公開日 2018年03月06日
<年頭所感>
はじめに
産業振興計画の推進
日本一の健康長寿県づくり
教育の充実
南海トラフ地震対策
インフラの充実と有効活用
中山間対策
少子化対策と女性の活躍の推進
文化芸術とスポーツの振興
県政浮揚を目指して
<記者との質疑応答>
地産外商
本県経済の動向
IT・コンテンツ人材の育成・確保
南海トラフ地震対策
明治維新150年
よさこいプロモーション
移住促進・人材確保センター
賃上げ問題
人材の育成・確保
ビキニ被曝
スポーツ振興
インバウンドの取り組み
【年頭所感】
【記者との質疑応答】
<年頭所感>
皆さま、明けましておめでとうございます。平成30年の年頭に当たりまして、本年の県政運営に関する年頭の所感を申し上げさせていただきます。
県民の皆さま、お一人お一人それぞれが素晴らしい良き新年をお迎えになられたことと思います。ぜひ、皆々様方の今年が、大変素晴らしい年になりますよう、ご多幸を心よりお祈り申し上げる次第です。
私ども高知県庁といたしましても、今年、県勢浮揚に向けてさらなる取り組みの強化を図ってきたいと考えているところです。県勢浮揚に向けて、一部に見られてきた兆しをより確固なものとして、何としてもこの県民の皆さま方の暮らしを守っていく。そのための道筋を付けていく。そういう年にしていくことができればと考えているところです。
さまざまな直接的に効果をもたらすであろう対策・施策を講じていくとともに、全般的に共通して言えることだと思いますけれども、人材の育成・確保ということについて特に力点を置いていきたいと考えております。中長期的な発展を確かならしめるもの、それは人材育成・確保だと考えているところでして、最も重要なポイントではないかと考えています。
産業振興の取り組み、福祉の取り組み、さらには教育、文化関係の取り組み全般にわたって、人材育成と確保についてしっかり力を入れていきたいと考えています。また、このことは現下において深刻になってきております人手不足の問題にも対応し得るものだと考えているところです。こういう観点からも力を入れていかなければならないと考えているところです。
分野別に、それぞれの取り組みについてお話をさせていただきたいと思います。
まず第1に、産業振興計画の取り組みについてです。県経済については、ほぼ完全雇用の状態に達し、有効求人倍率も1.26倍と、過去最高レベルに達することとなりました。平成20年度、21年度ぐらいを境として、高知県の経済は、人口減少に伴ってほぼパラレルに縮む経済から、人口減少下にあっても拡大する経済へと変わりつつある。そのことはさまざまな経済データから見ても確かなところだろうと考えているところです。
しかしながら、完全雇用状態の中においていかにして成長を確保し続けるか。成長の壁にぶつかることなく、引き続き持続的な成長を確保していく。もっと言えば地産外商の成果を拡大再生産につなげていく取り組みを、現下の状況においても確立するために、施策群をしっかり講じていくことが大事だろうと考えているところです。
地産の強化と外商の展開がそれぞれ大事だと考えています。まず地産の強化という観点からは、第1に重要な点として、先ほど来申し上げているところにも共通しますが、やはり人材の育成・確保ということが非常に大事だろうと考えています。県外からの移住の取り組みについて、移住促進・人材確保センターを昨年立ち上げました。今年はこのセンターの取り組みがいよいよ本格稼働していく、そういう年になるわけです。県内におけるさまざまな潜在的ニーズを県外に効果的に発信することによって、さまざまな人材を確保していく。そういう取り組みをさらに強化していきたいと考えています。
併せて、人材育成の機能につきましても、各分野において大幅に強化をしていきたいと考えています。例えば、県立の林業大学校がこの4月から本格稼働することになります。IT・コンテンツ分野においても、人材を育成する機能を大幅に強化することができないかということを現在検討しているところです。その他の分野についても、人材育成機能を強化することによって、それをまた一つの呼び水として、県外からの移住者確保につなげられないか。さらに、県内の若者たちの良き進学先にするという形も考えていくことができないかということを模索してまいりたいと考えています。
地産の強化の第2点目に重要な点としては、生産性向上のための諸施策ということがあろうかと思います。一次産業分野においても、例えば農業において次世代型ハウスの普及を図っていく取り組みであったり、林業分野において高性能林業機械の取り組みであったり、さらに養殖業をより効率化していくような取り組みが展開できないかなど、さまざまな新しい技術をそれぞれの分野に導入していくことによって、生産性と付加価値を高めていく。そういう取り組みを様々な分野において講じて行くことができないかと考えているところです。
そして、この人材育成・確保、そして生産性の向上ともに関わる話として、事業戦略の策定支援、そして実行支援。この取り組みについて、今後もさらに強化していくことが大事だろうと考えています。人材育成をしていくにしても、人材を確保していくにしても、さらには新たな技術の導入を行うにしても、やはりその前提として、しっかりとした作戦を立てるということが非常に重要になるだろうと思います。事前に戦略づくりをしていくということは、それぞれの事業体の皆さまにとって大事なことだろうと考えています。
この事業戦略づくり、一見迂遠なように見えて、ある意味、特効薬なのだろうと思っています。この事業戦略づくりを各分野において、より積極的に展開していきたいと考えています。
働き方改革の推進ということが全国的に言われています。また賃金の改善も大変重要だと言われているところでありまして、これは高知県にも言えることだと思っています。この働き方改革、さらに言えば賃金の改善、上昇ということについて、これができる環境をまず整えなければなりません。これが必要条件となります。そして、その上に立って、今度は、働き方改革を進めたい、賃金の向上を図りたいと思うような、そういうインセンティブをつくり出すような環境をつくっていくことも、また大事です。これは十分条件ということになるんだろうと思います。
必要条件としての環境づくりという観点からは、地産外商を進めてくる中において一定水準での持続性ということに確信を持てるようになってきた。そういう事業者さんも出てこられたかもしれません。さらにその広がりをもたらせていくということも非常に重要だろうと思っています。先ほど来申し上げている地産外商の取り組みをさらに強化することを通じて、こういうことをさらに展開していきたいと考えています。
もう1点、賃金を引き上げ、働き方改革を進めるということを行いたいと思えるような環境づくりという点。この十分条件という観点からいけば、やはり事業戦略づくりというのは非常に重要なポイントではないのかと思っています。賃金も上げて、人材を確保することが自社の長期的発展にとっても好ましいとか、しっかり働き方改革をして、正社員化もして、処遇改善することが結果として、従業員の皆さんの幸せにもつながるし、また自社にとってもノウハウの蓄積、展開という観点から望ましいと思えるようになっていくことが非常に重要なのではないかと思っています。
