平成30年5月23日  知事の定例記者会見

公開日 2018年07月29日

南海トラフ地震に関連する情報(臨時)への対応
加計学園問題に係る愛媛県の対応等
公文書のあり方
ルネサス高知工場の閉鎖(1)
公文書の公開
ルネサス高知工場の閉鎖(2)
南海トラフ地震に関連する情報(臨時)への県の統一指針
太平洋島嶼国との交流
国と自治体による国際交流の違い
県職員によるセクハラ問題
安芸市への看護学校設置の不承認

南海トラフ地震に関連する情報(臨時)への対応

(郡・毎日新聞記者)
 昨年11月から運用が始まった南海トラフ地震に関連する臨時情報の対応について二つ質問をさせていただきます。
 今月の中旬に県の方で全市町村を交えた会議、緊急会議が開かれましたが、さまざまな指摘だとか課題があったと思います。知事がこの会議全体に期待することと、特に避難所運営や財政面について、懸念する声があったと思うのですが、その場でも県の方で支援するという意向を示されており、備品であるとか人件費であるとか食費であるとか、どの範囲まで支援をする意向があるのか、この2点についてお伺いします。

(知事)
 会議に期待することから言わせていただきますと、やはりこの臨時情報は生かし切るべきだと思います。どのように生かし切るべきか明確な規準を作りたいと思っています。市町村ごとにバラバラな対応になることを懸念される声もたくさんあります。我々も国に統一的なガイドラインを求めていまして、市町村と同じ思いです。ただ、その統一的なガイドラインができるまでの間において、県として統一的な指針を示すことが大事なことだと考えており、全ての市町村、県、ともに統一的な行動ができるような指針を作っていくことができればと思っています。もちろん国のガイドラインができれば、それを踏まえて、さらに改善することになると思います。
 地震対応は、突発的に地震が起こることを前提として進めていくことが全ての前提だと思っています。本県は、南海トラフ地震対策行動計画を作って準備をしていますが、全て、突発的に発生する地震にどう対処するかという前提で対策を講じているところです。だから、これだけ津波避難路・避難場所や津波避難タワーなどを密度濃く造る訳です。ただ、臨時情報が発表されるということは、臨時情報の元となる何らかの前駆現象が観測されたということであり、事前に何らかの情報があるが故に、より対応しやすくなると思います。対応しやすくなるような情報があるならば、それを生かし切って一人でも多くの命を守ろうとするのは当然のことだと思います。もちろん、不確実性はあるかもしれません。しかしながら不確実性はあったとしても、突発的に発生する地震に対応するよりも、事前にさまざまな対処を行っておくことができる、人の命を守ることができる可能性が高まると思っています。そういう観点で対策を進めることが大事だと思っています。
 2点目の支援についてであります。地震対策について、これまでも県として取り組みを進めてきました。特に命にかかわる事項について、市町村にお金がないからできませんということにならないように、県としてできる限り手厚くバックアップする。そういう考え方のもとで取り組みを進めてきました。津波避難路や避難場所、津波避難タワー造りについても、例えば緊急防災・減災事業債を使って、それでも市町村負担の生じる部分については、市町村負担が生じないように、全て最終的には県から交付する。そういう仕組みで対応してきたところです。
 市町村は財政規模が小さいので、なかなか財政的にやりくりが難しく、避難タワーを造ることができないということも出てくると思います。ことによっては、それで仕方ないという状況もあるかもしれませんが、こと命にかかわる事項については、お金がないからできないとは言えないだろうと思っております。そういう観点からもこの臨時情報を生かした対策は、お金がないからできませんということにならないように、私どもとして一定財政的な応援をさせていただく仕組みを考えていくことが大事だと思っているところです。
 具体的にどういう形がよいのかということについては、市町村の皆さんと今後話をさせていただきながら、スキームを詰めていきたいと思います。また、突発的な場合、往々にして着の身着のままで逃げるような形になる場合が多いと思いますが、事前に逃げるということであれば、住民の皆さんも一定の準備をして逃げるということも考えていただきたいと思います。
 例えば、お金を持って逃げるなど、住民の皆さんにもそういった準備をして、それを前提とした上で市町村が対応をする。それに対して県がバックアップをする、そういうスキームを組んでいくことができればと思っております。

