平成30年11月20日  知事の定例記者会見

公開日 2018年12月28日

南海トラフ地震対策について
障害者の雇用について
室戸市長選の結果について
香美市の移動期日前投票所及び投票率の向上について
外国人労働者の受け入れについて(1)
公文書管理のあり方に関する検討委員会の報告について
宿毛フェリーの運行休止について
来年の知事選について(1)
高知城光の祭について
来年の知事選について(2)
ジェットスター・ジャパン高知就航について
高知空港の新ターミナル整備について
来年の知事選について(3)
外国人労働者の受け入れについて(2)

 

 

南海トラフ地震対策について
(郡・毎日新聞記者)
 南海トラフ地震対策について、今月中旬の中央防災会議のワーキンググループで、南海トラフ大地震の発生の可能性が平時より高まったと判断された場合の防災対応の骨子がまとまりました。知事も委員のお一人として参加されていますが、二つ質問をさせてください。
 その骨子の中で、半割れケースの場合、津波の到達が近い地域は、全住民が事前に避難すべきというようにしているのですが、国が避難を求めるのであれば、国にも相応の負担を求めるべきという意見も出ると考えられます。そこで、避難所などに係る費用は、国と県と市町村でどのように負担すべきとお考えでしょうか。
 二つ目に、そういった負担に関するような話を、方針の中に今後盛り込むような、そういった話だとか動きは、グループ内に今ありますでしょうか。

(知事)
 私自身いろいろ国の委員を務めさせていただいていますけれども、この臨時情報(「南海トラフ地震に関連する情報(臨時)」)に関わる問題については、前ワーキンググループのときにも参加していましたし、今回の新たなワーキンググループにもずっと参加させていただいて、最も重要な委員会の一つだという思いでこれまでも熱心に参加をさせていただいてまいりました。
 その中で、強く思っていますのは、この臨時情報が出たことについて、どうしても不確実な情報なので対処しないでいいのではないか、不確実な情報で対処期間が長くなってしまう可能性があるので財政負担のことを考えるとどうかなど、そういうバイアスがかかった議論になりがちなところを、私は一生懸命押し返そうと、努力してきたつもりです。大事なことは人の命を守ること、そのために生かせるべき情報は生かすべきであって、できる限り、人の安全を守るために必要な措置をためらうことなく実施する方向で、この議論がまとめていかれるようにしてきたつもりです。
 国、県、市、それぞれがこの臨時情報を生かして、積極的に対応すべきであって、もしそれをためらって、命を失うようなことになってしまうことはあってはならないと思っています。
 財政負担という観点からいけば、できる限り市町村がためらうことなく、臨時情報に対応できるようにすべきだと考えておりまして、県としては、仮に国からのバックアップがなくても、市町村をバックアップするつもりですし、また、国もそういうつもりで、ぜひ対応を考えてもらいたいと思っています。
 各地域において、避難勧告という法制度になるかどうかは別にして、実質的な避難勧告的なことを行っていく市町村が、ためらうことなく対応できるようなバックアップを、国と県は万全に行っていくべきだと考えています。
 前回のワーキンググループでも出たんですけれども、今まで議論してきたことに対して、国として定めようとする基準が少し後退しているのではないかと思われる面が一部ありました。このことについて、私の方からは、少し財政のことを心配されているのかもしれないが、そこはためらわず対応することが大事ではないかと、はっきり言わせていただいたところです。
 ぜひ、事の重大性に鑑みて、国、県、市全体として万全の態勢を取れるように、財政面でもそうなるような議論を、展開していくことが大事だと思います。
 ちなみに、今回のワーキンググループの中で、財政論について、どこまで取りまとめるかということについては、まだ明確ではないと思います。むしろ、その後の制度設計の段階で、行っていくことになるのではないかと思います。
 国が逃げろと言うのだから国が負担すべき、というのも少し違うのではないかと思います。国が逃げろというから逃げた、いやいやながら逃げてあげましたということではなく、それぞれの県民一人一人、国民一人一人の命を守るために逃げるのであって、国民も自らのこととして考えるべきことだろうと思います。だから、国民もそれぞれ一人一人が相応の責任を持って一生懸命逃げる。できれば、逃げた先で、より安全に暮らせるように、例えば、お薬手帳とか非常時の物とか、いろんな物を持ち出せるように日ごろから準備をしておくことも大事だろうと思います。併せて、市町村、さらには国、県ともにしっかりと相応の責任を持って、万全の体制で臨時情報を生かせるようにすることが大事だと思います。