働き方改革の推進、さらに賃金の向上という観点からも、地産外商の取り組みを進めると同時に、先ほど来申し上げております、事業戦略づくりについて、しっかりと対応させていただくことが非常に重要なポイントではないかと考えているところです。
地産の強化については、人材の育成・確保、さらには新技術の導入促進、そして3点目として事業戦略づくり。これが直接的にそれぞれの事業体の皆さま方の地産の強化につながるような施策ということになります。これらの施策群に加えて、もう1群、それぞれの事業体の皆さんの地産の強化を促していくような環境づくり、土壌づくりも大事だろうと考えています。これに関わるものが大きく言うと二つあると思っていまして、一つは産業クラスターの形成、そしてもう一つが起業や新事業展開の促進を促すような環境づくりだと考えています。
この地域産業クラスター形成の取り組みについては、現在19のプロジェクトがスタートし、それぞれ展開されているところです。クラスター化を図っていくことによって、多様な職を地域地域に生み出していくことが人材確保に資するということは言うまでもないだろうと思っていますし、また、地域において多様な産業群の広がりをもたらすことによって、その地域の産業全体としての生産性の向上、付加価値の向上ということにつながっていくのだろうと思っています。
また、起業や新事業展開の促進という観点からは、昨年6月に「KOCHI STARTUP PARK」をスタートさせて、多くの会員の皆さま方に取り組みをしていただいています。こちらの取り組みもさらに強化していきたいと考えており、このことによって、さらなる新陳代謝を継続的に促していく。そういう取り組みを進めていくことで、さらなる生産性の向上を図る。また新たな分野において、事業を展開していくことで、その分野における人材確保などにつなげていくことができればと考えているところです。
いずれにしても、完全雇用下における地産の強化について、技術面さらには人材確保面、事業戦略策定面、さらには土壌づくりという観点、地域産業クラスター形成や新陳代謝を促す土壌づくり等々、一連の取り組みについて、平成28年度から強化してきているところですが、これまでの取り組みの土台の上に立って、平成30年度において、さらに施策を強化していくことが必要な分野だろうと考えているところです。
外商の展開という観点からいきますと、2点あります。
1点目は全国展開を図っていますけれども、この全国展開について、さらに領域を広げていくということです。具体的には恐らく中部圏域につきまして、地産外商公社の展開をさらに強化していくことになるのではないかと考えています。そして、何と言いましても重要なことは輸出の促進ということです。輸出の促進については、土佐酒の輸出などが大幅に拡大をされてくるなど、品目面においても地域的な広がりということについても、いよいよ本格的な展開を図っていくことができる時機に来たのではないかと考えています。この機を捉えて、私どもとしてもこれに対応する体制を強化していくことが大事ではないかと考えています。
現在庁内において、地産外商の外商部門の中で、輸出の取り組みを本格的に展開していくための体制づくりについて、検討しているところでして、平成30年以降、輸出についてさらなる展開を図っていくことをできるようにしていきたいと考えております。
観光についてであります。昨年は、大変多くの観光客の皆さんにお出でいただきまして、本当に心から感謝を申し上げております。昨年の観光入込客数は恐らく大河ドラマ「龍馬伝」のとき、それ並かもしくはやや上回る程度になるのではないかと予想しているところでして、これから2月にかけて集計をしていくということになります。大河ドラマなくして大河ドラマのときと並ぶ観光客の皆さんに来ていただくということを一つの目標としていたわけですけれども、概ね達成することができそうということであります。本当に多くの関係者の皆さん、大変なるご尽力をされた成果でありまして、本当に心から敬意を表させていただきたいと思いますし、お出でいただきました観光客の皆さんにも本当に心から感謝を申し上げたいと思います。
今年はいよいよ4月21日から維新博の第2幕がスタートすることになります。坂本龍馬記念館の新館が立ち上がることを含め、全部で六つの施設において、リニューアルオープン、さらには施設の強化が図られることになります。大河ドラマ「西郷どん」の流れともしっかりタイアップさせていただきながら、この第2幕においてもしっかりと盛り上がりを作っていって、高知県の歴史観光という観点から一つの到達点に達することができるように頑張っていければと考えているところでございます。
そして、ポスト維新博に向けての準備、さらに助走的な行為についてしっかりと執り進めていくことが平成30年度の一つの課題になるだろうと考えています。「幕末維新博」第2幕終了後のポスト維新博については、平成31年度から自然をテーマとしてさまざまなキャンペーンが展開できないかと考えているところでございます。オリンピックの前の年ということ、さらに言えばさまざまな自然関係の施設、キャンプ場、牧野植物園をはじめとして足摺海洋館等々、一連の施設が県内各地に立ち上がってくるこの時期を捉えて、自然を生かした観光を展開していくことをぜひ目指していきたいと考えています。
自然を生かした観光の展開は、また歴史観光とは違ったさまざまなノウハウが必要になってくるだろうと考えているところでして、そのためにも準備をしっかり進めていくことが大事だと思っています。歴史・自然・食の周遊コースづくりがもともとの維新博の目的でもありますので、維新博の第2幕となる平成30年度においては、歴史・自然・食の自然部分について、少し出力を増していくような取り組みをしていきたい。そこでいろいろとノウハウを蓄積していって、自然を前面に出した観光に備え、平成31年度以降につなげていけないかと考えているところです。
自然観光を前面に出した取り組みを進めていくことは、これは即インバウンド観光の振興にもつながっていくものだと考えています。歴史観光を通じたインバウンドの振興も、続けていきたいと思いますけれども、自然観光をより打ち出していくことによって、インバウンド観光についての対応をさらに加速していけないかと考えております。
日本一の健康長寿県づくり
続きまして、日本一の健康長寿県構想の取り組みについてでございます。これまで日本一の健康長寿県構想に基づきまして、五つの柱に基づいて取り組みを進めてまいりました。壮年期の死亡率の改善を図ること。さらには住み慣れた地域地域で暮らし続けることのできる高知県をつくっていくということ。そして厳しい環境にある子どもたちへの対策を進めるということ。そして少子化対策をしっかり進めるということ。そして一連の人材の確保をしっかり図っていくということ。これらの取り組みを進めてきたところであります。
