平成30年2月県議会での知事提案説明

公開日 2018年09月20日

平成30年2月県議会での知事提案説明 (2月22日)

第1 平成30年度の県政運営

 1 県政運営と国の動向

 2 平成30年度当初予算及び平成29年度2月補正予算

第2 5つの基本政策に基づく県づくり

 1 経済の活性化について
  (1)第3期産業振興計画のバージョンアップ
  (2)成長の壁を乗り越える取り組み
   ア 担い手の確保策の抜本強化
    (働き方改革の推進)
    (移住者などへのアプローチの強化)
    (新規卒業者の県内就職の促進)
    (第一次産業分野の担い手確保対策の強化)
   イ 省力化、効率化の徹底に向けたサポートの強化
  (3)成長に向けた「メインエンジン」のさらなる強化
   ア 継続的に新たな付加価値を生み出す仕組みの構築
     (Next次世代こうち新施設園芸システムへの進化)
    (養殖生産ビジネスの拡大)
    (食品産業の高度化支援)
    (A材の高付加価値化など)
    (生産性を高める設備投資の推進など)
    (IT・コンテンツ関連産業の集積)
   イ 交易の範囲のさらなる拡大
    (食品産業分野における外商活動の全国展開)
    (農水産物の販路拡大)
    (海外への輸出の本格展開)
  (4)成長を支える取り組み
   ア 起業や新事業展開の促進
   イ 地域産業クラスター等の形成
    (園芸団地の整備促進、農業クラスターの推進)
   ウ 人材育成、確保の取り組みの充実
   エ 金融機関等との連携による事業戦略の策定と実行支援の強化
    (ものづくり企業や、商店街など地域の事業者の事業戦略策定支援)
    (第一次産業分野における事業戦略策定支援)
  (5)観光振興
   ア 「志国高知 幕末維新博」第二幕へ向けた取り組み
   イ ポスト幕末維新博
   ウ 国際観光の推進
  (6)畜産振興の取り組み

2 日本一の健康長寿県づくりについて
  (1)壮年期の死亡率の改善
   ア ヘルシー・高知家・プロジェクト
   イ 血管病の重症化予防対策
  (2)地域地域で安心して住み続けられる県づくり
  (3)厳しい環境にある子どもたちへの支援
  (4)少子化対策の抜本強化
  (5)医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化

3 教育の充実について
  (1)チーム学校の構築のさらなる推進
   ア 小中学校における授業改善のさらなる充実
   イ 高等学校におけるチーム学校構築の取り組み
  (2)厳しい環境にある子どもたちへの支援の一層の徹底
   ア 不登校やいじめの防止に向けた組織的な支援体制の強化
   イ 学び直しの機会の充実
  (3)地域との連携・協働
  (4)教員の働き方改革に向けた取り組みの推進
  (5)明治150年記念人材育成プラン

4 南海トラフ地震対策について
  (1)来年度の取り組み
  (2)住宅の耐震化
  (3)津波からの早期避難を促す取り組み
  (4)前方展開型の医療救護活動
  (5)高知県高校生津波サミット

5 インフラの充実と有効活用について
  (1)四国8の字ネットワークの早期整備
  (2)高知県建設業活性化プランの見直し
  (3)都市計画道路はりまや町一宮線はりまや工区

6 中山間対策について
  (1)中山間対策
  (2)大川村議会維持に向けた取り組み

7 少子化対策と女性の活躍の場の拡大について
  (1)少子化対策
  (2)女性の活躍の場の拡大

8 文化芸術とスポーツの振興について
  (1)高知県文化芸術振興ビジョンの推進
  (2)第2期高知県スポーツ推進計画の策定
  (3)高知龍馬マラソン

第3 その他

1 動物愛護の取り組み

2 ルネサス高知工場

3 新たな管理型最終処分場の候補地の選定

4 高知県土地開発公社

第4 議案

 


 

 本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成30年2月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。

 ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。

 

第1 平成30年度の県政運営

1 県政運営と国の動向

 平成30年度は、第3期の産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などの取り組みの折り返しの年となります。
 これまで、県勢浮揚の実現に向けて、本県が抱える根本的な課題の解決につながる持続的な好循環をつくり出していけるよう、PDCAサイクルを回しながら、これらの施策に全力で取り組んでまいりました。こうした中、一人当たりの県民所得の成長率が国を上回るペースで推移するなど、経済をはじめとする各分野において明るい兆しも見えるようになりました。
 来年度は、こうした県勢浮揚に向けた動きを将来にわたって確かなものとしていくために、大変重要な年になると考えております。このため、人材の育成などに重点をおいて経済の活性化をはじめとする5つの基本政策と3つの横断的な政策の抜本強化を図りました。
 引き続き、官民協働、市町村政との連携協調の下、成果に徹底的にこだわり、私自身先頭に立って、県勢浮揚に向け全力で取り組んでまいります。
 昨年12月に国は、アベノミクスによる経済の成長軌道を確かなものとし、持続的な経済成長を成し遂げるための鍵は少子高齢化への対応であるとして、「人づくり革命」と「生産性革命」を大きな柱とする経済政策パッケージを定めました。この中では、全世代型社会保障への転換やIoTの活用による生産性の向上などに取り組むこととしており、今月1日にはこれらに関連する平成29年度補正予算が成立したところです。
 また、東京への一極集中の是正に向けて、地域における若者の修学を促進するため地方大学の振興に取り組むこととし、新たな法案を今月6日に閣議決定しました。
 こうした国の政策は、本県の取り組みと方向性を一にするものであります。引き続き、国に対して積極的に政策提言を行いながら、こうした国の動きを追い風として、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などの取り組みを加速してまいります。

2 平成30年度当初予算及び平成29年度2月補正予算

 次に、本県の来年度の当初予算案及び2月補正予算案についてご説明申し上げます。
 今回の予算編成に際して、当初予算の編成にあたっては、5つの基本政策と3つの横断的政策群のさらなるバージョンアップを図るとともに、2月補正予算においては、国の経済対策を積極的に活用し、生産性革命や事前防災・減災に資する取り組みを加速することとしました。
 その結果、来年度の一般会計当初予算案は、総額4,508億8千5百万円余りとなり、本年度比で約83億円の減になっておりますものの、土地開発公社の債務処理に伴う用地先行取得対策費や公債費の減といった特殊要因を除きますと、約33億円の増となっております。
 また、2月補正予算に計上した国の経済対策分を含む実質的な当初予算ベースでは、本年度を約76億円上回る総額4,675億円余りとなり、10年連続の積極型予算案になっております。
 他方、このように積極的な編成を行いながらも、安定的な財政運営も維持できるよう工夫を重ねたところであります。
 まず、歳出面においては、スクラップアンドビルドをより徹底することとし、既存の事務事業について目的の達成状況や事業手法の精査による見直しを徹底しました。その結果、例年を上回る199件約36億円の見直しを行い、これを138件約37億円の事業にリニューアルしたところであります。
 また、歳入面においては、県税や地方消費税清算金などの増が見込まれる一方、リーマンショック後に地方財政計画に計上された歳出特別枠が廃止されたことなどに伴い、地方交付税に臨時財政対策債を加えた額が28億円余りの減となっております。
 こうした中、高知競馬の運営が大幅に改善され、昭和57年度以来36年ぶりに利益配分金を受けられる見込みとなりました。これまでの関係者の皆様の運営改善に向けた並々ならぬご努力に心から敬意を表します。
 また、本年度で課税期間が満了する森林環境税を5年間延長し、引き続き森林環境の保全を推進してまいりたいと考えており、関連する条例議案を今議会に提出させていただいております。
 さらに、歳入と歳出の両面にわたる取り組みとして、重要施策の推進に必要な財源を確保するため、地方創生推進交付金など国の有利な財源を活用するとともに、中山間対策や福祉分野の将来に向けた新たな投資事業の財源として基金を積極的に充当することとしております。あわせて、土地開発公社の債務処理に伴い、長年、活用実績のなかった土地開発基金を防災目的の新たな基金に改めることとしたところです。
 このように取り組んでもなお、県税の増加を大幅に上回る地方交付税の減少などにより、来年度当初予算では本年度を約13億円上回る159億円余りの財源不足が生じました。また、2月補正予算においては、土砂災害特別警戒区域の基礎調査といった一時的かつ多額の財政需要が生じております。
 これらについては、本県の県債残高が全国的に低い水準にあるとともに、財政運営の弾力性を維持するために財政調整的基金を確保する必要があることに鑑み、来年度当初予算と2月補正予算において、行政改革推進債などを20億円ずつ増額することにより対応し、これにより基金の残高を一定確保することといたしました。その際、新設する防災対策基金は、使途を幅広く設定することを踏まえ、財政調整的基金の一つとして位置付けたところです。
 こうした結果、来年度末の臨時財政対策債を除く県債残高の見込みは4,950億円となり、本年度末から56億円増えるものの、平成28年度決算における将来負担比率は引き続き低水準を維持しております。また、来年度末の財政調整的基金の残高は、昨年9月時点の推計を68億円上回る183億円程度を確保できる見通しとなり、当面の財政運営に必要な財政基盤を確保できたと考えております。
 引き続き国に対し、地方交付税など一般財源の確保について政策提言を行うとともに、県としても歳入と歳出の両面から絶えず見直しを行い、安定的な財政運営に努めてまいります。

 

