公開日 2018年11月16日
7月豪雨及び台風12号災害への対応について
健康立国宣言について(1)
世界まんがセンバツについて
防災省創設の必要性と実現の可能性について及び県で実施のJアラートや避難訓練の実施計画の見直しについて
豪雨災害の受け止め及び9月補正予算での対応について
公立小中学校への冷房の設置について
7月豪雨災害への復旧に伴う財源について
健康立国宣言について(2)
防災省の設立について
南海トラフ地震に関する臨時情報に基づく住民一斉避難について
南海トラフ地震に関する臨時情報に基づく警戒態勢の終了時期について
豪雨災害後の観光客誘客対策について
よさこい祭りへの7月豪雨の影響について
豪雨災害対策への今後の改善点について
豪雨災害時の高知市幹部職員の行動について
災害時の県の体制について
高知商業の活躍について
配布資料:平成30年7月豪雨への対応[PDF:354KB]
健康立国宣言及び同アクションプランについて[PDF:268KB]
7月豪雨及び台風12号災害への対応について
(知事)
それではまず1点目、平成30年7月豪雨への対応です。
(平成30年7月豪雨への対応に伴う資料を示しながら)お手元の資料にも記載してあります気象状況について、6月28日から7月8日まで雨が降り続き、この間の総降水量、全国上位10地点のうち、本県が6地点を占めるという状況であり、大変すさまじい豪雨が高知にも降り注ぎました。
この豪雨に伴う被害状況は、孤立集落について、一時は1,748人、避難者も685人までに至る状況でありました。また、断水についても2,814戸であり、何と言いましても3名の方がお亡くなりになりました。豪雨被害への対応については、これまでの間、全力で応急対策を行い、併せて、台風12号に対する対策というものも行ってきました。結果として、現時点において、孤立集落は宿毛市において、1地区5人。そして避難者は1市4人、断水は0というところまで回復してまいりました。引き続き、孤立集落の解消、そして避難者の方が無事にお帰りになれるように、全力を尽くしていきたいと考えております。
今後復旧・復興対策として、孤立集落への対策、避難者支援の取り組みとして、県職員住宅2戸の提供など行っておりますけれども、こういう取り組みを進めるとともに、早期の農林漁業の再開に向けた支援などの取り組みも進めていかなければなりません。また、復旧活動として、被災した道路145ヵ所について、早期復旧のための取り組みを行っており、特にダメージの大きかった安芸川右岸については、浸食箇所の復旧に全力を挙げています。さらに、林道・山地災害が281ヵ所、漁港4港などの早期復旧も行っています。復旧活動については、応急対策も含めて延べ325名の県職員を現地に派遣して対応に当たっております。
併せて、次の台風への備えも行っていかなくてはなりません。現在、台風13号が関東に接近している状況にありますが、台風14号も喫緊に発生するかもしれないという状況であり、これら台風に対する河川などの治水対策、道路・交通網などの対策、崖崩れなどの土砂災害への対策など、被害を未然に防止する対応に備えていかなければなりません。
前回の台風12号への備えでも行いましたけれども、崖崩れなどの特に危険だと思われる箇所について事前に把握すれば、その情報を市町村の皆さんに、しっかりとあらかじめお伝えしていくという活動なども、より徹底していかなければならないだろうと考えています。さらには、県民の皆さんに早く、高く、遠くに避難することを、しっかりと啓発していかなければならないと思っています。
加えて、今まで緊急を要する事業については、全て既存の予算により対応を行っていましたが、8月3日に国において、豪雨生活・生業再建支援パッケージが出されました。これを積極的に活用するとともに、県単独事業も加えることにより、この復旧・復興期におけるより総合的な対策を実施する予定であります。今後の9月議会に向けて、この準備を重ねていきたいと考えています。
内容としましては、大きく三つになると思います。一つは公共施設等の災害復旧です。2つ目に経済被害対策であり、農業分野における生産施設の復旧や観光分野などにおける観光客の減少による経済的ダメージも大きいことから、誘客に向けた観光情報の発信の強化などの取り組みを行います。さらに三つ目の柱としては、被災者生活の再建支援のための一連の取り組みを行っていくということです。
現在、財政課と各課が協議をしておりますが、9月には国の豪雨生活・生業再建支援パッケージもしっかりと活用していきながら、総合的に対応を講じてまいりたいと考えています。
健康立国宣言について(1)
