公開日 2018年03月08日
香川県で発生した鳥インフルエンザへの対応
東京23区における大学の定員抑制
年金給付年齢の引き上げ
民進党と希望の党の統一会派結成見送り
二大政党制
選挙制度
はりまや町一宮線
道の駅「四万十とおわ」の指定管理者変更
日韓の慰安婦問題
地方大学の振興
働き方改革
高齢者の交通事故対策
香川県で発生した鳥インフルエンザへの対応
(小島・NHK記者)
同じ四国である香川県さぬき市の養鶏場で、死んだ鶏からインフルエンザウイルスが検出されました。また、そのことに関連して殺処分などの対応が続けられていますが、このことについての受け止めをお聞かせください。
(知事)
この冬は、昨年11月以降、韓国での断続的な鳥インフルエンザの発生、さらに国内でも島根、東京で死亡野鳥からウイルスが検出されるなど、そもそも警戒度を高めていかなければならないという思いでいました。今回四国で発生したことで本県でも発生するリスクは高まっていると考えており、万全の対策を講じていかなければならないと気を引き締めている状況です。香川県は11日に遺伝子検査の結果が陽性と確認された後、速やかな対応をとっていただいて的確なまん延防止対策を講じていただいたものと考えています。
また、本県におきましても、1月10日に簡易検査で陽性であるという報告を受けた段階で、もう既に香川県で発生をしたという前提のもとで、県内の養鶏場に異常がないかを確認し、さらには、消毒のための消石灰の速やかな散布をお願いしますとともに、追加でも消石灰の配付措置をスタートさせるという対策を講じてきたところでした。配付については1月14日にすべて終了し、散布についても1月16日までにすべて終了しているという状況にあります。
また併せて、今後県として引き続きということになりますけれども、3点について対応を講じていきたいと思っています。まず、第1点目は、防鳥ネットの設置や消石灰の継続的な散布という形でウイルスの侵入防止対策を徹底していただくことを各家きん農場の皆さんにお願いしていくということです。
2点目は、野鳥などの死骸等が発見された場合は速やかに簡易検査を行う。さらには、ふん便等についても定期的に観測を行うなどして、野鳥などを通じた侵入がないかの確認を行う。
そして3点目ですけれども、万が一発生したときのためにあらかじめ備えておくという観点から、県内発生時対処計画を県は策定していますけれども、発生時の手順の確認をあらかじめしっかり庁内で行っておくということなどの対応を現在講じようとしているところです。
(小島・NHK記者)
今の中で「定期的に観測を行っていく」というのは、パトロール的なものという理解でよろしいでしょうか。
(知事)
野鳥の死骸については死骸情報、死んでいたという情報があれば、速やかに簡易検査をする体制を整えています。例えば昨日も、それから一昨日も野鳥の死骸が発見されて、簡易検査にこれからかけますという報告が私のところまで来ましたし、そういう形で随時、庁内上下ともに緊張感を持って観測を行うのが大事。それから、ふん便等については、定期的に採取して検査する体制をとっていますが、それを引き続きしっかり継続をしていくということです。
(小島・NHK記者)
鳥インフルエンザのウイルスというのは、どんどん交差が始まって、強毒型がでてきたりとか何が起きるか分からない、そういう科学的なところもありますけれども、進入を防止するにはどういう心構えが大事だとお考えでしょうか。
(知事)
まずは、抜け道がないように防鳥ネットなどによる対策をしっかり講じてもらいたいです。それが第一に重要だと思います。それから消毒措置をこまめに行うということが大事だと思います。備蓄している消石灰を使っての消毒、さらに今回追加的に配付させていただいた消石灰を使っての消毒、これらをしっかり継続していただきたいと思います。
あともう1点、不審な点が見つかりましたら速やかに県にご連絡をいただきたいと思います。死亡例が増えたり、大型の野鳥が道端で死んでいたりということがございましたら速やかに県にご連絡をいただきたいと思います。
東京23区における大学の定員抑制
(木田・時事通信記者)
政府は東京23区内の大学の定員増加を原則として10年間認めないという法案を通常国会に提出する見通しです。都内の私立大学などの反対意見を踏まえて、恒久的ではなく10年間という時限的措置にとどめられることとなりましたが、この点の受け止めをお願いします。
