公開日 2019年06月14日
更新日 2019年06月14日
平成31年2月県議会での知事提案説明 (2月21日)
(1)第3期産業振興計画のバージョンアップ
(2)各分野における地産外商の強化
ア 農業分野
(新食肉センターの整備)
イ 林業分野
ウ 水産業分野
エ 食品分野
オ ものづくり分野
カ 商工会・商工会議所の支援
キ 観光分野
(志国高知 幕末維新博)
(自然&体験キャンペーン)
(国際観光の推進)
ク 輸出や国際観光の本格展開に向けた連携強化
(3)各分野に横断的に関わる取り組み
ア 移住促進施策のバージョンアップ
イ 起業や新事業展開の促進
ウ 高知版Society5.0の実現
(1)全国知事会社会保障常任委員会などの取り組み
(2)日本一の健康長寿県構想の改定
ア 壮年期の死亡率の改善
イ 地域地域で安心して住み続けられる県づくり
(地域医療構想)
ウ 厳しい環境にある子どもたちへの支援
エ 少子化対策の抜本強化
オ 医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化
(1)小中学校における授業改善の取り組み
(2)高等学校における学力向上に向けた取り組み
(3)不登校の予防と支援に向けた体制の強化
(4)教員の働き方改革の推進
(5)高等学校再編振興計画後期実施計画の推進
(1)住宅の安全性の確保
(2)地域地域での津波避難対策の充実
(3)南海トラフ地震に関連する臨時情報への対応
(4)前方展開型による医療救護体制の確立
(5)避難所の確保と運営体制の充実
(6)地域地域に支援を行き渡らせるための体制の強化
(7)早期の復旧に向けた取り組みの強化
(8)高知市の長期浸水域内における確実な避難と迅速な救助・救出
(9)要配慮者支援対策の加速化
(10)震災に強い人づくり
(1)四国8の字ネットワークの早期整備
(2)防災・減災、国土強靱化への対応
(1)高知県文化芸術振興ビジョンの推進
(2)スポーツの振興
本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成最後の定例会となります、平成31年2月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。
ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。
第1 当面の県政運営について
本年4月30日に、天皇陛下が御退位され、また、翌5月1日には皇太子殿下が御即位されて、私たち国民は、平成の次の新たな時代を迎えることとなります。
天皇皇后両陛下におかれましては、平成の30年間、常に国民の安寧と幸せを願われ、国民とともに歩んでこられました。特に、相次いだ自然災害の際には、被災地を直接訪問されて、被害に遭われた方々の思いに寄り添ってこられました。多くの国民が、そのお心遣いに心を打たれ、元気づけられたことと存じます。
また、本県との関わりで申しますと、御即位以来、三度にわたり御来県を賜り、昨年10月の「明治150年記念 第38回全国豊かな海づくり大会~高知家大会~」の際にも、沿道や御訪問先において、私たち県民に大変親しく接してくださいました。
政府においては、天皇陛下の御在位30年を記念し、今月24日に政府主催の記念式典を挙行することとしています。私も、県民の代表の一人として出席させていただき、心から祝意と感謝の意を表させていただきたいと思います。
また、本県におきましても、翌25日に、昨年の御来県をはじめとしたこれまでの両陛下の御活動に感謝を申し上げるとともに、天皇陛下の御在位30年をお祝いするため、県主催による記念式典を開催いたします。あわせて、多くの県民の皆様に記録映像や写真の展示をご覧いただくとともに、お祝いの記帳をしていただける機会を設け、県民こぞって、天皇陛下の御在位30年をお祝いさせていただきたいと考えております。
平成31年度は、第3期の産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などの最終年となりますとともに、私にとりまして県政運営3期目の最後の年でもあります。
本県においては、昭和50年代から既に合計特殊出生率が2.0を下回る状況にあるなど、少子高齢化の傾向が長期間続いてきており、結果として、当面の間、人口減少が続くこと自体は避けられない情勢であります。こうした中にあっても、例えば経済分野において、地産外商の取り組みをはじめとする様々な挑戦を続けてまいりました結果、長年にわたって生産年齢人口の減少と連動する形で減少傾向にあった県内総生産や各産業分野の産出額が上昇傾向に転じるなど、各分野における施策の展開を通じて一定の成果が見られるようになってきており、県勢浮揚に向けた歩みがより力強くなりつつあると感じているところです。
今後も人口減少が続く中、県勢浮揚の歩みをより確かなものとしていくために、各分野において、この先の5年後、10年後を見据えた道筋を県民の皆様にお示ししていく必要があると考えております。県民の皆様に、県勢浮揚に向けて「この方向に歩んでいけば大丈夫だ」と実感していただけますよう、来年度、これまでの取り組みの上に立って、先々の方向性を示す政策群をしっかりと構築するとともに、官民協働、市町村政との連携協調の下、全力で実行してまいります。
平成31年度当初予算及び平成30年度2月補正予算の編成にあたっては、財政の健全性を確保しつつも、将来にわたり県民の皆様の生命と暮らしを守っていくための政策群を全速力で実行し得るものとなるよう、徹底して工夫を重ねたところであります。また、消費税率の引き上げやTPP関連対策などにも国と歩調を合わせて取り組んでいくこととしております。
具体的には、まず、平成31年度当初予算案については、5つの基本政策と3つの横断的な政策のさらなるバージョンアップを図り、実効性の高い施策をスピード感を持って展開することとし、予算計上額を全ての分野において実質的に対前年度比増といたしました。
特に、インフラ整備については、国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を最大限に活用することといたしました。本県においては、昨年来、豪雨災害などによる被害からの復旧に全力で取り組むとともに、常設の「豪雨災害対策推進本部」を立ち上げ、平時から部局横断的にハード、ソフト両面で対策を進めているところです。また、南海トラフ地震から「命を守る」ためのインフラ整備もスピード感を持って進めていかなければなりません。このため、今般の国の緊急対策を、機を逃すことなく活用することとしたところです。
こうした結果、来年度の一般会計当初予算案は総額4,607億円余り、対前年度比で2.2パーセント、約98億円の増となりました。特に、投資的経費は約1,071億円、対前年度比9.6パーセント増と大きく伸び、平成16年度以来の規模となっております。
また、2月補正予算に計上した国の経済対策などを含む実質的な当初予算ベースでは、総額4,790億円余り、対前年度比で2.5パーセント、約114億円の増となりました。
このように、11年連続となる積極型予算を編成する一方、今後も安定的な財政運営ができるよう歳入歳出両面での工夫に努めたところであります。
まず、歳入面においては、景気回復などに伴う県税や地方譲与税の増などにより実質的に前年度を上回る一般財源総額を確保できたところです。その上で、防災・減災に資するインフラ整備を加速するにあたっては、新たに設けられた国の補助金や地方交付税措置率の高い地方債といった有利な財源を最大限に活用いたしました。これにより、今回の予算編成における一般財源の負担を軽減するとともに、必要な事業の早期の効果発現と将来の財政負担の軽減も図ることができたと考えております。また、2月補正予算案においては、予算の効率的な執行などにより生じた財源を活用し、財政調整的基金の取り崩しを約60億円取り止め、将来への備えを確保したところです。
次に、歳出面においては、投資的経費に関し、国の3カ年の緊急対策や災害復旧への対応により事業量が大幅に増加することから、その他の公共事業などについて、緊急性の特に高い事業に重点化して事業量の平準化に努めました。また、事務事業のスクラップアンドビルドを、マンパワー確保の視点も含め徹底するとともに、業務の効率化による行政コストの縮減といった行政改革の取り組みについても強化したところです。
こうした取り組みの結果、来年度の財源不足額は本年度より約13億円縮小した146億円となり、財政調整的基金の取り崩しと退職手当債などの発行を本年度よりも抑制することができました。
これらの取り組みにより、先々にわたる安定した財政運営に一定の見通しをつけることができたものと考えています。
財政調整的基金の来年度末の残高見込みについては、南海トラフ地震などの非常事態に対応するために歳出化した防災対策基金充当分6億円を含めて実質162億円となり、昨年9月時点の推計を59億円上回って確保することができました。また、臨時財政対策債を除く県債残高については、来年度末の見込みは5,217億円となり、本年度末見込みから146億円増加するものの、国の3カ年緊急対策分を除くと微増にとどまる見込みとなっていることに加え、2022年度以降は逓減し、必要な投資事業を実施しても安定的に推移する見通しとなっております。
今後とも、国に対し、地方交付税など一般財源の確保について政策提言を行うとともに、安定的な財政運営に努めてまいります。
県として取り組まなければならない仕事が増加し、予算規模が拡大する中、業務を効率的、効果的に行っていく観点、また、職員の働き方改革や将来の財政負担の縮減といった観点から、これまで以上に行政改革に取り組んでいく必要があるものと考えます。さらに、県全体として人口減少が進んでいく中においては、県のみならず、市町村も含めて、不断に行政改革を進めていくことが重要であります。
このため、現在行っているペーパーレス化やWeb会議活用の取り組みに加えて、例えば、パソコン操作を自動化する技術、いわゆるRPAや、AIといった新たなデジタル技術の活用などにより業務の効率化を図ってまいります。また、市町村の希望する事務について、広域での共同処理により効率化が図られるよう、県が中心となってワーキンググループを設置し、その取り組みを進めてまいります。
