平成30年5月9日  知事の定例記者会見

公開日 2018年06月18日

大型連休中の観光客数
宮城県大川小学校における津波訴訟
知事の政治資金パーティー
ルネサス高知工場の閉鎖
高知龍馬空港・航空ネットワーク成長戦略検討会議
南北首脳会談
合区問題

大型連休中の観光客数

(谷古宇・NHK記者)
 大型連休中の観光施策について伺います。去年の観光客数が過去最多となった中、幕末維新博第二幕の開幕直後などと、トピックのある大型連休でした。実際に去年を上回る観光客がいらっしゃいました。期間中の施策の振り返りや成長に関して知事の受け止めをお願いいたします。

(知事)
 去年は過去最高の県外観光客入込数、総消費額となった年でした。ゴールデンウィーク同士を比べると、過去最高だった昨年を上回ってきたということで、高知県観光は引き続き勢いを持続している、さらに言えばやや増しているという感じで、概ね好調と言えるのではないかと考えています。
 主要44施設の1日平均利用者数を比べると、平成29年対比で2.7%増、平成28年対比では20.8%増ですので、そういう意味においては随分伸びてきていると考えています。また、特に志国高知幕末維新博関係の25施設、去年は23施設になりますが、こちらについても1日平均で、平成30年は平成29年対比で20%増、28年対比では49.4%増ですから、かなり伸びてきていると考えています。そういう意味において、この志国高知幕末維新博第二幕をスタートして、それによる一定の効果は出ていると考えているところです。本当に多くの関係者の皆さんにご尽力いただいたお陰だと思っています。
 ただ、今後について、気を引き締めなければならない側面はあると思っていまして、年間を通じてこの観光振興の勢いをしっかり持続できるかどうか。さらに、地域性についても検討していかなければならないところもあるだろうと考えています。
 1年を通してしっかり観光振興をしていくというのは毎年のテーマですけれども、今年は大河ドラマが「西郷どん」であり、幕末という点で共通する、薩長肥、各県の皆さんも大変頑張っておられますし、全国的にライバルの多い年でもありますから、その点を踏まえた対応が必要だと思います。また、併せてライバル同士、薩長肥3県の知事さんに第二幕のオープニングに来ていただきましたけど、こういう形でよく協力もしていきたいと思っています。
 地域性については、東部・中部・西部ともに今回は比較的好調だったと思いますが、施設によっては、開館効果が薄れたですとか、もっと言うと開幕効果が薄れたというところも見られたりしています。勢いのあるところはその勢いが維持できるように、そして少し入込が減ってきたところについては、てこ入れをするとか、そういうきめ細かい対応をしていくことが大事だろうと思っています。
 今回のゴールデンウィークで非常に嬉しいと思ったのは、室戸の椎名の集落活動センターと併設する形で、廃校を生かして開館した廃校水族館についてです。椎名の集落活動センターのオープニング式典のときに、まもなく開館という状況で、施設の中を見させていただきましたけど、廃校を生かしてこれだけの施設ができる、これだけの展示ができることについて、本当に素晴らしいことだと思ったところでした。多いときには1日2,000人を超える皆さんがお出でになったと聞いています。これは、集落活動センターをはじめとして、地域地域、中山間地域において、持てる資源を生かして工夫、知恵を凝らして外に打って出ていく。外とつながっていこうとする取り組みが大いに成功した良き事例だと思っていまして、高知県の中山間対策全般にとっても、お手本となるような取り組みであり、本当に勇気をいただくような取り組みだと思ったところです。
 中山間地域においても、持てる資源を生かすことで大いに外の皆さんと交流ができる。そのことで、地域の活性化にもつながっていくことができる。そういう手応えを感じさせていただくような事例で、本当に嬉しく思っています。ぜひ、皆さんも行ってみていただければと思います。本当に素晴らしいです。サバなどの比較的身近な魚を展示しているんですけれど、上手に動態展示してあって、生きて泳いでいる魚はきれいなんだということを実感できる水族館で、本当に素晴らしいと思いました。

(谷古宇・NHK記者)
 これから大河ドラマでも坂本龍馬が出てきたり、夏に向けて観光シーズン、さらに進んでいくと思うんですけれど、目指すところと言いますか、今後新たに何か取り組んだりということはあるんですか。