(郡・毎日新聞記者) 
 今後の話し合いで詰めていくということですか。

(知事)
 そうですね。

 

加計学園問題に係る愛媛県の対応等

(大野・高知新聞記者)
 昨日、愛媛県の中村知事が来県し、定例の交流会議を持たれたと思いますが、加計学園に係る文書の問題で囲み会見というような形もあったんですけれども、昨日、中村知事とこの件に関して知事は何かやり取りみたいなものはありましたか。

(知事)
 昼食会でも30分強ぐらいご一緒しましたけど、この話はしませんでした。

(大野・高知新聞記者)
 昨日の今日ということなんですけれども、愛媛県の対応というのはどのようにご覧になっていますか。

(知事)
 国会からの要請に基づいて、庁内で調べて発見されたものを提示するということでありますから、ある意味、国会の要請に基づいた対応をしっかりされているということだろうと思います。

(大野・高知新聞記者)
 愛媛県の文書の信憑性についてはどのように思われますか。

(知事)

 それは、私にも分かりません。ただ、文書が実際に存在していて、それを公の場に出されたということ、それはやはり国会の要請に基づいたご対応をしっかりされたということではないでしょうか。

(大野・高知新聞記者)
 これについて、安倍晋三首相は加計理事長さんとの面会などについて、否定もされていますけれども、首相は正直、誠実に答えているというふうに思われますか。

(知事)
 首相自身は自らのご記憶に基づいて答弁されているだろうと思います。実際のところ、本当にお会いになったのかお会いになってないのかは、首相や加計さん、さらにはさまざまな記録で判断をしていくことでしょうが、やはり首相がそうおっしゃっている限りにおいては、それはまずはそういうことではないかとは思います。

(大野・高知新聞記者)
 中村知事は昨日の会見でもおっしゃっていますけど、なぜ関係者が全て正直に言わないのだろうか。そうすれば、クリアになるのにというような疑問の呈し方をしておられますけど、そのことについては、どうお考えでしょうか。

(知事)
 この問題は、2点あると思っています。1点目は国家戦略特区の選定のあり方は本当に適正だったのかということについてです。別に愛媛県の文書だけではなくても、さまざまな記録が残っているはずであり、国家戦略特区の選定のあり方について、正当に行われたのかということをしっかり検証することが非常に大事ではないかと思います。選定の過程において、非常に良くない、これでは駄目じゃないかという話だったにもかかわらず話が急転直下し、やってもいいということになったという事例が本当にあるのかどうか。
 例えば、加戸知事さんは初めから加計ありきで手続きを進め、申請をしてきた。申請が実際に認められて我々喜んでいるのだというお話を堂々とおっしゃっています。そのプロセスが本当に正しいのか正しくないのかを、まずはしっかりと国会で検証されたらいいと思います。それが第一です。
 第2点目として、総理をはじめ閣僚の皆さんの答弁の中に、本当に故意に基づく虚偽の答弁があったのかということ。この点も検証するということになるのではないでしょうか。
 一番大事なことは、手続きに基づいてしっかりと戦略特区の選定が行われたのかを検証することではないでしょうか。私は、国会においてしっかりと検証を行っていただきたいと思います。その点がはっきりしないと、この問題は最後まで正しかったのか正しくないのかということが分からないということになると思います。愛媛県のご事情もあるんでしょう。それもまた参考にされたらいいと思いますし、実際に政府部内にもそれぞれに記録が残っていると思います。その記録に基づいて、その点をしっかりと客観的に検証されればいいと思います。
 こういう手続きが正しいのだということを明確にしておかないと、みんなが萎縮してしまい、国家戦略特区の申し込みなんてなくなるかもしれません。そういう意味において、本当にどういう手続きが正しいのか、この加計の問題については正しかったのか。併せて、それに基づいて国家戦略特区の手続きとして正しい対応が図られたのか。対応について疑義がある点があれば、今後こういう形で運用を改善しますというような形で、明確な制度としての手続きを定めることも非常に大事だと思います。
 その点を国会でまず議論すべきことではないかと思います。

