令和元年11月26日  知事の定例記者会見

公開日 2019年12月16日

知事選について①
知事選について②
知事選について③
次の衆議院議員選挙について①
知事選について④
新知事に対する後継者としての評価について
県政満足度についての世論調査の結果について
新体制での県議会対応について
新県政に対するアドバイスについて
高知市長選の結果と県市連携について
知事選について⑤
次の衆議院議員選挙について②
知事選について⑥
知事選について⑦
桜を見る会について
県政運営の手法について

知事選について①
(郡・毎日新聞記者)
 先日の知事選について2点質問です。1点目が、知事選の結果について、ご所感や受け止めをお聞かせください。2点目に、新知事に期待されることを教えてください。

(知事)
 まずは、今回の知事選挙についてですが、濵田候補が当選することができて本当に良かったと思っています。相手候補の松本顕治さんという方も、大変素晴らしい方でありまして、大変厳しい選挙戦だったと受け止めています。その中で、全力を挙げて濵田候補を応援させていただいたところで、当選させていただくことができて良かったと、一言でいえばそういう感想を持たせていただいています。
 今回、得票率が大体60%(60.96%)ということで、期せずして私が初当選させていただいたときの得票率が60%(61.2%)でした。新たな濵田知事におかれては、今回のこの得票率の重み、これを噛みしめていただきながら、県勢浮揚に向けて、ぜひ全力を挙げて取り組まれることをご期待申し上げているところです。
 私も12年間、県勢浮揚に向けて様々な仕事をさせていただいている中において、様々に努力を重ねてまいりまして、経済指標が良くなっただとか、いろいろいい方向も見えて来たところもありますが、まだまだ多くの課題が残っています。ですから、これから濵田新知事が歩まれる道というものも、本当にご苦労が多いことと思います。ただ、ある意味、様々な政策について、県庁職員の皆さまも頑張ってくれて、また民間の皆さまにもご協力をいただきながら、いろいろな政策も既に全速力で動いている。そういう状況でもありますので、それをうまく生かしていただきながら、濵田新知事ご自身の境地でもって、また新たな道も切り拓いていただいて、本当に厳しい状況の中における県勢浮揚、これをぜひ成し遂げていただきたいと思います。
 ある意味、非常に課題の多い厳しい条件にある県ですが、かくの如く県勢浮揚を成し遂げた。田舎の課題先進県でこのようなことができた。もってして、全国に対して範を示す。そういうこととなるような県政となることをご期待申し上げたいと思います。
 

知事選について②
(大野・高知新聞記者)
 知事選についてお伺いします。知事選の構図、つまり県内政治勢力の分布ということで、与野党対決ということになりました。そういう面で、党中央からの来演や訴えもいわゆる対決型というような色合いが濃かったように思います。
 知事選という意味において、県勢浮揚のための政策論争というのが深まったかどうかについての認識をお願いします。

(知事)
 やはり県知事選挙ですから、ここは現在の安倍政権に対してイエスかノーかという選択というよりは、県知事としてどういう政策を成そうとするのか、そのことを主たる争点として、もしくはそれを実際に実行する実行力があるかどうかということを争点として、選挙が行われていくこと。これを多くの方が望まれたのではないかという感触を私も持たせていただきました。
 現実問題として両候補は、その点を主として訴えていたと思います。濵田候補は、いわゆる尾﨑県政の継承発展、そして自らの経験を生かして、さらに発展をさせていく。その中において特に五つのポイントで発展をさせていくということを明示していましたし、また松本候補におかれても、誰1人取り残さない県政という、非常に素晴らしいキャッチフレーズのもとに、その考え方を展開していたということではないかと思います。
 両候補とも、それぞれ県政課題について主として訴えてきたということかと思います。17日間の選挙戦を通じて様々に議論されたところを、お互いに対して、それぞれ賛否両論巻き起こってきた側面もあるのではないかと思います。それぞれの演説会場での意見、有権者の皆さんとの触れ合いの中での賛否併せたご意見。いろんなご意見を聞かせていただいた。このことを糧として、今後新しい県政において、多くの県民の皆さんの声を生かした県政が展開されることを望んでいます。

(大野・高知新聞記者)
 安倍政権に対する批判や、それに対する与党側の「これは県知事選挙なので」という応酬がありましたが、そういうものが高じていくと、高知県をどうしていくかという骨太の議論が、与野党の対立色というものにかき消された、霞んだという側面があったのではないかと思いますが、その点についてはいかがですか。
 与野党対決の言い合いが高じたがために、先ほど知事がおっしゃったような高知県をどうするかという論議がかき消えたような印象がありますが、そう思いませんか。