(知事)
全国知事会でも大変な議論になったところです。地方部にしてみれば、大学入学を機に地方から東京にご進学をする例が多く、人口流出の非常に大きな原因となっています。ますますこの傾向は加速している状況で、一定の歯止めが必要ではないかという主張がなされたわけです。他方で、東京都からは、むしろ大学の国際的な競争力を高めていかなければならない時期にそのような規制をかけること自体がいかがなものかという主張もなされて、その両者の間での議論がなされたということかと思います。10年間、時限的になったということも、賛否両論ある中で一定の妥協案としてそういう措置になったということだと思います。
今後大事なことは、そういう措置もとりながら、併せて地方大学の力をつけることで、地方の大学に行きたいと思う人が増えていくような措置をしっかり講ずることではないかと思います。緊急避難的に10年間の措置をとるわけですが、併せて地方大学の振興について政府として力を入れていただきたいと思います。今、そういう方向での議論がなされようとしており、強化されようとしていることは大変心強いことだと思っています。本県も産学官民連携の取り組みなどを通じて、地方大学の振興について大いに力を入れられるよう頑張りたいと思います。
(木田・時事通信記者)
時限的措置になったことに対する、尾﨑知事の評価というのはいかがでしょうか。
(知事)
一つの折衷案として、そういうことなんだろう思います。
(木田・時事通信記者)
本当は恒久的な方が良かったとかいうご意見ではないのでしょうか。
(知事)
やはり一定制限的な措置ですから、そういう制限的な措置をとること自体、しっかり議論しなければならないと思います。ややためらう向きもある、さらに言えば反対の向きもあるような状況の中で、制限する措置そのものを何とか実現しようということで強力に主張もしてきたわけです。ただ、やっぱり制限的な措置ということですから、一定時限的な対応をして、その効果を見てみるという慎重な対応をすることも一案かと思います。やむを得ないというか、むしろそういう措置でまずやってみるというのは、一つの考えだと思いました。
年金給付年齢の引き上げ
(木田・時事通信記者)
政府の高齢社会対策大綱改正案で65歳以上を一律に高齢者と扱うのは現実的ではないとして、年金の受取開始年齢を70歳を超えてからでも選択できるようにする制度改革を打ち出していますが、全国に先駆けて高齢化が進んでいる高知県の知事として受け止めはいかがでしょうか。
(知事)
ぜひ検討すべき項目だと思います。健康状態が劇的に改善してきている中において、70歳以上でも働きたいと思われる方々の希望をできる限りかなえることのできる社会を目指すべきだと思いますし、それぞれの希望に応じた働き方に対応した形での年金制度のありようを検討していくべき時期だろうとも思っているところです。ですから、70歳以上の皆さま方についても、新しい選択肢が追加されていくことは、あくまで本人の意思に基づいたものということであれば、好ましい方向、ぜひ検討すべき方向ではないかと思っています。
ただ、その際、一つ非常に留意しないといけないことは、60歳、65歳、70歳と年齢が上がっていくに従ってやっぱり個人差が非常に出てくると思います。例えば健康状態などについて、弱い立場にあられる方々に対するしっかりとしたケアは絶対忘れてはいけないのでして、個人差が出てくるということを踏まえて、しっかりとケアすべきはケアする。そういうセーフティネットは敷いていきながらも、併せて個人の選択によって、働き方の選択に応じて年金制度も柔軟に対応できるという選択肢を広げていくのは好ましいのではないかと思います。
民進党と希望の党の統一会派結成見送り
(大山・高知新聞記者)
昨日、民進党と希望の党が統一会派の結成を断念しましたけれども、国政のことではあるんですけれども、どんなふうにご覧になっておられるのかという感想をお伺いします。
(知事)
