感じていると、そういう状況かなと思ってます。
 やはり各国、特に東南アジアの皆さんは、各国は非常に防災・減災にこれから力を入れていかなければならないと思っておられる。その熱意というのは両国、台湾及びフィリピンともに感じたところでありました。おそらく、その他の国々においても同様の傾向にあるだろうというふうに感じ、推測をしているところです。
 そういう中において、本県の例えば台風、水害、大規模土砂災害に対する対応能力、さらには地震に対する備えとして培ってきた技術や製品というのは、やはり各国の今後の取組に非常に役に立つものではないかなと、私どもが感触として感じたところですね。
 私どものこの防災関連産業を、ぜひ輸出産業になるように育てていくことができればと思っています。

(佐藤・朝日新聞記者)
 すみません、あと2点。ちょっと長くなりますが、関連して、高知のどの部分が海外から手応えといいますか、評価されているのかということと、もう一つは、今後さらに防災先進県という高知を、海外へ売り込むために何をしていかれたいかということをお願いしたいんですが。

(知事)
 何が評価されてるかという点については、二つだと思います。
 一つは、やはり実際の経験に基づいたノウハウに基づいているということ。高知は本当に様々な形で災害に襲われてまいりましたので、災害に対する対応力というのを色々な形でみんな磨き上げてきてると思います。だから、やはりある意味実際、実践に根差してる、その点がまず評価されるということが一つ。
 もう一つは、津波対策などでもそうなんですが、あとは高潮対策もしかり、洪水対策もしかりなんですけれども、やはり膨大な量をこなしていかないといけない、防災・減災対策というのは、ハード面・ソフト面ともに膨大な対策を短期間に講じていかなければならないということなんだろうと思います。そういう膨大な対策を短期間で安く、早く講じていくことのできる製品というものを高知県はたくさん持っています。
 やはりそういうニーズに対応して、そういうものが生まれてきているということなんだろうと思いますけれども、ニーズに的確に対応する技術、極めて優れた技術者の皆さんがたくさんいらっしゃるということだと思うんですけれどもね、そういう点において、やはり防災・減災対策をスピーディに進めるうえで非常に役に立つ技術を持ってるという点も評価されてるということなのかなと、思います。
 今後どうしていくかということでありますけれども、去年の夏に副知事が台湾にお伺いをして、防災対策の売り込みをスタートしたというのが、外国向けの対応のスタートだったわけです。去年はそれで、今年多分4カ国ぐらいでそういう取組をして、大体1年ちょっと回っていく中で大分ノウハウがたまってきているのかなと思ってます。
 そのノウハウを生かしてPDCAサイクルを回し、さらに対応策を改善していきたいわけでありますが、国によって防災・減災対策の取組の重点とか力点とか、さらにはそのプロセスに違いがあると思っています。ODA対象国とそうでない地域との違いもあるだろうと思いますし、防災・減災ニーズそのものの違いもあるだろうと思います。それを踏まえて、国別のもう一段きめ細かな対応策・作戦を練っていきたいなと思っています。

(佐藤・朝日新聞記者)
 実践に根差してるというお話が先ほどありましたけど、やはりそれは今の多数の台風もそうですし、地震もそうですし、多数の被災体験に基づいて防災訓練を地域で力を入れているとか、そういったことですかね。

(知事)
 今でこそ大規模台風が来ても、あまり河川が決壊したりとかしたことはありませんが、私が子どものころはよく決壊していましたし、また多くの方が亡くなられてました。そういう状況を踏まえて、例えば堤防はこういうふうにつくっていく、河川の幅はこういうふうに広げていく、がけ、のり面についてはこういう対策を講じていく、さらには、高潮被害に備えて堤防はこういうふうにつくっていく、などということの知見をずっと積み重ねてきてるわけです。
 さらに近年は、南海トラフ地震対策、あのような34メーターといった衝撃的な想定が出され、これをどう乗り越えるかということで、みんなが一生懸命知恵を練ってきているわけでありまして、避難所において実践的に使える毛布だとか、避難所において実践的に使えるであろう食料品であるとか備蓄用食料であるとか、そういうことをみんな知恵を練って開発をされてきているわけでありまして、ある意味、困難に直面してそれを乗り越えようとして、みんなが練り上げた知恵に基づく製品だからこその実践的な製品ということだと、そういうふうに思ってます。

 

参議院合区問題(1)