(知事)
 応援に来られた方の主たる主張として、そういう側面はあったと思います。与野党の党首級の皆さんもおいでになられて、そういう主張をされました。この高知知事選挙で野党共闘が勝てば、安倍政権に明確にノーを突きつけられる。だから高知の皆さん、野党候補に入れてくださいというご主張もあったと思います。ただ、そこは高知県民の皆さんは、やはりこれは高知県知事選挙だから、国政において与党・野党のせめぎ合いのために我々が投票するよりも、やはり高知県政としてどうあるべきかという観点から選ぼうとされていたのではないかと思います。
 現実、有権者の皆さんとお話ししても、少なくとも濵田陣営でお伺いするところにおいては、高知県としてどうあるべきかという議論を主として聞いてきましたし、恐らくこれは松本陣営においても、候補を中心としてそうであったと思います。

(大野・高知新聞記者)
 そういう冷静というか、県民の意識というのが結果に表れたと思われますか。

(知事)
 別問題として、知事選挙の争点というのは、県政としてどうあるべきかということで、有権者は票を投じられたのではないだろうかと思います。

(大野・高知新聞記者)
 ご自身の活動について、まさしく二人三脚という格好で、前に立って支援を訴えられたかと思いますが、その中で、松本候補の共産党属性といいましょうか、その部分を個人演説会などで特に、知事自身も言及なさっていましたが、これはどういう意図でしょうか。

(知事)
 実際に県政運営をしていくにあたって、いわゆる濵田候補の背景、政治的な背景はどうか。松本候補の政治的な背景はどうか。これは明確に重要な争点となるのではないでしょうか。ですから、松本候補は共産党籍をもって戦われた候補であるわけで、野党共闘の候補ですが、共産党籍をもって、もしくは共産党幹部として、元幹部という形に途中でなられたのかな。という形で戦われた候補であるわけですから、その政治的な背景というのは明確に争点になるものだと思います。
 そういう共産党籍という形で、今度知事が誕生したときにどうなるかということについて、私の考えを述べさせていただき、有権者の審判を仰いだということです。どういう政治的背景を持っているかということは重要な争点だと思います。自民党の推薦を受けた候補だから、安倍政権の推薦を受けているのだから、安倍政治の立場の我々からしてはいかがなものかという主張は、野党の皆さんも展開されたわけですから、これは明確に争点になることではないですか。
 

知事選について③
(竹村・テレビ高知記者)
 濵田さんについては、尾﨑知事が出馬を要請しましたし、尾﨑県政の継承、発展を主張されましたので、尾﨑知事が応援することは当然だと思いますが、一部では、やはり現職の知事が応援に出過ぎではないかという意見もありました。それについてはどのようにお考えですか。

(知事)
 県知事は政治家ですから。政治家が選挙活動をすることに制限はないと思います。ただ、公務上の迷惑をかけるということはあってはいけないということもあるかと思いますから、私もできる限り公務と二足のわらじを履いて、体力的にはぎりぎりでしたけど、一生懸命取り組みをさせていただいたつもりでして、現実に、平日だけでみれば、12日のうち10日は全部公務にあたっていました。そういう意味においては十分、公務を展開させていただいて、公務上のご迷惑をかけない形で、政治家として選挙活動をさせていただいたと思います。
 県知事は単なる行政官とは違いますので、行政上の仕事をしてれば済むだけではなくて、やはり政治上の政治家としての仕事を成すことによって、例えば大きな方向性を決めるとか、県民の民意をしっかり受けた指示をするとか、そういうことが求められるわけです。そういうものの一つとして、やはりしっかりとした政治信念、さらには行政上の方向性というのを展開してくれる後継者をつくるということは、政治家として極めて重要な仕事ではないでしょうか。ですから、それを果たすために一生懸命政治活動をするということ、これは政治家として当然の責務だと思わさせていただきました。
 

次の衆議院議員選挙について①
(竹村・テレビ高知記者)
 今、政治家というお話もありましたが、今回の知事選は次の衆院選の前哨戦とも言われていました。今回の結果が次の衆院選にどのような影響を及ぼすか。出馬を表明されている知事はどのように受け止めていますか。

(知事)
 さっき大野記者が言われたこととも関係することですが、やはり争点が違うと思います。国政上の争点と県知事選上の争点。今度、国政上の争点ということとなると、まさに先ほどお話しのあった、県外からおいでになった野党党首の皆さんが言われたようなことそのものが、争点になってくると思います。
 今回の県知事選挙は県政上の運営として、例えば、産業振興計画を継続するべきなのか。大幅に変えるべきなのか。教育改革について、今の方向で継続していくべきなのか、全く方向転換するのかということが大きな争点になりましたが、国政選挙ということになると、また争点が全然違ってくることになるでしょうから、そういう意味においては、今回の県知事選挙の結果が国政選挙にそのままつながっていくということにはならないのではないか、と私は思っています。また一からスタートということだろうと思います。
 