(郡・毎日新聞記者)
 先ほどの、一部後退している話というのは、どういった話ですか。

(知事)
 もともと、半割れケースでも1週間程度経過した後は、一部割れケースと同様に従前からの対応について、警戒度を上げておくはずだったんですけど、それが、一時的に相応の注意を行う、というように若干格下げたような感じになっていたりしたので、果たしてそれでいいのかと。その点は、私は会議の場でも、一部割れケースにおける防災対応を、半割れケース1週間経過後においても、しばらくは実施するぐらいの警戒度でいいのではないかという話をさせていただきました。
 まだ議論の過程ですから、いろんな選択肢が出てくることは、当然あるだろうと思いますけれども、できるだけ危険な状況に対処するという、いわゆる安全側に立った対応をしっかり行っていくことが大事だろうと思います。

 

障害者の雇用について
(小嶋・共同通信記者)
 障害者雇用の水増し問題についてお尋ねします。厚生労働省が個人の責任は問えないということで、処分の見送りを発表した一方で、三重県、愛媛県に関しては、減給等の処分を出すということが報道されているかと思います。高知県としても不適切な算入と併せて、法定雇用率を下回るという結果があったかと思いますが、県として処分をどのようにすべきとお考えでしょうか。

(知事)
 処分はすべきだろうと考えています。その処分をどういう形でするかについては、今後、過去のさまざまなケースにおける処分の形態と照らして、適切な対応を取りたいと思います。違法な行為を意図的に行った場合、違法とは言えないものを意図的ではない形で行った場合等々、それぞれに応じた処分の重さというものがありますから、今回のケースはどうであったかについて、判定をしてそれに応じた処分を行うことになると思います。

(大野・高知新聞記者)
 高知県のケースの場合は、長年にわたって不適切な算入が行われてきたようではあるが、いつかはなかなか特定できないというようなことだったと思います。そうすると、どこまで遡るかとか、どこまでの範囲、期間、どの職に及ぶかというのは難しいのかもしれないですけれども、どういうようなイメージでしょうか。

(知事)
 三つあります。一つ目は、処分の範囲は当然のことながら、現職の職員とせざるを得ないということ。
 次に、こういう問題については、どのようにカウントすべきかという基準の示し方が非常に大事だと思います。基準をどう示していたかというところに責任の所在があり、それを問うことになるのではないかというのが2点目。
 そして3点目、一番重要なところですけど、この問題の責任は最終的には私にありますから、私の責任を明確な形にするということだと思います。

(大野・高知新聞記者)
 知事自身の何らかの処分というかけじめというのは、あるということでしょうか。

(知事)
 そこのところがなかなか法的に難しいらしいんですけれど、9月の提案説明でも、私が、主語尾﨑としてお詫びをさせていただいております。既に私自身に責任があるということは明確にしているつもりですけれども、その点について、どういう形になるかは、もう少し法的にも詰めさせていただきたいと思います。いずれにしても、職員を処分する際に、私に責任があるということは明確にさせていただきたいと思います。

(大野・高知新聞記者)
 時期は、いつごろということはあるんでしょうか。

(知事)
 時期については、一つは国の調査報告書が出るのを待って、国がどういう処分をするかというのを見て、それから県としての処分という形に順番としてはなってきています。10月20日過ぎに国の調査報告書が出されて、国がどうするかということについては、最終的に決まったのかは分かりませんが、報道によると先週一斉に話が出てきて、それを踏まえて、今、県としての具体的な対応を検討している状況です。したがって、今月中か来月頭ぐらいか、少なくても12月議会には、この結果を報告しないといけないと思いますから、12月議会の前には、明確な形を示すことになると思います。