安保法制などをめぐって野党の中で考え方がいろいろ違うということ、これは民進党、さらには民主党結党時からいろいろな考え方の方がおいでになるということについて議論されてきたところではありましたけれども、改めてその点が浮き彫りになったんだなという感想を持ちました。多様な意見があり、いずれその意見の分布をどういう形でまとめていくかという議論も行われていくことになるのだと思いますが、まだ、まとめるという段階というよりもそれぞれスタンスを明確にしていく、議論も重ねていくという段階にあるんだろうと感じました。政治はこういうことの繰り返しではないでしょうか。まとまったり、意見が違って分かれたり、また、やはりまとまりが大事だということでまとまったり、やっぱり意見の違いがあって議論があって分かれたり、そういうことが繰り返されていく。そういう一過程だと思います。
二大政党制
(大山・高知新聞記者)
二大政党制というものについて、知事はそもそもどのようなお考えを持ってらっしゃるんでしょうか。与党と野党というものが二つ拮抗する勢力が選挙で審判を受けて交代が可能であるというような、こういう政治のあり方というのは、日本で民主党政権というものがありましたけれどもフィットするものなのか。何かそうあるべしというお考えなのかというところをお伺いしたいんですけれども。
(知事)
一定強い野党がいて、結果として政治に緊張感がもたらされることは、日本の政治にとって大事なことだと思います。やはり政府は、多種多様な課題の国論、賛否両論あるような政策について、それぞれ一つひとつ結論を下して実行していかないといけない、そういう国政の非常に大きな体系の中において、できる限りさまざまな民意を反映していく形で意思決定がなされていくことが中長期的な国の発展や国民の幸せにとって大事だろうと思います。
それぞれの課題について賛否両論、いろいろな議論があって、しっかりとその議論が戦わされて、結果として一つひとつの結論を得ていくことが大事だと思います。日本の政治体制の中において与党があり、そして一定強力な発言力を持った野党がいて、両者の間で議論が戦わされて一つひとつの結論が得られていく体制が敷かれることが大事だろうと思います。
イギリスしかり、アメリカもしかり、そういう形で、政党政治は展開されてきたということだろうと思います。ただ、現実問題として、そういうことを成し遂げていくための選挙制度はどういうものがあるのかということについては、歴史的に見れば試行錯誤が続いている段階だと思います。ヨーロッパでも多党制になって非常に苦労している場合もあるということだと思います。
二大政党なのか、三、四、五なのかという数の問題よりも、与党がいて、政策形成する過程の中でさまざまな民意を通じて多様な形で議論が行われるということ自体が大事だろうと思います。例えば五つ政党があろうが六つあろうが、もしくは二つだろうが、与党と野党との間で良き議論が展開されていくことが、特に議院内閣制を敷いている国においては大事になってくるのではないかと思います。大統領制の国においてもそうなのかもしれません。結局、数の問題というより、反対意見も含めてよく議論が展開される体制が確保されることが大事ではないかと思います。
選挙制度
(大山・高知新聞記者)
今の抱える選挙制度の課題というのは何だと思われますか。
(知事)
選挙制度の課題について言えば、大きくいうと二つあると思います。一つは、いかにして時々の民意を正確に反映するかは不断の改善努力が求められるだろう思いますが、他方で中長期的に見て一定の方向に加速度的に不均衡が拡大していくような選挙制度であってもいけないだろうと思っています。
前者の関係でいけば人口割、人口比例を徹底していくことも大事だろうと思いますし、さらにできるだけ死に票が小さい制度を追求することも大事で、そういう意味で小選挙区制と比例代表制が並列していくような今のような制度、この比率が時々に状況によって変わっていくんでしょうけれども、これは一つの工夫なのだろうと思います。この運用をどう改善していくか見極め続けていくことかと思います。
他方、後者の点では、言うまでもなくお分かりだと思いますけど、今回の高知における合区の問題のように、この都道府県という単位でさまざまな意思決定がなされているにもかかわらず、その状況が反映されないということが起こってしまって、このまま合区という制度を容認してしまえば、どんどんどんどんそういう状況が加速する構図になりかねないということがあって、結果として、地方の民意がほとんど反映されないことになります。