第2 5つの基本政策に基づく県づくり

 次に、5つの基本政策に係る平成30年度の取り組みに関し、まず、経済の活性化についてご説明申し上げます。

1 経済の活性化について

(1)第3期産業振興計画のバージョンアップ
 平成21年度に産業振興計画がスタートして以降、多くの皆様による様々な努力が積み重ねられてきた結果、本県の地産外商は大きく進み、本県経済は今や人口減少下においても拡大する経済へと構造を転じつつあります。
 各種統計データを見ましても、産業振興計画に取り組む前の平成20年度と直近の平成26年度を比較しますと、一人当たりの県民所得は、国の3.4パーセント増を大きく上回る11.0パーセント増となっておりますし、本県の一人当たりの現金給与総額は、平成20年と直近の平成28年を比較しますと、国の4.7パーセントの減に対して、2.8パーセントの増となっております。さらに、本県の労働生産性についても、平成20年度と直近の平成26年度を比較しますと、国の1.7パーセント低下に対して、13.2パーセント上昇と大きく伸びてきております。
 しかしながら、産業振興計画が目指す「地産外商が進み、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県」の実現には、さらなる努力が求められるところです。
 例えば、一人当たりの現金給与総額は国を上回る伸びを示しているものの、絶対水準では国の93.2パーセントに留まっておりますし、本県人口の社会減は、近年、かつての全国的な景気回復局面に比べて2分の1程度に改善してきたとはいえ、平成28年度には1,770人減と、社会増減の均衡という目標の実現に向けて、さらなる努力が必要な状況にあります。
 こうした状況を克服するためには、本県経済のさらなる成長に向け、持続的な拡大再生産の好循環をより力強いものにしていくことが重要であります。
 このため、第3期産業振興計画の施策群を、「成長の「壁」を乗り越える」、「成長に向けた「メインエンジン」をさらに強化する」、「成長を支える取り組みを強化する」という3つの側面からそれぞれバージョンアップすることといたしました。

(2)成長の壁を乗り越える取り組み
 まず、一つ目の「成長の「壁」を乗り越える」施策群に関してご説明申し上げます。
 完全雇用状態を背景とする人手不足の深刻化は、今や経営上の大きな課題となっており、これまでの地産外商の取り組みを継続していくためにも、また、新たな取り組みにチャレンジしていくためにも、この成長の「壁」を乗り越えていくことが重要であります。このため、「担い手の確保策の抜本強化」と「省力化・効率化に向けたサポートの強化」との2つの柱に沿って施策群を強化してまいります。

 ア 担い手の確保策の抜本強化
 (働き方改革の推進)

 まず、第一の「担い手の確保策の抜本強化」に関しては、人手不足感が全国的に高まる中で必要な担い手を確保していくためには、労働条件や労働環境の改善を図る、いわゆる「働き方改革」の取り組みを経営と両立する形で進めていくことが重要であります。
 そのためには、前提として、賃上げや勤務時間短縮を実施しても会社経営が順調に継続できる環境を作る必要があり、県としても引き続き一連の産業振興策を講じることが重要となります。
 その上で、働き方改革に積極的に取り組むことが人材確保などを通じて経営上もプラスになるのではないか、という点について事業者の皆様方に検討していただくよう働きかけていくことも重要であると考えております。このため、まずは、高知労働局、県、県内の経済団体などで構成する「高知県働き方改革推進会議」の取り組みを通じて、こうした点について広く理解を促してまいります。さらに、現在、県が各分野で進めている事業戦略などの策定実行支援と、来年度、国が各都道府県に設置予定の「働き方改革推進支援センター」が行う支援を融合させ、個々の企業の状況に応じたサポートを行ってまいります。

 (移住者などへのアプローチの強化)
 移住促進の取り組みは、人材誘致につながるものであるとともに現下の人手不足に対応するという観点からも重要であります。
 現在、昨年10月に、本格稼働した高知県移住促進・人材確保センターにおいて、オール高知の取り組みが展開されており、本年度の移住実績は、先月末現在で642組、前年同期比約120パーセントと順調に推移しております。しかしながら、他県との競争がますます激しくなる中、平成31年度の年間目標である1,000組の定常化を果たすためには、取り組みのさらなる強化が必要であります。
 このため、来年度は、メディアで活躍した方々などのご協力も得ながら、移住関連情報の対外発信力の大幅な強化に取り組んでまいります。あわせて、移住促進・人材確保センターと産業振興センターなどとの連携を強化し、都市部のUIターン希望者のニーズを満たす魅力的な仕事の掘り起こしを進めるとともに、移住希望者の多い関西圏におけるマッチングを強化するため、大阪事務所内にも常設の相談窓口を設置いたします。
 さらに、年間1,000組の移住の定常化のためには、移住者向け住宅を安定的に確保することが不可欠であります。このため、市町村と民間の専門家により空き家の発掘、活用を促す仕組みを各地域に構築してまいります。

 (新規卒業者の県内就職の促進)
 若者の県内定着を促す取り組みについては、高校や大学などの新規卒業生に対する県内就職への支援をさらに強化してまいります。
 高校生については、企業との情報交換会の対象に工業高校のみならず普通高校も加えてまいります。さらに、ものづくり総合技術展などへの参加を引き続き促すとともに、全県立高校で県内企業の見学を実施いたします。
 また、大学生などについては、県内在住者に対する取り組みを本格化し、新たに、県内企業による合同セミナーを開催するなどしてまいります。さらに、県外在住者については、新たに、インターンシップセミナーやポータルサイトによる県内の仕事紹介などの取り組みを行ってまいります。

 (第一次産業分野の担い手確保対策の強化)
 特に担い手確保が課題となっております第一次産業分野について、まず、農業分野においては、目標に掲げております年間320人の新規就農者の確保に向けて、取り組みを一層強化してまいります。
 具体的には、これまで31市町村57提案に広がった産地提案書のさらなる拡大と産地の受入態勢の整備を進めるとともに、こうした情報を県外での就農相談会の開催やSNSの活用などを通じてより強力に発信してまいります。また、農業大学校において、自営や雇用などの進路に応じたカリキュラムを実施するほか、農業担い手育成センターにおいて、移住就農や雇用就農といった目的に応じた研修コースを設定することとしております。
 さらに、林業分野でも本年4月に林業大学校が開校することとなっており、こうした一連の取り組みを移住促進・人材確保センターとしっかりと連携しながら進めてまいります。

 イ 省力化、効率化の徹底に向けたサポートの強化
 第二の省力化や効率化の取り組みについては、現下の人手不足を補う有効な手段であるとともに、各事業者の競争力を高める施策でもあることから、一連の支援策を大幅に強化したいと考えております。
 まず、ものづくり分野においては、事業戦略や生産性向上に向けた計画の策定支援から設備投資を促す融資の実行までの一連の仕組みを一層強化することにより、省力化、効率化のための設備投資を促してまいります。
 また、第一次産業分野においては、農作業の省力化や効率化につながるカイゼン方式や高性能林業機械の導入のほか、漁業生産の機械化やIoT化などを進めてまいります。

(3)成長に向けた「メインエンジン」のさらなる強化
 次に、二つ目の「成長に向けた「メインエンジン」をさらに強化する」施策群に関してご説明申し上げます。
 本県経済の持続的な発展を成し遂げていくためには、成長の「壁」を乗り越える取り組みとともに、成長のメインエンジンそのものを強化して、地産外商をさらに推進していく取り組みが重要であります。このため、地産の分野において、例えば、幕末維新博後に向け新たに自然体験型観光の抜本強化を図るなど、「継続的に新たな付加価値を生み出す仕組みを意図的に構築」する施策群を強化するとともに、外商の分野においても、輸出振興など「交易の範囲をさらに拡大」する施策群を強化し、さらにお互いの取り組みがプラスの相乗効果を生み出すよう取り組んでまいりたいと考えております。

 ア 継続的に新たな付加価値を生み出す仕組みの構築
 第一の「継続的に新たな付加価値を生み出す仕組みを意図的に構築」する施策群に関して、まず第一次産業分野についてご説明申し上げます。

 (Next次世代こうち新施設園芸システムへの進化)
 農業分野については、これまで次世代型こうち新施設園芸システムの普及に努めてきた結果、ナスやピーマンなどの主要品目において最大で約30パーセントもの増収につながるといった成果が表れてまいりました。
 来年度からは、さらなる収量増加、高品質化、省力化などを実現していくため、次世代型こうち新施設園芸システムの次の世代を見据えて、環境制御技術にIoTやAI技術を融合するとともに、栽培のみならず出荷、流通までをも見通した、Next次世代こうち新施設園芸システムの構築を目指してまいります。

 (養殖生産ビジネスの拡大)
 水産業分野については、これまでクロマグロの人工種苗生産技術の開発に取り組んできた結果、本年度、約7,700尾の生産に成功し、事業化に向けて大きく進展することができました。来年度は、新たに、ブリなどの既存の養殖施設を活用したクロマグロの養殖技術を開発することにより、県内の養殖業者のクロマグロ養殖への参入を促してまいります。
 また、海外市場においてニーズが高まりつつある養殖ブリについても、人工種苗の生産技術の確立を目指してまいります。

 (食品産業の高度化支援)
 食品産業分野については、食品加工事業者の製造から販売に至る様々な課題の解決に向けた支援策を一層強化してまいります。
 具体的には、本年度からスタートした食のプラットホームを中心に、新商品の開発や改良に向けた実践的な学びや個別の商品の磨き上げの機会を充実させてまいります。また、工業技術センターが有する食品加工の高度化支援機能を生かして、科学的な分析データに基づく商品づくりや品質管理向上の取り組みを広げ、食品分野のさらなるレベルアップを図ってまいります。

