平成26年度 新規採用者辞令交付式での知事挨拶

公開日 2014年04月22日

〔平成26年4月1日(火曜日) 正庁ホール〕

皆様方ようこそこの高知県庁までおいでいただきました。本当に皆さん、今日から晴れて高知県職員として私どもと一緒に仕事をすることとなります。どうぞよろしくお願いをいたします。皆さん今先ほど宣誓をされましたよね。公務を民主的且つ能率的に執行する責務を自覚し、全体の奉仕者として誠実かつ公正に仕事をしていきます。そういう宣誓をしていただきました。当たり前のことが書いてある様であって、その宣誓したことは非常に大事なことです。これから先、公務員生活を送っていく中で、色々と悩むことが沢山あると思います。ぜひその宣誓書、それが基本の基本です。悩んだ時はそれに立ち返っていただきたい。本当に自分は誠実なのか、自分は本当に公正なのか、そうふり返っていただきたい。そのように思います。だから私はいつも新入社員に申し上げているのですけれども、その宣誓書、いつも身近に置いてふり返るようにしていただければなと、そのように思います。皆さんの県庁職員生活、本当に幸多きものになるよう、これを願って、私から幾つかお話を差し上げたいと思います。ちょっと疲れているでしょうから、座って良いです。どうぞ座ってください。採用人数が増えているので、辞令を配る時間が長くなっているから、ちょっと疲れていると思います。

皆さんはですね、これから県庁職員生活何十年という生活を送られることと思います。その間において、ぜひ自覚をしておいていただきたい3つのこと。まずそのことを申し上げたいと、そのように思います。

まず、第一点。歴史の大きな流れ、これをぜひ自覚をしていただきたい。これを大いに意識をしていただきたいと、このように思います。日々の色んなことが動いている中で、なかなか大きな時代の流れというものを意識することは少ないものです。ぜひ、意識をしていただきたい、そのように思います。なぜそういうことを言うかと言うと、高知県は色んな意味において時代の最先端をいっているからです。人口減少、高齢化、これが今日本の21世紀を決める大きな大きな時代の流れだという風に思います。その最先端をいっているのが高知県です。日本でも一番最初に人口が自然減状態となり、日本でもトップクラスの高齢化率を誇る県です。しかしながら、高知県だけがそうなのではありません。まもなく日本全体もそういう状況に陥っていきます。日本全体は21世紀そういう時代を潜り抜けていかなくてはならない。その中において何をするか、これが日本全体のテーマとなるだろう、そのように思います。私たち高知県は、まさにその先端にいる県として、どういう風にこの時代を潜り抜けていくかということを、本当に今日ここにおいでの部局長さんたちと一緒に、県庁職員さんたちと一緒に、今までも真剣に考え続けてきました。皆さんもぜひそういう大きな時代の流れを意識してもらって、その中で私たちは何をすべきなのか、考え続けていただきたいなと、そのように思うところです。

二番目、皆さんは高知県庁の職員として仕事をしていただくこととなります。この高知の地にあって、仕事をするにあたって、常に全国と世界を意識をしていただきたい、そのように思います。例えば、経済の問題について、先ほど申し上げているように、人口減少、高齢化が進んでいる中で、足元の経済規模がどうしても縮んでいってしまいます。であるにも関わらず、高知県民の皆様方の生活を守るためには、我々は外に打って出て行かなければならない。私たちは、この高知の地にあって、全国をそして世界を相手に仕事をしていなかなくてはなりません。様々な福祉の課題があります。時に科学技術の力によってこれを克服しないといけない事もあるでしょう。色んなネットワークの力によって、人のネットワークの力によって、これを克服しなければないこともあるでしょう。私たちだけの力でできることもあります。でも時に国を巻き込んでいかないといけないことだってあります。全国の多くの人を巻き込んでいかないといけないこともある。世界の色んなところで新たに発明された技術を活かしていかなければならないこともあったりするわけです。ぜひ世界に目を向けていただきたい。全国に目を向けていただきたいと、そのように思います。南海トラフの地震対策がありますよね。これ焦眉の急です。県庁職員全員がこれに携わっていかなくてはなりません。高知県としても全力で取り組みを進めます。しかしながら、全国の色んな知見、力を総動員していくこともまた大事だと私たちは考えています。テレビに出てくる地震関係の色んな学者の先生方、ほとんど高知県と一緒にネットワークをもって仕事をしていただいている先生です。全国の皆さんに南海トラフ地震対策を一緒に取り組んでいただきたいという思いで、法律の制定についても強く訴えかけてきて、それが一定実現したところでもあります。東ヨーロッパ、東欧においてCLTという新しい技術があります。木を交互に直交させて組み合わせていくことによって、強い部材を作ることによって、中高層くらいの建物を建てよう、そういう技術が東欧の方にはあります。その技術を日本に活かして、木の需要を劇的に増やすことでもって、中山間の暮らしを劇的に改善させることができないか、今私たちが一生懸命考えているのはそういうプロジェクトであります。この高知の地にあって、ぜひ皆さんは全国に目を向けて、世界に目を向けて頑張っていただきたい。そういうつもりで仕事をしていただきたいと、そのように思います。

