令和4年6月7日 令和4年6月県議会での知事提案説明

公開日 2022年06月07日

更新日 2022年06月07日

令和4年6月7日 令和4年6月県議会での知事提案説明


本日、議員の皆さまのご出席をいただき、令和4年6月県議会定例会が開かれますことに厚くお礼申し上げます。

ただ今提案いたしました議案の説明に先立ち、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆さま並びに県民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと考えております。

1 県政運営の基本姿勢
先のゴールデンウィークは、本年3月のまん延防止等重点措置の全面解除後、3年ぶりに行動制限のない中で迎えました。県内各地も多くの人で賑わうなど、徐々に新型コロナウイルスの感染拡大前の活気が戻りつつあります。
また、県内ではゴールデンウィーク明けに新規感染者の増加が見られたものの、先月下旬には減少に転じており、病床占有率も安定して推移しています。こうした状況を踏まえると、現在は、引き続き基本的な感染防止対策を徹底した上で、ある程度の新規感染者の発生を許容しながら、社会経済活動における制約を段階的に緩和していくべき局面にあると捉えております。今後も感染状況や国の動向を踏まえ、社会経済活動の正常化を目指して取り組んでまいります。
他方、ロシアのウクライナ侵攻などを受けた原油価格や物価の高騰が、コロナ禍で大きなダメージを受けている県経済に対してマイナスの影響を及ぼしつつあります。このため、県内各分野の状況を踏まえ、国に対して効果的な影響緩和策の迅速な実施を求め、政策提言を行ってまいりました。
その結果、一次産業におけるセーフティーネット対策の強化や、地方創生臨時交付金の拡充などを盛り込んだ総合緊急対策が4月に閣議決定され、本県が提言してきた内容も数多く反映されました。この国の対策を最大限に活用し、原油価格や物価の高騰による県経済への影響を最小限にとどめることができるよう機動的に対策を講じます。

本年度は、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などが計画期間の後半に差し掛かる年であり、各分野で掲げた目標達成の成否に関わる大変重要な年となります。まさに今が正念場であるとの認識の下、新たな時代の成長の原動力となるデジタル化、グリーン化、グローバル化という3つの潮流を先取りして各施策をさらに進化させます。あわせて、関西圏との経済連携の強化や中山間地域における集落の活性化に向けた取り組みをこれまで以上に力強く推進します。
こうした一連の施策を着実に前進させ、県民の皆さまの目に見える具体的な成果を早期に数多く生み出すことができるよう、私自身が先頭に立って全力で取り組んでまいります。

2 新型コロナウイルス感染症への対応
次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてご説明申し上げます。
社会経済活動の回復を段階的に図っていく中にあっても、感染拡大による医療提供体制の逼迫を招かないよう、必要な備えを怠ってはなりません。
このため、適切なマスクの着用や3密の回避といった基本的な感染防止対策の徹底を図るとともに、入院病床の確保をはじめとする医療提供体制のさらなる充実に努めます。加えて、日常生活での感染リスクを引き下げるため、引き続き、3、4回目のワクチン接種などを着実に進めます。
その上で、飲食や観光などの需要拡大にも取り組み、コロナ禍で大きな影響を受けた県経済の本格的な回復を目指してまいります。

(ワクチン接種の推進)
感染や重症化の予防に重要となるワクチン接種に関しては、県内における12歳以上の3回目の接種率が今月5日時点で65パーセントに達した一方、年齢が若くなるほど接種率が低い傾向にあります。感染の拡大を抑えるとともに、重症化しやすい高齢の方などを守るという観点から、若い世代の方々にも積極的に接種を検討していただけるよう、引き続き、あらゆる機会を通じてワクチンの安全性や有効性について発信してまいります。
また、先月からは、主に60歳以上の方や18歳以上で基礎疾患をお持ちの方を対象として4回目の接種が始まりました。この4回目接種についても円滑に進むよう、国や市町村と緊密に連携しながら取り組みます。