さらに、今後は、庁内業務のみならず、各種申請などのデジタル化を推進して民間における行政コストの縮減を図るとともに、各種アプリの開発などにより県民サービスの向上、満足度アップを図っていくことも必要であると考えているところです。このため、庁内横断的なワーキンググループを設け、行政各分野のデジタル化の取り組みを推進してまいります。
次に、5つの基本政策と3つの横断的な政策に係る平成31年度の取り組みに関し、まず、経済の活性化についてご説明申し上げます。
(1)第3期産業振興計画のバージョンアップ
平成21年度に産業振興計画がスタートしてから、まもなく10年が経とうとしております。この間、「地産外商」を戦略の柱として、PDCAサイクルによる検証を徹底しつつ、ボトルネックを解消し、牽引役を育て、経済の好循環を創出する一連の取り組みに全力を挙げてまいりました。また、こうした施策群を特に中山間地域で展開することを意識するとともに、県内全域に経済効果を波及させるため、クラスター化や県内外のネットワークづくりに取り組んでまいりました。
こうした産業振興計画の取り組みに多くの方々にご参画をいただき、様々なチャレンジがなされた結果、本県の地産外商は飛躍的に拡大しており、各分野の産出額なども増加傾向にあります。また、県内実質GDPを見ましても、かつてはマイナス成長であったものが、連年のプラス成長へと転じております。こうしたことから、本県経済は今や人口減少下においても拡大する経済へと構造を転じつつあるものと捉えており、この拡大傾向をより強固なものとし、先々にわたるまで県勢浮揚を確かなものにしていくことが現下の課題であります。
第3期産業振興計画の最終年度となる平成31年度においては、現計画の総仕上げに向けて目標達成に必要な施策を強化するとともに、5年後、10年後を見据えて、各分野の取り組みを大幅に強化してまいりたいと考えております。
このため、まず、全ての産業分野において「継続的に新たな付加価値の創造」を促す仕組みを質、量ともに充実させてまいります。特に、IoTやAIなどのデジタル技術は、県内のあらゆる分野の課題を解決する上で有効なツールとなり得るものであり、関連産業の集積に向けた取り組みを大幅に強化することとしております。あわせて、観光分野では、「自然&体験キャンペーン」の取り組みを進めることにより、中山間の各地域において、付加価値を付けて「外貨」を稼ぐ仕組みを新たに創出してまいります。
また、「交易の範囲の拡大」を図る取り組みにつきましては、これまでの地産外商の取り組みによって、国内向けの「外商」の範囲は着実に広がってきたものの、中長期的には人口減少に伴う国内マーケットの縮小にも備えていかなくてはなりません。このため、本県経済に一定インパクトを与えられるレベルまで、海外への輸出やインバウンド観光を拡充すべく、一連の施策と組織体制を抜本強化してまいります。
さらに、こうした取り組みを支える人材を積極的に育成するとともに、一層深刻化している人手不足や後継者不足の解決に向け、移住施策などと連動させた担い手確保の取り組みをスピード感を持って進めてまいります。
(2)各分野における地産外商の強化
続いて、各分野における強化の内容についてご説明申し上げます。
ア 農業分野
先日公表されました平成29年の本県の農業産出額は1,193億円と、産業振興計画がスタートする前の平成20年と比べて16.3パーセント増加しております。
この間、農業分野においては、地域で暮らし稼げる農業を目指して、オランダから学んだ環境制御などの技術を本県の実情に合わせて改良し、学び教えあう場などを通じて普及を図るとともに、産地提案型による担い手確保対策、流通規模に応じた販売体制の構築などに取り組んでまいりました。
また、平成29年の農業産出額は、担い手が減少する中にあっても前年より4.3パーセント増加し、伸び率は全国第5位となっています。その要因の一つとして、次世代型こうち新施設園芸システムをはじめとする環境制御技術の普及により、野菜の生産量が増加したことが挙げられます。
こうした流れを加速させていくため、最先端技術の導入や国内外への「外商」など、一連の施策をより一層強化してまいります。
まず、生産の拡大に向けては、次世代型こうち新施設園芸システムにAIなどの最先端の技術を融合させた「Next次世代型こうち新施設園芸システム」の開発に取り組み、さらなる収量増加や高品質化、省力化などを目指してまいります。さらに、この取り組みを通じて創出される全国初の技術を多種多様なシステムや新製品の開発につなげ、国内外に展開する新たな園芸農業関連産業群の創出につなげてまいりたいと考えております。
次に、流通の拡大に向けては、本年4月に新たにオープンするJA高知県の大規模直販所を核として、県外に向けた中規模、小規模流通の外商拡大を図ってまいります。その際、生産者の栽培方法や品質に関するこだわりも効果的に発信することにより、本県青果物全体の認知度や評価の向上を図り、基幹流通の需要の喚起にもつなげてまいります。
さらに、県と農業団体による「農産物輸出拡大プロジェクトチーム」を設置し、海外での販路拡大が期待できる品目の掘り起こしや、産地と連携した販促活動を行うなど、生産から販売までの関係者が一体となって輸出促進の取り組みを進めてまいります。
こうした取り組みを進めるにあたっては、併せて、生産を支える担い手の確保が不可欠であります。このため、雇用就農者はもとより、自営就農者のさらなる確保に向けて、親元就農者を増やすための取り組みを一層強化するなどしてまいります。
(新食肉センターの整備)
畜産振興に関しては、肉用牛の増頭対策などに取り組んでおり、例えば、土佐あかうしと黒牛の飼育頭数は、平成25年度の3,787頭から昨年度は約1.3倍の4,818頭と計画を上回るペースで増加するなど、生産の拡大が進んでいるところです。
こうした中、本県の畜産振興に不可欠な施設となる新たな食肉センターの整備に向けて、新会社の運営に関わる県やJAグループなどによる「高知県新食肉センター整備推進協議会」において、新センターの収支を慎重に試算し、精査した結果、初年度から黒字運営が可能となる見通しが改めて確認されました。このため、本年7月を目途に県とJAグループなどが出資する新会社を設立し、新センターの実施設計に着手したいと考えております。
また、四万十市の新たな食肉センターに関しては、昨年12月に開催された「四万十市新食肉センター整備検討委員会」において、と畜場と部分肉加工施設が一体化した施設を整備することや、運営を第三セクターが行うといったことなどを盛り込んだ基本計画案が取りまとめられました。
これらの食肉センターは、本県の畜産振興の観点から極めて重要な施設であることから、その整備に向けて、市町村やJAグループなどと一層連携した取り組みを進めるとともに、生産基盤の強化や販路拡大などにも取り組んでまいります。
イ 林業分野
林業分野においては、山で若者が働く全国有数の国産材産地を目指して、森林資源を余すことなく活用する仕組みを構築すべく、川上から川中、川下にわたる総合的な施策を展開してまいりました。
これまでの取り組みにより、平成29年の原木生産量は、平成20年と比べ59.8パーセント増となる66万8千立方メートルに拡大しております。
今後は、林業の成長産業化を目指して、市場ニーズのある付加価値の高い製品づくりや、そのための原木供給体制の確立、県産材の「外商」の強化、さらには全国的な木材需要の拡大といった取り組みを進めてまいります。
まず、原木生産のさらなる拡大に向けては、施業地の集約化を促進するとともに、路網整備を進めるなど、引き続き生産性の向上に努めてまいります。
また、付加価値の高い製品づくりに向けては、市場が求める乾燥度や強度などを満たすJAS製品を安定的に供給していくため、中小製材事業体間の共同による乾燥施設整備などを推進することにより、県を挙げてJAS製品の生産体制を強化してまいります。あわせて、内装材など高付加価値製品の開発を推進するため、セミナーの開催や専門家による個別相談を行うなど、県内事業者の新たな製品づくりを一層支援してまいります。
次に、県産材の販路拡大に向けては、TOSAZAIセンターにおいて、全国レベルの木造建築の専門家集団であるチーム・ティンバライズと連携し、個別に企業を訪問して積極的な提案型の営業活動を行うなど、「外商」の取り組みをさらに強化してまいります。
全国的な木材需要の一層の拡大に向けては、経済同友会や全国知事会の国産木材活用プロジェクトチームなどと連携し、公需、民需の両面から、非住宅建築物における木材活用の機運醸成などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。具体的には、企業など施主となる方々に国産材を活用することの意義などをしっかりと理解していただくためのセミナーや現地見学会などを実施してまいります。
また、非住宅木造建築物の設計に携わる建築士が全国的に不足していることから、全国の建築関連団体などと連携し、全国各地においてスキルアップに向けた講習会などの開催を進めてまいります。
あわせて、林業の担い手の育成確保に向けては、林業大学校において林業関係者のさらなる技術の向上を図るリカレント教育を充実するとともに、都市部におけるフォレストスクールの開催など移住施策と一体となった取り組みも進めてまいります。
ウ 水産業分野
水産業分野に関しては、平成28年の本県の沿岸漁業生産額は、養殖魚の生産量が減ったことなどから前年に比べ減少してはおりますものの、平成20年と比べると17.1パーセント伸びております。
この間、漁業生産の構造改革を進めるため、クロマグロなどの人工種苗生産技術の開発や定置網漁業などへの企業参入を促進するとともに、水産加工施設整備の支援などのクラスター形成や、大都市圏を中心に900店舗以上の登録がある「高知家の魚応援の店」を活用した「外商」の強化など、一連の取り組みを進めてきたところです。