(大野・高知新聞記者)
 そうした点が、はっきりしないことには、制度の意義とか信頼性というものが(失われてしまうということでしょうか)。

(知事)
 そうだと思います。本件に対する政府の態度が誠実だったかということについても、最終的な決着がつかないのではないでしょうか。戦略特区として、加計学園が今治で獣医学部を開くということについて、その過程が本当に正しかったのかをさまざまなデータを元にしっかり検証されたらいいと思います。

(大野・高知新聞記者)
 もう1点、その中に詳細に出ています愛媛県側の資料ですね、インターネットなどで見れるのですが、ご覧になりましたか。

(知事)
 報道で見た限りです。

(大野・高知新聞記者)
 詳細に記されてるという印象を持つんですけれども、高知県はこういうものの取り扱いというか、例えば、知事に何かを報告するときのメモ的な資料というものは、どの程度の密度(で記されているのか)、また知事に直接それは示されたりするものなのか。(愛媛では)中村知事さんが備忘録的なもので、職員が口頭で説明するために作ったものとのことでしたが。

(知事)
 議事録を残して、みんなで共有すれば公文書になります。ただ、気を付けないといけないのは、例えば若い職員がメモを取った。内容がよく分かっていなくて完全に間違っていることもあり得る中で、そういう過程のものを公文書として固定してしまうといかがなものかということになります。しっかりと上司も見て、この内容で正しいですよということで、それを知事に報告に来るなりして、会議で共有したものであれば、これは公文書になるのできちんと保管しないといけないと思います。この間も申し上げましたが、まだ作っている途中とできた後の間にグレーゾーンがあってはいけないと思います。手続きについて、例えば、最終的に議事録として確定する手続きを一回踏んで、それ以降は公文書とするなどのルールを、今、公文書管理条例の議論をしていますけど、それ自体が条例事項になるかどうかは別として、その辺りを明確にして、できる限りグレーゾーンがなくなるようにしなければいけないと思っています。

(大野・高知新聞記者)
 それは、重要な政策の決定過程というものを検証、振り返る上でもということですか。

(知事)
 もちろんです。また、そういうプロセスがあることで、常に透明性とか県民を意識した意思決定がされていくということが大事だと思います。

 

公文書のあり方

(小島・NHK記者)
 公文書が問題となる中、公文書館を設置されるということで、先日も第1回目の委員会が開かれ、公文書館そのものについてと、あと条例についての検討が始まりました。知事自身、公文書館の位置づけはどうお考えになるのかということと、こうした公文書のあり方が議論となっている中で、どういう役割を持たせていきたいかというところなど、どうお考えでしょうか。

(知事)
 やはり一連の行政をできるだけ透明にしていくことが大事で、透明な中で、公明正大な議論が行われて、公明正大に意思決定が行われていくということを何十年にわたって、連綿と維持し続けることがすごく大事だと思います。
 そのために、日々できる限り県の行政も透明化していくようにする。私は国の機関から高知県に帰って来て、最初は非常に勇気がいることでしたけど、産業振興推進本部会議などの会議は、基本的には全部オープンにして開催させていただいています。個別に企業さんのお名前が出てくるときは、ご配慮いただいたりする場合もありますけれど、基本的にはオープンで会議をやらせていただいています。
 日々そういう形で、重要な意思決定をする場をできる限り公表できるようにしていくとともに、併せて、後々に一定の検証を可能にしておくことも大事だと思います。そのために、情報公開条例などにしっかり対応していくということもありますでしょう。また、後に調べたときに、その記録が包括的に全部明らかになる体制を講じておくためのものとして公文書館で一定記録を持ち続けていくということも大事なことだと思います。
 後々まで検証されることとなるという意識や検証されることが当たり前だと思いながら仕事をする。当然、県民を常に意識して仕事をし続けていくような体制になっていく。そのことの意義が一番大きいでしょう。さらにもっと時代を下っていけば、例えば歴史的な意義だとか、さらには政策研究論上の意義とか、そういうものも出てくるでしょうけれども、今行政に携わっている者としての意義は、やはり一番そこが大きいと思っています。
 残念ながら、今は県庁の地下で保管をしているという形で、必ずしも十分ではないというところもあるので、公文書館を造って、皆さんにご覧いただけるような体制をより明示させていくことができればと思います。
 もう1点は、公文書館を造るにあたって、今回公文書条例を作ることになりましたが、できる限りグレーゾーンをなくして、明確なルールをはっきりさせて、残すべきものはこういう形で残す。しっかりとしたルールづくりをして、条例についての検討をしっかりと進めていき、恣意的な対応ができないようにすることが大事だと思っています。

