公開日 2014年12月17日
更新日 2014年12月17日
知事の定例記者会見
平成26年3月27日(木曜日) 13時20分から14時04分 第一応接室
南海トラフ地震対策(1)
県中央地域の公共交通(1)
県立高校の再編(1)
県の組織改正
南海トラフ地震対策(2)
教育長人事
県立高校の再編(2)
南海トラフ地震対策(3)
職員人事
県中央地域の公共交通(2)
配布資料
(知事)
産業振興計画の進捗状況について、資料をお配りしていますのでご参照ください。
(仁木:読売新聞記者)
南海トラフ地震対策特別措置法について、国が「対策推進地域」と「特別強化地域」の選定を進めていて、高知県内では「特別強化地域」に沿岸部19市町村が指定される内示があったと聞いています。
沿岸部全市町村を指定する国の判断についての感想と、指定される見通しであることを踏まえて今後の対策の進め方をお伺いします。
(知事)
まず、沿岸部19市町村が(南海トラフ地震津波避難対策)特別強化地域に指定される方向であることは、ある意味、本県の津波被害の大きさを考えれば当然の方向性ではないかと考えています。
また、南海トラフ地震対策全般について言えば、本県のみならず他の県においても、どういう形で指定がされていくのか気になるところです。これまでも国には、いわゆる一定の数値的な区切りによって指定地域を決めていく考え方に加えて、地域のいろいろな実情に合わせた形での指定を9県知事会議を通して申し入れてきたところであり、そういう形で全体の指定がされるようにしてもらいたいと考えています。
今回、指定がされれば、これにあわせて今後、津波避難対策緊急事業計画の策定にそれぞれの市町村が取りかかっていくことになります。その計画について都道府県として意見を言っていき、事実上、(県と市町村が)一緒に作り上げていく形になっていくわけですので、この計画策定の作業に急ピッチで取りかかっていくことになろうかと思います。
この計画を作っていろいろ実行していく中で、いろんなタイプの津波避難対策があり得ると思います。例えば、避難路・避難場所を作っていく取り組みでは、とにかくスピード感をもって本当に急いでやっていかないといけません。
それから、幼稚園や保育園などの高台移転はできるだけ急ぎたいと考えています。他方で、集落全体で高台に移転するといった話になってくると、時間がかかるところもあるんだろうと思います。急ぐべきものは急いでやっていきながらも、じっくり話し合うべきところはじっくり話し合って、いろんな取り組みを同時並行的にこれから進めていくことになると思います。
いずれにしても今回、南海トラフ地震対策特別措置法ができて、特別強化地域が指定されることとなり、そういう地域で指定された一連の取り組みについて、国から従前よりも強力な後押しが得られるようになったこと自体は、非常に良かったと思います。
(仁木:読売新聞記者)
高知県中央地域の公共交通について、中央地域公共交通再構築検討会で現在、議論をしているところだと思いますが、路線バスを存続させるために土佐電鉄と県交通の一元化しかないという意見も出ているようです。この一元化について必要の有無を含めて、知事のご意見をお願いします。
(知事)
(土佐電鉄と県交通の)一元化というご意見も含め、いろんなご意見が出ていますが、これはあくまで選択肢の一つに過ぎないのではないかと思います。いろんな選択肢があって、いろんな検討がされていると思います。
これから、どうすればより効率的にコスト削減をしていけるかと。さらに言えば、どうすればもっと増収をしていくことができるのだろうかと。そして、どうすれば地域の皆様にとってより利便性が高く、また、県民の皆様にとって公共的な交通機関としての役割を果たせるのだろうかといったことを多面的にいろいろ議論していかないといけないと思います。
そういうことを議論していく中で、中央地域の公共交通のあり方が段々見えてくると思います。中央地域公共交通再構築検討会ではこれから急ピッチで議論が行われていくことになると思いますから、そこでの活発な議論を大いに期待したいと考えています
(仁木:読売新聞記者)