今後は、これらの取り組みを着実に進めるとともに、IoTの導入促進などによる効率的な漁業生産体制への転換や、水産物の輸出の本格展開、担い手対策の抜本強化などに取り組んでまいります。
まず、IoTの導入促進に関しては、生産現場や流通の技術革新に取り組む「高知マリンイノベーション」を推進してまいります。具体的には、釣り漁業における操業の確実性の向上や漁場の探索にかかるコストの削減を図るため、出漁前に魚の蝟集状況を把握できるよう黒潮牧場にレーダーなどを設置するとともに、水温データなどを活用した漁場予測システムの開発に取り組みます。あわせて、定置網漁業や養殖業に大きな被害をもたらす急潮や赤潮の発生予測手法の開発を行うとともに、市場への自動計量システムなどの導入を進めてまいりたいと考えております。
次に、輸出の本格展開に向けては、本年3月に宿毛市に完成する県内最大級の水産加工施設において、クロマグロやブリなど養殖魚の加工を行い、国内はもとよりアメリカなど海外への輸出に積極的に取り組むこととしております。こうした動きと併せて、新たに中国などの有望市場において、養殖魚を中心とした多種多様な水産物の販路拡大に取り組んでまいります。
また、担い手対策に関しては、移住促進・人材確保センターとも連携し、住居や求人などの具体的情報を盛り込んだ漁村からの提案を積極的に発信してまいります。さらに、昨年10月に設置した漁業就業支援センターを一般社団法人化することにより組織体制を強化し、座学研修や産地市場での体験実習などの研修内容の充実を図るほか、漁業者の子弟の就業に係る支援制度を導入するなど、全国でもトップクラスの手厚い支援を実施してまいります。
エ 食品分野
本県の食料品製造業出荷額等は、平成28年には1,080億円となり、平成20年と比べて18.8パーセント増加しております。
この間、市場のニーズを踏まえた商品づくりや生産管理の高度化などの「地産」の強化と、地産外商公社の活動を中心とした国内での販路開拓や、ユズ、土佐酒をはじめとする食料品の輸出の本格化などの「外商」の強化に全力で取り組んできたところです。
その結果、アンテナショップにおいて年間に扱う商品数が、当初の1,400商品程度から近年は2,500商品程度にまで増加するとともに、地産外商公社の支援による昨年度の成約件数が平成21年度の50倍を超えるなど、着実な成果につながっております。
今後は、こうした拡大傾向をより確かなものとするため、市場が求める商品づくりを促す仕組みの強化や、国内外への「外商」の拡大に一段と力を入れて取り組んでまいります。
まず、商品づくりについては、食に関わる産学官の関係者が学びあう場として昨年度スタートした食のプラットホームをより積極的に活用したいと考えており、セミナーや勉強会など事業者の学びの機会を一層充実するほか、専門家による伴走型の支援策を強化してまいります。あわせて、工業技術センターによる商品開発支援や、商品づくりの土台となる県版HACCP認証の取得支援についてもさらに強化してまいります。
「外商」の拡大については、国内においては、地産外商公社がこれまでに築いてきたボランタリーチェーンなどとの関係を生かして、その活動エリアを新たに関東以北にも本格的に広げるとともに、業務筋への外商拡大にも一層取り組んでまいります。また、公社の県内における活動を強化し、「外商」に参画する事業者のさらなる掘り起こしを図るほか、地域商社の主体的な外商活動への支援を充実してまいります。
さらに、輸出に関しては、水産物と土佐酒、ユズなどを一体的に売り込む取り組みを強化するとともに、地産外商公社の機動力や情報を活用して、新たに輸出に取り組む企業の掘り起こしや国内商社への営業活動を強化してまいります。また、海外の商社などとの連携を強化し、アメリカやヨーロッパなどの重点市場において、情報収集や販路開拓、その後のフォローアップを行う一連の支援体制の構築に取り組んでまいります。
オ ものづくり分野
ものづくり分野に関しては、平成28年の製造品出荷額等は5,678億円と、平成20年と比べ約190億円の減少となったものの、大企業の生産拠点再編に伴う大幅な減少があった電子部品を除くと約380億円、7.6パーセント増加しております。
この間、高知発のものづくりを国内外へと展開するため、生産性向上につながる設備投資や付加価値の高い製品開発の推進、ものづくり地産地消・外商センターによる外商支援に取り組むなど、事業者のものづくりを一貫して支援してまいりました。
来年度は、ものづくりの地産外商をさらに強化していくため、引き続き、高付加価値な製品づくりと「外商」の拡大を促進してまいります。
まず、高付加価値な製品づくりに向けては、引き続き、ものづくり企業の製品開発を技術面、費用面で支援するとともに、防災関連産業に関する製品開発ワーキンググループを新たに立ち上げ、防災現場の課題に応じた価値提案型の製品開発を促進してまいります。
次に、「外商」の拡大に関しては、防災関連製品の市場動向に精通したアドバイザーの委嘱や外商コーディネーターの増員により支援体制を強化し、市場拡大が見込まれる関西や中国地方なども含めて販路開拓を進めてまいります。
また、ものづくり分野の海外展開については、東南アジアなどを商圏とする国内外の商社と県内企業とのマッチングを図るとともに、現地のコンサルタントも活用し、海外見本市への出展を通じた営業活動やアフターフォローを行う体制を強化してまいります。あわせて、国際協力機構や日本貿易振興機構、高知県工業会などの関係機関と連携し、海外展開に踏み出す企業の掘り起こしから、現地情報の収集や専門家派遣、さらにはODA事業の活用のサポートまで一貫して企業の海外展開を支援してまいります。
こうした取り組みと併せて、引き続き、産業振興センターなどと連携して、様々な取り組みの土台となる事業戦略や経営計画などの策定と実行を支援してまいります。
カ 商工会・商工会議所の支援
商工会や商工会議所においては、地域経済の維持、発展に向けて、事業者の経営計画の策定や実行支援、商店街の活性化などに取り組んでいるところです。
こうした中、商工会などに対する補助制度については、これまで、会員数の減少などに伴って補助が縮小する仕組みとなっておりました。しかしながら、近年、商工会などに求められる役割は、地域の縮小に対抗してその活性化を図るため、質、量ともにむしろ増加してきております。
このため、今般、制度の見直しを行い、しっかりとした事業計画に基づき、地域経済の活性化に主体的に取り組もうとする商工会、商工会議所を力強く支援する補助制度としたいと考えたところです。
あわせて、来年度からは、経営支援コーディネーターを新たに2名増員して7名体制とすることにより、商工会による経営計画策定支援などの取り組みに対するサポートを拡充いたします。
キ 観光分野
(志国高知 幕末維新博)
一昨年3月から約2年間にわたり開催してまいりました「志国高知 幕末維新博」は、先月末をもって閉幕いたしました。第一幕開幕と同時にオープンしたメイン会場の高知城歴史博物館、そして第二幕開幕と同時にグランドオープンした坂本龍馬記念館をはじめとする25会場には、期間中334万人を超える方々にお越しいただきました。
この幕末維新博の開催を通じて、県内各地の歴史観光基盤の磨き上げが大いに進んだものと考えております。ご協力をいただきました関係者の皆様方に改めて感謝申し上げます。
また、昨年の県外観光客入込数は、豪雨や台風などの影響がありましたものの、1月から6月まで好調であったことや、秋以降は、好天に恵まれるとともに、国の観光復興に向けた取り組みや幕末維新博関連のイベントが功を奏したこともあって例年以上の伸びとなり、年間を通じた推計値は約441万人と、過去最高を記録した前年とほぼ同水準となったところです。
引き続き、435万人観光の定常化を目指すとともに、本県の強みである食、歴史、自然といった資源をさらに磨き上げ、本県観光のステージアップに向けた取り組みを展開してまいります。
(自然&体験キャンペーン)
今月1日、「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」が開幕いたしました。スタートイベントを開催したJR高知駅前のこうち旅広場の会場には、3日間で9千人を超える方々にお越しいただき、また、新たな園地がオープンした牧野植物園にも、昨年同期の約4割増となる1,400人を超える方々にご来場いただいたところです。さらに、本キャンペーンの特設サイトへのアクセス数は、一昨日までの19日間で幕末維新博の開幕時を上回る7万件に上るなど、順調なスタートを切ることができたと感じております。
来年12月までの約2年間にわたる「自然&体験キャンペーン」を通じて、旅行商品を「つくる」「売る」「もてなす」という一連のサイクルにより、これまで磨き上げてきた食や歴史資源に加え、本県のもう一つの強みである自然や体験資源を観光資源としてさらに磨き上げてまいります。
また、自然景観などの観光資源は、とりわけ中山間地域に多く存在していることから、このキャンペーンの取り組みは中山間対策に直結するものであります。民間活力も導入し、また集落活動センターの取り組みとも連動させながら、地域地域において新たな付加価値を付けて「外貨」を稼ぐ仕組みを構築することにより、中山間振興にもつなげてまいりたいと考えております。
さらに、こうした自然体験型観光は外国人観光客の関心も高いことから、キャンペーンを通じてインバウンド観光への対応も強化してまいります。
このため、まず、旅行商品を「つくる」取り組みにおいては、市町村などと連携して、より魅力的な景観地やアウトドア体験施設などの整備を促進するとともに、土佐の観光創生塾などを通じて体験プログラムなどの磨き上げを行い、新たな旅行商品を造成してまいります。あわせて、地域の食や歴史資源などと組み合わせた観光クラスターの形成を進め、観光客の周遊を促進してまいります。
次に、旅行商品を「売る」取り組みにおいては、他県との差別化を図るため、県内の体験プログラムなどの情報を一元的に集約し、予約までスムーズに誘導する機能を持たせた本県独自の特設Webサイトなどを活用して、工夫を凝らした効果的な情報発信を行ってまいります。あわせて、旅行会社へのセールス活動も引き続き積極的に展開してまいります。