今年はそれぞれの取り組みをさらに進めていく中において、大きく言って二つのシステムを作り上げていくことができないかと考えています。第1が高知版の地域包括ケアシステムを作り上げていくということであります。そして第2が高知版のネウボラ、このシステムを作り上げていくということだと考えております。
高知版の地域包括ケアシステムについては、そのシステム全体の一部を担う重要な仕組み、それぞれの部分的な仕組みを、これまで一つ一つ作り上げてきたつもりです。あったかふれあいセンターのような地域の福祉ネットワーク、さらに訪問看護、訪問介護の取り組み、仕組み、さらには総合医を育成していくような仕組みづくり等々、一連の取り組みを進めてまいりました。それぞれの仕組み、パーツとなる仕組み一つ一つについて一定充実してきている。そういう側面にあるのではないかと思っています。それぞれの取り組みがしっかりと連携して、トータルとして高知版の地域包括ケアシステムとなっていきますようにそれぞれの取り組みを統合していく。そして一つのシステムに形づくっていけるようにしていく。そういうことが平成30年度における一つの大きな、非常に重要な取り組みの柱だろうと考えています。
そうすることによって、できる限り県民の皆さまが、住み慣れた地域で、できる限り長く暮らしていけるような、QOLの高い形での健康長寿の実現ということをぜひ目指していきたいと思っています。
大きな2点目は高知版のネウボラシステムの構築ということになります。子育て包括支援センターや地域子育て支援拠点です。さらに、先ほども申し上げましたが、あったかふれあいセンターです。それぞれの取り組み、一定前に進んできたところがあります。また母子保健と児童福祉との連携の仕組みなどについても、一定それぞれ取り組みが浸透してくることとなってきました。こういう取り組みと幼稚園・保育園の取り組み、小学校における放課後支援の取り組み等々、これら一連の取り組みをしっかりと組み合わせていくことで、子どもたち、さらには保護者の皆さま方、一連のそれぞれのステージにおいて、しっかりとバックアップできるような仕組みをつくっていくことができないかと考えています。
そういうことを通じて、厳しい環境にある子どもたちへの対策を充実させていきますとともに、併せて、子育てしながら働くことがしやすい環境づくりを進めていくことで少子化対策にも資するという形をつくっていくことができればと考えているところです。
これら一連の取り組みを進めていくにあたって、こちらにおいてもキーとなりますのは、人材育成と確保ということかと思っています。特に福祉の分野においては人手不足が大変深刻になってきているところでして、それぞれの事業体の皆さまにおいて、人材確保に資するようなシステムづくりをしていただくためにも、新たな認証評価制度というのを立ち上げることとなります。
さらには、それぞれの分野において、皆さま同士の連携・協調がしっかりできてこそ、効果を発揮する部分が多いということを念頭において、そういう点をうまく回すことのできるような研修や人材育成に既存の社会福祉協議会の人材センターや私どもが別途設ける研修などを通じて人材育成につなげていけるように取り組んでいければと考えているところであります。
3点目は教育の改革についてでございます。高知県の教育大綱について、新年度に向けてさらにバージョンアップを図っていくことを予定しているところです。チーム学校の取り組み、そして厳しい環境にある子どもたちへの支援。さらには地域との協働の取り組み、こちらがこの大綱の大きな三つの柱となりますが、それぞれについて、さらなる充実を図っていくことになります。
チーム学校の取り組みについて言えば、例えば縦持ちの仕組みなどについて、非常に有効であることがほぼ見えてくるようになってまいりました。可能な中学校については、全てこの取り組みを導入するという形で、さらに進めていくことができればと考えております。そして、高等学校でのチーム学校の取り組みについて、より実効性が上がるような形にできないかということについて、高等学校の学力向上のためにも、これはより徹底していく必要があるだろうと考えております。特に高等学校におけるチーム学校のさらなる推進ということが一つの大きなキーになるだろうと考えています。
厳しい環境にある子どもたち対策ということについては、先ほど申し上げた高知版のネウボラシステムをしっかりつくり上げていくということが、第1に重要なわけですが、教育の面においても、例えば放課後の学習支援をしっかりすることとか、そういう点においても重要です。
さらに、もう1点ありますのは、やはりいじめとか不登校に対する対策をさらに強化をしていかなくてはなりません。こちらについても、学校がチームとして対処することが大事。ある意味、早期発見、早期対処ということが非常に大事な分野だろうと思っております。チーム学校としてこの問題に当たるということを、平成29年度からスタートし始めているところですが、そのより一層の徹底を、初年度1年やってきた中において、いろいろと見えてきた課題などもございますので、その点も踏まえてさらに強化をしていけないかと考えています。
いずれにしましても、この分野において非常にカギとなりますのは、地域の皆さまとの協働であります。学校、地域、支援本部、さらには協働本部、この取り組みをさらに強化できるように取り組んでまいりたいと考えております。
南海トラフ地震対策
4番目、南海トラフ地震対策についてということでありますが、引き続き命を守る対策、命をつなぐ対策、そして生活を立ち上げる対策、それぞれについてしっかりと取り組みを進めていきますが、特に今年焦点となってきますのが、住宅の耐震化ではないかと思っています。津波対策については、津波避難タワーや避難路、避難場所の整備が一定進んでくるようになってまいりました。しっかりと地域地域において、これらの避難施設を生かしながら避難訓練を積み重ねてきて、それぞれ予想される危険因子をあらかじめ排除していくということを今後積み重ねていくんだろうと思っています。
ただ、入り口対策としての住宅の耐震化について、まだまだ耐震化率を引き上げなければならない段階にあります。こちらについて、国の新しい制度もしっかりと生かしていきながら、さらなる加速化を図っていきたいと考えております。
あと1点、大規模地震対策特別措置法の見直しの議論がされて、本県がそれに伴う国のガイドラインづくりのモデル地区として選定されています。この役目をしっかりと果たしていくということが大事だろうと思っているところでして、モデル地区対応の取り組みも今年しっかり進めてまいりたいと考えております。
インフラの充実と有効活用
5点目のインフラ整備という観点からは、大変重要な事業が五つもあります。浦戸湾の三重防護事業、8の字ネットワークの整備促進の事業、早明浦ダムの整備促進の事業等々、これら国の予算編成期において、おそらく一定手応えが得られる結果になってきているのではないかと思いますけれども、最終的に年度が明けるまでの間において、これらインフラ整備が進んでいきますように、我々としても気を抜くことなく対応を進めていかなければならないと考えております。
