平成30年4月2日 知事講話 (平成30年度)

公開日 2018年06月11日

〔平成30年4月2日(月曜日) 正庁ホール〕

 

(はじめに)

 皆さんと共に新年度を迎えられて、本当にうれしく思います。平成30年度の県政運営を行わさせていただくに当たりまして、私の方からお話をさせていただきたいと思います。
 平成30年度は、引き続き飛躍への挑戦、県勢浮揚に向けて全力を挙げて取組を進めさせていただきたいと考えております。ぜひ、皆々様方と共に手を携えて頑張らせていただきたいと思いますので、この1年間、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 

(仕事に当たっての基本的な姿勢)

 例年、申し上げていることでありますが、冒頭、基本姿勢についてお話をさせていただきます。大事なことですし、新たに着任された皆さんもおいでになりますので、改めてお話をさせていただきます。

 

(課題に対して正面から取り組む)

 基本姿勢としては5点。まず1点目は、課題に正面から取り組むということについて、徹底をしていただきたいと思います。課題を解決していくことが難しいだろうと思われることもある。すぐには答えが思い付かないこともあるでしょう。取り組むことにリスクが高いこともある。しかし、県勢浮揚に向けて県民の皆様のために、私たちはこの課題に果敢に挑戦しなければなりません。従前から申し上げておりますように、挑戦した結果として、なかなかうまく結果が出ないということについて、私は怒ったりしません。むしろ課題があるにもかかわらず、それから目を背けるといった不誠実な態度であったときに、いつも私は恐縮ですが、苦言を呈させていただいております。この点を今後もぜひ徹底をしていただきたいと思います。

 

(創造性の発揮)

 2点目、私たちがやろうとすることの多くのことに先例はございません。高知県は課題の先進県なのであって、その道を切り開いていくためには、私たち自身が道をつくり出していくしかない。常に創造性を発揮していただきたいと思います。高知県庁において先例がないというのは仕事をしない理由には全くなりません。いかにしてこの道を切り開いていくために新しい政策をつくり上げていくか、それぞれの創造性が試されていく状況だと思っています。ぜひ、引き続きこの点を徹底していただきたいと思います。

 

(官民協働、市町村政との連携・協調)

 そして、3点目、官民協働、市町村政との連携・協調の下に仕事をしていくということが極めて大事です。ぜひ、各関係団体の皆様方を巻き込んでいき、また我々もご指導をいただきながら、共に仕事をしていただきたいと思います。そして、関係の市町村の皆さんとの連携・協調ということにも、ぜひ、心掛けていただきたいと思います。もちろん、個別の問題について、各市町村の皆さんと仕事をしてると、全く考えが違うということもあるでしょう。それは当たり前です。100%一致している方がむしろ不自然と思います。考え方が違って当然であります。だからこそ、しっかりと議論をして、共に一つの成案を得ていくということが求められていくのだろうと思います。ぜひ、しっかりと連携・協調していただきたいと思います。そして、官民協働で、また市町村政との連携・協調で仕事をしっかりしていくためにも、皆さん自身の言葉でもって、その政策の意義、やろうとしていることは何か、これが語られることができるということが大事だと思います。最初の4月ぐらいはいいですけど、ある程度のときになったら、会議の時に手板を読むのはやめましょう。ぜひ、自分の言葉で語れるまで、腹に落ちて、それぐらいまで理解をしていただきたいと思います。県民の皆さんに、いろいろと説得やご説明をしないといけないということも多々あるでしょう。その時もそれぞれの自らの言葉で語っていただきたいと思います。今こういう人はほとんどいらっしゃらないと思いますが、従前より申し上げておりますように、最悪の説明の仕方は「知事が言ってるから」と。これは何の理由にもなりません。私が言ってる背後には、いろいろと政策的な意義があって、こういう方向で、それぞれに具体的な中身があるので、その中身を県民の皆さんに直接説明していただくことが大事です。引き続き、この点は徹底していただきたいと思います。

 

(全国区の視点を持って政策展開を図る)