 (A材の高付加価値化など)
 林業分野については、「CLTで地方創生を実現する首長連合」などとも連携し、引き続きCLT関連技術の普及、需要拡大に取り組むとともに、新たに、建築用製材品を主体とする、いわゆるA材の需要拡大と販売促進に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
 具体的には、木材乾燥機の導入などにより、製材品の生産能力向上を支援するとともに、非住宅建築物の構造部分に使用する木質部材や、店舗、マンションなどの内装に使用する新たな木製品の開発、改良などを支援してまいります。あわせて、一般社団法人高知県木材協会に「TOSAZAIセンター」を新設するなど、外商体制も強化することとしております。

 (生産性を高める設備投資の推進など)
 続いて、ものづくり分野の付加価値向上に向けた取り組みについては、まず、産業振興センターや商工会などとの取り組みを通じて、事業戦略づくりの支援を行い、あわせて、その戦略に基づく市場調査とより付加価値の高い製品開発を支援してまいります。さらに、市町村や金融機関と連携し、国のものづくり補助金の優先採択要件となっている生産性向上計画などの策定支援を事業戦略づくりと併せて進め、同補助金の活用を促すとともに、新たに設けた制度融資などを活用して設備投資をより強力に支援してまいります。
 また、工業技術センターにおいては、新たに人材養成講座を開設し、企業の技術力の向上に取り組むなど、技術面での支援を強化してまいります。

 (IT・コンテンツ関連産業の集積)
 本県経済の新たな強みをつくり出す取り組みとして、IT・コンテンツ関連産業の振興により一層力を入れてまいります。
 来年度は、IT・コンテンツ関連の人材の育成、確保の取り組みを大幅に充実強化し、業界が求める知識や技術を持った人材を県内に増やし、人材が豊富であるからこそ企業集積が図られ、企業集積が進むことによってさらに人材の集積が進むという好循環を実現していくことを目指してまいります。
 具体的には、土佐まるごとビジネスアカデミーのプログラムの一環として「IT・コンテンツアカデミー」を開講し、基本的なプログラミングの知識などを学ぶ基礎講座と、最先端のプログラミングなどを学ぶ長期コースや立地企業が持つ教育プログラムを活用したコースなどからなる専門講座を体系的に実施してまいります。
 また、首都圏の人材や企業の掘り起こしを図るとともに、首都圏在住のITエンジニアなどと県内企業の交流の場の充実やマッチングの強化を図ってまいります。
 今後は、従前から評価の高い立地支援策の手厚さに加え、こうした人材の育成や確保の取り組みを新たな強みとして、より積極的に企業立地を促進してまいります。
 また、これらのIT・コンテンツ関連の企業集積と園芸農業など本県の他の産業とのマッチングを図っていくことにより、本県産業全般の付加価値の向上につなげるよう努めてまいります。

 イ 交易の範囲のさらなる拡大
 第二の「交易の範囲をさらに拡大する」施策群に関してご説明申し上げます。
 経済の持続的な発展のためには、新たな付加価値の創出が交易の範囲の拡大につながり、さらに、交易の範囲の拡大が新たな付加価値の創出を促すという好循環を生み出していくことが重要であります。このため、引き続き交易の範囲の拡大策、すなわち外商促進策を力強く展開してまいります。

 (食品産業分野における外商活動の全国展開)
 まず、食品産業分野については、さらなる販路開拓を目指し、地産外商公社を中心として、これまで関係を築いてきた卸売業者や小売業者とのパイプを生かした取り組みを進めるほか、外食チェーンなど業務筋への積極的なアプローチやボランタリーチェーンとの関係強化などに取り組んでまいります。加えて、地産外商公社の外商担当職員を1名増員して名古屋に配置し、商圏としての評価が高い中部地区での外商活動を強化してまいります。

 (農水産物の販路拡大)
 農水産物の販路拡大についても、取り組みをより加速してまいります。
 まず、園芸品については、新たに、重点的に取り組む品目を設定し、品目ごとにターゲットとなる地区や客層を定めるなど、より戦略的な取り組みを卸売市場、産地と一体となって進めてまいります。
 また、県産米についても、新品種「よさ恋美人」を皮切りに、「コシヒカリ」、「ヒノヒカリ」、「にこまる」につながるリレー出荷の態勢を築いてまいります。その際には、高い評価をいただいている仁井田米などのブランド米との相乗効果も発揮されるよう取り組んでまいります。
 水産物については、「高知家の魚応援の店」の登録数が先月末で792店舗まで伸びるとともに、取扱額も本年度の目標額である3億円を達成する見込みとなるなど、着実に販路が拡大しております。
 来年度は、これらの店の方々の協力の下、新たなフェアの開催などを行うとともに、野菜や観光情報の提供など新たな取り組みも進めてまいります。

 (海外への輸出の本格展開)
 また、輸出の振興に向けた取り組みも、より一層加速してまいります。
 これまでの取り組みにより、平成28年の食料品の輸出額は約7億2千万円となり、平成21年の約14倍にまで伸びてまいりました。また、輸出品目についてもユズや土佐酒に加え、水産物にまで拡大しているところです。
 このため、来年度から新たに地産地消・外商課内に輸出振興室を設け、各国に輸出拠点機能を設ける取り組みや、輸出に取り組む企業の戦略策定と実行を支援する取り組みなど、輸出振興策のさらなる強化を図ってまいります。
 機械製品については、公共工事で使用される機械の台湾向けの輸出などにより、平成28年度のものづくり地産地消・外商センターの支援による輸出額は前年度の2倍近い約4億9千万円へと拡大しております。
 来年度、防災関連製品について、台湾に関しては行政部門との共催による技術セミナーや県内の現場視察などを実施する予定であり、あわせて、インドネシアでのセミナー開催なども予定しております。
 その他の製品についても、本年4月に台北市で開催されるギフトショーに、雑貨製品や伝統工芸品などを出展するほか、タイやインドネシアで開催される見本市への出展を継続することとしております。

(4)成長を支える取り組み
 次に、三つ目の「成長を支える取り組みを強化する」施策群に関しては、「起業や新事業展開の促進」、「地域産業クラスター等の形成」、「人材育成、確保の取り組みの充実」の3つの施策群を強化するとともに、「金融機関などとの連携による事業戦略の策定と実行支援の強化」という施策群を新たに設けることとしております。

 ア 起業や新事業展開の促進
 起業や新事業展開を促す取り組みは、新たな付加価値を継続的に生み出す礎となるものであります。
 来年度は、起業に向けた体系的な支援プログラムである「こうちスタートアップパーク」をより実践的な形でバージョンアップすることとしており、具体的には、起業の実績を有する方から事業開発のノウハウを学びながら、アイデアを実際の商品やサービスへと磨き上げていくプログラムの充実を図るとともに、試作品の製作や事業の立ち上げを支援する新たな補助制度を設けることとしております。
 さらに、都市圏在住の起業を検討している方を対象にしたセミナーを開催し、本県の地域資源や課題などのビジネスシーズを提供するとともに、県内ツアーなどを行うことにより、本県における起業を促してまいります。
 また、土佐まるごとビジネスアカデミーにおいて、新事業や新商品のアイデア発想に係る人材育成講座を新設し、社内起業家の育成を支援することにより、さらに多くの起業や新事業の創出につなげてまいります。

 イ 地域産業クラスター等の形成
 地域産業クラスターの形成は、関連産業の集積を通じて新たな付加価値を生み出すとともに、多様な仕事を創り出すことにより地域に人の定着を図る重要な取り組みであり、現在、県内各地で19のプロジェクトが進められているところです。
 例えば、四万十町のトマトプロジェクトや安芸市のナスプロジェクトにおいて、新たな加工品や新メニューの開発が行われ、また、幡多地域においても、新たなクラスターの形成に向けて新会社が設立されるなど、各地で多様な展開が図られております。

 (園芸団地の整備促進、農業クラスターの推進)
 こうした中、農業クラスターの中核となる次世代型ハウスについては、平成27年度からの3年間にトータルで32.6ヘクタールの整備が行われましたが、今後のさらなる整備に向けては、まとまった用地の確保が困難となってきていることが課題となっております。このため、1ヘクタール以上のまとまった用地の賃借について、20年以上にわたり協力いただける地権者などに対する協力金制度を新たに設けることとしたいと考えております。

 ウ 人材育成、確保の取り組みの充実
 人材の育成や確保の取り組みは、本県経済発展の礎となる極めて重要な取り組みであります。このため、各分野においてその充実強化を図りたいと考えており、例えば、IT・コンテンツアカデミー開講など土佐まるごとビジネスアカデミーの充実をはじめ、自然体験型観光の展開を視野に入れた「土佐の観光創生塾」の拡充のほか、林業大学校の本格開校や農業大学校、農業担い手育成センターの充実などの取り組みを展開することとしております。

 エ 金融機関等との連携による事業戦略の策定と実行支援の強化
 優れた事業戦略の構築を図ることは、それぞれの事業体にとって、各般の取り組みの土台となるものであることから、第3期計画からその策定と実行支援の取り組みに重きをおいてきたところです。また、先ほど申し上げましたとおり、働き方改革を進める上でも事業戦略の策定は重要であります。
 来年度は、この事業戦略の取り組みを全ての産業分野に広げるとともに、金融機関などとの連携を強化して内容のさらなる充実を図ってまいります。