知事選について④
(大山・高知新聞記者)
 先ほど二人三脚で知事選を戦われたということがありましたが、取材をしていると知事が目立ったことで、濵田さんという後継者、新知事の姿が見えづらかったのではないかという指摘も出たと思いますが、その点はどうお考えですか。

(知事)
 すみません、私が熱が入り過ぎたところもあったかもしれません。ただ、もちろん、例えば最後に演説をするのは誰なのか。当然濵田候補であるということですし、それは間違いなく濵田候補の姿を大いに皆さんの前にお示しして、主張も展開されたということではないかと思います。
 それは、恐縮ですが、私は現職ですから私の方が知名度があるので、どうしても目立つということはあるでしょうが、ただ、現実に候補が誰なのかというのは、誰の目から見ても明確ですから、そういう意味では濵田候補も訴えをしっかりさせていただいたということではないでしょうか。
 

新知事に対する後継者としての評価について
(大山・高知新聞記者)
 選挙戦を通じて、濵田さんと一緒にいる時間が長かったと思いますが、いい候補だということで後継者に指名されたと思いますが、改めて、選挙戦を通してみたときに、継承の部分はよく見えたと思いますが、独自の発展ということがちょっと見えづらかったのかなという受け止めもしていますが、後継者としての評価はどのように見ていますか。

(知事)
 一言でいうと私がこれまで、少なくても知事に就任したときまでに経験してきたよりも、遥かに幅広い行政経験を持っている方であるということは間違いないことだと思っていて、例えば、私が知事にならせていただいたときに県庁組織を動かしたとか、そういう経験は全くありませんでした。けれど、濵田さんの場合は、いわゆる過疎対策の最前線と言われた島根県の行政を経験したり、さらには大阪府庁という、いわば本当に全国的にも争点となる、いろいろな諸課題に対応してきた府庁を運営してきたという経験があったりして、そういう中において、恐らく視野の広さが全く違うというところなんだろうと思います。
 実務上、極めて優れた人であるということは、霞ヶ関にいる人間としては、みんな知っているぐらい非常に有名なことですが、併せて極めて広い、私なんかが今まで経験してこなかったような、全然違う角度からの幅広い視野を持っている人だということに対して、大変私は期待をさせていただいているところです。
 選挙戦を通じても5点について発展させるということを訴えておられましたが、一言でいうと、それに留まるものでは全くないと思います。ぜひ幅広い展開を、これからお示しになればということをご期待申し上げたいと思います。
 

県政満足度についての世論調査の結果について
(大山・高知新聞記者)
 選挙中に各社が世論調査をやっていて、弊社でもやりましたが、尾﨑県政の満足度は9割近く、若干違いはありますが、うちの調査でいくと、これまでで1番高い数字でした。この時期に1番高い数字が出たということの受け止め、数字自体の受け止めをお願いします。

(知事)
 一言でいうと12年間一生懸命やってきて、最後にそのように言っていただいて、本当に嬉しいです。県民の皆さまにありがとうございましたと申し上げたいと思います。ただ、恐らくいよいよ辞めるということもあって、お疲れさんという意味も込めて、少し数字が甘めになっているのではないかと、そういう印象は受けました。ただ、最後の最後にそういう形で送り出していただけるというのは、私としてはありがたいことだと思います。

(大山・高知新聞記者)
 この数字というか、この評価が、今回の知事選に影響した部分というのは、あるとお考えでしょうか。

(知事)
 何といいますか、我々としては尾﨑県政の継承、発展なのか。そしてまたそれを具体的に実際になし得るのかという点を一つの争点として、掲げさせていただいたつもりで、もしその県政について、一定ご評価いただける点があったとすれば、それは前向きな方向で後押しをしていただいた方向で作用しているということではないかと思います。
 

新体制での県議会対応について
(大野・高知新聞記者)
 知事選に引き続き、県内の政治勢力というものが、二分されて争い、結果6-4ということになっています。県議会のことでお伺いしたいのですが、尾﨑さんの場合は、政治基盤というのが4党相乗りというところで、安定した県議会対応であるとか、県政運営というのも実現した部分というのは大きかったと思いますが、濵田県政になったときに、県議会の中にも松本候補を支援した方々もいらっしゃいますが、尾﨑さんの目から見て、今後の県議会対応や県政運営はどうあるべきかというところをお伺いしたいです。

