知事講話 (平成26年度の県政運営にあたって)

公開日 2014年04月21日

更新日 2014年04月22日

〔平成26年4月1日(火曜日) 正庁ホール〕

平成26年度がいよいよスタートすることとなりました。今日は、大きく申し上げて2点、第1章と第2章ということでお話をさせていただきたいと思います。まず第1章は、日ごろより申し上げております、仕事に当たっての基本的な姿勢について、あらためて確認をさせていただきたいということです。そして、第2章でありますが、こちらにつきましては、平成26年度において仕事をしていくに当たりまして、この点をぜひ各課共通の点としてご留意をいただきたい話を申し上げたいと思います。よろしくお願いをいたします。

(仕事に対する基本姿勢)

まず、第1章の部分でありますが、仕事に当たっての基本的な姿勢についてということです。既に何度も何度も繰り返しお話をさせていただいていることでもありますし、既に多くの皆さまがそのような形で実行していただいていることではありますが、大事なことだと思いますので、また新しく所属長になられた方もおいでになられますので、あらためて確認をさせていただきたいと思います。飛躍への挑戦を、平成26年度も引き続き続けていくこととなります。課題先進県として課題解決先進県となっていかなくてはなりません。

(課題に正面から取り組む)

そのためにも大事なこと。まず第1点として、課題に正面からぶつかっていくということ。この姿勢を引き続き徹底をしていただきたいと思います。従前から申し上げておりますように、高知県が抱える課題の中には、すぐには解決策が見いだせないであろうという問題もたくさんありますが、だからといって問題をないことと見なし、その問題にチャレンジすることを避けるというのは最も愚かな行為なのであって、私どもが県民の皆さまのためにやらなければならないのは、そのような答えのないことであっても、あえて県民の皆さまのためにその課題に正面からぶつかっていくということではないかと思います。もう既に皆さんには本当にそういう形で頑張っていただいておりまして、私自身も本当に感謝を申し上げたいと思う次第です。産業振興計画そのものが、高知県の経済が厳しい状況にある中で、どのようにこれに立ち向かっていくかという、がっぷり四つで正面から取り組んだ姿そのものなんだと思っております。

かつて平成19年から20年にかけて、そもそも厳しかった高知県経済、さらに追い打ちをかけるようにリーマンショックがやってきて、高知県の有効求人倍率が0.37まで落ち込んだことがございました。平成12年から22年まで、どんなに全国の有効求人倍率が良くなっても、高知県だけは良くならないという状況がずっと続いていました。産業振興計画を始めたとき、多くの皆さんがどういう思いであったか。多くの皆さんに私もどう言われたか。「どうせやったって、いかないよ」と、そういうことをみんなに言われました。しかしながら、皆さん、正面からがっぷり四つで取り組んでいただいたおかげで、今や0.81まで有効求人倍率は回復しているところです。課題に対して正面から取り組むということ、これが何と言っても大事だと思います。いろんな皆さんがいろいろなご苦労の中で頑張っていただいているところでありますが、引き続きその点をぜひよろしくお願いをいたします。

講話する尾﨑知事

(創造性の発揮・常に進化し続ける・成果目標の設定と共有)
そして、2点目であります。その課題に正面からぶつかって取り組んでいくに当たってさまざまな施策を講じていくことになりますが、その際には成果を大いに意識をしていただきたいと思います。必ずしも短期的な成果ということにとどまるものではありません。中長期的に出していくべき成果というのもありますでしょう。その一里塚として短期的にあげていこうとする成果目標というのもございますでしょう。時間軸はさまざまに取りながらも、その成果を意識して、成果を具体的に出していくのだという姿勢でもってぜひ取り組んでいただきたいと思っております。今は多くの県施策につきましてPDCAサイクルを回していく。それを回していくに当たり、ほぼ全ての施策に成果目標さらには数値目標が設定をされて取り組みを進めているところであります。現実に多くの場合、その目標以上の取り組みを、皆さん、たいへん頑張っていただいております。引き続き、成果を意識した仕事というのをぜひ徹底していただきたいと思います。