(知事) 
 幕末維新博をしっかりと盛り上げていく。最後まで勢いを持続していくことが非常に大事でして、伸びているところについては、しっかり伸ばしていく。併せて、少し入り込みが減ってきたところについては、てこ入れをしていくことを通じて、全体として維新博の勢いを持続する。そのことで、昨年440万人、過去最高の入込数でしたが、何とか昨年並、もしくは上回る水準の成果を上げることができればと思っています。最終的には、天候次第のところもありますが、昨年並み、さらにはそれ以上を目指すところが一つの目標だと思っています。
 それと、今年の観光の課題ということで、政策的な面から言わせていただければ二つが課題になってくると思っています。まず一つは、この入込の勢いを維持していくことを通じて、高知県の歴史観光のもう一段のレベルアップを図るという政策目的をしっかり達することが大事だと思います。ですから、維新博後にもつながっていくような形で、展開していくことが大事だと思っています。1月31日まで幕末維新博第二幕は続きますが、それが終わっても決して歴史観光を終えるわけではありません。維新博が終わった後に、そのまま今の勢いが続いていくことが大事ですから、そうなるように、この第二幕、最後の1月31日までの期間いろいろと努めていくということなのかと思っています。
 そして、もう一つは、ポスト維新博です。2月1日ぐらいから展開を始めていくことになりますけれども、ポスト維新博の取り組みについても、しっかりと並行して準備を進めていくことが大事だと思います。そういう観点では、先日、4月22日にスノーピークさんに仁淀川にキャンプフィールドをオープンしていただきまして、こちらもゴールデンウィーク期間中、大変賑わっていたと伺っています。
 この仁淀川のキャンプフィールドにしても、高知の自然を生かした体験型観光のポテンシャルの大きさを、如実に示していると思っていまして、こちらを一つの参考事例にしていきながら、県内各地で自然型・体験型観光について、来年2月1日を目指して準備をしっかり進めていくことも今年の課題になるだろうと思います。

 

宮城県大川小学校における津波訴訟

(中川・テレビ高知記者)
 宮城県大川小学校の件で、上告するという方針が固まっていると思うんですけれど、南海トラフ地震の心配がある高知県として、どのように受け止めておられますか。

(知事)
 今回の大川小学校の事案で上告されることについて、当時の知見において、その責任関係はどうなのかは、我々が軽々にそれを論ずるべきではないと思っていまして、裁判の中でしっかりとご議論をいただくことなのかと思っています。今回上告されたことについて、私どもとしてコメントをする立場にはないだろうと思っているところです。
 ただ、南海トラフ地震に備えるべき私どもとして、どう今回の大川小学校の教訓を生かすのかということについては二つあると思います。
 大川小学校、本当に大変悲惨なことでした。私も現地へ行かせていただいて、手を合わさせていただきましたけれども、この貴重な教訓をしっかり生かして、これだけの海岸地から遠いところにおいても、こういうような被害が出た。そしてそのときの対応がこうだった、また結果としてこういう事象も起きているという一連の流れをよく学ばせていただいて、それぞれの地域における防災対応に生かすことが大事だろうと思っています。
 それぞれの地域で津波浸水に関する想定なども公表もさせていただいて、それに基づく対応もさせていただいているところですけれども、それぞれの地域の想定に基づいての対応をしっかり進めることが大事だと思っています。
 ただ、もう1点あると思っています。やはり想定していた以上のことが起こり得るということを想定して対応していくことが大事だろうとも思っています。特に、東日本大震災が終わった直後、南海トラフ地震対策を進めるにあたって、よく申し上げていたのは、最悪の事態に備える。もっと言えば想定外をも想定して対応することが大事だということをいつも申し上げておりました。まずは想定に基づいての対処をしっかりするわけですが、第2段として、さらにその上の事象、より困難な事象も起こり得るかもしれないと思って、不断の準備の改善を積み重ねていくこともまた大事だろうと思っているところです。
 この2点が非常に大事だと思います。今回の極めて悲惨な、非常に悲しい大川小学校から得られる貴重な教訓を生かさせていただきたいと思っています。

(小嶋・共同通信記者)
 今回の大川小の判決は、行政が想定していた以上の被害が出た場合にも行政側に賠償の責任があるというようなことを明確に示していると思うんですね。今の尾﨑知事のお話からすると、高知県では想定以上の想定をする。ということは、そういった事象は起こらないと、そういうような自信をお持ち、大川小のような事例は起こらないと、そういうような自信をお持ちだというようなことでよろしいでしょうか。