3 6月補正予算
今議会では、国の総合緊急対策への対応を図るとともに、県経済の活性化を着実に推進するため、総額41億円余りの歳入歳出予算の補正並びに総額9億円余りの債務負担行為の追加及び変更を含む一般会計補正予算案を提出しております。
このうち、「原油価格・物価高騰対策」に関しては、原油価格や物価の高騰による影響を受けた事業者や生活に困窮されている方などへの支援を強化します。
具体的には、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた新分野への事業展開や省エネ設備の導入といった構造転換に挑戦する事業者を支援いたします。加えて、農林水産事業者の燃料費や交通事業者の車両維持費などに対する支援制度を創設するとともに、飲食店の需要回復に向けて「食べて!飲んで!高知家応援キャンペーン」を展開します。
また、生活に困窮されている方に対して、生活福祉資金の特例貸付の償還や就職活動を支援するとともに、子育て世帯の負担軽減を図るため、学校給食費の値上げ分や私立学校の授業料への支援を行います。
このほか、連続テレビ小説「らんまん」の放送を契機とした観光振興の取り組みや、4回目のワクチン接種の促進などに係る予算を計上しております。

4 経済の活性化
続いて、基本政策の取り組みなどについてご説明申し上げます。まず初めに、経済の活性化についてであります。

(1)産業振興計画の推進
令和2年度からスタートした第4期産業振興計画については、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化に伴い、観光をはじめとする各分野の取り組みにおいて大きな影響を受けました。
そうした中にあっても、様々な工夫を重ね、地産外商の取り組みを進めてきた結果、例えば地産の分野では、一次産業分野においてデジタル技術を活用した生産性向上の取り組みが着実に進んでおります。また、外商の分野では、地産外商公社の活動を契機とした昨年度の成約金額が、平成21年度に取り組みを開始して以来最高の51億9千3百万円となりました。さらに防災関連産業は、昨年度の売上額が102億2千万円と、初めて100億円の大台を突破し、本県産業の柱の一つとして大きく成長しつつあります。
現下の情勢に目を転じれば、依然としてコロナ禍は続いているものの、社会経済活動は段階的に回復しつつあり、個人消費や観光などで持ち直しの動きが見られます。一方、ウクライナ情勢などを背景に原油や原材料の調達コストが上昇しており、今後、企業活動や個人消費への影響の拡大が懸念されるところです。
第4期計画の3年目となる本年度は、ウィズコロナを前提に、こうした社会経済情勢の変化にも的確に対応しながら、計画に掲げる令和5年度の目標の達成を目指して全力で取り組みを進めます。


(2)関西圏との経済連携の強化
関西圏との経済連携の強化については、本年度、コロナ禍からの反転攻勢に打って出るべく、庁内の体制を大幅に拡充し、関西圏での外商拡大などに向けて取り組みを加速しているところです。
先月には、私自身が直接、大阪府庁に対して本県の防災関連製品の紹介を行うとともに、JR四国が主催する旅行会社への商品説明会で本県観光の魅力をPRしました。引き続き、こうした関西圏でのトップセールスを積極的に展開し、県産品の販路拡大や本県への観光客の誘致につなげます。
また、より効果的な外商強化策の検討に向け、現在、コロナ禍の影響を踏まえた関西圏の商圏分析や他県の先進事例、さらには外商拠点の設置の有効性などに関する調査を実施しています。この調査結果を踏まえ、県内事業者や有識者からなる関西圏外商強化対策協議会などのご意見も伺いながら、8月下旬を目途に強化策を取りまとめます。

(3)デジタル化、グリーン化、グローバル化の取り組み
次に、デジタル化、グリーン化、グローバル化という3つのキーワードに関連する施策について、ご説明申し上げます。