(大野・高知新聞記者)
 とすると、議案になる可能性がありますか。

(知事)
 議案になる可能性があるかどうかは分かりません。

(大野・高知新聞記者)
 分からない。

(知事)
 それと、これは明確に申し上げておきたいと思いますが、処分をするということは不利益をもたらす行為ですので、このことについては、非常に冷静に行われなければならないことも確かだと思います。過去の処分と照らして均衡を取らなければならない。世間で非常に話題になった問題だから、重い処分にするという形になることも非常によくないことです。
 ですから、先ほども申し上げましたように、冷静に過去の処分例とも照らし合わせて、やったことと、その処分の重さとがしっかりと均衡できるような対応をしてお示しさせていただきたいと思います。

(大野・高知新聞記者)
 9月議会で既にステートメントが出ていますけども、処分をする方針だという発言がありましたので、なぜ、そうしなければならないのかということについて、改めてお聞かせください。

(知事)
 今回、我々として、いわゆる目標値を満たすための意図的な水増しでなかったことは明確だと思っています。しかしながら、それぞれ事務を執行していくにあたって、手続きがずさんだったと言わざるを得ないところはあると思っています。ずさんだったことについては、しっかり責任を明確にして、再発防止も講ずるべきでしょうし、繰り返しになりますが責任をしっかり明確にするということは大事だろうと思っております。
 特に、手帳の解釈について国にもう一段、明確に問い合わせるべきだったのではないかとかいうこともあります。また、過去1回カウントした方について、毎年洗い直しをしていなかったということもありました。
 それから、医学的に見て、ひと言でいうと素人の判断で障害者にカウントしてしまっていました。恐縮ですが、メガネをかけているので障害者などということはしていませんけれども、常識的に、確かにカウントするだろうなと思われる方がほとんどだと思いますけれども、とは言いながらも、やっぱり実際にカウントするにあたっては、より明確に、素人判断ではなくて対応すべきだった。そういうことを総括したときに、やはり高知県庁として、どういう方を障害者雇用の方としてカウントするかについて、よりクリアな指針を、各所属に示すべきだったと思います。
 民間の皆さまに対しても率先垂範すべき立場にありながら、そうであったことについては、深く反省をしなければなりませんし、そしてまた、深く反省したことに基づいて、責任も明確にした上で、再発防止策を明確に講ずるということかと思っています。

(小嶋・共同通信記者)
 先ほど、過去の処分例との均衡というお話がありましたけども、触法行為ではないというのは明らかだと思いますが、その中で、例えば三重県の減給という処分まで踏み込んだケースもありましたけども、その程度までを想定した処分になるのか。

(知事)
 これから、詳細については詰めさせていただきたいと思いますけど、高知県の場合、例えば、県知事の減給処分は、過去を見ると基本的には全部、違法行為を意図的に職員が行っていた場合ですから、そういうことでないにも関わらず、私が減給処分をしてしまうと、以下もう基本的にそういう重い処分になってしまう。これは均衡を失することになってしまう。そういうことも考えなければならないと思います。三重県さんの場合は、そういう場合でも減給にされるのかもしれませんが、そこは高知県としての均衡を失さないようにしなければならないと思っています。
 ただ、いずれにしても処分の対応がどうであれ、責任は明確にあるということを明らかにすることは、極めて大事だと思いますから、その点は明確にして、議会に処分の結果をお伝えし、お詫びをしたいと思っています。

 

室戸市長選の結果について
(大野・高知新聞記者)
 室戸市長選がありました。すごく激戦で4人の候補が出られて結果が出ましたけれども、知事ご自身は、どなたかの候補を支持したりといったことはありましたか。

(知事)
 ありません。

(大野・高知新聞記者)
 室戸市長選、結果を見て感想をひと言。

(知事)
 今回、新しい市政を求めていこうとされるお声が大きい中で、4人の候補者が票を分け合うような構図になっていき、知名度に優る植田元県議が頭一つ抜けていかれた。4人の候補の方が、それぞれ激戦で争っていかれる中、行政経験もしくは政治経験において、非常に経験、知名度の高い植田元県議が頭一つ抜けていかれたという構図だったのかなという感じはいたしております。
 私も県議であられたころから、よく存知上げておりますけれども、大変情熱を持った、熱い思いを持たれた方であられます。今日の高知新聞さんのインタビュー記事も見させていただきましたけど、これからの室戸の新たな発展に向けて、非常に熱い思いで、新たな市政を展開されていかれることをご期待申し上げます。