また、「もてなす」取り組みにおきましては、県内に50カ所以上ある観光案内所において、観光客のニーズに応じたきめ細かな情報提供が行えるよう機能の充実を図ってまいります。さらに、各サイトのサービスの改善、レベルアップにつなげていくため、各案内所やWebサイトなどを通じて得られた観光客からの評価を観光事業者の皆様にフィードバックする取り組みも新たに行ってまいります。
(国際観光の推進)
国際観光に関しては、近年、クルーズ客船の寄港の増加に伴い、外国人観光客の入込数は増えているものの、外国人の旅行形態が団体旅行から個人旅行型にますます移行していることなどから、本県における外国人の延べ宿泊者数の伸びは足踏み状態となっております。
このため、ラグビーワールドカップ2019や2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催を追い風に、またインバウンドに適した「自然&体験キャンペーン」の取り組みを生かし、次の4つの対策を柱として、外国人観光客のさらなる誘客拡大に取り組んでまいります。
第一は、「プロモーション対象市場の拡充」であります。来年度は台湾、香港、シンガポール、タイに加え、中国や韓国において新たに本県観光のセールス拠点を設置し、個人や団体向けの旅行商品の販売促進を図ってまいります。また、自然や文化体験に関心の高いアメリカとオーストラリアの市場に向けて、在日外国人の専門家をコーディネーターとして配置し、本県の持つ魅力を生かした旅行商品の充実と販売強化に取り組んでまいります。
第二は、「SNSを活用した個人旅行者向けの情報発信の強化」であります。現在、クルーズ客船の外国人観光客などから好評を得ている観光施設やサービスについて、海外の旅行会社やメディアの目線で取材した内容を、海外向けの観光情報サイトである「VISIT KOCHI JAPAN」と連動させてSNSで情報発信する取り組みを始めているところです。今後は、こうした取り組みにより得られたユーザーの反応を旅行商品づくりや情報発信の手法の改善に生かし、さらなる個人旅行客の誘客に努めてまいります。
第三は、「アクセス環境の充実とチャーター便の誘致拡大」であります。高知龍馬空港の国際化も視野に入れ、その機能の拡充に向けた検討を進めるとともに、将来の定期路線化も見据えて、チャーター便の誘致拡大に取り組んでまいります。
第四は、「四国4県の連携推進」であります。四国ツーリズム創造機構と四国4県が連携し、海外における旅行博への出展や海外旅行会社の招へいを促進するとともに、四国周遊商品の造成や販売強化などにも取り組んでまいります。
こうした一連の取り組みを通じて、本県のインバウンド観光のステージアップを図り、産業振興計画の目標に掲げる外国人の延べ宿泊者数30万人泊の早期実現を目指してまいりたいと考えております。
ク 輸出や国際観光の本格展開に向けた連携強化
これまで申し上げましたとおり、今回の産業振興計画のバージョンアップにあたっては、輸出の拡大や国際観光の推進など、各分野の海外展開に向けた施策を本格化することとしております。このため、日本貿易振興機構との連携を一段と強化するとともに、ターゲットとするそれぞれの国や地域において、県の海外事務所や、輸出やインバウンド観光に係る海外拠点、同機構の現地事務所などとのネットワークの構築に取り組んでまいります。
これにより、食品やものづくりなどの各分野の輸出とインバウンド観光推進などの取り組みを、相乗効果をもたらすよう一体となって進めていく体制を整えてまいります。
(3)各分野に横断的に関わる取り組み
ア 移住促進施策のバージョンアップ
移住促進については、これまで、移住促進・人材確保センターを中心に、市町村や関係団体との連携の下、オール高知の体制で取り組みを進めてまいりました。
その結果、本県への移住者数は順調に伸びており、先月末時点の移住者は、対前年同期比15パーセント増の732組と、本年度の目標である年間移住者900組の達成が目前となっております。
しかしながら、人口の社会増減の均衡に向けては、これまでの目標である年間移住者1,000組の定常化を超えて、移住者のさらなる増加を図ることが必要であると見込まれます。また、近年、地域間の競争が激しくなっていることにも鑑みれば、本県の移住促進策をもう一段強化する必要があると考えているところです。
このため、来年度は、移住促進・人材確保センターに新たにコーディネーター3名を加え、各産業分野の事業戦略策定支援や担い手確保対策とも連動させながら地域に潜在する人材ニーズの掘り起こしを進めるとともに、その情報を都市部の方々に効果的に発信する一連の取り組みをさらに強化してまいります。
特に、中山間地域においては、後継者不足などを理由に事業の拡大や継続を断念するケースが数多く見受けられますことから、商工会や商工会議所と連携し、経営計画の策定支援などを通じて人材ニーズを掘り起こし、地域外からの移住につなげる取り組みをスピード感を持って進めてまいります。
また、本県ならではの二段階移住の取り組みを力強く進めるとともに、国の「わくわく地方生活実現政策パッケージ」による支援策も活用して、首都圏からのUIJターンを一層促進してまいります。
さらに、企業などの受入体制の確保も併せて重要であることから、インターンシップの拡充や、働き方改革の促進などの一連の取り組みもしっかりと進めてまいります。
イ 起業や新事業展開の促進
継続的に新たな付加価値の創造を促す仕組みの一環として、起業や新事業展開の促進にも積極的に取り組んでいるところです。
昨年度スタートした総合的支援プログラムである「こうちスタートアップパーク」には、延べ600人を超える方々が参加され、こうち起業サロンの会員もおよそ350人となるなど、本県における起業に向けた機運は着実に拡大してきているものと考えております。
また、こうした取り組みなどを通じて起業や事業化に至った件数は39件に上っており、中には県産品を生かした地ビールの製造販売や、商店街の賑わい創出につながるゲストハウスの開設といった好事例も生まれてきております。
来年度は、県内各地において起業のさらなる機運の醸成を図るとともに、より成長性の高い事業創出などを目指して支援プログラムを充実させたいと考えております。
具体的には、本県の強みである第一次産業や食などの分野において、県内の起業希望者と都市部の実績ある起業家がチームを組み、課題発見から試行的な事業開発までを協働で行う人材育成プログラムを新たに実施し、成長性の高い事業を生み出すためのノウハウの習得などを支援してまいります。
また、県東部と西部において、起業経験者による個別相談や体験プログラムを実施するとともに、地方でのチャレンジに関心のある都市部の方々を対象として、起業セミナーや事業化プログラムを開催してまいります。その際には、国の支援策も有効に活用し、起業と移住を組み合わせた取り組みを拡充してまいります。
あわせて、こうした取り組みを通じて得られた人脈をこうちスタートアップパークをはじめとする県内の起業家のネットワークにつなげ、県内における起業のさらなる拡大を図ってまいりたいと考えております。
ウ 高知版Society5.0の実現
我が国においては、IoTやAI、ビッグデータなどの最先端のデジタル技術の革新が、社会や経済のあらゆる分野に変革をもたらしており、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く第5の社会、いわゆる「Society5.0」の実現に向けた動きが急速に進展しているところです。
本県においても、これらの最先端技術を活用して様々な分野の課題解決を図るとともに、この過程を通じて開発されたシステムの地産外商や企業集積により産業振興を目指す「高知版Society5.0」の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。このため、次の3点を柱として取り組みを抜本強化してまいります。
まず一点目は、IT・コンテンツ関連産業の集積の加速化であります。これまで、首都圏からの企業誘致や人材の育成確保などの取り組みを一体的に進めてきた結果、立地企業数が18社、新規雇用者数が約240人となるなど、関連産業の集積が着実に進んできております。来年度はこうした動きのさらなる加速化を図るため、これまでの取り組みをもう一段、充実強化したいと考えております。
具体的には、従来からのIT・コンテンツ関連企業に加えて、Society5.0に関連する幅広い分野の企業誘致を推進してまいります。また、IT・コンテンツアカデミーにAIなどの技術を学ぶ講座を新設するとともに、県外における人材の掘り起こしから県内企業とのマッチングまでをトータルで推進する仕組みを構築するなど、人材を育成、確保する取り組みについても充実強化してまいります。
二点目は、現場のニーズに対応した機械の開発やIoT技術の導入などにより、第一次産業や中山間地域などの様々な課題の解決を図るとともに、開発された機械やIoTシステムなどの「外商」を促進する「課題解決型の産業創出」の加速化であります。
これまで、高知県IoT推進ラボ研究会を中心とした官民協働の取り組みにより、第一次産業分野を中心に51件のニーズを抽出し、このうち32件がプロジェクトの創出や製品完成に至るなど、新たなビジネスにつながる動きが醸成されつつあります。今後は、こうしたデジタル技術の活用を第一次産業だけでなく福祉や医療、防災など様々な分野に拡大するため、「高知デジタルフロンティアプロジェクト」を展開してまいりたいと考えております。具体的には、南海トラフ地震対策推進本部会議や日本一の健康長寿県構想推進会議をはじめとする県の本部会議ごとにそれぞれの現場のニーズを抽出し、その情報を基に民間企業と連携してIoTシステムの開発を行うなどといった取り組みを進めてまいります。
また、最先端の技術シーズを持つ県外企業と県内企業が連携して実証実験を行う仕組みを構築することにより、Society5.0関連の実証フィールドとしての本県の地位を確立し、県内における様々な課題解決や、高度なデジタル技術を持つ企業の集積の加速化を目指してまいります。