(知事)
 一つ、先ほど申し上げたように得票率という点でいけば6割以上ということで、私がスタートさせていただいたときとほぼ同じということです。そういう意味においては、少なくても私はその後、そういう形で仕事をさせていただいてきましたが、何と言いますか、新知事のスタートとしては一定数の得票率ではないかと、それがまず第1ですね。
 議会運営という観点から言っても、二分したとか言われたりしますが、実際に議会の勢力構成からいけば、今の段階では4分の3が濵田与党ということになっているということもありまして、そういう意味では明確に安定した政治基盤の上で、濵田県政はスタートできるということではないかと思います。そこは、一つの事実としてそういうことだと思います。
 ただ、選挙そのものはやはり、こういう形でそれぞれのスタンスに基づいて、しっかり議論していくということが非常に大事で、ただ、ちょっとびっくりしたんですが、ある記者さんが「こんな選挙をすることになって、県民が分断されてしまってどう思いますか」と言われ、私は非常に違和感を感じました。選挙すること自体は、これを分断とは言いません。選挙はするものというか、(選挙を)して議論を深めることによって、後の県政運営に資していくこととすべきなのであって、選挙することをイコール分断だという受け止めは、私はいかがなものかと思います。
 それをいうなら、無投票が1番いいのかということになってしまう。それは違うと思いますが、ただ、選挙戦上はしっかりとそれぞれの立場に基づいて議論をする。しかしながら、選挙が終わった後においては、ノーサイド。それが一つ。その上でしっかりと自分に入れてくれなかった方々、自分たちを応援してくれなかった方々のご意見というものもしっかり聞いて、丁寧な県政運営を行っていって、そしてできる限り一致点を見いだしていこうとする。そういう県政運営がやはり必要なのではないかと思います。
 これは、濵田新知事においても明確に求められるスタンスだと思います。私も12年間仕事をさせていただいて、本当に国政野党の皆さまに対して、応援いただいた皆さんには、心から感謝を申し上げたいと思いますし、その気持ちは今も変わらないですが、例えば、共産党の皆さんは明確に県政野党であったわけです。しかしながら、共産党の皆さんのご意見というのを聞かなかったのかというと、そうではない。やはり、これはおっしゃるとおりだなと思うことについては、しっかりお話も聞かせていただきながら、県政運営に努めてきたつもりです。
 ですから、ぜひ濵田新知事におかれても、今回は、選挙の上においてはしっかりと議論を戦わせましたが、選挙が終わって、実際に知事に就任した後は、自分たちとは選挙において、いわゆる対抗をしていろいろ議論をされた相手の皆さんとも、できる限りしっかりとした政策論議をしていく中で一致点を見いだして、できる限り力を合わせてといいますか、そういう方向になるようにお努めになることが大事だと思います。
 ちなみに私が知事になったときに、多くの方に、県知事というのは、およそ全ての県民の皆さまのために働くものだと言われました。ですから、私も最初の選挙のときに、選挙中、いろいろかなり激しい中傷をされたりしたこともありましたが、そうだとしても、自分に票を投じてくれなかった方々のためにも働くというのが県知事なんだと。応援してくださった方のためにも働かなければならない。ただ、反対された、もしくは、対立した方々のためにも働くというのが県知事だと。だから、そういう意味においては、そういう姿勢を持つことが大事ということを、先輩方から忠告を受けて、逆にいうと、それを旨としてやってきたところです。知事になった以上は、本当に多くの皆さんのご意見を聞いて、できる限り、力を合わせて対応できるように努めていくことが大事だろうと私も思います。
 

新県政に対するアドバイスについて
(大野・高知新聞記者)
 もう1点、濵田さんということになりますと、2代続けて中央官僚出身の知事が高知県政を担うということになります。取材をしていても、そのことに対しては反感といいましょうか、違和感を言う人もいらっしゃいました。尾﨑さんはずっと長い間県政を担ってこられて、いわゆるいかにも中央官僚という感じとも、ちょっと違うかなという気もします。

(知事)
 中央官僚にもいろいろな方がいますからね。

(大野・高知新聞記者)
 そういうことです。そういう意味でいうと、そういった批判というか、そういうものをどうやって跳ね返していったらいいのかということについて、新しい濵田県政に対してアドバイスはありますか。