(大野・高知新聞記者)
 合区について、ちょっと補足でお聞きしたいんですけども、基本的に一つ、県議会の9月定例会で「合区解消を求める意見書」というのが可決されております。それから、県内の市町村でもいくつか同様に「合区の解消を求める意見書」というのが可決されておりまして、こういう動きをどのようにご覧になっていらっしゃるか。
 それと県議会の意見書の内容なんですけれども、これ文言の修正等ありまして、「憲法改正」という文言が入らない形で全会一致でという方向で採決に持っていったというふうなことだと承知してるんですけども、その点についてどのようにお考えなのか。

(知事)
 まずは手段としての合区は不適切であるという点について、全会一致で意見書が可決されたということは意義深い、そのように思います。ですから、この点についてはしっかり国に対しても訴えをしていかなければならないと。この意見書の重みというのは非常に重いと思っています。
 憲法について触れることとならなかったという点について、先ほど私も2段階に分けてお話をしましたけれども、やはりこの憲法問題について触れていくということは重いと、私は先ほど申し上げたような考え方でありますけれども、全国知事会の中においても、この憲法論議について言えば、慎重に行うべきではないかというご意見もあったところでございました。やはりこの点については、ことがことだけにもう一段議論を要するという状況なのかなと思っていますけれども、それが表れたということかと思います。

(大野・高知新聞記者)
 知事の頭の中では、じゃあその2段階のようなその解消というか、まずは3年後の合区解消、その後、その抜本的な参院の選挙制度改革の議論をというようなことでしょうか。

(知事)
 本来であれば、そもそも今回の判決などを見ましても、憲法上の要請ではない都道府県代表を理由に投票価値の平等を犠牲にすることはもはや憲法上許されないとか、そういう判決も出されている中などにおいて、本当にその憲法上の要請でないところの都道府県云々、そういう議論でいいのかなと。やはり都道府県というものの重みということ、歴史的、政治的・文化的・社会的重みというもの、こういうものを憲法上もう一段加味しなくていいのかな、憲法としてどうなのかな、そこは議論しなければならないと、私は考えています。
 しかし、その点については、もう一段慎重であるべきだという議論も当然あってしかるべきだとそういうふうに思うわけでありまして、そういう意味では、憲法論議も並行的に行いながらも、やはり時間がかかるかもしれないという現実もまた受け入れなければならないだろうなと思ってます。時間がかかった結果として3年後の選挙、もっと言うと、投票日は3年後、もう3年を切っていますけど、実際に選挙運動なども考えればもう一段前から、政治運動・選挙運動を考えれば、もう一段前から選挙区がどうなるかというのは定まってることが望ましいわけでありまして、そういう意味では、憲法の問題について議論しつつも、3年後の投票日のときには合区でないという状況をつくり出すために、できる限り早く、よりスピーディに対応できる手段でもって合区解消を図るべきと、そういうふうに考えるということです。

(大野・高知新聞記者)
 もう1問。一連のこの判決、高裁判決の報道を受けてですが、先ほど知事もおっしゃったように、合憲であるという判決のところも、合区は緊急の措置としてやむを得ないであるとかですね、これ合区を容認しているというふうに取れる内容だと思うんですが。

(知事)
 そうですね。

(大野・高知新聞記者)
 違憲状態の判決をしたような高裁の判決も、著しいその「一票の価値の不平等」というのは解決されてない。これはもっと合区をやれというふうにおっしゃるように、そういうふうにも受けとめられます。全体の流れを見てますと、合区解消の当事県として、求める当事県として、何というか、悲観的というか、これじゃあほんとうに合区解消されるのかなというふうな不安もありますが、その中で、自民党が近く合区解消策をめぐってプロジェクトチームというのを立ち上げるような報道がありまして、そこに対する何といいましょうか、期待感というか、期待することというのをちょっと改めて一言をお伺いしたいと。