高知南高校と高知西高校の統合案について、今年1月に県教委の案が示されて以降、南高校の保護者や生徒から、存続を求める署名が県議会に提出されました。
一方で、関連予算をめぐる修正動議が否決されるなどの動きがあるんですが、この一連の流れを知事はどのように受け止めていて、今度どのように対応する必要があるとお考えでしょうか。
また、在校している生徒や今後進学を考えている生徒に対して、かける言葉がありましたら併せてお願いします。
(知事)
高知南高校をめぐる一連の議論を伺わせていただくと、本当に多くの皆様の思いがこもった議論が展開されていると思っています。そういった皆様の思いを大事にしながら、丁寧に時間をかけて議論をしていくことが重要だと思っています。
先の県議会においても教育長から答弁がありましたので、そういう方向で今、議論されようとしていると思います。いろんな方のお声を丁寧にお伺いし、多くの皆様の思いを大事にしながら、議論を積み重ねていき、最終的な成案に至っていくことが大事ではないかと思います。
また、(高知南中・高校の)在校生の皆さんには、不安な思いや残念な思いをさせてしまい、本当に申し訳ないと思っています。
南高校の生徒の皆さんが本当に頑張っているのを、私もいくつかの機会で見させていただいたことがあります。例えば、高知龍馬マラソンでは、ゴール地点でつみれ汁を参加者に振る舞ってくれた時にものすごい行列ができていましたし、明るい声で「頑張って」とランナーの皆さんに声をかけ、学校を挙げておもてなしをしてくれました。
また、INAPの国際会議が去年の秋に高知で開催された時には、その会議でも南高校の生徒の皆さんが来てくれて、いろいろ高知県のことについて英語でプレゼンもしてくれました。本当に南高校の生徒の皆さんがいろんな形で頑張ってくれていることは、一端なりとも理解をさせていただいているつもりです。
であるからこそ、(高知南中・高校の)生徒の皆さんに不安な思いをさせているのは、本当に申し訳ないと思っています。
ただ、そういう中で、生徒の皆さんにお伝えしたいことが二つあります。
まず1点目は、在校生の皆さん、それから、今年の春に入ってくる学生の皆さんも含めて卒業するまでの間、全ての学年が揃った形で、できるだけ影響がでないよう学校生活を送っていただけるようにしっかり条件を整えていきますので、その点は安心していただきたいとお伝えしたいということが第1点です。
そして2点目は、今、高校の再編をめぐっていろいろな議論が行われていて、大人たちの間ではいろいろ意見が分かれています。ただ、これは少子化対策や南海トラフ地震対策といった高知県が抱えているいろんな諸課題を、これから時代を越えて今後の先々において遭遇していくであろういろんな問題の中で、高知県の子どもたちにとって、どうするのが一番いいだろうということを議論しているのだと。
あくまで子どもたちのためにという思いで大人たちは議論しているということは、お伝えさせていただきたいと思います。
いずれにしても申し訳ないと思いますが、少しでも不安な気持ちが収まるように、我々としてしっかりと条件を整えていくようにしたいと思います。
(池:高知新聞記者)
高知南高校について、知事のメッセージから子どもたちへの思いは分かりました。では、(県立高校再編の)判断における知事の役割について確認させてもらいますが、教育委員会において南高校を含む再編案を出すことを知事は承認されたのではないですか。
(知事)
まだ、教育委員会で最終判断はしていません。そのため、教育委員会が最終判断をしてから、私自身が最終判断をすることになるわけです。
これから、教育委員会において引き続き議論をしていくので、最終的な成案を見て、例えば、予算関連であれば私自身が判断していくことになると思います。
ただ、平成26年度当初予算編成の過程で、例えば、国際バカロレアの認定校を目指していくことや、グローバル化を進めていく準備をしていくための関連予算の話を議論してきたわけです。ですので、その議論の過程の中で高校再編の問題について「こういう方向でいこう」という教育委員会の意見を当然承知していましたので、教育委員会がこういう案をとりあえず(県議会に)提示させていただくことについては、私自身も知っていました。