(知事)
 大川小のような事象は起こらないという自信満々でいるなんてことがあるわけないのであって、そういうことは起こしてはいけないという思いで、一生懸命準備をしているということです。
 まずはしっかり科学的に想定をして、それに対する対処をする。しかもL2地震に対する対処をしているわけで、相当厳しい想定をもって準備をしていると思っています。それに対応するだけでもかなり大変です。県内各地で津波避難タワーを115基造り、避難路・避難場所を1,445ヵ所も造ろうとしています。これは、厳しい想定に基づいて対応しているということで、大変なことだと思っています。
 ただ、L2に備えて終わりではないと思います。加えて、L2クラスの津波が来ると想定した場合、域外になっているけれども、それでも来るかもしれないと思って、追加的に備えをしておこうかという姿勢が、それぞれの地域で必要になってくるだろうと思います。
 やはり、人知を超えたことが起こるかもしれないという思いで不断の改善を積み重ねていく姿勢が大事だろうと思います。そういう謙虚さを持って、準備を積み重ね続けていくという姿勢が求められていると思います。大川小の事案などから学ばせていただくのは、そういう姿勢ではないかと思います。自然に対する謙虚さをもって想定外をも想定する姿勢で臨み続けるということを学ばせていただいてきているということだと思っています。

 

知事の政治資金パーティー

(大野・高知新聞記者)
 近く尾﨑正直知事の後援会が政治資金パーティーを開かれると聞いていますけれども、少しそれについてお伺いしたいんですけども、端的に3回目のパーティーだと思いますけれども、何故開催、このタイミングでしようということになったのかということをまずお聞きします。

(知事)
 前回やったのは4年前で全く政治資金が全然なくなったからです。前回もそうでしたけど、なくなったらやらせていただくということで、かつ広く浅くお願いをするということがふさわしいと思っていますので、基本的には政治資金パーティーでお願いをさせていただくということです。これまでもやらせていただきましたが、今回もそういうことでやらせていただくということです。

(大野・高知新聞記者)
 3期目の任期が2年を切るという中でのタイミングということについては、何か含みはあるんでしょうか。

(知事)
 全くありません。なくなったのでやらせていただくということです。

(大野・高知新聞記者)
 パーティー自体はどのようなスタイルを考えていらっしゃるんでしょうか。報告会のような形でしょうか。

(知事)
 そうです。県政報告会という形でやらせていただこうと思っています。

(大野・高知新聞記者)
 どんなことを喋ろうかということを、今お考えですか。

(知事)
 それは当日まで、今草稿を練っているところです。

(大野・高知新聞記者)
 県政についてですか。

(知事)
 もちろんです。

(大野・高知新聞記者)
 もう少し言っていただくと、県政について、例えば現状とか、どう進めていくかみたいなことでしょうか。

(知事)
 そうです。

(大野・高知新聞記者)
 支持者の方にということですか。

(知事)
 はい。

(大野・高知新聞記者)
 特に知事選挙であるとか、その他の選択肢とか、そういうことをにらんでの開催ということは。

(知事)
 全くそういうことではありません。

(大野・高知新聞記者)
 分かりました。

(知事)
 他意はありません。

 

ルネサス高知工場の閉鎖

(藤尾・高知さんさんテレビ記者)
 5月末に閉鎖するルネサスの高知工場について、その後どうなったのか教えていただきたいです。

(知事)
 第一に、何とか承継先を見つけようと引き続き努力を重ねています。県側として独自に接触、アプローチしてお願いをしている会社さんもありますし、ルネサスさんの方で引き続き接触して努力をされている会社さんもあります。秘密保持契約があり会社名などはオープンにできませんけれども、そういう形で引き続き何とか承継先を見つけられるよう努力をさせていただいている。これは全く変わりありません。むしろ加速する形で、こちらの対応をさせていただいている。これが第一です。
 2点目、とは言いながらも5月末が近づいて来ていることは確かですから、最低条件として非常に大事なことは、引き続き就職を希望される方の職をしっかり確保することだと思っています。ハローワーク、高知労働局の皆さんとも連携させていただきながら、しっかりとした対応を図っていきたいと思います。このことについては、各種相談会等も実施してきましたし、これからも計画をして対応していくことになろうかと思っています。
 この二つをしっかり進めていくということです。