さらに、三点目として、デジタル技術に関するワンストップ相談窓口を商工労働部内に設置し、個別相談やIT企業とのマッチングを行うなど、県内企業におけるデジタル技術の導入を積極的にサポートしてまいります。これにより、業務の効率化とコスト削減を図るなど、県内企業の生産性向上に向けた取り組みをさらに促進するとともに、新たな商品やサービスの創出にもつなげてまいりたいと考えております。
以上のように、抜本強化した一連の取り組みを総合的に推進することにより、IT・コンテンツ関連産業の集積が課題解決型の産業創出を促進し、この取り組みが企業立地の呼び水となって関連産業の集積がさらに進むという好循環の創出を図り、「高知版Society5.0」の実現につなげてまいります。
次に、日本一の健康長寿県づくりについてご説明申し上げます。
(1)全国知事会社会保障常任委員会などの取り組み
昨年7月の全国知事会議で決議された「健康立国宣言」に基づき、私が委員長を務める全国知事会社会保障常任委員会を中心に、全都道府県参画の下、持続可能な社会保障制度の構築に向けた取り組みが精力的に進められております。
具体的には、全国知事会に設置された「重症化予防」など21のカテゴリーからなるワーキングチームにおいて、各都道府県が先進事例や優良事例をお互いに学び合い、その横展開を図るとともに、それぞれの施策を深化させようと取り組んでいるところです。
さらに、有識者との意見交換などを通して得られた知見などを基に、本年4月を目途として、「健康立国宣言」の実現に向けた提言の取りまとめを行い、国などに対して、提言活動を行っていくこととしております。
こうした取り組みは、持続可能な社会保障を目指すという点において、国の「新経済・財政再生計画 改革工程表2018」とも方向性は同じであることから、引き続き、21のワーキングチームにおいて優良事例の横展開などをさらに進めていくことにより、改革工程表の諸項目の進展にもつなげてまいりたいと考えております。
(2)日本一の健康長寿県構想の改定
今般、こうした全国知事会の取り組みなども参考にしつつ、5つの柱からなる日本一の健康長寿県構想の各施策をさらに充実強化し、同構想をバージョン4へと改定いたしました。
ア 壮年期の死亡率の改善
一つ目の柱であります「壮年期の死亡率の改善」を図るためには、県民の皆様の健康意識をさらに醸成するとともに、疾病の早期発見、早期治療につながる取り組みを着実に進めていくことが重要であります。
このため、子どもの頃から正しい生活習慣を身に付けるための健康教育をはじめ、高知家健康パスポート事業やがん検診及び特定健診の受診率向上対策など、年齢層に応じた取り組みを進めているところです。あわせて、壮年期の死亡原因の約2割を占める心疾患や脳血管疾患の原因となる血管病の重症化予防対策として、受診勧奨やかかりつけ医と連携した保健指導の取り組みも進めております。
来年度は、特に、糖尿病で通院する患者のうち重症化するリスクの高い方に対する保健指導を一層強化することとし、市町村へ専門家をアドバイザーとして派遣するなど、全国知事会のワーキングチームで学んだ全国の優良事例も参考にしながら、保健指導の取り組みをさらに充実してまいります。
イ 地域地域で安心して住み続けられる県づくり
二つ目の柱の「地域地域で安心して住み続けられる県づくり」の実現に向けては、高齢者一人ひとりの状況に応じて医療、介護、福祉のサービスを切れ目なくネットワークとしてつなぐ高知版地域包括ケアシステムの構築が重要となってまいります。
このため、現在、各福祉保健所に配置している地域包括ケア推進監を中心に、各市町村や関係者の皆様と連携しながら、支援が必要な高齢者を把握する仕組みづくりや、入退院から在宅生活への円滑な移行の実現など、地域地域の課題の解決に向けた具体的な対応策の検討を進めているところです。引き続き、市町村などと連携し、サービス資源の量的な拡充やネットワークのさらなる強化に取り組んでまいります。
あわせて、地域における医療、介護、福祉のネットワークをさらに強固なものとするためには、これらの核となる各市町村の地域包括支援センターの機能強化がますます重要となります。このため、来年度は、地域包括ケア推進監と市町村が連携して、各センターにおける課題解決に向けた取り組みなどを支援してまいります。
また、地域包括ケアシステムをICTを通じて支える基盤となる地域医療介護情報ネットワークシステムについては、現在、高知県医師会や医療機関で構成される協議会において、本年10月からの稼働に向けて作業が進められているところです。今後は、幡多圏域で先行して取り組まれている「はたまるねっと」とも連携を図り、県内全域を対象とした地域医療介護情報ネットワークを構築し、効果的かつ切れ目のない治療などにつなげてまいります。
(地域医療構想)
医療分野に関しては、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を見据え、地域の実情に応じた効率的かつ質の高い医療提供体制の構築を目指して、地域医療構想を推進しております。
現在、各圏域に設置した地域医療構想調整会議において、その地域の中核となる医療機関などを中心に、関係者間でそれぞれの医療機関が担う機能や必要な病床数などについての協議が進められているところです。
さらに、今後は、医療機関がより詳細な検討を行い具体的な行動に移すことができるよう、検討段階から体制整備の段階まで一貫した支援をより強力に行ってまいりたいと考えております。
具体的には、各医療機関がよりふさわしい病床機能を考える際に参考となる客観的な指標をお示しするとともに、病床機能の転換を検討するために各医療機関が経営シミュレーションを行うことなどを支援するほか、複数の医療機関間の連携に向けた検討を促進してまいります。
また、各医療機関が介護医療院への転換を機に行う耐震化などに対する支援に加え、医療需要に応じた病床のダウンサイジングに対する支援策も拡充いたします。
こうした取り組みは、地域地域における医療や介護の需要の変化に応じて、バランスの取れたサービス提供体制の構築を目指そうとするものであり、ひいては一人ひとりの生活の質、いわゆるQOLを先々にわたって高めることにもつながるものと考えられます。地域地域において2025年のあるべき医療提供体制が構築されるよう、引き続き関係機関とも連携しながら取り組みを進めてまいります。
ウ 厳しい環境にある子どもたちへの支援
三つ目の柱であります「厳しい環境にある子どもたちへの支援」については、妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援体制を充実することが重要であります。このため、厳しい環境にある親子をリスクに応じた適切な支援につなげるとともに、少子化対策にも資する施策として、高知版ネウボラの取り組みを進めているところです。
本年度は、高知市といの町において、妊婦や子育ての支援に関わる各機関が参加し、現状や課題などについて協議するネウボラ推進会議を開催するなど、この2市町を重点的に支援してまいりました。
来年度は、ネウボラ推進会議の開催を他の市町村にも広げるとともに、各市町村における妊娠、出産、子育ての総合相談窓口となる子育て世代包括支援センターの機能強化や、多機能型保育事業所などのサービスの拡充を支援してまいります。あわせて、妊娠、出産、子育ての支援に携わる各機関の方々が定期的に情報共有する会議の設置を促進してまいります。
エ 少子化対策の抜本強化
四つ目の柱であります「少子化対策の抜本強化」については、引き続き、出会いの機会の拡充や働きながら子育てしやすい環境づくりに向けた取り組みなどを充実してまいります。
出会いの機会の拡充については、これまでの取り組みの結果、こうち出会いサポートセンターのマッチングシステムや婚活サポーターなどによるお引き合わせ成立数が先月末までに15,978組となり、その後、4,264組がマッチングに至るとともに、県の支援を通じた成婚報告数がトータルで200組を超えるなど、一定の成果が上がってきております。来年度は、市町村や地域の皆様と一層連携して、マッチングシステムの出張登録閲覧会を開催するとともに、婚活サポーターの協議会を設置するなど、出会いや結婚への支援を希望する方々に対するサポートを、地域地域において充実させてまいります。
また、働きながら子育てしやすい環境づくりに向けては、先月末時点で 314の企業や団体トップの皆様に「育児休暇・育児休業の取得促進宣言」にご賛同いただくなど官民が協働して取り組んでいるところです。今後は、日ごろから休暇を取得しやすい職場環境の整備に向けて、時間単位の年次有給休暇の導入や働き方改革などの取り組みを支援してまいります。
あわせて、先月開催いたしました高知県少子化対策推進県民会議において、全ての構成団体の皆様から、安心して子育てできる環境づくりなどに向けて自ら主体的に取り組む92の宣言と145の取り組みを発表いただいたところです。少子化対策の取り組みが県民運動として展開していくこととなるよう、引き続き構成団体の皆様と共に取り組んでまいります。
オ 医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化
五つ目の柱であります「医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化」については、介護職員の定着促進に向け、業務の一層の効率化や負担軽減を図ることが重要であります。このため、本年度から本格的に開始した介護事業所認証評価制度の運用を通じて、魅力ある職場環境の整備を進めてまいります。
具体的には、認証評価制度に関するセミナーの開催や個別のコンサルティングを実施するとともに、新たに認証取得を目指す事業所の掘り起こしを行ってまいります。また、介護記録から請求業務までを一括して行うことのできるICTの導入を新たに支援するとともに、福祉機器の導入支援の対象を居宅系事業所にまで拡大し、抱え上げない介護、いわゆるノーリフティングケアをさらに推進してまいります。
次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。