そのうえで、最終的な決定に向けてはこれからいろんな議論を重ねて決定していくと教育委員会も言っているわけですので、その教育委員会の決定を経て、私自身の権限の中で予算関連などを決定することになります。
(池:高知新聞記者)
教育委員会と知事の役割の違いは理解しているつもりですが、国際バカロレアなどの高知南高校の再編と一体になった予算を提案されたことについては、実質的に南高校の再編を知事ご自身が認めるという答えを出されたということでしょうか。
(知事)
当然のことながら、南高校の再編は最終案になっているものではないので、認めるとか認めないといった段階にはまだきていません。ですが、こういう形で今年1月に教育委員会が世に問いますということについては、私も了知していたということです。
ただ、先ほど申し上げたように、今年1月以降のいろいろな議論を聞いていて思うのは、本当に多くの皆様の思いが非常にこもった話だということです。
他方で、少子化をにらんで高校はどうあるべきなのか。全ての学校が小規模校ばかりになってもいいのか。いや、それでもいいのではないかとか。南海トラフ地震対策をにらんで、地理的にどこにどういうふうに高校があるべきなのか。ここの場所で大丈夫なんだろうかといった議論はやはりあると思います。
だから、そういう多くの皆様の思い、それから少子化をにらんでのあり方、南海トラフ地震対策をにらんでのあり方、いろんな側面から丁寧に議論していく必要があるのではないかと思っています。
ただ、それを最終的に議論する場所は教育委員会ですので、そういう形で丁寧に議論していくと教育委員会も言っていますので、そうしていただいたらいいのではないかと思います。
(池:高知新聞記者)
高知市議会が、南高校再編の撤回を求める請願を可決されたようですが、知事はどのように受け止めていますか。
(知事)
高知市議会でも、多くの皆様のご意見を踏まえて、いろいろ活発にご議論をされたと思います。だから、高知市議会でのそういうご議論も、我々も含め、教育委員会で今後議論していく中で加味していかなければならない非常に大きな重い意見だと思います。
(福井:テレビ高知記者)
(県立高校再編)関連の当初予算案については、国費をそのまま見込んだ形での関連予算になっていたと思うんですけども、国の(スーパーグローバルハイスクール)事業に高知西高校が入らなかったことを踏まえて、今後の予算への対応をどういうふうに(考えていますか)。
(知事)
最終的に採択される学校数が、相当絞り込まれているみたいなので、そういう意味では、これからいろいろとチャレンジしていきたいという立場だった教育委員会の案はちょっと厳しかったようです。既に準備ができていて具体案ができているところと、これから何年後に向けて準備をしていきたいと手を挙げたところとでは、どうも我々のほうがあまり有利ではなかったようです。
しかしながら、国として国際的なグローバル人材を目指す高校を養成していくことについて、決して門戸を狭めていく方向ではなく、むしろ門戸を広めていく方向で、これから議論が展開されていくんだろうと思います。
ですので、そういう中において我々として、まだいろんな形でチャレンジするチャンスは残っているのではないかと思っていますので、第2回、第3回ということになっていくのかもしれませんが、引き続きスーパーグローバルハイスクールの指定を受けられるように努力を重ねていきたいと思います。
もう一つは、スーパーグローバルハイスクールという形で国の指定を受けようが受けまいが、グローバル人材の育成を図っていくことは、高知県にとって大事なことだと思っていますので、引き続き、グローバル人材の育成に向けて、我々としてそういう協力体制を整えていく取り組みはしっかり進めていきたいと思います。
世界がグローバル化していく中でグローバル人材の育成を図ることは、非常に大事なことだと思います。また、ある意味、偏狭なナショナリズム〔国家主義〕を廃するという意味においてもグローバル人材を育成することは非常に大事だと思います。