(藤尾・高知さんさんテレビ記者)
 引き継いでやってくれる企業については、まだ候補は挙がっていない状態でしょうか。

(知事)
 まだ、残念ながら、ここが引き継いでくれるという形で決まっていません。むしろ、その候補となり得ると言いますか、そうなってくださいということで、複数社に対して引き続きアプローチを続けています。ルネサスさんとしても、懸命に努力をされていると承知していますし、県独自でも取り組んでいます。

 

高知龍馬空港・航空ネットワーク成長戦略検討会議

(森岡・朝日新聞記者)
 昨日、航空ネットワークの検討会議の第1回が開かれたと思うんですけれども、LCC(※1)とか国際線の各地方空港が誘致を進めていると思うんですが、そのことに関して、知事のお考えというか、これからの空港はどうしていくべきかというか、高松空港など着陸料の補助とかもしながら呼んでいるところもあるんですけども、県のお金をどれくらい注ぎ込んでいくべきなのかとか、そういうお考えをお聞かせください。
※1:LCC
 Low Cost Carrierの略語。低コスト運営で、安い運賃を提供する航空会社。

(知事)
 空港に関しては大きく三つあると思っていまして、一つは、例えば先ほど言われた助成金等々で対応していくということです。これは私どもも新しい路線を開かれる場合などに一定の対応をさせていただいています。
 ただ、やっぱりあと残り二つ、こちらがある意味本当のメインエンジン的に大事だと思うのは、空港としての機能の強化、利便性の向上です。そして、3点目がお互い人口の交流が起こるような一連の魅力づくりといいますか、観光についても例えばインバウンド観光にもより対応できていけるように、来年から自然観光関係のキャンペーンを展開しようとしているわけです。今年も各外国お伺いさせていただいて、いろいろPRもさせていただこうと考えて予定しているところですけれども、こういうことをしっかり進めていきたいと思います。
 昨日、戦略検討会議をスタートさせました。高知空港についてもいわゆる空港としての機能・利便性の向上を図っていくべき時が来たのではないかという考えから検討会議を立ち上げさせていただきました。平成29年度は全路線の搭乗率・旅客数が平成28年度を上回って、旅客数は過去10年で最高となってきています。
 今後チャーター便をもっと受け入れていこうとしたときに、受け入れ可能な空き時間にだんだん余裕がなくなってきているという状況なども出てきていますし、CIQ(※2)の審査が混雑するといった課題も出てきている状況でして、今後をにらんだときに、機能・利便性の向上を図っていくことは不可欠ではないかと思います。機能・利便性の向上を図ることを通じて、空港ネットワークの強化を図るとともに、高知龍馬空港の国際化を目指していくことが大事ではないかという観点から会議がスタートしたということかと思っています。
 今は、昔と違って航空ネットワークもいわゆるハブ&スポーク体制だけではなくなってきて、相互にネットワークを張るような時代になってきていますから、地方から地方へダイレクトに路線を開設することもどんどん増えてきています。特にLCCというビジネスモデルが増えるに従って、そういう方向性はより明確になってきていると思うので、高知としてそういう流れにしっかり乗っていけるようにするためにも、空港の整備が必要になってきていると思っているところです。
※2:CIQ
 Customs(税関)、Immigration(出入国管理)、Quarantine(検疫)の略語

(森岡・朝日新聞記者)
 来年度の予算とかで、また空港の整備費とかも。

(知事)
 検討会議が昨日立ち上がったばかりですから、そのご議論次第だろうと思いますけど、大きな方向性としては国際化もにらんだ機能・利便性の強化という方向で、議論は展開されていくことになるだろうと思います。

(大山・高知新聞記者)
 今の空港の関係ですが、今、国際化を目指すというような言葉もありましたが、昨日の会ではまずプログラムチャーター(※3)であったり、チャーター便を呼ぼうというところでしたが。
※3:プログラムチャーター便
 定期便が運航していない路線に一定期間、期限を設けて運航されるチャーター便
※4:チャーター便
 定期便と異なり、お客様のニーズに合わせて運航される臨時便

(知事)
 国際空港を目指すというより、国際化というように理解していただければと思います。

(大山・高知新聞記者)
 チャーター便が発着するような。

(知事)
 チャーター便が来る、そしてプログラムチャーターになっていく、できれば定期便を目指すということになっていくと思います。

(大山・高知新聞記者)
 目指す先は定期便というのはあるでしょうけど、当面はプログラムチャーター。

(知事)
 まずはプログラムチャーター、もっと言うとチャーター便の数を増やし、プログラムチャーター化してという感じになっていくと思います。

(大山・高知新聞記者)
 昨日の会議で、そのスペースの問題であったり、時間の制約の面も出ましたけど、もう1点、人的な点がボトルネックになるというような意見も出されていました。県として、そこに例えば手を足すというようなことをお考えでしょうか。