「教育等の振興に関する施策の大綱」に基づく取り組みについては、総合教育会議において進捗管理を徹底してきたところであり、それぞれの成果や課題を踏まえ、来年度に向けて同大綱の改訂を行うこととしております。
(1)小中学校における授業改善の取り組み
小中学校における授業改善に関しては、本年度は、中学校において、複数の教員が学年をまたがり同じ教科を担当する「教科のタテ持ち」を県内31校で実施するとともに、同じ教科の教員が複数配置されていない小規模校においても、教科の枠を越えたチームによる定期的な話し合いを行ってまいりました。来年度は、これらの取り組みを103の市町村立中学校全てにおいて実施してまいります。あわせて、小学校においても、新たに若年教員を育成するためのメンター制を導入するなど、学校がチームとして不断に授業改善を図る仕組みを県内全域で構築してまいります。
小中学生の学力向上を図る上では、特に県内の児童生徒の約半数を抱える高知市における取り組みの強化が不可欠であります。このため、本年度は高知市の学力向上推進室に県から7名の指導主事を派遣し、さらに10月からは県教育委員会の指導主事3名を加え、課題の見られる学校への訪問指導を強化してまいりました。これにより昨年4月から先月末までに延べ1,695回の学校訪問が行われ、各学校の課題に応じたきめ細かな指導助言が実施されるなど、授業改善に向けた取り組みが確実に進んできております。
来年度は、県から派遣する指導主事をさらに3名増員することにより、訪問指導体制の強化を図り、県と高知市との連携による学力向上対策を一層徹底してまいります。
(2)高等学校における学力向上に向けた取り組み
高等学校における学力向上に向けた取り組みに関しては、各学校の学校経営計画や学力向上プランの進捗管理を徹底しているところです。あわせて、本年度設置した学校支援チームが、昨年4月から先月末までに延べ834回の学校訪問を実施し、全ての県立高等学校を対象に授業改善や学校運営に関する指導を行っております。
来年度からは、新たに全国的に導入される「高校生のための学びの基礎診断」を活用して生徒の基礎学力の定着度合を測り、その結果を各学校における学力向上プランや授業改善の充実につなげる一連の取り組みをスタートいたします。あわせて、学校支援チームの活動を強化し、授業改善の取り組みがさらに広がるよう教員の意識改革を促していくとともに、授業以外での学習時間を一層確保するための取り組みも進めてまいります。
(3)不登校の予防と支援に向けた体制の強化
厳しい環境にある子どもたちへの支援に関しては、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置拡充や校内支援会の充実を図るなど、いじめや不登校の予防と支援に取り組んでまいりました。しかしながら、依然として不登校の出現率は全国平均より高い状況が続いております。このため、スクールカウンセラーのスーパーバイザーや指導主事などで構成する「不登校対策チーム」が、昨年11月から各学校や市町村教育委員会を訪問し、学校における組織的な対応の把握や、児童生徒の状況に応じた適時適切な支援に関しての助言を行っているところです。
さらに来年度は、不登校児童生徒数の約半数を抱える高知市における対策の強化を図ることとしております。具体的には、高知市が新たに配置する不登校対策アドバイザーと県の不登校対策チームが連携して市内の各学校を訪問し、不登校の未然防止に向けた学級づくりや、子どもの状況に応じたきめ細かな対応を各学校が組織的に行えるよう指導を充実してまいります。また、各市町村教育委員会との連携も強化し、地域における不登校児童生徒への学習支援などのさらなる充実に努めてまいります。
(4)教員の働き方改革の推進
子どもと向き合う時間を確保するとともに、教員の肉体的、精神的な負担を軽減するため、本県においても、教員の働き方改革をスピード感を持って進めていかなくてはなりません。
具体的には、国の事業を活用して、先進的に業務改善に取り組む実践研究校を高知市立の小中学校10校から59校全てに拡大するとともに、教員の事務的業務を補助するスクール・サポート・スタッフの配置を現在の20人から30人まで拡充してまいります。あわせて、教員の成績処理や出欠管理などの事務負担を大幅に軽減するための校務支援システムを、今後2カ年のうちに県内全ての市町村に導入したいと考えており、まずは来年度、公立小中学校の約7割に導入できるよう、市町村を支援してまいります。
また、長時間勤務の要因であり、負担感が大きいとされる部活動については、昨年策定したガイドラインに沿って、適切な活動時間や休養日の設定などに取り組むとともに、顧問に代わり単独で指導や引率が可能な部活動指導員を28人から74人へと大幅に増員するなど、外部人材の活用も拡大してまいります。
(5)高等学校再編振興計画後期実施計画の推進
次に、昨年12月に策定されました県立高等学校再編振興計画の後期実施計画についてご説明申し上げます。
高等学校は、地域における教育の重要な拠点であるとともに、住民の皆様の生活にも関わる大切な施設であり、とりわけ中山間地域においては、各々の地域における存在意義は極めて大きなものがあります。このため、中山間地域の高等学校については、少子化の進行に伴い一層の生徒数の減少が見込まれる中にあっても、できる限りその存続を図る必要があると考えております。このため、可能な限り各学校の機能の維持、拡充を図るとともに、魅力と特色ある学校づくりを進めていくことが重要となってまいります。
具体的には、まず、中山間地域の小規模な高等学校全てに遠隔教育システムを整備してまいります。この取り組みは、地域間における教育機会の格差の解消を図り、地域の子どもたちが地元を離れることなく、中心部の大規模校と同様に希望する進路を実現できるようにすることを目指すものであり、併せて中山間地域への移住の後押しにもつながるものと考えております。来年度は、同システムにおいて、大学進学に向けた進学指導講座や就職に必要な資格試験講座などの配信をスタートさせることとし、さらに、高知県情報ハイウェイにおける通信環境が整う再来年度からは、数学や物理などの教科について単位として認定できる授業を実施してまいりたいと考えております。
また、地元からの進学率の向上はもとより、県内外からの生徒の確保につなげていくためにも、魅力と特色ある学校づくりにさらに力を入れてまいります。例えば、部活動に関しては、地元中学校と連携した活動を充実させるとともに、より全国上位を目指すことのできる優秀な指導者の招へいや練習環境の整備を進めてまいります。あわせて、地元の市町村や企業と連携して地域の課題解決に取り組む学習を推進するなど、その地域ならではの教育内容の充実を図ってまいります。
さらに、市町村においても、移住や交流人口の拡大といった地域の活性化や、生涯学習の拡充など地域の教育力向上のために、中山間地域の県立高等学校を有効に活用しようという検討が行われ始めております。県としましても、中山間地域の振興の観点も踏まえて、こうした市町村の取り組みを力強く支援してまいりたいと考えております。
次に、南海トラフ地震対策についてご説明申し上げます。
第3期までの南海トラフ地震対策行動計画に基づき、津波避難空間の整備など様々な対策を進めてまいりました結果、想定死者数は第2期当初の約4万2千人から約1万1千人へと約74パーセント減少する見込みであります。
来年度からの第4期行動計画においては、これまでの行動計画を土台として、各取り組みの進捗状況について定量的な分析を行い、「南海トラフ地震に関連する臨時情報への対応」や「要配慮者支援対策の加速化」といったより難易度の高い課題にも正面から立ち向かうとともに、時間軸をこれまで以上に長く捉え、復旧期まで視野に入れた取り組みも実施してまいります。
具体的には、第4期計画において、想定死者数を約5,800人にまで減少させることを目標として、次の10の重点課題を柱としてより積極的に対策を進めてまいります。
(1)住宅の安全性の確保
重点課題の一つ目は、住宅の安全性の確保であります。住宅の耐震化は、強い揺れから身を守るのみならず、迅速な避難確保の点からも重要であるなど、様々な地震対策の「入口」となるものであります。このため、本年度拡充された国の補助制度も積極的に活用するとともに、全ての市町村において戸別訪問による啓発を継続するなど、スピードを緩めることなく取り組みを進めてまいります。あわせて、ブロック塀の安全対策や家具の転倒防止対策も着実に進めてまいります。
(2)地域地域での津波避難対策の充実
二つ目は、地域地域での津波避難対策の充実であります。第3期行動計画期間中に全沿岸域で実施した津波避難経路の現地点検の結果、倒壊の恐れのある住宅やブロック塀などにより、迅速な避難が妨げられる可能性があるといった地域ごとの課題が明らかとなりました。
このため、住宅などの所有者に対する啓発を強化するとともに、避難の実効性の確保に向けて、障害物の除去や自主防災組織による避難訓練などの取り組みを支援してまいります。
(3)南海トラフ地震に関連する臨時情報への対応
三つ目は、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合に発表される、いわゆる臨時情報への対応であります。県としましては、一人でも多くの県民の皆様の命を守るため、この臨時情報が発表された場合には「空振り」を恐れず、具体的な対応をとる必要があると考えております。
このため、本年度中に公表される予定となっている国のガイドラインを踏まえ、市町村と連携し、スピード感を持って地域防災計画や津波避難計画などの見直しを行ってまいります。また、臨時情報が発表された際に、財政的理由によって市町村が対応をためらうことがないよう、避難所の開設や運営に要する経費について、本県独自に支援してまいります。
(4)前方展開型による医療救護体制の確立
四つ目は、前方展開型による医療救護体制の確立であります。これまで、市町村や地域の医師会などと共に策定してまいりました医療救護の行動計画に関して、今後、訓練を重ねるなどしてより地域の実情に沿った形でバージョンアップを図ってまいります。