 そして、4点目は、引き続き全国区の視点でもって仕事をしていただきたいと思います。各種の政策づくりに当たって、やはり全国的な有識者の皆さんとか、全国ネットワークとか、そういう皆さんと連携して仕事をしていくことは非常に有意義だと思います。私たちがひとりよがりにならないためにも、また新しい道を切り開いていくためにも、全国的なネットワークの中に積極的に身を置くようにしていただきたいと思います。例えば去年、1年間、ほとんどゼロの状態から新しい施策を作るという部局もありました。例えばスポーツ課。全くゼロということはなかったけれども、かなりの部分、施策の新たなつくり込みを行いました。それを行っていくに当たって、外部の全国区の有識者の皆さんに委員にも入っていただいて、いろいろとご提言をいただいたことがどれだけ有意義だったか、スポーツ課の皆さんもそのように思っておられることと思います。様々な全国的な知見を取り入れていくことは非常に重要なことです。そしてまた、そうしていくことを通じて、様々なネットワークができていくと、私たちが心掛けようとしてる仕事が、はるかに大きな形で遂行できる場面が出てくるだろうと思っています。今、多くの企業や研究機関の皆さんと包括協定を結んだり、連携をさせていただいたりしてくるようになってきました。そういうことを通じて、私たちが行っていこうとする仕事がはるかに大きな形で、はるかに「てこ」の作用が利いて効果的な形で展開できることも多々出てこようとしていると思います。ぜひ、引き続き全国区の視点でもって、全国区のネットワークの中に身を置くということを徹底していただきたいと思っております。

 

(心身の健康に留意し公務能率の向上を図る)

 そして、5点目は、職員の心身の健康が第一であります。特に所属長の皆さん、この点について引き続きご留意いただきたいと思います。そして、そのためにも、それぞれの所属では何を政策目的としていて、その意義は何で、それを達成するための道筋としてはどういうことを考えているのかということを、各所属員一人ひとりにぜひ徹底をしていただきたいと思います。やっている仕事が意義深くて、そしてやっていく仕事がこういう道筋で、こうやっていけば何とか道が開けるであろうと思えれば、つらい仕事であったとしても、多くの皆さんはやりがいを持って仕事ができると思います。やっていることが意義あることなのかどうか分からなくて、そして、いつになったら道が開けるのかもよく分からない状況だとモチベーションは上がらず、本当に心身共につらい状態になるんだろうと思います。ぜひ、この点、今までも徹底していただいているかと思いますけれども、それぞれの所属の政策目的と意義と、その達成に向けての道筋、これを所属員一人ひとりにぜひ分かってもらうように、皆さん努力をいただければと考えるところです。

 

(仕事に当たっての各部局で共通認識としていただきたい点)

 以上の基本姿勢の上で、平成30年度、新たにそれぞれの5つの基本政策及び3つの横断的な課題について、どういう方向で仕事をしていくかということについて少しお話をさせていただきたいと思います。詳しいところは、産業振興計画であれば、この4月13日から行います産振本部会議などでお話をさせていただくことになるわけでありますが、少し大きな方向性について、私の方からそれぞれお話をさせていただきます。

 

(経済の活性化(産業振興計画))