(知事)
 先ほど言われた高裁の判決、やはり現行憲法下ではそういう形で議論が展開をされていくのかなと。合区までやったのだからやむを得ないだろうと、今回は合憲だろうと。もっと言えば、合区をもっとやるべきだったのに、やらなかったから違憲状態だと。いずれにしても、合区については「ゴー」という感じなんですよね、やはりそこに危機感を感じます。
 現行憲法において非常にこの現実、当時はこれほど想定してなかったところの人口の格差が地域によって開いてくる中において、この憲法の中において、もう一段都道府県の意義というのをしっかり踏まえていただく必要があるのではないか。やはり憲法論議は必要だということを今回のこの判決の違い、判決の傾向を見て、やはり私どもとしては改めて危機感を感じているということです。
 ですが、もう1回言いますが、3年後にはぜひ解消してもらいたいと思っています。その観点からも、まずは憲法論議をしながらも、早期に解消できるための手段というのを講じていただくようにしなければならないということだろうなと、そう思ってます。
 自民党のPTには非常に期待しています。なぜかと言うと、まず、恐らくこういうことをおっしゃりたいんだと思うんですが、憲法改正推進本部も含めてのPTを構成していこうということでありまして、根本的な議論をしていきながら、併せて選挙区調整的な議論というものを、選挙区調整というか、いわゆる選挙制度の議論そのものも行うチームの皆さんも入っていただいての議論ということですから、まさにその並行的な議論に資するということなのではないかなと思います。それにご期待をしてます。

 

新中高一貫教育校の校名

(遠藤・高知さんさんテレビ記者)
 県立学校の統合の校名についてなんですが、先日、検討委員会の方で、須崎と須崎工業は須崎総合、校名等を一本化できました。一方、高知南と高知西の統合についてなんですが、公募の結果、高知西が9,000票弱、圧倒的な得票を得ました。その中で、ただ、他県ではこういった公募をする際に得票数、最多得票イコール必ずしもそれが採用されたケースではないというケースもあり、いろいろと他県でも問題になっております。
 知事自身、改めて今回の公募の結果の、まずこの高知西という名前が圧倒的な票を集めたことについてどのように受けとめられているかということと、やっぱり最終的に12月県議会に上げるために、11月中に県教委が決めなければいけないと思うんですが、この最終的な校名候補の絞り込みも期限が迫っていますが、どのようなこの短い期間の中で、この校名候補を絞り込んでいくべきではなかろうかというふうに、公募の結果も踏まえてお願いいたします。

(知事)
 こちらはもう校名に関する検討委員会の皆様に、絞り込みについてお任せをしているところですから、そこの点について今、私がコメントをしない方がいいだろうなと、そういうふうに思いますけどね。校名に関する検討委員会と、そしてまた教育委員会の議論を待ちたいと、そういうふうに思います。

 

住宅の耐震診断

(村上・高知新聞記者)
 先ほど知事も鳥取地震の見えたところということで、耐震の重要性をおっしゃってました。先日発表された県民世論調査の中間結果の報告の中で、旧耐震の家の持ち主の77%が耐震診断を受けたことがないという結果が出たんですけども、それについて、知事は率直にどう受けとめられたか。

(知事)
 そうですね、ひと言で言いますと、もう一段私どもとしての啓発の取組を強化しないといけないなと思いました。あの熊本地震を受けて、今年度上半期の申込状況を前年同期と比べますと、耐震診断については約2倍、設計は約1.4倍、改修は約1.2倍という状況で、大きく伸びてはいるんです。大きく伸びてはいるんですけれども、やはりそのアンケートを取ったら、まだ77%の方が受けてないという状況でした。
 その理由を見ましたときに、やはり費用が高額で出せないと、住宅所有者の費用負担、これがもう非常にネックになっている。従前から予想されたところではありますけれども、改めてそうだということでありました。ただですね、耐震診断は今高知市を含む24市町村では補助金を出しているから原則として自己負担は3,000円程度という状況です。さらに設計についても、22市町村で補助金額の上乗せをしていて、20市町村ではほぼ無料という状況です。さらに改修についても、大体平均工事費、今167万円ぐらいというようになってきつつあって、従前に比べても随分安くなってきているという中、いろいろな補助金もあります。
 比較的安価に対応ができる状況になってきていますし、補助金は事業者に直接払い、住宅所有者の方は差額のみを用意すればいいというような代理受領制度も今28市町村で普及してきています。さらに部分的な段階的改修、暫定的なものですが、これは極めて安価に耐震改修できます。そういう手段なども講じてきているところでありまして、比較的安く耐震改修できるようになってきていますので、耐震改修をぜひ進めていただきたいと思います。
 そして、こういうことを私どもももう一段しっかり県民の皆様にお伝えしなければならないなと思っています。ぜひメディアの皆様にご協力いただきたいと思いますし、私ども、市町村の皆さんとともに個別訪問の取組をしてるんですけど、こういう中においてしっかりとご説明をしていかなければならないと思っているところです。
 (耐震診断を受けていないのが)77%というのは割合として高いですね。随分今年になって耐震改修の申込件数など増えているので、少しいい傾向かなと思っていました。いい傾向なんでしょうけれども、まだまだだなと、少し危機感を持っています。もう一段啓発を強化したいと思っています。

