令和5年9月8日 知事の記者会見

公開日 2023年11月07日

1 台湾チャーター便 冬ダイヤ就航について
2 福島第一原発の処理水の海への放出に関しての受け止めと県の取り組みについて
3 ガソリンなど燃油価格を抑制するための補助金の拡充について
4 四国の新幹線整備について①
5 四国の新幹線整備について②
6 四国の新幹線整備について③
7 ガソリン価格の高騰対策としてのトリガー条項の凍結解除について
8 四国の新幹線整備について④
9 JR四国との予土線再構築の協議について
10 台湾チャーター便の冬ダイヤにおける一般航空券の販売について①
11 台湾チャーター便の冬ダイヤにおける一般航空券の販売について②
12 県公立学校ハラスメント等第三者委員会での検証内容について
13 昨年度、全国最下位の県内出生数を改善するための取り組みについて
14 牧野博士の新休日後の新たな観光戦略について
15 中山間地域再興ビジョンの狙いと思いについて
 
 

(司会)
 ただ今から、知事記者会見を始めさせていただきます。まず、知事から台湾チャーター便の期間延長と台湾との交流促進について説明があります。

 台湾チャーター便 冬ダイヤ就航について
(知事)
 まず本日、私から台湾からのチャーター便の期間の延長などについてご報告を申し上げます。
 台湾からの高知龍馬空港へのチャーター便ですが、5月10日に就航しました。それ以降、平均で9割を超える高い搭乗率をキープしています。95.3%というのが今週の時点での数字です。これまでに台湾から約6,000人の方々にお越しいただいていまして、四国の周遊ツアーを楽しんでいただいている状況です。この便が、5月に就航した時の予定として、10月末まで、半年間週2便ということで運航されてまいりました。
 私どもとしましては、早い時期の定期便化ということも睨みながら、まずは今年度の後半、秋冬の半年にも延長してもらいたいという思いを強く持っておりまして、私自身も7月に台湾に赴きまして、タイガーエアー台湾という航空会社、それから、ここから座席を全席買い取って旅行を催行しております旅行会社 スタートラベルの両社の幹部に対して直接働きかけを行ってきたところです。
 その結果、チャーター便は11月から来年3月、さらに半年間の延長をするという見込みになりましたので、この点についての状況を説明いたします。
 まず、航空会社、旅行会社、路線、機体については5月からの春夏のダイヤと変更はございません。一方で、運航期間が今まで10月末だったところが来年の3月末までになる形です。運航の曜日は変わりません、水曜日、土曜日の週2便です。到着時間が若干ずれまして、ほぼ同じですが、12時から14時の間ということで調整中です。
 冬ダイヤにおきまして大きく変わる点は、販売形態のところで、今最終的な詰めをしているところでして、これまでは、座席を全部、旅行会社 スタートラベル社が買い取って、旅行商品を造成して販売していましたが、11月以降の冬ダイヤにおきましては、一部を航空券の形で航空会社が直接、一般の方々に販売するということでして、このことによりまして、今まで全席買い取りで台湾の方が来られて、乗って帰っていくというパターンでしたけれども、これによりまして、例えば県民がこの便を利用して、自分で切符を買って、台北にこの直行便で乗っていくことが可能になるというところが大きなポイントです。
 現在、運航に必要となります関係機関への届け出の手続きなどの準備が最終的に進められておりますのと、具体的にどのぐらいの割合で、直接販売という形で一般に販売ができるかというところを、関係者で最終的な詰めを行っているところでございますけれども、タイガーエアー台湾からは、今月中には航空券の予約販売を開始したいということで準備いただいているとお聞きしております。
 チャーター便が就航した後、直行便で行けば高知から台湾まで2時間ぐらいですが、これに乗らないと、例えば羽田まで一旦行って、それから台北に向かうとなりますと、ほぼ1日仕事になりますから、何とか高知から台湾への直行便に、このチャーター便がせっかく来ているのなら乗りたいと言うお声を、県民の皆さんからもお聞きしておりましたけれども、そういった声にお応えできることになる見通しでして、その点、大変私としては喜んでいます。
 同時に、将来的な定期便に向けましては、高知と台湾の人の交流、経済、文化、教育といった交流をより広く活性化していく。双方向の交流のパイプを太くしていくことが、前提条件として大事になってまいります。その意味で、チャーター便の高い搭乗率を維持するという努力をしながら、人的あるいは経済的な、あるいは教育面での交流といったような形で、人と人の移動の交流のパイプがより太くなるような努力を県としてもしていきたいと思います。
 そのためにも、県民の皆さんにはチャーター便が利用できるようになりましたら、ぜひ積極的にご利用いただきまして、台湾との間の行き来をさらに強めていただくことの一翼を担っていただければ、大変ありがたいと思います。

