平成29年4月3日 知事講話 (平成29年度)

公開日 2017年07月31日

〔平成29年4月3日(月曜日) 正庁ホール〕

(はじめに)

 先ほど、このホールで新採の皆さんに対する辞令交付もさせていただきまして、いよいよ平成29年度の新たな体制がスタートしたという思いでございます。今年度は私が3期目を迎えてから、実質的な2年目の年になります。産業振興計画にいたしましても、健康長寿県構想にいたしましても、それぞれ第3期計画になりましたが、チャレンジを新たに始めた事項についても、いよいよ本格的な実行段階に入る年ということとなります。これまで皆さんと共に積み上げてきた、それぞれの取り組みの成果、それを土台として県勢浮揚に向けて確かな手掛かりをつかみ取りたい、そういう年に是非していきたいと考えております。いい兆しであると思われる部分についても少しずつ広がりが見えてまいりました。有効求人倍率にしても、1年以上の期間、1倍を超える状況でありますし、また、GDPのデータなどを見ましても、平成25年度、平成26年度と、国を上回る成長率を確保することができていることなど、私どもとして、一定、県勢浮揚に向けて手掛かりをつかみつつあるのではないかと思っています。しかしながら、いつも申し上げておりますように、人口減少に伴う下押し圧力というものは大変大きなものがあります。これを乗り越えていくためにも、是非、皆様と共に、この平成29年度、更に努力を重ねてまいりたいと思う次第でございます。どうぞ皆さん、よろしくお願いいたします。

 

(仕事への基本的な姿勢)

 毎年度、この場においてお話をさせていただいておりますが、非常に重要な点ですので、改めて徹底をさせていただきたい。また、新たにこの場に加わられた方々もたくさんおられますので、改めて私のほうからお願いしたい5つの基本姿勢について話をいたします。

 

(課題に正面から向き合う)

 まず1点目は、課題に正面から取り組んでいただきたいということであります。いつも申し上げておりますが、課題に正面から取り組むことなくして本当の意味での県勢浮揚は絶対になし得ることはできません。今までも皆様方には、課題に正面から取り組んでいただいてまいりました。例えば、あの南海トラフ地震対策についてL2想定が出たときに、私は他県の知事さんや市町村長さん、全国的にいろんな方々とお話をさせていただく機会がたくさんございました。みなさんL2想定に正面から向き合うかどうかについて大変悩んでおられました。34mもの津波、沿岸部全てにおいて10m以上の大津波、こういうものに対して果たして本当に対処の仕方があるのだろうか。仕方がないのであれば対策を打たないほうがいいのではないか。そういう気持ちが出てくるというのも人情だと、私は思います。しかしながら、そうではない。現実に起こり得ることなのであれば、どんなに大変だろうと向き合っていかなければならない。当時、想定もしなかった避難路、避難場所を1,445カ所造り、避難タワーを115基造った。正に正面から向き合った結果なのだろうと思っています。また、人口減少が進んでいく中で経済が縮むのは仕方がないのではないか。そういう中でマイナス成長が年々続いていくというのはある意味仕方のないことではないか。そのようにも捉えられかねないだろうと思います。しかし、皆さんには地産外商に正面から取り組んでいただきました。私も当時、地産外商だという話をしたときのことはよく覚えています。一言で言うと非難轟々でした。地産外商なんて分かり切っている。しかし、できないから、どうしても内に閉じ籠もらざるを得ないではないか。東京に通用する商品を資本もないのにどうやって作れるのだ。東京に支店もないのにどうやって外商ができるのだ。そういうお話がたくさんありました。しかしながら、作れないなら作れるように、アドバイザーを雇ってやっていこうじゃないですか。テストマーケティングの場をたくさん設けようじゃないですか。外に売っていく支店が東京にないなら、私どもがプラットホームを構えるので是非利用していただきたい。そういう形で一つ一つ課題を解決する取り組みを進めてきた。例えば地産外商公社の契約件数だけ見ても当時が178件。現在、6,555件。多分、今年度はもっと上を行っていると思います。そういう形で取り組みが進んできました。課題に正面からぶつかって、取り組み、そしてそれをしっかりと成果につなげてきた。是非、引き続き、この課題に正面から取り組む姿勢を忘れないでいただきたい。この点をより徹底していただきたいと思います。しつこいようですけれども、これが一番大事なのです。課題に正面から取り組むというのは勇気の要ることです。大変だし、忙しくなるし、失敗するリスクも高い。しかし、課題に取り組まずに失敗しなかったことよりも、正面から取り組んで失敗したことのほうが尊いと思っています。なぜならば、その次につながるからです。私も一緒に皆さんと共に取り組みますので、是非一緒にチャレンジをさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