2点目であります。7月の全国知事会において決定した健康立国宣言についてです。4月に全国知事会の社会保障常任委員長に就任しておりまして、全国知事会の上田会長のもとで、この健康立国宣言及び同アクションプランというものを取りまとめました。社会保障の持続可能性を高めていくために、県民生活、国民生活のQOLの向上を図りながら、この社会保障の持続活動性を深めていくための取り組みを全国知事会として、総合的に講じていくこととなったところです。
私自身常任委員長であり、高知県が委員長県であることから、積極的に取り組みを進めていきたいと考えていますし、併せて、全国の皆さんとともに、全国における活動などの取りまとめもさせていただきたいと考えています。
(健康立国宣言及び同アクションプランに関する資料を示しながら)簡単にご説明しますと、一つは健康立国宣言です。お手元に配布しております1枚紙でありますが、その中に要旨としてこういうことを記載してあります。「今後、我が国の生産年齢人口割合というのは、世界の中でも最低水準になっていきます。併せて、医療介護給付費というのは、こういう形で現在の金額から30兆円ぐらい増加をしていくという状況にあり、今後、社会保障制度の持続可能性そのものが大きな課題となっていく」ということであります。
持続可能な社会保障制度の構築のためには、大きく次の二つが必要であると考えています。一つは、生活の質の向上を図りながら社会保障負担を適正化していく取り組み。そしてもう一つは、支える力を強くする取り組みというものも併せて必要であるということです。具体的に言えば、健康寿命を延伸する取り組みや地域包括ケアシステムの構築、働きながら子育てしやすい環境づくりなどの働き方改革、若者の就労支援などといった取り組みが大事です。
既に、各県において、それぞれ地域の実情を踏まえ、工夫を凝らした取り組みを実践してます。例えば、健康寿命の延伸で言えば、本県は健康パスポート事業などの取り組みを展開をしていますし、埼玉県では、医師会としっかりと連携をして、さまざまな取り組みを行っています。
こういった先進的優良事例をお互いに学び合い、全国で幅広く展開をしていこう。こういうことを健康立国宣言という形で、7月27日に全国知事会で、宣言をさせていただきました。
今後の具体的な取り組みについては、各都道府県の先進優良事例について、この秋を目途に取りまとめ、これを全国で共有するわけです。類似の取り組みごとにカテゴリー化をして、そのカテゴリー内でリーダーを定めて相互にアドバイスを行い、その取り組みを深化させていって、可能な団体からそれぞれ改善した取り組みを開始する。こういう取り組みをPDCAサイクルを回しながら、今後継続的に実施していきたいと考えています。
展開していくにあたって、いろいろと課題が出てくることが考えられます。こうした課題についても取りまとめを行い、国に対して規制緩和を求めたり、さらには47都道府県のほとんどがこれをやろうということになった場合などは、全国統一的な取り組みになります。そういった取り組みについては、国に対して恒久的な制度化を求めていく。そういう取り組みを行いたいと考えており、新たに設置する会議体からのアドバイスも頂きながら、この秋を目途に中間の取りまとめを行い、最終的な取りまとめは、来年春に向けて行っていくことを考えています。
医療介護につきましては、近年大きな改革が行われております。例えば、国保の都道府県化やさらには、それぞれの県の医療介護に関連する計画も見直しが行われてきました。そういう中で、地域包括ケアシステムの構築や病院解決型の医療から地域完結型医療への転換なども謳われてきたところです。一連の新しい制度の元、都道府県が国保の運営主体になることに関して言えば、この平成30年度がその実行元年ということになります。こうしたことを踏まえて、持続可能な社会保障制度の構築について、都道府県としての責任をしっかり果たしていくことを宣言し、そして実行する。このような内容を健康立国宣言及び同アクションプランによって定めたということです。
世界まんがセンバツについて
3点目であります。こちらは高知県ネタでありますけれども、「世界まんがセンバツ」を実施をすることとしました。一昨日、まんが甲子園の最終日にもオープンにさせていただいたところですが、多くの方々の参加を募りたいと考えていますので、改めてこの場でもう1回ご説明をさせていただきます。
この「世界まんがセンバツ」でありますけれども、全世界からまんが作品をデジタル方式で受け付けをさせていただきます。8月5日から募集を開始し、11月30日23時59分まで受け付けます。そして予選審査を行い、来年の漫画家大会議の場において、最終的な決勝審査を行うというものです。ニコニコ漫画さんとコミックウォーカーさんのご協力を得て、新たにデジタル形式で世界各地からまんがを受け付け、それらを審査して、最終的に決勝審査まで行うというものです。
ひと言で言えば、世界各国にまんが家を志す若い人たちがたくさんいることと思います。そういう方たちを応援したいと思いますし、こういう企画を通じて、この高知県、さらには日本のまんが文化というものを広めていくことができればいいと考えているところです。
