令和5年8月22日 知事の記者会見

公開日 2023年08月28日

1 4年ぶりの通常開催となったよさこい祭りへの所感と今後の課題について
2 東京などと高知の最低賃金の格差と対応が難しい企業への支援策について
3 宮城県の村井知事が全国知事会の新会長に決定した事について
4 福島第一原発の処理水放出について
5 福島第一原発の処理水放出に関する風評被害に対する国の対応について
6 県内でのガソリン価格をはじめとした物価高騰に関する家庭への支援について
7 南海トラフ地震などへの防災面の課題と取組について
8 相次ぐ教職員の不祥事に関する見解について
9 東京などとの最低賃金の格差是正策について①
10 東京などとの最低賃金の格差是正策について②
11 総合防災対策推進地域本部の新設について
12 東京などとの最低賃金の格差是正に関し国へ求める対策について

(司会)
 ただ今から、知事記者会見を始めます。まず、幹事社質問からお願いいたします。

 4年ぶりの通常開催となったよさこい祭りへの所感と今後の課題について
(野村・高知さんさんテレビ記者)
 今年、よさこい祭りが4年振りに開催されました。そして70回目の節目ということで大変な盛り上がりを見せました。一方で、参加チームの減少や競演場運営の厳しさを訴える声も聞かれ ました。今年は知事も踊りに参加されましたが、祭りを終えての所感と今後の課題について、お考えをお聞かせください。

(知事)
 今回の第70回目のよさこい祭りは4年振りの通常開催でした。台風6号の接近もありまして、一時、前夜祭の開催ができるかどうか心配されたこともありましたけれども、無事に開催されたということは、喜ばしいことであったと思います。
 私も10日には、追手筋の競演場におきまして北海道高知県人会、そして県庁の正調クラブの合同チームの一員として牧野博士の装いで参加して、高知県のPRをさせていただきました。また、各競演場、演舞場の演舞も拝見させていただきました。昨年の、いわゆる特別演舞も同じように参加させていただいたわけですけれども、やはり特に今年、4年振りの通常開催ということもあり、非常に印象的だったのは、踊り子さんたち、そして観衆の皆さんのマスク無しでの笑顔が非常に鮮烈な印象を、私にとって残したという思いです。観客の皆さんも一生懸命に応援していただき、ようやく高知によさこい祭りが戻ってきたと実感を強くしたところです。
 ただ、参加チーム数、踊り子さんの数を見ますと、4年振りの通常開催ということもあり、コロナ前の規模には戻っていないわけでして、今回のよさこい祭りを契機に、再び早い時期に、コロナ前に匹敵するような規模のよさこい祭りに戻っていくことを期待しております。
 その中での様々な課題についてのお話もございました。よくご指摘されていたのは、競演場が商店街に依存して運営されている中で、商店街も大変厳しい状況の中で、運営が大変になっているといった課題は、多く指摘されたところだと思います。この運営面については、一義的には当事者であります商店街の皆さま方もそうでありますし、よさこい振興会、商工会議所、あるいは高知市が一義的には中心になってご検討いただいて、対応を取っていかれるということではないかと思っています。
 一般論としては、商店街に依存しすぎる、できるだけ地域全体で支えていくといったような対応も考えられるべきところではないかと思いますが、ただ今申し上げたようなことがありますので、それ以上、私の口からはコメントは差し控えるべきだと思います。
 県としては、よさこいの全国各地に、海外も含めてですが、に広がっているよさこいをさらに広げていくということ。そことの交流を盛んにしていくこと。そういったところが役割分担として、県に期待されている部分だと思いますので、そういったところを今まで以上に力を入れていくことで、できるだけ早い時期に、よさこいの規模がコロナ前の水準まで戻っていくように貢献ができればいいなと思っているところです。

 東京などと高知の最低賃金の格差と対応が難しい企業への支援策について
(冨田・日本経済新聞社記者)
 最低賃金についてお聞かせいただきたいと思います。先日、答申がありまして、東京などとの賃金格差が少し改善される見通しです。まずこの点について、ご所感をお聞かせください。また、原材料高などで、実際には企業の対応が難しいかと思われます。県としての支援策などがありましたらお聞かせいただければと思います。