東京をはじめとする首都圏の民意がどんどんどんどん反映され、地方については残念ながら反映されないという形になってしまう。結果、国土の不均衡がますます拡大してしまうと。将来そういう負のスパイラルに陥っていく可能性が現段階ではあるわけです。このような負のスパイラル状況に陥りかねない問題については、あらかじめ的確に是正することが必要だろうと思います。
第一に申し上げたことが基本の基本ですが、第一の点のみを追求する中で、第二で申し上げた負のスパイラルに陥りかねないという状況にあります。ですから、第一の点が基本ではありますけれども、部分的にこの第二の負のスパイラルに対応するような制度改正を行うべきではないかと思っています。
(大山・高知新聞記者)
とすると今年、多分その合区の話ということになると思うんですけれども、時間的なこともありまして、憲法改正による合区の解消というようなところが今年どうなるのかということも、一つ今年の高知にとっても焦点になると思うんですけれども、見通しをどのように考えていますか。
(知事)
まだ分かりませんが、合区を解消するという選挙制度の議論のみにとどまらず、そもそもこういう負のスパイラルに陥ってしまっていいのかという、より根本的なところに踏み込んだ議論がなされることを期待したいと思います。そういう議論をしていけば、自ずと憲法における地方自治の位置づけはどうなんだろうかという、より根元的な課題について議論がなされていくことになるのではないかと思います。今年は憲法論議が非常に盛んになる年だろうと思いますので、論議をしていく中でこの地方自治の問題、それに伴う合区の問題について、踏み込んだ議論をぜひしていただきたいと思います。
去年、全国知事会のワーキンググループでこの知事会の試案を、賛否両論の意見を付したうえで提示させていただきましたけれども、その中で先ほど申し上げた点について相当踏み込んで議論をして、その案を提示させていただいているつもりです。ある意味、知事会として一石を投じたつもりです。ぜひ、これなども一つのベースとして議論を活発に展開していただければと思います。
はりまや町一宮線
(西森・高知さんさんテレビ記者)
もう何年にもわたって道路工事がストップしているはりまや町一宮線の問題なんですけれども、県はこれまでに、今年2月県議会までに工事の再開か事業の中止かという最終判断を行うという方針だったと思うんですけれども、先日、住民の有志から何か反対の意見書というか質問書みたいなものも出されていて、それに対してその必要性があるんじゃないかというお答えを出されたというふうに聞いているんですが、これが最終判断ということでしょうか。
(知事)
いえ、まだです。2月の初旬に第4回協議会が開かれますから、その場で、パブリックコメントや委員の皆さまの意見を総括していただいて最終的な提言を取りまとめていただくことにしています。その提言を受けて、県として判断をさせていただくことになりますから、まだ私どもとして判断を最終的に固めたという段階にはありません。あくまで2月初旬の協議会における意見の取りまとめがあって、その協議会を踏まえて私どもとして判断をさせていただくということです。
(西森・高知さんさんテレビ記者)
ただ、白紙撤回ということではなく、これまで県の方もいろいろな変更も踏まえて、こういう工事の再開の仕方がいいんじゃないかという提案をされていると思うんですけれども、工事そのものを撤回したり、あるいは中止させるというお考えはないということですね。
(知事)
それも選択肢として今の段階で排除されているものでは当然ありません。ありませんが、先ほど申し上げた協議会で最終的に取りまとめを踏まえて、再開なのか中止なのかの最終的な判断をさせていただくということです。パブリックコメントも踏まえて、それぞれ委員の皆さんも今考えを深めていただいているでしょうから、そのうえで2月初旬に協議会で議論していただくわけですから、その議論の結果を見ないで私どもとして今決断を下すということはありません。あくまでその提言、取りまとめられた提言を踏まえて私どもとして判断をさせていただくということです。
(西森・高知さんさんテレビ記者)
住民の方からのその質問状といいますか、そういったものに対するお答えっていうのは結局。
(知事)