(大野・高知新聞記者)
 関連して、県東部の医療の確保ということで、県も前面に立つということで、室戸の場合は、病院が閉鎖されたりということで、その点も近年の首長選挙では珍しく、ワンイシュー(一つの論点)として、すごく議論があったかと思いますけれども、新しい市長さんが出て来られたというところで、県の取り組みとの整合性であるとか、あるいは取り組み姿勢というのはどのようになっていくのでしょうか。

(知事)
 これまでは、間もなく市長選挙があるという状況でしたが、今回新たな市長さんが決まることとなりましたので、これから4年間を見据えた政策が展開されていくでしょう。県としては、新しい市長さんのお取り組みを、一緒に手を携えてバックアップさせていただくということかと思います。
 ただ、非常に重要なこととして二つ。まずは、室戸において、一般病床も確保できるような形で、医療機能をしっかり確保するという、緊急対応を取ることが一つ非常に大事だと思います。併せて、非常に過疎化が進んでいく、さらに医療機関についても非常に高齢化も進んでおられる状況の中で、地域医療全体をどういう形で確保していくかという議論も行っていくことが大事だろうと思っています。この室戸、もっと言いますと高知県東部地域において、どういう形で地域包括ケアシステムを確保できるかという、より大きな構図も併せて描いていくことが大事だろうと思っています。
 緊急対応とともに、東部地域における地域包括ケアシステムづくり、この両方をにらんだ議論をさせていただきたいと思っています。

(大野・高知新聞記者)
 ご主張をニュースとか新聞とかでご覧になったことかと思いますけれども、県が前面に立つと言っていることの方向性とずれがあるとか、そういうようなことはないんでしょうか。

(知事)
 印象として、特に感じませんし、これから一緒に話をさせていただければと思います。

香美市の移動期日前投票所及び投票率の向上について
(大山・高知新聞記者)
 香美市で、来春の県議選から、移動期日前投票所が導入される見通しになっていますが、このことに対する知事の受け止めや期待感があれば教えてください。

(知事)
 期待感はあります。やはりできる限り多くの方が投票されるようにすることは大事です。そのときに、投票するという行為そのものについて、できるだけハードルを下げるということは大事だろうと思いますから、移動投票所も面白い試みじゃないでしょうか。

(大山・高知新聞記者)
 来年は県議選を含む統一地方選だったり参院選へと続く選挙の年ですが、移動投票所ができれば、投票率の改善にもつながるのかもしれないですけど、県議選、参院選とも前回は過去最低の投票率でした。その低投票率というものが言われて久しいですが、原因というのはどこにあるとお考えでしょうか。

(知事)
 高齢化も進んでいく中において、なかなか負担が大きいということは、全体に大きな背景としてあるだろうと思います。ただ、いかにこの政治、行政、各課題にかかる論戦、例えば、県議会では、徹頭徹尾、政策論議、かなりいろいろ高度な議論が展開されていると思いますけど、こういうことをいかに県民の皆さんに分かりやすくお伝えしていくかも非常に大事ではないでしょうか。そういうことをお伝えしていく中において、それぞれの抱える課題と、そしてまた、それに対する解決策の方向性が明示されていく。それが、論戦を呼んで、投票率の向上につながっていく、そういう方向になるのが一番大事なことではないでしょうか。マスコミの皆さんも、今もお伝えになられていますけど、そういう論戦をできる限り、密度濃く、多くの方に知っていただけるようにお願いしたいと思います。
 議会も、ネットで中継されるようになっていますけど、ああいうことも非常に大事だと思います。県としても、県民の皆さんに、ネットで見られるんですよということをお伝えするような努力をすることも大事なのかなと思います。

(大山・高知新聞記者)
 関連して、ネット中継でいうと委員会の中継というのをされているところもありますが、委員会の今の伝え方、見せ方というのは、知事としてはどのように見られていますか。

(知事)
 それは議会でお決めになることだと思いますので、私が言うと越権行為だろうと思いますが、ただお決めになったことについて、県として、しっかり県民の皆さんに、もう一段知っていただくようにすることは大事かもしれません。私も少し驚くんですけど、本会議の議論が中継されていることを知らない方も多いです。だから、ああいうのをもう一段お伝えしないといけないのかなという問題意識は持ったことがあります。