(知事)
 今回の改定につきましては、全国的な物価高騰、高知県においてもやはり例外ではなく発生しております。高知市の消費者物価指数の上昇率が、直近6月では4.3%という、近年にない高い 数字になっていることを踏まえた最低賃金の引き上げが必要ではないかという議論が行われたとことが一つ、背景としてあると思います。
 もう1点目については、本県の人手不足も深刻化している中にありまして、特に若い方々が県外ではなくて、県内の企業で働くことに魅力を感じていただく面では、賃金の面でもできる限 りの範囲で、地域間格差の是正を進めていくことに意を払うべきだという議論が行われたと。
 こういった背景があったということだと思いますが、こうしたことから過去最大となります、本県におきまして44円、5.16%の引き上げ額の答申が行われたと考えています。
 そして、本県の引き上げ額は、全国で上から9番目という水準になっておりまして、最低賃金の地域間格差の是正という面で見ましても、少しずつですが、着実に改善の方向に向かってい ると捉えておりまして、この点は歓迎すべきものであると考えております。
 そして、県としての支援策についてですが、今回、特に経営者側の委員からは、業績の厳しい企業にとって賃上げについていくのは、大変、難しいという声もあったと聞いております。こういったこともありまして、今回の答申の中では、昨年度に引き続いてにはなりますけれども、国に対して、法整備も含めた下請け取引の適正化といった形で、中小企業が継続的に賃上げしやすい環境整備を行うべきだという要望が出されているところです。県としても、中小企業支援の施策はさらに充実されますように、全国知事会などとも連携して、国に政策提言を行っていきたいと考えています。
 また、県独自の支援に関して申しますと、直接的な支援としては、最近、アフターコロナの対策、あるいは物価高騰対策の一環として、新事業チャレンジ支援事業費補助金という補助金を、中小企業向けに用意しています。新しい分野や新しい事業に、この際チャレンジして、打って出ようという時の設備投資を支援する補助金です。
 この補助金の補助率につきまして、一体的に賃上げを行うような事業者に対しては、補助率を上積みすると、嵩上げするという措置を取ってきておりまして、こういったことを通じて、県内の事業者の方々が賃上げをやってみようということを促す効果を狙っているところです。
 併せまして、より根本的には賃金の上昇に見合った、あるいはそれ以上の形の生産性の向上、あるいは高付加価値化がやはり構造的に必要不可欠だと思いますので、県の産業振興計画を進めていく中で、中小企業の高付加価値化、あるいは生産性向上により一層、力を入れて支援してまいりたいと考えています。

 宮城県の村井知事が全国知事会の新会長に決定した事について
(栗原・時事通信社記者)
 宮城県の村井嘉浩知事が全国知事会の新会長に決定したことについて、受け止めや期待することなどについてお伺いしたいと思います。

(知事)
 まず、この前提として今回、全国知事会の会長を退任されます平井鳥取県知事におかれましては、これまで非常に強力なリーダーシップを発揮し、多大な功績を残して来られたと思っています。特にコロナ対応に関しまして、各県のいろいろな意見をリーダーシップをもってまとめていただいたことについて改めて敬意を表し、また評価させていただきたいと思います。
 そこで、村井知事に関してです。村井知事は平井会長の体制の下でも、全国知事会におきまして、令和3年9月に新たに設置されました国民運動本部長という職にございました。
 例えば医師会や経団連といった団体との連携の窓口として、国民運動を展開していくという立場で、現会長である平井会長を支え活躍されてきたわけです。
 私自身といたしましても、村井知事は全国高速道路建設協議会、全高速といわれる組織で会長をされております。私は副会長という立場で一緒に提言活動、要望活動に従事させていただく機会もございましたり、将来世代応援知事同盟という、知事の有志の集まりなどの活動を通じまして、ご一緒させていただく機会も多々ございまして、そうした中で、村井知事のリーダーシップ、行動力、ご識見を非常に高く評価をするといいますか、敬服させていただいておりましたので、今回、会長に当選されるというのは、誠に適任であるし、非常に期待するところ大だと思っています。
 特に今後の人口減少、少子高齢化といった我が国の将来を左右する重要問題については、国・地方がしっかり連携して政策を進めなくてはいけないことだと思いますので、地方自治の分野で経験豊富な村井知事が、全国知事会の会長という立場で、引き続き地方全体のリード役を担っていただくことは、非常に心強いと思っておりますし、期待も大きいものと考えております。