(小島・NHK記者)
 公文書の定義なんですけども、いろいろ個人メモだとかいろんな表現が昨今、報道で出ていますけども、知事ご自身は公文書というのは、どういうもので、どういうふうに位置づけられて、どこで共有されたら公文書と言えるとお考えでしょうか。

(知事)
 部局を越えて、上下の役職を越えて共有されたものということに基本的にはなるのではないでしょうか。ただ、例えば部下からメモですと上げてきたものが、上司から見たら間違っている。直すことが面倒臭くてそのまま置いていたものが、そのまま公文書になると間違った記録がそのまま残ってしまうということになりますので、そういう部分は少し気を付けないといけないでしょう。
 個人メモと言われるものは、必ずしも組織的検証を経ず、内容が確定してないものではないかと思います。例えば、知事室でも、過去の何々の協議結果と言ったりして、それを基に政策判断をする場合がありますけど、これは明確に公文書だと思います。

 

ルネサス高知工場の閉鎖(1)

(竹村・テレビ高知記者)
 ルネサスについて、閉鎖の期限が迫っていますけども、事業の継承先の確保について、残された時間、県としてどのように取り組んでいるのか。仮に見つからなかった場合、どうしていくかということについてお伺いします。

(知事)
 今、ルネサスさん自身も必死で承継先を探しておられると思いますし、我々も複数ルートで引き続き探しているところです。ただ、期限となる5月末が迫っている中において、承継先がまだ決まっていないということも事実です。
 5月以降の対応について二つの点が非常に大事だと思っていまして、まず5月末以降についても、従業員の皆さま方の雇用について、希望される方には雇用がしっかり維持されるようにしていくということが第一だと思います。
 それから、第二の点について、5月末以降においても、承継先を探し続ける。例えば、一旦異動になられた方でも、承継先が見つかれば、また戻って来られるというような形、そういう選択肢もお示しできるようになる。そのようにしていくことが大事だと思っていまして、我々としても今努力をしています。

(竹村・テレビ高知記者)
 承継先の確保については、今の段階では厳しいという印象でしょうか。

(知事)
 5月末にできるかどうか正直なところ分かりません。非常に多くのところと話をしているのも確かですけれども、現段階で決まっていると言える状況ではありません。私どもとしてさらに努力をしなければなりませんが、現実問題として5月末以降の対応について、雇用の確保と引き続きの承継先を探し続けるという点について、努力しなければならない、しっかりと取り組んでいかなければならない状況だと思います。

 

公文書の公開

(中田・高知民報記者)
 公文書に戻りますけども、高知県の場合、前県政時にモードアバンセの教訓として、情報公開は徹底するんだという決意とともにやってきた歴史、経過があると思うので、グレーゾーンを整理するというときに、どっちの側に整理するかというのはすごく大事で、できるだけ公開の方で整理していくというところの決意をお聞かせください。

(知事)
 それはもうおっしゃるとおりです。そうでなければならないと思います。

 

ルネサス高知工場の閉鎖(2)