(大山・高知新聞記者)
 投票率の話に戻りますが、投票率についてその候補者がどう活動していくかというのも大事になってくる、日頃の活動も大事になってくるんだと思いますが、来年は知事選挙もありますが、候補者は日頃どう活動すべきだとお考えでしょうか。

(知事)
 候補者とはどういうことでしょうか。

(大山・高知新聞記者)
 政治家、選挙を受ける身として。

(知事)
 政治家は、対話と実行だと思っています。県民の皆さまと対話をする、それを通じてお知恵をもらって、実行していく。また、実行した結果、どういうことを実行しようと考えているかについて、またこれを県民の皆さまにお伝えをし、その結果についてもお伝えをし、また新たな対話を通じて新しいお知恵もいただいて、この繰り返しではないかと思います。
 私も「対話と実行行脚」をやらせていただいて、いろいろ対話もさせていただいていますし、色々な意見交換会などにも出させていただいてお話もさせていただいていますけど、大事なことは有権者の皆さんと接していろいろとお話をさせていただく。その中で自らの考えを述べ、また議論もさせていただき、また色々ご意見を聞いてお知恵もいただいて、それらを踏まえて実行し、その結果もまたお伝えをし、また議論をする、この繰り返しではないですか。それが非常に大事だと思います。

 

外国人労働者の受け入れについて(1)
(石井・NHK記者)
 国会で審議されています外国人材の受け入れ拡大の法案に関してお伺いしたいんですけれども、高知県内も業種によっては人手不足感が根強いですとか、そういった状況はあるかと思うんですけれども、過去にご発言がありましたら大変申し訳ないんですが、まず、是非について知事のお考えを。

(知事)
 人手不足が非常に深刻になっているのは確かだと思います。私も周りの方から、外国人材の受け入れをもっと進めるべきじゃないかと言われることもありますし、県議会でもそういう議論が出たこともあります。確かに一つの方向性として大事な方向だろうとは思いますが、他方で懸念の向きがたくさんあるのも確かだと思います。やはりこのことについて言えば、その方向性そのものは分かりながらも、いろいろと懸念の向きがあることも確かなので、しっかり徹底した議論を積み重ねてもらいたいと強く思います。
 実際ヨーロッパにしても、この移民問題で非常にご苦労をされており、大議論になっているわけです。今回受け入れをする外国人材の皆さまは移民ではないという制度になっているんでしょうけれども、やはり外国の皆さまに対して門戸がさらに開けることは確かです。そのことの必要性も確かにあるでしょうけれども、他方で、懸念があるのもまた確かでしょうから、やはりこの点については我々も徹底して十分な議論を尽くしていくことが大事だろうと思います。

(石井・NHK記者)
 この法案が可決した場合の地方の課題として、日本語は一定程度会話できる方というのが対象になるかと思うんですけれども、特定技能1号の方は家族なく単身で来たりということもあって、その地域にどう馴染むかですとか、いわゆる受け入れ体制といいますか、そういったものの議論というのもこれは各都府県の課題なのかなと思いますけど、そのあたりはどのようにお考えですか。

(知事)
 重要なポイントとして、一旦受け入れをする限りにおいては、大事な住民の皆さんとしてしっかり受け入れしないといけないわけです。不況になり、人手不足が解消され、むしろ人余りという状況になったときに、雇用はどうするのか、暮らしはどうするのかということも含めて考えていくことが大事で、やはり受け入れする限りにおいては、大事な住民の皆さんとしてしっかり暮らしが成り立っていかれるように対応していくことが大事です。そのためには地方も含めてどういう対応をすべきなのかなどということについて、総合的な議論がどうしても必要だろうと思います。そういう点も一つ大きな論点になっているのではないでしょうか。

 

公文書管理のあり方に関する検討委員会の報告について
(五十嵐・高知新聞記者)
 先日、公文書管理条例の内容を検討していた検討委員会が報告書をまとめました。公文書を廃棄する場合に、第三者委員会の諮問を受けるなど、三重のチェックをするなどの提案がありましたけれども、この報告書の評価と知事の受け止めをお聞かせください。