ア デジタル化の取り組み
1つ目のキーワードであるデジタル化の取り組みのうち、農業分野では、令和2年から開発を進めておりましたIoPクラウド「SAWACHI」の本格運用が本年9月にいよいよスタートします。この運用開始に向け、データ駆動型農業に取り組む農家のさらなる拡大を目指し、JAと連携しながら、クラウド導入のメリットをはじめ、機能や使い方などを分かりやすく伝える活動を県内各地で展開します。あわせて、クラウド利用者のサポート体制を強化し、スマートフォンの操作が不慣れな方でも利用しやすい環境を整えるとともに、データ分析に基づく営農指導体制を一層充実させます。
このほか、水産業分野における高知マリンイノベーションの取り組みや、林業分野におけるスマート林業の取り組みも着実に推進を図り、県内の一次産業分野における生産性や付加価値のさらなる向上につなげます。
商工業分野では、中小企業のデジタル化に関する産業振興センターの支援体制を拡充したほか、高知県商工会連合会にアドバイザーを配置し、小規模事業者に対する支援の強化を図ったところです。今後、各支援機関と定期的に情報共有を行うとともに、連携して個々の事業者に応じた支援を進めます。

産業分野に加え、行政分野においてもデジタル化の取り組みを加速しています。特に本年度は、県民の皆さまの利便性の向上という観点から行政手続のさらなるオンライン化に取り組んでおり、先月には、都道府県で2番目となる電子契約システムの利用を開始したところです。今後は、電子申請や手数料の電子納付の対象業務を一層拡大するとともに、オンライン化された手続きについて県民の皆さまに広く周知し、利用の促進を図ります。

イ グリーン化の取り組み
2つ目のキーワードであるグリーン化に関しては、脱炭素社会の実現に向けた具体的な道筋を示す「高知県脱炭素社会推進アクションプラン」を本年3月に策定しました。本年度は、「オール高知での取り組み」と「経済と環境の好循環」という2点を特に意識し、全庁を挙げて取り組みを展開しています。
1点目の「オール高知での取り組み」に関しては、県民の皆さま、事業者の皆さまのご理解とご協力が得られるよう、広報番組やパンフレットにより、アクションプランの内容を幅広く周知しています。加えて、脱炭素化の意義や具体的な取り組みを紹介するシンポジウムの開催をはじめ、個人や企業の環境負荷を個別に見える化する「Web版環境パスポート」の導入などを進め、脱炭素化に取り組む機運の醸成を図ります。
また、この4月には、脱炭素先行地域の選考結果が国から公表され、本県からは檮原町が選定されました。引き続き脱炭素化に意欲的に取り組む市町村をしっかりとサポートし、先行地域のさらなる創出や好事例の横展開を通じて脱炭素化の動きを県全体に波及させます。
2点目の「経済と環境の好循環」に関しては、豊富な自然資源を生かした再生可能エネルギーの導入に加え、建築物の木造化、木質化による都市の脱炭素化やグリーン化関連産業の育成などに取り組んでいます。
先月末には、本県の豊富なバイオマス資源を活用したエネルギーの地産地消を目指して、県や産業団体などで構成する「高知県グリーンLPガスプロジェクト推進会議」を設立しました。今後、技術開発に取り組む早稲田大学や高知大学と連携を図りながら、事業化に向けた関係者の合意形成と基本構想の策定などを進めます。

ウ グローバル化の取り組み
3つ目のキーワードであるグローバル化に関しては、県産品の輸出拡大を進めるほか、国における入国制限緩和の動きを捉え、外国人材の確保やインバウンド観光客誘致の取り組みを展開します。
このうち輸出の拡大では、ものづくり企業の海外展開の促進に向け、約2千社を対象にアンケート調査を行い、新たに海外展開に関心を持つ事業者の情報をはじめ、海外展開に対する不安や課題を把握したところです。今後、このアンケート結果を踏まえて、事業者を個別訪問し、海外戦略の策定支援などに取り組みます。
また、外国人材の確保では、コロナ禍で実施されていた諸外国からの入国制限が本年3月以降段階的に緩和され、本県においても技能実習生の受け入れが徐々に増加するなど明るい兆しが見え始めています。こうした動きも踏まえ、本年度はこれまで多くの実績があるベトナムのほか、本県企業との交流や人材の送り出しに関心を示していただいているインドとの関係強化を進めたいと考えております。両国の関係者に対して、スキルアップに関する支援といった本県独自の取り組みをPRし、良好な関係を構築することにより、長期的かつ安定的な外国人材の確保につなげます。
さらに、外国人観光客の受け入れを今月10日から段階的に再開するとの方針が政府から示されました。こうした動きを本県における観光需要の回復につなげるべく、海外に向けたプロモーションや現地の旅行業者へのセールスなどを強化します。