 (ものづくり企業や、商店街など地域の事業者の事業戦略策定支援)
 この事業戦略策定の取り組みに関し、まず、ものづくり分野については、産業振興センターの一貫した支援により、これまでに104社が事業戦略の策定に着手し、うち71社が策定を終え、さらに17社が着手を予定しております。引き続き、ココプラによる学びの支援に加え、事業引継ぎ支援センター、工業会など経済団体の皆様との連携を強化し、策定企業のさらなる増加に取り組むとともに、策定された戦略に基づいた製品開発や販路開拓などの取り組みをしっかりと支援してまいります。
 また、商店街などの地域の事業者に対しては、本年度、商工会や商工会議所、県の産業振興推進地域本部をメンバーとする地域連絡会議を地域ごとに立ち上げ、経営計画の策定支援を進めてきたところであり、昨年末までに387社の策定につながったところです。来年度は、これまで以上にこの経営計画の策定支援策を充実することとしており、具体的には、商工会などの経営指導員をサポートする経営支援コーディネーターを県内5地域に配置するとともに、スーパーバイザー2名を高知県商工会連合会に配置し、実践的な指導を通じて経営指導員の支援力の向上を図ってまいります。
 さらに、金融機関などにも地域連絡会議に参加いただき、これまで以上に早い段階から経営計画の策定に関わっていただくことを通じて、地域の事業者の円滑な資金調達などにつながるよう取り組んでまいります。その際、国の補助金や県の新たな制度融資なども有効に活用するよう努めてまいります。
 なお、補助金の過大交付事案が明らかとなった2商工会議所及び2商工会からは、補助金が全て返還されるとともに、信頼回復に向けた改善計画が提出されております。県としましては、この改善計画が着実に実行されるよう、指導に努めてまいります。
 あわせて、地域経済の状況変化も踏まえた補助要件の見直しも必要であると考えております。このたび、この約20年間で小規模事業者数が20パーセント以上減少していることなども考慮して、補助要件を一部見直すことといたしました。さらに、先ほど申し上げました経営計画の策定支援の取り組みなども商工会などの魅力度アップにつながる施策であり、この観点からもしっかりと対応してまいります。

 (第一次産業分野における事業戦略策定支援)
 また、第一次産業分野においても事業戦略策定支援の取り組みを充実させてまいります。
 中山間地域の農業を支え、競争力を高める中山間農業複合経営拠点については、本年度に新たに5地区を加えた16地区において事業戦略の策定などの取り組みが進められております。引き続き、新たな地区の掘り起こしに取り組むとともに、「アグリ事業戦略サポートセンター」を創設し、事業戦略の策定から実行までを一元的に支援する体制を強化してまいります。
 このほか、林業分野における製材事業者に加えて、新たに、水産業分野における定置網などの漁業経営体や食品加工分野における事業者などについても、事業戦略の策定、実行を支援してまいります。

(5)観光振興
 次に、観光振興の取り組みについてご説明申し上げます。
 昨年の県外観光客入込数は、過去最高の440万人となり、NHK大河ドラマ「龍馬伝」が放送された平成22年の435万人を上回ることとなりました。来年度は、まずはこの435万人観光の定常化を目指し、引き続き幕末維新博を通じた歴史観光の磨き上げを行うとともに、幕末維新博後の観光振興を見据え、国際観光の一層の振興も視野に、本県の強みである自然を生かした体験型の観光基盤の充実にも取り組んでまいります。

 ア 「志国高知 幕末維新博」第二幕へ向けた取り組み
 昨年3月から開催しております「志国高知 幕末維新博」については、全会場における来場者数が、一昨日までに、154万人を超えるなど、堅調に推移しております。
 そして、明治維新150年の本年、来る4月21日には、メイン会場である坂本龍馬記念館がいよいよグランドオープンし、幕末維新博第二幕が開幕することとなります。この第二幕期間中においては、関係者の皆様と連携し、一層の飛躍を目指して次の3点を重視した取り組みを行ってまいります。
 1点目として、NHK大河ドラマ「西郷どん」を追い風とできるよう「平成の薩長土肥連合」の他の3県との一層の連携に努めるとともに、県内の西郷どんゆかりの地や資料などの情報発信にも努めてまいります。
 2点目として、企画展の内容についても一層充実したいと考えており、特に坂本龍馬の志を継いだ二つの系譜、第一に板垣退助を代表とする自由民権運動を起こした人物の系譜、第二に岩崎彌太郎に代表される日本の産業革命を起こした経済人の系譜、にもスポットを当ててまいります。
 3点目として、本県における歴史観光の基盤を幕末維新博の開催期間中に概ね完成させることを目指して、各地域会場や周辺の歴史施設の磨き上げをさらに進めてまいります。まず、本山町立大原富枝文学館を4月から新たに地域会場に加えるとともに、改修工事をしておりましたジョン万次郎資料館、四万十市立郷土資料館、宿毛市の林邸や津野町の片岡邸などの歴史施設も開幕までに順次リニューアルオープンしてまいります。

 イ ポスト幕末維新博
 幕末維新博後の観光振興策に関しては、これまで磨き上げてきた食や歴史資源を活用しつつ、本県のもう一つの強みである自然景観や自然体験を前面に出した観光キャンペーンを展開したいと考えており、来年度より、そのための観光資源の磨き上げやクラスター形成の取り組みをスタートいたします。
 具体的には、越知町のキャンプ場や龍河洞といった自然体験型観光のスポットのほか、恵まれた海洋資源を生かしたマリンアクティビティなどについて、定時、定量、定質、定額の4定条件を整えた上で、高い顧客満足度をもたらすようサービス内容の磨き上げを行うとともに、周辺の飲食店や宿泊施設などとの連携を図ってまいります。
 加えて、観光客の利便性の向上を図るため、県内の体験型観光情報を一元的に集約したキャンペーンサイトを構築するとともに、「土佐の観光創生塾」をさらに強化し、体験やアクティビティの事業者を対象に、事業戦略の策定や観光商品の造成に向けたプログラムを提供いたします。さらに、高知県観光コンベンション協会において、大手旅行会社における旅行商品化を目指した商品開発と販売促進の支援をさらに強化することとしております。
 これらの仕組みも活用しながら、継続して売れる旅行商品づくりに向けた地域地域の取り組みの支援に全力を挙げてまいります。

 ウ 国際観光の推進
 国際観光については、一昨年の外国人の延べ宿泊者数が前年比約114パーセント、過去最高の約7万5千人泊となり、さらに、昨年もこれを上回る水準で推移しておりますものの、昨年の伸び率は四国全体に比べて低い状況にあることから、取り組みの抜本強化を図る必要があると考えております。
 このため、来年度は、台湾や香港などの重点市場において、旅行業界などに精通した現地法人と連携することにより、より効果的かつ継続的なプロモーション活動を行ってまいります。あわせて、高知龍馬空港への国際線チャーター便の誘致活動の強化や、現在、国際線が就航している空港と本県とのアクセス改善にも取り組んでまいります。
 また、自然体験型の観光は、外国人観光客の皆様にも楽しんでいただける本県の持つ最大の魅力であると考えております。このため、ポスト幕末維新博に向けた準備を進めるにあたっては、インバウンド観光の拡大にもつながるよう、外国人の受入環境の整備なども併せて進めてまいります。

(6)畜産振興の取り組み
 本県の畜産業については、これまでの取り組みにより、例えば、土佐あかうしの飼養頭数が平成25年度の1,595頭から、昨年度には1,964頭へと大きく回復するとともに、就農を希望する若者が増加するといった成果が表れてまいりました。他方、今後さらに畜産振興を図っていくためには、担い手の確保や生産基盤の拡大のための生産性の向上、周辺環境対策などが課題となってきております。
 このため、臭気対策などを高度化し、肉用牛の繁殖管理にIoTを活用するなどとした「次世代こうち新畜産システム」の構築に努めてまいります。
 あわせて、畜産試験場内に「畜産担い手育成畜舎」を整備するとともに、畜産に特化した就農相談窓口を設置するなどの取り組みを行ってまいります。
 一方、この間議論を重ねてまいりました高知市における新たな食肉センターについては、今月2日に開催した検討会において、新センターがと畜に加え、セリ、加工、卸売などを行うこと、県とJAなどが出資して新たな法人を設立すること、県、市町村、JAなどが整備費用を負担すること、などを内容とする意見の取りまとめを行っていただきました。
 今後は、取りまとめられた意見を踏まえ、新センターの運営を担う新法人の設立や施設整備に向けて、県やJAなどでワーキンググループを設置し、具体的な準備作業を行ってまいります。
 検討会の委員の皆様には、長期間にわたり熱心にご議論いただき、心から感謝申し上げます。新センターが多くの県民の皆様にとってより良い施設となるよう、引き続き、検討会の場においてそれぞれのお立場からご意見を賜りたいと考えております。

2 日本一の健康長寿県づくりについて

 次に、日本一の健康長寿県づくりについてご説明申し上げます。
 第3期日本一の健康長寿県構想においては、「県民の誰もが住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることのできる高知県」を目指して、5つの柱を掲げ、対策を進めております。今般、PDCAサイクルによる検証を行い、施策をさらに充実強化し、同構想をバージョン3へと改定いたしました。

(1)壮年期の死亡率の改善
 ア ヘルシー・高知家・プロジェクト

 一つ目の柱であります「壮年期の死亡率の改善」に関し、まず、高知家健康パスポート事業については、本年4月から、県民の皆様による健康活動の一層の定着を目指して、上位ステージとなる「健康パスポートⅢ」を開始し、あわせて、9月から、理想的な取り組みを実践された方を「健康マイスター」として認証する取り組みをスタートいたします。さらに、日々の健康活動をポイントに換算できるスマートフォン向けのアプリを新たに開発し、その普及に取り組んでまいります。
 また、健康パスポートを活用し、従業員の皆様の健康管理に経営的視点から取り組んでおられる事業所が増えております。こうした取り組みは、働き方改革推進の観点からも有効であることから、引き続き、健康パスポートの活用について積極的に事業所の方々に働きかけてまいります。