 まず、産業振興計画については、引き続き、地産外商の成果を拡大再生産の好循環に乗せるという仕事を徹底して行っていくことになります。そのために、第3期計画バージョン3では、2つの大きな方向性を追求していこうとしてます。第1点目が、その好循環をつくり出すに当たってのボトルネックを解消するための仕事をするということ。そして、第2点目がその好循環を牽引するメインエンジンを強化するような仕事をしていくということです。皆さんご案内のように、今の成長の壁となるボトルネックとは人手不足であり、これが非常に深刻化してきています。これを解消していくために、一つには、働き方改革を事業戦略づくりと併せて徹底していく。そして、人材を確保していくために移住施策や、さらには県内の若い人たちに県内の仕事をよく知っていただく取組などをより強化することとしておりますし、さらに、省力化・効率化のための投資を後押しする一連の施策群を強化したところであります。これらのボトルネックを解消するための取組というのは、ある意味、焦眉の急なのであって、ぜひ、この点について力を入れて取り組んでいくことが必要となります。ただ、それだけでは、残念ながら、高知県経済の中長期的な発展というものを確保することはできません。何といっても大事なことは、継続的に高知県の経済を牽引し続けるメインエンジンを強化すること。もっとブレークダウンすれば、第一に付加価値を継続的に生み出していくための仕組みづくりをするということ。そして、その新たに生み出した付加価値を基にして交易の範囲を拡大していく、そういう取組を進めていくということかと思います。前者は地産の強化であり、後者は外商の拡大と、引き続き地産外商の取組を徹底していくということが大事だろうと、考えているところです。特に外商の拡大という観点からは、外国を意識した仕事のウェートがだんだん増えてくるだろうと思います。ものづくりしかり、それから食品分野もしかり、各一次産業・産品もしかり、そして観光、インバウンドという観点からもしかりであります。国内向けのネットワークを引き続きうまく生かして、徹底した外商活動を行いながらこの5年後、10年後をにらんで、私たちは外国向けのネットワークというものを強固にしていくという仕事をより本格化していく段階に来てるのだろうと思っております。
 そして、何といっても大事なのは、この付加価値を継続的に生み出していく取組を行うことかと思います。この点について、先日1等級の皆さんに辞令交付させていただいたときも簡単に触れさせていただいていますが、今、方向性を変えつつあるので、この点についてぜひご留意をいただきたいと思います。少し抽象的なことを言うようでありますが、非常に大事なポイントだと思っておりますので、ぜひ、皆さん、ご留意賜れればと思います。
 それはどういうことかというと、例えば第1期計画のバージョン1やバージョン2、バージョン3ぐらいのときというのは、新たなプロジェクトの創出そのものに県庁が直接関わるということが非常に多かった。例えば、地域アクションプランとして、地域支援企画員が地域に入って、地域の事業者や市町村の皆さんと一緒になって新たな事業プロジェクトを立ち上げようという仕事が非常に多かったわけです。この方向性自体を今放棄するということではありません。引き続き、私たち自身が直接プロジェクトの創出に携わるという面も多いだろうと思っています。ただ、第3期計画になってから、1つ新しいことを加えてます。それは何かというと、私たち自身が直接、プロジェクトをつくり込むというよりも、新たなプロジェクトがどんどん生まれてくるようなプラットホームを作るような仕事の方向性を徐々に強化してきているところです。この仕組みを使っていただければ、民間の皆様方の創意工夫によって、次から次へと新しいプロジェクトが生まれてくるであろう、そういうプラットホーム、苗床と言ってもいいかと思いますけど、そういうものを作っていく取組を徐々に強化してきているところであります。
 特に第3期計画のバージョン3はその点について施策を大幅に強化したところであります。例えば、自然体験型の観光をやろうとする。これは新しい付加価値を生み出していこうとする政策ということになります。もちろん、それぞれの観光地の中で新しい自然体験型観光をつくり出そうとすることに直接県職員の皆さんが携わっていただくこともありますでしょう。ただ、皆さんご案内のように、今度、自然体験型観光に向けて新たなシステムを作り、このシステムへ登録していただく。そして、そのシステムに登録していただくとフィードバックが得られる。このシステムの仕組みを通じて、自動的に多くの皆さんが新たな自然体験型観光にチャレンジされ、自動的にそのフィードバックシステムでもって磨き上げを行っていくこととなる、そういう仕組みも新たにつくり上げようとしているところです。
 課題解決型の産業創出スキームというのを今作っています。第一次産業において、それぞれ不利不便な課題を解消するためのプロジェクトというのをつくり出して、それを民間に発注してマッチングがなれば、そこで新しい産業創出をしよう。例えばそういう取組なんかもスタートをさせています。これなんかも、この政策の枠組みを通して民間の皆さんにどんどん、新しいプロジェクト作っていただこうとするものであります。県職員が直接プロジェクトの創出に携わるというよりも、私たちはプロジェクトが創出されるようなスキーム、プラットホームを作ったということなのだろうと思っています。
 さらに言えば、事業戦略の策定支援を行っていく取組そのものが、事実上新しいプロジェクトをどんどん生み出していくことを促していく、言わば苗床やプラットホームとしての政策だと考えております。第3期計画の最初の頃はこういう取組について、どちらかというとお試し的にスタートしたようなところがあります。しかし、実際ものづくり企業さんで事業戦略づくりのお手伝いをするとか、課題解決型のプロジェクト創出スキームを行っていくとか、そういうことをして、事実上、非常にうまくいったと思っています。やはり、民間活力を大いに生かしていくということが非常に大事なことは言うまでもないことですが、この点、バージョン3になって、強化をしておりますので、そういう仕事をしていくことをぜひ意識していただければと思っております。そして、さらに言えば、そういうプロジェクトの中に民間企業の皆さん、さらには民間の資金を導入していくような仕事を強化していかなければなりません。県庁として新たなプロジェクトを作り、そしてそこに補助金を投入するというスキームが第1期などでは一番多かった仕事の仕方でありますけれど、新たにプロジェクトを作って、そのプロジェクトについて民間で実施しようとする人々を募って、そして民間で事業プロジェクトを組成していただいて仕事をするわけですので、民間のウェートがぐっと高まることとなります。さらに言えば、そういうプロジェクトと金融機関の皆様とマッチングしていただいたり、外部からファンドの力を導入したり、さらに言えば包括協定を結んでる企業との間でそういうプロジェクト組成に加わっていっていただいたりすることができれば、私たちが補助金行政として行っていくよりも、はるかに知恵があり、そして活力がある、そして先々につながっていく事業創出ということができるだろうと考えております。
 もともとプロジェクトの根っこも全くない中において、そういう事業をスタートしようとしても、正直非常に難しい状況だっただろうと思います。しかしながら、県庁職員の皆さんが、大変頑張っていただいて、産業振興計画を推進してくださってる中において、一つ一つ新たなプロジェクトが生まれてきて、その結果いろんな新しい事業が展開されるようになってきました。ある意味土台ができてきたのだと思っています。いよいよ私たちは、本格的な民活型の産業振興の取組、そういうステージに入っていこうとしていることかと思います。ぜひ、こういう新しい大きな流れを意識していただきたいと思います。
 やや抽象的な話で分かりにくい点もあろうかと思いますが、今度の産振本部会議などでより具体的に展開させていただければと思っています。自然体験型観光のプロジェクトを作ったりする場合であっても、ぜひいろんな民間の金融機関とかファンドの皆さんとか、県外の民間企業の皆さんとか、そういう人々の力を引き込んでいきましょう。引き込んでくることで、ずっと大きい仕事ができるようになるだろうと思います。いよいよそういう段階なのだということかと思っております。ぜひよろしくお願いをいたします。