また、医療救護活動を担う人材育成の取り組みをさらに進めるとともに、孤立地域に医師などを搬送する体制も具体的に構築してまいりたいと考えております。加えて、DMATの抜本的な増強など、被災地外からの人的、物的支援の体制強化に国家的な課題として取り組むよう、引き続き国に対して提言してまいります。
(5)避難所の確保と運営体制の充実
五つ目は、避難所の確保と運営体制の充実であります。避難所については、これまでに約20万人分を確保したところですが、いまだに約3万人分が不足しております。このため、引き続き、地域の集会所の耐震化や学校の教室利用を進めるなどの対策を講じてまいります。
また、発災後、地域の皆様によって一定自律的に避難所の開設や運営を行っていただくことができますよう、引き続き、運営マニュアルの作成や開設訓練の実施、必要な資機材の整備などに対する支援を行ってまいります。
特に、運営マニュアルについては、配慮を必要とする高齢者や障害のある方への対応に加え、臨時情報が発表された際の運営方法を盛り込むなど、バージョンアップを重ねてまいります。
(6)地域地域に支援を行き渡らせるための体制の強化
六つ目は、地域地域に支援を行き渡らせるための体制の強化であります。発災後、できるだけ速やかに県内全域において救助をはじめとする応急活動を展開するとともに、支援物資などを各地に行き渡らせるためには、早期の道路啓開に加え、車両などの燃料の確保、物資配送体制の確立が重要であります。
このため、道路啓開計画のさらなる実効性の向上を図るとともに、物資配送体制の確立に向けて市町村の計画策定を支援し、訓練を通じて計画の実効性を高めてまいります。
また、国などからの燃料支援が届くまでの対策として、消防署などにおける備蓄を進めるとともに、県民運動として平時からこまめに自家用車などに満タン給油を行うよう啓発を強化してまいります。
(7)早期の復旧に向けた取り組みの強化
七つ目は、県民生活の早期復旧に向けた取り組みの強化であります。避難生活から一日も早く日常生活への復帰を図るためには、迅速な住宅の確保やライフラインの復旧、災害廃棄物の処理が必要となります。
このうち、ライフラインの復旧に関しては、事業者も参加した訓練や復旧資材確保の取り組みなどを具体的に進めてまいります。あわせて、病院や庁舎などの重要施設の被災状況を関係機関が共有するための仕組みづくりにも取り組んでまいります。
また、大幅に不足する応急仮設住宅建設用地や災害廃棄物仮置場について、民有地の活用など具体的な対応策を市町村と連携して検討してまいります。
(8)高知市の長期浸水域内における確実な避難と迅速な救助・救出
八つ目は、高知市の長期浸水域内における確実な避難と迅速な救助、救出であります。引き続き、浦戸湾の地震津波対策である三重防護の取り組みを推進するとともに、浸水区域内に取り残された住民の皆様を確実かつ迅速に救出することができるよう、同市の救助・救出計画の策定を支援するほか、避難場所からの救助に必要なボートや資機材の整備などについても取り組んでまいります。
(9)要配慮者支援対策の加速化
九つ目は、要配慮者支援対策の加速化であります。東日本大震災では、高齢者や障害のある方々が数多く犠牲となり、また、避難支援に携わった消防関係者や民生委員など多数の支援者も犠牲となりました。さらに、高齢者や障害のある方々が、生活環境が十分に整備されたとは言えない避難所で長く生活することを余儀なくされ、結果として健康を害したり、災害関連死を招いた事例も見られました。このため、第4期行動計画では、要配慮者支援の視点をあらゆる防災対策に盛り込み、充実強化することとしております。
まず、避難対策に関し、避難行動要支援者名簿の地域への提供率は約60パーセントと他県に比べて進んでいるものの、要配慮者の避難のための個別計画の策定率は約10パーセントにとどまっております。このため、市町村による個別計画の策定を県としても強力に支援する必要があると考えており、まず来年度は、沿岸の5地区をモデルとして、防災と福祉のスタッフが連携して悉皆的に個別計画の策定に取り組んでまいります。この取り組みを通じて計画策定に向けたノウハウを蓄積し、再来年度以降はこれを活用して他地域への展開につなげてまいります。
また、福祉避難所の受入可能な人数がまだまだ不足している状況を踏まえ、市町村による福祉避難所の指定を支援するととともに、一般の避難所において要配慮者用スペースの確保や支援体制の整備を促進してまいります。
(10)震災に強い人づくり
重要課題の十点目は、震災に強い人づくりを目指した啓発と教育の強化であります。
南海トラフ地震から一人でも多くの県民の皆様の命を守るためには、何と言っても、県民の皆様による自助、共助の取り組みが重要であります。
このため、県民の皆様が地震の恐ろしさと対策の重要性を正しく理解し、事前の備えを進めていただけるよう、引き続き啓発活動を強化してまいります。あわせて、自主防災組織などの活動を支援し、地域防災力の強化を図ってまいります。
また、次の世代を担う若き防災リーダーの育成を目的とした「高知県高校生津波サミット」を継続して実施するなど、防災教育の推進にも一層力を入れて取り組んでまいります。
次に、インフラの充実と有効活用についてご説明申し上げます。
(1)四国8の字ネットワークの早期整備
四国8の字ネットワークは、南海トラフ地震対策を進める上での「命の道」であり、経済活動を支える重要な社会基盤でもあることから、これまで、他県の知事と連携するとともに、全国高速道路建設協議会の会長として、国などに対しミッシングリンクの解消が図られるよう継続的に訴えてまいりました。
この結果、昨年11月には片坂バイパスが開通するとともに、再来年度までには中村宿毛道路や高知南国道路の全線開通が予定されるなど、四国8の字ネットワークの整備が着実に進んでいるところです。さらに、今月7日には国の審議会において、四国8の字ネットワークの宿毛-内海間、奈半利-安芸間のルートやインターチェンジの位置に関する方針が示されました。これにより、県内全ての未事業化区間において、ルート案の概略が見えたこととなり、さらに一歩前進したものと受け止めております。
引き続き、未事業化区間の新規事業化と事業中の区間の整備が促進されるよう、沿線市町村や他県とも連携し、国などに対して積極的に政策提言を行ってまいります。
(2)防災・減災、国土強靱化への対応
また、先に申し上げましたように、国から「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が示されたことを受け、この機を逃すことなく、防災・減災に資するインフラ整備を加速させたいと考えております。具体的には、昨年の7月豪雨により対策の重要性が浮き彫りとなった中小河川の改修をはじめ、道路法面の防災対策や砂防施設の整備などの予防的な対策、浦戸湾の三重防護などの南海トラフ地震対策を加速してまいります。
加えて、3年間の集中投資期間以降も見据え、継続的に本県の防災・減災能力を高めていけるよう、全国知事会などとも連携しながら、引き続き、インフラ整備の効果や必要性について国に訴えてまいります。
次に、中山間対策についてご説明申し上げます。
県土の約93パーセントを占める中山間地域は、過疎化、高齢化が先行しておりますものの、本来、第一次産業はもとより、優れた食や文化、観光資源を持つ、本県の中長期的な発展の源となる、本県ならではの強みを有した地域であります。このため、「高齢者の暮らしを守り、若者が住み続けられる中山間地域の実現」を目指して、「産業をつくる」、「生活を守る」の2つを政策の柱として、全庁を挙げて総合的な取り組みを進めてまいりました。
特に、中山間対策の核となる取り組みである集落活動センターにつきましては、先月9日に馬路村魚梁瀬で開設されるなど、先月末時点で29市町村48カ所で立ち上がっております。さらに、現在、30カ所程度で開設に向けた準備が進むなど、着実に広がりを見せております。
こうした中、まだ一部ではありますが、過疎地域においても人口が増加した集落が出てくるなど、中山間対策の取り組みの効果が表れているのではないかと思われる事例も出てまいりました。
この流れをより確かなものとしていくためには、県内各地に広がってきている集落活動センターのネットワークを生かして、優良事例の横展開などを図りながら、「産業をつくる」取り組みと「生活を守る」取り組みをもう一段強化していかなければならないと考えております。
まず、「産業をつくる」取り組みについては、産業振興計画における第一次産業や自然体験型観光などの取り組みと集落活動センターの取り組みを連動させ、地産外商の効果を各地域に波及させていくとともに、地域の資源を生かした独自の事業展開を図っていくことが重要であります。
このため、集落活動センターの活動段階に応じた財政支援や、事業計画づくりをテーマとした研修会の開催などを通じて、引き続きセンターの活動をバックアップするとともに、来年度は、それぞれのセンターの課題やニーズに沿って、専門家による一貫した伴走支援を行う仕組みを新たに設け、センターの経済活動が基幹ビジネスとして確立されるよう後押ししてまいります。
あわせて、首都圏や県内において、地域おこし協力隊などの人材の掘り起こしとネットワーク化の取り組みを強化し、将来の中山間地域の活性化を担う人材の確保にも取り組んでまいります。
また、「生活を守る」取り組みに関しては、先月から大川村で貨客混載の実証運行が始まったところです。これまで様々な事業スキームを検討する中で得られたノウハウも生かしながら、各地域への横展開を図っていきたいと考えております。あわせて、生活用水の確保や買い物支援、移動手段の確保対策に係る市町村の取り組みについても、引き続き積極的に支援してまいります。
次に、文化芸術とスポーツの振興についてご説明申し上げます。
(1)高知県文化芸術振興ビジョンの推進
文化芸術の振興については、高知県文化芸術振興ビジョンに基づき、「文化芸術の力で心豊かに暮らせる高知県」の実現に向けて、文化施設を中心とした文化芸術活動への支援、本県固有の文化資源の継承や活用、文化芸術の振興を担う人材の育成などに取り組んでまいりました。