(司会)
 それでは、幹事社質問をお願いいたします。

 福島第一原発の処理水の海への放出に関しての受け止めと県の取り組みについて
(竹村・NHK記者)
 幹事社質問をさせていただきます。
 福島第一原発の処理水の海への放出について伺います。その後、県内でも中国への海産物の輸出が止まったり、あるいは団体旅行がキャンセルになったりという影響が出ているとか、今後、漁業者に風評被害も懸念されているところかと思います。
 こうしたことを受けて、知事の受け止めと、今後、県として取り組んでいくことについてお伺いしたいと思います。

(知事)
 今回の処理水の海洋放出がございまして、中国向けの水産物の輸出が止まるとか、中国からの旅行にキャンセルが出るといった形で、県内でも具体的な影響が出ているということに至っております。その点は大変残念です。根本的には国におきまして、中国政府に対して粘り強く説明を行っていただくこと。科学的な根拠に基づけば、こういった中国の取られた措置は、やはりおかしいんだということを説得いただくということ。それによって、一刻も早く輸入停止措置を解除してもらうことに向けて、国において対応いただくことが最も期待される点であろうと思います。
 一方、県としての役割ですけれども、水産物の輸入停止の措置に関しては、水産物の中国以外への新たな販路の開拓ですとか拡大を進めていくという対応の後押しをしたいと思っています。具体的には今年度から、この問題とはとりあえず関係なく、水産物の輸出促進のコーディネーターを配置しております。このコーディネーターが持つネットワークを活用して、例えば商社とのマッチングですとか、見本市の出展支援などの形で事業者に寄り添った形で支援し、新たな販路の開拓、拡大を支援していきたいと思っております。
 また、より幅広い面で言いますと、9月4日から水産業振興課の中に、漁業者、それから加工流通販売事業者向けの相談窓口を設置しました。この窓口で事業者の方々の相談にしっかりと寄り添い、また必要なご助言をさせていただければと思っています。
 一方、観光面の影響です。中国船籍の客船も高知新港に入っていただいておりましたけれども、客船の乗客向けのオプショナルツアーに、今まで、例えばカツオの藁焼き体験のメニューといったものが行われておりましたけれども、8月31日以降の4回の寄港分では、こうした体験ツアーにキャンセルがあったと、そのような影響が生じたとお聞きしております。
 また、客船以外では、今はまだ大人数の団体旅行は、そんなに予定されておらなかったわけですが、少人数の家族とか友達などのグループ旅行の予約が入っていたところが10月予定分ということですが、数件にキャンセルがあったというような情報を得ているところです。
 こうした観光面の影響につきましては、引き続き、上海に観光セールス拠点を県としても持っているわけでありますので、こういった拠点の事業者を通じまして情報収集を進めていくと。そして、丁寧な誘客セールスプロモーションに取り組んでいく形で対応してまいりたいと思っています。

 ガソリンなど燃油価格を抑制するための補助金の拡充について
(鈴田・共同通信社記者)
 岸田首相は、先月、ガソリンなどの燃油価格を抑制するための補助金を9月から段階的に拡充して年末まで支援を継続すると表明しました。車を持っている人には恩恵がありますけれども、化石燃料の消費の助長であったり、国の財政へのしわ寄せなど懸念を指摘したりする意見もあります。お考えを伺います。