(4)観光振興の取り組み
次に、主に国内における観光振興の取り組みについてご説明申し上げます。
令和3年の県外観光客入込数は267万人と、新型コロナウイルスの感染拡大前である令和元年の438万人と比べて大きく落ち込み、2年続けて厳しい結果となりました。一方で、3年ぶりに行動制限のなかった先のゴールデンウィークは、主要観光施設の利用者数が昨年に比べて約4割増加し、曜日と日付の並びが同じであった平成28年と比較しても約9割の水準まで回復するなど、明るい兆しも見え始めております。
また、先月には3年ぶりとなるよさこい祭りの開催が決定されました。踊り子の方々をはじめ、県内外の多くの皆さまが待ち望んでいた舞台であり、コロナ禍からの回復を目指す本県観光の大きな後押しとなることが期待されます。今後は、こうした機会も生かしながら、現在展開中の観光キャンペーンにおいて、地域の食文化やそれに関わる人に着目したプロモーションとイベントを切れ目なく行い、本県の観光需要の早期回復につなげます。


(連続テレビ小説「らんまん」を生かした観光振興)
これらの取り組みに加えて、本県出身の牧野富太郎博士をモデルとした連続テレビ小説「らんまん」の放送を本県観光の回復に向けた起爆剤とし、令和5年の目標である460万人観光の実現を目指したいと考えております。
今回のドラマ化は、これまで磨き上げてきた自然、食、歴史といった本県の魅力を全国に伝える絶好の機会であり、本県観光への大きな追い風になるものと受け止めております。このチャンスを最大限に生かすべく、全ての市町村や各界を代表する多くの方々のご賛同を賜り、「連続テレビ小説を生かした博覧会推進協議会」を先月発足させました。今後、県内外の専門家の方などから幅広くご意見をいただきながら、博覧会の開催に向けて具体的な事業計画を練り上げます。
さらに、博覧会の拠点となる牧野植物園や五台山公園では、多くの来園者の受け入れに必要な渋滞対策や園路のバリアフリー化を進め、駐車場の拡張工事や新研究棟の整備と合わせて利便性と魅力の向上を図ります。
また、ドラマの効果を県内全域に波及させるためには、牧野博士ゆかりの地や草花を楽しめるスポットにおいて、受入環境の整備やガイドの養成などをドラマの放送までに進める必要があります。このため、新たな補助制度を設け、市町村の取り組みを支援します。加えて、県内各地の情報をリアルタイムで発信するなど、JR高知駅前にある「こうち旅広場」の観光案内機能の強化を図り、博覧会を契機に来県される観光客の県内周遊につなげます。
あわせて、一連の取り組みをスピード感を持って実行するため、観光振興部の体制を強化します。

5 日本一の健康長寿県づくり
次に、日本一の健康長寿県づくりの取り組みについてご説明申し上げます。

(1)日本一の健康長寿県構想の推進
第4期日本一の健康長寿県構想につきましては、本年度、デジタル化などの観点から各施策の見直しと強化を図り、3つの柱に基づく取り組みを進めております。
まず、1つ目の柱の「健康寿命の延伸に向けた意識醸成と行動変容の促進」では、健康パスポートについて、アプリのダウンロードが本年4月末時点で3万件を超え、デジタル版の普及が着実に進んでいます。本年度は、こうした基盤を活用し、新規ユーザーの紹介に対するインセンティブの付与や歩数ポイントを競うイベントなどを行い、県民の健康増進を目指したポピュレーションアプローチのさらなる強化を図ります。
2つ目の柱の「地域で支え合う医療・介護・福祉サービス提供体制の確立とネットワークの強化」では、第一に、在宅医療体制の充実として、情報通信機器や医療機器を搭載した車両を導入し、オンライン診療を行う医療機関への支援を開始したところです。中山間地域など医師が不足する地域においても、デジタル技術の活用により安心して医療や介護が受けられる体制の整備を一層進めます。
第二に、地域共生社会の推進として、相談支援や孤立を防ぐ地域づくりなどを多機関協働により一体的に実施する体制、いわゆる包括的な支援体制の整備に取り組む市町村を積極的に支援しています。
具体的には、市町村長を対象に先月開催したトップセミナーを皮切りに、市町村や関係機関への個別訪問を開始し、支援体制の整備に関する協議を行っております。新たに設置した専門アドバイザーも活用しながら、引き続き、8050問題やヤングケアラーといった複雑化、複合化した課題の解決に向け、全市町村で早期に体制整備が進むよう後押しします。
3つ目の柱の「子どもたちを守り育てる環境づくり」については、妊娠期から子育て期までを切れ目なく総合的に支援する高知版ネウボラの取り組みをさらに強化します。本年4月には全市町村で子育て世代包括支援センターの設置が実現し、妊娠期から乳幼児期までを保健師などが継続的にサポートする体制が全県的に整いました。今後は、各市町村において、センターを入り口に子育て家庭の状況をしっかりと把握します。あわせて、様々な相談に対し、母子保健と児童福祉、教育といった各部門が連携して適切に対応できるよう、定期的な情報共有の機会を拡大するほか、多職種が連携した実践的な支援研修を開催します。