 

地産外商

(高田・日本経済新聞記者)
 最近、四万十の水産物であったり、新高梨だったり、作物が非常に不作だったり激減してるというような話が目立ちますけれども、高知に限ったことでなく、全国的な異常気象なのであると思うんですが、その高知の地産外商のベースになるそういう作物とかが非常に不安定な状態になっているということに対する認識という部分と、そこに対して調査・研究だったり、重点的にマークしなきゃいけないようなものを持ってらっしゃるのか、そういう部分を。

(知事)
 本県は食品加工について、非常に加工比率が低いと昔言われていました。その品物をどれだけ加工するかという観点において全国的にも非常に低い県だと言われていましたが、その理由の一つとして、原料の供給というのが非常に繁閑があって不安定だということも背景にあると言われたりもしていたところです。やはりどうしても自然のことでありますので、いろんな作物について取れたり取れなかったりするということはあるとは思うところです。
 取れたり取れなかったりすること自体というのは、ある意味やむを得ないところがある。この点について少しでも収量が安定するように、私どもとして様々な、いわゆる公設試験場、公設農技センター等がありますので、そういうところで応援をさせていただくような取組をするとともに、併せて、例えば加工とか関連産業への広がりを展開していく中において、不安定さというボトルネックを解消していくような手立てというのを講じていくことは極めて大事だと思っています。
 そのやり方はいろいろあって、例えば養殖業の振興をしていこうということは、水産加工の安定化においては極めて重要なことであります。そういう捕り方そのものを変えていくような形で対応していくということもあれば、例えば冷凍保存などのインフラをもう一段整備するという形で対応していくということもあると思います。
 ご指摘のように、そもそも収量があまり多くない、絶対値が少ないがゆえに振れ幅が非常に大きくなってしまうというところが高知の場合はありますので、気候変動などによる要因にはよく注意し、また、環境破壊などの要因がある場合にはそれらを排除し、克服するような生産技術などについてしっかりと研究を重ねていきますとともに、先ほど申し上げたような川上・川中・川下、流通経路、トータルの中での工夫などによって対応していければなと、そう思います。

 

高知県広域食肉センター

(中田・高知民報記者)
 食肉センターの件ですけれども、先日、在り方検討委員会では、現行の枠組みでは廃止すべきだという答申が出まして、そこに県がオブザーバーで参加していて、そこの場では、いや、要るんだと、と場は必要だということでかなり何というかな、かなりの決意でこう発言されたと思うんですけれども、今後、県が事務局になって、中心になって残すための検討委員会をやりましょうということが発表されていましたけれども、そこへの何というか、決意といいますか、やっぱり並大抵のことではないと思うので、知事の腹構えといいますか、それをお聞かせいただけますか。

(知事)
 私はですね、食肉センターについては、やはり県全体の畜産業、さらには県全体における消費の確実性、安全性確保、そういうトータルの視点からこのセンターの在り方というのは考えていくということ、こういう視点も大事だろうなと思っているところであります。
 食肉センター単体で仮に赤字になるとしても、生産から流通・加工、そして最終的な消費に至るまでの間において、十分なる公益が生み出されていくということであれば、公益を生み出していくために、センターというのは公共財として一定赤字を負担していくということになると考えていくことも大事ではないのかなと、私はそのように思っています。
 食肉センター単体の赤字は大変大きな問題でありますけれども、ただ、食肉センターが公共財として、他がうまくいくようにするために一定赤字を被っているという側面もまたあるんだろうと思うんです。やはりそこのところにも着目して考えたときに、果たしてどうだろうか。高知の場合、零細な畜産業者の皆様方も多い中において、高知ではやはり近くに食肉センターがなければ大変なことになってしまうのではないかとか、それから大消費地においてもやはり身近なところに食肉センターがあるから安全・安心なお肉を手にすることができるということになるのではないか、というふうに思っているところです。
 私どもとしては、この食肉センターというのは公共財として絶対的に高知県において必要だと、そのように思っているところであります。この点について、食肉センターの件については、私どもは本当に部分的な関与にこれまではとどまってきていて、その事務組合の皆様方において大変なご尽力をされてきたわけでありますから、その今までのお取組に敬意を表し、そしてまた私どもも今後お知恵をいただいていかなければならないと、そのように思っているところであります。県としましてはそういう役割を果たせる食肉センターをつくり上げていくために、今後の検討を重ねていきたいと思っているところです。
 在り方検討委員会のこの答申案、現在の枠組みによる事業運営は廃止という答申案だというふうに承知していますし、また、岡﨑市長も新たなステージでの議論に移ると述べて、高知市として県の協議にも参加しようという意向も示していただいた承知をしているところでございます。ぜひ皆様方のお知恵を賜りながら、ご教示をいただきながら、私どもとして新たな食肉センターの在り方について検討を重ねたいと思います。
 ちなみに11月上旬、恐らく11月10日を予定しておりますけれども、新食肉センター整備検討会、まだ仮称でありますが、県が事務局となってこちらの検討会を立ち上げたいと、そのように考えているところです。