 イ 血管病の重症化予防対策
 また、糖尿病などの血管病について、重症化予防対策をさらに強化してまいります。
 これまで、特定健診の結果から医療機関の受診が必要であると診断された方や糖尿病の治療を中断した方を対象として、市町村による受診勧奨などに取り組んでまいりました。来年度は、施策の実効性を一層高めるため、先月策定した高知県糖尿病性腎症重症化予防プログラムに基づき、重症化リスクの高い方を対象に、受診勧奨に留まらず、市町村の保健師とかかりつけ医などとが連携した保健指導にも取り組むこととしております。

(2)地域地域で安心して住み続けられる県づくり
 二つ目の柱の「地域地域で安心して住み続けられる県づくり」の実現に向けては、これまで、地域の医療、介護、福祉サービス資源の確保に向けて様々な取り組みを進めてまいりました。その結果、例えば、あったかふれあいセンターは、設置数がサテライトを含めて250カ所を超え、県内全域に広がってまいりました。また、急性期医療体制が中山間の隅々まで行きわたるよう、ドクターヘリの離着陸場所を269カ所と大幅に増やすなどした結果、昨年度のヘリの出動回数は、平成23年度に比べて2倍を上回る年間800回以上に拡大しております。
 加えて、中山間地域への訪問看護や訪問介護サービスの拡大に取り組んだ結果、例えば、昨年度の訪問看護のサービス提供数は、平成25年度に比べて2倍以上の9,000件余りに拡大し、また、在宅介護の実利用者数は、平成23年度に比べて約1.4倍の649人へと増加してまいりました。
 しかしながら、個々の高齢者の生活の質、QOLを本人の意向に沿った形でより一層向上させていくためには、それぞれのサービス間の連携をさらに強固なものとすることによって、状況に応じた切れ目のないサービス提供を可能とする一連のシステムに仕立て上げていくことが必要となってまいります。来年度は、各福祉保健所に新たに地域包括ケア推進監を配置し、この「高知版地域包括ケアシステム」をそれぞれの地域で構築することができるよう取り組んでまいります。
 具体的には、医療、介護、福祉の関係機関や市町村で構成する協議体を各地域に設置し、地域の現状や課題の調査分析、支援の必要な高齢者を把握する仕組みづくりや関係者のネットワーク化を強力に推進してまいります。
 さらに、地域包括ケアシステムにおいてゲートキーパーとしての役割を担う総合診療専門医の養成を開始するとともに、研修課程で専攻医を医師不足地域に派遣する仕組みも構築し、医師の地域偏在の改善に努めてまいります。
 また、本年4月から、慢性期の医療や介護ニーズに対応するため、新たな介護保険施設として介護医療院が創設されます。これにより療養病床の転換先の選択肢が広がり、高齢者のQOLの向上につながることも期待されます。
 本県は、人口あたりの療養病床数が全国で最も多い上、その中には耐震化がなされていない病院も多く、防災対策上の課題となっております。このため、南海トラフ地震対策を進め、かつ、高齢者のQOLを向上させるという双方の観点から、介護医療院への転換を機に行う耐震化などについて、県独自に上乗せの支援を行うことといたしたいと考えております。
 医薬品の適正使用に向けては、高知家健康づくり支援薬局の皆様を中心に、主に高齢者の方々の服薬確認を行っていただくとともに、来年度から新たに、レセプトデータを活用した重複投薬の是正やジェネリック医薬品の使用促進などにも取り組んでいただくこととしております。
 こうした一連の取り組みは、県民の皆様のQOLの向上を目指すものでありますが、結果として、医療費の適正化につながることも期待されます。このため、来年度からの第3期医療費適正化計画にはこれらの取り組みも盛り込むこととしております。あわせて、本年4月から県が財政運営の責任主体となる国民健康保険の運営方針にも、こうした医療費適正化に向けた取り組みを盛り込んでいるところであり、今後の国民健康保険の安定的な運営に向け、市町村などと共に取り組んでまいります。

(3)厳しい環境にある子どもたちへの支援
 三つ目の柱であります「厳しい環境にある子どもたちへの支援」については、高知版ネウボラを推進し、妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援体制を充実することにより、厳しい環境にある親子をリスクに応じた適切な支援につなげるとともに、子育て家庭の不安の解消や働きながら子育てしやすい環境づくりにつなげてまいります。
 妊娠期からの総合相談窓口となる子育て世代包括支援センターについては、来年度新たに4市町に設置され17市町村に、地域の子育て支援拠点となる地域子育て支援センターについては、新たに2市町3カ所に設置され、24市町村1広域連合51カ所になる予定であります。
 引き続き、これらのセンターの充実、新設に加え、多機能型保育事業所やファミリー・サポート・センターなどの整備にも取り組んでまいります。
 子ども食堂については、現在、10市8町52カ所で開催されており、子ども食堂支援基金に対しても、42件約350万円のご寄附をいただくなど、取り組みが着実に広がりつつあると感じております。
 この取り組みがさらに充実し、持続可能な活動になりますよう、来年度は、支援が必要な子どもたちを子ども食堂に確実につなげるための関係者間の情報交換や、運営に協力していただけるボランティアの養成、企業からの食材支援情報の提供などに取り組んでまいります。
 あわせて、こうした高知版ネウボラや子ども食堂などの取り組みを進める関係機関同士のネットワークを築いていくことにより、地域における子どもの見守り体制をさらに強化し、児童虐待防止にもつなげてまいります。

(4)少子化対策の抜本強化
 四つ目の柱であります「少子化対策の抜本強化」については、引き続き、結婚支援や働きながら子育てしやすい環境づくりに向けた取り組みを強化してまいります。
 結婚支援については、先月末時点で、こうち出会いサポートセンターのマッチングシステムの登録者数が1,045人になるとともに、県の支援を通じた成婚報告数がトータルで164組に達するなど、一定の成果が上がっております。来年度は、市町村などと連携し、マッチングシステムの出張登録閲覧会を増やすなど、出会いの機会の拡充を図ってまいります。
 また、働きながら子育てしやすい環境づくりに向けて、先ほど申し上げました高知版ネウボラの推進に加え、取得割合がわずか3.2パーセントに留まっている男性の育児休業や育児休暇の取得促進にも官民協働で取り組んでまいります。

(5)医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化
 五つ目の柱であります「医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化」については、これまで、介護職員の離職率が高いことなどを背景に、処遇改善加算の取得支援や負担軽減につながる福祉機器などの導入支援といった、介護職員の定着促進策を重点的に進めてまいりました。
 その結果、支援先のほぼ全てが最上位の処遇改善加算を取得するとともに、昨年度の約1.3倍の事業所が福祉機器などを導入するなどしたところです。
 しかし、離職率は依然として高く、また介護職場への再就職率が悪化するなど厳しい状況が続いていることから、介護職員の定着促進に向けた取り組みの一層の強化が必要であると考えております。
 このため、福祉機器などの導入支援を強化し、本県が先駆的に進めております、持ち上げない、抱え上げない介護技術、いわゆるノーリフティングケアをさらに推進することなどにより、職員の負担軽減と業務の効率化を図ってまいります。
 また、昨年から取り組みを始めました雇用環境の改善を通じて職員の定着を目指す介護事業所認証評価制度について、より多くの事業所に認証を取得していただくよう、セミナーや個別のコンサルティングの実施などのサポートを行ってまいります。

3 教育の充実について

 次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。
 「教育等の振興に関する施策の大綱」に掲げる取り組みについては、総合教育会議において進捗管理を徹底し、毎年度見直しを行うこととしており、来年度に向けても、それぞれの成果や課題を踏まえ、以下のように改訂することとしております。

(1)チーム学校の構築のさらなる推進
 第一に、チーム学校の取り組みについては、「小中学校における授業改善のさらなる充実」と「高等学校におけるチーム学校の構築」の2点をポイントとして、さらなる強化を図ってまいります。

 ア 小中学校における授業改善のさらなる充実
 中学校の教員同士がチームで組織的に学び合う「教科のタテ持ち」については、先行的に取り組む19の中学校を中心に、学力向上などの成果が表れてまいりました。来年度は新たに12校に導入し、タテ持ちが可能な規模の全ての中学校において授業改善に向けた取り組みを徹底してまいります。
 教科ごとの課題に関して、まず、全国学力・学習状況調査において課題となった国語については、文章を読み取り要約するといった読解力を鍛える国語教材の活用促進などの取り組みを進めてまいります。また、小学校における英語の教科化に向けた準備として、基幹校への英語専科教員の配置、研修の充実、英単語教材の作成などに取り組んでまいります。
 また、県内の児童生徒の約半数を抱える高知市との連携を強化するため、高知市が本年4月に新設する「学力向上推進室」に県から6人の指導主事を派遣し、タテ持ちに取り組む市内の全中学校や学力向上のための研究指定小学校への訪問指導を精力的に行い、市と協働して授業改善を徹底いたします。

 イ 高等学校におけるチーム学校構築の取り組み
 高等学校においても、生徒が希望や進路に応じて基礎的な学力から進学に必要な学力をしっかりと身に付けることができるよう、教員の指導力向上と授業改善の徹底に向けて、チームとしての取り組みを強化してまいります。
 具体的には、各県立高等学校において、生徒の学力に応じた到達目標とその達成までの方策を定めた学力向上プランを策定し、PDCAサイクルに基づきこれを着実に実行していくことといたします。その際、特に、教員同士が指導計画や授業内容などの協議を行う場となる教科会の定例化と充実が重要であるため、教育委員会事務局内に新たに学校支援チームを設置し、指導主事が定期的に各校の教科会に参加して助言や指導などを行います。
 このほか、生徒が希望する多様な進路の実現と県内就職率の向上に向けた進路支援プログラムの取り組みについても、一層の充実が図られるよう、同チームがサポートを行ってまいります。