(2)国民健康保険の保険料水準の統一
国民健康保険については、制度の持続可能性と加入者間における負担の公平性の確保に向け、将来的な保険料水準の統一を目指した議論を昨年度から進めています。
これまでの議論では、全ての市町村から、「将来的に保険料水準の県内統一が必要」というご意見をいただきました。一方で、統一により保険料負担が増加する可能性のある団体からは、「統一時期をできるだけ後年度に設定して欲しい」、「医療費の高い団体において医療費適正化の一層の努力が必要」といった声もお聞きしています。
人口減少による小規模市町村の増加が見込まれる中で制度を安定的に運営していくためには、保険料水準の統一が不可欠だと考えます。あわせて、県内のどこに住んでいても安心して医療サービスが受けられる体制の確保や、全県的な医療費抑制の努力が重要です。
このため、本年8月を目途に、保険料水準の県内統一に向けた方向性について市町村と確認する場を設けることとしております。その上で、引き続き、市町村のご意見を伺いながら、議論を進めてまいります。

6 教育の充実
次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。

(1)質の高い教育の実現に向けた組織的な取り組みの強化
本年4月から特定の教科を専任の教員が受け持つ、いわゆる教科担任制が小学校高学年に導入されました。本県でもまずは中・大規模校を中心に、理科や体育、外国語などの専科教員を配置し、教科指導体制の充実を図っています。また、各教育事務所にアドバイザーを配置し、定期的な学校訪問による指導、助言を通じて、人材育成や組織マネジメント力の向上に取り組んでいるところです。
加えて、学級担任同士が授業交換を行い、学級や学年を越えて同一の教科を教える、あるいは近隣の中学校教員が小学校も兼務し授業を行うといった対応も進めております。引き続き、学校規模に応じた指導形態の工夫を重ねることで小規模校へも教科担任制を拡大し、義務教育9年間の学びの連続性を見据えた学力向上対策を強化します。

(2)デジタル技術を活用した学習スタイルの充実
デジタル技術を活用した学習スタイルの充実に向けた取り組みでは、本年度から県立高等学校においても1人1台タブレットを活用した学習がスタートしたところです。
こうした中、本年4月、県立学校での教育活動におけるICTの効果的な活用に関する協定を民間企業と締結しました。今後、この協定に基づき、オンライン辞書機能やデジタルノート機能などを備えた学習支援アプリの活用と、その効果の検証を行うこととしております。
さらには、高知工科大学と高知追手前高等学校が連携し、デジタル技術を効果的に活用して課題の発見や解決に取り組む学習プログラムを本年度から開始しています。こうした高大連携による高度な情報教育についても充実を図り、AIやデータサイエンス分野で活躍できる人材の育成を進めます。
(3)不登校への重層的な支援体制の強化
不登校への重層的な支援体制の強化につきましては、これまでの取り組みによって、不登校の初期段階から学校内外で相談ができ、支援を受けられる環境が整ってきました。
本年度は、コーディネーターの教員が常駐して個別支援を行う校内適応指導教室の設置校を4校から7校に拡充し、校内支援体制のさらなる充実を図っております。加えて、県や市町村の児童福祉部署と学校が定期的に情報を交換しながら厳しい環境にある児童生徒への支援を行えるよう、スクールソーシャルワーカーの配置を拡充しています。
また、現在、香南市において、各中学校区の不登校の現状や校種間連携に関する課題分析が進められています。保幼小中の連携を強化し、より低年齢の段階から不登校の未然防止を図るため、こうした市町村の取り組みを積極的に後押しします。