1月16日付けで回答させていただきました。
(西森・高知さんさんテレビ記者)
その主だったことで言うと、工事は必要というような整理でしょうか。
(知事)
いえ、ご質問の内容について答えた、そういう回答書です。
道の駅「四万十とおわ」の指定管理者変更
(高田・日本経済新聞記者)
先日の四万十町議会で、道の駅四万十とおわの指定管理者について、地域商社の四万十ドラマの継続ではなく別の会社に任せることに決まりました。四万十ドラマは六次産業化とか地産外商でも非常に先進的で実績も上げてきたと思うんですけども、今回のその件についてどういうふうに受け止めておられますか。
(知事)
四万十町議会でのご議論を経た決定ですから、私がコメントを差し挟む余地はないんだろうと思います。あくまで町議会の決定に沿って、今後対応がなされていくことになる。それに従って、新たな指定管理者の方が一生懸命これから頑張られるでしょう。そのことについて我々としてもできる応援をさせていただきたいと思っているところです。
併せまして、四万十ドラマさんも全国的にも大変有名であり、また、高知県の地産外商を引っ張ってこられた皆さま方でもあられるわけでして、我々も多くのことを学ばせていただきました。この四万十ドラマの皆さんも、道の駅とおわの指定管理者ではなくなったとしても、また、さまざまな形でご活躍されるのではないかと思っています。四万十ドラマさんのご活躍を大変期待を申し上げたいと思います。それについて、また我々もできる応援があればさせていただきたいと思います。
(高田・日本経済新聞記者)
議会の結果の是非は別として、今回実績を上げているようなところが認められなかったというかですね、落ちたというのは、その地域おこしとかあるいは外から移住したいとか考えている人に少なからずマイナス印象というかですね、これだけやったのにというようなところの思いを持たれたとは思うんですけども、そのことについて県の中山間振興などを進める上での影響というのはないというふうに思われますか。
(知事)
確かにさまざまに議論を呼ぶ側面はありますでしょう。ただ、もう10年ぐらい産業振興計画の取り組みなどをしてきて、物事は必ずしもすべて一直線に進んでいくことはなく、やはりいろいろ紆余曲折があって、一直線に進まなくて残念だったなと思うわけですけれども、後々になって振り返ってみれば、やはりそこでさまざまな人の思いがあって議論があり、結果としてこういうことになったんだなということが分かってきたりすることもあります。今回も、それぞれ時々の皆さんの思いがあって、こういう結論になったということでしょう。やはりここは、地元の皆さんの議論を尊重する。外から私たち高知県庁としてもそのご議論を注視して、その結果をしっかり正面から受け止めさせていただくということではないかと思います。それに伴って、県外からいろいろな思惑も出てこられるでしょうが、しかし、それはやはり地元の皆さんが地元の皆さん同士で議論された結果だということ、それを受け止めていただくということではないのかと思います。
日韓の慰安婦問題
(中田・高知民報記者)
日韓関係なんですけども、慰安婦問題の日韓合意の事実上の死文化というか、そんな感じで今非常に日韓がぎくしゃくしていて、安倍さんが五輪に行くとか行かないとかいうことが議論になっていますけども、一方で、高知県は全羅南道で交流があり、イ・ナギョン首相とも知事も親交もあるというような関係の中で、何か今の事態をどう見ておられるのか。和解のための何かお考えはないでしょうか。
(知事)
国レベルでは、外務大臣がコメントされた、総理がコメントされた、そのとおりだろうと思います。国家間の約束をしっかりお互い履行していくように努力をすることが大事ではないかと思います。これが第一です。ただ、従前より申し上げておりますように、国と国というのはやっぱり多様なアジェンダを持っている中で、時々の状況に応じてもめることはあるんだろうと思います。
そのときのセーフティネットとしても、自治体と自治体との間の交流をしっかり活発にしておくことはやっぱり大事だろうと思っています。交流関係が複線化していくことによって、あるアジェンダで揉めたとしても、一定別の関係では関係を維持できるという関係を築いておくことが大事だろうと思います。高知と全羅南道の皆さまとの間では田内千鶴子先生の大変高邁なお取り組み、これをベースとして信頼関係を持っての人間関係、お互いの交流関係があります。この交流関係を今後も引き続き大事にしていきたいと思います。