(司会)
 それでは、各社からの質疑に移ります。質問をされる方は、社名とお名前を発言されてから質問をお願いします。

福島第一原発の処理水放出について
(井上・高知新聞社記者)
 福島第一原発の処理水の海洋放出についてお伺いいたします。政府は本日、処理水の放出を早ければ、明後日24日にも始めることを正式決定しました。ただ、依然として漁業の関係者らからは、風評被害に関する不安が根強く、高知県のカツオ1本釣りの漁船も三陸沖で漁をしています。また、処理水放出に反対する隣国、中国では、既に日本の水産物に対する放射線物質検査を強化しており、高知県の水産物の輸出促進への影響も懸念されております。これらに対する、知事のお考えをお伺いいたします。

(知事)
 福島第一原発の廃炉過程におきます処理水の問題ですけれど、きょう政府で方針を決定して、海洋放出を開始することが具体的な段取りとして、日程に上ってきたと思っております。
 この問題は、福島第一原発の廃炉を確実に実施していく上では、避けては通れない問題だということで、長年にわたって議論もされ、準備されてきたと思います。今、漁業者の方々のお話がございましたが、私自身、昨日の報道などに接する範囲では、いわゆる科学的な知見と言いますか、根拠としての点についての理解はかなり進んだと。ただ、社会的な安心と言うのでしょうか、そういったところでの風評被害への懸念が払拭できない状況ではないかと思います。
 その意味では、国の責任において科学的な安全性という点について、しっかりと説明を尽くしていただくことと同時に、それでも懸念をされます風評被害については、これは国自身明言されておりますけど、国の責任で長年にわたることになってもしっかり担保をしていく形で漁業者の方々の安心が得られるように、努力をいただくことがぜひとも必要なのではないかと思っている次第です。

 福島第一原発の処理水放出に関する風評被害に対する国の対応について
(井上・高知新聞社記者)
 風評被害に対する国の対応ですけれども、一定、損害に対しては、基金をつくるような形で補償というお話もありますが、これはやはり地元の水産物というか、福島近辺の海だけに限らず、やはり高知県であったり、日本全国に対する対応も必要だとお考えにはならないでしょうか。

(知事)
 この点、国でどういった方針を具体的に定めているかというのは、なお情報収集をしなければいけないと思っておりますけれども、この問題は中国の反応なども含めて考えますと、やはり国際的な意味も含めた風評被害の懸念というのは払拭できないと思いますので、今お話がありました本県のカツオ漁船などへの影響なども含めまして、客観的に風評被害による被害が、推定されるような事情が認められれば、国において幅広く、補償措置なり何らかの支援措置も含めてだと思いますけれども、手当を講ずることが、ぜひとも必要ではないかと考えておりまして、そういった問題意識に立ちまして、国におきますこの基金の制度の具体的な今後の運用の方向の見極め、あるいは必要であれば国に対する働きかけについても知事会の関係者などとも連携して検討し必要なものについては提言していきたいと思っております。

 県内でのガソリン価格をはじめとした物価高騰に関する家庭への支援について
 南海トラフ地震などへの防災面の課題と取組について
 相次ぐ教職員の不祥事に関する見解について
(竹村・NHK記者)
 3点質問させていただきます。1点目に先ほどの最低賃金の値上げのことにもちょっと関係しますけれども、県内でガソリンの平均小売価格が15年振りに180円台に突破するなど、物価高騰がまだ続いているかと思うのですけれども、事業者への働きかけなどをお答えいいただきましたけれど、例えば、家庭への支援だとかそうしたもの、次にどのようなものを考えられているのかというのが1つ目、それと9月1日に関東大震災から100年ということで、また防災の日が来ますけれども、県内も今、南海トラフを始めとした災害への、今知事が課題だと考えられていることや、今後県として改めて、優先して取り組んでいきたいことなどがありましたら教えていただきたいです。
 3点目に、先日、県の教育委員会が教職員3人の処分を発表されたかと思いますけれども、県内で教職員の不祥事が相次いだことについてのご見解と、再発防止に向けた取り組みなど、お考えがございましたら教えていただければと思います。