国際的な審議にのっとった相互の交流を行っていけるようにしていくためにも、グローバル人材を育成していくことは重要です。また、いろんな意味で交易が盛んになっている世界ですので、そういう世界で活躍できる人材を育成することは大事でしょうし、いろんな面からグローバル人材の育成は求められていくと思います。
そういう中において、一定の力点を置いた高校を作り上げていくことは必要なことではないかと思っています。
(半田:高知新聞記者)
新年度から設置する南海トラフ地震対策推進地域本部や、集落活動センターの取り組みを拡充するための県職員を配置し、地域に前方展開していくことになっています。
一方で、昨日の市町村振興課の発表(した市町村職員の定員管理の状況)では、2000年度以降、市町村合併や集中改革プランもあり、県内市町村の職員数は2割くらい減っている状況がある中で、今回の県の人員配置もあるんですけれども、知事のご認識の中で、市町村が新たな施策を展開しようとした時、体力に余力があるかどうかをどう見ていますか。
(知事)
そもそも中山間の日々の暮らしを支えていくという観点から、むしろ行政の役割というのは、これから時代を追って増えていくのではないかと思います。
ですから、道州制の議論とも絡んできますが、やはりいたずらに行政がスリム化や効率化を一辺倒で言っていて本当に大丈夫なんだろうかということを、中山間の中の中山間を抱える県知事として問題意識を持っています。
さらに加えて本県の場合は、南海トラフ地震対策という巨大な課題に立ち向かっていかないといけない時に、官としての役割というのは、やはり一定の規模が必要となってくると思います。
今回のさまざまな県庁組織を前方に展開していく話について、一言で言えば、私どもとしての問題意識に沿ったものということです。さらにもっと言うと、個々個別の政策課題において前方展開して、課題に取り組んでいくちょうどいい時期に来たということもあると思っています。
南海トラフ地震対策について言えば、避難計画づくりをより実効性のあるものにするためにも、やはり現地に入り込んでいかないといけません。例えば、避難所運営をどうしていくのか。そこから先の災害時医療救護をどうするのか。道路啓開をどうするのかといったことを考えていくステージにきています。やはり現地に行かないと分からない話が多いという意味において現地に職員を配置し、地域に前方展開したいと思っています。
それから、集落活動センターの取り組みを2年やってきてつくづく思うのは、地域に入り込んでいって、地域の皆様としっかり話し合いをしていくことをより強化していく必要があり、そういうことから言っても、やはり現地に職員を配置していくことが大事だと思います。
大きな問題意識に加え、個別の政策課題において、今、現地に入り込んでいくことが必要とされる時期が来たことから、今回、組織改正をしたということです。
(半田:高知新聞記者)
施策ごとにいろいろ事情はあるでしょうが、本来、現地のことは市町村の職員にやってもらうのが本筋であると思います。ただ、今の市町村の余力では、県の職員が出張っていかないととてもできない状況であると、知事は認識されているのでしょうか。
(知事)
南海トラフ地震対策ということで言えば、とにかく一定安全な状態を作り出すことを急いでやっていかなければいけない時期だと思います。
実際に市町村の方とお話をしていて、「うちでは地震対策の人員が1名しかいないので、とてもじゃないですけど、そんな簡単には、すぐにはできません」というお話を伺うこともあります。
しかしながら、人員が少ない市町村にも県民の皆様がいます。そういう中において、行政組織的にマンパワーが足りないので時間がかかるということでは、やはり済まないところもあるのではないかと。我々県庁としても前方展開して少しでもお手伝いさせていただくことが必要な時期にあるのではないかと私は思っています。特に、南海トラフ地震対策についてはとにかく急ぎたいということです。
ただ、市町村から言われたとおり県がなんでもやるのかと言うと、何でもかんでも県ができるわけがないのであって、当然のことながら、市町村の皆さんと連携・協調させていただきながら、あくまで市町村のお手伝いをさせていただくことにとどまる場合がほとんどでしょう。