(知事)
 ガソリンの全国平均価格ですが、9月4日時点では、過去最高の1リットル当たり186.5円という水準に高騰しました。歴史的な価格高騰といえる状況になり、これを受け、先日国におきまして、石油元売り各社に対する補助金を、本来9月末までという話であったものを、年末まで延長するという方針が決定されたところです。
 特に都市部に比べまして地方部においては、自動車を使う機会が多いので、燃油価格高騰によります家庭への影響は少なくないわけです。また、一次産業、運送業をはじめといたします事業者の経営にも、コスト面での影響は大きいということだろうと考えております。
 国の方針としては、今年1月から段階的に補助は縮小すると。そして9月末で終了するという予定をしておりましたけども、今回は、特に原油価格自身が高止まりしているのに加えまして、円安が進行していることで、ガソリン価格がかつてない水準に上昇したと。ここで予定どおりの縮小という方向に向かうのは時期尚早という判断をされた。したがって、激変緩和措置の延長が必要と判断されたと受け止めているところです。
 ただ一方で、こうした形で巨額の補助金を投入することは、市場の価格形成メカニズムを撹乱するのではないかという話、ないしは国の財政の圧迫要因になるという指摘。さらには、よりこちらの指摘の方が重いのだと思いますけれども、化石燃料の消費をむしろ増やすような政策になりますので、脱炭素という大きなあるべき方向に逆行してるのではないかといったご意見、指摘があると思います。
 そうした意味で、この補助金を始めた時点でも、私自身も申し上げてまいりましたが、未来永劫こういった形で価格を引き下げる補助金を続けていくことができるものではないのだとすると、いわゆる出口戦略といいますか、一種の激変緩和措置ですから、早期に出口を見据えた議論、どういった形で平常時に戻していくのかいうことについて改めて議論が行われるべきであると考えています。

(司会)
 それでは、各社からの質疑に移ります。質問をされる方は、お名前と社名を発言していただいてから質問をお願いします。

 四国の新幹線整備について①
(古谷・読売新聞社記者)
 8月30日に四国新幹線の実現に向けての会合を開かれ、また、国交省などにも要望されたということですけれども、その時の様子と反応ですね、相手方の受け止め方、今後の方針などをお伺いします。今回、四国4県の意見が一致した上での要望ということで、何か変化、これまでと違うものがあったのかという部分、その辺りをお伺いしたいと思います。

(知事)
 8月30日に四国新幹線の期成会の東京大会が行われました。コロナの影響もありまして、4年振りにフルバージョンの形で大会が行なわれて600人が集まったと。4年振りの規模にもなりましたし、盛り上がりがかつてなく高まったと、関係者の間では評価されたところです。
 それは1つには4年振りということと併せまして、国の6月の骨太の方針の中で、基本計画路線と言われている四国新幹線を含む部分について、今後どう進めていくかということの調査検討を進めていくという方針が明記されたこと。そして、徳島県が知事の交代ということもあり、今回、従前と比べて四国4県が足並みを揃えて岡山経由のルートの整備を念頭に、整備の早期実現を訴えるという構図になったことが今回、昨年までと比べて大きな盛り上がりを見せる要因になったのではないかと考えます。
 同盟会の大会に先立ちまして、4県の知事が揃って国交省の鉄道局長をお訪ねして、意見交換の場をもたせていただきました。先ほど申し上げました骨太の方針に基づきます調査検討の中身について、国土交通省で今お考えの中身についてご説明がありました。
 四国新幹線が基本計画路線に位置づけられてから50年が経つわけです。にもかかわらず、具体的な動きが何もないところに関係者が非常に不満を持っているということでしたけれども、国土交通省のお考えとしては、やはり順番としては、まだ整備が終わっていない、いわゆる整備計画の路線、北海道であったり長崎であったり、あるいは北陸新幹線の大阪延伸であったりといったところが順番として先だという立場は、変えておられないわけです。
 ただ、新幹線の予算も限りがありますし、今までのようなペースで考えていた場合、四国を含む基本計画路線はいつ順番が回ってくるのかという関係者の声も無視はできないという中で、国土交通省としては、ただその時機を待っているだけではなくて、基本計画路線について、どういう形で整備の促進を図ることができるか。そのための調査研究をしたいというご説明でした。
 具体的な手法としては、今の在来線の線形改良をしたり、在来線を生かした形で改良したりすることで高速化、スピードアップを図ることについて、どのような手法があって、費用対効果がどうであるかといった点について調査をしたいというご説明がございました。
 これに対しまして、4県の知事からは、基本計画路線について、今回、前へ進めていくという道筋を付けていこうという姿勢は大変ありがたいし、評価したいというものの、ご説明があったような在来線の強化ということだけでは、むしろ、フル規格での新幹線整備をあきらめろと言っているような意味になり得るのではないかという懸念を持ったわけです。
 その意味で、今回、国交省がお考えの調査検討は、フル規格の整備をやめる、諦めるというような話ではないということを確認したいということと、むしろ、今回こういった在来線の、例えば線形改良などの調査をするにしても、これが先々のフル規格での四国新幹線の整備につながっていくような調査検討に中身をしてもらいたいという注文を4県の知事で、国交省には申し述べたというようなやり取りが、期成会の大会前にはありました。