そして、この成果を意識するという観点からいくと、小項目ということでお話しをさせていただくとすれば、1点目、創造性を発揮することが極めて重要であります。多くの場合、課題先進県として取り組もうとしているのでありますから、先例はありません。逆に言うと、先例がないからやってはいかんということは、高知県庁では決してないのだということだと思います。むしろ先例がないことのほうが大多数でありましょう。先例がない中でどうやってその課題を解決していくための、成果を上げていくための施策を取るか、大いに創造性が求められているんだと思います。

小項目の2点目。ぜひ常に進化し続けていただきたいと思います。過去2年間これでうまくいったからと、それでそのまま続ければいいということには決してなりません。うまく物事が先に進んだ分、また新しいやり方を取らなければならないということもあるのだろうと思います。客観情勢も変化をいたします。常に進化し続けるということも、ぜひ意識をしていただきたいと思います。

そして、小項目としての3点目であります。辞令交付のときに所属長さんたち、皆さんにも申し上げましたけれども、それぞれの所属の中で、自分たちの所属の成果目標とは何なのかということを、所属員一人ひとりにぜひ徹底をしていただきたいと思います。本当の意味で、組織として創造性を発揮していかなくてはなりません。一人ひとり、優れた職員の皆さんがいらっしゃいます。それぞれがいろんな努力をし、知恵を巡らせて、志を持って仕事をしようとしているのだろうと思います。それぞれの頑張りが組織として1つの形になっていくようにするためにも、1つの羅針盤がそれぞれの所属において必要なんだろうと思います。その羅針盤の役目を果たすのが成果目標ということになるのだろうと思います。そこを皆さんに徹底することができれば、それぞれ自分で考えて動くことができる職員さんがたくさんいらっしゃると思いますから、その力を生かすことができるということになるのだろうと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

大きな2点目について、小項目3つ、申し上げました。

(官民協働・市町村との連携協調)

そして、大項目の3つ目であります。これも従前より申し上げておりますが、官民協働、市町村政との連携協調、この点を引き続きぜひ徹底していただきたいと思います。民間の皆さまに対して自分たちが何をしようとしているか、自分の言葉でご説明していただきますようにお願いをいたします。いつも言っていますが、最悪の説明の仕方は「知事が言ってるから、やるんです」と。こんなばかなことは、ほかの人にはまったく関係ありません。ぜひ「これこれの意義があって、こうこうあるために、故に、こういうことをわれわれはやろうと思っておるのです」ということを、自分の言葉で県民の皆さんに説明をしていただきたいと思います。今、多くの形で官民協働、市町村政との連携協調は進んできていると思っています。皆さんがそういう形で皆さんに説明をし、多くの方といい人間関係をつくっていただいておるおかげだと思いますが、ますます物事は実行段階に入っていきますので、より一層、この官民協働、市町村政との連携協調という観点は重要になってこようかと思います。ぜひ引き続き徹底方、よろしくお願いをいたします。

この中で、1つ、新しい視点として申し上げさせていただきたいと思いますのは、官民協働についてでございます。従前より、県内のいろんな民間企業の皆さん、団体の皆さんとの連携協調ということをお願いをしてまいりました。ぜひこれから、今年、1つのテーマとして、県外のいろんな企業さんとの連携協働、民間団体の皆さんとの連携協働、いろんな国の機関との連携協働、このことも意識をしていただければありがたいと思います。地産外商にしても、移住促進にいたしましても、やや新しいステージに入ってきています。外との大きなパイプを持っていきたいと思っておるところです。南海トラフ地震対策にしましても、日本一の健康長寿県構想にいたしましても、大いに外の知見も生かして、力も生かして、取り組みを進めていきたいと考えておるところでございます。この官民協働、県内外の皆さんとの官民協働の取り組みということをぜひ意識していただければ幸いだと思います。県外の皆さんとタイアップさせていただいて、高知家のコンセプトに共感をいただいて、より大きな仕事ができるようになったということが、平成25年度、たくさんありました。ああいう良い事例をぜひ積み上げていくことができればと思う次第です。ぜひよろしくお願いをいたします。