ですから、現地に展開していった県の職員たちが、いかに市町村の皆さんと本当の意味での連携・協調をして、仕事をできるようにするかというところにかかってくると思っています。
我々も市町村の皆さんから学ばせていただくことも多いと思いますから、そういう形での良い連携ができるように組織を動かしていきたいと思います。
(半田:高知新聞記者)
高知県の行政として市町村の職員が2割減ったわけです。将来的にこの職員数を元に戻していくのは、なかなか現実的ではないんでしょうが、今後、県がどんどん施策ごとに市町村へ入っていき、県と市町村との連携を発展させていくという自治の形を知事の頭の中では描いているのでしょうか。それとも、市町村の体力回復を望んで自立を促していく方向なのでしょうか。
(知事)
多分そこは2つに切り分けできないんでしょう。我々が市町村に入らせていただくこともありますし、例えば、立志塾のような形で市町村の皆さんにおいでいただき、県職員と一緒に研修を受けるような取り組みなどもさせていただいています。
県もしっかり前方展開型の行政運営を行い、その際には、市町村の皆さんともしっかり連携して取り組むでしょう。一言で言えば、どっちなのかというより、市町村との連携・協調を深める方向で進めていくことになると思います。
このことは、逆に県にとってもありがたいことだと思います。県庁の建物の中で仕事をしているだけでは足らないことがたくさんあるので、市町村の皆さんと一緒にいろいろなお話をさせていただくことで学べることがものすごくあると思います。
私も地域に行った時に市町村の皆さんとお酒を飲んだりしますが、物事の見方や世界観が180度違う時もあります。やはりああいう感覚が大事だと本当に思います。お互いが地域で日頃から同じ課題に向けて深く接触しているからこそ、良い相乗効果を生み出せるのではないかと思います。
ただ、一つだけ言えるとしたら、国に対して行き過ぎた行革はいかがなものかという思いはあります。
(最上:毎日新聞記者)
(南海トラフ地震対策特別措置法の)「特別強化地域」の指定に絡んで、県が今、どういう現状で、どういう課題を抱えていて、地域指定を受けた後にどういう対策を講じられるのかといったことや、今後どのように地域指定が生きてくるのかをもう少し具体的に教えていただければと思います。
(知事)
(南海トラフ地震対策特別措置法に基づく「特別強化地域」の)指定そのものについて、本県が指定していただきたいと思っているところは全て指定されるのではないかと考えていますので、問題はないと思います。
ただ、9県知事会議でいろいろ取り組みを進めてきましたから、西日本の太平洋側全般として良い形で指定がされることを望んでおり、そこを注目しています。
今度、指定された後、何がされるかというと、津波対策に向けて(各市町村で)津波避難対策緊急事業計画を作ることになっています。それぞれの地域においてどういう形で避難路・避難場所を作り、人々が逃げられるようにするためにどういうふうにしていくかという諸計画を市町村ごとに作っていくことになります。そして、県知事に意見を聞き、国に提出することになります。
その過程において、計画をどのようにその作り込んでいき、いかに実効性あるものにしていくかということが非常に大きな課題だと思います。
その中で、非常に焦点となっていくと思うのは、(南海トラフ地震対策)特別措置法上、国から財政支援を受ける条件に10戸以上の住居が一緒になって移転することとされている新しくできた制度の部分があります。ここをどれだけ短期間でそれぞれの集落が合意できて、個別の具体例を盛り込んでいけるようになるのかということは、10戸の合意をとってくる必要があるので少し時間がかかるのかもしれません。
できるだけ早く(南海トラフ地震対策)特別措置法を使いたいので、災害時要配慮者の皆様がたくさんいる施設を移転できるよう(市町村が作成する津波避難対策緊急事業)計画の中に盛り込んで、対策が進められるようにできればと思っています。
(天野:朝日新聞記者)