(知事)
 1点目の物価高騰対策についてです。例えば、ガソリンや電気代といったものの政府によります支援措置が、9月前後が一つの期限となっていることがあり、これも段階的に縮小されてい るものが多いということがあって、再びエネルギー価格等が引き上げの方向で推移しているのは、おっしゃった通りだと思います。根本的な部分については、国の経済全体の枠組みにかかる 話ですから、政府におきまして必要であれば当初予算に計上された予備費の活用も含めまして、今後の物価高騰対策の、より直接的な支援の部分について、どういう方向で進めていくのか、 これも未来永劫続けていくというわけにはいかないことだと思いますから、これをどう軟着陸していくかというシナリオを含めて、政府においてしっかり検討いただいて、対応を図っていた だきたいと思っております。
 我々、地方自治体の立場としては、特に本県として申しますと、先だって6月県議会で補正予算をお願いしまして、これも財源は政府の臨時交付金を活用してということですけれども、物 価高騰対策、特に重点としては省エネの設備を事業者の方々も、あるいは家庭でも入れていただくことを応援することを通じて、中長期にわたってエネルギー価格の費用の負担を軽減してい くという対策を、今ちょうど講じているところですから、こういったものをしっかりとPRして、一過性でない形で効果を生じるような物価高騰対策に引き続き力を入れて進めてまいりたい と考えています。
 それから、防災の関係です。本県は一つには南海トラフ地震の切迫度が、日に日に高まっている事情もございますし、台風常習県とも言われ風水害にも悩まされてきた県ですから、防災の 日に改めまして、県民の皆さんには常日頃からの災害への備えの重要性をご認識いただいて、自らの身の安全は最終的に自ら守るという意識で、防災への備えをしっかりと強化していただく ことを改めて呼びかけたいと思います。
 特に、南海トラフ地震対策を中心に、防災のインフラ整備の面では最近の国土強靭化の予算の別枠措置の恩恵もありまして、道路整備なども含めて、着実に進んできていると思っておりま す。一方で、特に南海トラフ地震対策の中では住民の皆さんの自助の意識の問題、津波が発生が想定される時に、地震の揺れがおさまったらすぐに避難するといった早期避難の意識や、災害 に備えた備蓄、家具の固定、こういった自助の部分の取り組みというのが、東日本大震災直後に比べると伸び悩みという傾向にあるのではないかという点が、1番、今、課題になっている部分ではないかと思っておりますから、防災の日という関東大震災を契機として制定された日に、改めて、地震災害の恐ろしさをご認識いただいて、自らの身を守る備えを平素からしていただくことを、改めて県民の皆さんに呼びかけたいと考えています。
 それから、県教委におきます度重なる不祥事についてです。教職員の方々は本来、子どもたちに身をもって模範を示すべき立場だと思いますから、さまざまな形で、最近、不祥事が頻発しているのは、大変遺憾なことだと思いますし、教育委員会において、しっかりと再発防止策を取っていただくということ。まずは、再発防止というためとしましても、事実関係を確認して、この事案に関しては厳正に処分していくことが大前提だと思いますが、そうしたことを含めた再発防止策をしっかり取っていただきたいと思います。
 そこは、一義的には教育委員会の中での取り組みに期待しますけれども、私自身の問題意識として感じているところとしてあえて申し上げますと、教育委員会の所管内にあります学校教育施設などにおきましては、ある意味、県庁職員などと比べた場合に、より何て言うのでしょうか、閉鎖社会というとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、非常に限られたメンバーの中で、密度の高い形で日々の運営が行われていること。そして、なかなか外の目が入りにくいといったところが県庁、あるいは市役所の職員などと比べて、独特の特色ある部分があるのではないかという気がします。
 そうした意味で、これもどういった方法でということは、教育委員会でもお考えいただくべきことだと思いますが、そうした、ともすれば内側で、固定的なメンバーで送られがちな日々の学校の教職員の職業生活を、外の目というものも意識しながら、あるいは外との交流というところでの日々の気づきも大事にしながら、教職員の皆さんの士気を向上していくというのでしょうか、県民の皆さん、そして、児童生徒の皆さんのために、こうした形で役立っていくんだと。それをおそらく皆さんは、就任のときの初心をお持ちだと思いますから、そうした初心を忘れず、取り戻してしっかりと職務に精励していただくような雰囲気づくりといいますか、職場の風土づくりということに、県教委でもぜひ力を入れて、今まで以上に取り組んでいただきたいという思いです。