(4)全国高等学校総合体育大会の開催
「燃え上がれ我らの闘志四国の大地へ」の大会スローガンの下、この夏、全国高等学校総合体育大会が四国4県と和歌山県で開催されます。
平成10年以来、24年ぶりの開催となる本県には、来月26日から約1カ月間の会期中、選手や監督など関係者約1万人が来高し、高知市と南国市を舞台に、水泳やソフトボールをはじめ、8競技10種目で日頃の鍛錬で得た技と力を熱く競い合います。
開催県として、新型コロナウイルスの感染拡大防止を図りながら、多くの高校生がこれまでの努力の成果を存分に発揮し、関係者や県民の皆さまの心に残る大会となるようしっかりと準備を進めてまいります。

7 南海トラフ地震対策
次に、南海トラフ地震対策についてご説明申し上げます。
本年度スタートした第5期南海トラフ地震対策行動計画では、想定死者数を本年3月末時点の約8千8百人から約4千3百人に半減させることを目指しております。この目標の達成に向け、「命を守る」、「命をつなぐ」対策を引き続き推進するとともに、「生活を立ち上げる」対策を一層強化して取り組んでいるところです。
まず、「命を守る」対策については、住宅の耐震化などハード面の対策が順調に推移する一方、津波からの早期避難意識率が近年伸び悩むといったソフト面での課題があります。このため、マスメディアを活用した広報を継続して行うほか、昨年度開催した防災まんが選手権の受賞作品のアニメーションを作成し、動画サイトやSNSを通じて配信するなど、幅広い世代を対象に啓発の強化を図ります。
「命をつなぐ」対策については、要配慮者や子育て世帯をはじめとする様々な避難者にきめ細かく対応できるよう、市町村における避難所運営マニュアルのバージョンアップを支援します。また、応急活動を行う上で重要となる受援態勢をさらに強化するため、物資配送計画といった各種の受援計画について、訓練を通じた検証や見直しを行い、実効性をより一層高めます。
「生活を立ち上げる」対策については、市町村において速やかに復興に着手し、早期に住民が生活を再建できるよう態勢を整えておくことが望まれます。このため、本年3月に策定した「高知県事前復興まちづくり計画策定指針」を活用し、まずは、沿岸19市町村において、地区ごとの計画素案の作成に着手していただきたいと考えています。既に、高知市や黒潮町では、県とともに計画策定の検討をスタートさせており、今後は、先行する市町の進め方を参考に他の沿岸市町村にも取り組みを広げます。あわせて、被災後、県内事業者が迅速に事業を再開できるよう、庁内の各部局において分野ごとの復興業務の手順書を作成するなど、事業者の支援態勢を強化します。

8 インフラの充実と有効活用
次に、インフラの充実と有効活用についてご説明申し上げます。
四国8の字ネットワークは、地域の経済活動を支え、南海トラフ地震をはじめとする大規模災害への備えを高める上で重要な社会基盤です。このため、他県の知事と連携し、また、全国高速道路建設協議会の副会長としても、国などに対してミッシングリンクの早期解消を継続的に訴えてきたところです。
こうした取り組みの結果、本年度の国の当初予算では、四国横断自動車道の「宿毛新港~一本松」間及び阿南安芸自動車道の「安田~安芸」間の東西2区間が新たに事業化されました。これにより本県の8の字ネットワークは4年連続の事業化となり、着手率も96パーセントに達するなど、これまでの活動が着実に実を結んでいるものと実感しています。
引き続き、残る未事業化区間である「宿毛和田~宿毛新港」間及び「奈半利~安田」間の早期事業化や、事業実施中の区間の早期完成に向け、沿線市町村や他県とも連携し、国などに対して積極的に政策提言を行います。