(集落の高台)移転について、そもそも非常にネックになってきたのが、国から市町村に出るお金だと思います。そもそも法律とは関係ない制度のようですが、今回、基本的に変わらなかったわけです。
先ほどからおっしゃっている各施設の高台移転も、結局は集団移転が前提になっていて、それができない限り、個別の移転は対象外という形になっていると聞いています。
そうなると、この(南海トラフ地震対策特別措置法の)法律によって高台移転が進み、環境が良くなっていくとはなかなか言いづらいのではないかという気がしていますが、(知事の認識はいかがでしょうか)。
(知事)
(集落の高台移転の考え方は)そうではありません。国の防災集団移転促進事業を使いながら、社会福祉施設や幼稚園・保育園を移転させていくことになるわけですが、この(南海トラフ地震対策)特別措置法ができた結果、新たに社会福祉施設を移転する際に土地を取得する経費が補助されることになったりとか、施設の建物の移転について、今まで補助率が3分の1だったのが2分の1になるといったように、個別に一個一個対応が変わっていくことになっており、そういう意味においては支援が手厚くなっています。
では、10戸の住居と一緒に移転しなければならないという、防災集団移転促進事業とあくまでくっついた事業という点において変わらないのではないかということになるのかもしれませんが、この法律の中で言われていることは、10戸の住居と同時に移らないといけないということになると非常に大変です。
ですが、必ずしもその前後関係は問わないわけです。だから、先に施設を移しておいて、10戸の住居については、時々の事情においてそれぞれ移転していく形でもかまわないという形で合意した話ですので、そういう点においては、同じ防災集団移転促進事業としても、より緩やかな要件になっているという意味において、使い勝手がいいことは決定的な要素だと思います。
ただ、黒潮町でのいろんなご議論などを踏まえて、防災集団移転促進事業そのものが十分なのかどうかという話も言われていると思います。確かに補助率4分の3と手厚いのですが、大きな障害になっていると思うのは補助対象経費の限度額が結構低いということです。ここはもう一段、限度額を引き上げてもらえないかとこれまでも9県知事会議で訴えてきたところであり、引き続き課題として残っていると思っています。
これまでも9県知事会議でずっと防災集団移転促進事業における補助基本額の合算限度額の撤廃を訴えてきたところですが、引き続き訴えていかなければいけないと思います。
(天野:朝日新聞記者)
10戸の住居と各施設の前後関係について、施設が先に移ってもかまわないという話は、ある程度決まっているんですか。
(知事)
国からの文書もありますし、そこはしっかりそうしてもらわないといけないと考えています。10戸の過程のあり方が、例えば施設の隣にある10戸全部でないといけないということではなくていいと思います。
一定、飛び地でもかまわないということで、同じ10戸でも指定の仕方によって全然困難度が変わってくると思います。
(井上:高知新聞記者)
教育長人事について、中澤教育長が2期目の任期途中で退任されるということにあたっての知事の受け止めをお伺いします。
また、次の後任に田村林業振興・環境部長を任命する形になりましたけれども、中澤教育長もそうですが、教育委員会にずっと長くいて精通したというような県庁職員歴ではない方をあてていくことについて、田村部長を任命した理由と新教育長への期待や望むことをお伺いします。
(知事)
中澤教育長にはこの6年間大変ご活躍をいただいて、本当に厳しい状況にあった高知県の教育について、上向きの方向へ転じさせるという、ある意味、歴史的な貢献をされたと思っています。また、私もいろいろとご指導いただいてきましたことを、本当に心から感謝申し上げたいと思っています。
中澤教育長を任命させていただく時にも申し上げたことですが、教育長というポストはどういうことが大事かというと、一つは非常に大きい組織を動かしていく力が、まず必要ではないかと思います。
いろんな能力のある方や志がある方が教育界にいるわけですから、そういう方々のやる気を促し、いろんな方の知恵も活かして、全体として良いパフォーマンスを発揮できるようにする組織のリーダーとしての力が、まず求められるのではないかと思います。