(中田・高知民報記者)
慰安婦合意の問題としてはどうお考えですか。それについてはあんまり聞いたことはなかったんですけれども。
(知事)
この問題について、国家間の約束をしっかり遵守するということが大事だと考えています。これは日本政府の立場と変わりありません。
地方大学の振興
(五十嵐・高知新聞記者)
先ほどの地方大の振興についての関連ですが、地方大の振興や地方での若者就労を支援する交付金を政府が創設するということで、来年度は100億円を予算に計上するということがあるんですけれども、県も現状で大学と連携して若者定住とか、産業振興面で連携して取り組んでいますけども、この点を踏まえて今後どのような施策展開を図っていくのかについてお聞かせください。
(知事)
産業振興のいろんなステージを先に進めていけばいくほど、高度な技術などを導入していく必要性が出てくる場合が非常に多くなってきています。例えば農業でも次世代型ハウスが今普及しています。環境統合制御技術が普及していますが、10年後20年後を考えれば、この次世代型のさらに先を行くネクスト次世代の技術を開発していくことが必要だろうと思っているところです。
ほかの分野においても多々そういう分野はあるだろうと思っていまして、高度な技術を生かしていかなければならない分野が増えれば増えるほど、産学官民連携は大事だと思います。産学官民連携を行っていくためにも地元の高知における大学の皆さんとの連携が必要だし、大学の皆さま方のさらにパフォーマンスを引き出していくような施策を国の方でとっていただくことは大変ありがたいことだと思っています。そういう機会を大いに生かしていきたい。もっと言うと、高知みたいなところだからこそ余計生かしていかなければならないと思います。
(五十嵐・高知新聞記者)
今回もその交付金でそういうネクスト次世代ハウスの研究とか、そういうので活用できそうなんでしょうか。
(知事)
先日、総理官邸でまち・ひと・しごと創生本部の会議があって、そこでネクスト次世代の農業技術の開発について産学官民で進めていこうと思うということをプレゼンさせていただきました。私たちにとって産学官民連携、地方大学と連携して新たな産業振興プロジェクトをやろうとしたときに、そのネタはたくさんあると思っています。このネクスト次世代型ハウスの開発を行っていくにあたっても、膨大なアジェンダがあります。それらについて地方大学との連携、高知の大学の皆さんとの連携、もっと言うと県外の大学の皆さんとの連携も有意義だと思っていまして、いろいろと進めていきたいですし、交付金なども大いに活用していきたいと思っています。
(五十嵐・高知新聞記者)
先ほど一極集中の是正ということで、地方を希望する学生をどう増やしていくのかというところですけど、その点についてどう取り組んでいくのでしょうか。
(知事)
二つあると思います。一つは、大学の研究課題が非常に特徴があるということが大事だと思います。そして、その特徴ある課題に対応していくことが次なる時代を切り開くような分野における就職につながること、この2点が大事だろうと思っていまして、それぞれの分野すべてをそれぞれの地域で持つことはできないかもしれませんが、例えばその地域の得意な分野で先端的な研究がなされ、その研究の先にその先端的な分野を切り開いていくであろう職が展開されていると。そういう地域に行って、大学に行って研究をして就職につなげていこう。場合によっては研究者で残っていこう。そういう意欲がわき上がってくるようになるということが大事なのではないかと思います。
もっと端的に言えば、地方地方においてある意味とがった研究がなされて、そのとがった分野、研究につながる産業が育成されていくことが大事ではないかと思っています。高知では、非常に先端的な一次産業が魅力的な分野ではないかと思っていまして、例えば統合環境制御技術を搭載した次世代型ハウスは従前に比べて生産性が2倍になるわけですから、こういうハウスの研究を行っていく。そしてそれに伴うさまざまな農業経営の分野が就職先として開けていたりする。そういうことが一つの希望になっていってくれないかと思いますし、今後の林業の展開なども、林業はこれから輸出産業としても展開していくことができるようになるという可能性もある分野だと思っていまして、例えばそういう分野についての研究をすることが、新しい時代の林業の分野を切り開いて、その分野で就職を確保していくことにつながっていくという展開ができればと思います。