(全国区の視点)

そして、大項目の4つ目であります。これも従前より申し上げております。是非とも仕事をするに当たって、全国区の視点でもって仕事をしていただきたいと思います。さまざまな取り組みをしておるのは、当然のことながら高知県だけではないのであります。他県でもいろいろな取り組みが行われているわけでございます。他県との競争を意識していかないといけないときもありますでしょう。協調するということもございますでしょう。ぜひ、その点のご検討をよろしくお願いをいたします。

もう1つ。全国のいろいろなネットワークの中に身を置くということ。こちらを大いに意識をしていただきたいと思います。地震対策について、全国の学者さんのネットワークの中にできるだけ身を置こうとしてこられた結果が、いろいろなモデル事業を高知県で実施をするということにつながってきております。本当に皆さんのご努力のおかげで、大いに外の知見と力が高知に導入されてきているということではないのかなと思います。これは1つの例でありますけれども、それぞれのお仕事の中で全国ネットワークの中にしっかりと高知県を位置付けていく。全国区の視点での仕事を、ぜひお願いを申し上げたいと思う次第です。

(心身の健康)

そして、最後、大項目の5番目であります。職員の皆さんの心身の健康、こちらにぜひご留意をいただきたいと思います。所属長の皆さまは、所属の中での仕事の配分の在り様について、ぜひ大いに常に意識をしていただきたいと思いますし、部局長の皆さん、一等級の皆さま方は、部局の中での、課の間での配分についてもよくよく意識をしていただきたいです。そしてまた、特に総務部の皆さんは、年度途中の臨機応変なる対応、こちらを心掛けていただきたいと思います。忙しいときは仕方ありませんが、水曜日はノー残業デーだということ。あまり徹底できてなくて申し訳ありませんけれども、こちらをできる限り徹底をさせていただきたいと思っているところです。よろしくお願いをいたします。

スクラップ・アンド・ビルドという形で平成26年度の予算編成は行ってきました。ビルドも大切ですが、スクラップも大事だと思っています。実効性という意味では、今や、あまりないかもしれないけれども、大変な事務量がかかるというものもたくさんあるだろうというふうに思います。そういうものはぜひスクラップしていただいて、余力をつくっていただいて、その余力でもって大いにクリエイティブな仕事をしていく、それが大事だろうと思います。スクラップも大事でありますから、ぜひそこも意識をしていただきたいと思います。

心身の健康ということで言わせていただければ、もう1つ。繰り返しになりますが、ぜひ所属の皆さん一人ひとりに「自分たちは、今、何をしようとしているか」、その成果目標の徹底をぜひしていただきたいと思います。どういうことをやろうとしているのか、その意義は何なのかということがよくよく理解できていれば、モチベーションを維持していくことができるということにつながるのではないかと思います。そういう点でも大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

以上、申し上げましたことは、今年の1月にも申し上げました。去年の4月にも申し上げました。去年の1月にも申し上げたことであります。繰り返し、繰り返し、申し上げさせていただいております。もう既に、多くの皆さまに本当に徹底してやっていただいておるところでございますけれども、大事なポイントだと思いますので、あらためて確認をさせていただきます。平成26年度におきましても、ぜひこういう姿勢でもって、よろしくお願いをいたします。

(課題解決先進県に向けてさらなる飛躍への挑戦)

