環境トピックス:真っ赤なダニ、カベアナタカラダニ発生中

公開日 2017年05月11日

環境トピックス

真っ赤なダニ、カベアナタカラダニ発生中

ゴールデンウイーク明けの晴れたある日、道具を洗浄し、当センターの屋上にて日干ししていました。乾いた頃に回収に向かったところ、小さな赤い虫が道具の上をうろうろしていました。

バット上のダニ

カベアナタカラダニ

白いバットの上のため、赤い虫が目立ちます。

周辺を観察してみました。

柱

この柱の周辺もよく見てみますと

柱ダニ

このようにたくさんの赤い虫が同様にうろうろしていました。動きは思いのほか素早いです。

これは「昆虫」ではなく「ダニ」であり、名前は「カベアナタカラダニ」と言います。

1.カベアナタカラダニ

 カベアナタカラダニ Balaustium murorum はタカラダニ科アナタカラダニ属のダニです。大きさは成虫で1mm程度。日本では全国的どこにでも居て、5月頃にビルの屋上やベランダなどに大量発生し、7月には姿が見られなくなります。

 高知県でも5月上旬頃から保健所に「赤い小さい虫がいっぱい出た」という相談が寄せられることがあります。

2.害はあるのか

 赤い虫が群れてうろうろしていると、多くの人は「気持ち悪い」と感じるのではないでしょうか。そして気になる点は刺したり咬んだりするのか、という点でしょう。

 東京都で行われた研究(Ohno et al.2011)によると「(カベアナタカラ)ダニ幼虫・若虫・成虫を貝製ボタンでできた小容器に入れ、肌に6時間接触したところ、被験者に痒みや皮疹はほとんど生じなかった」ということです。しかし、ダニを潰して24時間接触すると痒みはないが、皮疹を生じた被験者もいたということなので、ダニを潰した汁を皮膚につけないように注意が必要です。また、ダニを潰した汁は赤いので白い服などに付着しないようにも注意が必要です。

3.何を食べているのか

 カベアナタカラダニは花粉や小昆虫を食べている雑食性と報告されています。

 当センターにおいても、カベアナタカラダニ発生場所に雄しべを置いてみると、2時間後には雄しべに群がっている様子が観察されました。雄しべを置いていないときにはうろうろ動き続けていたカベアナタカラダニですが、花粉を口のあたりに確保した後はじっと動かなくなり黙々と食べているようでした。この様子から、うろうろしているのはエサを探索するためではないかと推測します。

 なお、この雄しべを群がった状態のまま持ち上げてダニを確保しようとしましたが、少しの振動でダニたちは解散していき、簡単には確保できませんでした。

雄しべに群がるカベアナタカラダニ

以下は花粉を食べている様子の顕微鏡写真です。(当センターにて10倍対物レンズで撮影)

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4.最後に

 古くからいる職員は「ハマベノタカラダニ」と記憶していたカベアナタカラダニ。かつては「ハマベアナタカラダニ」と呼ばれていたようで、「カベアナ~」と「ハマベアナ~」は住む場所は違えど同種と考えられていたそうです。しかし、その後の研究によりその2種は異なる種であることが判明しました。いずれのアナタカラダニもまだわからないことがたくさんあるそうです。

 初夏に現れる小さな赤いダニ、気持ち悪がらずにそっと観察してみてはいかがでしょうか。

 

<参考>

カベアナタカラダニの生態と防除 大野正彦(2016) 公益社団法人東京都ペストコントロール協会 機関誌「Pest Control Tokyo」 No.70 5-9

カベアナタカラダニの短期接触による皮膚障害発生の可能性 Ohno et al.(2011) Urban Pest Managenlent Vo1.1(No .2) 111-117

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