(小島・NHK記者)
 ルネサスの関係なんですけれども、仮に5月末で承継先が決まらなかった場合、その従業員の個々の判断ですけども、別の工場に行くだとか、また仕事を別のところでということが想定されます。そうすると、移住に取り組んでおられる高知県としては、一方でその働き場がなくて外に出てしまうという現象も起きてしまうということも想像できますが、それに対しては何かお考えはございますか。

(知事)
 まずは従業員の皆さんお一人おひとりの生活がしっかり確保されていくことが大事ですから、それを第一に考えなければならないと思います。併せて、承継先が確保されないことによって、県外に不本意ながら出ていかなければならなくなる方がいらっしゃることについて、これはご本人にとって申し訳ないことですし、また併せて、社会増減の改善を図りたいという高知県にとっても非常に残念なことだと思います。
 そういうことからも、まずは引き続き仕事ができるように雇用先や雇用を確保し続けることとともに、併せて、その承継先の確保について諦めないことが大事だと思っております。引き続き、何とか探し続けられるようにできないものかをしっかり関係の皆さんとお話しさせていただきたいと思っています。

(三浦・高知新聞記者)
 具体的にそういう6月以降の承継先探しの枠組みについて、当事者はもちろんルネサスさんの方などで、その中でこういう形で情報交換をしていくとか、県からの情報は提供しますよとか、そういう枠組みについての話し合いというのはできているんでしょうか。

(知事)
 そこの話し合いをしていかなければならないと思います。6月以降についても、引き続きしっかり探し続けていけるようにする。現実問題としてそういう話し合いをさせていただくべく今準備させていただいている状況です。承継先の確保については今も引き続き継続的にアプローチ中ですから、それにしっかりと対応しながらということになります。

(三浦・高知新聞記者)
 両にらみでということですか。

(知事)
 おっしゃるとおりです。両にらみでやることで、例えばちょっと間が空いても、その間が少しでも短くできるとも思いますしね。そこは急ぎたいと思います。

 

南海トラフ地震に関連する情報(臨時)への県の統一指針

(小島・NHK記者)
 南海トラフの最初の臨時情報の関係なんですけれども、一定の統一的指針とおっしゃいましたが、その指針というのはいわゆる避難指示、勧告といったもの、逃げてくださいというものを統一的な指針を出すのか、それとも、どういった場所で避難していただくというその場所の話なのか。統一的指針の中身というのは、どういうものをイメージされているのでしょう。

(知事)
 行動を一斉に起こすということについての県民に対する呼び掛けという内容と、それを実現するための市町村の準備開始ということの両方を含むと思います。行動については色々とあって、例えば家具の固定を徹底してくださいとか、危ない家具を除けてくださいとか、そういうこともあるでしょう。要支援者の皆さんに避難していただくよう訴えさせていただくということもあります。それに合わせて、各自治体の方では避難所の開設などをしないといけなくなると思いますので、そういうことについて各市町村の方で対応を開始することも必要だと思います。
 避難所の開設などについては、一定の財政負担が掛かることでしょうから、それは、県などでも一定応援できるような仕組みというのを、検討したいと思います。まずは、市町村がそれぞれしっかりと、対応すべきことだと思います。その市町村においても円滑にそういう取り組みができるように県としてどういう形で応援ができるのかということを定めることになると思います。国において統一的ガイドラインが出されれば、県として統一して行った事項について上書きをするということになると思います。

(小島・NHK記者)
 避難所の開設ということになりますと、例えばそこで人が必要になってきたりだとかというところで、またその費用も掛かってくると。そこには法的な根拠なり、国の財政の支援が必要になってくると思うんですけど、そこは国に対しても要望していくということでしょうか。