 

(中山間対策)

 次に中山間対策についてです。特にポイントとなります集落活動センターの取組については、第1層が産業成長戦略、第2層が地域アクションプランの取組、そして、第3層が集落活動センターだという点が非常に大事なことであります。ぜひ、各集落活動センターの取組と産業振興計画や長寿県構想などの取組が良きネットワークとなっていきますように、この点は引き続き意識して徹底していただきたいと思います。集落活動センターが様々な地域における事業展開の一翼を担うこととなりますように、それを通じて様々な産業振興のための取組の果実が地域地域に及んでいくということとなりますように、引き続き徹底をいただければなと思います。

 

(日本一の健康長寿県づくり)

 続いて、日本一の健康長寿県構想についてです。日本一の健康長寿県構想についても、新たなステージに入ってくる部分があると思っています。今まではどちらかというと、一つ一つの点や結び目を一つ一つつくり上げていくような仕事というのが多かった。今度、新たに第3期構想になってからは、これをシステム化していくということが求められると思っています。今までも意識してなかったわけではないですが、よりこの点を意識して徹底していただきたいと思います。
 あったかふれあいセンターを作ったことと、地域子育て支援センターを作ること、これは決してばらばらなことではありません。地域に新たに医師を配置することと、包括支援センターを設置していくこと、これは決してばらばらなことではありません。あったかふれあいセンターも、訪問看護の仕組みも、訪問介護の仕組みも、ドクターヘリの運行も増えてきました。これらをネットワーク化していくということは、これからの大仕事だと考えております。第3期構想のバージョン1、バージョン2辺りからだんだんそういうところを意識してますが、バージョン3では高知版の地域包括ケアシステムや、更には高知版のネウボラシステムを作るなどということをより明確に打ち出していくこととなります。ぜひ、この点を意識して取組を進めていただきたいと思います。
 地域包括ケア推進監、これをそれぞれの保健所に配置をすることとなります。市町村職員の皆さんと連携をしていただきながら、このネットワークづくりということに本格的に取り組むこととなりますので、どうぞよろしくお願いいたします。そして、この取り組みと集落活動センターとのネットワーク化も意識していただければと思います。