 東京などとの最低賃金の格差是正策について①
(中田・高知民報記者)
 最低賃金についてです。今回の改定でも、依然、高知県は最低ランクで、例えば東京などと比べると、時給で200円以上の差が依然として残されております。同じ労働をして、東京なら1,100円なのだけれども、高知なら890円という部分をどうお考えでしょうか。賃金格差についてのお考えをお願いします。

(知事)
 賃金なり給与の水準が何をベースに決定されるかは、いろいろな要素があると思いますけれども、一つの考え方として同一労働、同一賃金という考え方もベースとしてあるわけですから、そういう意味では、同じ国内で同じ仕事をして支払われる賃金は、他に事情がなければ、同じような賃金水準が保障されるべきということはおっしゃるとおりだと思います。
 ただ一方で、賃金の水準を決定する一つの要因としては、生計費の水準があるのは事実だと思いますから、これも善し悪しは別にして、地域によって物価水準、高知も決して安い方ではないという思いもありますけれども、やはり東京、大阪、大都市部においては地価をはじめとして物価が高い、生活費も多くかかる、生計費も高騰傾向にあるというところが反映されている部分もあると思いますので、そういった要素を総合的に勘案して、最低賃金というのは定められていることだと思います。
 ただ、大きな方向としては、地域間の賃金水準の差があまりに大き過ぎるのではないかという問題意識が、これはある意味、全国民的に浸透してきつつあるのではないかと。それの反映が今回の最低賃金の改定において、特に今まで低かった地方部といいますか、高知県を含めました小規模な農村的形態の強い地域で、ある意味競うように目安額を上回るような上積みをして、改定していこうという動きにつながっているということではないかと思います。
 最低賃金は、文字どおり制度的に求められる最低水準ですから、現実には、より事業の成長を果たしていただくことで、より高い水準の賃金で若い方々にとって、特に高知のような中山間地域も含めた地域が多いところにおいては、若い方々に魅力のある勤務環境を提供していくことの必要性が、都市部を上回って大きいことではないかと思っておりますから、今回の最低賃金の改定も方向性としては、わずかではあるかもしれませんけれども、格差を是正する方向に向かっているという点では、望ましい方向に向かっていると思っていますので、それをただ持続的に、あるいは構造的に担保していくためには、やはり産業が強くなるという要素もしっかりと県として応援していくことが必要不可欠だと思っていますから、そういった面も含めて、県として、地域間の格差がより是正をされる方向で、これが持続的に進んでいく方向になるように、いろいろな施策の導入をして対応を図っていきたいと思っております。

 東京などとの最低賃金の格差是正策について②
(中田・高知民報記者)
 現状、知事も是とはしてなくて、賃金格差を解消するという方向でなければならないというお考えということは分かりました。
 ただ、生計費についても俗論としては、都会が高くて田舎が安という話はありますけれども、労働組合等の調査で、変わらないというデータもあります。確かに、高知に住んでいて、都会の方が生活しやすいわけですよね。それは県民の実感としてはあると思います。そういう現実も含めた発信を、知事としてもするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

(知事)
 一つには、水準の是正の方向を引き続き精力的に追及していくことはあると思いますし、もう一つは、最終的には賃金は大きな要素ではあると思いますけれども、やはり若い方々がどこで仕事をして、あるいは生活していくかということを選択する時には、賃金も含めたトータルの生活の質というのでしょうか。クオリティ・オブ・ライフというのでしょうか。そういったことをよく考えられて、選択され、判断されることではないかと思います。
 賃金もその重要な一つの要素ですから、賃金の面での魅力のある勤務条件というところにも、配慮をしていくところは当然ですけども、仕事自身の働きがいであったり、地域としての特に、子育て環境を考えた場合のトータルとしての優位性であったり、地域だけに限らず、地域の中でも、例えば高知の地域の中でもこんな素晴らしい働きがいのある、また、勤務環境にも恵まれた企業がたくさんあるといったことを多くの若者に知ってもらう、そういったPRの努力も含めて、総合的に若者たちにアピールができるような体制が望まれているのではないかと思っております。

 総合防災対策推進地域本部の新設について
(栗原・時事通信社記者)
 南海トラフ地震関係なのですけれども、県は今月1日から南海トラフ地震対策推進地域本部を総合防災対策推進地域本部に改めて県庁内にも組織を新設しましたけれども、これについて知事としては、どのような狙いを持っていますか。