(知事)
 三重のチェックをして、透明性を確保することは大事だと思います。報告書の方向性は素晴らしいと思っています。歴史の検証を受けることを前提として、そういう緊張感を持って日々の行政が行われるようになることが、県政全体を過たず正しい方向に導いていく非常に大きな力を持つものだと思っています。報告書の方向性は正しいと私は思っています。これから報告書を最終的にいただいたうえで、吟味して、さらなる対応を考えなければなりませんが、今の受け止めとしてはそう思っています。

(五十嵐・高知新聞記者)
 歴史(的公文書)のほうの選別基準も示されていますけれども、一方で、議論の中でその公文書の定義自体は現状の情報公開条例に基づく、現状維持という形になっていると思うんですけれども、知事が従前おっしゃられていたそのグレーゾーン、公文書のグレーゾーンの解消というのがどの程度できるのかについて、どうお考えでしょう。

(知事)
 そこをまた今後さらに詰めていくことになります。私たちとして、それはしっかり考えていかないといけないと思います。ある意味隠す意図だけではなくて、歪めた歴史を残させようという意図で、公文書を意図的に管理する可能性もあるわけですから、公正な形で公文書が残っていくようにするための方向性を、しっかり考えていく必要があると思います。
 意図的に隠すことはあってはならないです。ただ、途中段階で選択肢を示したことに対して、こんな選択肢を出していた、けしからんと徹底して責め立てられたりするのはなかなか気の毒でしょう。そういうことが出てくると萎縮してしまって、選択肢も示さないということになってもいけません。
 他方で、議論の過程において、こういうことも一旦検討していたということ自体が非常に重要になるケースもあるでしょう。そのときにそのことについて、あくまでこの段階の選択肢として検討していたのですよということが分かる形で、最終、世の中に残していくということも大事でしょう。
 そういうようなこととなるための公文書の公開、保存のあり方はどうなるのかということについては、よくよく考えておく必要があると思います。例えば、はっきりと、これはこの段階で知事室に協議へ入る前の選択肢として出した文書であるとかいうのが分かるようにするということが大事だといます。時系列を応じて誤解なく、意図的な隠蔽なども行われずに、意思決定の過程が明示された保存のあり方はどうなのか。改めて、私もこの間も今後のあり方について協議もして、部局とも話もしましたけど、具体の例に照らして少し検証してみて、改めてより詳細な基準のあり方を一緒に勉強してみようという話をしたところです。
 意図的に隠すことがあってはいけないのは当然ですが、他方で、歴史として残るときに意図的にゆがめられるのもいけないことです。誤解されることも良くない。また、その誤解され得ることでもってして、みんなが萎縮して、選択肢を誰も示そうとしなくなったりすることも良くない。ぜひ萎縮することなく、しかしながら緊張感を持って行政が展開されていく、そういう良き道しるべとなるような、良き指針となるようなその保存の指針を明確に定められるように考えたいと思います。少し具体例に照らして検証してみて、より具体の点を明らかにできるようにしたいと思います。
 来年の仕事になると思いますけど、この制度に魂を入れないといけませんから、そこのところをしっかり検証したいと思います。

(五十嵐・高知新聞記者)
 今回、その検討委員会での議論過程というのも、国の公文書の改ざん問題とか、国のその動きというのが一定影響もあったと思うんですけれども、そういう国でその公文書を議論するというのと、地方であっても公文書を議論していくっていうその意義、そういうものについて、知事はどのようにお考えでしょうか。

(知事)
 本県の場合は少し経緯が違って、公文書館が整備されていない中で、公文書館をつくりましょうという話になりました。公文書館をつくるにあたって、改めて公文書の管理のあり方について、国の改ざん問題以前より議論をスタートしていて、それに従って今回報告書をいただいたわけですが、ご指摘のように、ああいう改ざん問題というのが起こり得るということをよくよく反省して、私たちとして、そういうことが行われないような公文書の管理のあり方を定めていくことが大事だろうと思います。

 

宿毛フェリーの運行休止について
(和田・高知放送記者)
 大分県佐伯市と宿毛市を結ぶ宿毛フェリーの件ですけど、運航休止から1カ月が経って再開のめどが立っていないということで、物流などへの影響も出ているようです。この現状について知事の受け止めと、この問題に県としてどのように対応していくか、教えてください。