(創造性を発揮する)

 2点目は、是非、先例のない道を切り開いていく、その創造性を持っていただきたい。そして常に進化をし続けていただきたいと思います。従前から申し上げておりますように、人口減少下における縮みという現象について、日本も未だかつて経験したことのない現象に私たちは真っ先に突入した県であります。本当に課題先進県だと思います。ですから、私たちが行く先、何々の前例があってこうすれば良いという方向感で行こうとしても答えは出てこないのだろうと思います。私たち自身が先例のない道を切り開いていくような仕事をしていかなくてはなりません。今日、新人の皆さんにも申し上げました。新人の皆さんはこれから30年、40年仕事をするでしょう。人口減少はますます進んでいく。さらには2025年問題という、団塊の世代が75歳を超える年齢になる超高齢化社会がやってくる。恐らく、南海トラフ地震も発生する。いろんな意味で先例のない時代を行く若い人たちには常に創造性を持って頑張ってもらいたいとお話をいたしました。私たちもまた、それぞれのタイムスパンで考えていくかとは思いますけれども、是非、先例のない道を切り開いていく創造性を持っていただきたいと思います。何度も言っておりますけれども、「先例がないから」というのは仕事をしない理由には全くなりません。今まで一度たりとも、先例がないからやらないという結論を下したことはないつもりであります。これはもう言うまでもない。是非これからもそうありたいと思います。よろしくお願いいたします。特徴的なこととして申し上げるとすれば、進化し続けるということを忘れないでいただきたい。むしろそれを今の段階で高知県庁では申し上げたほうがいいのかもしれません。ご存知のように、いろんな意味において地域間競争が激しくなっています。移住促進について、スタートしたばかりの頃は、年間20組ほどだったのがだんだん増えてきて、ドラマが当たり120組ほどになって、施策を強化し始めて240組、さらに現在では520組以上。ある意味、皆さんが正面からぶつかっていただいた結果として移住促進も進んでまいりました。二十数組だった頃のことを考えれば隔世の感があります。それは、うまくいった施策の典型ですけども、それでいいのかというと決してそうではない。むしろ500組ぐらいのレベルになってくればどうなるか。逆に新たな天井にぶつかります。例えば空き家があるだろうかとか、社会としてそういう皆様を受け入れていく土壌はしっかりできているだろうかとか。また別の意味での問題が出てくると思います。さらに、他県との競争も極めて厳しくなっています。他の県、例えば山梨や長野など、東京近郊の県でも移住促進に取り組むようになってきました。そういうことでいけば、私たちの移住促進策、大変うまくいった施策の典型例だと思いますけれども、一方で進化しなければならない施策の典型例でもあろうかと思います。これは決して移住のことだけを言いたいわけではありません。それぞれの施策において同じようなことが言えるだろうと思います。進化していくためにはどうあるべきか、是非考えていただきたいと思います。ちなみに、進化するという観点からいけば、逆に言うと、もうやらなくていいものはやめるということも極めて大事だろうと思います。ひたすら仕事が増え続けるのではなく、むしろ私たちとしてやるべきことは何なのか。やめるべきものはやめて、もう十分だと思えるものはやめて、その分、新たなフロントに進化していくということが大事なのだろうとも思います。是非この点もお願いいたしたいと思います。

 

(官民協働、市町村政との連携協調)