この「世界まんがセンバツ」には部門が二つありまして、高校生のみが応募することができる部門についてはテーマが「変身」、そして高校生を含み誰でも参加できるフリー部門については「発見」をテーマとして、募集します。ぜひ多くの皆さんにご参加をいただきたいと考えています。まんが王国・土佐として、これまでもさまざまな新しい企画を展開してきましたけれども、来年に向けて新たな企画として展開をさせていただきたいと考えています。
防災省創設の必要性と実現の可能性について及び県で実施のJアラートや避難訓練の実施計画の見直しについて
(野村・さんさんテレビ記者)
豪雨災害や大地震も含めた自然災害への備えを強化するために、全国知事会議で、政府に防災省の創設を求める緊急提言が採択されました。創設の必要性と実現の可能性についてお伺いします。
(知事)
防災省創設の必要性については、昨年全国知事会として岩手宣言を行いました。その中で、防災庁の創設を宣言し、そして、今年は北海道における全国知事会において、防災省の創設について提言をさせていただきました。趣旨としては次のとおりです。
防災へのニーズが高まってきている。あらかじめの備えから復旧・復興期に至るまで、一連の取り組みについて、異常気象が常態化してくる、さらには南海トラフ地震に備えなければならないなど、災害の規模も大きくなってきている中で、防災対応能力を強化していくべきではないのか。その際、各省庁が連携・統合する形で防災対応力を強化していくべきではないのか。そういう趣旨から、この防災省の創設を宣言させていただいたものです。
省の創設ということそのものに力点を置いたというよりも、むしろ、巨大化、複雑化していく災害対応をしっかりこなしていくためにも、政府における機能強化を求めたという点に重点があったと私は思っています。
私もさまざまな防災関係の仕事をさせていただきますけれども、国土交通省はもとより、防衛省や文部科学省、厚生労働省などが関係する、あらゆる各省庁にまたがった業務というものが行われていくことになります。これをいかに政府の中において連携・統合していくのかということ。今後も不断の課題になってくるものだと思います。今、できていないという意味ではありませんが、今後、南海トラフ地震などでもいろいろと対応を研究していくと、より対応策が複雑化していくことは分析ができているわけですし、豪雨災害などでも、昔なら異常気象といわれたものが、今や常態化しているわけです。災害や対応がどんどん巨大化、複雑化、困難化していく、そういう中でどのように対応力を強化していくのかということが求められていると思います。政府の連携・統合能力、是非、これを高めてもらいたいという趣旨の提言だと思っています。
(野村・さんさんテレビ記者)
北朝鮮のミサイル発射計画を受けて高知駐屯地に配備されていたPAC3が、緊張状態が緩和され、発射の可能性が低くなったとして先日撤収されました。県が実施しているJアラートや避難訓練の実施計画に見直しはあるのでしょうか。
(知事)
ミサイル避難訓練については、現段階において、緊迫状況が緩和されたことを踏まえ、県としてミサイル避難訓練の具体的な実施計画はなくなっているということです。しかしながら、今後再び情勢が悪化をすれば、市町村と協力させていただいて、住民の避難訓練の実施、これをまた計画していかなければならないと考えています。
他方、このJアラートについては、弾道ミサイル情報だけではなくて、緊急地震速報や大津波警報など、さまざまな緊急情報も伝達するシステムです。よって、このJアラートの情報伝達試験というのは、今後とも必要なことだと考えています。現在も定期的に、月1回庁内で試験及び点検を行っているところでありますが、これは引き続き継続をしていくべきであると考えています。
豪雨災害の受け止め及び9月補正予算での対応について
(石井・NHK記者)
豪雨の関係で、大きな被害を受けてから1ヵ月になりますけれども、改めて知事の受け止めを伺いたいという点と、9月補正で復旧に向けた県としての予算を組むことになると思いますが、現時点での規模はどの程度になりそうか、お話いただける範囲でお聞かせください。
(知事)
まず、規模について先にお話させていただきたいと思います。9月議会における対応としては、かなり大規模な対応を本格的にしていかなければならないというふうに考えていますが、規模の程度については、まだ分かりません。これから精査しなければならない段階だと思います。
次に、改めて今回の豪雨災害に対する受け止めということでありますけれども、残念ながらお亡くなりになられた方もいます。本当にお悔やみを申し上げたいと思います。また、避難に遭われてご苦労しておられる方も未だたくさんいるわけであり、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