そして、必ずしも教育のみならず、世の中のいろんなことに通じていることも、また非常に大事ではないかと思っています。
そういう意味において、中澤教育長の時もほぼ同様のことを申し上げたと思いますが、県庁組織全体に関わる仕事をしてこられて、また、いろんな部署も経験してこられて、いろんな形で見識をもっていることに非常に期待させていただき、本当に素晴らしい実績を上げていただいたと思っています。
次の田村林業振興・環境部長も長年、この県庁組織の中で仕事をして、林業振興・環境部という大きな所帯を本当に上手に切り盛りしていただきました。例えば、高知おおとよ製材の稼働であるとか、CLTについて全国に先駆けて先鞭をつけるとか、本当に多くの実績を上げていただいている方だと思っています。また、長い県庁生活の中でいろんな方面の行政経験も積まれて、世の中をいろんな形でご存知の方だと思っています。
私としては、田村さんになっていただくことが適任ではないかと思っています。
(半田:高知新聞記者)
高知南中・高校の再編について、高知市議会の請願と意見書では統合案の撤廃を求めているんですけども、撤廃は選択肢としてあるのでしょうか。
(知事)
これから丁寧に議論をしていく中で、いろんなことを考えていっていただくことになると思います。教育委員会としても、これからもう1回議論していただかないといけませんので、その中でどういう選択肢があるかを私が今、言うべきではないと思います。
撤廃したほうがいいという意見の方もいらっしゃれば、他方で、この案でいくべきだとおっしゃっている方もいるわけですので、いろんな方のご意見を聞きながら成案を練っていくことになるのではないでしょうか。
ただ、高知市議会のご意見であり、それは重いわけですので、やはり(多くの皆様の)ご意見をいろいろ聞かせていただきながら、議論を重ねていくことになるのではないでしょうか。
(最上:毎日新聞記者)
(南海トラフ地震における)津波からの避難という面で、県がどういう課題を抱えているのか、知事のご認識を教えていただけますか。
(知事)
避難路・避難場所づくりはだいぶ進んできました。現在、1,445箇所の計画をしていて、まもなく1,000箇所以上できます。津波避難タワーも現在、115箇所の計画をしていて、100箇所くらいできています。(そういう意味では)避難場所について、一定の整備が進んできていると思います。
ただ、これからの課題として、災害時要配慮者の皆様を津波到達までの間に本当に避難場所までお連れできるのかどうか。今、避難計画はそれぞれの地域にありますが、その実効性を実際に新しくできた避難所や津波避難タワーも使いながら、繰り返し確認していくことが、これからの大きな課題であると思います。
これはもう不断の改善を図っていくことだと思います。計画を作り、実際に訓練を行い、やはりこれでは足りないということになれば、避難場所をもう一個作るといったことを繰り返すことで、段々と実効性のあるものにしていくということです。
もう一つは、特に災害時要配慮者の皆様がたくさんいらっしゃる施設を、いかに予め安全なところに移しておくことがどれくらいのスピードで進むかということです。
保育園や幼稚園について言えば、土佐清水市が第1号で高台移転をスタートすることになり、続いて宿毛市や中土佐町でも高台移転の議論が進んでいます。我々も全力で応援しますので、他の市町村でも予め移していけるようにしていただければと思います。
また、災害時要配慮者の方がいらっしゃる施設が先に移っているから、本当に「津波てんでんこ」でみんなが逃げられるのであって、予めいかに多くの施設を移しておくかというのが大きな課題だと思います。
(最上:毎日新聞記者)
(津波避難計画の)実効性を確保するのに、今度の(南海トラフ地震対策特別措置法に基づく)「特別強化地域」の指定が生きてくることになるのでしょうか。
(知事)
今回、津波避難計画も含めた新しい(津波避難対策緊急)事業計画を作っていくことになりますから、その点についても、さらに見直しをしていくことになるのではないでしょうか。