以上が五つの基本政策でありますが、これに関連する三つの課題について、まず第1に中山間対策という観点からは、産業振興計画、日本一の健康長寿県づくりの取り組み、それぞれ組み合わせて引き続き展開していくということになりますが、やはり集落活動センターについて、さらなる横展開と活動の充実ということが非常に重要なポイントになります。
集落活動センターについては、現在41ヵ所できています。平成31年度までに80ヵ所という目標を掲げているところでして、引き続き、この整備促進に取り組んでいきたいと考えています。併せて、この集落活動センターが地域における暮らしの拠点となるために、地域における経済活動の拠点となることが極めて大事だと思っています。集落活動センターの経済活動のメインエンジンとなる事業を、それぞれのセンターに根付かせていくことが極めて大事だと思っています。
その際に産業振興計画の成長戦略や地域アクションプランとしっかりネットワークを構築することで、地産外商の効果を集落に引き込んでいく役割を担うということを意識していくことも大事だろうと考えています。各集落活動センターのメインエンジンをつくっていく。そういうことを力強く応援できるような施策の展開を図っていければと考えています。
もう1点、中山間対策の一つの切り札として、貨客混載の取り組みを大変期待しているところです。中山間の暮らしを守るという観点、さらには産業の振興を図るという観点、両方から貨客混載の規制緩和というのは時宜を得たものだと思っています。ある意味、高知県の中山間のためにあるような規制緩和だと思っています。ぜひこれを生かしきることができないかなと思っています。4市町村の皆さんと具体的にプロジェクトチームを組んで、実証化していこうという体制をつくろうとしているところですが、そこで得た成果を速やかに全県下的に普及できるようなことが考えていけないか、しっかりスピード感を持って進めていきたいと考えているところです。
少子化対策と女性の活躍の推進
少子化対策と女性の活躍促進ということについて、まず少子化対策については、引き続き結婚支援の取り組みをしっかり進めていきますとともに、先ほども申し上げたことに関わりますが、子育てしながら働くことができる環境をいかに改善していけるか。ここが非常に大きなポイントになるだろうと思っています。ある意味、さまざまな取り組みに関連してくると思っておりまして、冒頭申し上げた産業振興計画の中でも事業戦略づくりであるとか、さらには働き方改革の取り組みであるとか、そういう中においても、この視点というのはしっかり入れていただくように一定図っていくことが大事だろうと思っています。
併せて、子育てしながら働きやすい環境づくりを行っていくための個別の仕組み、より直接的に、これにつながっていくような仕組みというのもしっかり整備していくことも大事だろうと思っています。例えばファミリーサポートセンターについて、今年になって新たに2ヵ所整備されることとなったわけですが、さらなる全県的な展開が図れるように進めていくことが大事だろうと思っています。また高知家の女性しごと応援室についても、大変多くの相談をいただいて、多くの就職の支援をさせていただいた実績があることも踏まえて、大幅な機能強化が図れないかということを検討しているところです。
そしてもう1点、ソフト施策ではありますが、おそらく非常に効果があるのではないかと期待しておりますのが、男性の育休の取得ということです。男性が家事、育児を手伝う、その程度如何によって第2子の出生割合が全然変わってくるという統計データもあるわけです。家族で子育ての負担をシェアしていくという状況をつくり出していくことは非常に大事だろうと思っています。
その一つの入り口として、男性の育児休暇の取得について、高知家子育て応援団の企業の皆さま方や企業団体の皆さまともタイアップさせていただきながら、拡大していくことができないかと考えています。
文化芸術とスポーツの振興について、こちらは平成29年度から八つ目の柱として加えているものです。この文化芸術の振興については、新たな振興ビジョンに基づきまして、文化芸術それぞれの発表の機会を増やすという取り組みを一つの柱として取り組んでまいりました。この取り組みは引き続き強化していきますが、併せて第2の柱として、文化芸術を育成して、さらに言えば、こういうものを通じて産業化を図っていくということを行っていけるような人材の育成・確保ということについて、少し力を入れられないかと思っています。
まだ、全くの構想の段階ですけれども、土佐まるごとビジネスアカデミーというのが産業振興計画に基づいてありますけれども、文化芸術版においてもMBA的な対応をとることができないものかということについて、まだまだ検討の初期段階でありますが、今構想を練っている段階でございます。
最後、スポーツの振興について、最終的に目指すところは、高知の子どもたちができるだけ早い段階で自分に適したスポーツに出会うことができて、スポーツを通じて心・身、知・徳・体を鍛える。そして生涯のスポーツに親しむことによって、健康長寿を実現することができるという体制を一連のものとしてつくっていくことが目指すところだろうと思っております。残念ながら高知県は小規模校が多くて、小中学校の、もっと言いますと中高校生の段階においても、部活において、必ずしも自分に適したスポーツに出会えない。部活に、そういうタイプのスポーツがないことがたくさんあるわけです。この状況をまず改善していかないといけません。地域にスポーツハブをつくる。そういうことなどを通じて、地域のさまざまなスポーツ振興の取り組みをしておられる皆さまとタイアップさせていただきながら、一定広域にならざるを得ないですけれども、できる限り地域地域において、多様なスポーツを行っていくことができるチームをつくっていくような取り組みを進めていくことができないかと考えています。
そして、そういう仕組みを通じて、多くの子どもができる限り自分に適したスポーツに親しめるようになり、その中において有望な選手を発掘・育成し、そしてその有望な選手については、全日本ならぬ全高知チームを常設で置くこととし、その全高知チームに速やかに所属できるようにしていく。全高知チームには若い世代から成人の世代まで、さまざまな世代が同居することになろうかと思います。一定優秀な選手の皆さんが集まって来られることになりますので、そこに優秀なコーチを外部から招へいをしてきて、恒常的に子どもたちにとって良き鍛錬の機会と言いますか、練習の機会が常に得られるという形につくっていくことができないかと思っています。