第2章について、お話をさせていただきたいと思います。こちらは、今年度仕事をするに当たって、特に今年度に特徴的な点としてご留意を賜りたい、多くの部局に関係する話ということであります。今年度も課題解決先進県を目指して、飛躍への挑戦を目指して、5つの基本政策、こちらに全力で当たっていかなくてはなりません。産業振興計画、日本一の健康長寿県構想、南海トラフ地震対策をはじめとする安全安心の確保、教育改革、そして全てにかかわるインフラ整備の促進。そして、5つの基本政策に横断的にかかわる事項として取り組む中山間対策。そしてもう1つ、今年、新たに横断的に取り組む事項として、柱として打ち立てた少子化対策、男女共同参画の推進。これらの取り組みに引き続きまい進していくことになります。それぞれの所属、所属において、それぞれの個別事項について、各部局の運営方針の中であらためてこの4月から5月にかけて、今年度どういう仕事をしていくかということについては、いろいろ個別にお話をさせていただきたいと思います。

ここでは多くの部局にまたがる話について、お話をさせていただきたいと思います。産業振興計画の推進にかかわる事項、全ての部局が取り組んでいただいております南海トラフ地震対策にかかわる事項、そして、中山間対策にかかわる事項、この3点について、特にお時間を頂いてお話をさせていただきたいと思います。

講話する尾﨑知事2

(産業振興計画)

まず、産業振興計画についてであります。平成26年度は、本当に正念場だと思っています。このチャンスを生かしきれるかどうか、本当に県勢浮揚を成し遂げられるかどうか、今年にかかっているんじゃないのかなと、私はそういう決意であります。ある意味、いいタイミング、いい時機が来ていると思っているところであります。皆さま方が頑張っていただいて、それぞれの分野全体を動かすような大きい仕事ができるような時機となってまいりました。経済全体に働き掛けることのできる、経済全体にプラスの効果を及ぼすことのできるような仕事ができるようになってきた。そういう時機に来たのではないかと思います。大きい仕事というのは、いきなりできるわけではなくて、1つ1つ土台を積み上げて骨格を組み上げてきたので大きいお城ができるのであって、1つ1つ皆さんが積み上げてきてくださったおかげだと思います。いよいよ経済全体をあっためることのできるような仕事にチャレンジできるようになってきたと思います。 そして、この時機にちょうどありがたいことでありますけれども、アベノミクスをはじめとして、国においても力強く経済政策を実施しようとしています。本日から消費税の施行によってどうなるか注目していかなければなりませんが、全体として経済は追い風の状況になってきているところであります。

平成21年当時、実行元年と言っていたとき、日本全体では最も経済状況が冷え込んだ時期でありましたし、経済対策もまだこれからどうなるか分からないという時期でありました。産振計画自体も本当にヨチヨチと歩み始めたばかりという状況でありました。あのときそろっていなかったものが、全て今そろっている時期が来ていると思っております。この時期に、本当に高知県経済が将来に向かって持続的に発展していくための礎を築いていかなくてはならないと思っております。このワンチャンスをぜひ生かしたいという思いでございます。

皆さまにおかれましては、この第2期産業振興計画バージョン3へのバージョンアップの過程において、より大きな、より実効性のある施策を徹底して追求していただいてきたかと思います。そういう形でそれぞれ計画はできていると思っておりますけれども、ぜひこの機会に自分たちのそれぞれの分野において県経済を浮揚させるんだという思いでもって、そして、そういう思いをぜひ具体的な実行に生かしていただいて、取り組みを進めていただければと思う次第でございます。ぜひ、その点、よろしくお願いをいたします。

もう1つ。産業振興計画について言えば、そういう大きな効果をもたらしたいということもありまして、特に今年の産業振興計画の設計においては、それぞれの施策間同士の連携協調、プラスの相乗効果を生み出すようにということを意識して、制度設計をしているところでございます。今まで、地産外商は地産外商、観光振興は観光振興、移住促進は移住促進、それぞれの政策群ごとに取り組みを進めてきました。ご存じのように、去年の秋ぐらいから、各政策群の中で各政策同士でうまくパス回しが回っているかということを徹底して確認をしてきたところでありました。それは、皆さんもご存じのとおりであります。そのパス回しがうまく回っているかということを見て、新たに政策として追加したもの、パスを回す役目をあえてしてくださるスタッフを新たに配置したとか、そういうような工夫もしてきたのは、皆さまご存じのとおりであります。今度は、そうしたパス回しを意識して作った施策群同士の連携協調が回っていく、プラスの相乗効果が回っていくことを大いに意識して、バージョン3、こちらは設計をしているところであるのは、皆さまもご存じのとおりであります。ぜひその点、意識を、大いに徹底していただきたいと思います。