(知事)
 ガイドラインを国が検討していく過程の中で、そういった訴えは、我々もさせていただかなければならないと思います。私も、このワーキンググループの委員をさせていただいていますから、そういう場でガイドラインの必要性とともにその財政支援についても訴えていきたいと思います。国のガイドラインづくりで一番難しいのは、ご案内と思いますけれど、ずっと何も起こらない時に、いつ解除するのかという解除の方が難しいと思います。警戒レベルを段階的に弱めていくという対応もしないといけない場合もあるので、その辺りも含めて検討するということになります。
 特に大規模な経済活動を行っておられる皆さんにとっては極めて深刻な問題であるという話もあります。例えば日々一次産業に従事しておられる方でしばらく農地へ行けなかったら、例えば牛を飼っておられて牛が死んでしまうのではないかなどの話があったりする。そういうことも考えられる中で、解除をどうするかという問題と、日々の生活を成り立たしめる、経済活動を維持せしめるという観点との両方を勘案したときの難しさがあると思うので、国にはそういう点などをもう一段考えてもらう必要がある。その辺りが難しいと思いますので、引き続き議論しないといけないと思います。

(小島・NHK記者)
 避難の指示なり、解除するなどのタイミングというのはいろんな過去の災害でも言われてきてますけども、南海トラフが起きた場合、日本で一番高い津波が来ると予想される高知県の知事としては、その解除の考え方というのはまず何をもって。今おっしゃいましたけども一次産業の方だとか経済活動をしてる方、でも一方で、もし何か起きた場合というのは結果的な責任も問われるという事態になるんですけども、この高知県の知事としてはその解除の考え方というのはどんな考え方で臨んでいけばいいというふうにお考えですか。

(知事)
 危険度が一定低下してきた中において、いざという時は逃げられるという方々についてはできる限り通常活動に復帰していただく。しかしながら、いざという時でもなかなか避難自体が難しい、困難だという方については、あらかじめ逃げ続けておいていただくというのが、基本ではないかと思っています。そういう考えで議論させていただければと私は思っています。
 東海地震が起こった場合どういう報道がなされるでしょうか。昭和地震の時はこうだった、安政の時はどうだった、宝永の時はこうだった。西日本一帯極めて危険度が高まっていますと、各社さん一斉に報道されることになるのではないかと思いますが、むしろ、住民の皆さんの方がものすごく危機感を持たれるのではないかという気がいたします。そういう中で、自治体としてどう対応すべきか。それは県民の皆さんの声も受けてということになると思います。できる限りあらかじめできる準備はしておこう、対処はしておこうということになるのではないかと思いますので、生かせる情報は生かして一人でも多くの命を救うことはぜひやらなければならないと思っています。

(小島・NHK記者)
 避難指示・勧告っていうのは市町村長が命じるものであって、高知県がどういう形でタッチしていくのかというのが(課題になると思いますが)。

(知事)
 その仕組みも考えたいと思います。前回の議論の中でも一番同感しました。私が国に言っていることと同じだと思ったのは、市町村ごとに対応がバラバラになってはいけないので、統一的な対応、指示をする、そういうスキームにすべきだというご意見が出ていました。私も国に対して同じことを言っていますが、一定県が号砲を鳴らして、それによって全市町村が同一の行動をするという形になるようにスキームを組むことが大事だろうと思っています。
 ちなみに、避難指示などは確かに市町村で出されるものですけど、例えば台風災害や土砂災害の時などは県も市町村に連絡して、避難指示などをぜひ出しましょうとアドバイスさせていただいたりしています。指示を出す主体が市町村だとしても、県と一緒に行動することは可能だろうと思います。できれば、事実上県が一定号砲を鳴らして、市町村の皆さんと一緒に統一行動ができるようにする形が組めればいいと思っています。

 

太平洋島嶼国との交流

(五十嵐・高知新聞記者)
 先日、ラグビーのワールドカップでトンガ代表の事前合宿が決まりました。その前に14道県、それも含めてだと思いますが太平洋島嶼国とのネットワーク、県主導でされていますけれども、このネットワークでどのように交流を深めていくのかお聞かせください。