(知事)
 そういうことも考えられるかもしれません。議論の結果によると思います。43名採用して37人が離職したわけではないので、それぞれ累計の話で、過去3年間で累積の採用者が43名、また別途、退職者は37名、それぞれグロスの数字です。

 

南北首脳会談

(中田・高知民報記者)
 南北朝鮮の会談の件で、高知県は全羅南道との交流もあるわけで、南北、大きい世界史的な分かれ目というか、動きが出ているというふうに思いますが、その受け止めと、それとその和平の流れみたいなことが出てきている中で、高知県としてはその北朝鮮のミサイルに対する訓練みたいなことが一応プログラムに入っていますが、その見直しみたいなことはありますか。

(知事)
 何についてですか。

(中田・高知民報記者)
 北朝鮮のミサイル(に対する訓練)をやるというのを、その必要性があるのかみたいなことの議論はどうですか。

(知事)
 南北の首脳がああいう形で非核化に向けて合意されたこと自体は歓迎すべきことだと思っています。ただ、非核化に向けて進んでいこうという中においても、気をつけなければならないことはたくさんあるだろうと思います。例えば、何と言っても検証可能かつ不可逆的な形で非核化が行われなければならない、かつそのプロセスにおいて、段階的に長期間掛けてということではなく、できる限り速やかに非核化が行われていくことが確保される必要があると思います。この点が確保されるかどうか、どのような非核化なのかということがこれから交渉の中においてクリアにされていくんだろうと思います。ここのところについて、中途半端な形で合意する、妥協することはいけないと思っています。
 そして、いわゆる超長距離大陸間弾道弾などを廃止するという議論は、明確になりつつあるかと思いますが、特に日本という観点から非常に大事なことは、中・短距離のミサイルの廃棄もしっかり確保することだと思います。特に高知県としては、グアムに向けて中・短距離のミサイルが発射され、そのミサイルが上空を通過するかもしれないという話になっていたわけですから、こちらがしっかり廃棄されるということが非常に大事だろうと思います。
 そういう観点からいけば、いい方向に向いていますし、非常に素晴らしい会談ということが言えるだろうとは思いますが、決してまだ気が抜ける状況ではないかと思います。ですから、私どもとしてのプログラムを今の段階で見直すうんぬんかんぬんという状況にはないだろうと思っています。

(中田・高知民報記者)
 逆に、例えばあれをやることによって、北朝鮮側に緊張を高める効果みたいなことはないでしょうか。

(知事)
 そんなことは全くないと思います。むしろ全く備えようともしない状況に対して、安全保障感覚が欠如しているのではないかなどと思われることの方がよほど危険だと思います。

 

合区問題

(大山・高知新聞記者)
 参院選の合区の話ですが、先日、憲法記念日を前にした各社の世論調査を見ると、憲法改正による合区解消という声はあまり積極的ではない意見が多かったように思います。この現状について、知事はどう思われていますか。

(知事)
 この合区解消の問題を、島根県、鳥取県、高知県、徳島県の問題と捉えられないようにしなければならないと思います。高知・徳島、島根・鳥取の合区が定着してしまうと、合区方式そのものが定着することとなり、日本全国で合区が何10県も巻き込んで展開されていくことになる。即ち、首都圏ばかり議員の数が増えて、そうでないところの数はどんどん減っていき、ますます日本の政治は首都圏中心になってしまうという方向を招くことになる。これは本当に国にとって良くないことです。
 そういう国全体のあり方にかかわる問題であり、国政のあり方全体にかかわる問題であるということを粘り強く訴えていくことが大事だと思っています。
 一票の平等性は確かに大事だと思います。また、国会議員は全体の代表であるべきだということも、そのとおりだと思います。しかしながら、それだけなのかということも考えないといけないと思います。一票の平等を確保するための手段として、衆議院はしっかりそのようにするけれども、参議院は他の価値観を反映していくという考え方もあると思います。
 それと、例えば、高知の代表として、県の代表として最低限1人選ばれる代表は果たして全国の代表たり得ないのかと思います。たくさんいる職域代表が立派に全国の代表になっている中において、田舎であり、南海トラフ地震にも直面している高知の代表として、そういうところのエキスパートが、全国の施策を考えるにあたってその経験をもっていろいろと判断していくことは有意義ではないか、全国の代表ともなり得るということではないかと思います。そういう諸点をしっかり訴えていくことが大事だと思っています。
 もう1点、いつも申し上げていますが、この合区の問題、選挙制度に端を発するいろいろな国政の偏重にもつながっていく問題ですが、そもそも地方自治のあり方について、もう一段現行憲法において重きを置く対応をしていく必要があるのではないかという問題提起を、全国知事会としてさせていただいてきましたが、引き続き強く訴えていきたいと思います。
 憲法ができてから、時代を通じて、日本の中において地方自治の必要性というのはますます増してきていると思っておりまして、このことをしっかり引き続き訴えていくことが大事だと思っています。そういう観点からも合区の問題のみならず、地方自治の規定を強化するという観点からの憲法論議を、引き続き知事会として訴えていかなければならないと思っています。