地産外商の取り組み、観光振興の取り組み、移住促進の取り組み、全て高知家のコンセプトの下に統一的にセールスプロモーションを行っていくということになります。観光振興も、今年からは「リョーマの休日~高知家の食卓~」キャンペーンという形で実施をすることになります。観光振興のキャンペーンを打っていくことが「高知家の食卓」という形でのPRをすることになって、食卓ということでありますから、それぞれの食のいろんな製品とか、こういうものを売り込んでいくことにもつながっていくであろうと思います。地産外商の取り組みをしていくに当たっても、例えば「高知家フェア」という形で冠をかけたり、さらには、いろいろなパッケージに「高知家の食卓」というロゴを入れてもらうなどすることによって、物産の売り込みをすることが観光振興につながっていく、観光キャンペーンのPRにつながっていくというふうに仕込んでいく。これら、両者を相通じて実施していく中で、「高知家」についての知名度をさらに上げて、それがホームページへの誘導を通じて移住促進にさらにつながっていくという形の、それぞれの施策群同士のプラスのスパイラルをもたらすような制度設計に心掛けたところであります。

こういうことが本当に回るようになれば、本当の意味で県勢浮揚につながるような経済効果をもたらしてくれるようになるのだと思っています。ぜひ、この政策群同士のプラスのスパイラルを生み出そうとしているこの意図、これを大いに尊重していただきながら、それぞれ徹底して実施をしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

(南海トラフ地震対策)

2点目、南海トラフ地震対策についてであります。南海トラフ地震対策課がありますが、いつも申し上げておりますように、南海トラフ地震対策課というのは取りまとめ課なのであって、南海トラフ地震対策というのは、ここにいらっしゃる全ての部局で取り組むべき課題であるということでございます。まず、その点の確認をさせていただきたいと思います。実際にそうでなければなりません。全ての暮らしにかかわる事項であるわけでありますから、全ての暮らしに対応した全ての部局で対応していくべきことなのだということかと思います。今までも、そのようにしていただいてまいりました。 平成26年度から地域本部を新たに設けることとなったのは、皆さまもご存じのとおりであります。なぜ地域本部を設けるようになったかといいますと、より現実に則した、より地域密着型の対策を講じていくということが必要となる時期が来たと判断をしているからでございます。東日本大震災が起きてからこの3年間で、本当に皆さまに頑張っていただいて、例えば避難路、避難場所とか、津波避難タワーとか、たくさんできるようになりました。1,445カ所の計画総数に対して、間もなく1,000近く、今年度末には1,000を超える形で、避難路、避難場所も完成しますでしょう。津波避難タワーも115基計画している中で、今年度末には100基はおそらく完成するだろうと思われます。昔と違って、「避難計画を作れと言ったって、逃げる場所がないじゃないか」と、そういう状況ではなくなり、実は、逃げる場所はだんだんだんだんできるようになってきています。

しかしながら、これから先、考えなければならないのは、それぞれの避難タワーへ、本当に災害時、要援護者の皆さんが逃げられるんだろうかと。今、避難計画はありますけれども、本当にこの避難計画どおりに、おじいちゃん、おばあちゃんを連れて逃げることができるだろうか、この幼子たちを連れて逃げることができるだろうか、その実効性を徹底して追究していかないといけません。避難タワーの上に逃げた。避難タワーの上に逃げたのはいいけれども、それから先、次の避難所まで、まだ浸水している泥水がたくさんあるような状況の中で、小さい子を連れて避難所まで本当に逃げることができるだろうか、そういうことをあらためて確認をしていくということが是非とも重要であろうかと思う次第です。