今後も、まず復旧・復興に向けて全力を挙げるとともに、次に来る台風に対する備え、これを行わなければならない。この二つを並行して、今後も対策を講じていきます。今回の災害において、私自身、深く改めて感じたのは、大きく二つあると思っています。一つは、防災・減災のための備えということについて、しっかりと事前に対策を講じておくということが非常に重要だと改めて感じました。
安芸川でも堤防が破堤しそうになりました。これが破堤してしまったらどういうことになるか、常に最悪の事態を考えて対応をずっと行ってきたわけですけど、こういう災害時にこそ、改めて堤防のありがたみというものは身に染みます。破堤せずに、何とかもってくれた。また、いざという時のために対応手順など、皆がよく考えてくれて迅速な対応ができた。ハード、ソフト両面において、あらかじめしっかり備えておくことが大事だと思います。
公共事業、一時は非常に悪者論がはびこった時期がありましたけれど、今回の様な災害に実際に直面していく中において、必要な公共事業を着実に進めて防災・減災能力をしっかり高めることが非常に大事だと痛感をしたところです。これはしっかり進めていかなければなりません。
2点目として、やはり危機対応の問題として、最悪に備えるということを前提として、さまざまな対策を講じていくということ。県と市町村や応急救助を行う関係機関の皆さんが連携して実施していくということが、非常に大事だと改めて感じました。これは、今連携ができていないという意味ではなくて、実際にそういう形でさまざまに対応をしてきたことが功を奏してきた部分があるだろうと思っています。さっき申し上げた安芸川の対応もそうだったと思います。さらに併せて言えば、そういう形で対応していくことで、今後に備えていかなければならないと思われる事項が、たくさん判明してくるわけです。
既に、崖が相当崩れかけている箇所があったりする。次の台風の襲来を考えた時、やはり最悪に備えるという意識を徹底して、防災・減災のために、備えていかなければならない点は多々あるわけです。いろいろな反省点も踏まえ、不断の改善をしていかなければならないと感じています。改めて最悪に備えるという危機管理の対応をみんなで共有して、災害に対応していくことが大事だと実感をいたしました。
公立小中学校への冷房の設置について
(石井・NHK記者)
公立学校の冷房の設置状況について、昨年度の文部科学省の調査を見ますと、高知県では、高校と特別支援学校の普通教室では100%になっていると思いますが、一方、小中学校では19%とかなり低くなっている印象を受けます。主体としては市町村になると思いますが、今年は特に酷暑と言われている中、県として機器の設置に対する補助制度の周知等々、どういった方針でこれを進めていくべきだとお考えですか。
(知事)
確かに今後考えていかなければならないと思います。県立学校では、先ほどもお話いただきましたけれども、普通教室では設置率100%になっていますけど、市町村では19%強と、全国ワースト14位という状況です。一部記事では、ワースト6位になっていますけど、これ平均最高気温が29℃以上の都道府県で見ると、ワースト6位ですけど、全国でいけばワースト14位ということなんです。いずれにしても、設置率が高いわけではありません。設置率が低いことには明確な理由があります。県内の公立小中学校について言えば、端的に言って耐震化を最優先してきたものです。南海トラフ地震の脅威があります。命に直結することですから、こちらを最優先してきたということです。耐震化については、引き続き急いでいかなければなりませんが、この耐震化も進んでくる中において、今後この冷暖房、特に冷房について、その設置率を上げていくことは課題だろうと思います。
国の方でも一つの大きな課題として取り組むこととなっていますから、制度をつくっていただきたいと思いますし、それを県として十分に生かせるような体制というのを考えていかなければならないと思います。
7月豪雨災害への復旧に伴う財源について
(大野・高知新聞記者)
豪雨への対応でおっしゃった豪雨生活・生業再建パッケージの話ですけれども、災害対応ですから、今までは既存の予算で対応してきていた。しかし、国のメニューが示されたということで、それに県単事業を合わせて、新しい支援ができるというような捉え方でいいんでしょうか。
(知事)
そうです。
(大野・高知新聞記者)
財源のことかも知れませんが、今までお金が急に必要になり対応してきたものとの違いを、もう少しお聞かせ願います。
(知事)
端的に言うと、財源です。国の制度で対応できた。しかしながら、ほぼ同種の被害を受けているのに、国の制度では十分対応できなかった。そういうシーンというものが出てくる中において、県単独で対応するものも出てくるだろうと思います。膨大な数がありますから、緊急度、優先度というものをしっかり見極めながら対応していくことになると思います。