 3点目は、官民協働、市町村政との連携、協調という点について、これもいつも申し上げている点でありますけれども、是非この点もよろしくお願いいたします。高知県民はいずれかの市町村民です。市町村政とばらばらな方向を向いていては、現実問題として効果をもたらさず、また、市町村民である高知県民の皆さんにご迷惑をおかけするということになりかねません。市町村と意見が違うということもありますでしょうけれども、是非しっかりとコミュニケーションを図り、しっかりと議論もしていただいて、是非、連携協調の実を挙げていただきたいと思います。そしてまた、官民協働でなければなりません。そうでなければ本当の意味での成果をもたらすことはできません。引き続き官民協働で取り組みをしっかりと進めていただきたいと思います。市町村政との連携協調を図る。官民協働で仕事をしっかり進めていくためにも大事なことは何なのか。なぜ高知県庁はこの施策を行おうとしているのか。その政策目的のために私たちはこういう施策を採ろうとしているのだということについて、しっかりと説得力のあるお話ができるということが大事だろうと思います。何ゆえにということを、特に幹部職員の皆さんはお一人お一人自らの言葉で語れるように是非なっていただければと思っている次第です。いつも言っておりますが、最悪の説明は「知事が言っているからやっている」という説明です。これは県民の皆さんにとって何の説得力もない。意味もない。そうではなくて、県民の皆様のためにかくかくこうあるべきだと思うので、こういう効果をもたらしたいので、やるのですということを分かりやすく説明できるということが極めて大事だろうと思います。この点も引き続きよろしくお願いいたします。

 この点に関してもう1点。特に今年度の話としてお話をさせていただきたいことがあります。それは、従前より官民協働、市町村政との連携協調と言ってきましたが、その中において県が占めるウエートといいますか、県主導の程度には濃淡があろうかと思います。今までは県主導で官民協働でやらせていただいてきた事柄であっても、これからはむしろ、より民主導のウエートを高めていただいたほうが効果的、効率的だと思えるようなものについては、県庁として、言葉は悪いですけれども、一定手を引くという側面が必要なところも出てくるだろうと思います。いわゆる公務の非効率。むしろ民間のほうが効率的ということもたくさんあるでしょうから、そこのところはバランスをうまく取る必要があります。また、もっと言えば、私たちは、これは民主導で取り組めるだろうと、そう思うことから手を引いていく反面、より困難なフロントに立っていくことが求められるということかとも思います。施策としてもお話をさせていただいていますが、地産外商の取り組みについて、例えば地産外商公社は、随分といろんなパイプができるようになってまいりました。そのようなパイプができてきたのであれば、これは是非、地域商社の役割を果たしておられる民間の事業者の皆様方にどんどん引き継いでいけばいい。その分、私たちとしての地産外商の取り組みは、より先々を見通した外国への輸出にだんだんウエートを置いていくなど、そういうことが考えられるだろうと思います。この転換がうまくできるかどうかが、最終的に、産業振興計画を始めとした県勢浮揚に向けた施策として非常に重要だと思っています。これは長寿県構想でもそうだろうと思います。ある意味、官として、県庁として高いウエートを持って頑張ってきたことについても、より効果的に取り組みができる皆様にだんだんとバトンタッチさせていただく分、私たちはより困難なフロントに立つ。この転換が求められるときではないかと思っています。これはケースバイケースだと思いますけれども、そうだと思ったことについては是非、しっかりと転換を図っていただきたいと思います。ちなみに、こういう転換を図ると先ほど申し上げましたが、仕事をやめるということは幹部職員でなければできないことです。上の人でなければやれない。仕事をやろうというのはみんな言えると思いますが、この仕事はやめようというのは上の人でなければなかなか言えないことだろうと思います。その幹部職員の皆さんこそ率先してそういう取り組みを是非意識してやっていただければと思っているところです。

 

(全国区の視点を持って仕事を進める)