加えて、(南海トラフ地震対策推進)地域本部を新しく設けるようにしたのも、津波避難計画の実効性の確認を、しっかり地に足の着いた形でやっていきたいと思うからです。
(福井:テレビ高知記者)
人事について、来年度、県警から新たに警部などが総務部に配置されることになっています。これまでに派遣されてきた危機管理部や安全安心なまちづくりを進める文化生活スポーツ部といったところに関しては、警察業務と密接に絡む点があろうかと思います。今回、総務部の政策企画課に県警の幹部候補生を配置するというのは、どういった意図があって、具体的にどういった役割を果たしていく形になるのでしょうか。
(知事)
警察組織も(県と同様)非常に大きな行政組織であり、そういう大きな組織の運営全体を幹部候補生に学ばせたいというお話を警察本部からいただきましたことから、(総務部で)お受けすることになったわけです。
大きな行政組織全体を運営していくノウハウを学んでいくことが、一番の目的になるのではないかと思います。また、私たちも新しい組織の方と交流させていただくことで、いろいろと学ぶ点が多いのかもしれません。
(福井:テレビ高知記者)
仕事上の具体的な役割はどんなふうになりそうでしょうか。
(総務部長)
まだ、そこまではちょっと…
(浜田:高知新聞記者)
バスの一元化については、選択肢の一つに過ぎないとおっしゃられたんですが、多分、検討が大詰めにきているとは思います。
先ほどの知事の答えを聞く限りでは、今度示される案が大きな方向性を示すのか、あるいは選択肢を並べるような形になるのでしょうか。
今年6月には、関係するいろんな会社でも定時の株主総会があるわけですから、一定影響も考えられるわけですが、現状のイメージとして大きな方向性が示されるのか、それとも選択肢がA案、B案、C案といった感じになるのか、どちらの形になるのでしょうか。
(知事)
A案、B案、C案という形になるのか、一つの案になるのかというところまで、今、ちょっと分かりませんけれども、いずれにしても株主総会が6月末にあることを考えれば、4月の一連の議論を通じて、やはり成案を得ていく形になっていかざるを得ないと思います。
ですから、今、私がいろんな形の可能性があり得るという話をここではしていますが、1ヶ月後には一定の形を示していかないといけないだろうと思います。
株主総会があるので、そういう意味においては、一定スピード感をもって議論していかないといけない課題であるのではないかと思います。
(浜田:高知新聞記者)
6月の株主総会までに間に合いそうな中身になりそうなんでしょうか。
(知事)
できれば間に合わせたいです。やはり、多くの県民の皆様の日々の生活に関わる問題ですから、できる限り早く皆様が安心されるような仕組みを作っていかなければならないと思います。ただ、これから議論を聞いてみないと結果としてどうなるのか、我々だけで決められる話では当然ありません。事業者の皆様がどうかということが一番大きな話なので、それを聞いてから判断していくことになると思います。
(浜田:高知新聞記者)
間に合わせたいというのは、具体的には土電と県交通の株主総会で大きな方向性を諮るぐらいのスピードで再構築の検討をしていきたい(とお考えですか)。
(知事)
株主総会で諮ることになるのかどうかは別として、中央地域の公共交通はこういう形でいきましょうということについて、概ね決まるぐらいのところまではもっていければと思います。
ただ、もしかすると事業者の皆様との意見が合わずに、そうならないということになるのかもしれませんし、そんなにすぐには決められないということになるのかもしれません。
それとも、概ね考えが一致してすぐに決められるということになるのかもしれませんし、そこはまだ今の段階で予断をもって申し上げられませんが、できれば6月の株主総会の時には、(県民の)皆様に安心していただけるようにもっていければと思います。
(司会)
以上で記者会見を終わらせていただきます。
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