 四国の新幹線整備について②
(古谷・読売新聞社記者)
 その中で知事がおっしゃられたのは、要するに在来線の改良ではなく、あくまで新幹線仕様の部分は強くおっしゃったという受け止めでよろしいでしょうか。
 それと、もう1点、四国新幹線によって、南海トラフ対策、あるいは関西圏との連携という部分の話もされたのかということ、それから、四国4県で同じ方向性が出たことで、国交省からの反応に違いがあったのかどうかというところを伺います。

(知事)
 まず、前段のお話としましては、我々の立場としては、国が骨太の方針で調査検討すること自身についてやめてくれというような話を言うべき立場には、地方としてはないだろうと。ただ、在来線の整 備で終わってしまうことでは、我々の目指しているものと違うことですので、在来線が良くなること自身は別に我々として否定するべきものではないと思いますけれども、それが先々のフル規格での整備 につながっていくようなものになるように強く申し入れたということです。
 それから大会の場におきまして、各県知事がそれぞれ考えを表明した中で、私自身は高知県という立場で、特に特色のある論点として、南海トラフ地震の懸念を多く抱える高知県としては緊急時の輸送 手段の確保、リダンダンシー確保という観点からも、フル規格での新幹線整備を強く要望しているということ。
 そして、特に関西連携を進めていく中で、2037年には、今のいろいろなタイムテーブルによりますと、リニア新幹線が東京、大阪間、新大阪間が開通し、北陸新幹線も北陸から新大阪へ乗り入れるとい うエポックメーキングなポイントになるということですから、その時に、おそらく新大阪に地下駅が整備されるであろうと、その時には、四国からの新幹線が新大阪の地下ホームに入って来るという形 で、新大阪が西日本の高速交通の拠点になるような青写真のもとに、四国新幹線の整備をぜひ進めてもらいたいと、そのことが大阪・関西と高知の経済交流の活発化というところを大きく後押しすること になるという点を強調して、ご意見を申し上げたということです。
 国土交通省の反応という点で言うと、基本線、まずまだやりかかっている整備、新幹線を仕上げるのが、やはり先でしょうというところは、変わっていないわけでして、ただ今回は、だからといって基 本計画路線、四国新幹線について何もしないということではなくて、これを前に進めるという形での調査検討をただ今申し上げたような形でやりたいと思っているのです、というお話があったということ です。

 四国の新幹線整備について③
(古谷・読売新聞社記者)
 それは、これまでよりもちょっと手ごたえを感じられたという思いですか

(知事)
 整備新幹線のかつての議論では、ウナギを頼んだらミニ新幹線とかスーパー特急というアナゴが出てきたというような話が例え話としてはされていました。
 そういった感が全くないとは申しませんが、ゼロ回答に近かったものが、何らかの形で前に具体的に進めていこう、取り組みを進めていこうという意欲をお示しいただいたという点では一歩前進。
 ただ、それが「フル規格はもうあきらめろ」という話では、話が違うという意味では、我々としては注文もつけなきゃいけないと。こんなような状況であったと思っております。

 ガソリン価格の高騰対策としてのトリガー条項の凍結解除について
(井上・高知新聞社記者)
 ガソリン代の高騰ですけれども、今のところ政府が補助金という形で高騰対策を取ろうとしていますが、やはり県民であったり国民の中ではガソリン税の一部減税となるトリガー条項の凍結解除などを求める声もあります。これに対する知事のご見解を伺います。