ただ、端的にいうと9月議会に向けて、総合パッケージを準備するべく検討を本格化することを申し上げたいということです。
健康立国宣言について(2)
(大野・高知新聞記者)
健康立国の関係で、持続可能な社会保障制度の構築のために2点柱があり、1点目のサービスを受ける方々の生活の質をキープしながらも、費用負担というのを適正化していくということは理解できますが、2点目の支える力を強くするというものは何を支える力を意味するのかお聞きします。
(知事)
社会保障で、もっと言いますと、社会保障制度というよりも、社会保障というのは結局医療費を受領する方、介護サービスを受けられる方々、この方々が受給されるわけです。それに対してその財源や現物給付を確保していく必要があり、そういうことを支える人々ということです。ですから、制度と言ってもいいかもしれませんが、社会保障のさまざまな現物もしくは現金、サービス、これを支える人たちになると思います。
(大野・高知新聞記者)
人たちですよね。要するに、肩車理論で言う下で支えている人たちが社会保障を支える人達ということですよね。
(知事)
力という言葉にこだわっているでしょう。何故、側という言葉ではなくて、力にしているかと言うと、支えられる方でも支えることがあるし、支える立場にいる人でも支えられることもありますので、どちらかに固定化をしないで考えているということです。例えば、若い人が高齢者の方を支えるといっても、高齢者の力によって若い人の子育てが支えられることもあるわけで、お互いが支え合うということで、トータルとして相互の助け合いの仕組みを強化できるように取り組もうということです。
前者の方がどちらかと言うと働き方改革、もっと言うと少子化対策とかをイメージしており、後者の方は若者の就労支援ということで若年失業率の改善や非正規から正規雇用など、そういう流れなども意識して考えているということです。
防災省の設立について
(大野・高知新聞記者)
防災省のことで、省庁再々編ということも議論されてきて、知事の趣旨で言うと、大臣がいて強力な権限を持って、今まで各省分かれていたものを横断的に統括するような機能が必要ではないか。ただ、組織としての省そのものが至上の目標ではないという趣旨でしょうか。
(知事)
これは全国知事会で提言しています。防災省の創設という提言そのものに私も賛成していますけど、絶対にその省という形態をとらなければならないとまでも思いません。端的に言って、連携統合機能というものをさらに強化していく方向での改善を進めていただきたい。その中において、具体的にどういう形になるのか、庁かもしれませんし、省かもしれませんし、もっと言うと統合本部形式の強化ということになるかもしれません。そこは今後の議論によるのではないでしょうか。
(大野・高知新聞記者)
官房長官はあんまり乗り気じゃないよというようなステイトメントが出ていますけれども、どのように受け止めていますか。
(知事)
そうでしょうね。自民党の提言も出ていますし、いろいろな意見はこれからも出てくるでしょう。省庁再編というのはある意味かなり詰めた議論をしないといけないと思います。そういう意味においては、形態については、少なくとも私としてその固定的な意見を持っているというわけではありません。その機能の強化というところに重点があるものだと思っています。
(大野・高知新聞記者)
それは今までが出来ていないということでもなくて、対策を深めていけばいくほど機能強化が必要になってくるということですか。
(知事)
今後、災害対応の困難度はますます増していくだろうと予想されます。それを考えれば、強化していかなければならないと思います。
(大野・高知新聞記者)
国においてもということですね。
(知事)
県においてもそうだと思います。
南海トラフ地震に関する臨時情報に基づく住民一斉避難について
(大山・高知新聞記者)
南海トラフ地震の関係で、臨時情報について、地震発生の可能性が高まったと判断したときに、政府の呼びかけで住民が一斉に避難する仕組みを導入するという方針が示されました。これまで知事も国がスイッチを押してほしいというふうにずっと述べてこられていましたが、この方針についての評価を教えてください。
(知事)
国がトリガーを引いて、それに伴い全都道府県、全市町村で一斉に対応を開始するというこの仕組みは、ぜひとも必要な仕組みだと考えており、こういう方向が定まってきたことについて、私としては良い方向だと考えています。ただし、問題はこれからです。トリガーのあり方にも強弱がありますし、そのトリガーが引かれたときにどういう形で対応するのか、その中身についても詰めなければならない諸点は多いだろうと思っています。こちらについてさらに議論が深まっていくと思いますから、私も議論に貢献したいと思います。