(2)厳しい環境にある子どもたちへの支援の一層の徹底
 ア 不登校やいじめの防止に向けた組織的な支援体制の強化
 第二に、不登校やいじめの防止対策についても、校長会などを通じてチーム学校の取り組みをより一層徹底してまいりたいと考えております。
 具体的には、特に厳しい状況にある児童生徒について、現状や今後の支援策を記載した「個別支援シート」を作成し、具体的な支援策をチームとして検討する一連の取り組みを徹底してまいります。
 さらに、出席状況や友人関係などの変化の兆しを捉え、早い段階から対処することも重要であり、兆しの段階から面談や家庭訪問などを行い、その状況を校内支援会で共有して支援する必要性などを各校に徹底してまいります。
 また、こうした情報を保幼、小学校、中学校、高等学校の各校種間で確実に引き継ぐことにより、切れ目のない支援につなげてまいります。

 イ 学び直しの機会の充実
 中学校夜間学級、いわゆる夜間中学の設置に関しては、昨年11月に検討会を設け、不登校など様々な事情から十分な義務教育を受けることができなかった方々の学び直しの機会の充実に向けて、県民のニーズ調査の結果も踏まえた議論を重ねてまいりました。先日、設置が望ましいとの方向性が示されたところであり、今後、その具体化に向けた検討を進めてまいります。
 あわせて、定時制や通信制高校の在り方についても、引き続き、県立高等学校再編振興計画後期実施計画の検討の中で議論を行ってまいります。

(3)地域との連携・協働
 第三に、「学校と地域との連携・協働」については、各校の学校支援地域本部において、地域のボランティアの皆様による学習支援や登下校時の交通安全指導などの取り組みを進めていただいてきたところであり、来年度は、この設置数を現在の189校から公立小中学校の8割を超える241校へと大幅に増加させてまいります。
 さらに、学校支援地域本部の取り組みを、地域と学校がパートナーとなって子どもたちの見守り活動や学習支援などを協働で行う高知県版地域学校協働本部へと発展させてまいりたいと考えており、来年度は、現在6市町で実施されておりますモデル校の取り組みを全ての市町村に広めてまいります。

(4)教員の働き方改革に向けた取り組みの推進
 授業改善や厳しい環境にある子どもたちへの支援を徹底するためには、教員が子どもたちに向き合う時間を十分確保することが重要であります。
 このため、教員の働き方改革を継続的に推進したいと考えており、来年度は、まず、勤務時間を客観的に把握するシステムを県立学校に導入して、学校の組織マネジメントの強化や教員の意識改革につなげてまいります。また、部活動に伴う負担の軽減に向けて、運動部活動の単独指導や引率が可能な部活動指導員を新たに28人配置するとともに、教頭や教員の事務的な仕事を補助するスクール・サポート・スタッフを3人から20人に増員するなど、外部人材の活用を推進してまいります。

(5)明治150年記念人材育成プラン
 150年前、幕末維新期において土佐の若者たちは、我が国の行く末を見据え、高い志を掲げて行動し、新たな時代を切り拓いていきました。明治150年を迎える節目の取り組みとして、来年度は、土佐の偉人の生き様から、子どもたちがその志を学ぶ取り組みを充実いたします。
 具体的には、幕末や明治維新における郷土の偉人の功績を紹介した副読本などを各校に配布しますとともに、子どもたちが地域に出て、郷土の偉人にゆかりのある歴史学習施設や史跡などを訪ね、先人の志を五感で学ぶフィールドワークを推進してまいります。さらには、「平成の薩長土肥連合」のつながりを生かし、鹿児島県、山口県、佐賀県の高校生とこれからの時代に求められる生き方や志などを話し合う協働学習も行ってまいります。その上で、本年11月の「志・とさ学びの日」に合わせて、一連の学習の成果を発表し合うフォーラムを開催し、子どもたちが、互いに刺激を受け、志を磨く機会としたいと考えております。

4 南海トラフ地震対策について

(1)来年度の取り組み
 次に、南海トラフ地震対策についてご説明申し上げます。
 第3期南海トラフ地震対策行動計画の最終年度となります来年度においては、具体的に進める対策の時間軸を復旧復興期まで延伸し、「生活を立ち上げる」対策にも取り組み始めるとともに、これまでの「命を守る」、「命をつなぐ」対策についても、行動計画に位置付けた目標の達成に向けて着実に取り組んでまいります。

(2)住宅の耐震化
 「命を守る」対策のうち、住宅の耐震化については、本年度も津波避難対策と併せて引き続き最優先で取り組んでまいりました。
 その結果、本年度の耐震改修の補助申請件数は、先月末現在で前年度の実績を大きく超える1,680棟、前年同期比約150パーセントとなり、過去最高を記録しました。また、住宅耐震対策の抜本強化について国に対する政策提言を続けてきた結果、来年度予算案において、住宅耐震化を総合的に支援する新たなメニューが盛り込まれました。
 来年度は、引き続き普及啓発や技術者の育成を進めつつ、国の新たな支援メニューも活用して、3年間で4,500棟の住宅を耐震化するという第3期行動計画の目標を達成することはもちろん、できるだけ早く住宅耐震化率が100パーセントとなりますよう、全力で取り組んでまいります。

(3)津波からの早期避難を促す取り組み
 津波対策については、県内各地で津波避難タワーなどの整備や堤防耐震工事などを推進し、また、津波避難経路の現地点検を概ね県内全区域で完了させるなど、ハード、ソフト両面の対策を徹底しております。
 しかしながら、津波から命を守るためには、揺れが収まった後すぐに避難を開始することが何よりも重要であることは言うまでもありません。残念ながら、県民世論調査において、避難のタイミングについてお伺いしたところ、そのように答えた方は約7割に留まっており、約3割の方は津波警報の発表や市町村からの呼び掛けなどをきっかけに避難するとの回答でした。
 こうした現状に対しては、引き続き早期避難の重要性を訴え続けることが重要でありますが、あわせて、早期避難意識が十分身に付いていない方をも確実に早期の避難行動に移らせることができる仕組みを構築することも重要だと考えられます。このため、学識経験者や沿岸市町村などとの協議の結果、防災行政無線や緊急速報メールなどを活用して本県独自の避難の呼び掛けを行うことといたしました。
 具体的には、気象庁から大津波警報などが発表されると同時に、サイレンと命令口調などによる県内統一のメッセージを、沿岸市町村の防災行政無線などを通じて自動的に放送し続ける仕組みを設けます。加えて、県の総合防災情報システムを活用して、緊急速報メールを通じて、津波高や到達予想時刻などの情報を継続的に携帯電話に配信し続ける仕組みも整備したいと考えております。これらの仕組みを通じて、津波からの早期避難を多角的に呼び掛ける態勢を整えてまいります。

(4)前方展開型の医療救護活動
 前方展開型の医療救護体制の確立について、まず、地域の被害想定などを踏まえた医療救護の行動計画については、平成27年度から市町村や医師会などと連携して策定に取り組んだ結果、本年度末までに30市町村にまたがる23地域で策定を終える見込みであります。来年度には、県内全ての地域で策定を終える見込みであり、訓練などを通じてより実効性のある行動計画となるよう取り組んでまいります。
 また、日ごろ救急医療に携わっていない医療従事者を対象とした災害医療に関する研修を昨年度から実施し、これまでに延べ478人の医師の皆様に受講していただきました。来年度は、より医師のニーズにあった研修内容に見直すなど、取り組みを一層強化してまいります。
 また、市町村職員を対象として、医療救護所の立ち上げや運営、情報伝達などに関する研修を新たに実施するなど、総力戦による医療救護体制の確立に向けて、一連の取り組みを着実に実行してまいります。

(5)高知県高校生津波サミット
 昨年12月に第1回高知県高校生津波サミットを開催いたしました。
 このサミットは一昨年の「世界津波の日」高校生サミットの成果を引き継ぐものとして開催したものであり、学校関係者や防災関係者など約470人の方々のご参加の下、盛況のうちに終了することができました。
 サミットには、県内ほぼ全ての高等学校から代表生が参加したところであり、各校の活動報告や活発な意見交換などが行われ、会議の結びにはこれからの活動に向けた力強い決意が述べられるなど、今後の主体的な活動につながる成果が得られました。また、こうした素晴らしい高校生たちの姿に、出席者から高い評価をいただくとともに、若者の持つ力と可能性を大いに感じたところです。
 来年度以降もサミットを継続し、防災リーダーの育成と全県的な防災意識の向上につながるよう取り組んでまいります。

5 インフラの充実と有効活用について

 次に、インフラの充実と有効活用についてご説明申し上げます。

(1)四国8の字ネットワークの早期整備
 四国8の字ネットワークは、南海トラフ地震対策を進める上での「命の道」であり、地域の経済活動を支える最も重要な社会基盤であります。このため、これまでもミッシングリンクを抱える他県の知事と連携するほか、全国高速道路建設協議会の会長として、各方面に対して政策提言を行うとともに、国土交通省の社会資本整備審議会などにおいても、重点的に整備を進めていくよう訴えてまいりました。
 その結果、本県に関しては、来年度以降、3年連続で、片坂バイパス、中村宿毛道路の平田・宿毛間、高知南国道路の高知・高知南間が開通する見通しとなりました。
 特に来年度に片坂バイパスが開通しますと、県西部に残された最大の交通の難所が解消され、地域住民の日々の利便性や安全安心の確保はもとより、交流人口や商業圏域のさらなる拡大なども期待されるところです。
 他方、未事業化の区間においては、先月24日、四国横断自動車道の宿毛・内海間、阿南安芸自動車道の奈半利・安芸間と野根・安倉間について、社会資本整備審議会の四国地方小委員会が開催され、計画段階評価の議論が進められました。また、阿南安芸自動車道の牟岐・野根間については、県が行う都市計画決定の手続きに必要な図書が今月20日に国から提出され、新規事業化に向けて、さらに一歩前進したものと受け止めております。
 引き続き、沿線市町村や隣県とも連携を図り、国に対して効果的な政策提言を行うなど、さらなる整備促進に取り組んでまいります。