前者をパスウェイシステムと、後者を全高知チームシステムと言っていますが、こういうものを構築していくことを通じて、子どもたちが早い段階から自分に適したスポーツに出会うことができる。そして、それを大人になるまでずっと続けていくことができる。もってして生涯スポーツの振興に資することとなるということができないかと考えているところであります。
こちらについては、二つポイントがあると思っています。まずは地域地域において、さまざまにスポーツ振興に取り組んでおられた皆さま方と私どもと体育協会の皆さんの3者でしっかりと連携が取れるということが非常に大事だろうと。これが第1点です。そして第2点は、やはりこちらも人材の育成・確保ということが非常に大事になってくるだろうと思っています。外部から優秀な指導者の招へいをしっかりと力を入れて進めていきたいと考えています。そして、外部からお出でいただいた指導者の皆さんに、高知県内にお出でになる有為な若い指導者の皆さんをしっかりご指導いただくということを通じて高知県全体としてのスポーツについての指導力を向上させていけることにつながっていければと思っているところです。
知事部局にスポーツの振興施策を移管してから、現在が初年度でありまして、今ありますスポーツ推進計画について、この1年間の検討を踏まえて、来年度からもう一段、本格的にバージョンアップをしていくことになるだろうと考えているところです。
このような形で、平成30年におきましても県勢浮揚を目指して、全力でもって取り組みを進めてまいります。そういう中におきまして、さまざまに県政運営、いわゆる県庁における行政運営そのもののさらなる効率化もしっかりと果たしていくことが大事だろうと思っています。
今までさまざまな施策を積み上げてきた中において、この点はもう民間の皆さま方にバトンタッチさせていただきたいというものもたくさんあるだろうと思っています。我々がより厳しいフロントに立つ。その分もう既に一定確立してきた行政分野については、いい形で、例えばアウトソーシングすることができるという分野も出てくるかもしれません。さらに言えば、もうそもそも行政としての取り組みについては止めてもいいのではないか。スクラップしてもいいのではないかという分野も出てくるだろうと考えています。
しっかりとスクラップ&ビルドの取り組みを進めていくことによって、我々県庁としてより効果的・効率的に、ある意味、職員にとっては働き方改革ということも含めて、しっかり取り組みを進めていけるようになっていければと考えています。
これら一連の事項を考慮しながら、現在、平成30年度の予算編成、これから最盛期に突入をしていくわけですけれども、この平成30年を通じて県勢浮揚に向けて、もう一段歩みが確かなものとなりますようにしっかりとした施策展開を図っていきたいと考えています。そのために、まずはこの1月、2月、3月を通じて施策をしっかりと練っていきたいと考えているところです。
本年も頑張ります。ぜひ、県民の皆さまにはさまざまなご指導、ご鞭撻を賜りますようによろしくお願いいたします。
<記者からの質疑応答>
(木田・時事通信記者)
外商の強化について詳しくお聞きしたいのですが、中部地方への地産外商強化ですとか、輸出の本格化に関して、例えば、新しい事務所を県外に設けたり、海外に設けたりということはご検討されているんでしょうか。
(知事)
輸出の振興という観点からいけば、おそらく人員も含めて体制の強化を図っていくことになるだろうと思っています。例えば、地産外商公社、最初の年に取れた成約の件数は174件、それから444件になって1,327件になりました。それぐらいの段階で、外商公社そのものの体制を大幅に強化しました。その結果として、現在は8,000件を超える成約件数となり、多分今年はもっと上へいくんじゃないかと思っているんですけど、そういう形で外商支援機能は大幅に強化することができました。物事が進んでいる中において、行政としても的確に行政の投資をしていくことが大事だろうと思います。ですから輸出について、まだ少し展開を模索するという側面が強い部分は金額によってはあります。より本格的に輸出の振興につながっていくことができるような体制を、今年は全庁的につくっていく必要があるんだろうと思っております。
実は29年から少し体制強化しています。全庁的に輸出の取り組みを統括できるような、輸出を振興する振興監という全体を統括する職を設けているところです。かなり手応えがありますので、よりここで展開を強化していくべきときだと思っています。
(木田・時事通信記者)
そうすると、事務所なども。
(知事)
事務所を作るかということについては、まだ分かりません。今もシンガポール事務所などがありますので。まだいろんなパターンを検討してみないといけないと思いますので、予算編成が終わるまで分からないと思います。
中部圏(名古屋)についても、最終的にどういう形になるか。もしかしたらすごく踏み出すかもしれませんし、そこまでは踏み出さないかもしれませんし、まだ吟味しているところです。
(大野・高知新聞記者)
最初に、一部に見られた兆しを確固たるものにするとおっしゃいましたけど、具体的にどういう成果が出てきていますか。
(知事)
私が実感をするのは次の2点だと思っています。まず、平成20年度から26年度にかけての実質GDP成長率は4.0%のプラスです。特に平成26年度のGDPデータで明確にプラス成長が継続しているということが見てとれるようになってきたということが大きいのではないかと思っています。高知県は長い間、特に平成20年度以前は基本的にずっとマイナス成長でした。平成14年度から20年度にかけては、実質で6.3%マイナスですけど名目だと11.3%マイナス成長でずっと縮む経済でした。
しかしながら、こちらが反転に転じてプラス成長が明確になってきた。このことは大きい構造の転換と言えるのではないかと思います。ちなみにこれは平成26年度のデータです。有効求人倍率が1を超えたのは27年になります。27年、28年とその他のデータを見ると基本的に全部上向いてきていまして、そこから類推すると28年にかけても、全体として拡大する経済に変換しつつあるというのは一つの方向として言えるのではないかと思っています。
ただ、先ほども申し上げましたけども、拡大する経済になってきたからこそ、いわゆる高知のような経済規模の小さいところは、早々に成長の限界に当たってしまうかもしれないということもあります。成長の限界に当たって、めげてしまうということではなくて、それを突き抜けてさらなる成長を確固たるものとするための施策群をしっかり展開をしていかないといけないと思っています。
第3期の産業振興計画を策定したときに、その点を強く意識して、地産外商拡大再生産と言ってきたんですが、この拡大再生産策をしっかり講ずると言ったのは、地産外商の取り組みについて、途中でスピードダウンしたり、反転して下降に転じたりということのないように、引き続き継続的に成長していけるような施策を講ずるということで、そういうことを言わせていただいたところであります。平成27年、28年、29年ときて、その成長の過程を突き抜けて、さらに拡大再生産を続けていくためのこの施策群というのは、さらに重要性を増していると思います。ですから、この施策群そのものについて、さらに強化を図っていけるように展開していきたいと思っています。