端的に言って、特にケース1の半割れが起こった場合についての対応というのは、最悪に備えるという前提のもと、安全側に立った立場で対応をより徹底していくべきではないかと思っています。この点については、いろいろな先生方とより議論を深めさせていただきたいと思います。
南海トラフ地震に関する臨時情報に基づく警戒態勢の終了時期について
(大山・高知新聞記者)
警戒態勢の継続や終了時期については、地域や企業が個々の状況に応じて定めるという方針だと思います。地域の特性がありますので、地域での対応が良いと感じますが、改めて、今後、県としてどういう方針で取り組みを考えているのかお聞かせください。
(知事)
国としてミニマムレベルという最低限達成すべき事項について、一定期間の経過ごとに示していくという方式になっていくのではないかと思います。例えば3日なら3日間はこういう警戒態勢、それを過ぎると一つレベルを落とした警戒態勢、さらに経過するとまた一つレベルを落とした警戒態勢など、期間による段階的な対応を実施することを、国の指針として示していくような方向になるのではないかと思います。その上で、国が示したものに対し、地方の自治体においてさらにプラスアルファ、プラスベータで取り組みを行うということは十分あり得ると思います。
(大山・高知新聞記者)
これまで知事も検討を進めてきていますが、議論の方向性については全体が行くべき方向に向かっているという受け止めをされていますか。
(知事)
そういうふうに思います。大きく言って二つあります。一点目、まず大規模地震対策特別措置法、つまり大震法について見直しを行うこととなりました。大震法の大前提となっていた予知というものが、科学的に見てやはり困難であるということになり、ここから先の選択肢が二つできたわけです。予知が困難になったので、大震法のあらかじめ何らかの事前情報に基づいて備えていこうとするスキームを廃止するか、それとも別の情報、例えば半割れだとかの他の事前情報を生かして対応を始めるというスキームを組むか、この二つの選択肢があったわけです。そして、やはり生かせる情報は生かしていこうという方向になってきた。このことは、非常に評価できる点だと思っています。臨時情報などの一定の確率を伴った生かせる情報を生かすという仕組みが、国や都道府県・市町村とともに危機管理に伴う一斉の対応を図っていこうというスキームになりつつある。この方向性は、私は評価できると思っています。
豪雨災害後の観光客誘客対策について
(高田・日本経済新聞記者)
観光分野で緊急誘客対策とありますけれども、8月の夏休み時期が誘客期間として大事だと思いますが、利用者もキャンセルが多い中で、この8月中に9月議会を待たずに誘客対策を検討されていることだと思いますが、話せる範囲でお聞かせください。
(知事)
8月6日から近県において様々な広報を行い、高知県の観光キャンペーンをスタートしています。実は7月の末から行う予定でしたが、一旦止めて8月6日頃から再開をして、この夏休み期間中における誘客対策そのものは、もう少しレベルを上げて取り組みを行っているところです。まずは、このよさこい祭りを無事に乗り切りたいと思っています。併せて、幕末維新博推進協議会の場でもお話をさせていただきましたが、幕末維新博に関しては、明治150年の時期が近づいてくるわけですから、この秋口から最終にかけて、最終版にふさわしいような、少し大きなイベントやキャンペーンを企画して実施していきたいと考えています。
8月の時期については、よさこい祭りを開催していますから、「幕末維新博」そのものについての露出を上げる対策を行う。高知県ではやっていませんが、近県ではCMもやっていますので、そういったもので対応していく取り組みを行うとともに、10月以降ということになりますけれども、この時期において一定新しいキャンペーンを実施していきたいと思っています。高知城などをうまく生かして強力に取り組んでいきたいと思っています。さらに、追加的なPR経費などの補正を行っていかなければならないと思います。既定の予算で現在の8月ぐらいから9月ぐらいにかけてのPR経費を確保して露出を上げているわけです。すると後半経費もなくなるので、その部分を補正していくというようなことになるのではないかと思います。今までも、そのように対応してきました。
(高田・日本経済新聞記者)
今回、夜型観光とかもPRされていますけど、そういうものの規模の拡大や内容を充実させることも今後されていくつもりですか。
(知事)