また、一次産業の分野における生産性向上のための諸技術について研究開発し、それを成し遂げていくような産業が育成されていて、その分野について産業が開けていくと。防災も考えられるだろうと思います。また、そういうものを支えていくITコンテンツ系の一連のソフトを開発するという取り組みも出てくるだろうと思います。いずれにせよ、その地域の強みを生かして、その強みを生かした産業振興をする。それに伴って、それを支える大学の研究がある。大学研究が一定その時代の課題を解決するものであるがゆえに、有意義でとんがってきている。そういう中でとんがった研究、それに伴う産業、就職先、という形になって一連の地方大学が魅力を増すというようになっていくことが理想だろうと思います。
全国一律にならないようにすることが、全国一律の側面も基礎課程としては要るでしょうけど、そこから先、それぞれの大学が特色を持つことが大事だと思います。さらにその特色を持った先に、それに関連した職、産業群があるということが大事ではないかと思います。
働き方改革
(中川・テレビ高知記者)
働き方改革について、今年、県としてはどんなふうに労働状況を改善していこうとお考えですか。
(知事)
労働状況の改善というのは、二つの条件を満たさないといけないと思います。必要条件と十分条件があります。労働条件改善のための必要条件、前提条件と言ってもいいですが、それは労働条件を改善しても会社が成り立っていくという状況をつくり出すことです。その会社が給料を上げることができる。さらにはもう一段勤務時間を短縮しても、会社として成り立っていけるようになる。そのためにもビジネスが先々に向けて好調に継続できていけるという環境をつくることが、大前提として大事だと思います。一連の産業振興のための施策はそういう状況をつくり出すことを目指すものだと思っています。
そのうえで2点目として、十分条件ということになろうかと思いますけど、会社として労働環境の改善に積極的に取り組もうと思うようになるという状況をつくり出すことも大事だろうと思います。
そのためにも大きくいうと2点大事だと思っていまして、1点目はその労働環境の改善が大事ですということについて、一般的な啓発を行うことが大事。次に2点目、ここを特に来年注視していきたいと思っていますが、今後産業振興計画のバージョンアップの過程を通じて、事業戦略づくりを徹底して行っていきたいと考えています。事業戦略づくりを徹底して行っていく中で、労働環境の改善をすることが従業員の皆さんの幸せにつながってやる気につながり、これが経営そのものとしてもプラスですよということをともに話し合ってそういう作戦を立てていくようなことにつながっていければと思っています。事業戦略づくりを通じて働き方改革を大いに前に進めていけるような形ができないかなと思っています。
働き方改革については、高知労働局さんを中心として働き方改革を推進していく協議体ができあがっておりまして、その協議体の皆さんと県の事業戦略づくりを行っていく私どもの機関と連携をとらせていただきながら、企業さんの事業戦略づくりの過程の中に働き方改革の要素を大いに入れていただくような施策を展開していきたいと思います。これであれば持続可能な形で働き方改革を行っていくことができるだろうと思っています。
(中川・テレビ高知記者)
移住促進にかなり力を入れられていると思いますけど、その働き方改革を先進県のような形で進めていって、働きやすい環境をつくることで移住につなげたいみたいな、そこまでのお考えというのはありますか。
(知事)
その働き方改革も移住促進を行っていくための一要素ではありますでしょう。ただ、例えば高知で賃金が少し高くなったからいきなり移住者が増えるかというと、そういう可能性は高まるでしょうが、やはりそれだけでもないだろうと思います。やりがいのある仕事があって、住環境そのものが非常に快適であるなど多様な要素があって初めて移住につながっていくことになると思います。先ほど申し上げたような働き方改革を進めていくことも一つの要素として大事だろうと思いますが、併せて現在行っておりますように、職を魅力的な形で提示させていただく、住環境などについても魅力的な分かりやすい形で提示させていただくことによってマッチングの比率を高めていくような努力を継続していくことが大事だろうと思っています。