そして3点目、何よりも重要なのはこの点だと思いますけれども、ぜひ県民の皆様方の思い、これに思いをいたし、そして県民の皆様の声に耳を傾ける、これが何といっても大事なんだろうと、そのように思います。皆様方は常に県民の皆様がどう思っておられるか、そのことを意識し、県民の皆様方の中に入って、率直に意見を伺って、そしてその思いを実現するように努力をする、そういう公務員であってもらいたいなと、そのように思うところです。今中山間対策で集落活動センターという取り組みを一生懸命やっているところです。中山間地域の皆様に対してアンケート調査を取りました。そしたら7割以上の方が「10年経ったらうちの集落はもう消滅しているか、著しく衰えているだろう」そのようにお答えになられました。新聞で見た方もいらっしゃると思います。でもですね、あわせて9割以上の人が、そうであっても「うちの集落に愛着を感じるんだ」と。7割近くの人が「厳しいけれども住み続けたいんだ」そのように思っておられるという結果もまたあわせて出たところです。こういう県民の皆様の思いを実現するのが、私どもの仕事だとそのように思います。でも必ずしもすぐ答えの出ないことも沢山ありますでしょう。正直なところ出ないことは沢山あります。厳しい中山間の暮らしをどう成り立たせるのか。すぐ答えを言えと言ってもでないことも沢山ある。厳しい南海トラフ地震、30メートルを越えるような津波、それにやられた町をどう早期に復旧復興していくか、すぐには答えの出ないこともあります。でも答えの出ないことだからこそ、私たちが必死になって考え続けて、そしてまた汗をかいていかなければならないんだという風に思います。答えが出ないからと言って、その思いに目を背ける、耳をふさぐということであってはいけないのであり、ぜひ県民の皆様の声を聞き続けていただきたい、その思いに皆さんの思いをいたしていただきたい、そのように思うところです。ぜひそういう公務員であっていただきたいと思います。

私はいつも言っているんです。皆さんぜひ「小役人」にはならないで欲しい。そのように思います。仕事をしない言い訳ばかりが上手になるような小役人には絶対にならないでもらいたい。常に県民の皆様のためにという思いをもった熱い心をもったそういう公務員であり続けていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

とういことでですね、皆様方のご活躍を本当に心から期待をいたしております。少しだけ実践的なアドバイスを幾つか。

一点目。仕事を始めたらしばらくは、色々厳しい事も沢山あるだろうと思います。5月病なんてよく言ったりしますよね。僕も平成3年の4月1日に就職をいたしまして、仕事をしてましたけど、まあ一ヶ月二ヶ月くらいは朝から晩まで怒られてばっかりで、本当に自分はサッカーボールかと思ったことがあります。あっち行っても怒られ、こっち行っても蹴飛ばされ、といった感じで大変だった。多くの人がそういう思いを乗り越えてきてます。ここにいる皆さんも皆乗り越えてきています。多くの人間が乗り越えられることは皆様も絶対に乗り越えられるから、辛いと思うこともあるでしょうけど、ぜひそれを乗り切っていただきたい。みんなも乗り越えてきたことだもん、自分もできる、そう思って乗り越えていただければなと、このように思います。

二点目。皆さんがこれから多いに創造性を発揮し続けてもらいたいと、そのように思います。皆さんの若い力で、若い発想でもって、新しい時代を切り開いていっていただきたいと思います。でも特にこの度初めて社会人になられる皆さんについては、皆さんは社会人として仕事をするとはどういうことかということをまずは学ばなければいけない。そういう意味において、色んなことを先輩たちから教えていただくということが非常に大事になってくるだろうと、いう風に思います。モーツァルトだって一番最初は模倣から始まった。そしてその中で段々段々創造性を発揮していく、ということなんではないかなと、そのように思います。しっかりとした土台が無くて、初めから創造性を発揮するだけであっても、それはある意味空回りになりかねないのであって、まずはしっかりと諸先輩方から色々と学んで、公務を遂行していくにあたっての基礎、これをしっかり身に付けていくということも大事だろうと、そのように思うわけです。ぜひ謙虚な新人であってもらいたいと思うし、そしてまた職場の皆さんに好かれる新人であってもらいたいと、そのように思います。そうするためにはどうすれば良いか、ある意味簡単なことでありましてね。挨拶をきっちりする、朝来たら「おはようございます」帰るときは「失礼いたします」。「ありがとうございます」「申し訳ございません」普通の挨拶がしっかりできる、そういうことも大事だという風に思いますよ。あとは、先輩方も皆様方のことを楽しみにしていることでしょう。温かく皆さんを支えてくれるだろう、そのように思います。

あともう一点。生涯勉強をし続けてください。ぜひとも本を読む、有益なテレビを見る、そういうことも大事でしょう。また、友達同士で学び合うということも大事だろう、そういう風に思います。皆さんこれまでも勉強してこられたと思いますが、しかしながらもう一度申し上げますように、これから日本は大きな時代の変化を迎えていくことになります。100年後、200年後の日本史の教科書、世界史の教科書は、この21世紀という時代をどう記述しているか、おそらくどう書いているのか、大きな二つの波に翻弄された。しかしそれを乗り越えた日本だったということになれば良いなと思いますけどね。未曾有の人口減少、高齢化の中で、一人で一人の高齢者を支えなければならないような時代、世界が極めてグローバルに発展していく時代の中にあって、一体日本はどうこれから先を進んでいくのか。日本史の教科書、どう書いているでしょう。世界史の教科書はどう書いているでしょう。言いたいことはこういうことです。先例の無い時代だということであります。先例の無い時代だからこそ、自分たちで考えて道を切り開いていかなくてはなりません。切り開いていけるだけの知と体、これを身に付けていかなければならない。ぜひ皆様もですね、学び続けていただきたいと思います。ぜひこの姿勢を忘れないで頑張っていただきたいと思います。

それでは皆さん、若い皆さんのご活躍、心から期待を申し上げております。皆さんのこの高知県庁でのお仕事、高知県庁での暮らし、高知県庁を通じての人生、本当に幸多きものになりますよう、心からご祈念申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。皆さん一緒に高知県民の皆様のために頑張りましょう。どうぞよろしくお願いいたします。

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