 4点目は、是非、全国区の視点でもって仕事をしていただきますよう、引き続きよろしくお願いいたします。高知県として国の様々な政策を味方に付けていくためにも、全国区の視点でもって全国にも通用するような政策提言をしていくことが大事だろうと思います。あわせて、全国のいろいろな人材や資本などの力というものを味方に付けることができれば、私たちはより大きい仕事ができるだろうと思っています。高知県として様々な企業や経済団体の皆さんと協定を結んで、今、取り組みを進めています。防災の分野しかり、少子化対策の分野しかり、人材確保の分野しかり、地産外商の分野、観光振興の分野しかり。こういった全国ネットワークをしっかりと作り上げて、引き続き私たちの力にすることができれば、私たちはより大きい形で、例えば地産外商ができる、地震対策ができる、そして福祉の向上を図ることができるということになるだろうと考えています。是非、皆さん、私たちは高知県庁として仕事をしているわけですから、全国を巻き込んで、ある意味全国をリードするぐらいのつもりで今後も取り組みを進めていっていただければと思います。この点において本当に頑張っていただいたと思っていますのは、高知城歴史博物館の立ち上げだと思っています。高知城歴史博物館の立ち上げには、初めから全国の関係するネットワークの皆さんと共に仕事をしていただいた。結果として、後々にPRをしていくにしても、様々な企画を行っていくにしても、全国の皆さんのお力も借りながら仕事ができるようになってまいりました。よさこいについても、高知の皆様と共に、さらに全国の皆さんと協力して取り組みを進めていこうという取り組みがスタートしているところであります。是非、皆さん、全国区の視点でもって取り組みを進めるということがなお一層大事になってくると思っています。この点をよろしくお願いいたします。

 

(職員の心身の健康への留意とスクラップアンドビルド)

 そして5点目は、何といいましても、職員の心身の健康が第一であります。この点を引き続き皆様方、特に幹部職員の皆様方はご留意をいただきたいと思います。良い仕事をするためにも、重要な仕事に注力するためにも、重要でなくなった仕事はやめなければなりません。私たちとして最大の効果を限られた資源で達成していくためにも、民主導で行ったほうがより効果的だと思われるものからは、私たちは思い切って手を引いていかなくてはならない。そういうところがあろうかと思います。ビルドは大事です。しかしながらスクラップも大事であります。是非この点もご留意いただければと思います。ビルドなきスクラップ一方であってはいけないけれども、他方、スクラップなきビルドでもいけないのだろうと思います。スクラップとビルドがしっかりとバランスが取れていることが大事だろうと思います。是非この点を皆様、徹底いただければと思います。

 この点に関してもう1点。いつも申し上げていることですが、各所属所属において、自分たちの所属の政策目的は何なのか。どのような意義深いことをやろうとしているのか。それに向けて具体的にどのような道筋で取り組みを進めようとしているのか。各所属の部局員、一人一人の皆さんに是非この点を徹底していただければと思います。人間、最も心身共に疲れるのは、意義があるのかどうか分からない仕事がいつ終わるのかも分からない状況で続いていく、そういう仕事に従事させられることだろうと思います。逆に言えば、非常に意義深い仕事に就いて、こういう道筋で行って、今現在どの段階にあって、こういうふうに先を乗り越えていけばこのような成果が咲くであろうと信じることができれば、皆それぞれ頑張ることができるだろうと思います。それぞれの所属において、その仕事の意義とその段取り、道筋というものを一人一人の部局員の皆さんに徹底することを是非お願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

 

(産業振興計画)

 残りの時間で、5つの基本政策、特にポイントとなる点だけお話をいたしますので、よろしくお願いいたします。

 産業振興計画について、地産外商の成果を拡大再生産の好循環につなげる方向性に今後も変わりはありません。ただ、この地産外商、生産性をもっと上げ、付加価値をより向上させ、さらには外国に向けて販路を開拓していくような仕事をしていく。そのためにも非常に大事になってくるのが、それぞれにおいて事業戦略づくりということを徹底していくことだと思っています。事業戦略、すなわち作戦をもってして、どういう形で販路開拓を行うのか、そのためにどのような地産の体制を作るのか、そのことが分かってくるかと思います。去年は、産業振興センターを通じて企業の皆様方の事業戦略づくりをお手伝いしてまいりましたけれども、今年は、例えば農業の分野、林業の分野、さらには商工会議所、商工会を通じてそれぞれの商店街の分野などにおいてもこの事業戦略づくりの取り組みをスタートしていくことになります。産業振興計画の関係部局全て、特に地産の関係では、一つのキーワードは事業戦略だと思っています。経営計画と言ってもいいですけれども、この点をよろしくお願いします。そして拡大再生産の好循環という観点からは、今年度から、これもキーワードは部局間連携だろうと思っています。地域産業クラスターの取り組みを大いに進めていただきまして、皆様には本当に感謝を申し上げたいと思います。部局間連携がどれだけ重要か、もう言うに及ばずということかと思いますけれども、さらには起業・新事業の展開という観点もそれぞれより一層の連携が必要になってきます。是非、適宜、PTを作っていくこと。さらに言えば、今年は取りまとめ課をたくさん作りました。産学官民連携・起業推進課、さらには産業創造課などという形で作っております。是非、取りまとめ課は取りまとめ課としての機能を発揮していただくべくよろしくお願いいたします。