(知事)
 この点は、先の6月定例県議会でご質問をいただいて答弁をしたことも経緯も踏まえた組織の見直しです。今、県庁の組織として、南海トラフ地震対策推進地域本部という県内の5つのエリアに分け、地域単位での体制を取っているところです。これがスタートしたのが、平成26年4月ですけれども、この際の趣旨は、南海トラフ地震対策を強力に推進していくためには、県本庁単位だけではなく、県内5つのエリアに分けた各エリア単位でも、市町村を中心とする地元の機関、関係者と連携を取って、地に足の着いた形での対策強化をしなけらばいけないということで、こういう組織を置いたという経緯がございます。
 当時は、東日本大震災直後ということもあり、南海トラフ地震対策がイコール防災対策全般の代名詞的な意味があったということではないかと思いますし、現実に南海トラフ地震対策の地域本部という肩書といいますか、組織名ではありましたけれども、実際の活動範囲としては、地震対策に限らず風水害の対策なども含めて、地域の機関との連絡調整や必要な対応を取ってきていたことが実態でした。
 ところが、その後、特に平成30年の豪雨災害を受けまして、県の本庁では、新たに豪雨災害対策推進本部という本部も別途設けるということになっておりました。今省みますと、この時点で、ある程度の地域本部の体制も見直しをするという選択肢はあったのではないかと思いますが、結果的に地域本部については、組織の位置付けは変えずに南海トラフの対策本部という、地域本部という看板は残したままで、実態として豪雨災害も含めた防災対策全般の活動を地域レベルで行ってきたということがあります。この点について6月の県議会におきまして、組織の肩書というのでしょうか、組織の位置付けとして、実態とやや乖離を生じているのではないかというご指摘もあったところですので、そうしたご指摘も踏まえて、地域におきます5つのエリア単位での地震に限らず風水害等々も含めた防災対策全般を行う体制として、総合防災対策推進地域本部という名称に変更する形で、より現実に機能している中身に即した名称を付すという趣旨におきまして、今月1日に名称変更をするという形の組織改正を行ったということです。

 東京などとの最低賃金の格差是正に関し国へ求める対策について
(井上・高知新聞社記者)
 再び、最低賃金のことについてですけれども、知事もいわゆる最低賃金も引き上げしやすい環境という意味で、高知県内の産業を強くするといった意思はありましたけれども、中長期的にはそうなのですけれど、やはり目の前で物価高騰であったり、人手不足に悩む事業者側から、今回も国に対して「法整備も含めた賃上げしやすい環境を」という声が出ておりました。
 知事も全国知事会を通して政策提言をしていくというお考えもありましたが、具体的にどのようなところに、課題、問題があるのか。また、最低賃金が上がることによって、人手不足がさらに進んでしまいかねない年収の壁という問題もあります。そういったことも含めて、国に対してどのようなところを訴えていきたいかお伺いします。

(知事)
 この点は、ある意味古くて新しい問題という部分もありまして、決定的な特効薬といいますか。新しい手があるという話ではないようには思いますけれども、やはり一番、法的な整備も含めてというところでの本命に当たる措置は、いわゆる価格転嫁の受け入れをしやすくする、いわゆる下請けと発注者との間の一種の優越的地位の濫用という指摘もありますけれども、そういったことが発生しないような賃金を含むコスト上昇分を、しっかりと転嫁を受け入れる形での価格設定をしていただくことをいかに法的に担保するかというところの知恵の出しどころではないかと思います。
 最終的には、個々の契約の中身の問題にもなってまいりますので、なかなか万能の方式というのを見つけ出すのは難しいことかもしれませんけれども、例えば法律上、こういった転嫁の受け入れについて、しっかりと計画を立てていただいて、それを公表なども含めて第三者的にチェックができるような、あるいは潜在的な就業者であります働く方々から見て、あの会社はこういう会社だということが分かっていただけるような、よくいえばPRもできるような制度が。今回トラック業界の2024問題でも、同じような枠組みが議論されているのではないかと思いますけれども、例えばそういった法的な制度をもう少しきめ細かく各業態の実態に応じて、準備をしていくことが一つのイメージとして考えられるのではないかと思っております。

 

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