(知事)
 私も最初に選挙に出たときに「いやぁ、尾﨑は官僚だ」「あんなぎこちないんじゃ駄目だ」とよく言われたものでした。1回、ある演説会場で、39度ぐらい熱があったときがあって意識が朦朧として、訳の分からない演説をしてしまって、大変怒られたこともありましたし、大変苦労したことを覚えていますが、濵田候補もある意味、何といいますか、まだ官僚っぽいだとか、ぎこちないとかいうご意見もあったと伺っていますし、私も直接お伺いしたこともありました。
 でもやはり、選挙というのは結局、人を政治家にしていくというものだと思います。人を政治家にしていく過程なんだと思います。有権者の方と触れ合っていろいろなお話をされて、多くの方々とお話をして握手をして、そういう中でだんだん政治家になっていく過程というのが、選挙戦ということではないかと思います。そういう意味では濵田省司候補も、最初の頃こそぎこちなかったと思います。一緒に近くにいて思いましたが、どんどん政治家になっていかれた過程だったのではないかと思います。私も本当に「おぉーっ」と思いましたが、最後の日に選挙カーに乗って、涙を流しながら演説していました。ああいう濵田省司心の叫びみたいなものが聞けて、あぁ政治家になってこられたんだなぁということを、ちょっと偉そうで恐縮ですが、そう感じさせていただきました。
 だから、大事なことは、いわゆる行政官であるということに加えて、さっきのお話にも関わりますが、プラス政治家であるということ、このことがやはり知事には求められることだと思います。政治家というのは何かというと、本当に多くの県民の皆さまのご意見を聞いた上で、大きな方向性を示すだとか、民意を受けた政治行政を実現するというのがやはり政治家の大きな役割、また逆にいうと、民意を説得しようと試み、またそれに対して議論をし、結果として民意との間の対話を通じて方向性を見出していく。こういうことが政治として非常に重要なことなんだと思います。単なる行政官を超えた、この現在の民主主義体制のもとにおいての政治家の大きな役割なんだと思います。他にもあるでしょうが、その要素というのは非常に重要だと、そういうことをあの選挙戦を通じて濵田候補は大いに経験をされたと思うわけですが、知事になられてもこういう姿勢で、政治家としての役割を発揮されることを本当にご期待を申し上げたいと思います。

(大野・高知新聞記者)
 濵田さんの候補者としての成長というのは、尾﨑コーチの助言によるところも大きかったのではないでしょうか。

(知事)
 私も助言しましたし、多くの人が助言していました。選挙のときはいろんな助言を受けるもので、私も散々助言を受けました。
 

高知市長選の結果と県市連携について
(松原・毎日新聞記者)
 知事選とはちょっとずれますが、市長選も同時に行われました。高知市長選は岡﨑氏が5選をしたわけですが、改めてそこへの感想、受け止めがあればというのと、濵田県政、岡﨑市政の間での県市連携で期待するところがあれば教えてください。

(知事)
 岡﨑市政について、市民の皆さまがその実績を大変評価された結果だろうと思いますし、いろいろ争点となった諸問題もありましたが、やはり岡﨑市長が市民の皆さまのご意見を聞いて、市民の方々のご意見、ご指摘によれば、非常に謙虚なご姿勢で対応されたということ、そういうご姿勢というのがやはり評価をされたということではないでしょうか。
 県市連携ということは、本当に絶対的に重要なことだと思っています。高知県と高知市との連携・協調は、高知県にとって極めて大事なこと、私も最も大事にしてきたものの一つでありまして、ぜひ濵田県政、岡﨑市政の間でもそのような県市連携が成し遂げられることとなりますように、願っているところです。
 実際に県政運営をしていますと、個別事項についてはいろいろと高知県庁と高知市役所では意見が違うこと、それは当然あります。やはり一つひとつの個別議論の中でそれは出てくるんですが、ただ、そういう中においてやはりトップ同士、県知事と高知市長、この二人が信頼関係で結ばれているから最後の最後でまとまることができる。そういう関係が大事ではないでしょうか。私と岡﨑市長もそのようにやらせていただいたと思っています。ぜひ、新県政においてもそうなることを願っています。
 

知事選について⑤
(野間・時事通信記者)
 知事選の話に戻りますが、今回、対立構造ということで、相手陣営が各政党の党首級の方が来県されることが多かったと思いますが、客観的に見たときに、今回その野党共闘という動きが高まっていたのか、それをどのように感じられていたのか、教えていただければと思います。

(知事)
 やはり野党共闘の取り組みが、随分高まっているのではないでしょうか。それは思いました。あれだけ次から次へと党首クラスの方が入ってくるということは、スケジュール調整だけでも大変です。大変ですが、ああいうふうに自動的になっていくということは、共闘態勢というのが常にスタンバイしていることの証じゃないでしょうか。そこは、随分共闘態勢が進んでいるということを感じました。