それともう1点は、さっきの繰り返しにもなりますけど、やっぱり中長期的な発展に資する基盤を作り上げていくことも、大事な仕事だと思います。やはりそこは人材育成と確保ということに尽きるんだろうと思っています。これは現下の人手不足に対する対応ということでもありますし、中長期的な本県の発展という観点からも重要なことだと思っています。
移住促進・人材確保センターもいよいよ本格稼働して、平年度化するのは今年からになります。昨年10月に立ち上がって11月、12月と順調に準備も進んできていると思います。さらに土佐MBAの取り組みなどについても、随分充実してきていると思っていますし、さらには、IT・コンテンツ系などについても、人材育成・確保の取り組みについて、スタートしてきたと言えるところも出てきていると思っています。
これら、もう1回しっかりとよく中身を見て、人材育成・確保の取り組みがさらに充実したものになるように、しっかり政策を練り上げていきたいと思っているところです。
(大野・高知新聞記者)
人材育成のところで、IT人材の育成・確保というものを大幅に強化したいとおっしゃいましたけど、県行政にとって未知の分野ではないかのかと思ったりするんですけども、どのように進めるか、アイデアというか。来年度予算にもこれは絡んでくるんだろうと思うんですけれど、どういうふうに進めていくのでしょうか。
(知事)
土佐MBA的な形で人材育成をつくる、そのようなコースをつくることはできないかと思っています。
都会だとそういったものがいくらでもありますけれども、高知ではなかなかないです。結果として都会に人材が集中をして、地方は衰退していくという形になっていきます。その流れを反転させるためにも、地方においては行政が噛み込んでいかなければいけない分野というものもあるんだろうと思います。
IT・コンテンツ系の分野も手応えがあります。多くの企業さんに来ていただくようになって、またネットワークが高知の中でも形成されつつあるという状況です。これこそまさに人、人材がいることで産業を伸ばすことができるという分野なんだろうと思っています。IT・コンテンツ系の高知における産業振興の原動力は、人材育成と確保だと思っています。ですから、ここは大いに力を入れるべき分野だろうと思っています。
IT・コンテンツ人材交流事業というのは、例えば、東京でも昨年の9月にやらせていただきました。私も行っていろんな方と意見交換もさせていただきましたけれど、直接的に言われたか間接的に言われたかは別として、多くの皆さんから出た、私のインスピレーションというのはこの分野、やはり人材なんだと。人材を確保できた地域が、勝つんだということをすごく実感したところです。ここはある意味、思い切って選択と集中という中においても取り組みを強化すべきの分野だろうと思ったところです。うまく民間の皆さんのお力も生かさせていただきながら、官民協働でできる仕組みというのもうまく考えていきたいと思います。
(小島・NHK記者)
南海トラフ地震対策として、具体的には石油基地とか、社会福祉施設等並べて課題を検証していますけども、それについて行動計画への反映というのは。
(知事)
大震法の関係ですか。
(小島・NHK記者)
はい、そうです。行動計画への反映、確か3期の計画で、新年は最終年度で4期目が次の年になると思うんですけども、その行動計画への反映というのは即座に、もうできればやっていくという考え方でよろしいでしょうか。
(知事)
今の第3期南海トラフ地震対策行動計画の大前提は突然地震がやってくることにどう対処するかという計画になっています。大震法が新しく見直されることとなった場合は、何らかの前駆現象があったときに、それに対してどう対処するかということになります。ですから、今の南海トラフ地震対策行動計画とは、前提が違うということになります。やはり不意打ちに備えるというのが基本で、現行の行動計画の取り組みをしっかり進めることが、ある意味全てに対応できる施策だと思っています。
ただ、もし前駆現象が一定ある。例えば、南海トラフ沿いで東海地震のエリアだけ地震が発生したということがあれば、それを生かしてどう準備するか。それを生かして準備した方が、なおよい対策が取れるということになるだろうと思います。この前駆現象があったときに、どう対処していくかという一連の手順について、国のガイドラインをもって、我々も行動計画を改定していくということになるんだろうと思います。そのガイドラインづくりそのものに、本県として貢献させていただくことになるわけですので、ガイドラインづくりを通じて得られた知見は、できる限り早く私どもの行動計画の中にも盛り込んでいくということになるんだろうと思います。
現行の行動計画の、不意打ちに備えるという側面はそのまま残していきながらも、新たに仮に前駆現象があった場合には、かくのごとく対処するという章というかパーツが加わっていくことになると思います。
(小島・NHK記者)
観光について、明治維新150年ということで、今年というか来年度は龍馬を中心にというお話だったんですけれども、知事の具体的なイメージとして、どんな人を紹介していきたいかなと。明治維新といえば、板垣退助だったりとかすごい土佐出身の志士たちがいっぱいいますけど、何か具体的な、今後の展開で紹介したい人がいれば教えてください。
(知事)
明治維新150年の年は、坂本龍馬の系譜を継いだ二つの大きな流れ。こちらも併せて紹介していくことができればと思っています。
一つは自由民権運動の系譜です。板垣退助、既にいろいろPRもさせていただいていますが、こちらをしっかり紹介していくということが大事だろうと思っています。そして、もう一つは、岩崎弥太郎をはじめとして高知県の皆さんというのは産業振興に非常に貢献しています。ほかにも、例えば片岡兄弟など、産業振興にも大変貢献した人物がいますので、こちらの系譜もしっかり紹介していくことができればと思います。
ジョン万次郎資料館も今年リニューアルオープンします。後々の系譜を辿っていくとともに、事業展開の大きな基礎的原動力となったジョン万次郎の功績などにも改めて焦点を当てていくことができればと思っています。
ですから、より幅広くより立体的に、この幕末維新から明治維新、明治期にかけての土佐の歴史というものを世の中にお示しすることができればと思っています。
(福田・読売新聞記者)
2017年3月23日によさこいで応援の2020年のプロジェクト実行委員会の立ち上げができまして、オリンピック・パラリンピックの開閉会式での演舞を目指す、世界大会を目指すなど、よさこいの国内外への発信が加速した1年だったと思うんですけども、1年の振り返りとオリンピック・パラリンピックの開閉会式での演舞実現を目指した意気込みについて、改めてお聞かせください。
(知事)