 

(教育の充実)

 そして、教育改革の取組についてです。教育大綱は、毎年度PDCAサイクルを回していくこととなります。「チーム学校」の取組をより徹底することが平成30年度の取組です。実施可能な中学校はほぼ全てでこの「チーム学校」の取組を行っていきます。そして高等学校においても、この「チーム学校」の取組を行っていくということが一つの大きな目玉とになっていきます。そして、厳しい環境にある子供たちへの対策は、長寿県構想での取組と良き連携を図っていただきながら、より徹底をしていくということになります。今、各学校でそれぞれの学校経営計画というのを作られて、取組を進めていただいているところでありますが、各学校においてもPDCAサイクルを回すということをぜひ、徹底していただくようにお願いしたいと思っています。PDCAサイクルを回すということは、毎年仕事を増やすことだというふうに誤解される場合がありますが、それは全然違います。毎年悪い点を改善し、良い点はもっと伸ばすということで、より効果的、効率的に仕事をするということを追求していこうとするものだと思っています。ひたすら仕事を増やそうとしているだけではないか、というご指摘を受けるということは、PDCAサイクルを回して仕事をしていこうということが学校の現場に届いていない、まだご理解を賜っていない部分があるのではないかと、私は大変反省をしているところであります。ぜひ、この平成30年度はそういう点を徹底できればと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 

(南海トラフ地震対策)

 南海トラフ地震対策などの防災対策の取組については、全ての課で行うということになります。南海トラフ地震対策課は、市町村の皆さんとも連携させていただきながら、全県を挙げて様々な南海トラフ地震対策に取り組んでいくための高知県として取りまとめ課ということになるわけであります。
 随分、いろいろ取組を進めてきていただきました。取組が進めば進むほど、前に進んでいくということで、ある意味終わりのないようなところもあるわけでありますけれど、南海トラフ地震は必ずやってくるわけでありまして、来るべきそのときまで、どこまで我々が進んでいけるか。それによって、どれだけ多くの命を守ることができるか、それが決まってくるわけでありますので、引き続き頑張ってまいりましょう。特に津波対策は随分進んできたところはありますが、まだまだ、よりソフト面を徹底しなければならないわけでありますし、さらに住宅の耐震化など課題は多いわけであります。そして、復旧期、もっといいますと応急期の対策をより徹底していかなければならないと思い、災害時の医療救護の取組のように、国をもっと巻き込まなければならないということもあります。引き続き全国区の視点で、取組をさせていただきたいと思います。

 

(インフラの充実と有効活用)

 以上申し上げた5つの基本政策に全て関わるのがこのインフラ整備の取組ということになります。昨年度、社会資本整備推進本部会議を新たに設置させていただきました。各部、各課のニーズを踏まえてインフラ整備を行っていくということをより徹底する体制を作っていただいたところでありました。集落活動センターのそばの1.5車線道路を優先して整備するといった取組を進めていただくなど非常に有効であったと思っております。特に本県の場合は、様々な施策展開をするに当たって、インフラが不足しているということがボトルネックになるということが引き続き多いだろうと思います。ぜひ、この社会資本整備推進本部会議の枠組みを使って、各課のニーズと土木部とで良きコミュニケーションを図って、最も効果的な形でインフラ整備が行われるように取り組みたいと思います。

 

(少子化対策と女性の活躍の場の拡大)

 そして、引き続き女性の活躍促進、少子化対策の取組をしっかり進めていかなければならないことは言うまでもありません。特にネウボラのスキームも新たに加えていくことで、子育ての不安の解消も新たに踏み込んでいくことになります。

 

(文化芸術とスポーツの振興)