(野間・時事通信記者)
 今回結果を見てみたら、松本さんですが、参院選のときより票も少しだけ減っていました。票差も開いていたように思いますが、今回、野党共闘の動きがうまく知事選挙に機能していたのかどうかというところに関しては、どのようにお考えでしょうか。

(知事)
 野党共闘の取り組みが機能していたということかと思いますが、ただ、そこで争点として党首の方々が述べられた安倍政権イエスかノーかということは、県知事選挙の争点としてはやや県民の皆さまから見たときに、県知事選挙の争点なのかなと思われた方がおいでになったことは確かではないかと思います。そういう意味においては、県知事選挙の争点として、今後野党共闘の対与党が各所でこれからだんだん展開されていくことになれば、地方選挙における野党共闘という形の進化ということになっていくのかもしれません。ただ、少なくとも国政マターについて明確に争点を打ち上げて対応しておられたのは、少なくともそういう形で、今回もすさまじい形で野党党首が来られて展開をしていたということは事実ですから、もちろん地方のことについても述べてはいました、高知のことも述べてはいましたが、そういう意味においては、今後国政の選挙になってきたときに、この野党共闘というのは大変力を発揮される、何といいますか兆しというか、もっと言うと、野党共闘が力を発揮されるという感触は、見ていて思いました。
 

次の衆議院議員選挙について②
(大山・高知新聞記者)
 そもそもその野党共闘、基本政策が違う政党同士が協力するという形ですが、野党共闘についての知事のお考え、是非を含めてどのようにお考えでしょうか。

(知事)
 そこは、何を目指すかというところの到達点によって、評価をされていくということなんでしょうか。政権交代をまず一つの目標に掲げていくということとなれば、野党共闘というのは非常に有効な対応策だということは言えると思います。ただ、その上で、例えばわが国の安全保障環境をどう展開をしていくべきなのかとか、さらには国内上の諸問題などについてどう展開していくのかといったときに、果たして政策的な一致点というのは見出せるかどうかということもまた課題になっていくでしょうし、見出せるものも多くあるでしょう。しかしながら、まだ鋭い対立事項が残っていることも確かでしょうから、そういう意味では、今後そういう点についての議論も深化していくということになるのではないかと思います。

(大山・高知新聞記者)
 関連ですが、知事が自民党から高知2区に出られるということになると、次の衆院選ではほぼ確実に野党統一候補、野党共闘の相手と戦うことになると思います。その点に関して、今回の野党共闘をどんなふうに見られましたか。力を発揮する兆しというようなことを先ほどおっしゃられていましたが、ご自身の選挙に脅威になるとお考えでしょうか。

(知事)
 それはそうだと思います。現実に前回、高知2区では野党共闘の方が圧勝しているわけですから、そういうことを考えれば、それはもう大変な脅威だと思います。知事選挙でどうだったかということと国政選挙はやはり結びつかないと思います。やはり国政上の争点においてどうかという形で有権者の方は判断されるうことになるでしょうから、それはなかなか野党共闘の力というのは、高知においても強いということではないかと思います。
 

知事選について⑥
(大野・高知新聞記者)
 選挙公示の前後で、政権への批判というのが高まるような課題や問題というのが幾つか発生して、野党の幹部の方々もそこにすごく力点を置いた演説をされていました。与党推薦の濵田陣営でマイクを握ったり遊説をしていて、そういう政権の逆風の影響というのを感じたことはありますか。

(知事)
 やはり逆風は感じました。それは思いました。全くなかったのかと言われれば、そうではないでしょう。実際にいろいろなところにお伺いしていて、やはりその点についての批判を受けたりしたこともありました。
 今回、私が8月21日に4選不出馬ということをお話させていただいたときに、そこで大きくいうと二つ選択肢があったと思います。自民党公認で衆議院選挙に出馬するということを明示するか、それとも去就を明らかにしない上で、まず知事選挙を戦うという形をとるかという二つの選択肢があったと思いますし、今日の記者座談会でもそういうことも書かれているわけですが、私としては、もし去就を明言せずというやり方をしたとしたら、やはり後になって不誠実じゃないかと、ずるいじゃないかと、そういうことを言われる、不正直じゃないかと言われることとなるだろうなと。だから、私としては明確に今後の考え方について明示させていただいて、その上で、私として推薦をさせていただく「濵田候補でございます」ということを明示させていただくというのが、県民の皆さまに、有権者の皆さまに対して一番誠意、誠実のある道だと、そう思ってあえてはっきり明示させていただいて、今回の知事選挙に臨まさせていただいたということでありまして、結果として、このことのメリットとデメリットはやはりそれぞれあったのだと思います。明確に自民党、公明党の皆さんに応援をいただく体制をつくっていただいたということはあります。ただ、これまで応援いただいた野党の皆さんに大変お叱りを受けたということ、感謝を申し上げていますが、その点においてお叱りを受けたということは明らかにありますし、またさらに言えば、時々の国政上の諸問題が追い風になるか、もしくは逆風になるかということが明確になってくるという点において、そういうメリット・デメリットはあったということだと思います。選挙期間中ということで言えば、どちらかと言うと、そこのデメリット、何といいますか、逆風となった点は明確にあったと思いますが、ただ、そういうことについても全て込みで、やはり明確にスタンスを明らかにして、その上で選挙戦に臨むということが最も公明正大なる道ということではないかと思わさせていただきました。