(知事)
 いわゆる、トリガー条項で税制上手立てを講ずるべきだというご意見は確かにありますが、これは大きく言って一つは国もそうですが、地方財政にも大きな影響を与えるということがあります。ガソリン税、あるいは軽油引取税、こういったものをトリガー条項を発動して減税をすることになった場合、例えば高知県でも、単純な試算では数十億円、財政的には穴があくことになりますから、そういった意味での対策をどう考えるかというところを併せて考えていただかないと、この点で、まず現実的でないというところがあります。
 あと、より本質的には、補助金の方がいろいろな意味で機動的に動きやすいということはあろうかと思います。税制の方が、より分かりやすいというご意見は片方であるのですが、税制で対応しようとしますと、まず国会で法案を通さないといけない。その上で税に関わることですから、関係者へのいろいろなペーパーワークも含めて、手続きとか書面の提出とか、こういったところで、どうしても時間を要してしまう。政策を打とうと思った時と、実際の効果が出る時まで、かなりのタイムラグが生じてしまう恐れが強いということ。
 さらに申し上げますと税制ということで、ある意味、がっちりとやることになりますと、やろうとする前には、いわゆる買い控えが起き、減税措置を解除する前には、駆け込み需要が起こるということで、相当流通の現場にも混乱を起こすのではないかということがありますので、同じお金を使って負担軽減を目指すのであれば、より柔軟に動けて、マーケット、あるいは現場の混乱をより回避できる蓋然性が高いという意味で、補助金方式を使うことが適当だと思いますし、まさしくそういう判断のもとに、以前も議論がありましたけれども、今はこの補助金方式が取られていることでないかと思っています。

 四国の新幹線整備について④
(中田・高知民報記者)
 四国新幹線の整備のことです。四国4県で一致をしたということですけれど、内容を細かく見れば、かなり同床異夢ではないかと思いますし、そもそもJR四国の存亡が危ぶまれている今日に、新幹線 は、現実感に乏しいというか、50年やってきてゼロ回答なものが、今から、現実になるのか本気に全然見ていない県民も多数おられると思います。そっちの方が多いのではないかと思いますけれども、知事は本当に本気で、四国新幹線ができると思っているのか率直に聞きたいということ。
 それから新幹線の条件として在来線は切り離すのが条件みたいなものがあったと思います。となればJRは、土讃線はやめますと、では、新幹線が土讃線に取って代わることは、途中の駅もあるわけですから、現実的にやるべきじゃないと思ったりしますが、そこはどうお考えでしょう。

(知事)
 いろいろな交通インフラの整備、道路とかも含めてですね、議論の中でおっしゃる論点は、私自身は時間軸の問題と受け止めています。ここ数年の具体的な、まさしく整備計画があって整備していくというところの中で、四国新幹線が向こう数年単位で開通というところに持っていくのは、なかなか現実問題、無理があるだろうというのはそのとおりだと思います。
 ただ、我々としては、新大阪にリニアが入り、北陸新幹線が入る2037年というのを一つの目標年にして、その時点においては、リニアが新大阪まで入るわけですから、新幹線のもう一つスペックが上の新新幹線・リニアが利用できるということになる。そして、もう今現在見ても全国各地で四国ブロック以外は、新幹線という高速鉄道が整備されている中で、四国だけが、例えば観光とか移住促進とか地域振興を図ろうとする時に、新幹線という武器を持たないで、いわば同じスタートラインに立って、地域振興の地域間競争に立ち向かうことができていないという状況ですから、少し時間軸としては先をにらんでということになりますが、そういった全国の均衡ある発展を図るという中で、四国だけが空白地帯という状況は、何としても解消してもらいたいと。その点で、四国新幹線の早期整備は必要不可欠と考えているところです。
 今までの枠組みですと、並行在来線の問題などあるということはおっしゃるとおりですけれども、そもそもこれは最近よく愛媛県の中村知事もおっしゃっていますけども、JR四国というのが他のJR、特に東、西辺りとは違って、元々ベースになる部分が事業の収入だけでは均衡が見込めないと、国の財政的な相当なてこ入れというか、下駄をはかせるところがあって、はじめて事業として継続可能だというところがあって、さまざまな支援措置が講じられているということです。
 そもそも今回、高知に四国新幹線が来た場合の路線が、おそらく今の想定では、阿波池田の方を経由するのではなくて、四国中央市の方を経由して、いわば別ルート的に入って来ることになるということもあろうと思いますので、その意味で、いわゆる並行在来線とは違うのではないかという思いを、私どもは持っています。
 先ほどのJR四国の国鉄改革の出自の時の議論からしても、今まで整備新幹線で取られたような形での並行在来線の扱い、全く同等な扱いというのでは、これはもう絵が描けるわけが、はなからないと私は思っていますから、その点でもより具体化してくる時点では、いわゆる並行在来線の扱いについて、もしくは新しい構図、スキームを議論していくことも必要なるのではないかということを視野において訴えているつもりです。