9 中山間対策の充実・強化
次に、中山間対策の充実、強化についてご説明申し上げます。
本県が持続的な発展を成し遂げていくためには、県土の約93パーセントを占める中山間地域の活力を取り戻し、県内余すところなく「地域の再興」を図る必要があります。このため、10年ぶりに実施した集落実態調査を踏まえて施策の充実、強化を図り、本年度から、「くらしを支える」、「地域に活力を生む」、「しごとを生み出す」の3つを柱とする新たな中山間対策に取り組んでおります。
具体的には、まず、直ちに取り組むべき対策として、集落活動センターの設立にまで至らない小さな集落の維持、活性化に向けた取り組みへの支援を開始しました。加えて、デジタル技術を活用して、日常生活の不便さといった中山間地域に共通する課題の解決を目指す実証事業を立ち上げ、市町村と連携して進めております。
さらに、本年4月以降、集落実態調査の結果を全ての市町村にフィードバックし、県の中山間対策や市町村における取り組みについて意見交換を行いました。今後は、市町村の意見も反映しながら、調査結果の分析、検証を重ね、全庁を挙げて中山間地域における産業づくりや生活環境の確保などに関する施策のさらなる充実、強化を図ります。

(移住促進)
先の集落実態調査の結果では、依然として担い手不足が集落の維持、活性化の大きなボトルネックであることが確認されました。
こうした中、先月公表した昨年度の本県への移住者数は、2年ぶりに前の年度を上回り、過去最多の1,167組となりました。長引くコロナ禍の影響を受けながらも、移住に向けて行動を起こす方が増えたことに加え、移住促進・人材確保センターや市町村において、オンライン相談会など、ウィズコロナへの対応を進めてきたことが成果として表れたものと考えています。
本年度は、年間移住者1,225組を目標に取り組みをさらに強化しています。具体的には、本県への移住を検討していただける方をさらに増やすことができるよう、移住を検討し始めてまだ日の浅い方を対象としたセミナーや交流会を拡充するなど、市町村や関係団体と連携して取り組みを進めます。
また、課題となっている移住者向け住宅の確保については、空き家対策を抜本的に強化します。現在、空き家を売る、貸すといった方針の決断を促すための啓発ツールの作成を進めており、家族が集まるお盆の時期には市町村や地域で活用いただけるようにしたいと考えています。加えて、空き家の改修費用への支援を大幅に拡充したほか、相続や税、活用方法といった空き家所有者からの相談に対応する総合的な窓口を来月設置し、ホームページなどを通じて幅広く周知します。
こうした一連の取り組みを通じて移住者の住宅確保を進め、本県への移住者の増加と中山間地域における担い手の確保につなげます。

10 高知工科大学新学群
高知工科大学の新学群については、県が設置した検討会での7回の会議を経て、先月、最終報告書が取りまとめられました。
この報告書では、まず、新学群について「県の課題解決や県経済の発展に貢献することを多くの人が期待している」ことが示されております。加えて、「大学からも県の発展に寄与しようとする強い意思が示され、今後の展開にも期待できる」といった評価がなされております。また、施設整備に関しても、試算の結果、地方交付税や有利な起債を活用することにより、県の他の事業に影響を及ぼすことなく実施できることが確認されました。
こうした点を踏まえ、検討会では、新学群の設置は適当という結論が出されております。
これを受けて県としましては、検討会からいただいた方向性に沿って、新学群の設置を進めたいと考え、高知県公立大学法人に係る中期目標の一部変更に関する議案を今議会に提出しております。今後は、県議会のご意見をいただきながら、早ければ令和6年度に新学群の開設ができるよう、関係機関との調整など具体的な準備を進めてまいります。

11 議案
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、令和4年度高知県一般会計補正予算の1件です。
条例議案は、職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例議案など10件です。
その他の議案は、権利の放棄に関する議案など4件です。
報告議案は、令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告など2件であります。

以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

お問い合わせ

総合企画部 広報広聴課
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FAX:088-872-5494
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