かもしれません。いずれにせよ、動向を見極めていくことが必要になると思います。キャンセルもかなり出ましたけど、6月末から7月初旬は、もともとあまりお客さんが多くない時期です。この8月のこれからの時期がお客さんが多い最盛期で、むしろ9月などが非常に多いという時期になってきます。この時期において、しっかりと観光対応できるかどうかが、一年を通して結果を見た時に非常に重要であると思います。既に今週頭くらいからは出力を上げていますから、これから通年並み以上にしっかり対応できるように、この夏の成果をまず生かし、さらに秋半ば以降のより大きなイベントにつなげていくという方向、この形が理想であると思っています。
よさこい祭りへの7月豪雨の影響について
(吉田・読売新聞記者)
よさこいを無事に乗り切りたいという気持ちがあると思いますが、豪雨の関係で観光面にも打撃はあったようですが、知事としては、このよさこい祭りで豪雨災害の風評被害や、その他の観光に受けたダメージを盛り返したいというお気持ちがあるのでしょうか。
(知事)
ぜひメディアの皆さんには、よさこい祭りを大いに取り上げていただいて全国発信をしていただきたいと思います。よさこい祭りは、全国に広がってきています。高知県のよさこいではありますが、もう全国のよさこいだともいうふうに思っていますから、ぜひこのよさこいを通じて、多くの皆さんに魅力的で、かつ元気な高知県というものを見ていただきたいと思います。よさこい祭りをきっかけとして、さらには、よさこい祭り以降も高知に来ていただけるようにお願いできればと思います。
豪雨災害対策への今後の改善点について
(吉田・読売新聞記者)
災害対応がますます困難になっていくというお話もありましたけれども、今回の7月豪雨で見えた反省点というのはどのようなものだと知事はお考えですか。
(知事)
反省も含め、改善が必要だと思われる点として言わせていただきます。一つは、これはメディアの皆さんにも関係することだと思いますが、避難勧告イコール避難所に逃げるという意識は非常に危険です。あらかじめ逃げることができる場合はそれでも構いませんが、避難所に行けなくても家の中で緊急的な避難対応をとれることが十分にあり、それで相当その安全度は高まる。例えば1階ではなくて2階に移動することや、崖側から離れた部屋に移動するなど、それだけでも大分違ってくる。やはり今回つくづく思いましたのは、こういった避難行動について、県民の皆さまお一人お一人に対して、より徹底して啓発をしていく必要があるということを改めて感じました。
避難勧告を出す時間が午前3時になることも十分あり得る。降り初めから2時間経っていましたということになるかもしれませんが、普通の雨だったら2時間ぐらいでは一挙に避難勧告レベルにはならない。だけど、今や100ミリなんていう雨が降るような時期になるときに、2時間でゼロだったものが、一挙に避難指示まで出さないといけないようなことも想定しなければならないことがあるかも知れない。確かにそのときには2時間経っているでしょう。しかしながら、そのときであっても、もう外に出られないからとためらわず、避難勧告、避難指示というのをすぐさま出す。それに対して県民の皆さまも、今外へ逃げられないけれども避難指示が出たということはできる限り山から離れた部屋にみんなで移動するような対応を取るなど、避難勧告や避難指示により、自発的に行動を取ることが必要になってくるだろうと思います。
急激に雨が降り、急激に状況が悪化していく中においてどう対応していくのか、その対応のあり方について、市町村、県さらには県民の皆さん、それぞれにおいてより一層意識を高められるような啓発活動なども非常に重要だろうと思います。我々としても、その避難勧告の出し方の対応なども非常に重要な点となってくるのではないかと思います。
とにかく、これ「言うは易く行うは難し」で、急激に100ミリ200ミリという雨が降ってきたときに、これに対してどう対応するか。避難勧告など2時間前に出していれば良かったじゃないですかと言われても、メディアの皆さんだって、この1時間で急激に100ミリ降る予測なんかできなかったでしょう。できるんだったら、そういう予測をテレビで出してほしい。しかし、予測できない、状況が急性期化してしまうことが今の災害の形で、自然の特性を謙虚な気持ちで受け止めて、どのように対応するのか考える必要がある。この対応のあり方の高度化ということは、啓発も含めてさらに改善をしていかなければならないと思いました。
そういった経緯からも、8月4日に少し大きな新聞広告も出させていただきましたし、ビラも作成していろいろと広報させていただいたところです。また、今後心配しているのは台風14号ができそうなので、また日本列島、特に西日本にも近づいてきそうな状況もありますので、常に緊張感を持って対応をしていきたいと思っています。