 JR四国との予土線再構築の協議について
(鈴田・共同通信社記者)
 JR四国の関連で予土線について伺います。今もまだJR側と協議をされていないようなのですけれども、なぜ協議に応じていらっしゃらないのか、これから、協議に応じるおつもりがあるのかどうか、今のお考えを改めて伺います。

(知事)
 この点については、JR四国側から、まだ具体的に、いつこんな形でという協議をスタートしたいという打診がきていない状況ですので、そういった意味で、まだ具体的に始まっていないということです。ただ、地域公共交通の活性化・再生に関する、いわゆる基本方針ですね、こういったものが改正されるという動きが最近はございました。そういったところも踏まえた中でと思いますけども、JR四国の西牧社長のご発言を紐解きますと、いきなり、いわゆる再構築の協議会を開くことにはならないと、まずはデータを示すところから始めたいといったようなお話をされておりますし、同じく予土線ということでは、我々共に戦うパートナーになります愛媛県の中村知事もJR四国の場合は、いわゆる非上場なので経営状況とか、路線別の収支といったものの情報開示が必ずしも十分でないと、ここの開示を求めたいというような発言もされております。
 まずJR四国の収支状況の詳細なデータ開示というところから話が始まり、また、今までの利用促進の努力、こういったものをどう、さらに進化させられるのかといったところ辺りから議論が始まるのではないかと思っております。
 いずれにいたしましても法律の枠組みからすると、我々県も正式に事業者の側から申し入れがあった場合には、テーブルにつくという努力義務は負うという認識はございますけども、それにしてもこの新しい改正基本方針は、少なくとも、いわゆる路線廃止ありきで協議をスタートするのではないということも明記されておりますし、我々としては、協議をスタートするという時点では、まず、どうやったら予土線を残せるのか。どうやって残すのか。そのための協議、検討から入っていただくことを、ぜひお願いしたいということを強く申し述べていきたいと思っています。

 台湾チャーター便の冬ダイヤにおける一般航空券の販売について①
(大山・高知新聞社記者)
 チャーター便のことで2点ほど確認も含めてお伺いしたいのですが、一部の航空券を県民も利用可能になる、一般の人にも発売するということで、最終的な詰めもということでしたけれど、県民の関心も高いと思いまして、大体その規模感であったりとかが分かっている範囲で教えていただければと思います。
 あと、この点は県から要望して、こういう形になったのか。それとも台湾側がこういう形で飛ばしたいということになったのか教えてください。

(知事)
 前段のいわゆる一般販売をする座席数の規模感ですが、1便当たり大体全体で180席のうち1割前後、ですから20席前後ですか、こういった数字を今念頭に置いて、タイガーエアー、スタートラベル、そして、実際に高知龍馬空港で受け入れのハンドリングをお願いする事業者の方々、この辺が利害関係者になりますので、この辺で今最終の詰めをしていただいているということです。
 ちょっと事務的に、この枠をどちらが先に持ち出したかというのは、私必ずしも承知しておりませんけれども、いずれにしても、将来的な定期便化をしていきたいという思いは三者共通ですので、そうした将来展望のもとに、まずは部分的に一般販売をして、だんだん広げていくことで行き着く先が定期便化ということだと思います。
 その意味では、誰がということでも必ずしもなく、それぞれが定期便化を目指していくところで一致している中で、今回、いわば前段階として、一般販売枠を作ろうという協議を行っているとご理解いただければと思います。

 台湾チャーター便の冬ダイヤにおける一般航空券の販売について②
(大山・高知新聞社記者)
 今回、延長がその定期便に近づく一歩になるという期待感をお持ちという理解でよろしいでしょうか。

(知事)
 特に一般販売の枠を作っていくということは、定期便化をして、その背景として、台湾の観光客の皆さんが一方的に高知に来て帰っていかれるというだけではなくて、高知県からも台湾を訪れるというような形の第一歩だと思いますので、その意味で、定期便化に向けての助走というような位置付けができるのではないかと思っております。