去年は実行委員会を立ち上げて、全国のいろんな団体の皆さんとともに新たなプロジェクトを始動することができたことは本当によかったと思います。本当に改めて、よさこいソーランの皆さん、にっぽんど真ん中祭りの皆さん、安濃津よさこいの皆さんなど、実行委員会に関与していただいて、オールジャパンの体制でよさこいをオリンピックに向けて盛り上げていこうという体制ができた。このことは大変意義深い。そういうことができたのは非常によかったと思います。
今後、オリンピックに向けて、より盛り上がりが出てくるだろうと思います。平昌オリンピックが終わったら、次は東京だという感じで、もう一段世間のムードは加速していくのではないかと思います。何としてもオリンピックの開閉会式、もしくはそれに準ずるような一連のイベントの中で、よさこいの演舞を実現することができないかと思います。さらに言えば、そういう一連の取り組みを通じて、よさこいをぜひ世界の皆さんに知ってもらいたい。そのことを通じて世界ネットワークが図られて、それぞれのよさこいが開かれている箇所において、例えばインバウンド観光が増えるとか、国際交流が増えるとか、そういうことにつなげていくことができればと思っています。
ぜひ、実行委員会の皆さんと協力させていただきながら、この取り組みをさらに加速していくことができればと思います。
(今村・読売新聞記者)
移住促進・人材確保センターができて、来年度から本格稼働していくというのを先ほどおっしゃっておられましたけれど。
(知事)
今年からです。
(今村・読売新聞記者)
今年からという話ですけれども、昔は移住と言いますと、Uターン、Iターン、Jターンというのが結構言われていましたけれども、最近だと2段階移住でありますとか、孫ターンだとか、いろんな形が注目を浴びるようになったと思います。
高知県の場合、高知市さんと一緒に2段階移住対策として、県職員住宅を1戸提供されて、そこに半年間住んでもらいながら2段階移住に向けてというのを進めておられますけれども、今年、新たな施策というか、ツールというので現状知事がお考えになっている2段階移住なり孫ターンなり、新しい形に対応するようなツールというのをどういうことをお考えか教えてください。
(知事)
二つあります。1点は、先ほど来申し上げていますように、人材育成の仕組みをしっかり充実していって、そこをしっかりご紹介することで移住者の皆さまのご希望に沿うようにするということは大事なポイントではないかと思います。例えば林業を志しているときに林業学校という素晴らしい導入システムがあるということであれば、それなら高知へ行って林業を勉強してみようかという方が来ていただけるんではないか。例えばそういうことを期待しているわけです。
IT・コンテンツ分野が得意で、何とかここで仕事をやってみたいがはたしてと言ったときに、高知に行くとそこについてのよき導入、ゲートウェイがあると、IT・コンテンツ関係の人材育成システムがある。これはよきゲートウェイだと思って、それを目指して帰ってきてくださる、もしくはIターンで来られる、孫ターンで来られる。そういう形になっていく。
いずれにしても、人材育成の仕組みを充実させることは、移住促進、これを充実させるということにつながるんだろうと思っています。これは決して切り離されるものではないと思います。それをしっかり進めたいというのが一つです。
もう1点は、いかにスムーズに現地に溶け込めるような仕組みをつくるかということが大事だと思っていまして、2段階移住は非常に期待感が大きいです。高知市と一緒に取り組まさせていただいています広域連携中枢都市圏構想(れんけいこうち広域都市圏)においても、こちらを一つの柱にさせていただいていますから、高知市とも連携してやらせていただきたいと思いますし、住居の確保、さらに生活の立ち上げを一連のものとして、地域の皆さんと移住者の皆さんが一緒になって支え合っていけるような仕組みづくりも大事だろうと思います。
そこは強化したいと思っていまして、内部で協議しています。空き家をうまく生かせるような仕組みや、それを通じてお互い支え合っていけるような仕組みができればと思っています。
(今村・読売新聞記者)
孫ターンについて、特に今のところは。
(知事)
孫ターンそのものを特にピンポイントでということではないかもしれませんが、あまねく広く、先ほどから申し上げているような仕組みというのをご紹介する中で、お孫さんにもぜひ帰ってきてもらいたいと思います。
去年が683組、1,000人お帰りいただいた。あるいは移住者の皆さまにお出でいただいた。去年度、昨年度ですね。今年度はそのさらに2割増しぐらいのペースできています。このまま行けば800組前後ということになる可能性があります。目指すは1,000組の恒常化です。それぐらいになるとちょうど高知県の社会増減が、プラスマイナスゼロぐらいになってくる可能性が高くなってくる。
昔全国の景気がこれだけ良かったころ、高知県から年間4,000人から5,000人ぐらい流出していました。今これが1,700ぐらいになっているという点においてはいいんですけど、前に比べればずっとましなんですけど、もし昔みたいに全国の有効求人倍率が1.5なのに、高知県は0.5のままという情勢であったら、多分同じことになっていたでしょう。それに比べればずっといいんですが、とは言いながらもまだ1,700人人口流出が続いている状況の中で、移住1,000組を達成し、何とか社会増減をプラスマイナスゼロにもっていくということは非常に重要な施策だと思います。
概ね、ステージは整ったと思っていまして、これをしっかりと駆動できるように、ちょっとそこの辺り正念場になります。500組、600組の時と1,000組を目指すというのは、もう1段取り組まなければならないことが違ってくると思っています。いろいろ仕組みを考えていますので、しっかり頑張って取り組んでいきたいと思います。
(五十嵐・高知新聞記者)
働き方改革と、あと賃金構造などにインセンティブを持てるような、そういう観点に寄与していきたいということなんですけど、この分野は結構企業努力に負うところが多いと思うんですけど、行政として、県として具体的にどう対処していく。
(知事)
賃上げをどうするかという問題は、やっぱり企業努力によるところが非常に大きいと思います。それはもう本当に企業努力の問題だろうと思いますし、もっというと、企業さんご自身の経営観が強いと思います。ただ、先ほどから申し上げているように、必要条件づくりと言いますかね、賃上げもできるぐらいの業績が上がるということについては、私たちは地産外商政策を展開する中でささやかなれども応援をさせていただこうと努めてきた。それが第1。
必要条件が一定満たされてきたような企業さんも出てきたのかもしれません。ただ、そうだとしてもご自身の経営の在り方として、なかなかそういうことをしようと思うかどうか。そこが大きいです。それは企業さんご自身の自由ということになることだと思います。ですが、賃上げをしたり、積極的に展開することで人材確保、定着が図れる、経営の安定という観点からも、社員の皆さんの幸せという観点からも、それに積極的に価値を置くという場合も出てきます。これがいわゆる十分条件が満たされるということになるだろうと思います。