(大野・高知新聞記者)
 ご発言に関連して、そのメリット・デメリットがあるということで言えば、先ほどおっしゃったようなこと、それは政治家としての責任であるということをおっしゃっていました。それに続く濵田さんの県知事選ということにおいて言えば、結果論ではありますが、尾﨑さんのその発信に端を発して、野党と分かれるという構図が導かれました。そのことは望まれたのか、つまり、後継の濵田さんの選挙というのをどういうふうにイメージしたかなんですが、相乗りできるものならしたほうがよかったが、そうはならなかった。このことについてはどうでしょう。

(知事)
 そうですね、それは何といいますか、一つ、去就を明言せずに知事選挙を戦って、終わった後に態度を明らかにするというやり方は、繰り返しになりますが、私としては公明正大ではない、有権者に対して正直ではないと思いました。やはりここは正直に私としてのスタンスを明らかにさせていただいて、その私が応援をさせていただいている候補でございますとはっきり言うべきだと思いました。ただ、態度を明らかにして、いわゆる4党相乗りの構図においては厳しくはなるわけでしょうが、しかしながら、何とかそこは4党相乗りであれればなおよしという思いは当然ありました。ということもあって、野党の皆さまに対しても推薦願いを出すかどうかということについて、私は出すべきだという立場でしたし、実際に濵田候補も、9月の半ばぐらいに推薦願いを野党の皆さまにも出していると思います。
 実際には、残念ながらその推薦願いが取り上げられることにはならなかったわけですが、推薦願いを出した上で、その後、選挙を戦ったということ、その経緯も踏まえて、濵田候補は今後その推薦願いを出したときの気持ちでもって、野党の皆さまともしっかり対話をさせていただくという姿勢で臨まれていくことになるのではないでしょうか。そういう感じが報道時における報道の皆さんからのご質問に対する答えにも表れているのではないかと感じます。
 

知事選について⑦
(大山・高知新聞記者)
 知事選の関係で1点だけ。投票率についてですが、47.67%で、知事がなられたときよりは若干持ち直したというか、若干上がりましたが、当時まさに4党相乗りの構図だったときと、今回その与野党対決が大変注目も高かったということを考えれば、ちょっと低いのかなという印象もありますが、数字についての受け止めをお願いします。

(知事)
 過去最低にならなくてよかったなということは、本当につくづく思いました。あとはちょっと雨を心配しました。かなり激しい雨が一時降ったりしたので、それが少なくとも中心部ではそんなに長引かなかったからよかったですが、やはりそういうことも影響したのかもしれません。ただ、投票率はもう一段上がっていくような形となりますように、これはやはり政治家としての私も含めて、さらなる努力が必要だろうと思いました。ただ、今回の選挙、濵田知事が誕生することができて、私は本当に心からほっとしていますし、あの選挙戦を支えていただいた皆さま方にも本当にお世話になりましたし、またこれから新しい県政が展開していくということについても、本当に期待感を持たせていただいているところです。ただ、一つ残念だなと思うのは、ご指摘のようにこの投票率です。やはり5割は超えたかったというか、もっと言えば、もっと高い投票率になっていくことができればという思いはすごくあります。

(大山・高知新聞記者)
 その要因というのはどこにあるとお考えでしょうか。

(知事)
 今回は大分、選挙戦としての盛り上がりはあったのではないかと思うところがあって、若干想定していたよりは低いのかなという感じはしました。

(大山・高知新聞記者)
 予想外ということですか。

(知事)
 予想外というほどのこともないですが、5割はいけたらなと思います。ただ、人によっては、これぐらいだと予想されている方もおいでになりますから。期日前(投票)も、やや低調だったということもあったりしてということです。

(大山・高知新聞記者)
 何というか、県民の県政への興味の薄さというところにもつながってくる数字なのかなという気はしますが、そこら辺の関係というのはいかがでしょう。