県公立学校ハラスメント等第三者委員会での検証内容について
(竹村・NHK記者)
 3点質問させていただきたいです。
 高知市の高校と土佐清水市の小学校で相次いだ教員のハラスメント問題の関係ですけれども、先日、県教育委員会が第三者委員会も開いて検証を行っております。
 今日の午前中にも、市民団体から検証が不十分だという指摘の内容の会見が行われたように、検証が不十分ではないかというような声も上がってるのですけれども、これについては知事は、どのように受け止められていますか。

(知事)
 この事案についての第三者的な検討の中身ですとか、それについてどういうご意見があったかは、私自身は、ちょっとまだ詳細に報告を受けておりませんので、改めて報告を受けたいと思っておりますが、第三者の方々が入って再発防止ということで、何が問題であって、何ができるかということをご検討いただいたことだと思います。
 そうした中で、具体的に恐らく、例えば市町村教委と、これが服務の監督権を持つわけですが、懲戒権を持つ県教委との間の意思疎通、情報疎通がより強化されないといけないというような論点も、恐らく指摘されたのではないかと思います。
 そういった意味で、全て論点が尽くされているかどうかというところは議論があるかもしれませんけれども、一定今回議論をされて、まとめられた方向性というものをベースにして、その上で市民の皆さん、あるいは当事者の皆さんに、どういうご意見があるかというところは、よく考慮に入れていただいて、教育委員会で、実効性のある再発防止策を考えていただきたいと思っております。

 昨年度、全国最下位の県内出生数を改善するための取り組みについて
(竹村・NHK記者)
 県内の出生数のことについてです。
 先日会議も開かれていたかと思うのですけれども、県内の去年の出生数が全国で最少ということで、少子化がより進んでいる状況が浮き彫りになっているかと思います。
 県として、これを少しでも食い止めるためにも、今後どのように取り組んでいきたいか伺います。

(知事)
 昨年の出生数のデータで本県の出生数が3,721人、過去最少ですし、全国47都道府県の中でも人口からいえば、かなり少ない県が他にもある中で最下位になったということは、非常にショッキングな事 実を突き付けられたと受け止めています。
 いわゆる合計特殊出生率自身は、全国の平均の水準よりもそれなりに上にあるということで、ここ10年ほど推移してきておりました。
 そういった意味では、狭い意味での少子化対策ですね、例えば出会い、結婚、それから出産、子育て、こういったとこでのいろいろな支援策については、それなりに成果を上げてきている側面がある一 方で、特に県内から若い女性の絶対数が減っているところが、もう一つ進めてきた若者の定着、あるいは移住を増やしていくところの努力が、特に女性の数ということにおいて、男性よりも、必ずしも十 分な効果が上がってきてなかったのではないかというところが指摘されていることではないかと思います。
 その意味で、従前も若い女性の定着、あるいは移住促進ということで言えば、女性の皆さんに比較的人気が高いと思われる事務職であったり、IT系であったりという仕事の企業誘致といったこともや ってきたわけですが、それももっと力を入れてやらないといけないことに加えて、ただ、それはある意味、全体ある部分の中で限られた部分になってきます。
 特に中山間地域に若い女性を増やしていくことを考えると、中山間地域の産業というか、雇用の場として多くを占めている1次産業であったり、あるいは建設業であったり、こういった今までどちらかといいますと、男の職場というイメージがあったところで、デジタル化などをつうじて女性、さらにいえば、あまり熟練度が高くない若い人がより仕事がしやすくなる、魅力のある職場を提供できるというところの対策を抜本的に強化しないといけないのではないかという問題意識を持って、今県庁内の人口減少対策のプロジェクトチームに、具体策を至急、練り上げるようにという指示をしているところです。

牧野博士の新休日後の新たな観光戦略について 
(竹村・NHK記者)
 弊局の「らんまん」と連動したキャンペーンを、今県として取り組んでいただいているかと思うのですけれども、今月で「らんまん」がもう最終回を迎えるということで、この次の観光キャンペーン、今まさに「極上の田舎」ということで協議されているかと思うのですけれども、今各地で観光客が増えるなどの経済効果も出ているかと思うのですけれども、これをできるだけ下げずに維持、あるいはさらに増やしていくところに向けて、知事は、新たな観光戦略をどのようにお考えですか。