 文化の振興とスポーツの振興の取組については、昨年度新たな計画にバージョンアップをして本格的に別の次元に入った段階だろうと思っています。そういう意味では、平成30年度は実行元年ということになります。新しい計画を絵に描いた餅にせず、徹底して実行していくということになろうかと思います。この点についてポイントは2点です。
 1点目は、実行元年から実行2年目というのは、産業振興計画でも長寿県構想でもそうでしたが、大きくバージョンアップする契機になると思います。産業振興計画などでも1期目のバージョン1とバージョン2は大きく違います。スポーツや文化の振興の取組でも、そういう側面というのは出てくるのではないかと思います。年度途中でも構いませんので、ためらわず変えるべきは変えるということが大事かと思います。ぜひ、それぐらいのつもりでやっていただきたいと思います。
 2点目は、文化の振興とスポーツの振興の取組というのは、教育にも関連するし、県民の皆様の健康長寿を延ばすということにも関係するし、もう一つ、第三次産業を創出するという点においても、非常に幅の広い分野に波及していくものだと思っています。ぜひ、そういう波及効果を大いにもたらすというつもりで施策の展開をしていただければと思います。まずは、文化生活スポーツ部で施策の展開をしていっていただくことになりますが、各部各課も文化やスポーツと連動してくる部分が徐々に増えてこようかと思います。ぜひ、皆さんも受け止め方よろしくお願いを申し上げます。

 

(おわりに)

 最後です。いつも申し上げていることでありますが、基本姿勢に関連することについて2点お話をして終わらせていただきたいと思います。

 

(情報の共有、闊達な議論)

 1点目は、悪い話ほどできる限り早く副知事か私に上げていただきますようお願い申し上げます。この点は引き続き徹底していただきたいと思います。いつも申し上げておりますが、知事室は、いつも大変だとか、うまくいかないとか、困ったとか、そういう話で満ちております。ですから私は慣れっこでありますので、ぜひ持ってきてください。いきなり私に持っていくことが心配なときは、温厚な岩城副知事のところに皆さん持っていっていただきたいと思います。いい話はすぐに終わります。ああ良かった、良かった、良かったねってそれですぐ終わります。むしろ、大変な仕事ほど時間が掛かるのでありまして、私たちの部屋というのは、いつもそういう困難なことで満ちあふれています。だから慣れっこですので、ぜひ、気楽に上げていただきたいと思います。従前より申し上げているように、上げてなくて後になって分かったというときが一番困る。私も一番そのときに、恐縮ですけど苦言を呈させていただくということになろうかと思います。ぜひ、速やかに上げるということを徹底してください。そのためにも、大事なことは所属長である皆さん一人一人のところに、皆さんの部下から悪い話が速やかに上がってくる体制を皆さんが作っておくということが極めて大事でありますので、このことは皆さんそれぞれぜひ、肝に銘じておいていただきたいと思います。往々にして、近年、部長さんとか知ってて、悪い話が上がってこないということは余り無くなりました。しかしながら、知らなかったということが結構あります。組織全体として悪い話ほど上に上がってくるという体質づくりをすることが大事だと思いますので、引き続き、ぜひ、この点にご留意をいただきたい。特に新任の方はこの点にご留意をいただければと思います。
 2点目は、批判的な議論が闊達にできる、そういう風土づくりが非常に大事だろうと思いますので、ぜひこの点は引き続き徹底をしていただきたいと思います。知事が言ったからそうしなければならないとは限りません。まだ物事が決まっていないとき、そのときには大いに議論をさせていただきたいと思います。ただ、一旦「議」が定まったら、しっかり組織としてこれを徹底して実行していただかなければなりません。ただ、「議」が定まる前においては、ぜひ闊達に議論をしていただきたいと思います。私が冒頭、最初の頃言ったとしても間違っていることなんて幾らでもあるはずなのであって、私が最も情報を持っているわけではない、そういう政策分野もたくさんあります。ですから、皆さんからもぜひ、それは違う、こうした方がいい、そういう議論を徹底する。ぜひ闊達に展開をしていただければと思います。そして、ただ衆議一決すれば、その後は皆さんしっかりそれぞれの役割に応じて実行していくということになろうかと思いますが、決まるまでは大いに議論をさせていただければと思います。多くのことは既に皆さんとこれまでの間も共有してきたことでありますが、繰り返しになりますけれども、新任の皆さんもおいでになるし、そしてまた、繰り返し言わなければならないほど重要なことでもあるということで、あえてお話をさせていただいたところです。

 

(結び)

 平成30年度も共に県勢浮揚に向けて頑張らせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

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