(2)高知県建設業活性化プランの見直し
 高知県建設業活性化プランについて、来年度は、時代の要請である働き方改革や生産性革命に対応した取り組みを強化してまいります。具体的には、時間外労働縮減や社会保険の加入促進など、働き方改革に向けた啓発活動を強化するとともに、ICTを活用した施工など生産性向上のための技術研修を大幅に拡充してまいります。
 加えて、従前から取り組んでまいりました工事の平準化や建設業への入職促進などの「公共工事の品質と担い手の確保」についても、さらなる改善を検討してまいります。さらに、コンプライアンスに関する研修などについては、引き続き事業者向けの研修を徹底するとともに、あわせて、市町村職員を含む発注者側の参加も促してまいります。

(3)都市計画道路はりまや町一宮線はりまや工区
 都市計画道路はりまや町一宮線のはりまや工区は、電車通りと産業道路を結ぶ南北の幹線道路として平成12年に事業化されました。はりまや橋小学校から北側の産業道路までの間については4車線整備を完了したものの、小学校から電車通りまでの区間については、新堀川の水辺空間が大切であるという声が高まったことから、平成23年から工事を中断してきたところです。
 この間、交通量調査、シオマネキの生息調査及び駐車場の一部撤去による日照試験を継続し続け、中断期間の5年間を含め約10年間にわたるデータを蓄積してまいりました。また、平成20年8月以降、カニや水生植物などの専門家からなる委員会において、新堀川における自然環境の保全方法について検討していただいてまいりました。
 このように10年間の豊富なデータの蓄積が得られたこと、また、渋滞の発生や通学児童、高齢者の通行の安全などの課題が継続してきたことを踏まえ、昨年6月、工事の再開または事業の中止について判断するため、地域住民の代表や環境保護活動に取り組む方々、学識経験者などで構成する「はりまや町一宮線はりまや工区まちづくり協議会」を立ち上げたところです。
 この協議会においては、4つのテーマを設定し、安全で円滑な交通の確保、希少動植物が生息生育する環境の保全、歴史や文化の保存と再生、まちづくりの視点から、パブリックコメントなどを通じていただいた多くの皆様からのご意見も踏まえ、議論を深めていただいてまいりました。
 最終的に、今月20日の会議において、整備のあり方として4つの視点に配慮した「新たな道路計画案」がふさわしいとの提言がとりまとめられ、昨日、協議会の会長より報告をいただきました。その際、この2月に有志の方々から提示のあった計画案についても協議会で議論を行ったこと、また、2人の委員からとりまとめは尚早との反対意見があったことについての報告も受けたところです。
 県としましては、この提言と検討過程における議論を踏まえ、高知市の意見も聞いた上で、最終的な判断を行いたいと考えております。
 協議会の委員の皆様には、熱心にご議論いただき、心から感謝申し上げますとともに、引き続き必要に応じてご意見を賜りたいと考えております。

6 中山間対策について

(1)中山間対策
 次に中山間対策についてご説明申し上げます。
 中山間対策の核となる集落活動センターにつきましては、県内各地域で、住民の皆様の主体的な取り組みが進んでおり、その設置数は、現在、26市町村42カ所となり、来年度初めには50カ所程度となる見込みであります。
 中山間地域において、高齢者の暮らしを守り、若者が住み続けられる地域づくりを行うためには、県内各地に広がりつつあるこのネットワークを生かし、「産業をつくる」取り組みと「生活を守る」取り組みをさらに強化していかなければならないと考えております。
 まず、「産業をつくる」取り組みについては、第一次産業を中心とした産業振興計画の産業成長戦略や地域資源を生かした地域アクションプランと、集落活動センターの経済活動を連携させステップアップさせていく三層構造の取り組みをさらに加速してまいります。
 このため、集落活動センターの活動が軌道に乗った地域において、将来の地域の主要産業となることを目指して、センターのメインエンジンともいえる基幹ビジネスを確立、強化しようとする取り組みに対する支援策を新たに設けることといたします。
 「生活を守る」取り組みについては、引き続き、生活用水の確保や買い物支援、移動手段の確保対策などに係る市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。
 また、昨年9月の貨客混載の規制緩和を受け、県内4市町村をモデル地域とした検討会を立ち上げ、それぞれの市町村の課題を解決する効率的かつ効果的な「ヒト」と「モノ」の運送の仕組みについて、検討を進めてまいりました。来年度は、この4地域で実証運行を行いますとともに、新たに他の4地域で検討会を立ち上げることとしております。こうした各地域の実情に応じた様々なパターンの検討を進めることにより、県内各地へ貨客混載の取り組みを普及させてまいります。

(2)大川村議会維持に向けた取り組み
 
大川村議会の維持に向けては、議員の兼業規制の緩和や報酬の在り方といった制度的な対応が必要な項目について、昨年12月、大川村長や村議会議長と共に総務大臣に提言を行いました。総務省の研究会において、本県の提言も踏まえて本年度中に町村議会の在り方について取りまとめられると聞いておりますことから、その動向を注視してまいります。
 また、議会維持のための根治対策は大川村において若者が増えることである、との考えの下、大川村プロジェクトのさらなる加速について、これまで大川村の皆様と共に議論を積み重ねてまいりました。その結果、来年度から、土佐はちきん地鶏のブランド戦略に基づく外商の拡大や、観光交流施設「白滝の里」と集落活動センター「結いの里」を核とした観光振興などの取り組みを本格化することとしております。県としましては、財政的支援はもとより、県職員の派遣も行うこととするなど、大川村を中山間地域活性化のモデルケースとして、その振興に全力で取り組んでまいります。

7 少子化対策と女性の活躍の場の拡大について

(1)少子化対策
 
少子化対策については、先ほど申し上げましたとおり、引き続き、出会いや結婚、子育てなど、ライフステージの各段階に応じた切れ目のない支援を行ってまいります。さらに、産業振興計画や中山間対策など、地域地域において若者の定着や増加を図るとともに、出生率の上昇にもつながる施策、いわば「広義の少子化対策」にも着実に取り組んでまいります。

(2)女性の活躍の場の拡大 
 女性の活躍の場の拡大を目指す「高知家の女性しごと応援室」による女性の就労支援については、開設から3年半で1,400人を超える方々から相談をお受けし、うち471人の方が就職するなどの成果が表れております。
 来年度は、さらなる成果の拡大を目指して、就労支援及び求人開拓にあたるスタッフを増員して体制強化を図ってまいります。その上で、積極的に潜在的な女性求職者の掘り起こしを行うとともに、ハローワークと連携して、これまで高知市のみで行っていた就職相談を県東部や西部でも実施し、より多くの女性に働く場を紹介してまいります。
 さらに、企業に対して、女性が働きやすい職場づくりのアドバイスも行うなど、女性にとって魅力ある職場の拡大に取り組んでまいります。

8 文化芸術とスポーツの振興について

 次に、文化芸術とスポーツの振興についてご説明申し上げます。

(1)高知県文化芸術振興ビジョンの推進
 文化芸術の振興については、昨年3月に策定いたしました高知県文化芸術振興ビジョンに基づく取り組みをさらに充実させてまいります。
 特に、文化芸術の振興を担う人材の育成は、文化芸術の伝承や創造のみならず、文化芸術を産業の振興に生かす上でも礎となるものでありますことから、さらに取り組みを強化してまいりたいと考えております。
 具体的には、文化芸術を産業に生かすために必要な手法を実践例を基に学ぶことができる講座のほか、総合芸術である舞台演劇やショートフィルムなどの制作体験を通じて創造性を幅広く育むための講座を開催いたします。その際には、様々な分野で活躍する文化人を講師として招へいし、本県の人材とのネットワークづくりにもつなげてまいります。