(知事)
 県政だけではなくて、例えばその前の参議院の選挙も、国政の選挙もそうですが、大体投票率がこれぐらいになってきてるという中において、やはり高齢化の影響もあるのではないかと思います。だから、何といいますか、できる限り投票しやすい環境づくりだとか、投票という行動そのものが非常に身近にある環境づくりだとか、若い方に対する子どもの頃からの教育なども含めて、やはりそういうことも周辺のより骨太な諸事項といいますか、そういうことなんかについても、もう一段いろいろな対策を講じていく必要があるのではないかという感じはしました。
 

桜を見る会について
(中田・高知民報記者)

 桜を見る会について、今の一連の騒ぎについてのご見解をお願いします。

(知事)
 桜を見る会について、まず一つ、招待者について長年の慣行でというところがあったでしょうが、ここで今後は明確にしていくということはやはり必要だったと思います。いわゆる功労者を招いて、その功労を讃え、また懇談をする会というふうに捉えるのか、それともいろいろな方をお招きして、いわゆる対話を行っていく会と捉えるのか、そこのところがあいまいになってしまったという感じは確かにあるのではないでしょうか。だから、この長年の慣行の中において、そこの基準というのが不明確になったという点については、やはりしっかり正していくことが必要なのではないかという感じはします。
 在り様が二つあると思います。例えば子どもも含めて、長年の功労にとどまらず、いろんな方を招いて政策対話、いろいろな対話をしていく会として捉まえるというやり方もあるりますし、本当に功労者の方々を招いていくというやり方もあります。その両方になってしまった、その中間になってしまったようなところがあるのではないでしょうか。やはりそこは政府も今はっきりおっしゃっていますが、明確にクリアにすべきだろうと思います。

(中田・高知民報記者)
 事後の話なんですが、例えば名簿はもう捨てました、シュレッダーは見せませんとか、その辺については。

(知事)
 すいません、ちょっとそれは私もよく分かりません。
 

県政運営の手法について
(保田井・日経新聞支局長)
 濵田さんがご自身の今後の政治手法として、まさに調整型で臨んでいきたい、自分自身が行政マンとしていわゆるボトムアップ型でずっとやってきて、その手法を今後も政治家としてやっていきたいというふうにおっしゃっていました。それに対局として、濵田さんが言ったんですが、尾﨑氏の政治家の手法として、いわゆる尾﨑県政というのは率先垂範型で、熱血漢のトップダウン型とおっしゃっていましたが、ご自身でこの熱血漢のトップダウン型、3期12年振り返ってどうでしょうか。

(知事)
 それはやはり私は、どちらかと言わせていただければトップダウン型でしょうね。そう思います。なので、余り長くやるべきではないと思いました。それは明確にそうです。

(保田井・日経新聞支局長)
 なぜ長くやるべきではないんですか。

(知事)
 トップダウン型というのは、どちらかと言うと、個人の考え方に沿って、それに基づいて対応していこうとすることもあって、やはり、幅広くいろいろな意見を集約して、というやり方のほうがより安定感があるだろうと思います。ただ、トップダウン型でなければ対応できないときというのもあって、例えば私が就任させていただいたときは、産業振興計画も全くなかった。南海トラフ地震対策も今の多分、恐縮ですけど3分の1の規模でもなかった。そういう状況の中において、新たに、私の気持ちとしては、本当に新たにいろいろな政策群をつくり上げていくという過程でしたから、そういう中において、新たに道を切り開くようなときはトップダウン型でやったほうがいいだろうと思います。ただ、その上において、新たに今後そういうものを継承して、より精緻により骨太な形に仕上げていこうとする時代というのは、多くのご意見、多くの力を結集できる調整型のほうがよい。そういうところはあるのではないでしょうか。
 だから、私も次にどういう方にお願いするのがいいかというときに、私とタイプが違うと選挙戦でよく言われたんですが、タイプが違うからいいんだと思います。
 ちなみに、トップダウン型だといっても、膨大な情報を聞いた上でトップダウンをするのであって、全く初めから独断専行するわけでは、当然のことながらありません。私も対話と実行行脚などで意見を聞いて、いろいろなご意見を聞いた上でなんですが、ただ、最後に案を決めるときに、パシッと割り切らないといけないものであるとか、新たに方向性を示すとか、また、単純なPDCAサイクルではなくて、一つ次元を超えたような新たな方向性を示すとか、そういうところにおいてトップダウン型の対応をさせていただいたということだと思います。一言で言うと、程度問題なんです。濵田候補も調整型とは言っていますが、トップダウンで決断を下さないといけないことはたくさん出てくると思います。ただ、どちらかと言えばという程度問題でしょうが、濵田候補は濵田候補の持ち味を生かされるということではないでしょうか。

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