(中田・高知民報記者)
 市町村からですね、結構何というかな、県不信とは言いませんけれども、そうは言うが、結局県はお金を出すんですかという議論が結構あるんですよね。結構いいことを言うけれども、バッと市町村に放り投げるんじゃないかというような不信感といいますか、長年の積み重ねみたいなものだと思いますけど、かなり感じるんですが、そこはちゃんとお金も出すということでしょうか。

(知事)
 尾﨑県政において、県でしっかりやりますと言って、やらずに市町村に丸投げしたことはありますかね。

(中田・高知民報記者)
 いやいや、だから、そういう議論が聞こえたというのがあるので。

(知事)
 いや、ないと思いますね。だから、ぜひご信頼いただきたいと思います。県としてしっかり役割を負うということかと、そういうふうに思ってます。
 ただ、ちょっと長い検討経緯の中で、今の枠組みを前提とした議論を県としてもしてしまってですね、市町村の皆様方にちょっと不信感を抱かれてしまった側面があるのかもしれません。ただ、今の枠組みを前提とせず、今度は県がより前面に出て対応しようという方向で行こうということでありますから、もうこれからは新しい枠組みの中でぜひ対応させていただきたいとに思っています。県として、県全体の中で必要な施設だと思いますので、しっかり我々としての役割を果たさせていただきたいと思っております。

 

参議院合区問題(2)

(木田・時事通信記者)
 合区の関連なんですけど、先ほど合区によって地方の声が届きにくくなるという懸念のお話をいただいて、前回の参議院選で徳島・高知選挙区から初めて議員が選出されて3カ月以上になりますが、これまでで国への政策提言などの面で合区の影響を感じることというのはありましたか。

(知事)
 今のところはありませんね。徳島出身の中西先生も大変頑張っていただいておりますので、そういう意味においては、それから私自身も東京に頻繁に参りますし。
少し誤解があってはいけませんので申し上げますが、陳情の声が届かなくなるので残念だというようなことを言ってるわけではない、そうではないのです。国全体の国会議員の数を見たときに、首都圏中心の国会議員の数が圧倒的に多くなる、結果として、いろんな国政を論ずるにあたって、東京一極集中、それの何が悪いんですかという人が多数派になってしまうような国になってしまったら、果たして日本はどうなるんだと、そういう議論をしているのです。 ですから、私どもとして、確かに数が少なくなるとその陳情の声も通りにくくなるとかいうこともあるでしょう、それ自体も問題ですが、もっと懸念をしているのは、国政において首都圏中心の議論ばかりがどんどんどんどん進められる。なぜなら、首都圏出身の議員さんが圧倒的多数だからだという形で、国政を論ずるにあたって、田舎がどんどん切り捨てられるということでいいのかと、そういうことを申し上げたいということです。
 日本において、すばらしい自然があって、すばらしい食料を生み出していく、これは田舎ですね。いろんな意味で多様な文化、文化の多様性というのを生み出してきたのは田舎です。そして歴史においても、田舎から発した歴史というのはたくさんあります。田舎を大事にしないと、ある意味、日本はだんだんだんだん周辺部から壊死していくようなことになるんじゃないか。やはり日本の今後の長期的発展ということを考えても、田舎を大事にすべきだ。だからこそ田舎の声が通る国政であるべきだ。田舎の代表は国政の中で一定割合以上必ず要るのだと、そういうことを申し上げているとそういうことです。

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