(知事)
 突然の休止ということで非常に驚いていますし、残念に思っているところですが、この問題については、まず宿毛市の方で会社の皆さんと接触をして、コミュニケーションを図られるということですから、その結果を見て、県として今後どう対応していくかということについて検討させていただきたいと思います。恐縮ですけど、現段階ではそこまでです。

(大山・高知新聞記者)
 関連してなんですが、そのフェリーの件ですが、公共交通を担う会社ですが、その役員と1カ月も音信不通というような状況のようですが、その現状について、非常識というか、異常事態かとは思うんですが。

(知事)
 正直少し驚いています。だから、それについて心配はしていますけれど、粘り強く接触を試みて、対応を考えなければならないでしょう。

 

来年の知事選について(1)
(野間・時事通信記者)
 時期尚早かもしれないので大変恐縮なんですが、来年その任期を迎えられると思うんですけれども、現段階で来年に向けてどういったお気持ち、今のお気持ちで構わないんですがお伺いしたいと思います。

(知事)
 今の気持ちとしては、日々、県勢浮揚を目指して、一生懸命県政に専心するのみであります。

 

高知城光の祭について
(野間・時事通信記者)
 明々後日から、今日チームラボの方がいらっしゃいましたけど、高知城のイルミネーションが始まりますが、その期待をお聞かせください。

(知事)
 私自身も大変この企画には期待しているところです。多くの皆さんにぜひご覧いただきたいと思います。二つ狙いがあって、一つは、高知県の観光は7月豪雨もあり、今年は非常に厳しい年でありました。その中において少しでもそのダメージを取り返していきたいという思いもあります。11月の次の3連休ぐらいまでは毎年お客さんも多いんですけれど、そこから後はだんだん少なくなっていくという中において、少しでも観光客の皆さまにも来ていただけるようなイベントを講じていきたいということで考えたものです。ぜひ所期の効果を発揮して、多くの観光客の皆さんにも来ていただければありがたいなと思います。少しでも7月豪雨時のダメージを和らげるといいますか、そうなれればありがたいというのが一つです。
 二つ目は高知城、この三大夜城としての素晴らしさ、私たちよく国外、県外へ行ってこの点をアピールするんですけれど、まだもう一段知名度が低いところもあります。この三大夜城としての高知城の素晴らしさを、これを契機にぜひ全国の皆さんにもう一段知名度高く知っていただければという思いもありますし、もう一つは、日本の観光全体そうですが、高知の観光においても、ナイトタイムエコノミー、遅い時間における、夜間時点における観光資源の開発が求められる時代において、この新たな企画によって、高知城もさることながら、関連のイベントを県内各地で実施しますので、夜間における観光資源の開発にもつながっていければという観光政策的な意図もあって、この点が一定目的を達することができればという思いもあります。素晴らしいと思うので、ぜひ見に行っていただければと思います。

 

来年の知事選について(2)
(中田・高知民報記者)
 知事の4期選のことですけども。

(知事)
 随分先の話です。

(中田・高知民報記者)
 あと1年になりましたので、今のところ、そんなに遠くない時期に方向性というのはやっぱり県民に対して示す必要はある、直前に言われてもあれだから、じゃないかと思いますが、その目途みたいなものはどうなのかということと、それと過去の会見の中では、4選も県民が望むなら排除しないというお話もされたことありますし、それから前々回ぐらいでしたかね、多選の弊害みたいなこともおっしゃったりして、ですが、今のお話だと4選も排除はしてないと、そういうフラットな感じで今臨んでいるっていうこと。

(知事)
 当然選択肢として排除しているわけではありませんが、今、来年のことを考えるような状況にはなくて、一生懸命日々の仕事に専心するという状況かと思っています。

(中田・高知民報記者)
 態度表明というのは、あまり直前まで言わないっていうのも良くないと思いますし、まだ早いかもしれませんけども、例えば半年ぐらい前にはとか、そういうのはありますか。