(大山・高知新聞記者)
 4月27日に地方六団体、東京で大会もありましたが、その中でも憲法改正が一番いいし、その中でもそのマストアイテム、憲法改正がいいけれどもとにかく時間がないので、次までに解消ということは知事もおっしゃられたと思いますが、どうでしょう、次までに解消ということに向けたその世論の盛り上がりというのか、国民全体への浸透というのは深まっているのか、それともまだ足りない部分があるのか。

(知事)
 大分理解は深まっていると思いますが、まだ足りないと思います。ただ、一つ、このあいだの東京の会で、政党の中での理解は広がってきているのかなという感じは受けました。自由民主党だけではなくて、例えば公明党もはっきりと合区は良くないというお話をされましたし、他党においてもこの合区については概ね全党否定的にお話をされたのではないかと受け止めさせていただいたところでして、少し理解は広がってきているかと思っています。
 徳島・高知問題、鳥取・島根問題と捉えてもらいたくないと思っています。合区という制度が定着すれば、これから日本全国合区になりますよ、それで本当にいいのかと。首都圏ばかり議員が増えて、その他の地域は減っていくということで本当に日本はいいのかと。そういう問題をしっかり考えていただく必要があるだろうと思っていまして、我々はこれからも声を大にして訴えていかなければならないと思います。

(大山・高知新聞記者)
 国会の会期末も迫っていますが、参院の選挙制度改革まで基本的に1年前にというものがあるかと思います。残り2カ月ですが、県として、知事として、こういうことをしていこうというものがあれば教えてください。

(知事)
 少々焦りを感じているところです。ただ、この間の会で少し安心をしましたが、また、関係の知事とも連携し、対応していくことを考えていかなければならないと思います。

(大野・高知新聞記者)
 改憲による合区解消ということでお聞きしたんですけれども、先ほどの質問にもあったように日程的に厳しくなっているというところで言うと、高知からの訴え、要望として、改憲によらないやり方にかじを切るといいましょうか、そっちにシフトしてでも合区解消を訴えていかねばならないというような局面が起こり得ると思うんですけれども、そのような見通しとか、お考えというのは。

(知事)
 出てくる可能性はあると思います。ただ、改憲の旗を降ろすべきではないと思っていて、もっといいますと、合区の問題にとどまってはいけないと思っています。なぜ合区がいけないのかといったとき、地方自治の重要性も併せて訴えていく、地方の重要性を訴えていく、その次の段階として、地方を担う地方自治の重要性をしっかり訴えていきながら合区を解消するということになっていくことが一番理屈としては整合的だと思っています。今、選挙区のあり方を考えるときに、憲法第14条の平等権の問題に立脚して基本的には議論が進む。しかしながら、平等権の問題とともに、地方自治の重要性に係る一連の諸条文に照らし合わせて妥当性も論ずるという形になれば、よりバランスのとれた論議になって、合区ということにはならないのだろうと思っています。この地方自治の重要性を憲法上もう一段しっかり規定することも極めて大事だと思っています。

(大野・高知新聞記者)
 知事会などでのその論理立てというのは、まさしく知事も携わってらっしゃるんだとは思うんですけれども、目下の解消法としては。

(知事)
 憲法論としてはそこが大事だと思っていますが、そういう中で緊急避難的に、目下の問題として法律論でもって対応するということもやむを得ないと思います。憲法論議も重ねていく中において、緊急避難的に法的に対応するということはあり得るのではないかと思います。

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