中でも、先月まで開催してまいりました「志国高知 幕末維新博」を契機として、県内各地の歴史文化施設においては、展示環境の充実や資料の調査研究が進展し、本県の歴史文化の底上げが図られてきております。
本県にまつわる様々な歴史資源は、日本の歴史研究や本県の文化、教育の発展にも資する貴重な財産であると同時に、重要な歴史観光資源でもありますことから、今後もその発掘、保存、研究、展示などをさらに進めていく必要があると考えております。
このため、来年度から高知城歴史博物館に高度な専門知識を備えた人材による支援体制を整備し、県内の各文化施設における調査研究への支援や、文化施設の活動に携わる人材の育成などの取り組みを拡充してまいります。
また、古代より現代に至るまでの本県の発展の過程を時代や分野ごとにまとめた「高知県史」については、前回の修史事業の完了から約40年が経過しております。このため、2021年に高知県が設置されてから150年を迎えることを契機として、その後の時代変遷や近年の学術研究の成果なども踏まえ、新たな県史の編さんに着手したいと考えております。
この新たな県史の編さん過程を通して、歴史や考古、民俗、自然などの各分野の資料の発掘や保存、研究を進め、その成果を広く県民に発信するとともに、県民共通の財産として後世に残し、さらに本県の歴史観光の振興などにもつなげてまいりたいと考えております。
県史の編さんにあたっては、膨大な労力と長い年月を要することから、来年度、まずは外部の有識者からなる準備検討委員会を設置し、新たな県史の編さん方針や段取り、編さん体制などの検討を進めてまいります。
(2)スポーツの振興
次に、スポーツの振興についてご説明申し上げます。
第2期高知県スポーツ推進計画に基づくスポーツ振興の取り組みにつきましては、高知県スポーツ振興県民会議などを通じて関係者の皆様から幅広いご意見をいただき、今般、三つの柱ごとに施策をさらに充実強化し、同計画をバージョン2へと改定することとしております。
一つ目の柱である「スポーツ参加の拡大」については、これまでに、4市町で地域スポーツハブを立ち上げ、多様なスポーツ機会を創出するよう取り組んでまいりました。具体的には、各地域においてスポーツのニーズを調査するとともに、高齢者を対象にした健康運動教室の開催や、子どもたちの希望に応じたスポーツ教室の立ち上げの検討などを行ってきたところです。
来年度は、新たに2つの地域スポーツハブを立ち上げ、より幅広い年代の方々にスポーツ活動の機会を提供できるよう取り組んでまいります。
また、スポーツを「知る」、「始める」機会を拡充するため、10月を「県民スポーツ月間」と定め、誰もが参加しやすいスポーツ体験イベントを集中的に開催するほか、SNSなどで積極的に情報を発信するなど、スポーツ参加に向けた機運の醸成を図ってまいります。
二つ目の柱である「競技力の向上」については、選手の育成体制を強化するため、これまでに10競技団体において全高知チームを立ち上げたところであり、同チームにおいて、全国トップレベルの指導者を招いて、質の高い合同練習や指導者を対象にした実践研修などに取り組んでいるところです。
来年度は、全高知チームを13競技団体に拡大するとともに、国民体育大会をはじめ複数の大会ごとに目標を定めて計画的に強化練習を行い、その結果を踏まえ絶えず練習内容を改善するというPDCAサイクルを、チームごとに確立してまいります。
さらに、スポーツ医科学面から選手へのサポートを抜本強化するため、本年4月に「高知県スポーツ科学センター」を開設し、スポーツ科学の専門的な知見を有するスタッフを配置して、高度な体力測定や測定結果に基づく質の高いトレーニング指導を行うなど、合理的かつ効果的なサポートを行っていくこととしております。
中でも、全高知チームに関しては、高知県医師会など関係団体のご協力を得て競技別のサポートチームを編成し、メディカルチェックや栄養指導、メンタルトレーニングなどを含めた総合的なサポートを行ってまいります。
加えて、地域のスポーツクラブや教室の指導者のレベル向上も重要であることから、全高知チームとの合同の研修会の開催や、スポーツ科学センターによるサポートなど、継続的にその資質向上を図る取り組みを行ってまいります。
こうした一連の取り組みを、県体育協会などとも連携し、PDCAサイクルを徹底して進めていくことにより、県全体の競技力向上を加速してまいります。
三つ目の柱である「スポーツを通じた活力ある県づくり」については、プロやアマチュアスポーツの合宿誘致をはじめ、自然環境を生かしたスポーツツーリズムの推進などに取り組んでまいりました。
来年度からは、市町村のスポーツ施設の整備に対する支援を拡充し、地域の競技力向上やスポーツツーリズム振興の取り組みを一層推進するとともに、より多くの方々にスポーツを楽しむ機会を提供できるよう取り組んでまいります。
少子化対策と女性の活躍の場の拡大につきましては、引き続き、結婚や出産、育児など様々なライフステージを迎える女性が希望に応じて働き続けられるよう社会全体で支援する仕組みづくりを強力に進めてまいります。
まず、地域の支え合いによる子育て支援の仕組みであるファミリー・サポート・センターについては、現在、5市2町で取り組みが展開されており、さらに複数の市町で開設に向けた準備が進められているところです。また、来年度からは、病児や病後児の預かりについても、本県独自の高知版ファミリー・サポート・センターの制度として新たに位置付け、支援を拡充してまいりたいと考えております。引き続き、ファミリー・サポート・センターの県内全域への普及に向けて、地域の実情や様々なニーズを踏まえ、市町村と連携して取り組みを進めてまいります。
また、「高知家の女性しごと応援室」による女性の就労支援については、開設から4年余りで1,800人を超える方々からご相談をお受けし、うち600人を超える方が就職されるなどの成果が表れております。
来年度は、さらに広報活動を強化し、潜在的な女性求職者の掘り起こしを積極的に行うとともに、働きやすい職場づくりや就労後の定着に向けた企業へのアドバイスを行うなど、引き続き、取り組みを強化してまいります。
障害者雇用に関しましては、障害のある方の活躍の場や機会を拡充するとともに、国が示した厳格な基準の下、来年度早期に法定雇用率を達成するよう取り組みを進めているところです。
具体的には、昨年来、国における障害者雇用の動きを注視しつつ、障害のある方に担っていただきたい業務の内容や業務量を把握するための全庁調査を実施するとともに、障害者雇用に関する先進地視察などを行ってまいりました。これらの結果を踏まえ、まず、正職員について、障害種別を要件としない追加募集を行った結果、今回2名の方が合格され、既に採用予定の2名と合わせて計4名を採用することとしております。
また、非常勤職員についても、全庁調査の結果などを踏まえ、本年4月から10を超える所属で新たに雇用を開始する予定としております。
加えて、各所属の定型的な業務を集約して行うワークステーションを夏までに設置するよう関係機関と調整を進めているところです。ワークステーションでは、知的障害や精神障害のある方も含め10人程度を雇用する予定としており、各所属で新たに雇用する非常勤職員と合わせて、20人以上の募集を本年度中に行いたいと考えております。
これらの取り組みにより、予定どおり雇用できた場合には、法定雇用率を達成できる見込みであります。今後とも、国や他団体の動向も踏まえながら、正職員、非常勤職員ともに障害者雇用を推進してまいります。あわせて、障害のある職員が働きやすい環境づくりにも引き続き努めてまいります。
産業廃棄物の新たな管理型最終処分場の整備については、先の12月定例会におきまして、最終候補地3カ所の現地調査の結果などを総合的に勘案した結果、施設整備による地域の皆様の生活への影響が最も小さく、地震による津波の影響を受けることがないと考えられる佐川町加茂において進入道路を新設する案が最も有力ではないか、と表明させていただいたところです。議員の皆様からは、絞り込みの時期や考え方について、一定のご理解を示していただきましたことから、閉会後、速やかに、県として佐川町加茂を施設整備に適した箇所として絞り込むとともに、佐川町に施設整備の受け入れについて申し入れを行いました。
また、昨年末には、佐川町加茂地区の住民の皆様方に絞り込みの考え方などについて詳しくご説明をさせていただき、その際、候補地の選定過程に関するご質問や施設からの水漏れなどに関するご不安の声を数多くいただきました。このため、後日、候補地選定の過程や施設の安全性などについてより分かりやすく整理した資料を各戸にお配りするとともに、今月には、改めて加茂地区の住民の皆様とのお話し合いの場を設けさせていただきました。あわせて、エコサイクルセンターの見学会も開催したところです。
さらに、今後におきましても、佐川町や自治会のご協力をいただきながら、加茂地区の住民の皆様に個別にお話をお伺いする場を設けさせていただくとともに、加茂地区以外の佐川町の4地区においても説明会を開催するなど、引き続き、住民の皆様に説明を重ねさせていただきたいと考えております。
住民の皆様のご不安などを一つひとつ解消できるよう、また、より多くの皆様に施設の整備についてご理解を深めていただけるよう、一層丁寧に取り組んでまいります。
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、平成31年度高知県一般会計予算など40件です。
このうち一般会計予算は、先ほど申し上げました5つの基本政策と3つの横断的な政策を推進するための経費を中心に、4,607億円余りの歳入歳出予算などを計上しております。
条例議案は、高知県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例議案など22件であります。
その他の議案は、高知県スポーツ科学センターの指定管理者の指定に関する議案など11件であります。
以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。