さらには、災害時の医療救護の問題。道路啓開の問題。さまざまなことについて、地域の皆さんと密着して本当に実効ある対策となってるかということについて、もう一段見つめ直し、そして検討していくということが大事だと思います。そうしていく中で、避難場所、避難路、まだ足りないじゃないかということも出てきますでしょう。そういう場合は、避難タワーをさらに追加してつくらなければなりません。避難所まで行けないじゃないかということも出てくるかもしれません。もっと近い避難所を造っていかないといけません。多くの人を、助け合いの力が必要だろうという話も出てくるでしょう。だからこそ、日ごろより福祉論、助け合いのネットワークをつくり上げていかなくてはなりません。地域本部をつくったということは、そういうことを意味しております。

ただ、地域本部のみでやるのではなくて、全庁を挙げて南海トラフ地震対策を行っていくに当たって、より実効性ある対策となるように、さらなる知恵を巡らせて真摯な姿勢でもって取り組みを検証していくということが求められるのがこの平成26年度だろうと思うところでございます。引き続き、南海トラフ地震対策推進本部、その本部会議などなどにおきましても、「本当にこれで命が助かるだろうか」ということを追求して、「本当に人々の助かった命がつながれていくこととなるであろうか」ということを徹底的に追求していくという形で取り組みを進めさせていただきたいと思います。またよろしくお願いをいたします。

(中山間対策)

中山間対策についてであります。こちらも全部局で取り組みをしていただいている課題であります。集落活動センターが現在、県内13カ所でつくられました。何とか130カ所ぐらい、この10年間でつくり上げていきたい、あと8年ということになりますが、130カ所ぐらいつくり上げていきたいと思っているところです。なんで130なのか。130ぐらいの密度がないと、本当の意味で中山間の暮らしを支えるということにはならないだろうという計算のもとに130カ所と言っているところであります。

ただ、やはりなかなか厳しい、難しい課題もたくさんあるなというふうに思います。特に集落規模が小さいところでは、どうやって新しく地域の活性化を図る取り組みをするのかということを追求しているわけでありますので、そもそも集落単位で、もしくは複数集落単位で何々をしようとしても、「じゃあ、地産外商だ」と言っても、やはり地産に限りがあるという場合もありますでしょう。それから、よく言われますのは、「もっと10年ぐらい前から、こういう話をしておいてくれれば」という話を頂くこともよくあります。高齢化が進み過ぎていると言われる場合もあります。

やはり中山間対策を成し遂げていくという観点からも、外からアイデアを持ってくる。外から新しい活力を集落に注ぎ込む。地元の皆さんと一緒に、そして、新しい活力と地元の皆さんが一緒になって仕事をする。そういう流れが必要だと思われる地域も多いなというふうに実感をしているところでございます。

「私たちは山の上の上の上で、こんなところで何ができる」「こういうところで、どうやって中山間の活性化をやるつもりか。尾﨑の存命はどうなんだ」と言われることがあります。そうでしょう。簡単じゃないと思います。あと3世帯しかなくなると、「この集落は間もなくなくなるだろうという中で、あんたは中山間対策なんて言ってるけど、どうやっていくつもりなんだ。おまえの存命は、どうだ」と言われることがあります。だから、私は、先ほど申し上げたことをやらなければならないと思うわけであります。

人がいなくなるから、だから、外からも人を連れてこないといけないんです。山の上の上で、何もないからこそ、登山の入口、下山口、そうしていくような工夫を新たに行おう。そのために、いろいろな仕組みを外から導入しよう。その担い手を連れてこよう。そういうことを言わなければならないんじゃないかなと思うところであります。ぜひ、高知県の中山間地域に、外からいろいろなアイデアと活力と担い手を新たに導いてくれる。連れてくる。そういう仕事を皆さんと一緒にさせていただければと思う次第です。