(知事)
 前回も前々回も大体6月議会ぐらいでした。それぐらいのときにはお話をさせていただいたかと思いますけど、それは一つの目安になるのではないでしょうか。前々から申し上げていますけど、やっぱり対話と実行行脚を一巡しないといけないというのは一つの基準と考えさせていただいていますから、そういうことになるのか、まだ分かりませんね。時々の状況に応じて判断しますから、それは今の段階で明確には言えません。

 

ジェットスター・ジャパン高知就航について
(大山・高知新聞記者)
 ジェットスターの就航まで残り1ヵ月になりました。県として支援策も講じられていますけど、改めて期待すること、あと、その就航後も就航したら終わりということじゃないと思いますけど、その県としての役割を知事としてどう考えているのか教えてください。

(知事)
 LCCで低料金ということもあって、県民の皆さんの選択肢が広がって利便性が高まること、まずこれが第一。併せて、成田及び関空とのアクセスということになりますから、これによってインバウンド観光、インバウンドのビジネスを含めてさまざまに拡大していくのではないかという期待感は非常に大きいものがあると思っています。まず1便からスタートするわけですけれども、ぜひ多くの方に使っていただいて、これが2便と、拡大していく方向にできればいいなと思っています。

(大山・高知新聞記者)
 県として今後取り組んでいく、一緒に取り組んでいくということですか。

(知事)
 ジェットスター・ジャパンの皆さん方と例えばプロモーションなどを一緒にさせていただくということなども、今後実施されていくことになろうかと思います。

 

高知空港の新ターミナル整備について
(大山・高知新聞記者)
 ジェットスターにも多少関連するんですけど、高知空港に関して、副知事がそのトップの成長戦略会議で新ターミナルの整備案というのが出されているかと思います。知事は、その新ターミナルに対する必要性であったり、整備する場合の規模感であったり、今の段階でおっしゃれる範囲でお願いします。

(知事)
 必要ではないかと思います。チャーター便の誘致などを検討していくとき、もう今の段階で相当容量的に厳しいものがあり、誘致できる時間帯が制限されるということがあります。ジェットスター・ジャパンさんにおいでいただき、大変ありがたいことですけれども、ますます空港の空き時間は少なくなっていきます。さらなる拡大を考えていくと、もう一段ゲートを増やしていくことは必要ではないかと思います。そういうことを考えましときに、空港ビルについてもう一段拡張していくという方向性、これ自体は県として求められる方向ではないのかなと思っています。今後、より詳細を詰めていく過程において、具体的にどうしていくかということが決まっていくかと思います。

 

来年の知事選について(3)
(清野・朝日新聞記者)
 知事選の関係で、今までと同じように6月議会が一つの目安になるという話がありましたけど、来年は統一地方選あり、天皇の退位あり、参院選がありといつもの年とちょっと違うと思うんですけどね、いろんなビッグイベントもあって、そういう年であってもやっぱり6月議会が目安になると考えていいですか。

(知事)
 統一地方選挙があるのはいつも一緒ですから。また参議院選挙ありますけど。どれぐらいのタイミングになるのかということについても含めて、いろいろ検討させていただきたいと思います。ただ、やはり一定県政についてどういう形になったのか、そういうことについて県民の皆さんとどういう対話をしてきたのか。そういうことを総括できる時期が来て、お話をさせていただくことになろうかと思いますので、それが来年度何月になるのかというのはまだ今はっきりは言えません。

 

外国人労働者の受け入れについて(2)
(大野・高知新聞記者)
 外国人人材の受け入れで1点だけ。慎重に議論をという趣旨だったかと思うんですけれども、おっしゃられた懸念というのは具体的にどういったことかという点。

(知事)
 一番心配するのは、本当に安心して暮らしていただけるように、日本に元々住んでおられる皆さんと共生しながら、共に安心して暮らしていただけるような態勢をどのようにつくっていくのかということについて、準備しなければならないことも多いでしょう。また懸念に思っておられる方が多いのも確かですから、そういう懸念も払拭できるようにするためにはどうすべきかということも含め、よくよく議論はしっかり積み重ねていく必要がある話だと思います。

(大野・高知新聞記者)
 来るなということではないのですよね。

(知事)
 そこまでは言いませんけれども、ただし、やっぱりよく議論は重ねなければならないだろうなということは痛切に思っています。

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