(知事)
 今年度前半は朝ドラの効果もありまして、特に県外からの観光客が好調に推移しております。放送はあと1カ月弱ですけれども、この放送を契機にした、いわゆる牧野博といわれる県の観光博覧会は、 来年3月までということで考えておりますので、「らんまん」の放送の余韻というところの力も借りて、現実に、程度は少しは抑えられるかもしれませんけれども、過去の連ドラの効果は、数年にわたっ て波及効果があるというのが一般的な経験則だとも聞いておりますから、そういった要因の効果があるうちにしっかりとこれを定着を図っていくことをしたいと思います。
 特に今回の「らんまん」を契機にこれまでどちらかといいますと、高知の歴史とかいうことでの観光のファン層は中高年、男性というイメージだったのかもしれませんが、特に若い方々、若年層、女性 にも高知に関心を持ってもらう大きなチャンスになったと思いますので、ここの部分をぜひしっかりと定着させて伸ばしていくことを考えたいと思います。
 さらに、来年度以降に関して言いますと、関係者、専門家の方々の委員会で、ポスト牧野博の観光戦略を検討いただいております。今の議論の方向性としては、高知を極上の田舎というコンセプトで、「どっぷり高知旅」という名前で4年間のキャンペーンを想定して進めてはどうかとご検討をいただいております。
 キーになるのは、できるだけ長期の滞在型、体験などを通じて、じっくりと高知を楽しんでいただく。また、単に観光で名所旧跡を見るだけではなく、食とか文化、その背景にある一種のいろいろなストーリーを語って深く楽しんでいただく観光を生み出していくべきだろうという方向で議論をしておりまして、ある程度方向性をまとめた上で、関連の予算を9月の補正予算にも諮って、進めていきたいと思っております。

 中山間地域再興ビジョンの狙いと思いについて
(山﨑・高知新聞社記者)
 中山間地域再興ビジョンについてお伺いさせてもらいます。先日、示されました骨格案の中で、さまざまな数値目標などが示されていたと思います。数値目標が、かなりハードルの高いものも中にはあるのかなとは思うのですけれども、この数値目標に込めた狙いをお伺いしたいのが1点と、中山間対策におきましては、前任の尾﨑県政では集落活動センターを中心とした取り組みが進められていたと思います。産業振興面ではかなり効果もあったと思います。
 一方で人口減少対策という面でいくと、かなり歯止めがかからない状況がここ数年ずっと続いていると思います。前県政の集落活動センターを中核とした取り組みへの評価といいますか、中山間再興ビ ジョンに取り組むことに至って、その思いも含めてお伺いできたらと思います。

(知事)
 かなりチャレンジングな目標を骨格案の段階でお示しして議論を始めさせていただいているという自覚はあります。ただ背景にありますのは、今回の中山間の振興ビジョンは、やはり10年、20年先をにらんで、中山間地域が再び元気になるための、いわば道しるべ、道筋を示していこうということですから、そのためにはやはりその主役となっていただける若い方々、さらにその先に若い方々になっていく赤ちゃんの数、生まれる赤ちゃんの出生数、こういったものが増勢に転じるということの展望がなくしては、再興の道筋を示すと、これは持続可能なこの道を信じていけば、未来が開けるという思いに至れないのではないかという思いがあります。
 その意味で、数字そのものはかなりハードルが高い、チャレンジングな目標を掲げることにはなりますけれども、それを目指して取り組んでいって、これを積み重ねていくことで10年先には、こういうところに持っていきたいという姿をご提示させていただこうということで、議論を始めさせていただいたところです。
 もう一つ、人口減少対策といいますのは、ある意味、いろいろな施策の総合的な結果として、アウトプットとして出てくるものだと思っています。その意味では、産業振興計画を中心として、仕事を増やすということをやらないと、人の定住の前提が崩れるといいますか、前提が確保できないということだと思いますから、その意味では、産業振興計画を通じて、県の経済の活性化を図ってきたということは、人口減少対策の面でも、それなりには効果は発揮していると思います。ある意味、それを上回る勢いでの自然減であったり、あるいは社会減、流出というところがある中で、結果的に毎年まだ人口減少が続いているということではないかと思います。
 集落活動センターの取り組みそのものは、中山間地域を再び元気にしていくという具体的な努力を、いわば形にするものとして、私は高知県の誇るべき施策だと思っています。
 要は、こういった取り組みを一つの核として、いろいろ広げていくところが、迂遠ではありますけども、将来的な人口減少の克服、人口増への反転を図っていくよすがになっていくと、そういう位置付けをするべきではないかと思っております。

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