(知事)
 4月に都内に大使館を持つ7カ国の大使の皆さんとお会いさせていただいて、ネットワークの構想についてお話をさせていただいた時、各大使の皆さんは国と国同士で交流を深めることも大変有意義だが、併せて、都道府県の自治体レベルでの交流を進めていくことも非常に有意義だと思うと。各国それぞれ、何千万人や何億人という人口がいる国ではなく、比較的小さい国ですから、むしろ自治体との交流ということの方がスピード感もあって実効ある協力もできるのではないか、そういうお話もいただいたりしたところであり、ある意味こういうネットワークづくりというのは有意義ではないかなと、その時に感触を持ったところでした。
 そこでもお話しさせていただきましたし、前回の設立会議の資料にもありましたけれど、例えば農業や漁業などについての技術交流することができると思いますし、また、防災面において様々な形での技術交流をするということも可能だろうと思います。そういう国際協力をさせていただきたいと思います。併せて、ぜひ青少年のお互いの交流について、例えば防災を学ぶことやスポーツの交流などもできればと良いと思います。
 今回、トンガの合宿チームの皆さんにおいでていただくことなども、こういう交流を具体的に進めていくという意味において非常に有意義なことではないかと思います。国においても青少年の交流とか、そういう事業などが今後展開されていくと思うのですが、その時に、今回のネットワークの自治体が良き受け皿になっていくこともできるだろうと思っています。

 

国と自治体による国際交流の違い

(五十嵐・高知新聞記者)
 国において、外交でのコーディネーターというか、そういうことを色々とやられてると思います。国がやってる外交と自治体の国際交流との取り組みの違いというのが、国際関係において、その島嶼国との関係においてどうメリットになるのか。どうお考えでしょうか。

(知事)
 国の外交と違い、自治体間の交流というのは、人的交流に基づいて、本当に人と人同士が親しくなっていくという効果がやはり大きいと思います。そういう形で多層的に国と国の関係は築いていくということが非常に大事であると思っているところです。ですから、青少年をはじめ私たち大人も含めて、様々な関係の職種の皆さん同士で技術交流などをして、それぞれの国としっかり仲良くなっていくことができれば良いと思います。もし、有償の資金協力をしなければならないというシーンになれば、そこはJICAのスキームを使うことになるのだろうと。まずはそれが一番だと思います。

(五十嵐・高知新聞記者)
 やっぱり実費的な支援というか、そういうのはやはり国が(行うということでしょうか)。

(知事)
 基本的に、例えば建物を建てるなどということは、やはり国の役割だと思います。実際、人的交流をする時に一定の応援させていただくようなことはあり得るかもしれません。その行き来についての費用など応援させていただくようなことはあるかもしれませんが、基本的には人的交流・技術交流、そういうことが多くなるのではないでしょうか。逆に言うと、JICAのスキームの組成に当たって自治体との間で持ち上がった案件で、それが端緒となって大使館も絡んでそういう資金協力がスタートするなどということもあり得ると思います。

 

県職員によるセクハラ問題

(遠藤・高知さんさんテレビ記者)
 今月18日付で減給処分になった県の管理職員、セクハラの関連で処分を受けておりますけれども、その件に関して知事はどう捉えていらっしゃるのか。そして、詳しい所属や年齢などを明らかにされていないことについてもコメントをいただけたらと思います。

(知事)
 今回、こういう形で職員を懲戒処分することとなりましたことについて、本当に県民の皆様に申し訳ないと思っているところです。本当に申し訳ないことであります。県庁職員、しかも幹部職員として率先垂範すべき立場にありながら、こういうセクハラ事案を起こしたということについては、しっかりと懲戒処分をしていかなければならないということで、今回処分をしたということです。
 誰なのかということや部署がどこかということについては、本来の基準上では公表するということになるのですが、その基準の中でも、被害者の方もしくは関係者のプライバシー、その他の権利・利益を保護するために必要な場合は例外的に公表しないということになっています。
 今回の件について、被害を受けた女性職員が、こうした事案が自分たちの職場で起こったということを外部に知られるということを非常に懸念しておられるということであり、その被害者の感情に配慮して、今回は大変恐縮ですけれども、非公開とさせていただいたということです。逆に、被害に遭われた方のその感情も大事にしなければ、こういうふうに処分をすると全部公表されて自らのことも明らかになってしまう。そのことで一定萎縮する。結果として訴えることができなくなる、そういうことになってしまってはいけないと思いますから、被害者の感情にも配慮することが大事であるという観点からも今回は非公表にさせていただいたということです。

