平成29年4月3日 新規採用者辞令交付式における知事挨拶

公開日 2017年07月31日

〔平成29年4月3日(月曜日) 正庁ホール〕

 4月1日付けで高知県職員に採用された皆さん、高知県庁にようこそおいでいただきました。若い皆様方の力が高知県庁に加わったことを、心から歓迎を申し上げます。高知県庁を目指していただき、本当にありがとうございました。先ほど皆さん、宣誓をされました。宣誓をされたことは、当たり前のようなことを言っているようであって、ある意味実現していくことは難しいことであり、一生懸命努力をして初めて実現されることだと思います。皆さんがこれから公務員として仕事をしていくに当たって、基本の基本になることだと思っています。私はいつも新規採用職員の皆さんには申し上げていますが、その宣誓書を常に身近に置いて、迷ったときには、常に今日宣誓したときのことを思い起こして、振り返っていただければと思います。ここに書いてあることが基本の基本ですので、ぜひそういう思いで仕事をしていただければと思っています。

 皆さんは、これから何十年とこの高知県庁で仕事をしていくことになるでしょう。この時代において、皆さんにとって最も大事なことは何か。第一は、県民の皆様のために誠意を持って仕事を続けることです。自分のためでは決してありません。県民の皆様のために頑張る。県庁のためでも上司のためでもありません。では、誰のためなのか。それは、県民の皆様のために仕事をするということです。皆さんそういう思いで、高知県庁を目指して、そしてこの場に立っておられると思います。その基本の基本たる気持ち、それをいつまでも忘れないでいただきたいと思います。仕事をしていると上司に怒られたりもします。そうすると、上司をクリアするということが、最終目標になったりしかねません。私自身もかつて公務員として仕事をしておりましたけれども、そういう時がありました。しかしながら、最終的な、究極的な目的は何かといいますと、県民の皆様のために、その福祉や生活の向上のために、命を守るために、私たちは仕事をするのだと、そのことが基本の基本です。ぜひその点をいつまでも忘れることなく頑張っていただきたいと思います。

 そしてもう一点、特にこれからの公務員にとっては極めて大事だと思っていることがあります。それは、創造性を発揮していただきたいということです。よく公務の職場は、先例主義だと言われたりします。しかしながら、今、この高知県庁において、先例がないからやりませんというようなことは、全く通用しません。高知県庁において大切なことは、新しい時代を切り拓いていく創造力だと思っています。色々なことを想像したうえで、色々なものを創り上げていく、その創りあげる創造力、これが大事だと考えています。なぜなら、これからの高知県の状況は、先例のない時代に突入していくことになります。これまでの日本は、中世の一時期を除いて、人口が基本的に右肩上がりで増えていくことを前提として、社会のシステムが作られてきました。しかしながら、高知県においては、平成2年から人口が自然減の状態に陥り、そして、平成9年ぐらいから生産年齢人口の減少に伴って、経済もまた同じく縮むという未曾有の経験をしてきました。これからもしばらくは人口動態上、生産年齢人口は減り続けると予想されているところです。そういう時代において、どのように世の中を切り開いていくかということについて、先例なき取組を進めていかなくてはなりません。多くの諸先輩方が、大変な努力を県民の皆様とともに積み重ねて来られました。その結果、今は10年ぶりぐらいに、人口が減っても縮まない高知県経済に転換しつつあるという状況です。しかしながら、おそらく日本全体もこれから人口が本格的に減っていく、そういう時代を迎えることになるでしょう。そういう中において、どうして行くのか。外国に向けても様々な取組をしていかないといけない。色々な形で新しい思いもつかなかったような商品・サービスを開発していかなければならない。そういう時代なのだろうと思います。ぜひ皆さんはそれぞれの創造性を発揮して、新しい道を切り拓いていく、そういう公務員であってもらいたいと思っています。

 そして他にもあります。皆さんもご存知だと思いますが、2025年問題です。団塊の世代の皆様方が75歳を超える超高齢化社会がやってきます。そういう中において、中山間地域が多い高知県で、どのように県民の皆様一人一人の福祉を確保していくか、これは大変難しい課題だろうと思います。しかしながら、そういう中においても、あったかふれあいセンターという新しい仕組みを考え出して、先輩方が一生懸命努力してきたことにより、今、県内に250ぐらいの中山間地域の福祉のネットワークが出来上がろうとしています。決して先例があったわけではありませんが、県民の皆様方の福祉についての要請を満たすために、皆が考え出して、皆で努力して作りあげてきたものです。これからますます過疎化の中における高齢化が深刻になっていくことでしょう。そういう中でどうやってお一人お一人の暮らしと命を守っていくのか、そのための新しい仕組みを皆さんもぜひ考え出していっていただきたいと思います。

 皆さんがこれから働いていく期間において、残念ながら南海トラフ巨大地震が、襲ってくる可能性が高いだろうと思います。この巨大地震から県民の皆様方の命と暮らしを守らなければなりません。今、皆で必死になって、いわゆるL2クラスといわれる30メートルを超えるような津波が到来するであろうと思われる状況にどのように対応するか、必死になって対策を講じているところです。皆さんが、このような地震に対してどう対処していくのか。求められるのは、一つには誠意です。どうあるべきなのか、県民はどういう状況に置かれることになるのか、誠意を持って必死に考え、想像し、そして新たな解決策を作りあげていく。そういう取組が今後もずっと求められていくことになると思います。ぜひ皆さん、来たるべきその時に備えて、お一人お一人、しっかりと準備を重ねていただき、県民の皆様のために、大いに知恵を絞って汗をかいていただきたいと思っています。

 先例なき時代において、創造性を発揮していくためにも、月並みなことを言うようでありますが、ぜひ常に勉強をし続けていただきたいと思います。創造性を発揮できるかどうか、そのためにも日頃の地道な努力が大事だと思っています。社会人になった今からこそ、特に、このたび学生から初めて社会人になられた皆さんは、社会人になってからこそ勉強をすることが大事だと思っています。色々な勉強があると思います。今までのように本を読んで勉強をするということもあるでしょう。さらに色々な人の話を聞いてみるということもあるでしょう。またなんといっても職場の日々の仕事が勉強だと思っています。しっかりと職場の皆さんとよき人間関係を築いて、まずは創造性を発揮できる自分になるためにも多くのことを模倣して、基本的な型というのを身につけていく。そういうこともスタートとしては大事だろうと思います。先輩から多くのことを学んでいただきたい。そしていずれ自らの行政というものをそれぞれ打ち立てていっていただければと思います。

 毎年、この場で申し上げていることですが、皆さん、仕事をしない言い訳ばかりが上手になるようなそういう小役人には絶対にならないでもらいたいと思います。県民の皆様方のためを思って、新たに自らの分野を切り拓いていく、新たな行政を打ち立てていけるような、そういうよき公務員になっていただきたいと思います。今日、辞令をお渡しする中、お一人お一人の目を、私も見させていただいて、皆さんがやってくださると確信をしております。この日の気持ちをいつまでも忘れず、ぜひ県民の皆様のために頑張っていただきたい。私も頑張ります。ともに頑張りましょう。皆さん、本当に今日は採用おめでとうございます。そして高知県庁に来ていただいたことを心から感謝申し上げます。高知県民の皆様方のために県勢浮揚を目指してともに頑張らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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