 

(中山間対策)

 そして、中山間対策という観点からも部局間の連携ということが大事だろうと思います。第1層目の成長戦略のコース。第2層目の地域アクションプランのコース。第3層目の集落活動センターのコース。この3者のリンク、ネットワークがしっかりできていけますように、是非ともその部局間の連携をよろしくお願いいたします。

 

(健康長寿県構想)

 日本一の健康長寿県構想については、引き続き5つの柱に従って取り組みを進めます。この点、平成28年度において皆様に大変感謝を申し上げたいのは、この健康長寿県構想についても、アウトカム目標を非常に重視して、その実現ということにこだわって取り組みを進めていただいたことだと思っています。引き続き、結果としてどうか、インプット、アウトプットだけではなくてアウトカムとしてどのような成果が出たかというところについて、是非こだわっていただきたいと考えております。

 

(教育大綱)

 教育についての第1点目は、教育大綱です。昨年度1年間、PDCAサイクルを回して取り組みをしていただきました。引き続き、柱は、チーム学校の構築と、厳しい環境にある子供たちへの対策、そして地域との連携・協働ということになるかと思います。チーム学校の構築という点について、例えば対象とする学校の数を広げたり、さらには対象とする分野を広げたり、学力だけではなく、例えば生徒指導上の諸問題などという形で分野も広げたりということも非常に重要になってきます。是非、チーム学校の取り組みの一層の徹底を図っていただきたいと思います。

 

(子どもの貧困対策)

 そして2点目は、健康長寿県構想とも関わることですが、今年は厳しい環境にある子供たちへの対策がより本格化する年となってきます。教育改革の観点からも、何よりも健康長寿県構想の観点からも、これは非常に大事です。こども食堂の取り組みを新たに応援させていただく施策をスタートさせますけれども、この点は、一つ大きな今年度のチャレンジだと思っています。どうぞこの点の徹底をよろしくお願いいたします。

 

(南海トラフ地震対策)

 南海トラフ地震対策について、これは今までも大変頑張って取り組んでいただいてまいりましたけれども、引き続き命を守る対策の徹底についてキーワードは多分2つだろうと思います。ひとつは地域地域でということ。特に津波について、特に厳しい状況にある地域に対する個別の対策づくりが求められるステージだと思っています。もう一つのキーワードは、やはり耐震化ということ。そしてさらに、命を守る対策につながる命をつなぐ対策についても、昨年度以上に本格化させることが大事だろうと思っております。よろしくお願いいたします。

 

(インフラ整備)

 そして、インフラ整備について。今年は社会資本整備推進本部会議を立ち上げることとなります。新たな土木政策課を中心として、本部会議を立ち上げていくことになります。狙いは何なのか。インフラ整備。これは産業振興、健康長寿県構想、さらには南海トラフ地震対策、中山間対策、全てに関わる重要な施策であります。是非、このインフラ整備について、部局間で情報を共有していきながら、全庁挙げて最も効果的、効率的な道筋を探る。そういう取り組みにつなげていきたいと思っております。この新たな推進本部体制は本当に新しいチャレンジでありますけれども、是非、この点、徹底をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

(女性の活躍促進)

 少子化対策、女性の活躍促進についても、健康長寿県構想、教育改革の取り組みと併せてしっかり進めていくことになります。

 

(文化・スポーツの振興)

 文化の振興とスポーツの振興が横断的な施策群として新たに加わることとなります。

 文化振興ビジョンに従って、この文化の振興についてPDCAサイクルを回しながら取り組みを進めていくことになります。文化振興ビジョンも来年度再び改訂をすることになると思います。外部有識者による評価委員会も立ち上げての展開になります。よろしくお願いいたします。