(中川・テレビ高知記者)
働き方改革に関連して、高知でも農業とかで外国人の労働者の実習生の方がいらっしゃると思うんですけど、そういった方たちの労働条件があまり日本人の方と比べて良くないんじゃないかみたいな議論もあると思うんですけど、県としてはどんなふうに取り組もうと思われていますか。
(知事)
外国人研修生の皆さま方の労働条件は、やはり研修生として来ていることに伴った条件がしっかりとあるわけですから、その遵守を求めていくことが大事だろうと思います。あくまで研修生ですから、研修生だということを踏まえた対応をお願いして、もし問題ある事案があれば、それはしっかりご指摘させていただかなければならないと思います。
高齢者の交通事故対策
(大山・高知新聞記者)
先日群馬県の前橋市で高齢の運転者が女子高生をはねる事故があったかと思います。先週15日に高知市内でもけが人は運転手の方だけでしたけど、高齢者の男性が運転する車が児童センターに突っ込むような事故がありました。法改正で免許の返納者も増えていますが、もちろん高知のような場所では免許はどうしても必要というところが増えるかと思います。そのことについて、高齢者の免許についての知事の考え方、なかなか県としてというところがあるかどうかはあれですけど、県としての対応できるようなことがあれば教えてください。
(知事)
免許行政は基本的には県警の管轄になりますので、県警さんの方でしっかりと免許の返納を促していくような取り組みをされていくことになろうかと思いますが、我々県としては、その免許の返納を行っても暮らしていけるような環境づくりに尽力するというのが非常に大事だろうと思います。
二つあると思っていまして、まず都市部においては公共交通機関の発達が大事だと思います。そういう中でとさでん交通の問題についても、これは欠くべからざるインフラであるということで、私どもも一定前に踏み込んだ形でとさでん交通の改革をさせていただいたということです。
ただ、問題は中山間の地域において、公共交通機関のネットワークが十分に行き渡っていない中で、免許がなくなったら暮らせないじゃないかという話も出てきているわけでして、これまでも地域の公共的な輸送手段の確保について、さまざまに応援させていただいてきましたけど、もう一段踏み込んだ対応が必要だと思っています。
できればビジネスベースで成り立っていく、ゆえに持続可能という形に持っていけるような対策が必要ではないかと思っていまして、そういう観点から大変期待しているのが貨客混載の規制緩和です。今回4市町村でそれぞれ具体的にプロジェクトを立ち上げて貨客混載のありようについて、こういう運用をすればうまく自立的に回っていけるような仕組みがつくれるのではないかといことを研究しようとしています。速やかに研究をして、必要な施策も整えて、できれば県下全域での普及につなげていくことができればと思っているところです。
密度が粗で人口がそんなに多くない中で、どうすれば移動手段が自立的に成り立つかということですから、課題は多いと思います。でも人だけ、荷物だけだとなかなか成り立たなかったのが、人と荷物もということになれば、より労働ファクターが上げることができて、成り立ちやすくなるという方向に持っていけるのではないかと期待しています。貨客混載の規制緩和は高知県のような中山間のためにこそあるものだと思っていまして、大いに活用できればと思っています。
(大山・高知新聞記者)
貨客混載についてその具体的なスケジュール観であったり、もちろんこれから検討していく内容なのでこれからだと思いますけど、その具体的なイメージはありますか。
(知事)
4市町村を30年度当初からスタートするというイメージです。今はその下準備をさせていただいています。その結果を踏まえて、多分、4市町村でやると大体の中山間のタイプとしてのパターンがカバーできるはずですので、それをベースにしてできる限り早い段階で普及のステージに入りたいと思っています。