移住促進の取り組みの中で、人財誘致ということを、今年度から訴えをさせていただいております。人こそ財(たから)である。その人財を誘致しようという話をさせていただいています。いろんなところで、人がいないことがネックになっている。そういう場合がたくさんある。ぜひ外から新たな活力を呼び込んできて、地元の皆さんの思いと地元の皆さんの知恵と活力とを融合させて新しい仕事を生み出していくということ、これをぜひ行っていきたいと思う次第です。

言うは易く行うは難しでありましょうが、例えば移住促進策、こちらを新たに人財誘致という形で強化をしたこと。さらには、中山間担当の集落活動センターを専担する新しい総括支援企画員さんを配置することとしたことなど、今考えられる仕込みはしているつもりであります。ぜひ皆さんとともにそういう中山間対策をやっていきたいと思います。ぜひよろしくお願いをいたします。

(コンプライアンスの徹底)

そして、この第2章の4つ目です。これは全てにかかわることかと思いますが、会計管理局の皆さん、それから監査委員事務局の皆さん、たいへん頑張っていただいております。それぞれアクティブな形でいろいろ、例えば通信を出して事務の効率化に向けてのいろいろアドバイスをしてくださったり、頑張っていただいてると思っております。

ぜひぜひコンプライアンスの徹底、この県庁組織においても、ぜひともよろしくお願いをいたします。官民協働と申し上げてきました。官民協働、いろいろな形で取り組みを進めていくからこそ、県庁組織として襟を正していくべき点、これも多いんだろうと思うわけでございます。コンプライアンスの徹底をぜひよろしくお願いをしたいと思います。そしてまた、いろいろな会計事務とかそういうことについて、ぜひぜひ公正に、そして効率的に事務を実施していただきたいと思います。

公金の扱い方がしっかりしているということ、法令に従った仕事をするということ、これが基本の基本の基本なのであって、どんなに成果を意識して仕事をしても、ここが駄目だったら駄目なのであって、これが本当の全ての仕事の足腰だと思いますので、この点の徹底をぜひよろしくお願いをいたします。

(県民の声の共有)

以上、第1章、第2章として、幾つかお話を申し上げました。最後の最後に第3章としてお話をさせていただきたいと思います。

繰り返しになりますが、皆さん、既にそうしていただいていると思いますが、ぜひとも引き続き県民の皆さんの中に入っていって、県民の皆さんの声を大いに聞いていただきたいと思います。その中で、いろんなことが分かってくるだろうと思います。うまくいってると思っていた政策がうまくいってなかったとか、その逆の場合もありますでしょう。どうもわれわれの見込みのほうが甘かったというようなこともありますでしょう。予想外にうまくいきそうだということもありますでしょう。ぜひ、県民の皆さんの中に入っていっていただいて、県民の皆さま方の声を聞いていただいて、そして、悪い情報をできるだけ早く私か副知事に上げていただきたいと、そのことをぜひ強くお願いをしておきたいと思います。

上げたいと思います。速やかに悪い情報を上げていただいて、悪い点をちゃんと把握して、正しい姿をできるだけ把握するように相努め、正しい判断を県民の皆さまのために下していきたいと思います。私と副知事、さらには部局長さん、所属長さんのところに悪い話が上がらずに、間違った情報のもとに間違った判断を下すと、迷惑をされるのは県民の皆さまであります。悪い情報ほど速やかに私のところに上げるということ、これを引き続きぜひ徹底をしていただきたいと思います。本当によく上げていただいているとは思いますが、私に上げにくかったら、お優しい副知事のところにぜひ上げるようにしていただければと思います。ぜひぜひよろしくお願いをいたします。

(おわりに)

それでは、皆さん、平成26年度、いよいよ始まりました。皆さま方とともに県勢浮揚を目指して、今年一年も一生懸命頑張らせていただきたいと思います。ぜひ、ともに頑張りましょう。高知県民の皆さま方のために、どうぞよろしくお願いをいたします。

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