 そして、スポーツの振興については、恐らく今年度はダブルトラックになるだろうと思っています。一点目は、29年度予算に計上させていただいている施策をスピード感を持って進めていくということ。そして2点目は、庁内会議及び県民会議を立ち上げて、スポーツ振興のための施策をより本格的なものにするべく、バージョンアップさせるべく、知恵を練るということを考えております。いろいろな民間団体の皆様方のご意見を聞いて、より良い施策群となっていきますように、皆さんと共に知恵を練らせていただければと思います。スポーツの振興は、健康という観点からも、観光の振興という観点からも、非常に波及効果の大きな施策だと思います。是非、関係部局の皆様、よろしくお願いいたします。

 

(情報の共有)

 4月中旬ぐらいになると、一斉に産業振興推進本部会議や、さらには部局によっては運営方針の協議などにおいて、それぞれ各部局、各課が、どういう方向で仕事をするかについてお話をさせていただくことになりますけれども、非常に大きなポイントとしては以上であります。是非こういう方向感で共に共有しながら取り組みを進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最後の最後です。もう随分徹底をいただいていますけれども、改めて2点申し上げます。

 1点目は、悪い話ほど是非、私か副知事に上げていただきたいと思います。この点を引き続き、徹底をしていただきたいと思います。先ほど5つの基本的な姿勢を申し上げましたが、その根底にあるべき最も根本的な点は一つこの点なのだろうと思っています。課題に正面から取り組むからこそ出てくる悪い話。市町村や民間の皆様、多くの関係者の皆様と協働を図ろうとするからこそ出てくる悪い話。そういうことこそ私と副知事のところに上げてきていただければと思います。まだ解決策が見えてなくても構いませんので、取りあえずこういう悪いことが起こっているということを教えていただきたいと思います。いい話はゆっくりでいいので、むしろ悪い話ほど早く上げてきていただければと思います。いい話を上げるのは忘れていても構いません。後で報道で知ったとしてもそれは構いません。喜ぶだけのことです。しかし、悪い話はそれではいけない。できるだけ早く対処して、それに対する問題を明らかにして、具体的に解決を図っていかなくてはなりません。これが遅れると本当に県民の皆様にご迷惑をおかけすることになります。是非ともこの点をよろしくお願いします。1等級、2等級の辞令交付のときに申し上げましたが、今は皆さん上げてくださるようになって、知事室の協議の大体8割ぐらいはいつも何らかの問題や悪い話などに対処するようになってきました。それでいいのだろうと思っています。ある意味、私と副知事も慣れっこでありますので、是非、気楽に悪い話を上げてきていただきたいと思います。逆に言いますと、一番困ることは悪い話を上げてくれなかったから結果として随分こじれて大変なことになったということです。そこのところを是非よろしくお願いします。

 

(批判的議論)

 2点目は、私が言ったからやらなければならんということではありません。私がこうだと言ったからこうだと決まったわけでは当然ありません。皆さんの意見を是非率直にぶつけていただいて、大いに共に議論をさせていただきたいと思います。議が定まるまでの間、闊達な批判的議論がなされることが極めて大事なのだろうと思います。一旦こうしようと決まったら、そこから先はしっかりやっていかなくてはなりません。しかしながら、どうしようかという議論をしている段階においては、是非とも皆さんからも大いに異論、反論をぶつけていただいて、闊達に議論をさせていただければと思います。この点をどうぞよろしくお願いいたします。批判的な議論がなされてこそ、多角的な議論がなされてこそ、本当の意味で県民の皆様にとって良き施策が作りだされるのだと思っています。どうぞその点もよろしくお願いいたします。

 ちなみに、私に悪い話を上げてください、私と是非、批判的な議論を共にやらせていただきたい、そのように申し上げておりますが、皆さんも皆さんの部下職員との間で是非そういう関係を築いていただきたいと思います。皆様のところに部下職員から悪い話が率直に上がってくるように、是非そういう所属を作っていただきたい。皆さんと部下職員の皆さんとの間で批判的な議論が展開されるような、そういう所属を是非作っていただきたいと思います。この点もどうぞよろしくお願いいたします。

 以上、今まで何度も申し上げてきて、皆々様お一人お一人、既に大いに実行していただいていることでありますけれども、年度初めに、極めて大事なことであり、また新しい方もおいでになりますので、繰り返させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 新年度を迎え、これから1年間、県勢浮揚を目指して共に頑張らせていただければと思います。皆さん、今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

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