(遠藤・高知さんさんテレビ記者)
 部署は難しいとしても、例えば年齢であったりだとか、課長なのか部長なのかといったような職位などについては特定にはつながらないかという意見もあるんですけれども、その意見に関してはどうでしょう。

(知事)
 特定につながらないような役職もありますけれど、公表すると特定されてしまうような役職もあり得るので、恐縮ですが、こういう場合は公表しないということにさせていただきたいと思います。

 

安芸市への看護学校設置の不承認

(大野・高知新聞記者)
 県東部の看護師の不足の解消に向けて、安芸市への看護専門学校の設立の計画というのが地域であって、法人の方が先日これを断念ということを表明されました。行政の対応としては、県側がこの設置を承認するということは認めないというふうな通知があってということですけれども、この理由とか背景、それから今後の県としての対応ですね、看護師不足というのは、特に県東部というのは医療環境というのは厳しい状況にあると思うんですけども、併せてお答えください。

(知事)
 学校を設立したけれども学生が十分集まらず、経営的に破綻したということにならないようにすることは大事だろうということです。学生確保の見通しがしっかりしているか、さらには、学生を確保するための手段が市町村合意のもとでしっかりされているか。そして、仮に経営的に厳しいときに、市町村含め皆さんでバックアップする体制がしっかりできているか。そういう点が争点になった訳ですが、なかなか困難な事案ということもあって、多くの方のご尽力によっても、残念ながら明確なスキームが完全には組み上がらなかったということで、私どもとして、今回のスキームについては「そうしましょう」と言えなかったということだと思っています。
 ただ、こういう議論が出てきた背景というのは、我々もしっかり理解をしなければならないと思っています。看護師さんの問題だけではなく、特に室戸の場合については今一般病床が確保できてないという状況にもなってきていまして、この問題にも対処しなければならない訳です。ですから、今回こういう形でご提起いただいたことを私どもとして重く受け止めて、関係の皆さんによる協議会を立ち上げさせていただいて、第一に東部の医療の充実について、その諸課題の解決についてしっかり議論をしていくこと、これは室戸の問題も含みますし、またさらには、看護師さんをはじめコ・メディカルの皆さん方の確保についてということも当然議題になると思いますけれども、そういう形でしっかり議論させていただきたいと思います。
 そういう中で、安芸なり東部地域において、何らかの形で若い人が集まって色々と勉強する場のようなものをつくる可能性があるかどうかということも視野には入れながら議論をするということになると思います。ただ、残念ながら今の見通しのままですと、その経営上という観点からも必ずしも、さらにはそもそも学生確保という観点からしても、我々として自信を持って「これなら大丈夫でしょうね」とは言えなかったことから、今回のような形になっているということでございます。

(大野・高知新聞記者)
 地元の東部の各行政ですね、主に、市町村のその協力実施体制ということで言うと、万全というふうには思われなかったということですか。

(知事)
 例えば、学生を確保するために地域外から来られる学生さんに対して奨学金を出すという制度を設けようという議論がありましたが、最終的には全市町村がそれでいきましょうという形にはなってないということもありまして、看護師さんや学生が確保できるかどうかについては不安視せざるを得ないという状況になっているということだと思います。
 こういう議論が出てきた背景は我々もよく理解できていますが、今回こういう手段でということについては、恐縮ですが我々としてもやりましょうということにはならない訳であります。しかしながら、その背景にある東部の医療事情の厳しさということを踏まえて、その他の手段を考えようということをこの協議会でやらせていただきたいと思います。

(大野・高知新聞記者)
 これは県としてはもうすぐ始まるようなものですか。今年度にも。

(知事)
 できる限り早く立ち上げようという話を、今部長とも話しているところです。

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