次に、これは反省点ということではないのですが、今回の台風でつくづく思うことですけど、台風が終わった後の次の台風への備えについて、やらなければならないことが多いと思います。倒木対策をはじめ、河川の流域に木が詰まっている箇所の流木の撤去、溝や用水路が埋まっている場合の対応など、次の災害への防災、減災のためのこま目な対応が必要だと改めて思いました。去年も台風があった、一昨年も台風があった。幾つかの箇所において、去年の台風のときに倒れていた木が流れてきたのではないかなど、そういう話もあったりする。全ての地域において、そういうものを撤去し尽くすことは確かに不可能だろうと思います。しかし、できる限り台風ごとにその次に向けてダメージを残さない、残すものを少しでも少なくしていくための努力というのを不断に講じ続けていくことが大事であると思っています。今後の対策として、啓発を含めた対応への高度化と次の災害に向けた防災、減災の取り組み、こういった点が非常にポイントとなると思っています。
豪雨災害時の高知市幹部職員の行動について
(石﨑・テレビ高知記者)
豪雨対応に関して、報道でもありましたように、高知市の教育長と総務部長ら7人が災害本部が立ち上がっている中で北海道に旅行に行っていたということがありましたけれども、そのことについて知事はどのように受け止めていますか。
(知事)
正直なところ最初にお伺いしたときは大変驚きました。ただ、その後教育長は辞職をされ、市長さんも率直にお詫びをされているという状況です。高知市としてこの事態を重く受け止めて、真摯に、率直にかつスピーディに対応されておられるわけで、私としてその高知市の今後のご対応についてご信頼申し上げている、そういう状況です。
災害時の県の体制について
(大山・高知新聞記者)
県では高知市と同様のことはこれまでもないと思いますが、今回の高知市の事例を受け、同様のことが発生しないよう改めて対応策などをお考えであれば教えてください。
(知事)
県として何か新しい対応を取ることを考えているわけではありません。原則として常にあるのは、必ずその災害対策にあたる職員については良きローテーションを組むようにということは必ず心がけているところです。例えば、部長がいなければ副部長、副部長がいなければ部長が対応する。長時間にわたる対応が必要になってくる場合はどうしてもあります。さらには、私を含め、どうしても業務で県外に出ないといけない場合も出てきますから、必ず知事、副知事、部長、副部長がセットとなりローテーションを組んで、長期間にわたる事案対応が発生しても、常にその危機管理の対応というものが、体制として整っているようにする。このことを、今までも心がけてきたところでありますし、この点は、なお一層徹底していかなければいけないと思いました。
今回の豪雨災害は、対策を取らなければならない期間がものすごく長かった。メディアの皆さんも長い間体制を敷き続けて大変だったと思います。我々もすごく大変でした。災害対応期間が2週間などと長くなるかもしれないことを想定し、ローテーションの仕組みも含め対応することを考えていく必要はあるかもしれないと改めて思いましたし、もう一つ考えていかなければならないものは、市町村における対応です。特に町村は人数が少ないので、県のようにローテーションを十分に敷くことができないかもしれない。そういう町村に対し、早めに応援の職員を派遣する対応も、今後は必要になるかもしれないと思いました。高知市さんの対応を踏まえて考えたわけではなく、もともと考えていたことです。ですから、台風12号の時には職員を町村へ派遣し対応させていただいた次第です。この職員の派遣を含めた対応の仕組みについては、もう少しあり方を考えて行く必要があるというふうに思っています。
高知商業の活躍について
(大野・高知新聞記者)
高校野球やまんが甲子園における高知商業の活躍について、ご感想をお願いします。
(知事)
まず、まんが甲子園のあの優勝は嬉しかったですね。私、開会式直後にブースをずっと回りました。回っていた時に高知商業のブースに行き、声を掛けたのですが、余り反応してくれなかった。凄く集中してペンを入れていたわけですね。この集中力はすごいなと思いながら拝見したところでありますが、やはりやってくれましたね。漫画にかける凄まじい思いと力量、彼女達は両方持っておられるんですね。あの集中力は並みじゃないと思いました。本当におめでとうと申し上げたいと思います。
それと昨日の高校野球の甲子園。あれも素晴らしかったですね。ピンチにめげぬ力というものを超えて、ピンチでも明るい気持ちで乗り切っていくような力、これは私たち大人としても大変勇気づけられるものがあると思いました。移動中などにスマホで見ていましたので、7対1になった時は正直勝ったと思った。そしたら9対7になってしまい、この時は負けたと思いました。けど9対7になっても軽くこれをひっくり返しましたからね。大したものだと思いました。逆境にも決して負けず、くじけることなく、逆境も楽しむぐらいの力で乗り越えていく彼らの若い力に本当に勇気をいただいたという思いです。ぜひ次も頑張ってもらいたいと思います。
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