県としては、この十分条件を満たすような状況にあるのだけれども、残念ながらきっかけがなく、そういう展開がされてない場合に、例えば事業戦略づくりのお手伝いなどを通じて、一つのきっかけをご提供することができるかもしれないと思います。そういう形で、私たちとしては展開をしていくことになるだろうと思います。
ちなみに、政府は今回税制を通じてそのインセンティブをつくろうとしてきたところです。この税制を通じたインセンティブというのも恒久化するのであれば、一定効いてくる可能性はあると思っています。政府がやろうとしている税制を通じたインセンティブ付けとともに、私たちのある意味ソフト面ということになろうかと思いますが、事業戦略づくりなどを通じたインセンティブ。事業戦略づくりだけじゃないですけど、働き方改革の取り組みそのものもやろうとは思っていますけど、こういう一連のソフト施策を通じて、そういう労働環境の改善につなげていくことができればと思っています。
(五十嵐・高知新聞記者)
政府の優遇措置とか、県としてのそういう施策みたいなところまでは、まだということでしょうか。
(知事)
例えば補助金を渡して賃金を上げろと言っても、補助金がなくなったら賃金を下げるでしょう。では、賃金を引き上げている間ずっと補助金を出し続けるかというと、それは不可能です。続けていくインセンティブを企業さん自身が持つということでなければ政策として安定できないし、経済の仕組みとしても安定できないと思います。
税制ということについて言えば、恒常的に対応できると思います。それはやっていくことができるでしょう。ただ、厳しい財政状況の中で、財政の一定のパイの限界もある中で、賃上げをするからと言って全ての企業さんに永遠に補助金を交付し続けるなんてことができるわけがない。だから、そういう形にはならないだろうと思います。
それぞれの事業、例えば地産外商政策について、ずっと補助金を交付して東京で売れるようにするというようなことはしていません。そのようなやり方は長持ちしないと思います。私たちがやってきたことは、それぞれの事業者の商売のパイを東京に出て太らせるきっかけを提供させていただいて、あとは企業さんご自身の努力によって、それぞれ取引口座を開かれて、地産外商のきっかけ、契約をたくさん取ってこられる。ご自身の力として恒常的に今も事業をしておられるということだと思っています。
労働環境の改善とか賃上げということについても、それぞれの企業さんにおいて、自らの経営上のインセンティブとして、そういうことをしっかり行っていこうという環境が整ってこそ、本当の意味での賃上げと恒常的な賃上げにつながっていくということになるんではないかと思っています。
そのために、ソフト面において、事業戦略上いろいろ働きかけていくというのは、県の政策として、前向きかつプロットの大きな仕事だと思っています。
(大野・高知新聞記者)
キャッチフレーズ的に来年は何の年だと。
(知事)
何の年というのは、去年から、随分長く言わなくなっているんですけど、一つに限られることではないと思います。引き続き県勢浮揚を目指して挑戦する年ということだと思いますけどね。
(大野・高知新聞記者)
その流れですみません。今回の新年度に当たっての所感で、一番大きな課題というのは、人材の育成・確保、これに力を入れなければならないということでしょうか。
(知事)
そうですね。人手不足という現下の課題に対応するためにも人材育成・確保ということが極めて大事です。中長期的な発展のよすがとする、礎とするためにも、人材育成・確保は極めて大事だろうと強く思っています。
(木田・時事通信記者)
年頭所感に直接関係ないことで恐縮なのですが、県がこれまで支援をされてきたと思うのですが、アメリカが太平洋ビキニ環礁で実施した水爆実験で被爆して、がんなどを発症したとして高知県内などの元漁船員の方が船員保険の適用を求めていたのに対し、全国健康保険協会は11人について保険適用を認めない決定をされましたが、この辺の受け止めと、今後の県の健康相談会などの対応についてお聞かせいただければと思います。
(知事)
どういう決定がなされたのかということについてよく調べてみたいと思います。先方の言い分というのもありますでしょうし、こちらの県の皆さん方の言い分というのもあると思います。古いデータしか見てないんじゃないかというご指摘もあるということで伺っていますけれども、両方よく見させていただいて、今後どう対応していくかということを決めさせていただければと思います。
(森岡・朝日新聞記者)
スポーツについて伺いたいんですけれども、愛媛国体総合で最下位だったんですけども、さっきスポーツ振興を掲げているんですけども、順位だけじゃないと思うんですけど、47位というのを聞いて、受け止めと、これからどういう形で。
(知事)
今回だけではありません。4年連続47位。私は非常に悔しいです。悔しいし、ある意味、申し訳なく思います。県民の皆さん、若い人たちにとって、若い人ばかりではないですけど、選手の中には一定大人の人もいるわけですが、特に若い人たちにとって、スポーツを楽しみ、また自分の持てる潜在能力を十分に生かしきれるという環境がないからこういう結果になるわけでして、4年連続ということ、最下位ということは構造的な問題があるということだと思っています。構造的問題によって、みんながその潜在力を生かしきれないという状況になっているわけです。悔しくもありますし、また申しわけなくも思います。ですから、その構造的な環境というのを変えないといけないと思っています。
今年はまだ考え初めというか、考えていたときなので、結果が出る形にはなっていませんけど、来年に向けて少し結果を出していければと思っています。全高知チームについても、各競技団体の皆さんとお話をさせていただく中において、できる限り早い段階で立ち上げていくことができればと思っています。
今年最下位ということより、4年連続最下位ということがやっぱり大きいと思います。もう1回言いますけど、構造的問題です。だから、この構造的問題を解決する。しなければならないということだと思います。
(高田・日本経済新聞記者)
高知の取り組みに関していろいろ出たんですけれども、四国という枠組みで2018年、最近JRの経営の話とかもありますけれども、深めるべき議論だとか取り組み、そういう観点で何か知事、考えておられますか。
(知事)
今年四国で一つ大いに仕掛けていきたいと思っていますのは、四国全体としてのインバウンドです。これは非常に重要だろうと思っています。インバウンド観光ということでいくと、四国とか中四国とか、そういう域で仕掛けていかないと最終的な効果は出てこないだろうと思っていまして、4県で連携していく機運というのは一つ出てきているんじゃないかと思っています。
また、全体としての組織運営の在り方なんかも含めて、少しバージョンアップしていくことができないかということをぜひ議論していきたいと思います。