(2)第2期高知県スポーツ推進計画の策定
 スポーツの振興については、本年度設置した高知県スポーツ振興県民会議や、庁内で組織する高知県スポーツ振興推進本部において、専門家の方々からいただいた貴重なアドバイスをもとに、今後の振興施策について議論を重ねてまいりました。
 その結果、今後の本県のスポーツ振興に向けた3つの柱などの方向性を示す第2期高知県スポーツ推進計画案を取りまとめたところです。
 一つ目の柱であります「スポーツ参加の拡大」については、持続可能な地域スポーツ活動を推進するため、総合型地域スポーツクラブなどを核とした地域スポーツハブの構築を進めることとしております。
 市町村やスポーツ関係団体などと連携しつつ、地域スポーツハブが中心となって地域のスポーツに関するニーズなどを把握した上で、そのニーズを満たす取り組みを積極的に進めてまいります。こうした取り組みによって、地域住民のライフステージに応じたスポーツ活動の提供などが各地で行われるよう取り組んでまいります。
 二つ目の柱であります「競技力の向上」については、選手の育成体制を抜本強化するため、競技ごとに県内の有望選手を集めた常設の「全高知チーム」を立ち上げ、全国トップレベルの指導者を同チームに招へいすることなどを通じて、県内の指導者の指導力向上を図るとともに、日常的に質の高い強化練習が実施されることとなるよう努めてまいります。
 早速、今月16日に、レスリングとソフトボールの「全高知チーム」が立ち上がったところであり、今後、他の競技団体においても「全高知チーム」としての取り組みがスタートするよう努めてまいります。あわせて、各競技団体が競技力の向上に向けて作成した育成プログラムがより実効あるものとなるよう、県体育協会と共にPDCAサイクルを回しながら、しっかりと支援してまいります。
 また、子どもたちが自身の適性に応じたスポーツと出会うことのできる環境をつくり上げていくことを目指して、「高知県パスウェイシステム」を構築してまいりたいと考えております。
 具体的には、個々の体力の状況や適性を知ることができる測定会を複数回開催するとともに、県内の優れたジュニア選手が多様な運動プログラムを経験することができる高知くろしおキッズ・ジュニアの取り組みを充実させてまいります。また、「全高知チーム」のメンバーを選抜する選考会を中央競技団体と連携して開催するなど、よりハイレベルを目指して挑戦しようとする子どもたちを応援する仕組みを新たに設けてまいります。
 三つ目の柱であります「スポーツを通じた活力ある県づくり」については、引き続き、プロやアマチュアスポーツのキャンプなどの誘致をはじめ、自然環境を生かしたスポーツツーリズムの推進に取り組むことにより、交流人口の拡大につなげてまいります。
 加えて、地域スポーツハブの取り組みを通じて、新たなスポーツ教室の開催など地域に潜在するスポーツ需要に応えるサービスの提供体制を充実させることにより、地域のスポーツ振興と併せて、地域におけるスポーツ産業の創出や若者の定着などにつなげてまいりたいと考えております。
 そして、これら3つの柱に横断的に関わる施策として、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会やラグビーワールドカップ2019に向けて、事前合宿の誘致や、交流活動の拡大などを通じたスポーツの振興にも取り組んでまいります。
 以上の内容を含む第2期高知県スポーツ推進計画を、県議会やパブリックコメントでいただいたご意見を踏まえて、本年度末までに最終的に取りまとめたいと考えております。また、次年度以降も、高知県スポーツ振興県民会議などにおいてPDCAサイクルを徹底し、着実に取り組んでまいります。

(3)高知龍馬マラソン
 今月18日、「高知龍馬マラソン2018」が開催され、過去最高の1万1,194人のランナーの皆様にご参加いただきました。
 今回も、全国各地から、また、海外からも多くの方々にご参加いただくなど、高知龍馬マラソンが国内のみならず海外からも認知される大会に育ってきたものと考えております。
 大会の開催にあたり、多大なるご尽力を賜ったスタッフやボランティアの方々、沿道での声援や長時間の交通規制にご理解、ご協力を賜りました多くの県民の皆様に心より感謝申し上げます。今後とも、この大会が、より一層全国から注目され、魅力ある大会となりますよう、関係団体と共に取り組んでまいります。

 

第3 その他

1 動物愛護の取り組み

 動物愛護に関する取り組みについては、不幸な犬や猫を少しでも減らすため、これまでも様々な対策を一体的に進めてまいりました。
 収容数を減らすための対策として、動物の適正飼養の普及啓発や不妊手術費用への助成などを行うとともに、小動物管理センターの収容力の拡大を図ってまいりました。加えて、できるだけ多くの犬や猫を譲渡するための対策として、譲渡ボランティア制度の運用や休日の譲渡見学会の開催などに取り組んできたところです。
 この結果、本年度の殺処分数は、平成18年度と比較して、先月末時点で犬が2,049頭から19頭に、猫が6,244頭から646頭へと、大幅に減少しました。しかしながら、まだまだ多くの命が失われているところであり、さらなる対策の強化が求められるところです。
 このため、来年度は、不妊手術の助成頭数をさらに増加させるとともに、小動物管理センターにおいて、動物福祉に配慮した飼養管理体制を強化するため、獣医師の往診やミルクボランティアによる離乳前の子猫譲渡などにも取り組んでまいります。
 さらに、こうした今できる対策のみならず、より踏み込んだ対策も必要であると考えており、その一環として今後、新たに動物愛護の推進拠点となる動物愛護センターの設置に向けての検討を加速してまいります。

2 ルネサス高知工場

 本年5月末に閉鎖を伴う集約が予定されているルネサスエレクトロニクス株式会社の子会社であるルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング株式会社の高知工場に関しては、現在、ルネサス社と香南市と共に、従業員の皆様の地元での雇用を維持できるよう、承継先の確保に向けて全力で取り組んでいるところです。
 今月15日に、再度香南市長と共にルネサス社を訪問し、同社のトップに対して、工場が閉鎖される本年5月末までに何としても承継先を確保し、従業員の皆様のこの地域での雇用を守っていただくよう強く申し入れました。これに対し、ルネサス社からは、誠意を持って全力で取り組むとの決意を伺ったところです。
 現時点では、まだ承継先の確保には至っておりませんが、ルネサス社の活動状況をしっかりと確認しながら、本年5月末までに承継先を確保できるよう、最大限の努力を重ねてまいります。

3 新たな管理型最終処分場の候補地の選定

 産業廃棄物の新たな管理型最終処分場の整備については、有識者などによって構成される「新たな管理型最終処分場候補地選定委員会」において、候補地の選定に向けた議論が重ねられてきました。その結果、今月1日に開催しました第6回委員会において、須崎市神田、香南市香我美町上分、佐川町加茂の3カ所が最終候補地として選定されました。
 候補地の選定にあたっては、まず、高知市中心部から自動車で概ね1時間圏内といった廃棄物運搬の利便性がある地域のうち、地すべり防止区域や市街化調整区域などに該当しない約10万3千ヘクタールの地域が選定されました。また4カ所から公募もいただいたところです。
 次に、これらの中から、5.5ヘクタール以上の土地であることなどの条件を満たす約100カ所を選定し、さらにこの中から、例えば、防災の観点からは、土砂災害危険箇所への該当の有無や災害発生のリスクを判断するための地形判読など、住民生活や環境への影響の観点からは、保育所、学校及び病院の立地状況や水道水源の状況など、廃棄物運搬の利便性の観点からは、幹線道路からの距離など、合計33のスクリーニング項目により順次絞り込みが行われました。
 結果として最終候補地となった3カ所は、災害の発生の可能性や地域住民の生活や環境に影響を及ぼす可能性が著しく低く、廃棄物運搬の利便性が高い、新たな施設の整備に適した土地であると考えられます。
 第6回委員会において最終候補地が選定された後は、これまでの候補地選定過程の透明性を確保するため、非公開とされた審議も含め、委員会において用いた資料を全面的に公表するとともに、審議の経過についても詳細にご説明させていただいてきたところです。
 あわせて、最終候補地となった3市町について、県の幹部職員がそれぞれの首長を訪問し、選定の過程をご説明するとともに、各議会や地域住民の方々に対する説明会の開催などへのご協力をお願いしたところです。
 今後は、さらに詳細な現地調査を行うとともに、地元自治体や議会、住民の皆様に、当該地区が候補地として選定された過程をはじめ、最終処分場の必要性や安全性について丁寧の上にも丁寧にご説明させていただき、最終処分場の整備についてご理解をいただけるよう取り組んでまいります。

4 高知県土地開発公社

 今議会には、高知県土地開発公社の保有地に係る債務を処理するための一連の議案を提出させていただいております。
 これらの保有地は、昭和50年代半ば以降、公共事業の代替地確保などを目的として、県の貸付けや債務保証によって公社が取得したものですが、これまでの地価下落などにより含み損が生じておりました。今後の地価の上昇も見込むことができない状況の下、負担が最小となるタイミングで、かつ、追加の負担を生じない方法で含み損を処理する必要があると考えてきたところです。
 このような中、昨年9月までに、最大規模の保有地である高知市の秦南団地の大半を売却し、現金化することができたことから、追加の負担を生じることなく土地開発基金の残高の範囲内で含み損を処理することができる目途が立ちました。さらに、今後は、当該団地の貸し付けによる収入が得られず、他方で、来年度以降も公社が保有地を保有し続ければ新たな金利負担が生じることになることから、現段階で含み損を処理することが負担を最小化するタイミングであると考えたところです。
 また、公共用地の先行取得などを目的とする土地開発基金は、基本的に地価の高騰に対応するものであることから、長年活用されておりませんでした。先ほど申し上げたとおり、公社の含み損の処理にあたり、まずはこの土地開発基金を活用し、新たな負担の発生を回避することとしましたが、さらに、基金の残余については、喫緊の課題である防災対策に充てていくことが適当であると考えたところです。このため、防災目的のための基金にリニューアルすることとしました。
 一連の処理により公社の保有地を県が取得することとなりますが、今後、その売却を含めた有効活用を検討してまいります。
 なお、公社が国から受託しております四国8の字ネットワークの用地取得事業については、県が引き継ぐことが適当と考えております。当該事業に必要なノウハウを県がしっかりと引き継ぐため、5年間、公社を存続させ、県職員を公社に派遣することとしております。

 

第4 議案

 続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
 まず予算案は、平成30年度高知県一般会計予算など41件です。
 このうち一般会計予算は、先ほど申し上げました5つの基本政策を推進するための経費などを中心に、4,508億円余りの歳入歳出予算などを計上しております。
 条例議案は、高知県防災対策基金条例議案など45件であります。
 その他の議案は、高知県が当事者である訴えの提起に関する議案など14件であります。
 以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
 何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

 

お問い合わせ

総合企画部 秘書課
TEL:088-823-9151
FAX:088-824-7745
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